JP3693580B2 - スライド・スイング式ドア及びドア用支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアパネルをその幅方向(ドアの横方向)にスライドさせながら且つその前後方向にスイングさせて開閉するスライド・スイング式ドア、及び、このドアに好適なドア用支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の住居用家屋やビルなどの建物や構造物において使用されるドア開閉の方式には種々のものがある。
【0003】
これを開閉動作の様式から分類すると、スイング式、スライド式、折り畳み式、回転式などがある。とくに、近年、開閉時に必要な占有面積が小さいこと、大きな通過幅を確保し易いこと、建て付けが比較的容易であること、バリアフリーに対応可能であること等に因り、スライド方式とスイング方式を併用した形式のスライド・スイング方式のドア装置が脚光を浴びている。
【0004】
このドア装置の第1の例は、ポールなどの支柱の上下端にスライドおよびスイング用のアームまたは蝶番の一方の支軸をそれぞれ取り付け、このアームまたは蝶番のもう一方の支軸をドアパネル(パネル体)の上端面および下端面にそれぞれ取り付ける一方で、ドアパネル上端面に吊り車(例えば6輪吊り車)の支軸を取り付け、この吊り車を開口部上部の吊りレールに沿わせるという構造のものである。
【0005】
また、第2の例として、上述した第1の例に係る構造の内、ドアパネルの下端に取り付けるアームまたは蝶番をスライドおよびスイング動作を補助する目的で簡易な構造のアームとし、その代わりに床面にガイドレールを設置し、このガイドレールにドアパネル下端面に設けるガイドを沿わせるという構造のものも知られている。
【0006】
さらに、第3の例として、開口部を画成する枠体自体の側柱の上下端に上述したアームまたは蝶番を取り付ける構造のもの知られている。この範疇に入る構造例として近年提案されているのは、上述した吊りレールおよび吊り車から成る吊り構造を採用するとともに、枠体の側壁または側柱自体の上部所定位置とドアパネルの上端面所定位置との間にスライド・スイング用蝶番を取付け且つドアパネル下端側に補助的なスライド・スイング用アームを取り付けるとともに、上述した床面ガイドレール構造を併用した構造のものも提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のスライド・スイング式ドア装置にあっては、美観的側面、ドア設置工事および保守の容易さ、さらには使い勝手などの面から不満があった。
【0008】
例えば、上述した第1の例に係るポールなどの支柱を用いるドア構造の場合、この支柱をそのまま露出することは美観を損なうので、この支柱を隠蔽するために袖壁を作などの余分な工事が必要であり、設置コストを上昇させていた。
【0009】
また、第2および第3の例に係るドア構造の場合、床面にガイドレールを敷設する必要があるので、昨今の傾向であるバリアフリー化の要請に応じることができない。とくに、車椅子の利用者や高齢者にとって、床面にガイドレールがあると走行し難いものになる。高齢化社会においては自宅で車椅子を使用する人も増えることが予想されるが、そのような場合にガイドレールの存在は歓迎されない。
【0010】
加えて、床面に敷設したガイドレールには、塵や埃がたまり易く、掃除の手間を増やすとともに、埃や塵がスムーズなドア開閉を阻害することもある。勿論、そのようなガイドレールは美観的にも優れているとは言い難い。
【0011】
さらに、第3の例のように、開口部を形成する枠体の側壁または側柱にスライド・スイング用蝶番を直接取り付ける構造にあっては、枠体の立て付けの経年変化などに因る歪みの影響を受け易いという問題もある。また、ドアパネルの脱着が面倒であったり、位置合わせの要素が多いことから、保守作業の手間も増える。
【0012】
またドア装置全体に求められる昨今の傾向として、仕切り性(密閉性、遮音性)、開閉時の操作性、開閉に要するドアスペースのコンパクト化など、ドアの機能そのもののほか、ドアがその周囲の構造体と美観上、極力、マッチしていることが市場的に強く求められている。スライド・スイング式のドア装置とて例外ではなく、例えば蝶番など、ドアパネル以外の開閉に要する機構の存在を極力目立たなくする必要がある。
【0013】
本発明は、このような従来のドア装置が直面している状況に鑑みてなされたもので、ドア機能として本来的に求められている良好な仕切り性、開閉操作の容易化、開閉に要するドアスペースのコンパクト化、装置全体のコンパクト化に加え、建付け工事や保守点検が容易であり、バリアフリー化して使い勝手にも優れたスライド・スイング式ドア装置を提供することを、その目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるため、本発明のスライド・スイング式ドアは、開口部を形成する枠体に、当該開口部の幅方向にスライドしながら且つその前後方向にスイングして開閉するようにドアパネルを設けたドアであり、前記枠体の一方の縦枠に沿って固設された支柱と、この支柱の内部にその長手方向に沿って配置された軸体と、前記支柱の内部にて前記軸体をその軸周りに回動自在に支持する支持手段と、この回転軸体の上下端夫々に一端が固着され且つ夫々の他端が前記ドアパネルの上端面及び下端面の所定位置に回動自在に支持された上部回転アーム及び下部回転アームと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
好適には、前記支持手段は複数個の軸受手段から成り、各軸受手段は、前記支柱の内部に固設された軸受器と、前記軸体を回動可能に挿入させ且つ前記軸受器に着脱自在に結合した軸受とから成る。
