JP3965744B2 - レンズ駆動装置、およびレンズ鏡筒 - Google Patents

レンズ駆動装置、およびレンズ鏡筒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビデオカメラ等の撮像装置における撮影レンズを駆動するレンズ駆動装置及びレンズ鏡筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラの技術の進歩は目覚ましく、デジタル記録、小型軽量化、長時間撮影化、高速、高倍率ズーム等多方面に渡って多くの性能向上が図られている。
【0003】
撮像部であるレンズ鏡筒においては、ズームレンズ群より後方のフォーカスレンズ群を光軸方向に位置可変することで焦点調整を行うようにしたいわゆる「インナーフォーカス方式」が、小型化、軽量化で有利なため、現在では多く用いられており、ピント面がズーム倍率によって移動するという特性上、一般的にはマイコンに記憶された被写体距離毎の移動軌跡データを基に、フォーカスレンズ群が、ズームレンズ群の位置変化に従って光軸方向に移動して、レンズ鏡筒後部の撮像素子の結像面上に物体像を形成する構成になっている。
【0004】
ここで望遠側でのピント面の移動量が大きいという移動軌跡データの特性上から、フォーカスレンズ群をズームレンズ群に追随させて動かすには、望遠側付近でズームレンズ群よりもフォーカスレンズ群を速く移動させる必要があり、前記の性能向上の項目の中で、高速ズーム及び長時間撮影を実現するために、このフォーカスレンズ群の駆動部分に、従来のステッピングモータに代わって、ズームレンズ群の位置変化に追随できる高速応答性と、低消費電力化に優れたボイスコイル型のリニアアクチュエータが採用されている。
【0005】
このリニアアクチュエータを用いた一例として、特開平9−61692号公報及び特開平9−127397号公報記載のレンズ鏡筒では、両端がヨークで光軸方向に支持されている棒状の磁性体とマグネットからなる棒磁石と、この棒磁石に沿って摺動するボビンに巻かれた可動コイルと、このボビンと、移動レンズを保持しガイド手段に沿って可動自在なレンズホルダーを結合する連結手段とから構成されたレンズ駆動装置が考案されている。
【0006】
また別の一例として、特開平8−248290号公報記載のレンズ鏡筒では、フォーカスレンズを保持し、ガイド軸に沿って光軸方向に摺動自在なレンズホルダーの周囲に設けられたボイスコイルと、このボイスコイルを挟んだ両側のレンズ鏡筒側に配設された一対のヨークとこれらヨークに接合固定されたマグネットから構成された一対の磁気回路を備えたフォーカスレンズ駆動手段が考案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−61692号公報及び特開平9−127397号公報記載のレンズ駆動装置を用いたレンズ鏡筒においては、リニアアクチュエータをレンズ鏡筒と別体で構成できるため、ズーム倍率や光学性能の異なるレンズ鏡筒でも同一のリニアアクチュエータで対応可能である、つまり駆動手段の部品の共有化が図れるという利点がある反面、リニアアクチュエータとレンズホルダーを連結部材で結合していることから、機械的なガタが生じレンズホルダーを高速に駆動できないという課題と、レンズ鏡筒内に連結部材のスペースが必要で、レンズ鏡筒を小型化できないという課題があった。
【0008】
また特開平8−248290号公報記載のレンズ鏡筒では、レンズホルダーの周囲にボイスコイルを直接取り付けているため、特開平9−61692号公報及び特開平9−127397号公報記載レンズ駆動装置の課題であるガタは発生せず、レンズホルダーを高速に駆動することが可能であるが、フォーカスレンズの大きさが変わるとボイスコイルの大きさを変える必要があり、ズーム倍率や光学性能の異なるレンズ鏡筒に対応したリニアアクチュエータを設ける必要がある、つまり駆動手段の部品の共有化が図れないという課題があった。さらに、ボイスコイルの外側にガイド軸と嵌合するスリーブと、レンズホルダーの位置検出手段であるレンズ鏡筒に設けられた磁気センサと相対する磁気スケールを設ける必要があるため、レンズ鏡筒の小型化が図りにくいという欠点も有していた。
