JP3693059B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明は、ビデオカメラ等に用いられるレンズ鏡筒に関するものである。
一般にビデオカメラ用のレンズ鏡筒は、4つのレンズ群で構成されており、そのうちズームやフォーカスのための移動レンズ群を、ステッピングモータを用いて光軸方向に駆動している。しかしながらこのステッピングモータは、所定のパルス数に対応した角度だけ回転させることにより、所定位置に停止可能な構成となっているが、駆動制御方式がオープンループであるため、停止位置精度が悪く、ヒステリシス特性があると共に、回転数が比較的低い等の問題があった。よって、ズームやフォーカスのレンズ移動枠の送り機構の駆動源として、ステッピングモータが使用されている場合には、ズームやフォーカス速度が遅いことが課題である。
そこでこのフォーカスの応答性を高めるために、ボイス型のリニアアクチュエータを用いて、フォーカスレンズ群の位置変化に追随できる高速応答性と、低消費電力化に優れたリニアアクチュエータシステムが提案されている。
またズームの応答性を高めるためには、特許文献1に開示されているように、ステッピングモータの回転角を検出するセンサを取り付けることにより、制御方式をクローズドループ制御に改善し、高速回転駆動を可能とするエンコーダ付きステッピングモータシステムが提案されている。
そのシステムの位置検出センサとしては、位置検出精度をアップさせるため、磁気抵抗効果型センサ(以下、磁気センサと略す)を用いることが一般的である。しかし、高精度なリニアアクチュエータならびにエンコーダ付きステッピングモータシステムを実現するには、この磁気センサへ飛び込む外乱磁場の影響を抑える必要がある。
図10〜図13を用いて、従来のレンズ鏡筒について説明する。図10は、従来のレンズ鏡筒を前から見た概略斜視図、図11は従来のレンズ鏡筒を後ろから見た概略斜視図、図12はリニアアクチュエータのヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図、図13はエンコーダ付きステッピングモータへの漏れ磁束の流れを示す概念図である。
図10、図11に示すリニアアクチュエータ33においては、コイル40と一体となったフォーカスレンズ群30を光軸方向(X方向)に直線移動させることが可能であるが、光軸方向(X方向)に外乱磁場があると、磁気センサ41の正弦波状の磁界強度変化パターンの信号に外乱磁場が重畳することで、信号波形がオフセットするため、出力信号の波形が歪み、位置検出の誤差が増加する。さらに光軸に直交する方向(Z方向)では、磁気抵抗変化の感度が少ないものの、磁気抵抗変化率が減少し、MR素子の感度が落ちるという問題が発生する。そのため、リニアアクチュエータ33においては、X方向ならびにZ方向における外乱磁場の影響、特にメインマグネット35からの影響を受けないようにする必要がある。
そこでこの課題を解決するため、メインマグネット35およびヨーク36から構成される磁気回路38の磁気中心位置に磁気センサ41を配置することにより、漏れ磁束低減を図っている。
つまり図12(a)に示すように、磁気回路38は駆動方向(X方向)に略対称に構成されていることから、その対称中心に位置する磁気センサ41のX方向の漏れ磁束は微少な量となる。さらに図12(b)に示すように、磁気回路38を駆動方向から見て略左右対称に構成したことによって、その対称中心に位置する磁気センサ41のZ方向の漏れ磁束も微少な量となる。以上のように、磁気センサ41の配置位置を最適化することにより、磁気センサ41への漏れ磁束の飛び込み量を低減することができる。
同様に図10、図11に示すエンコーダ付きステッピングモータ47においては、ステッピングモータ48の回転に伴うリードスクリュー部49の回転によって、光軸方向(X方向)にズームレンズ群45を直線移動させることが可能であるが、エンコーダマグネット50の回転方向の接線方向(Z方向)と、磁気センサ51に流れる電流方向(X方向)の2方向について、外乱磁場の影響を抑える必要がある。そこでリニアアクチュエータ33とエンコーダ付きステッピングモータ47を搭載したレンズ鏡筒においては、特にリニアアクチュエータ33のメインマグネット35からの影響を受けないようにする必要がある。
そこでこの課題を解決するため、リニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置に磁気センサ51を配置することにより、漏れ磁束の低減を図っている。つまり図13(a)に示すように、磁気回路38は駆動方向から見て左右対称に構成されているので、その対称中心に位置する磁気センサ51でのZ方向の漏れ磁束は微小な量となる。同様に、磁気回路38はX方向にも略対称に構成されていることから、その対称中心に位置する磁気センサ51のX方向の漏れ磁束も微小な量となる。以上のように、磁気センサ51の配置位置を最適化することにより、漏れ磁束の低減を実現することができる。