【0016】
この構成において、例えば、前記軸受は鍔付き軸受から成り、この鍔付き軸受が前記軸受器の貫通孔にその軸方向の一方から挿入されて前記鍔が当該軸受器に係止するように構成される。また、前記複数個の軸受手段を、このドアの建付け時における前記軸体の上方に至るほど取付け間隔を狭く設けることが望ましい。また、前記支柱の前記ドアパネルに対向する側面にはその長手方向全域に渡ってスリットを形成し、このスリットの両側の所定位置に、前記軸体を当該支柱から取り外し又は前記軸体を当該支柱に収納するときに前記上部回転アーム、下部回転アーム、及び軸受を通過させる切欠きを所定数、穿設して成る軸体着脱手段を有していてもよい。
【0017】
上述した各構成のスライド・スイング式ドアにおいて、前記枠体の上枠と前記ドアパネルおよび支柱との間に前記開口部の幅方向に沿って設けた吊りレールと、前記ドアパネルを前記吊りレールに沿ってスライド自在に吊持する吊り車とを備えることもできる。
【0018】
さらに、前記軸体の剛性を高める剛性補強手段を設けることができる。また、前記上部回転アームと前記ドアパネルとの間に、ドア閉時に一定のマグネット力で当該上部回転アームと前記ドアパネルとを相互に結合する鍵手段を設けることもできる。
【0019】
一方、本発明に係るドア用支持装置は、ドアパネルを建て付ける枠体の縦枠に沿って固設された支柱と、この支柱の内部にその長手方向に沿って配置され且つ上下端それぞれに前記ドアパネルを支持するアームが固設される軸体と、前記支柱の内部にて前記軸体をその軸周りに回動自在に支持する支持手段と、を備えたことを特徴とする。このドア用支持装置において、好適には、前記支持手段は複数個の軸受手段から成り、各軸受手段は、前記支柱の内部に固設された軸受器と、前記軸体を回動に挿入させ且つ前記軸受器に着脱自在に結合した軸受とから成る、ことである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0021】
本発明に係る一つの実施形態を図1〜図14に基づき説明する。
【0022】
この実施形態にかかるドアは、1枚のドアパネルを使用し、このドアパネル(ドア体、戸体、扉体などとも呼ばれる)を並行してスライド動作及びスイング動作させるスライド・スイング方式(手動方式)を採用している。なお、以下の説明において、ドアパネルを建て付ける開口部の横幅方向を単に「幅方向」と、開口部の縦(上下)方向を単に「縦方向」と、開口部の開口面に直交する方向を単に「前後方向」と称し、それぞれ、図1に表したX,Y,Z軸の方向に対応させる。
【0023】
図1に示すように、3方枠体11および床面12により部屋の出入り口を成す開口部OPが画成される。3方枠体11は、上枠11uと、その両側の縦枠11s,11sとが一体に形成されて成る。3方枠体11の内側に、本実施形態に係るスライド・スイング式ドアが建て付けられる。
【0024】
このスライド・スイング式ドアは、ドアパネル13と、このドアパネル13をスライド・スイング可能に支持するドアパネル支持体とを備える。このドアパネル支持体は、吊りレール14、支持装置15、下部ピボット16、6輪吊り車17、上部回転アーム18、および下部回転アーム19を含む。ドアパネル13には、その室外側および室内側に、ドアノブ20a,20bを備える。また、このドアには、美観上及び封止性の向上の観点から、一方の縦枠11sに沿って隙間用化粧柱22が設けられるとともに、ドアパネル13及び支持装置15と上枠11uとの間には外カバー24及び内カバー25(図4、5参照)が取り付けられている。
【0025】
3方枠体11の上枠11uは、図1に示すように、その幅方向の2/3以上の所定領域が一部切除され、この切除部分に吊りレール14が埋め込まれている。
【0026】
ドア閉時におけるドアパネル13と支持装置15の間に在る縦方向の僅かな隙間は、後述する如く、美観及び封止のための機構を成す、化粧蓋26、パネル化粧カバー27、指詰め防止を兼ねた仕切り用ゴム材28,29により塞がれる(図11参照)。
【0027】
ドアパネル13及び支持装置15は、それらの全体として、ドア閉時には所定厚さを有する板状体を成して、ドア閉時には外観上、極力、一体的に見えるようになっている。ドアパネル13及び支持装置15の全体のサイズは、開口部OPの矩形形状に適宜なマージンで収まるように形成されている。
【0028】
この内、ドアパネル13は開口部OPを開閉する開閉体を成すもので、その幅方向の長さは開閉に十分なサイズに設定されている。ドアパネル13は、アルミニウム材、ステンレス鋼などの金属材のほか、木材、樹脂、ガラスなど、適宜な材質の部材で形成される。勿論、ドアパネル13の中央にガラス面を入れることもできる。
【0029】
支持装置15は、上部回転アーム18及び下部回転アーム19によりドアパネル13をスイング可能に支持する機能を担うもので、その幅方向のサイズは短く(例えば25mm)形成されている。この支持装置15の支柱部分は、以下に説明するように、外観上、常に静止したままであり、ドアパネル13を開閉させても、これ自体が回転することはない。
【0030】
この支持装置15は、図6〜10に示す如く、金属材料(例えば、ステンレス鋼など)で成る支柱31と、この支柱31の内側のスペースにその長手方向に沿って配置された軸体としての棒状で金属製(例えばステンレス鋼など)の回転軸32と、この回転軸32を支柱31の内側で回動自在に支持する軸受手段としての、それぞれ複数個(例えば4個程度)の軸受33及び軸受器34とを有する。
【0031】
