JP3692826B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フローセンサ等のシリコン基板の表面に窪みを設けるとともに、その窪みを覆うような誘電体薄膜を前記シリコン基板表面に設け、かつ、その誘電体薄膜上に所定形状の抵抗素子等を形成した半導体装置としては、例えば従来特公平3−52028に示されるようなものがある。
【0003】
係る構成の半導体装置では、シリコン基板の表面に誘電体薄膜を成膜した後で窪みを作ることになるが、その製造方法としては、裏面(誘電体薄膜非形成面)からシリコン基板をエッチングする方法と、表面の誘電体薄膜にシリコン基板をエッチングするためのエッチングホールを形成し、そのエッチングホールを介してエッチング液を浸透させてエッチングする方法がある。
【0004】
後者においては誘電体薄膜にどのような形状のエッチングホールを形成するかによってエッチング時間・有効領域など生産性や特性に大きな影響を及ぼすのでその形状設計には注意が必要となる。そして、その形状としては従来は(100)面と<110>方向を持つシリコンウエハにおいては<110>に対して45°の方向に方向付けられるパターンが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘電体薄膜を有する半導体装置(センサ)において、表面の誘電体薄膜にシリコンをエッチングするためのエッチングホールを形成する方法を採った場合、エッチングホールを開けた部分は誘電体薄膜上に形成する抵抗素子、または熱電変換素子を効率よく、しかも広範囲にわたって形成できず、高出力化の妨げとなっていた。さらに、熱絶縁性が悪くなるため出力電圧が落ちるという問題もある。
【0006】
また、エッチングホール形状は通常、<110>に対して45度傾いた方向に方向付けられ、<100>に平行に形成される。この場合、エッチングホールの領域がメンブレン全体に対して大きくなり、デバイスの配線が複雑になる。
【0007】
さらに、従来のようなエッチングパターンではデバイスのダイシング方向に対して平行でなく、一般的には45度傾いたデバイスとなるので実装時に傾ける必要が生じるため、作業効率が下がる。
【0008】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題点を解決し、配線パターンが単純となり、歩留まりが向上し、配線の抵抗値が下げられ、小型化を図ることができ、高性能で設置も容易となり、しかも、エッチングホールを介してエッチングして窪みを製造するのも短時間で行うことのできる半導体装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る半導体装置では、(100)面と<110>方向を有し、(100)面に平行な表面に異方性エッチングで形成された窪みを有する半導体基板と、前記窪みを覆うように前記半導体基板に設けられた誘電体薄膜とを備え、前記窪みに対向する前記誘電体薄膜には、複数のエッチングホールが設けられており、前記複数のエッチングホールに含まれる個々のエッチングホールのいくつかにより、少なくとも<110>方向に配列された第1エッチングホールと<−110>方向に配列された第2エッチングホールとが構成され、前記窪みを覆うように前記半導体基板に設けられた誘電体薄膜と前記第1,第2エッチングホールを構成する個々のエッチングホールは、前記<110>,<−110>方向に対して傾斜する辺(実施の形態では「短辺16b,17bや斜辺16c,17c並びに等脚台形の斜辺等」に対応する)を有する。そして、<110>方向並びにそれと直交する方向に辺をもつ前記複数のエッチングホールのそれぞれに外接する仮想長方形を想定した場合に、前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールの交差部において、前記第1エッチングホールを構成するいずれかのエッチングホールの前記仮想長方形と前記第2エッチングホールを構成するいずれかのエッチングホールの前記仮想長方形とが直接的に連続しているか、または、前記複数のエッチングホールには含まれるが第1、第2エッチングホールを構成しない別のエッチングホールの仮想長方形を介して連続しているように構成した(請求項1)。また、前記誘電体薄膜上に回路パターンを備えるようにしてもよい(請求項6)。さらに、前記回路パターンが、所定形状の抵抗素子と熱電変換素子の少なくとも一方を有するようにしてもよい(請求項7)。
【0010】