特開平8−266093号公報
しかしながら、従来のレンズ鏡筒においては、次のような問題点があった。
(1)リニアアクチュエータを搭載したレンズ鏡筒においては、前述した位置に磁気センサを配置することにより、磁気センサへの外乱磁場の影響を低減することが可能となるが、昨今のレンズ鏡筒の小型化に伴い、レンズ鏡筒を構成する部品の間隔が狭くなってきている。したがって、磁気センサやメインマグネットなどの部品の配置について、より制約条件が多くなるため、前述した位置に磁気センサを配置することが困難となる。そのため磁気センサへの漏れ磁束が多くなり、アクチュエータの性能が劣化する。
またこの漏れ磁束対策としては、磁気シールド部品等を別途用いる方法があるが、磁気シールド部品を用いるとコストアップにつながり、さらにレンズ鏡筒の小型化を達成するためには、そのスペースがない。そのため、小型、軽量化を図るレンズ鏡筒では、リニアアクチュエータを搭載し、フォーカスレンズ駆動の高速応答性、低消費電力化を図ったシステムを実現できないという課題が発生する。
(2) 同様に、リニアアクチュエータとエンコーダ付きステッピングモータを搭載したレンズ鏡筒においても、レンズ鏡筒の小型、軽量化に伴い、前述した位置にエンコーダ付きステッピングモータの磁気センサを配置することが困難となり、磁気センサへの漏れ磁束が多くなることに伴い、アクチュエータの性能が劣化するという課題が発生する。
そこで、本発明は、リニアアクチュエータおよびエンコーダ付きステッピングモータを搭載したレンズ鏡筒において、小型、軽量化を図ったレンズ鏡筒を提供しようとするものである。
この課題を解決するために本発明のレンズ鏡筒は、駆動方向と垂直に磁化されたマグネットと、貫通穴を有するヨークと、前記マグネットと所定の空隙を有して前記マグネットの発生する磁束と直交するように電流を通電することにより駆動方向に可動自在なコイルと、前記コイルと一体で移動する磁気スケールと、前記磁気スケールの信号を検出する磁気センサからなる位置検出手段とにより構成されたリニアアクチュエータを備え、前記位置検出手段に対して、前記マグネット及びヨークとにより構成される前記リニアアクチュエータの磁気回路における略対称磁気中心が位置するように前記ヨークの貫通穴をそのヨークの中心位置からずれた位置に設けたことを特徴とするものである。
本発明のレンズ鏡筒によれば、磁気センサを用いたリニアアクチュエータを搭載してレンズ鏡筒を構成した場合、リニアアクチュエータのメインマグネットからの漏れ磁束が磁気センサへ影響を及ぼさないので、フォーカスのレンズ駆動において、高速、低消費電力化を図ることができる。
また漏れ磁束の低減について、従来法とは異なり、シールド部品等を用いる必要がないので、低コスト化、さらには設置スペース増加に伴う鏡筒の大型化を抑制することができるので、小型、軽量化を図ったレンズ鏡筒を提供できる。さらに磁気センサの設置位置に応じてヨークに設けられた貫通穴の位置を設定することで、その磁気センサの配置の自由度が増すという顕著な効果が得られる。
また、本発明のレンズ鏡筒によれば、上記効果に加え、磁気センサを用いたエンコーダ付きステッピングモータを搭載してレンズ鏡筒を構成した場合、リニアアクチュエータからの漏れ磁束がエンコーダ付きステッピングモータの磁気センサへ影響を及ぼさないので、ズームおよびフォーカスのレンズ駆動において、高速、低消費電力化を図ることができる。
さらにエンコーダ付きステッピングモータの磁気センサの配置の自由度が増すため、より小型化を図ったレンズ鏡筒を提供できるという顕著な効果が得られる。
以下、本発明のレンズ鏡筒について、図1〜図5を用いて説明する。
図1は本発明のリニアアクチュエータを搭載したレンズ鏡筒の概略斜視図、図2はリニアアクチュエータのヨークの概略斜視図、図3は第1の実施の形態におけるリニアアクチュエータのヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図、図4は第2の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図、図5は第3の実施の形態によるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図である。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について説明する。