なお、回転軸32は、支柱31の断面方向における中心位置に配置されている。また、ドアパネル13及び支柱31(回転軸32)は、吊りレール14の真下の位置、すなわち上部回転アーム18の真下の位置にそれらレール及びアームと前後方向の中心位置を合わせて配置される。
【0032】
支柱31は、床面12からドアパネル13よりも高い所定位置まで到達する長さを有し、且つ、前後方向の厚さ(建付け時の奥行き:例えば25mm)はドアパネル13のそれと同じ又は略同等に形成されている。なお、支柱31の表面塗装、仕上げ色、模様、面材なども、ドアパネル13のそれと調和させることが望ましい。
【0033】
この支柱31は、その横方向断面が略コ字状を成すように形成される。つまり、支柱31の一方の側面にはその長手方向全域に渡って略矩形状のスリットSLが穿設され、これにより、その一方の側面が開放している(図7,9,10参照)。このため、このスリットSLを介して螺子止めなどの作業を行うことにより、支柱31が図1に示す如く、一方の縦枠11sに沿って隙間無く固設される。
【0034】
このスリットSLには更に種々の切欠き(切除部)が穿設されている。具体的には、例えば図7,10に示す如く、上から、ドア閉位置で上部回転アーム18を収めるため及びその着脱用ための切欠きNC1、ドア開時に上部回転アーム18の回転を許容するための切欠きNC2、前述した複数個の軸受33を着脱させるための複数個の切欠きNC3、下部回転アーム19を着脱させるための切欠きNC4、ドア閉位置で下部回転アーム19を収めるための切欠きNC5、及びドア開時に下部回転アーム19の回転を許容するための切欠きNC6を有する。
【0035】
また、この支柱31の内部には、図6,7に示す如く、複数個(例えば4個程度)の軸受器34、…、34が支柱21に固定・設置されている。この設置位置は、ドアパネル13の荷重支持を考慮して、支柱31の上方に行くほど、設置間隔が狭くなるように設定されている。
【0036】
各軸受器34は、図6〜8に示す如く、金属部材(例えば耐磨耗性の高い燒結合金)を所定厚さで略直方体状に成形して成る軸受器本体34Aと、この軸受器本体34Aの端部から延設された取付け部34Bとから成る。軸受器34は、この取付け部34Bを介して螺子止めにより支柱31の内壁に固設される。軸受器本体34Aには、軸受用の貫通孔HL1が穿設されるとともに、この貫通孔HL1が本体横方向に開口するように本体34の一部が切除されている。この貫通孔HL1の径は、後述する軸受33の本体が着脱自在に嵌合できる値になっている。
【0037】
各軸受33は、例えば図8に示す如く、軸受本体33Aと、この本体33Aの上端から横に延びる鍔33Bとを有する、金属製(例えば耐磨耗性の高い燒結合金)の鍔付きのリング体で成る。この軸受本体33Aの中心位置には、その軸方向に沿って貫通孔HL2が穿設されている(図7参照)。この貫通孔HL2の径は、軸体としての回転軸32が回動自在に挿入できる値になっている。
【0038】
このため、ドア建付け時又はその保守点検時には、複数個の軸受32に軸受33を通し、それらの軸受32をそれぞれ対応する軸受器33に落とし込むことで、回転軸32が軸受器34を介して支柱31の内側で回動可能に支持される。
【0039】
回転軸32の上端部には、図6に示す如く、回転軸32に対して真横方向に延びるように、上部回転アーム18の一端が固設されている。これにより、回転軸32が回動すると、この回動に応じて上部回転アーム18も水平面内で回動できる(図6、矢印a,b参照)。この上部回転アーム18は例えばステンレス鋼、アルミニウム材などの金属製の部材から成り、且つドアパネル13の略半分の吊り荷重を支えるため、比較的肉厚に形成されている。
【0040】
同様に、回転軸32の下端部には、図6に示す如く、回転軸32に対して真横方向に延びるように、下部回転アーム19の一端が固設されている。これにより、回転軸32が回動すると、この回動に応じて下部回転アーム19も水平面内で回動できる(図6、矢印a,c参照)。なお、下部回転アーム19は、ドアパネル13の振れ止めに対する安定した回動軌道の確保が主要な機能であるので、これに耐え得る肉厚があれば十分で、ドアパネル13と床面12との間の隙間を狭小化させるため、許容範囲内でできるだけ肉薄に形成されている。
【0041】
回転軸32の最下端には、この回転軸32をピボット構造で回転可能に軸支するためのピボット軸16Aが取り付けられている。
【0042】
回転軸32は、所望の金属部材を所定太さに形成して成り、これにより、上部回転アーム18を介してドアパネル13の略半分の吊り荷重を支えるに十分な剛性が確保されている。
【0043】
支柱31及び回転軸32の材質は、ドアパネル13を支持するに十分な剛性を得るため、ここでは金属部材で形成しているが、必ずしもこれに限定されない。支柱31、回転軸32、及び上部回転アーム18がドアパネル13からの吊り荷重に対して堅牢な構造であることが重要で、反りや歪みに耐えように設計される。かかる剛性を得ることができれば材質は問わない。なお、本実施形態では、ドアパネル13の吊り荷重は上部回転アーム18(即ち、支柱31及び回転軸32)及び6輪吊り車17により支持する2点支持構造になっている。
【0044】
図1において、左端部の床面12上に下部ピボット16が埋設されている。この下部ピボット16には、前述した回転軸32の下端のピボット軸16Aが軸受される。
【0045】
前述した如く、回転軸32と上部回転アーム18及び下部回転アーム19とは溶接又はボルト等で固定した一体構造になっている。このため、下部ピボット16を支点とし且つ回転軸32を回転中心とした回転運動が両アーム18、19を介してドアパネル13と回転軸32との間で同時に伝達される。
【0046】