<110>方向や<−110>方向に沿った面に向かう方向のエッチングレートは低いので、例えば当該方向に延びるような矩形状のパターンとすると、エッチングしても基板の奥、つまり、(100)面に向かって進むのみとなる。したがって、従来のエッチングホールは、<110>方向に対して45度の方向に延びるようなパターン形状とした。係る古くから存在する固定概念を破棄し、本発明者は<110>方向に対して延びるパターン形状のエッチングホールを用いて所定の窪みを形成することを試み、成功した。
【0011】
すなわち、半導体基板表面の全面に第1,第2エッチングホールを有する誘電体薄膜が成膜されている状態で、エッチング液に浸漬すると、エッチングホールにより露出する半導体基板の表面は、(100)面に向かってエッチングされる。また、<110>,<−110>方向と傾斜する辺(実施の形態では45度傾斜)を設けることにより、その辺と平行な面に向けてエッチングが進む。これにより、仮想長方形の部分がエッチングにより除去される。
【0012】
そして、この仮想長方形は直接或いは間接的に連続するように形成されることから、第1エッチングホールに基づいて除去された領域と、第2エッチングホールに基づいて除去された領域が接続される。すると、(411)面が現れるので、実施の形態で詳細に説明するように、その(411)面に向かって高速にエッチングが進む。つまり、実質的に第1,第2エッチングホールの交点部分からエッチングが進行する。よって、<110>方向と並行,垂直な辺を持つ矩形状の窪みが形成される。しかも、(411)面の最速エッチングを利用するので、従来のものよりも短時間で窪みを形成できる。
【0013】
そして、第1,第2エッチングホールが<110>方向,<−110>方向に延びるように形成されることから、窪みに対向する誘電体薄膜の部分は、それらエッチングホールにより矩形状に区分けされる。よって、配線が単純になるので、配線のパターン切れなどなく、製造が容易で歩留まりも向上する。
【0014】
ここで、各第1,第2エッチングホールに基づく仮想長方形同士が接したり(線接触或いは点接触)、一部重なったりするように構成してもよいし、別途設けた他のエッチングホールに基づく仮想長方形によって連続するように構成しても良い。
【0015】
好ましくは、前記第1,第2エッチングホールは、前記窪みの中央で交差することである(請求項2)。交差部分が周囲に向かってエッチングが進むので、短時間で窪みを形成することができる。そして、製造された半導体装置では、各エッチングホールで区切られる誘電体薄膜上の領域が、均等に対称的に確保されるので、バランスが良く、配線等の配置レイアウトも簡単に行える。また、前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールは、前記窪みの周縁で交差するようにしてもよい(請求項3)。
【0016】
前記第1のエッチングホールと、前記第2のエッチングホールの交差部に、別のエッチングホールを設けるとよい(請求項4)。交差部にエッチングホールを設けると、さらに高速に窪みを形成することが可能となる。また、交差部においては、エッチングホールに基づく仮想長方形(仮想正方形の場合も含む)を介して第1エッチングホールに基づく仮想長方形Aと、第2エッチングホールに基づく仮想長方形Bが連続すれば良く、必ずしも仮想長方形Aと仮想長方形Bとが直接連続する必要はなくなる。つまり、配置ピッチを広くすることができる。
【0017】
また、隣接する前記第1エッチングホール同士、或いは、隣接する前記第2エッチングホール同士の連結部分に補助エッチングホールを設けるとよい(請求項5)。第1,第2エッチングホールのパターン形状によっては、それに基づく仮想長方形を直接接触するようにすると、隣接する第1(第2)エッチングホール同士が繋がってしまうことがある。すると、その部分で誘電体薄膜が切断されるおそれもある。そこで、補助エッチングホールを設けることにより、その補助エッチングホールにより除去される領域を介して第1,第2エッチングホールに基づく仮想長方形を間接的に接続することができる。また、前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールの交差部以外の隣接する前記仮想長方形は直接的に連続しているか、または、前記複数のエッチングホールには含まれるが第1、第2エッチングホールを構成しない補助エッチングホールの前記仮想長方形を介して連続しているようにしても良い(請求項6)。
【0018】