フォーカスレンズ移動枠31はフォーカスレンズ群30を保持すると共に、光軸と平行に配設され、両端をレンズ鏡筒(不図示)に固定されたガイドポール32a、32bに沿って光軸方向(X方向)に摺動自在に構成されている。このフォーカスレンズ移動枠31を光軸方向に駆動させるリニアアクチュエータ33の固定子34は、駆動方向(X方向)と垂直に磁化されたメインマグネット35と、コの字型のメインヨーク36及び板状のサイドヨーク37とにより構成されている。さらにこのメインヨーク36のX軸方向(+)側には、上下に2つの嵌合用突起36aが設けられ、レンズ鏡筒の固定枠29に設けられた被嵌合部29aに嵌合可能な構成となっている。またこの固定子34からなる磁気回路38は、駆動方向から見て左右対称(Z方向)で、かつ駆動方向(X方向)にも略左右対称に成るよう構成されている。
一方、リニアアクチュエータ33の可動子39の構成部品であるコイル40は、メインマグネット35と所定の空隙を有するようにフォーカスレンズ移動枠31に固定されており、メインマグネット35の発生する磁束と直交するようコイル40に電流を流すことにより、フォーカスレンズ移動枠31が光軸方向に駆動する仕組みになっている。また位置検出手段は、フォーカスレンズ移動枠31に一体に構成された磁気スケール42と、この磁気スケール42の信号を検出する磁気センサ41とにより構成されている。したがってこの磁気センサ41は、外乱磁場の影響を受けることなく、磁気スケール42の信号のみを検出すれば、位置検出精度をアップさせることができるので、高性能なリニアアクチュエータを実現することができる。
次にヨーク36に突起36aを設けた場合の漏れ磁束の流れについて、図3を用いて説明する。ヨーク36には(b)で示すように、Z軸方向の高さがBである嵌合用の突起36aが2つ設けられているため、突起36a部周辺にて外側に磁束が漏れる。したがって、(a)で示すように、X軸(+)側に設けた突起36a部周辺にて外側に磁束が漏れて磁気回路38のバランスが崩れるため、従来例の図12(a)で説明した突起36aがない場合の磁気回路38の磁気中心位置に比べ、X軸(−)方向にaだけ磁気中心位置が移動する。よって、ヨーク36の外部への漏れ磁束の流れ方も変わる。そこで磁気中心位置が移動した距離aだけ、磁気センサ41もX軸(−)方向にずらした位置に配置する。
その結果、X軸方向の漏れ磁束は微小な量となるため、磁気センサ出力がひずむことはない。またZ軸方向については、(b)に示すように、突起36aの形状を同一としたので、Z軸方向の磁気中心位置は、図12(b)で示した従来の状態と変わらないので、Z軸方向の漏れ磁束も微小な量である。
ここで、X軸方向の磁気回路38の磁気中心位置は、突起36aのX軸方向の長さAを可変することにより移動することになる。具体的には、突起36aの長さが(a)の状態より長い場合は、磁気中心位置はX軸(−)方向にさらに移動し、(a)の状態より短い場合は、磁気中心位置はX軸(+)方向に移動する。つまり、この突起36aの長さAと磁気中心位置の関係は、容易に推定することができる。
そこで本来ならば、従来例で示したように、リニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置に磁気センサ41を配置することが理想であるが、レンズ鏡筒の小型化により、他の部品との間隔が狭くなり、磁気センサ41を理想位置に配置する設計の自由度もますます狭くなる。よって、磁気センサ41を従来例で示した磁気回路38の磁気中心位置に配置不可能な場合でも、この突起36aの長さを最適化することにより、X軸方向の磁気回路38の磁気中心位置を移動させることができる。したがって、磁気センサ41が配置可能な位置に、磁気回路38の磁気中心位置を設定することができるので、設計の自由度を拡げることが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、ヨークに設けたX軸方向の突起の大きさを変えることにより、リニアアクチュエータの磁気回路の磁気中心位置を、X軸方向の任意の位置に移動させることが可能となる。よってその磁気中心位置に磁気センサを配置することにより、磁気センサへの外乱磁場の影響を抑えることができる。したがって、高速応答性に加え、磁気センサを使用して高分解能と高精度なリニアアクチュエータを搭載することが可能となり、優れたフォーカス特性を得ることができる。