この結果、回転軸32がその軸中心の周りにスイングすると、これと一体に上部回転アーム18及び下部回転アーム19もスイングする。
【0047】
ところで、上述した支柱31と回転軸32によれば、図10に示す如く、支柱31から回転軸32を自在に脱着することができる。このため、建付け時や保守点検時には非常に便利であり、作業効率は格段に向上するとともに、部品の部分的な交換も容易になる。
【0048】
具体的に説明すると、建付け時又は保守点検時の取付け時には、支柱31のスリットSLを介して螺子止めなどの作業を行うことにより、支柱31を単独で縦枠11sに固設することができる。次いで、複数個の軸受器34を支柱31の上方から落し込んで(又は、切欠きNC3から入れて)、それらの所定位置に下から順に取り付ける。次いで、軸受33を取付け且つ上部及び下部回転アーム18,19を予め固設した回転軸32の全体を、スリットSL及び切欠きNC1、NC3〜NC5を介して、支柱31の内側スペースに入れ、そのまま少し落し込む。これにより、複数個の軸受33がそれぞれの軸受器34に回動自在に収まって軸受される。この軸受位置は、回転軸32の支柱31内での所定位置になるので、その位置で回転軸32は回動自在になる。この回動に伴って上部回転アーム18及び下部回転アーム19は、切欠きNC2及びNC6を使ってスイング動作が可能になる。
【0049】
また、保守点検時の取り外し時には、上述と反対の作業によって、回転軸32を支柱31から自在に離脱させることができる。
【0050】
このような自在な脱着機構によって、ドア建付け時及び保守点検時の作業が多いに容易化及び省力化される。
【0051】
上部回転アーム18は、前述した如く、その一方の端部が回転軸32に固設される一方で、もう一方の端部が軸18aに回動可能に連結されている。つまり、この軸18aの一端がアーム端部に回動可能に垂設され、この軸18aの他端がドアパネル13の上端面の所定位置に固設されている。この上部回転アーム18の両端の軸(32,18a)間の長さは、本実施形態では、支柱31及びドアパネル13を合わせたドア幅の略1/3に設定されている。
【0052】
一方、下部回転アーム19は、前述したように、その一端が回転軸32に固設される一方で、他端が下部回転軸19aに連結されている(図1、9参照)。つまり、下部回転軸19aがアーム端部に上向きに垂設され、この回転軸19aがドアパネル下端の切除部13cの下面に埋設させた取付け板13dの孔に回動自在に係止されている。
【0053】
切除部13cは、図1に示すように、ドアパネル13の支柱側であって室外側の端部が所定長さにわたって板状に切除されたスペースである。ドア閉時には、この切除部13cに下部回転アーム19が収まる。切除部13cの切り込み深さ(隙間)は約10mm程度に抑えられ、美観に影響しないように配慮されている。この切除部13cは室内側からはブラインドになる。つまり、室内側からみると、ドアパネル13の下端面は一直線に伸びた体裁のよい構造を成し、且つ、床面12とドアパネル13との間の隙間Δdは極めて小さく、数mm程度(例えば2、3mm)の値に設定されている。このため、床面12との間の仕切り性が極めて良くなる。床面12には勿論、ガイドレールのような溝体を敷設する必要は無い。
【0054】
このように、ドアパネル13及び回転軸32は、この回転軸32と一体に回転する上部回転アーム18及び下部回転アーム19を介して相互に連結される。
【0055】
さらに、6輪吊り車17は図1、5に示す如く吊りレール14内に収容され、その長手方向に沿って自在に移動できるうに配設されている。この6輪吊り車17からは回動自在な車軸17aが垂下されている。この車軸17aはドアパネル13の上端面の所定位置に固設されている。この固設位置も、支柱31とは反対側の側端部からみて、支柱31及びドアパネル13を合わせたドア幅の略1/3に設定されている。この6輪吊り車17は、少なくとも、ドアパネル13の約半分の吊り荷重を支持できる強度を有している。ドアパネル13の幅方向の移動に伴って、6輪吊り車17も吊りレール14内を摺動して移動し、ドアパネル13のスライド動作を許容するとともに、車軸17aの回転がドアパネルパネル13のスイング動作を許容する。
【0056】
このため、ドアパネル13をスライドさせると、その動きは上部回転アーム18及び下部回転アーム19及び吊り車17を介してスライドしながらスイングする動作に変換される。このとき、上述した2点支持構造におけるドアパネル13の幅方向の1/3ずつの支点配置により、ドア開閉時に必要な力を必要最小限に止めることができる。
【0057】
さらに、図2、4および5に示す如く、ドアパネル13及び支柱31と上枠11uとの間に設けたカバー機構は、外カバー24および内カバー25により覆われており、その内部は殆ど見えないようにしてある。外カバー24は上枠11uに固設されている。内カバー25は、外カバー24よりも厚めの板材で形成されており、ドア開閉時に上部回転アーム18が約1/4周分回転するので、その長手方向の所定位置から分割された構成になっている。この内、一方の支柱側の分割カバー25aは上部回転アーム18に固設され、もう一方の分割カバー25bは上枠11uに固設されている。分割カバー25a,25b同士はテーパ面を所定距離だけ離間させて対向させている(図2参照)。このテーパ面はカバーの横方向から隙間を見せないようにして美観を向上させるとともに、封止性を上げている。
【0058】
ドアパネル13の支柱31とは反対側の側端部の位置には、室外側、室内側のノブ20a、20b(図2、3参照)が取り付けられる。
【0059】