【0009】
上記の問題に鑑み本発明の目的は、駆動部品の共用化が可能で、異なる種類のレンズ鏡筒に対応できると共に、移動レンズを保持するレンズホルダーを高速で精度良く駆動できる小型のレンズ鏡筒を、簡素な構成で安価に提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明のレンズ駆動装置は、レンズ鏡筒内に備えられたレンズ駆動装置であって、移動レンズ群を光軸方向に移動するのを案内する第1のガイド手段と、前記移動レンズ群を保持し、前記第1のガイド手段と嵌合する第1のスリーブを備えたレンズ保持手段と、前記レンズ保持手段を可動するための駆動手段と、前記移動レンズ群の位置を検出するための位置検出手段とを備え、前記駆動手段は、前記レンズ鏡筒内に設けられ、光軸方向と垂直に磁化されたマグネットとヨークとからなる1つの磁気回路と、前記移動レンズ群から離れた位置に前記レンズ保持手段と一体に構成されて設けられ、前記マグネットと所定の空隙を有し、前記マグネットの発生する磁束と直交する様に電流を通電することにより、前記レンズ保持手段を駆動方向に可動するコイルとを有しており、前記位置検出手段は、磁気センサを前記レンズ鏡筒に、磁気スケールを前記レンズ保持手段に相対するように設け、あるいは前記磁気スケールを前記レンズ鏡筒に、前記磁気センサを前記レンズ保持手段に相対するように設けており、光軸方向から見て、前記移動レンズ群と、前記レンズ保持手段と、前記コイルと、前記磁気スケール及び前記磁気センサのうち前記レンズ保持手段に設けられたいずれか一方、から構成されたレンズ駆動体の重心位置を、前記マグネットの磁化方向に相対する前記コイルの2辺の間より外側に設けたことに特徴を有するものである。
【0014】
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記駆動手段として、光軸方向と垂直に磁化された前記マグネットと前記ヨークとからなる磁気回路と、前記マグネットと所定の空隙を有し、前記マグネットの発生する磁束と直交する様に電流を通電することにより、前記レンズ保持手段を駆動方向に可動する前記コイルとを備え、前記位置検出手段として、磁気センサと磁気スケールとを備えたフォーカスレンズ駆動装置と、バリエータレンズ群を光軸方向に移動するのを案内する第2のガイド手段と、前記バリエータレンズ群を保持し、前記第2のガイド手段と嵌合する第2のスリーブを備えたバリエータレンズ保持手段と、このバリエータレンズ保持手段を可動するための駆動源と、前記バリエータレンズ保持手段に連結され、前記駆動源により前記バリエータレンズ保持手段を光軸方向に移動させるバリエータレンズ移動手段とからなり、前記レンズ鏡筒に取り付けられたバリエータレンズ駆動手段と、鏡筒内に配置されて口径を制御する絞り部本体と、この絞り部本体を駆動する駆動制御部とからなり、前記レンズ鏡筒に取り付けられた絞りユニットとから構成されたレンズ鏡筒全体において、光軸方向から見て前記マグネットの磁化方向と直交する方向に、前記バリエータレンズ駆動手段の前記駆動源と前記絞りユニットの前記駆動制御部とが光軸を挟んで相対するよう配設され、前記レンズ鏡筒に取り付けられた特徴を有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレンズ駆動装置およびレンズ鏡筒の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の後部鏡筒部分を縦断面して前方側を示した縦断面図、図2は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の後面図、図3は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の内部構成を示す要部横断面図、図4は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の内部構成を示す要部縦断面図、図5は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒のフォーカスレンズ駆動部分の内部斜視図、図6は本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒のフォーカス駆動部分の磁気回路の磁束の流れを示す図である。
