JP3694373B2 - 乾式シーリング方法及びそれに用いるケーシング及び調整部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サッシとサイディング端部との間、或いはサッシ同士の間を止水する乾式シーリング方法及びそれに用いるケーシング及び調整部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁パネル等に取り付けるサイディングは、一般に、連結方向の一端側を下サネ(壁パネル側の面を端面から延出させた突起)、他端側を上サネ(サイディング表面側の面を端面から延出させた突起)とし、この下サネ、上サネを順次合わせて行くことで連結を行う。
このような連結構造を有したサイディングを壁パネルに取り付ける場合、壁パネルに開口が有ると、サイディングは開口を挟んで一方の端部が下サネ、他方の端部が上サネとなる。
従来、このように異なるサネ形状となったそれぞれのサイディング端部を壁パネル開口に連結する場合には、壁パネル開口を挟んで左右で異なるサイディングの下サネ又は上サネを切除し、サイディングの端面を平坦面とした後、この端面と、開口サッシに取り付けたケーシングとの間にコーキング材を充填し、湿式シーリングにて止水施工を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の湿式シーリング方法では、サネの切除に余分な工数が必要になり、作業効率が低下する問題があった。
また、建築現場にてコーキング材を充填する湿式シーリングは、コーキング材の乾燥に時間がかかる欠点があった。
更に、湿式シーリング施工は、熟練技術を要するとともに、仕上げにバラツキが出やすく、見栄えの悪い問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、サネを切除することなく且つ湿式シーリングによらず、サイディング端部とサッシとを止水できる乾式シーリング方法及びそれに用いる調整部材を提供し、作業性の向上、見栄えの向上を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明に係る乾式シーリング方法は、下サネ又は上サネで形成したサイディングの端部と、サッシとの間を同一構造のケーシングを用いて止水する乾式シーリング方法において、前記ケーシングは少なくともサッシに対する嵌合部とサイディングに対する接合部とを有しており、前記サイディングの端部が前記下サネであるとき、前記ケーシングの接合部を直接前記下サネに密接することで、前記下サネと前記サッシとの間を止水する一方、前記サイディングの端部が前記上サネであるとき、前記ケーシングの接合部に調整部材を延出させて取り付け、該調整部材に前記上サネを密接することで、前記上サネと前記サッシとの間を止水することを特徴とする乾式シーリング方法である。
【0005】
また、本願の他の発明は、少なくともサッシに対する嵌合部と、接合部を有するケーシングを用いて、両側が開口となる柱の両側に取り付けた一対のサッシ同士の間を止水する乾式シーリング方法において、1つの前記ケーシングの前記接合部に該接合部と平行に延出する前記調整部材を取り付け、該ケーシングを一方の前記サッシに取り付け、該1つのケーシングと左右対称の断面形状を有する他のケーシングを他方の前記サッシに取り付けるとともに、該ケーシングの接合部を前記延出した調整部材に密接することを特徴とする乾式シーリング方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る乾式シーリング方法及びそれに用いる調整部材の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1はサイディング端部が下サネの場合のサイディングとサッシとの取り付け状態を示す断面図、図2はサイディング端部が上サネの場合のサイディングとサッシとの取り付け状態を示す断面図、図3は両側が開口となる柱へのサッシの取り付け状態を示す断面図である。
壁パネル1には開口3を設けてあり、壁パネル1の開口端面には開口枠5を取り付けてある。
【0007】
この開口枠5にはサッシ7を取り付けてあり、サッシ7は開口枠5の内面に平行な枠板7aと、この枠板7aの幅方向中央から壁パネル表面と平行に突出した固定部7bとで断面略T形に形成してある。サッシ7は、枠部7aの幅方向一端側を開口枠5の内面にビス固定するとともに、固定部7bを壁パネル表面と平行な開口枠5の面に止水材(エプトシーラ等)8を介して固定してある。従って、サッシ7は、枠板7aの幅方向他端側を、開口枠5の内面から平行に延出させた状態で取り付けてある。