さらに、支柱31とドアパネル13とが相互に対向する両面には、図11に示す如く、美観及び仕切り性を高め且つ指詰め防止を配慮した機構が設けられている。つまり、支柱31のスリットSLには、上部回転アーム18及び下部回転アーム19の部分を除いて化粧蓋26を着脱可能に被せ、この化粧蓋26の表面に断面鍵形のゴムビート28を貼り付けてある。一方、ドアパネル13の支柱側の側面には縦枠27が取り付けられ、この縦枠27の表面に別の断面鍵形のゴムビート29を貼り付けてある。2つのゴムビート28,29の凸部は、ドア閉時には、相手方に当接し、これにより仕切り性が確保される。なお、縦枠27のパネル側背面には、一例として、2本の突起条27aが一体に成形されている。この突起条27aにより、ドアパネル13の反りなどの変形防止機能が向上する。この突起条27aは、特に、木製のドアパネル13のときに、その反り止めに有効である。
【0060】
以上のスイング・スライド式ドアにおいて、ドアを開くときには取っ手20a又は20bを手動で引いて又は押せばよい。これにより、図14に示す如く、ドアパネル32が支柱31側にスライドしながら、かつ前後方向にスイングしてドア開状態となる(同図の仮想線I参照)。反対に、ドアを閉めるときには、同図の仮想線IIに示す経路でドア閉状態になる。
【0061】
このように開閉するときのドアパネル13の移動に伴う占有スペースは、通常のスイングドアに比べて小さくて済む。したがって、車椅子の利用者などにとっても容易に開閉操作できる。
【0062】
また、この開閉に伴い、ドアパネル13をスライド・スイングさせる上部の機構は化粧用の外カバー24、内カバー25によりその殆どを隠しているので(ドア開時の回転吊りアーム部分を除いて)、美観に影響を与えない。
【0063】
また、床面に敷設される従来みられたガイドレールが、本実施形態では不要になるので、美観上も好ましいのみならず、昨今のバリアフリーの要請にも的確に応えることができる。とくに、車椅子の利用者にとっては、通過し易いドアになる。一方、ガイドレールに溜まる埃や塵の掃除の手間が不要になるなど、保守面でも優れた効果が得られる。
【0064】
さらに、支柱31とドアパネル13は「外観の一体化」によりドア閉時には殆ど一体に見えて、美観上、優れたドアになる。従来のように、ドアパネルを保持する支柱を袖壁で隠蔽するなどして美観を保つ必要が無いので、ドア据え付け工事が簡単になり、その分、工事コストの低減も図ることが可能になる。
【0065】
さらに、支柱31の縦枠11sに対する簡素で容易な取付け機構、及び回転軸32の支柱31に対する容易な着脱機構によって、ドア建付け作業及び保守点検作業が著しく効率化且つ省力化される。
【0066】
さらにまた、回転軸32を収める支柱31が非常にコンパクトに形成されるので(例えば、横方向に25mm程度)、ドアを全開にしたときに占めるデッドスペースΔS(図14参照)は非常に小さくなる。つまり、通行のための大きなスペースを確保することができ、車椅子なども通行し易くなる。
【0067】
さらにまた、ドア開閉の際に移動するのは、ドアパネル13だけである。従来のスライド・スイング式ドアの一態様に見られたように、回転軸部分も一緒にスイングするということは無い。これに対して、本実施形態のドアの場合、縦枠11sと支柱31との間には指詰めの余地は無い。つまり、ドア構造自体によって、指詰めの恐れがある箇所が少なくなっている。残された支柱31とドアパネル13との間にも前述したようにゴムビート28,29が介在するので、良好な仕切り性と併せて、指詰め防止機能が発揮される。
【0068】
さらに、回転軸32を支柱31の内側に収めているので、ドア開閉に伴って軸受器などの回転機構部分から僅かに発生する騒音に対する遮音性にも優れている。
【0069】
さらに、ドアパネル13と支柱31はその全体形状及び外観を一体化させている。加えて、表面色などの仕上げも調和させている。従って、ドア閉時にはドアパネル13と支柱31は殆ど1枚のドア体のように見える。従来のように支柱部分を隠蔽するなどの造作をする必要もなく、美観上優れたスライド・スイング式ドアを提供でき、昨今のニーズに応えることもできる。
【0070】
さらに、支柱31(回転軸32)及び上部、下部回転アーム18,19は一体化されて略コ字状の蝶番を形成し、且つ、この蝶番のスイング中心軸(回転支軸)の位置はドアの前後方向の中心位置(ドアパネ13ルの閉時の中心位置)に一致させた、いわゆるオフセットレス構造を採用している。このため、スイング中心軸をドアの前後方向の中心軸からいずれか一方にずらして設ける、いわゆるオフセット構造のドア装置に比べて、前後方向にコンパクトな構造になっている。
【0071】
(変形例)
上述した実施形態の種々の変形例をさらに説明する。なお、これらの変形例において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素には同一符号を用いて、その説明を省略又は簡略化する。
【0072】
第1〜第3の変形例は、支柱31(即ち回転軸32)の建付け位置と、この支柱31とドアパネル13との間の仕切り機構に関する。
【0073】
(第1の変形例)
第1の変形例を図15に示す。同図に示す如く、支柱31はその全体を縦枠11sに埋め込んで建て付け、この支柱31のスリット(即ち、ドアパネル側側面)を化粧蓋26Aで塞いでいる。このように支柱31を縦枠11sに完全に埋設することで、ドア全開時のデッドスペースΔS(図14参照)を更に減少させることができる。なお、支柱31とドアパネル13との間の仕切りは化粧蓋26Aが兼ねている。
【0074】
(第2の変形例)