【0018】
本発明の実施の形態のレンズ鏡筒は、倍率変更を行う電動ズーム機構と、被写体を適正な露出で再現する自動絞り装置と、自動的に被写体に対する焦点合わせを行うオートフォーカス機構を備えるインナーフォーカス方式の一般的なビデオカメラ用のレンズ鏡筒としている。よってこのレンズ鏡筒は、被写体側の1群固定レンズとレンズ鏡筒内の3群固定レンズの2つの固定レンズ群と、ズームなど変倍用のバリエータレンズ群と焦点調整用のフォーカスレンズ群の2つの移動レンズ群及び絞り装置とから構成されている。
【0019】
まず本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒について、図1〜図4を用いて説明する。
【0020】
図3および図4において3aはレンズ鏡筒の前部、3bはレンズ鏡筒の後部、23はレンズ鏡筒3aの被写体側に固定された1群固定レンズ群、22はズームなど変倍用のバリエータレンズ群、2は焦点調整用のフォーカスレンズ群、27はバリエータレンズ群3とフォーカスレンズ群4との間に位置し、レンズ鏡筒3aと3bの間に固定された3群固定レンズ群、24は3群固定レンズ群27の手前に設けられた絞り本体部、30はCCD等の固体撮像素子、31は固体撮像素子30をレンズ鏡筒3bの後方部に取り付けるためのCCD取付板、29は固体撮像素子30の手前に置かれ、水晶等で構成された光学フィルタである。
【0021】
バリエータレンズ群22とフォーカスレンズ群2はそれぞれパリエータレンズホルダー21とフォーカスレンズホルダー1で保持され、光軸に平行に配され、両端をレンズ鏡筒3a、3bに固定されたガイドシャフト4a、4bに沿ってそれぞれ光軸方向に独立して摺動自在に構成されている。
【0022】
パリエータレンズ群22は、望遠側端から広角側までの広い範囲をフォーカスレンズと連動して移動しなければならないため、パリエータレンズホルダー21を駆動する駆動源としては、制御性が高く、入力パルス数をカウントすることによりエンコーダの機能を併せ持つステッピングモータがズームモータ15として一般に用いられている。
【0023】
バリエータレンズ駆動手段は、駆動源であるズームモータ15と、このズームモータ15が組み付けられたブラケット16と、ズームモータ15の出力軸に形成され、ブラケット16に回転自在に支架されるとともにバリエータレンズの移動範囲の長さ寸法を有する送りねじ18と、この送りねじと係合して回転運動を直線運動に変換するラック19によって構成されており、ズームモータ15はブラケット16を介してレンズ鏡筒3aに、ラック19はバリエータレンズホルダー21にそれぞれ固定されている。よってこの構成によってズームモータ15のステップ数に応じて、バリエータレンズホルダー21を任意に移動することができる。
【0024】
また、バリエータレンズ22の基準位置検出にはLED等の発光素子(図示せず)とフォトトランジスタ等の受光素子(図示せず)から構成されたフォトインタラプタ28と、その間を通過し遮光するバリエータレンスホルダー21に一体に形成された位置検出片(図示せず)とが設けられており、電源投入時にバリエータレンズ群22をフォトインタラプタ28まで移動させ、この場所を基準位置とし、ここからの移動量をズームモータ15のステップ数として管理するという起算位置出しを行っている。
【0025】
絞りユニットは、被写体を適正な露出で再現するために、映像信号出力の平均値或いはピーク値を抽出して、適正な露出が得られるように複数の絞り羽片(図示せず)を駆動してレンズ鏡筒の光学口径を自動調整するいわゆるオートアイリスによって構成され、複数の絞り羽片(図示せず)を収納した絞り本体部24と、これら複数の絞り羽片(図示せず)を駆動するアークチュエータ(図示せず)や制御部(図示せず)を内蔵した絞り駆動制御部25とから構成されている。
【0026】