【0008】
壁パネル1の表面には、胴縁9を介してサイディング11を取り付けてある。サイディング11の端部は、連結方向の一端側を下サネ(壁パネル側の面を端面から延出させた突起)13、他端側を上サネ(サイディング表面側の面を端面から延出させた突起)15で形成してある。
【0009】
このサイディング11の端部とサッシ7との連結には、ケーシング17を用いる。ケーシング17は、サッシ7とサイディング11とに亘って設ける部材で、壁パネル表面と平行な外板部17aと、この外板部17aの幅方向中央から外板部17aに垂直に突出した支持部17bとで断面略T形に形成してある。外板部17aの一端にはL形に曲がった嵌合部17cを形成してある。ケーシング17は、支持部17bを固定部7bに当接し、嵌合部17cを開口枠5から突出した枠板7aの他端に嵌合することで、サッシ7に取り付けてある。また、外板部17aの他端には壁パネル表面と平行な面を有するコ字形の接合部17dを形成してあり、接合部17dは図1に示すように、壁パネル1の表面に取り付けたサイディング11の下サネ13に面接触するようになっている。
【0010】
ケーシング17には、ケーシング17に沿って延びる帯板状の調整部材19(図2参照)を着脱自在に取り付けできるようになっている。調整部材19の一方の面には、幅方向の両端で、調整部材19の長手方向に亘って止水材(エプトシーラ等)8を貼り付けてある。この調整部材19は、幅方向の一端側を、ケーシング17の接合部17dにビス等により取り付けできるようになっている。従って、接合部17dに一端側を取り付けた調整部材19は、幅方向他端側が接合部17dの接合面と平行に延出するようになっている。
【0011】
このように形成したサッシ7、サイディング11、ケーシング17、調整部材19を用いてのサッシ7とサイディング端部との間、或いはサッシ7同士の間を止水するシーリング方法を説明する。
図1に示すように、壁パネル1に取り付けたサイディング11の端部が下サネ13である場合、サイディング11の端部とサッシ7との間を止水するには、サッシ7にケーシング17を取り付け、ケーシング17の接合部17dを止水材8を介して下サネ13に密接する。これにより、サイディング11の下サネ13とサッシ7との間が止水されることになる。なお、この場合、サイディング11は、ケーシング17の取り付け前に取り付けることが好ましいが、ケーシング17を取り付けた後、下サネ13を差し入れることで、ケーシング17を取り付けた後に取り付けることも可能である。
【0012】
一方、図2に示すように、壁パネル1に取り付けたサイディング11の端部が上サネ15である場合、サイディング11の端部とサッシ7との間を止水するには、ケーシング17の接合部17dに調整部材19を取り付ける。一端側を接合部17dに取り付けた調整部材19は、他端側が接合部17dの接合面から平行に延出する。このケーシング17をサッシ7に取り付け、止水材8を介して調整部材19の他端側を上サネ15に密接する。これにより、サイディング11の上サネ15とサッシ7との間が止水されることになる。なお、この場合、ケーシング17は、サイディング11の取り付け前に取り付けることが好ましいが、サイディング11を取り付けた後、調整部材19を差し入れることで、サイディング11を取り付けた後に取り付けることも可能である。
【0013】
また、図3に示すように、両側が開口3、3となる柱23に取り付けたサッシ7、7同士の間を止水するには、一方のケーシング17の接合部17dに調整部材19を取り付け、このケーシング17を一方のサッシ7に取り付ける。次いで、他方のサッシ7にケーシング17を取り付け、このケーシング17の接合部17dを、既に取り付けてあるケーシング17の調整部材19に止水材8を介して密接する。図3に示すように、一方のサッシ7と他方のサッシ7に取り付ける同一のケーシング17、17は、上下を反転させ左右対称の断面形状として用いる。これにより、柱23に取り付けた一対のサッシ7、7同士の間が、乾式シーリングされる一対のケーシング17によって止水されることになる。なお、この場合、調整部材19を取り付けたケーシング17を先に取り付けることが好ましいが、調整部材19を差し入れることで、調整部材19を取り付けたケーシング17を後に取り付けることも可能である。
【0014】