第2の変形例を図16に示す。同図に示す如く、支柱31はその略半分を縦枠11sに埋め込んで建て付け、この支柱31のスリット(即ち、ドアパネル側側面)を化粧蓋26Bで塞いでいる。この化粧蓋26Bには更に、ゴムビート28Aを取り付けている。このように支柱31を縦枠11sに半埋設することで、ドア全開時のデッドスペースΔS(図14参照)を小さい値に保持することができる。支柱31とドアパネル13との間の仕切りはゴムビート28Aが担っている。なお、仕切り性を更に上げるために、戸当たり11tを設けることもできる。
【0075】
(第3の変形例)
第3の変形例を図17に示す。同図に示す如く、支柱31はその略半分を縦枠11sに埋め込んで建て付け、この支柱31のスリット側(即ち、ドアパネル側側面)に木製化粧枠26Cを設け、化粧面と仕切り面との性能を確保している。このように支柱31を縦枠11sに半埋設することで、ドア全開時のデッドスペースΔS(図14参照)を小さい値に保持することができる。木製化粧枠26Cはまた、戸当たりを兼ねる凸部26Caを有しており、仕切り性が確保されている。この木製化粧枠26Cには、ドアパネル13と枠体11との間を施錠するための鍵を容易に取り付けることができる。
【0076】
なお、上述した第1〜第3の変形例に係る化粧蓋、化粧枠、及びゴムビートには、更に高い仕切り性確保のため、隙間封止材(ゴム、モヘヤなど)を取り付けてもよい。
【0077】
(第4の変形例)
第4の変形例は、本発明のスライド・スイング式ドアを上枠の無い開口部OPに適用した例に関する。つまり、ドアを建て付ける開口部OPは、前述した3方枠では無く、図18に示す如く、縦枠11sが両側に在るだけの枠体で画成されている。このような構造体は例えば幼稚園の子供用トイレや病院などの簡易な仕切り壁に多く見られる。
【0078】
このスライド・スイング式ドアのドアパネル13は、図18に示す如く、支柱31内の回転軸32の上下端に固設された上部回転アーム18及び下部回転アーム19によってのみスイング可能に支持される。
【0079】
加えて、好ましくは、ドアパネル13の下側支柱寄りの切除部13cには、固定軸51を介してガイドローラ52が取り付けられる。このガイドローラ52は、床面12上に前後方向の所定長さに渡って敷設された床面レール53内で前後方向に案内される。下部回転アーム19は、図19に模式的に示す如く、固定軸51を避けるように迂回した形状に形成されている。
【0080】
これにより、床面レベル53が敷設されるものの、ドアパネル13は前述した実施形態のものと同様にスライドしながらスイングし、ドア開閉がなされる。これにより、上枠を必要としない簡易な構造を有し、幼稚園や保育所の子供用トイレなどに好適なスライド・スイング式ドアを提供できる。
【0081】
なお、ドアパネル13は開閉する部分の高さに応じて適宜に形成すればよく、そのときの軸受及び軸受器から成る軸受手段の設置数は、例えば上下の2箇所にするなど、ドアパネル13のサイズに応じて変更すればよい。また、戸当たりやゴムビートなど、仕切り性確保のための部材は、開閉用途に応じて適宜に用いればよい。
【0082】
(第5の変形例)
第5の変形例は、上述した第4の変形例に係る簡易はスライド・スイング式ドアをパーティション(又は仕切体、壁体)に容易に取り付けることができる例を示す。
【0083】
このスライド・スイング式ドアは、図20に示す如く、前述した枠体としての縦枠の代わりに、板状のパーティション60に直接、取付け可能な支柱61を備える。
【0084】
この支柱61は金属部材で成り、2つの断面略コ字状の支柱体61A,61Bを互いに背中合せにして一体成形される。この内、一方の支柱体61Aは今まで説明してきた支柱31と同一の機能を有する。これに対し、もう一方の支柱体61Bは断面形状が鍵形の固定片61Baと、この固定片61Ba内の隙間に位置変更可能に一部収容された可動片61Bbとを有する。このため、可動片61Bbの位置を矢印nの如く動かして調整しながら、支柱体61Bをパーティション60に嵌め込み、螺子などで固定することができる。なお、図20において、符号62、63は化粧枠を夫々示し、符号64,65は仕切り性向上及び指詰め防止のためのゴムビートを夫々示す。
【0085】
これにより、パーティション60の厚さが変動しても、可動片61Bbの位置調整により、その変動を吸収できる。このように汎用性を持たせた支柱61により、スライド・スイング式ドアの建付け作業の能率が大幅にアップするとともに、支柱部品の共通化により製造コストのダウンも可能になる。
【0086】
(第6の変形例)
第6の変形例を図21,22を用いて説明する。この変形例は、上述した回転軸32の剛性に対する補強に関する。
【0087】
ドアパネル13の種類によっては、回転軸32の軸方向の長さを長く形成する必要がある。回転軸32が長くなると、上部回転アーム18及び下部回転アーム19から掛かる荷重や運動負荷に因って、回転軸32に捩れや曲げの力が加わる。このような外力の印加状態に因っては、回転軸32に実際に捩れや曲がりが発生することもある。
【0088】
そこで、この捩れや曲がりを未然に防止するため、図21に示す如く、回転軸32の周囲に内接するサイズを有し且つ断面多角形状で金属製の角パイプ71をその軸方向に沿ってスポット溶接Sにて取り付けている(図22参照)。角パイプ71は、回転軸32のほぼ全域に渡って取り付けられているが、軸受器33/軸受器本体34の取付け箇所及びその近傍の所定範囲を除くように複数本の角パイプ片71A〜71Cに分割されて取り付けられている。
【0089】
これにより、回転軸32に掛かる捩れ力や曲がり力に対する剛性が大きくなり、ドアパネル13の縦方向サイズが大きい場合であっても、回転軸32の捩れや曲がりを未然に防止できる。従って、ドアパネル13はスムーズに開閉できる。
【0090】