一方、本発明の半導体装置の具体的な適用例としては、例えばフローセンサや、サーマルセンサ,赤外線センサ(温度センサ)等の各種センサ、マイクロヒータなど、各種のものに適用できる。そして、一例としては前記回路パターンは、前記誘電体薄膜上に所定形状の一定の発熱作用のある第1の抵抗素子と、温度の変化を捉える第2の抵抗素子を備えたものとすることができる(請求項8)。この発明は、図17に示す実施の形態により実現されている。
【0019】
また、別の形態としては、前記回路パターンは、前記誘電体薄膜上に所定形状の一定の発熱作用のある第1の抵抗素子と、温度の変化を捉える熱電変換素子を備えて構成することもできる(請求項9)。この発明は、図18に示す実施の形態により実現されている。
【0020】
連続する第1のエッチングホールの終端に、前記第2のエッチングホールを設けるとより好ましい。係る構成とすると、図17〜図19に示すように、窪みに対向する誘電体薄膜の部分は、第1,第2エッチングホールにより矩形状に区分けされる。そして、実施の形態のように、第1エッチングホールを中央に設けた場合、誘電体薄膜と半導体基板とが接合された周囲から、その第1エッチングホールまでの距離が周縁にわたりほぼ等しくなり、抵抗素子や熱電変換素子を広い面積にわたって形成できる。しかも、熱電変換素子の温接点と冷接点の間を全体にわたって広くとることができ(一方の接点を、誘電体薄膜の中心近傍に配置可能)、両接点間の熱絶縁を大きくできる。よって、出力電圧が向上(従来の45度の角度にエッチングホールを配置したものに対し1.2倍)する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施の形態を説明する。図1,図2に示すように、シリコン基板10の上面に誘電体薄膜12が成膜されている。このとき、シリコン基板10の上面に平面形状が矩形状で有底の窪み14が形成され、上記誘電体薄膜12によりその窪み14の開放部分が覆われるようになっている。
【0022】
そして、窪み14に対向する誘電体薄膜12の部分には、<110>と平行に方向付けられた第1エッチングホール16と、<−110>と平行に方向付けられた第2エッチングホール17が形成され、これら第1,第2エッチングホール16,17は、中央部で交差し、全体として十字状になるように配置されている。そして、上記交差は、窪み14の中心位置に位置するように形成している。
【0023】
さらに、個々のエッチングホール16,17の形状は、平行四辺形としている。そして、長辺16aが<110>,<−110>と平行な方向に延びるように形成される。また、各短辺16b,17bは、それぞれ長辺16a,17aに対して45度傾斜するようになっている。なお、中央の交差部分のエッチングホール15は、正方形にし、上記短辺16b,17bと平行になるようにしている。つまり、上記した<110>方向や<−110>方向に対して45度傾斜状としている。
【0024】
さらに、各エッチングホール15,16,17に外接する長方形を仮想した場合、隣接するエッチングホールにおける仮想長方形の少なくとも一部が接触或いは重複するように、各エッチングホール15〜17を形成している。
【0025】
また、誘電体薄膜12の上面(窪み14の上方)には、多数の熱電変換素子18が配置される。この各熱電変換素子18には、引出配線パターン19の一端が接続され、また引出配線パターン19の他端は、シリコン基板10と誘電体薄膜12が接合されている外周囲部分に引き出される。そして、他端には端子19aが形成され、その端子19aを介して熱電変換素子18で検出した信号が外部に出力可能となっている。
【0026】
ところで、本形態の製造プロセスとしては、平板状(窪み14のない)シリコン基板10の上面に誘電体薄膜12を成膜し、その誘電体薄膜12の表面に熱電変換素子18や引出配線パターン19等を形成するとともに、フォトリソグラフィ技術を用いて誘電体薄膜12の所定位置に、各エッチングホール15〜17を形成する。
【0027】
その後、エッチング液にシリコン基板10ごと浸漬することにより、その各エッチングホール15〜17を介して露出するシリコン基板10の表面がエッチング液により徐々にエッチングされ、最終的に上記した所定形状の窪み14が形成される。なお、このエッチングの際には、シリコン基板10の裏面側にも所定の保護膜を成膜し、除去されないようにする。
【0028】
次に、上記したエッチングホール15〜17のパターン形状により、平面矩形状(逆角錐台形状の空間)からなる窪み14が形成される原理を説明する。まず、良く知られているように、(100)面に平行な表面に異方性エッチングをすると、エッチングホール15〜17により開口されている部分が、<100>方向、つまり、基板表面と垂直方向にエッチングされる。さらに、水平方向に対しては、<110>方向,<−100>方向に形成されたエッチングホールの場合、当該方向には(111)面が露出するのでエッチングレートの相違から、エッチングが進みにくく、それら各方向と45度で交差する短辺16b,17bと平行な面に向かってエッチングが進む。
