JP3692482B2 - 静電容量に基づく物体検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極と物体との間に形成される静電容量に基づいて物体の接近を検知する装置に関し、特に、これに限定する意図ではないが、車両周辺の障害物を検出する障害物検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両周辺の障害物を検出する装置としては、導体板に高周波電圧を印加し、障害物の接近に伴い変化する導体板の入力インピーダンスの変化から障害物の有無を検知する装置が多数あり、例えば、特開昭58−115384号公報,特開昭60−111983号公報,特開平3−233390号公報あるいは米国特許第3,689,814号明細書に開示されている。
【0003】
それらの検出原理の代表的なものの1つは、発振回路の出力をR,C直列回路に出力する。ここでCは検出電極と障害物との間に形成される静電容量である。検出電極の面積をSとすると、障害物が有る場合にはそれと検出電極との距離DとSに対応する静電容量Cが形成される。静電容量C(障害物との距離D)の変化により、検出電極の端子電圧が変化する。この端子電圧の変化を監視して障害物の接近を感知する。もう1つのものでは、発振回路の発振定数に上述の静電容量Cを導入している。障害物の接近によりCが変化し発振周波数が変化する。この変化を監視して障害物の接近を感知する。
【0004】
ところが、静電容量Cは、障害物以外の周囲条件によっても変化する。例えば温度,湿度,天候,地形,周囲の建造物,あるいは走行車両などにより変化する。特に車両上で障害物検知を行なう場合、検出電極は車両上に限られるので、車の外周りの環境によって静電容量Cが大きく変化し易く、検出電極直近への障害物の接近のみを正確に検知するのが難かしい。
【0005】
そこで本発明者等は、静電容量Cの零点補正を正確に行なう障害物検出装置を開発し提示した(特願平7−313122号)。この障害物検出装置は、障害物との間に静電容量を形成する第1電極,この第1電極に平行な第2電極、および、第2電極と平行に、第2電極に関し第1電極と反対側に配置され、接地電位に接続された第3電極、を用いるものである。第1電極を接地電位に接続することにより第2電極を第1電極および第3電極でシ−ルドして、そのときの第2電極の対地静電容量に従って発振器を励振し、発振が基準状態となるように、第2電極に並列接続した電気回路の容量を調整している。この調整により、障害物検出電極(第2電極)の、発振器から見た見掛け上の静電容量が基準値に設定されたことになる。この調整が終わると、第1電極を接地電位から分離して第2電極に接続する。これにより第1および第2電極が障害物検出用の電極となる。発振器の発振レベルが低下すると、障害物有信号が発生される。つまり、障害物の接近により、第1電極の静電容量が変化するのに伴い、発振器の発振条件が満たされなくなり、発振器の発振レベルが低下もしくは停止する。これを電気回路が検知して障害物有信号を発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使用環境の変化により、第1電極の対地静電容量が変化してしまうことがある。例えば、第1〜第3電極を収納した絶縁体ケ−スをバンパの裏側に装着した場合、絶縁体ケ−スに水滴や泥等の付着物があり、それが第1電極の障害物探知側の面(対物面)に対向する位置であると発振器の発振レベルが低下する。この低下は障害物が接近した場合の低下よりかなり低いので、障害物有り信号を誤発生することはない。しかし、その状態で障害物が接近したとき、障害物距離に対する発振レベルの関係がずれるので、障害物が検知領域(警報領域)に入っていないときに障害物有り信号(警報信号)を発生する可能性が高くなる。
【0007】
本発明は、上述の第1〜第3電極を用いる障害物検出装置の改良に関し、電極収納ケ−スに水滴や泥等の付着物があった場合の障害物検出の信頼性を高くすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明の物体検出装置は、物体との間に静電容量を形成するための第1電極(10a);
第1電極と平行な第2電極(10b);
第2電極と平行に、第2電極に関し第1電極と反対側に配置され、基準電位(ア-ス)に接続された第3電極(10c);
第1電極を、第2電極と基準電位の一方に選択的に接続する接続切替手段(Csw);
第2電極と基準電位の間の静電容量に対応するレベル(VL)の電気信号を発生するための発振手段(3);
第2電極と基準電位の間の静電容量に対する、前記発振手段が発生する電気信号のレベル(VL)を、調整するレベル調整手段(2);
前記接続切替手段(Csw)を介して第1電極(10a)を基準電位に接続して前記レベル調整手段(2)を介して前記レベル(VL)を設定値(Vx)に定めた後、前記接続切替手段(Csw)を介して第1電極(10a)を第2電極(10b)に接続し、前記発振手段(3)が発生する電気信号のレベルを、検出環境変動による第1電極(10a)と基準電位の間の静電容量の変動分対応の調整値分変更した値、に基づいて第1電極(10a)への物体の接近を検出する監視手段(1);
を備える。なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号又は対応事項を、参考までに付記した。
【0009】
監視手段(1)が、接続切替手段(Csw)を介して第1電極(10a)を基準電位に接続すると、第1電極(10a)が基準電位(ア-ス)となり、同じく基準電位の第3電極(10c)と第1電極(10a)に挾まれた第2電極(10b)は、静電遮蔽されて、障害物のある無しに関係なく容量が一定となる(基準状態)。この状態で監視手段(1)が、レベル調整手段(2)を介して前記レベル(VL)を設定値(Vx)に定めるので、発振手段(3)の出力レベルが、基準状態で設定値(Vx)すなわち基準値となる。すなわち発振手段(3)の発振条件が基準値に定まる。これが発振手段(3)の零点補正である。