この角パイプ71を併用した回転軸構造とすることで、軸受器33及び軸受器本体34から成る軸受セットを2箇又は3箇程度の少ない個数の抑えることができる。これにより、開閉に伴って僅かに発生する騒音が更に低くなり、支柱31による遮音性と相俟って静音性に優れるとともに、回転軸32の支柱31からの脱着作業も更に容易化される。
【0091】
(第7の変形例)
第7の変形例を図23,24を用いて説明する。この変形例は、閉時におけるドアパネル13の安定性確保に関する。
【0092】
本発明に係るスライド・スイング式ドアの場合、ドアパネル13は2点支持構造であるため、ドア閉時における安定性を十分に確保する必要がある。これには、ドアパネル13の左右2箇所の所定位置に個別に鍵を設置するか、又は、その2箇所の鍵を何れか1箇所で開鍵及び施錠できる、例えば特願平11−152848号で提案されている、所謂、双頭の鍵(マグネット錠)を設置する。
【0093】
しかしながら、この双頭の鍵の場合、ドアパネルの中央部に左右の鍵部を連結するシャフトを通す構造であるため、中央にガラス面を嵌め込む構造のドアパネルの場合など、シャフトを通すことができない又は難しい場合がある。
【0094】
本変形例はそのように双頭の鍵を設置できない構造のドアパネルの場合であっても、閉時におけるドアパネルの安定性を十分に確保することを目的としている。
【0095】
具体的には、図23,24に示す如く、上部回転アーム18のドア開時にスイングしていく方向に向いた側面に、磁石取付け具72を介して磁石73を取り付けている。磁石取付け具72は、そのつまみ72aを操作することで、収容している磁石73の位置をアーム長手方向に所定範囲で移動・固定可能になっている(矢印p参照)。
【0096】
これに対応して、ドアパネル13の上端面のドア開方向寄りの端部に、側面L字状の化粧内カバー74を図示の如く固設している。つまり、化粧内カバー74の一片をドアパネル13の上端面に取り付けることで、他方の片を立設させている。この化粧内カバー74は、本変形例ではドアパネル13の幅方向のほぼ全域にわたる長さの一体形式になっている。この立設されたカバー片の内側には、所定長さで例えば鉄製の磁石吸受板75が固設されている。この磁石吸受板75の固設位置は、ドア閉時に磁石73に対向し当接可能な位置であり、その横方向の長さは磁石73の可動範囲をカバーするように成形されている。
【0097】
このため、ドア開の状態からドア閉へのドア操作に伴って、上部回転アーム18(及び下部回転アーム19)とドアパネル13の化粧内カバー74が徐々に接近する。そして、ドア全閉時には、磁石73と磁石吸受板75が一定の磁力で結合するので、マグネット鍵として機能する。反対に、かかる一定磁力以上の力を加えてドア開の操作を行うと、磁石73と磁石吸受板75の結合は解除され、そのままドアパネル13をドア開の位置まで容易にスライド及びスイングさせることができる。
【0098】
磁石73の位置は容易に変更できるので、てこの原理を利用したマグネット力の調整が可能になる。磁石73を回転吊り支軸18a側に移動させると、マグネット力を弱く設定でき、反対に移動させると、マグネット力を強くすることができる。このマグネット力を適宜な値に設定しておくことで、磁石75とは反対側に一箇所設ける鍵と協働して、ドア閉時におけるドアパネル13の安定性を十分に確保できる。
【0099】
これにより、風圧や衝撃でドアが簡単に開いてしまうことも無く、仕切り性も高まる。このため、通常のドアの鍵は、磁石75とは反対側に一箇所設けるだけで十分であり、所謂、双頭の鍵を使用できないドアパネルであっても、ドア閉時におけるドアパネルの高い安定性を確保することができる。
【0100】
なお、化粧内カバー74はドアパネル13と美観的に統一した外観を持たせることが望ましい。
【0101】
また、本変形例では、化粧内カバー74と磁石吸受板75とを別体で成形しているが、一体成形してもよいし、化粧内カバー74が磁石吸受板の機能を兼ねるようにしてもよい。
【0102】
なお、上述の実施形態及び変形例に係るスライド・スイング式ドアは手動ドアであるとして説明してきたが、ドア開閉動作を自動化した自動ドアとしても実施できる。この場合には、一例として、上枠又はそれに相当する位置に、入退室センサからの信号に応答して駆動する電気モータなどの回転駆動源を設け、この駆動源の回転を回転軸に伝達させることでドアパネルを自動的に開閉させることができる。
【0103】
さらに、本発明は前述した実施形態のものに限定されることなく、請求項記載の発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜に更に変形可能である。例えば、上述してきた実施形態及びその変形例において、枠体に対する支柱とドアパネルの幅方向の位置を交換して、室内側及び室外側に対するドア開閉の向きを上述したものと反対にしてもよい。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドアに本来的に求められている良好な仕切り性(密閉性、遮音性)、開閉時の省スペース化、装置全体としてのコンパクト化の確保に加え、立て付け工事や保守点検が容易で、美観的にも優れ、かつバリアフリーなどの使い勝手の面からも優れた効果を発揮でき、高福祉化社会のニーズにマッチした汎用性の高いスライド・スイング式ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド・スイング式ドアの概略構成を示す正面図。
【図2】図1におけるII−II線に沿った概略断面図。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った概略断面図。