【0029】
これにより、図3中破線で示すように、第1,第2エッチングホール16,17の頂点が外接する仮想長方形の領域25にあるシリコン基板10がエッチングされる。同様に、正方形のエッチングホール15の頂点が接する仮想正方形の領域26にあるシリコン基板10もエッチングされる。すると、各領域25,26は、隣接するもの同士が連続されることになり、結果として図4中ハッチングで示すように、シリコン基板10の表面のうち、各エッチングホール15〜17に沿った十字状の領域27が、エッチングにより除去されることになる。
【0030】
このように、エッチングされた領域27が交差することにより、(411)面という最速エッチング面が現れるので、図4中矢印で示す方向にエッチングが急速に進む。つまり、エッチングで除去された領域27で区切られた領域29(この段階ではエッチングされていない)は、(411)面へのエッチングにより各領域29の対角線方向に進む。
【0031】
そして、対角線に達すると、(411)面がなくなり、新たに(100)面がエッチングを支配する。そして、領域29内をエッチングすると、周囲は(111)となり、それ以上のエッチングは行われず、エッチングが終了する。これにより、平面略矩形状の窪み14が形成される。
【0032】
これにより、従来のもの(<100>方向や<−110>方向と45度傾斜する方向に矩形状のエッチングホールを形成するもの)に比べて、結果として短時間で窪み14を製造することが可能となる。
【0033】
上記した実施の形態では、第1,第2エッチングホール16,17の交差部分に正方形状のエッチングホール15を設けたが、両エッチングホール16,17に外接する仮想長方形の領域26が連結して(411)面が現れるように形成できればエッチングホール15は特に設けなくても良い。
【0034】
また、上記した実施の形態では、第1,第2エッチングホール16,17の形状を平行四辺形としたが、本発明はこれに限ることはなく例えば図5に示すように、長手方向両端の2つの角をそれぞれ面取りした六角形状としてもよい。つまり、<100>方向や<−110>方向と平行な長辺16a,17aの両端に接続された斜辺16c,17cは、各長辺16a,17aに対して45度傾斜するようにしている。
【0035】
さらに、この第1,第2エッチングホール16,17の頂点が外接する仮想長方形の領域25が接したり、一部重複する等して連続するように形成する。そして、接する形態としては、上記した実施の形態のように線接触するものに限ることはなく、図5(a)の交差部分に示すように点接触するものでもよい。係る形状としても、交差する部分で(411)が現れるからである。
【0036】
さらに、図示の例では、交差する領域に上記した実施の形態のように別途エッチングホールを設けていないが、この交差領域28も、周囲に存在する4つの仮想長方形の領域25(この部分は、エッチングされている)によって囲まれ、(411)面が現れるので、上記と同様に高速エッチングされて除去される。
【0037】
また、エッチングホール16,17の別の形状としては、図5(b)に示すように長手方向両側のうち、一方を1本の短辺17bとし、他方を同図(a)と同様に2本の斜辺17cを設け、中心に向けて先細り状となるようにしても良い。この場合にも、エッチングホール16,17の頂点に外接する仮想長方形の領域25がまずエッチングされ、次いでその領域25が連結されて出現される(411)面に向けてエッチングが進むことにより、窪み14が形成される。
【0038】
さらに第1,第2エッチングホールの別の形状としては、図6に示すように、底角45度の等脚台形としてもよく、要は、<100>方向や<−110>方向と平行な辺と、その方向に対して45度傾斜した辺を備えていればよい。
【0039】
さらに、図5(a)のようにパターン形成した場合、同一方向に並ぶ第1,第2エッチングホール16,17の頂点が外接する仮想長方形の領域25同士を直接接するようにすると、その第1,第2エッチングホール16,17の両端の頂点P同士が接続することになり好ましくない。
【0040】