また外乱磁場の低減については、従来法とは異なり、シールド部品等を用いる必要がなく、磁気センサの配置位置を工夫しただけであるので、低コスト化、さらには設置スペース増加に伴うレンズ鏡筒の大型化を抑制することができ、磁気センサを配置する際の設計自由度も増すため、小型、軽量化を図ったレンズ鏡筒を提供することができる。さらにヨークに設けた突起をレンズ鏡筒に設けた被嵌合部に嵌合するだけであるため、接着等の必要がなく、組立性に優れている。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について、図4を用いて説明する。ヨーク36には、(b)で示すように、Z軸方向の高さがB1、Bである突起36b、36cが上下に2つ設けられているため、突起36b、36c部周辺にて外側に磁束が漏れる。特にZ軸方向の突起の長さが大きい36bは、より外側に磁束が廻るため、下側の突起36cに比べて漏れ磁束が大きい。したがって磁気回路38のバランスが崩れるため、従来例の図12(b)で説明した磁気回路38の磁気中心位置に比べ、Z軸(−)方向にbだけ磁気中心位置が移動する。
よって、ヨーク36の外部への漏れ磁束の流れ方も変わる。そこで磁気中心位置が移動した距離bだけ、磁気センサ41もZ軸(−)方向にずらした位置に配置する。その結果、Z軸方向の漏れ磁束は微小な量となるため、磁気センサ出力がひずむことはない。またX軸方向については、(a)に示すようにX軸方向の突起の長さAは同一であり、図3(a)の状態と変わらないので、X軸方向の漏れ磁束も微小な量である。
ここで、Z軸方向の磁気回路38の磁気中心位置は、突起36b、36cのZ軸方向の長さB、B1を可変することにより移動することになる。具体的には、突起36bの長さが(b)の状態より長い場合には、磁気中心位置はZ軸(−)方向にさらに移動し、(b)の状態より短い場合には、磁気中心位置はZ軸(+)方向に移動する。つまり、この突起36b、36cの長さB1、Bと磁気中心位置の関係は、容易に推定することができる。
よって、磁気センサ41を従来例で示した磁気回路38の磁気中心位置に配置不可能な場合でも、この突起36b、36cの長さを最適化することにより、Z軸方向の磁気回路38の磁気中心位置を移動させることができる。したがって、磁気センサ41が配置可能な位置に、磁気回路38の磁気中心位置を設定することができるので、設計の自由度を拡げることが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、ヨークに設けた突起のZ軸方向の形状が異なるようにすることにより、リニアアクチュエータの磁気回路の磁気中心位置を、第1の実施の形態のX軸方向に加え、さらにZ軸方向の任意の位置に移動させることが可能となる。
よって、磁気センサを配置する際の設計の自由度がますます大きくなる。
なお、本実施の形態によれば、Z軸方向に2つの突起を設けたが、どちらか片方に設ける構成としても同様な効果が得られることは言うまでもない。
さらに図5に示すように、突起の代わりに貫通穴36dを設けても、磁気回路のバランスが崩れ、磁気中心位置をずらすことは可能である。したがって、貫通穴36dの配置位置により、磁気中心位置をX軸、あるいはZ軸方向に移動させることは可能となるため、第1、第2の実施の形態と同様な効果が得られる。
なお本実施の形態におけるリニアアクチュエータのメインマグネットの極性は、図3、図4に示したように向かって右側がN極となるようにしたが、反対の着磁パターンであっても、漏れ磁束の流れの方向が逆となるのみであるので、これまでと同様な効果が得られる。
さらにリニアアクチュエータのヨークとメインマグネットがそれぞれ1つのシステムについて説明したが、駆動するレンズ群などが重くなり、ヨークとメインマグネットがそれぞれ2つ必要となるシステムにおいても、2つの磁気回路の磁気中心位置に磁気センサを配置すれば、同様な効果が得られることは言うまでもない。
また本実施の形態のリニアアクチュエータとして、固定側のレンズ鏡筒に磁気センサを、可動側のレンズ移動枠に磁気スケールを設けたが、反対に固定側のレンズ鏡筒に磁気スケール、可動側のレンズ移動枠に磁気センサを設けても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
また本発明の実施の形態では、MR素子を用いた磁気抵抗効果型の磁気センサ用いているが、磁力の強さに対応した出力信号を出すものであればその種類を問わず、あらゆる磁気センサに適用できる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態におけるレンズ鏡筒について、図6〜図8を用い説明する。図6はリニアアクチュエータとエンコーダ付きステッピングモータを搭載したレンズ鏡筒を前から見た概略斜視図、図7は後ろから見た概略斜視図、図8は本実施の形態によるリニアアクチュエータのヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図である。なお、これまで説明したものは同一の符号を付し、その説明は省略する。