【図4】図1におけるIV−IV線に沿った概略断面図。
【図5】図1におけるV−V線に沿った概略断面図。
【図6】支柱内の回転軸の装着状況を説明する斜視図。
【図7】回転軸を支柱内に収めた状態をドアパネル側から見た、一部破断した側面図。
【図8】回転軸に装着する軸受とその軸受を支持する軸受器とを示す斜視図。
【図9】図7におけるA−A線、B−B線、C−C線に沿った概略断面図。
【図10】支柱に軸受器及び回転軸を着脱自在に収める様子を説明する図。
【図11】支柱とドアパネルとの間の化粧性確保及び仕切りのための封止機構を示す平面図。
【図12】図1におけるD−D線に沿った概略断面図。
【図13】図1におけるE−E線に沿った概略断面図。
【図14】ドアパネルの開閉動作(スライド及びスイング)の軌跡を示す図。
【図15】支柱とドアパネルとの間の封止機構に係る別の例を示す平面図。
【図16】支柱とドアパネルとの間の封止機構に係る更に別の例を示す平面図。
【図17】支柱とドアパネルとの間の封止機構に係る更に別の例を示す平面図。
【図18】本発明に係るスライド・スイング式ドアの別の例を概略的に示す正面図。
【図19】図18におけるF−F線に沿った概略を示す断面図。
【図20】支柱の別の例を示す平面図。
【図21】捩れ等の防止対策を施した回転軸の別の例を示す概略斜視図。
【図22】図21中のG−G線に沿った概略断面図。
【図23】磁石を用いた鍵構造の例を示す概略斜視図。
【図24】図23の鍵構造を、図4と同一の観察方向からみた概略断面図。
【符号の説明】
11 3方枠体
11u 上枠
11s 縦枠
12 床面
13 ドアパネル
14 吊りレール
15 支持装置
16 下部ピボット
16A ピボット軸
17 6輪吊り車
18 上部回転アーム
19 下部回転アーム
31 支柱
32 回転軸(軸体)
33 鍔付き軸受(軸受手段/支持手段)
34 軸受器(軸受手段/支持手段)
61 支柱
SL スリット
NC1〜NC6 切欠き
Claims (10)
- 開口部を形成する枠体に、当該開口部の幅方向にスライドしながら且つその前後方向にスイングして開閉するようにドアパネルを設けたスライド・スイング式ドアにおいて、
前記枠体の一方の縦枠に沿って固設された支柱と、
この支柱の内部にその長手方向に沿って配置された軸体と、
前記支柱の内部にて前記軸体をその軸周りに回動自在に支持する支持手段と、
この回転軸体の上下端夫々に一端が固着され且つ夫々の他端が前記ドアパネルの上端面及び下端面の所定位置に回動自在に支持された上部回転アーム及び下部回転アームと、を備えたことを特徴とするスライド・スイング式ドア。 - 請求項1に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記支持手段は複数個の軸受手段から成り、
各軸受手段は、前記支柱の内部に固設された軸受器と、前記軸体を回動可能に挿入させ且つ前記軸受器に着脱自在に結合した軸受とから成るスライド・スイング式ドア。 - 請求項2に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記軸受は鍔付き軸受から成り、この鍔付き軸受が前記軸受器の貫通孔にその軸方向の一方から挿入されて前記鍔が当該軸受器に係止するように構成したスライド・スイング式ドア。 - 請求項2に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記複数個の軸受手段を、このドアの建付け時における前記軸体の上方に至るほど取り付け間隔を狭く設けたスライド・スイング式ドア。 - 請求項2に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記支柱の前記ドアパネルに対向する側面にはその長手方向全域に渡ってスリットを形成し、このスリットの両側の所定位置に、前記軸体を当該支柱から取り外し又は前記軸体を当該支柱に収納するときに前記上部回転アーム、下部回転アーム、及び軸受を通過させる切欠きを所定数、穿設して成る軸体着脱手段を有するスライド・スイング式ドア。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記枠体の上枠と前記ドアパネルおよび支柱との間に前記開口部の幅方向に沿って設けた吊りレールと、前記ドアパネルを前記吊りレールに沿ってスライド自在に吊持する吊り車とを備えたスライド・スイング式ドア。 - 請求項1乃至6の何れか一項に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記軸体の剛性を高める剛性補強手段を設けたスライド・スイング式ドア。 - 請求項1乃至6の何れか一項に記載のスライド・スイング式ドアにおいて、
前記上部回転アームと前記ドアパネルとの間に、ドア閉時に一定のマグネット力で当該上部回転アームと前記ドアパネルとを相互に結合する鍵手段を設けたスライド・スイング式ドア。 - ドアパネルを建て付ける枠体の縦枠に沿って固設された支柱と、
この支柱の内部にその長手方向に沿って配置され且つ上下端それぞれに前記ドアパネルを支持するアームが固設される軸体と、
前記支柱の内部にて前記軸体をその軸周りに回動自在に支持する支持手段と、を備えたことを特徴とするドア用支持装置。 - 請求項9に記載のドア用支持装置において、
前記支持手段は複数個の軸受手段から成り、
各軸受手段は、前記支柱の内部に固設された軸受器と、前記軸体を回動に挿入させ且つ前記軸受器に着脱自在に結合した軸受とから成るドア用支持装置。
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