そこで、図7(a)に示すように、頂点P同士を所定距離だけ離し、その間に三角形状の補助エッチングホール30を設けた。この補助エッチングホール30は、底辺30aが<100>方向や<−110>方向と平行な直角二等辺三角形とし、その三角形(3つの頂点)が外接する仮想長方形の領域32が、第1,第2エッチングホール16,17が外接する仮想長方形の領域25に接続されるようにする。
【0041】
隣接する領域25同士は、領域32を介して接続されることになり、1本に連続することが可能となる。また、それら領域25,32は、上記した原理にしたがい所定深さエッチングされるが、それら領域25,32で囲まれた領域33はエッチングされずに残る。しかし、領域25,32でエッチングされた部分が連結されることにより、(411)面が現れ、当該領域33も除去される。
【0042】
次に、実際のエッチングの進行状況を図を追って説明する。まず、エッチングホールを図8に示すようなパターン(図5(a),図7に示すパターン)とした場合、開始からおよそ15分で図9に示すように、エッチングホールの斜辺16c,17cと平行な面(110)と、表面と平行な(100)面に向かってエッチングが進む。そして、長辺16a,17aと平行な(111)面は、エッチングが進まない。
【0043】
そして、30分程度経過すると、さらにエッチングが進み、図10に示すように、各領域25,32は(111)面に囲まれてそれ以上のエッチングが停止する。このとき、各領域は、接触する。
【0044】
すると、この接触により(411)面が現れるので、それまでエッチングされなかった領域28,29,33が、その(411)面に向かって急速にエッチングが進む。これより、1時間程度経過すると、図11のようになり、2時間経過程度すると、図12に示すように、領域28,32は完全に除去される。なお、図8から図11までは、縮尺を等しくして描画しており、図12以降は、図11までのものに比べ、1/10にして描画している。
【0045】
そして、時間の経過に伴い、図12(2時間経過)、図13(4時間経過)、図14(8時間経過)となり、領域29もほぼエッチングされる。この状態では、(411)面がまだ残っている。
【0046】
さらに、12時間経過すると、図15のように、(411)面がほぼなくなり、(100)面に向かってさらにエッチングが進む。そして、図16(16時間経過)に示すように、(411)面がなくなり、(100)面に支配されてエッチングが進むことにより、最終的にほぼ矩形状の窪み14が形成され、エッチングが終了する。なお、上記した説明中の経過時間は、いずれもエッチング開始時からのものである。
【0047】
図17〜図19は、本発明の他の実施の形態を示している。すなわち、上記した実施の形態で、第1,第2エッチングホールは、十字状に交差するようにしたが、本形態では、H状に形成している。
【0048】
すなわち、窪み14の形成位置の中央に<110>方向に伸びる第1エッチングホール16を設けるのは同じであるが、<−110>方向に伸びる第2エッチングホール17を、第1エッチングホール16の両端、つまり窪み14の形成領域の周縁に沿うように2本設けている。
【0049】
そして、この例では、各エッチングホール16,17の形状は平行四辺形とし、交差部分に正方形状のエッチングホール15を配置しているが、各エッチングホールの形状は、上記した各変形例と同様に各種の形状を採ることができる。
【0050】
さらに、誘電体薄膜12の上面には、抵抗素子配線35a,35bを設けている。この抵抗素子配線35a,35bは複数回折り返され、その両端が窪み14の外側に配置されている。この抵抗素子配線35a,35bに電流を流すことにより、発熱する。つまり、抵抗素子配線35a,35bはヒータ線を構成し、半導体装置全体では、マイクロヒータ,フローセンサを構成している。
【0051】
また、一方の抵抗素子配線(第1の抵抗素子)35aが過熱させるもので、他方の抵抗素子配線(第2の抵抗素子)35bが温度の変化を捉えるように機能させる(温度変化により抵抗値が変化するので、それを検出する)ように構成してもよい。
【0052】
また、誘電体薄膜12の上面に形成するのは、上記のように抵抗素子配線に限ることはなく、図18に示すように、通電して発熱するヒータとして機能させるための抵抗素子配線35と、温度の変化を捉える熱電変換素子としての熱電対36を形成するように構成しても良い。
【0053】
そして、いずれの場合も、第1エッチングホール16が窪み14の中央部位を横断するように1本設けられるものの、窪み14の上方の誘電体薄膜12のうちで、各エッチングホール16,17で区切られる領域に着目すると、2つの大きな長方形状となり、その長方形の領域にそれぞれ抵抗素子配線35a,35b,35や、熱電対36を配置することができる。つまり、十分大きな領域に配線を引き回すことができ、高出力化が可能となる。