絞り本体部24は、最大光学口径の場合でも複数の絞り羽片(図示せず)を収納する必要があるため、レンズ鏡筒3aの最外形とほぼ等しい外形寸法を有しており、レンズ鏡筒3aに絞りユニットを取り付けた場合は、絞り駆動制御部25が突出した状態になる。従ってレンズ鏡筒のサイズは絞りユニットによって決定されている。
【0027】
次に本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒のフォーカスレンズ駆動手段について図1、図5を用いて説明する。
【0028】
図1、図5において、フォーカスレンズホルダー1はフォーカスレンズ群2を保持すると共に、光軸に平行に配され、両端をレンズ鏡筒3a、3bに固定されたガイドシャフト4aと嵌合するスリーブ9と、ガイド4bに嵌合する回り止めを備え、ガイドシャフト4a、4bに沿って光軸方向に摺動自在に構成されている。このレンズホルダー1を光軸方向に駆動させるために、駆動方向と垂直に磁化されたマグネット5と、コの字型のメインヨーク6及び板状のサイドヨーク7とから構成された磁気回路がレンズ鏡筒3bに設けられており、一方フォーカスレンズホルダー1にはコイル9がフォーカスレンズ群2と少し離れた位置に、マグネット5と所定の空隙を有するように固定されており、マグネット5の発生する磁束と直交する様コイル9に電流を流すことで、フォーカスレンズホルダー1が光軸方向に駆動するしくみになっている。
【0029】
また、このフォーカスレンズホルダー1の位置検出手段として、レンズ鏡筒3bには磁気センサ10が、フォーカスレンズホルダー1にはフェライト等の強磁性材を磁気ヘッドに対して一定速度で移動させることにより駆動方向に沿って所定のピッチでS極とN極を交互に着磁した磁気スケール11が、磁気センサ10の検出面に対して所定の距離をもって対向するように取り付けられている。磁気センサ10は、磁界により抵抗値が変化する特性を持つNiFeやNiCo等の強磁性薄膜を材料としたMR素子(図示せず)から構成された2相式の磁気抵抗型センサで、このMR素子(図示せず)は、磁気スケール11のS極とN極までの着磁ピッチの1/4間隔で駆動方向に設けられている。
【0030】
フォーカスレンズホルダー1が移動し、磁気スケール11が磁気センサ10に対して位置変化すると、磁界強度変化に対応してMR素子(図示せず)の抵抗値が変化するため、MR素子(図示せず)に印加した電圧の出力信号は、位相が90°異なる2つの正弦波状の波形となり、この2つの信号波形を信号処理回路(図示せず)で変調内挿処理することで、フォーカスレンズホルダー1の位置や駆動方向を検出し、制御回路(図示せず)により、あらかじめマイコン(図示せず)に記憶された被写体距離毎の移動軌跡データに基づいてフォーカスレンズ群2が、バリエータレンズ群22の位置変化に従って光軸方向に移動することによって、レンズ鏡筒3b後部に設けられた撮像素子30の結像面上に物体像を形成する。
【0031】
また、コイル8は光軸方向から見て、ガイドシャフト4aと嵌合するスリーブ9近傍に配置されており、磁気スケール11も磁気センサ10がマグネット5とヨーク6とから構成された磁気回路からの漏れ磁束の影響を受け難いよう、磁気回路と相対する位置でかつスリーブ9に最も近い位置に配置されており、マグネット5の磁化方向にコイル8とスリーブ9と磁気スケール11及び磁気センサ10が直線上に並んだ構成となっている。
【0032】
またフォーカスレンズ群2とフォーカスレンズホルダー1とコイル8と磁気スケール11とから構成されたフォーカスレンズ駆動体の重心位置14がコイル8近傍に配置されている。よってコイル8のギャップ部32中央の駆動中心点12と、磁気センサ10と相対する磁気スケール11上の位置検出点13とが、フォーカスレンズホルダー1を支持するスリーブ9付近に位置し、重心点14についても駆動中心点12付近に位置すると共に、フォーカスレンズ駆動体の重心点14及びスリーブ9は、マグネット5の磁化方向にコイル8の相対する2辺の間より外側に設けられた構成になっている。
【0033】