以下、説明する。エンコーダ付きステッピングモータ47は、ステッピングモータ48と、このステッピングモータ48の回転軸に一体的に設けられたリードスクリュー部49と、上記ステッピングモータ48の回転軸に取り付けられ、周方向に交互にN、S極が着磁されたエンコーダマグネット50と、このエンコーダマグネット50に対向して固定配置された角度検出用の磁気センサ51とにより構成されている。リードスクリュー部49には、ズームレンズ群45を保持したズームレンズ移動枠46に係合されたネジ部材52が、螺合される構成となっている。
したがって、このリードスクリュー部49の回転によって、X軸方向にズームレンズ群45が直線移動されるようになっている。また位置検出手段は、エンコーダマグネット50と、このエンコーダマグネット50の信号を検出する磁気センサ51とにより構成されている。したがってこの磁気センサ51は、外乱磁場の影響を受けることなく、エンコーダマグネット50の信号のみを検出すれば、位置検出精度をアップさせることができるので、高性能なエンコーダ付きステッピングモータを実現することができる。エンコーダ付きステッピングモータシステムの図示せぬCPUは、磁気センサ51により出力された角度及び電気位相のカウンタ値に基づいて、回転軸の角度情報及び電気位相角情報を算出する。そしてこのCPUは、この角度情報及び電気位相角情報により、ドライブ指令値を計算し、ドライバで駆動電流を流すことにより、エンコーダ付きステッピングモータ47を制御する。
次にリニアアクチュエータ33のヨーク36に突起36aを設けた場合の漏れ磁束の流れについて、図8を用いて説明する。
ヨーク36には(b)で示すように、Z軸方向の高さがBである嵌合用の突起36aが2つ設けられているため、第1の発明にて説明したように、図13(b)で説明した従来の突起36aがない場合の磁気回路38の磁気中心位置に比べ、X軸(−)方向にaだけ移動する。そこで磁気中心位置が移動した距離aだけ、磁気センサ51もX軸(−)方向にずらした位置に配置する。その結果、X軸方向の漏れ磁束は微小な量となるため、磁気センサ出力がひずむことはない。
またZ軸方向については、(a)で示すように、突起36aの形状を同一としたので、Z軸方向の磁気中心位置は、図13(a)で示した従来の状態と変わらないので、Z軸方向の漏れ磁束は微小な量である。
ここで、X軸方向の磁気回路38の磁気中心位置は、突起36aのX軸方向の長さAを可変することにより移動することは第1の発明にて説明したので、この突起36aの長さAと磁気中心位置の関係は、容易に推定できる。
そこで本来ならば、従来例で示したように、リニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置にエンコーダ付きステッピングモータ47の磁気センサ51を配置することが理想であるが、レンズ鏡筒の小型化により、他の部品との間隔が狭くなり、磁気センサ51を搭載したエンコーダ付きステッピングモータ47を理想位置に配置する設計の自由度もますます狭くなる。
よって、磁気センサ51を従来例で示したリニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置に配置不可能な場合でも、この突起36aの長さを最適化することにより、X軸方向の磁気回路38の磁気中心位置を移動させることができる。したがって、磁気センサ51が配置可能な位置に、リニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置を設定することができるので、設計の自由度を拡げることが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、リニアアクチュエータのヨークに設けたX軸方向の突起の大きさを変えることにより、リニアアクチュエータの磁気回路の磁気中心位置を、X軸方向の任意の位置に移動させることが可能となる。よってその磁気中心位置にエンコーダ付きステッピングモータの磁気センサを配置することにより、磁気センサへの外乱磁場の影響を抑えることができる。
その結果、従来のステッピングモータを用いたシステムに変わり、ズームにはエンコーダ付きステッピングモータを、フォーカスにはリニアアクチュエータを同時に用いたシステムを構築することができる。したがってズーム機能については、送り速度が約30〜2000ppsまで対応できるため、超高速、あるいは超低速ズームが可能となり、高機能化を図ったレンズ鏡筒、かつそれを用いたビデオカメラを提供することができる。
さらにクローズドループ制御を行い、回転角、トルクを制御することも可能となるため、消費電力化、低騒音化も実現できる。またフォーカス機能については、高速応答性に加え、磁気センサを使用して高分解能と高精度なリニアアクチュエータを実現することが可能となり、優れたフォーカス特性を得ることができる。