【0054】
しかも、図から明らかなように、抵抗素子配線35a,35b,35,熱電対36の配線方向が、デバイスのダイシング方向に対して平行とすることができ、実装時に測定対象物の流体の流れ方向と、半導体装置とを平行にすることができ、作業効率が上がる。
【0055】
そして、図17,図18に示す構造の半導体装置において、窪み14を製造するには、上記した各実施の形態と同様に、誘電体薄膜12にエッチングホールを形成した状態でシリコン基板をエッチング液に浸す。すると、まず各エッチングホール16,17により露出するシリコン基板表面と、斜辺と直交する方向に向かってエッチングが進み、H字状に除去される。
【0056】
これにより、(411)面が出現するので、図19中破線で示すように、その(411)面に向かってエッチングが進み、最終的には(100)面に支配されてエッチングが進む。よって、矩形状の窪み14が形成される。なお、その他の構成並びに作用効果及びエッチングの動作原理等は、上記した各実施の形態並びにその変形例と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0057】
なお、上記した各実施の形態では、第1,第2エッチングホール16,17の配置レイアウトは、十字状とH字状としたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、第1エッチングホールを誘電体薄膜の周縁に位置させ、全体としてコ字状(1列の第1エッチングホールの両端にそれぞれ第2エッチングホールを設ける)としたり、L字状(1列の第1エッチングホールの一方の端部に第2エッチングホールを設ける)等の他各種のパターンを採ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体装置では、第1,第2エッチングホールで区切られる誘電体薄膜上の領域が、矩形状となって配線パターンが単純となる。よって、配線パターンが切断されるおそれも可及的に抑制し、歩留まりが向上する。しかも、直線部分を多くとれ、折曲する回数も少なくできるので、配線の抵抗値が下げられ、小型化を図ることができる。
【0059】
しかも、エッチングホールを介してエッチングして窪みを製造する際に、(411)面の最速エッチングを利用できるので、結果として短時間で窪みを製造することができる。
【0060】
特に、請求項2のように構成すると、窪みに対向する誘電体薄膜の表面を4つの矩形状の領域に均等に配置できるので、回路パターンの配置レイアウトが容易に行える。
【0061】
また、請求項4のように構成すると、交差部に設けたエッチングホールにより、交差部も迅速にエッチングされ、また、エッチングホールにより除去された領域を介して第1,第2エッチングホールに基づいて除去された領域が接続されればよいので、第1,第2エッチングホールの形状や配置レイアウトの自由度も増す。
【0062】
請求項5のように構成すると、第1エッチングホール同士、及びまたは第2エッチングホール同士の接続が容易に行え、各エッチングホールの形状・配置レイアウトの自由度も増す。
【0063】
そして、具体的な半導体装置としての利用を想定した場合、回路パターンを請求項6から9のように構成することができ、その場合に、第1,第2エッチングホールの配置レイアウトを連続する第1のエッチングホールの終端に、前記第2のエッチングホールを設けるようにすると、効率良くしかも広範囲の領域にわたって抵抗素子や熱電素子を配置できるので、好ましく、素子の高性能化を招く。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体装置の好適な一実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図である。
【図3】エッチング(窪み作成)の作用を説明する図である。
【図4】エッチング(窪み作成)の作用を説明する図である。
【図5】エッチングホールの他の形態を示す図である。
【図6】エッチングホールの他の形態を示す図である。
【図7】エッチングホールの他の形態を示す図である。