このため光軸方向から見て、マグネット5の磁化方向と直交する方向にフォーカスレンズ群2とコイル8及びマグネット5とメインヨーク6、サイドヨーク7からなる磁気回路が並ぶことから、レンズ鏡筒3bの高さ方向のサイズは大きくなる。そこで絞りユニットの絞り駆動制御部25をマグネット5の磁化方向と直交する方向かつ、フォーカスレンズ駆動手段前方の被写体側の空きスペースに配置し、絞り本体部24をガイドシャフト4a、4bと干渉しないよう、レンズ鏡筒の鉛直方向に対して角度を斜めに振って、ガイドシャフト4a、4bの内側に配置している。さらに、バリエータレンズ駆動手段であるズームモータ15を絞り本体部24と干渉しないよう光軸を挟んで、絞り駆動制御部25と相対する位置に構成し、ブラケット16をレンズ鏡筒3aに取り付けている。
【0034】
上記に示した本発明の実施の形態のレンズ駆動装置、およびレンズ鏡筒について、その効果を説明する。
【0035】
まずフォーカスレンズ駆動手段において、可動側のコイル8をフォーカスレンズ群2から離れた位置に、フォーカスレンズホルダー1と一体に構成することにより、駆動手段とレンズ保持手段の間に連結手段を設ける必要がなく、高速で駆動可能でかつ小型化を図ることができる。またコイル8及びマグネット5とメインヨーク6、サイドヨーク7からなる磁気回路はフォーカスレンズ群2のサイズの制約を受けることがないため、ズーム倍率や光学性能の異なるレンズ鏡筒に対しても、同一のコイルと磁気回路で対応可能になることから、駆動部材の共有化を図ることができる。さらに連結部材等が不要で、部品点数の削減と低コスト化にも有利である。
【0036】
また、フォーカスレンズホルダー1はガイドシャフト4a、4bに沿って摺動自在に構成されていることから、スリーブ9とガイドシャフト4aとの嵌合部には微少な隙間が有り、フォーカスレンズホルダー1はガイドシャフト4aに対して若干の遊びを有している。コイル8に電流を流し、フォーカスレンズ群2を駆動した際に、回転モーメントが発生すると、フォーカスレンズホルダー1はわずかに回転しながら光軸方向に摺動する。これによりコイル8の駆動中心点12と磁気スケール上の位置検出点13の相対位置が若干変化する、つまり駆動中心点12と位置検出点13の位相ずれが起き、その結果制御応答性が劣化し、ひどい場合には発振状態になることから、分解能や応答速度を低くしなければならないという課題がある。
【0037】
さらに、フォーカスレンズホルダー1の回転挙動により、レンズ偏差を生じるという課題も生じる。これに対して、本発明の実施の形態では、コイル8の駆動中心点12と、磁気スケール11上の位置検出点13とが、スリーブ9付近に位置し、重心点14も駆動中心点12付近に位置する構成となっていることから、スリーブ9と重心点14に対する駆動中心点12の距離が小さいため、フォーカスレンズ群2を駆動する際に、起動時、駆動中どちらにおいても回転モーメントが発生し難い。
【0038】
仮に回転挙動が発生した場合でも、駆動中心点12と位置検出点13からスリーブ9までのそれぞれの距離が小さいため、制御誤差は最小になる。よって制御応答性が向上し、高精度の駆動制御を図ることができる。
【0039】
尚、本発明の実施の形態ではフォーカスレンズ駆動手段に、ボイスコイル型のリニアアクチュエータを適用しているが、これに限るものではなく、駆動手段に超音波モータ、ステッピングモータ等を用いて、位置検出手段をフォーカスレンズホルダー1及びレンズ鏡筒3bに設けた構成のフォーカスレンズ駆動手段においても上記と同様の効果をあげることができる。
【0040】
また、本発明の実施の形態では、固定側のレンズ鏡筒3bにマグネット5とメインヨーク6及びサイドヨーク7からなる磁気回路を設け、フォーカスレンズホルダー1にコイル8を一体に設けた構成としているが、反対にフォーカスレンズホルダー1に、マグネット5を接合固定し、レンズ鏡筒3bにコイル8を配置しても、何ら本発明の効果を妨げるものではない。
【0041】
また、光軸方向から見て、マグネット5の磁化方向と直交する方向にフォーカスレンズ群2とその駆動手段が並び、レンズ鏡筒3bのサイズが大きくなることから、絞り駆動制御部25をマグネット5の磁化方向と直交する方向かつ、フォーカスレンズ駆動手段前方の空きスペースに配置し、絞り本体部24を角度を斜めに振って、ガイドシャフト4a、4bの内側に配置すると共に、ズームモータ15を光軸を挟んで、絞り駆動制御部25と相対する位置に構成することによって、レンズ鏡筒としてサイズが大きくなる方向に構成部材の長尺方向を揃えることで、レンズ鏡筒全体のスペース効率の向上を図り、小型化を実現することができる。