このように、上述のシーリング方法によれば、サイディング11の端部が下サネ13となる場合には、ケーシング17の接合部17dを下サネ13に密接することで、下サネ13とサッシ7との間を乾式シーリングすることができ、サイディング11の端部が上サネ15となる場合には、サッシ7に取り付けたケーシング17の接合部17dに調整部材19を取り付け、この調整部材19を上サネ15に密接することで、上サネ15とサッシ7との間を乾式シーリングすることができる。
【0015】
また、ケーシング17に調整部材19を取り付けることで、下サネ13の接合面と略同一の接合面を形成できるので、これに他方のケーシング17の接合部17dを密接させることで、一対のケーシング17を乾式シーリングすることができる。即ち、両側が開口3となる柱23に取り付けた一対のサッシ7に、それぞれケーシング17を取り付けて、この一対のケーシング17を乾式シーリングすることで、サッシ7同士の間を止水することができる。
【0016】
更に、上述の調整部材19によれば、ケーシング17の接合部17dに取り付けることで、下サネ13の接合面と略同一の接合面を形成できるので、下サネ13との止水専用の接合部17dを、上サネ15との止水接合部へ容易に変更することができる。
【0017】
なお、上述の例では、接合部17dと下サネ13との間、調整部材と接合部17dとの間、調整部材19と上サネ15との間を止水材8によってシールする場合を例に説明したが、これらの間をシールする手段は、水密性が確保できるものであれば、止水材8に限定されるものではない。
【0018】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る乾式シーリング方法によれば、サイディングの端部が下サネである場合、ケーシングの接合部を下サネに密接することで、下サネとサッシとの間を止水し、サイディングの端部が上サネである場合、ケーシングに調整部材を取り付け、この調整部材に上サネを密接することで、上サネとサッシとの間を止水するので、サネを切除することなく且つ湿式シーリングによらず、上サネ又は下サネのいずれの端部であってもサッシとシーリングすることができる。この結果、サネを切除する工数、コーキング材の乾燥時間を削減でき、見栄えも向上させることができる。
また、乾式シーリング方法によれば、調整部材を取り付けたケーシングを一方のサッシに取り付け、他方のサッシにケーシングを取り付け、このケーシングの接合部を、既に取り付けてあるケーシングの調整部材に密接することで、柱の両側に取り付けた一対のサッシ同士の間もシーリングすることができる。
本発明に係る調整部材によれば、ケーシングの接合部に取り付けることで、下サネの接合面と略同一の接合面が形成されるので、下サネ専用の接合部を、上サネの止水接合部へ容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サイディング端部が下サネの場合のサイディングとサッシとの取り付け状態を示す断面図である。
【図2】 サイディング端部が上サネの場合のサイディングとサッシとの取り付け状態を示す断面図である。
【図3】 両側が開口となる柱へのサッシの取り付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
3 開口 7 サッシ
8 止水材 11 サイディング
13 下サネ 15 上サネ
17 ケーシング 17d 接合部
19 調整部材 23 柱
Claims (2)
- 下サネ又は上サネで形成したサイディングの端部と、サッシとの間を同一構造のケーシングを用いて止水する乾式シーリング方法において、
前記ケーシングは少なくともサッシに対する嵌合部とサイディングに対する接合部とを有しており、
前記サイディングの端部が前記下サネであるとき、前記ケーシングの接合部を直接前記下サネに密接することで、前記下サネと前記サッシとの間を止水する一方、前記サイディングの端部が前記上サネであるとき、前記ケーシングの接合部に調整部材を延出させて取り付け、該調整部材に前記上サネを密接することで、前記上サネと前記サッシとの間を止水することを特徴とする乾式シーリング方法。 - 少なくともサッシに対する嵌合部と、接合部を有するケーシングを用いて、両側が開口となる柱の両側に取り付けた一対のサッシ同士の間を止水する乾式シーリング方法において、
1つの前記ケーシングの前記接合部に該接合部と平行に延出する前記調整部材を取り付け、該ケーシングを一方の前記サッシに取り付け、該1つのケーシングと左右対称の断面形状を有する他のケーシングを他方の前記サッシに取り付けるとともに、該ケーシングの接合部を前記延出した調整部材に密接することを特徴とする乾式シーリング方法。
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