さらにエンコーダ付きステッピングモータとリニアアクチュエータを搭載したレンズ鏡筒であっても、それぞれの磁気センサを配置する際の設計の自由度が増すため、小型、軽量化を図ったレンズ鏡筒を提供することができる。
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について、図9を用いて説明する。図9は本実施の形態によるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図である。ヨーク36には、(a)で示すように、Z軸方向の高さがB1,Bである突起36b、36cが上下に2つ設けられているため、従来例の図13(a)で説明した磁気回路38の磁気中心位置に比べ、Z軸(+)方向にbだけ磁気中心位置が移動する。そこで磁気中心位置が移動した距離bだけ、磁気センサ51もZ軸(+)方向にずらした位置に配置する。
その結果、Z軸方向の漏れ磁束は微小な量となるため、磁気センサ出力がひずむことはない。またX軸方向については、(b)に示すようにX軸方向の突起の長さAは同一であり、図8(b)の状態と変わらないので、X軸方向の漏れ磁束は微小な量である。
ここで、Z軸方向の磁気回路38の磁気中心位置は、突起36b,36cのZ軸方向の長さB1,Bを可変することにより移動することは第1の発明にて説明したので、この突起36b,36cの長さB1,Bと磁気中心位置の関係は、容易に推定することができる。
よって、磁気センサ51を従来例で示したリニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置に配置不可能な場合でも、この突起36b,36cの長さを最適化することにより、Z軸方向の磁気回路38の磁気中心位置は移動させることができる。したがって、磁気センサ51が配置可能な位置に、リニアアクチュエータ33の磁気回路38の磁気中心位置を設定することができるので、設計の自由度を拡げることができる。
以上のように本実施の形態によれば、リニアアクチュエータのヨークに設けた突起のZ軸方向の形状が異なるようにすることにより、リニアアクチュエータの磁気回路の磁気中心位置を、第3の実施の形態のX軸方向に加え、さらにZ軸方向の任意の位置に移動させることが可能となる。よって、エンコーダ付きステッピングモータの磁気センサを配置する際の設計の自由度がますます大きくなる。
本発明のレンズ鏡筒は、ビデオカメラ等に用いられるものとして、特にその小型化に最適なものである。
本発明の第1の実施の形態におけるレンズ鏡筒の概略斜視図 リニアアクチュエータのヨークの概略斜視図 本発明の第1の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 本発明の第2の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 本発明の第3の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 本発明の第3の実施の形態におけるレンズ鏡筒を前から見た概略斜視図 同後ろから見た概略斜視図 本発明の第3の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 本発明の第4の実施の形態におけるヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 従来のレンズ鏡筒を前から見た概略斜視図 従来のレンズ鏡筒を後ろから見た概略斜視図 リニアアクチュエータのヨークからの漏れ磁束の流れを示す概念図 エンコーダ付きステッピングモータへの漏れ磁束の流れを示す概念図
符号の説明
29 固定枠
33 リニアアクチュエータ
35 メインマグネット
36 ヨーク
36d 貫通穴
38 磁気回路
41、51 磁気センサ
47 エンコーダ付きステッピングモータ

Claims (1)

  1. 駆動方向と垂直に磁化されたマグネットと、貫通穴を有するヨークと、前記マグネットと所定の空隙を有して前記マグネットの発生する磁束と直交するように電流を通電することにより駆動方向に可動自在なコイルと、前記コイルと一体で移動する磁気スケールと、前記磁気スケールの信号を検出する磁気センサからなる位置検出手段とにより構成されたリニアアクチュエータを備え、前記位置検出手段に対して、前記マグネット及びヨークとにより構成される前記リニアアクチュエータの磁気回路における略対称磁気中心が位置するように前記ヨークの貫通穴をそのヨークの中心位置からずれた位置に設けたことを特徴とするレンズ鏡筒。
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