【図8】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図9】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図10】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図11】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図12】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図13】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図14】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図15】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図16】具体的なエッチング行程を示す図である。
【図17】本発明に係る半導体装置の好適な別の実施の形態を示す平面図である。
【図18】本発明に係る半導体装置の好適なさらに別の実施の形態を示す平面図である。
【図19】図17,図18に示す半導体装置における窪みの製造工程を説明する図である。
【符号の説明】
10 シリコン基板
12 誘電体薄膜
14 窪み
15 エッチングホール
16 第1エッチングホール
17 第2エッチングホール
30 補助エッチングホール
Claims (9)
- (100)面と<110>方向を有し、(100)面に平行な表面に異方性エッチングで形成された窪みを有する半導体基板と、
前記窪みを覆うように前記半導体基板に設けられた誘電体薄膜とを備え、
前記窪みに対向する前記誘電体薄膜には、複数のエッチングホールが設けられており、
前記複数のエッチングホールに含まれる個々のエッチングホールのいくつかにより、少なくとも<110>方向に配列された第1エッチングホールと<−110>方向に配列された第2エッチングホールとが構成され、
前記第1,第2エッチングホールを構成する個々のエッチングホールは、前記<110>,<−110>方向に対して傾斜する辺を有し、
<110>方向並びにそれと直交する方向に辺をもつ前記複数のエッチングホールのそれぞれに外接する仮想長方形を想定した場合に、
前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールの交差部において、前記第1エッチングホールを構成するいずれかのエッチングホールの前記仮想長方形と前記第2エッチングホールを構成するいずれかのエッチングホールの前記仮想長方形とが直接的に連続しているか、または、前記複数のエッチングホールには含まれるが第1、第2エッチングホールを構成しない別のエッチングホールの仮想長方形を介して連続していることを特徴とする半導体装置。 - 前記第1エッチングホールと第2エッチングホールは、前記窪みの中央で交差することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールは、前記窪みの周縁で交差することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1エッチングホールと、前記第2エッチングホールの交差部分に、別のエッチングホールを設けたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1エッチングホールと前記第2エッチングホールの交差部以外の隣接する前記仮想長方形は直接的に連続しているか、または、前記複数のエッチングホールには含まれるが第1、第2エッチングホールを構成しない補助エッチングホールの前記仮想長方形を介して連続していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記誘電体薄膜上に回路パターンを備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記回路パターンが所定形状の抵抗素子と熱電変換素子の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
- 前記回路パターンは、前記誘電体薄膜上に所定形状の一定の発熱作用のある第1の抵抗素子と、温度の変化を捉える第2の抵抗素子を備えたものであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
- 前記回路パターンは、前記誘電体薄膜上に所定形状の一定の発熱作用のある第1の抵抗素子と、温度の変化を捉える熱電変換素子を備えたものであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
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