【0042】
また、図6に示すように、マグネット5からの漏れ磁束はギャップ32より外側のコイルの3辺に対してもわずかながら作用し、駆動方向と反対向きの力を発生させるため、マグネット5の磁化方向のコイル8の内側に支点がある場合、この支点を中心として駆動方向に回転モーメントが発生する。本発明の実施の形態では、光軸方向から見て、フォーカスレンズ駆動体の重心点14及びスリーブ9が、マグネット5の磁化方向にコイル8の相対する2辺の間より外側に設けられた構成になっていることから、駆動方向と反対向きの力が作用することで生じるモーメント力をキャンセルし、フォーカスレンズホルダー1の回転挙動が起こり難くなっている。
【0043】
尚、本発明の実施の形態では、固定側のレンズ鏡筒3bに磁気センサ10を、可動側のフォーカスレンズホルダー1に磁気スケール11を設けたが、反対に固定側のレンズ鏡筒3bに磁気スケール11を、可動側のレンズホルダー1に磁気センサ10を設けても、上記と同様の効果をあげることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、MR素子を搭載した磁気抵抗型の磁気センサ10を用いているが、ホール素子等のその他の磁気式センサや、光学式のLED等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光素子とからなる光センサと、透光部と遮光部を細かいピッチで交互に形成した光スケールを組み合わせたもの、あるいはiRED等の発光素子とPSD等の光電変換素子を組み合わせたもの等、あらゆる種類の位置検出センサを用いたとしても、何ら本発明の効果を妨げるものではない。
【0045】
さらにまた、本発明の実施の形態は、ビデオカメラに搭載され被写体に対する焦点合わせを自動的に行うオートフォーカス機構や、倍率変更を行う電動ズーム機構を備えるレンズ鏡筒としたが、本発明はかかるビデオカメラ用レンズ鏡筒に限定されるものではなく、ガイド手段によって可動レンズ構体を鏡筒内に移動自在に支持するとともに、この可動レンズ構体を移動動作させるレンズ駆動手段を備えた各種のレンズ鏡筒、例えばスチルカメラ用のレンズ鏡筒等にも適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明のレンズ駆動装置は、
グネットとヨークとからなる1つの磁気回路をレンズ鏡筒に、移動レンズ群を光軸方向に可動するコイルを、レンズ保持手段の移動レンズ群から離れた位置に設け、レンズ保持手段と一体に構成し、光軸方向から見て、レンズ駆動体の重心位置又はスリーブを、マグネットの磁化方向に相対する2辺のコイル間より外側に設けることにより、ズーム倍率や光学性能の異なるレンズ鏡筒に対しても、同一のコイルとマグネットやヨークで対応可能になることから、高速駆動性能を損なう事無く、容易に駆動手段の共有化を図ることができ、また、ギャップ側の辺以外のコイルに、駆動方向と反対向きの力が作用することで生じるモーメント力をキャンセルし、回転を起こり難くするという効果をあげることができる。
【0050】
また、駆動手段として光軸方向と垂直に磁化されたマグネットとヨークとからなる磁気回路とコイルとを備え、位置検出手段として、磁気センサと磁気スケールとを備えたフォーカスレンズ駆動装置と、バリエータレンズ保持手段を可動するための駆動源と、駆動手段とからなるバリエータレンズ駆動手段と、絞り部本体と絞り部本体を駆動する駆動制御部とからなる絞りユニットとから構成されたレンズ鏡筒において、光軸方向から見て前記マグネットの磁化方向と直交する方向に、バリエータレンズ駆動手段の駆動源と、絞りユニットの駆動制御部とを設け、このバリエータレンズ駆動手段の駆動源と絞りユニットの駆動制御部を光軸を挟んで相対するよう構成することにより、レンズ鏡筒としてサイズが大きくなる方向に構成部材の長尺方向を揃えることで、スペース効率を向上させ、凹凸の少ない小型のレンズ鏡筒を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒の後部鏡筒部分を縦断面して前方側を示した縦断面図
【図2】同レンズ鏡筒後面図
【図3】同レンズ鏡筒の内部構成を示す要部横断面図
【図4】同レンズ鏡筒の内部構成を示す要部縦断面図
【図5】同レンズ鏡筒のフォーカスレンズ駆動部分の内部斜視図
【図6】同レンズ鏡筒のフォーカス駆動部分の磁気回路の磁束の流れを示す図
【符号の説明】
1 −−−フォーカスレンズホルダー
2 −−−フォーカスレンズ群
3a、3b −−−レンズ鏡筒
4a、4b −−−ガイドシャフト
5 −−−マグネット
6 −−−メインヨーク
7 −−−サイドヨーク
8 −−−コイル
9 −−−スリーブ
10−−−磁気センサー
11−−−磁気スケール
12−−−駆動中心点
13−−−位置検出点
14−−−重心点
15−−−ズームモータ
16−−−ズームモータ用ブラケット
24−−−絞り本体部
25−−−絞り駆動制御部

Claims (4)

  1. レンズ鏡筒内に備えられたレンズ駆動装置であって、
    移動レンズ群を光軸方向に移動するのを案内する第1のガイド手段と、
    前記移動レンズ群を保持し、前記第1のガイド手段と嵌合する第1のスリーブを備えたレンズ保持手段と、
    前記レンズ保持手段を可動するための駆動手段と、
    前記移動レンズ群の位置を検出するための位置検出手段とを備え、
    前記駆動手段は、
    前記レンズ鏡筒内に設けられ、光軸方向と垂直に磁化されたマグネットとヨークとからなる1つの磁気回路と、
    前記移動レンズ群から離れた位置に前記レンズ保持手段と一体に構成されて設けられ、前記マグネットと所定の空隙を有し、前記マグネットの発生する磁束と直交する様に電流を通電することにより、前記レンズ保持手段を駆動方向に可動するコイルとを有しており、
    前記位置検出手段は、
    磁気センサを前記レンズ鏡筒に、磁気スケールを前記レンズ保持手段に相対するように設け、あるいは前記磁気スケールを前記レンズ鏡筒に、前記磁気センサを前記レンズ保持手段に相対するように設けており、
    光軸方向から見て、前記移動レンズ群と、前記レンズ保持手段と、前記コイルと、前記磁気スケール及び前記磁気センサのうち前記レンズ保持手段に設けられたいずれか一方、から構成されたレンズ駆動体の重心位置を、前記マグネットの磁化方向に相対する前記コイルの2辺の間より外側に設けたことを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記移動レンズ群がフォーカスレンズ群であることを特徴とした請求項記載のフォーカスレンズ駆動装置。
  3. バリエータレンズ群を光軸方向に移動するのを案内する第2のガイド手段と、
    前記バリエータレンズ群を保持し、前記第2のガイド手段と嵌合する第2のスリーブを備えたバリエータレンズ保持手段と、
    このバリエータレンズ保持手段を可動するための駆動源と、前記バリエータレンズ保持手段に連結され、前記駆動源により前記バリエータレンズ保持手段を光軸方向に移動させるバリエータレンズ移動手段とからなり、前記レンズ鏡筒に取り付けられたバリエータレンズ駆動手段と、
    鏡筒内に配置されて口径を制御する絞り部本体と、この絞り部本体を駆動する駆動制御部とからなり、前記レンズ鏡筒に取り付けられた絞りユニットと、請求項記載のフォーカスレンズ駆動装置とから構成されたことを特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 光軸方向から見て前記マグネットの磁化方向と直交する方向に、前記バリエータレンズ駆動手段の前記駆動源と前記絞りユニットの前記駆動制御部とが設けられ、前記バリエータレンズ駆動手段の前記駆動源と前記絞りユニットの前記駆動制御部とが光軸を挟んで相対するよう構成されて、前記レンズ鏡筒に取り付けられたことを特徴とする請求項記載のレンズ鏡筒。
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