【0010】
次に監視手段(1)が、接続切替手段(Csw)を介して第1電極(10a)を第2電極(10b)に接続し、前記発振手段(3)が発生する電気信号のレベルを、検出環境変動による第1電極(10a)と基準電位の間の静電容量の変動分対応の調整値分変更した値、に基づいて第1電極(10a)への物体の接近を検出する。
【0011】
これにより、水,泥跳ねにより障害物が無いにもかかわらず、あるいは障害物が検知領域に入っていないにもかかわらず、障害物有りと検出するのが防止される。障害物の有無判定の信頼性が向上する。
【0012】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0013】
【発明の実施の形態】
【0014】
【実施例】
図1に、本発明の一実施例のシステム構成を示し、図2には、図1に示した共振/結合回路2の回路構成を示す。本実施例は、車両の前部バンパおよび後部バンパに搭載されるものであり、後述する第1電極10aより約40〜50cm以内の範囲における障害物を検知する。まず、この障害物検出装置の主要構成及び障害物検出機能の概要を説明する。
【0015】
水晶発振器を含む発振回路3は、共振/結合回路2に接続されており、高周波の交流電圧v1を発生して、共振/結合回路2内部の誘導コイルL(図2)の1次側に印加する。誘導コイルLの2次側には、電極ユニット10の第2電極10bが接続されている。電極ユニット10は、相互に平行な第1電極10a,第2電極10bおよび第3電極10cで構成される。切替回路Cswは、第1電極10aを、第2電極10b又はグランド(接地:基準電位)に選択的に接続する。切替回路Cswが第1電極10aを第2電極10bに接続している状態が、障害物検出を行なう状態(検出モ−ド)であり、第1および第2電極10a,10bが共振/結合回路2の誘導コイルLの2次側に並列接続されている。切替回路Cswが第1電極10aをグランドに接続している状態では、第2電極10aが、接地された第1電極10aと第3電極10cで、シ−ルドされることになる(零点補正モ−ド)。
【0016】
図3の(a)に、検出モ−ドのときの、電極ユニット10周りの電気力線の分布を示し、図3の(b)に零点補正モ−ドのときの電気力線の分布を示す。図3の(a)に示す検出モードにおいては、第1電極10aと第2電極10bが接続され、第1電極10aと第2電極10bとの接続点と、グランドとの間に交流電圧vnが印加される。第3電極10cは接地(グランド接続)されている。第1電極10a〜第3電極10cは平行平板であり、2枚の電極を一組で、一種のコンデンサと考えると、第2電極10bと第3電極10cの間の静電容量Co1は、両者間の距離をdとし、真空の誘電率をεo,各電極の比誘電率をεrとするとともに、互いに向い合う面積をSとすれば、
Co1=〔εo・εr・S〕/d
で表される。第1電極10aの遠方に仮想境界LLを想定し、仮想境界LLまでの第1電極10aからの放射電界における静電容量をCsとすれば、第2電極10aとグランド(接地された第3電極10c)との間のインピーダンスZin1は、第2電極10bと第3電極10c間のインピーダンス〔−1/(jωCo1)〕と、第1電極10aと仮想境界LL間のインピーダンス〔−1/(jωCs)の合成となり、
Zin1=−1/〔jω(Co1+Cs)〕
で示される。ここで、仮想境界LLと第1電極10aの間に、人,建造物,金属等の障害物が存在すると、仮想境界LLと第1電極10a間の放射電界の静電容量Csが変化する。これにより、インピーダンスZin1が変化する。なお、第2電極10bと第3電極10cの間の静電容量Co1は、第3電極10cが接地されていることにより一定となる。
【0017】
図3の(b)に示す零点補正モードにおいては、第2電極10bと第3電極10cとの間に交流電圧vnが印加される。この時、第1電極10aと第2電極10bは切り離され、第1電極10a及び第3電極10cは接地されており、第2電極10bから放射される電界は、静電遮蔽される。従って、無限遠方の仮想境界LLと第1電極10aとの間の障害物の存在の有無にかかわらず、第2電極10bとグランド(接地された第1および第3電極10a,10c)との間のインピーダンスZin2は、第2電極10bと第1電極10a間のインピーダンス〔−1/(jωCo2)〕と、第2電極10aと第3電極10c間のインピーダンス〔−1/(jωCo1)〕の合成となり、
Zin2=−1/〔jω(Co1+Co2)〕
で示される。ここで、第2電極10bと第1電極10aの間の静電容量Co2は、第1電極10aが接地されていることにより一定であるので、このインピ−ダンスZin2は、無限遠方の仮想境界LLと第1電極10aとの間の障害物の存在の有無にかかわらず、一定である。静電容量Co2は、検出モードにおいて無限遠方の仮想境界LLと第1電極10aとの間に障害物が存在しない時の、仮想境界LLと第1電極10a間の静電容量Csに等しい。従って、Zin2は無限遠方の仮想境界LLと第1電極10aとの間に障害物が存在しない時の第2電極10bとグランド間のインピーダンスZin1に等しい。
【0018】
再び図1を参照されたい。電源回路Pが直流の定電圧Vccを、電気回路各要素に印加する。本実施例において、図1に示した障害物検出装置の検出制御を行うのは、CPU(中央演算処理装置)1である。CPU1のI/OポートであるI/O−3には、切替回路Cswが接続されており、CPU1は切替信号S3を出力して切替回路Cswを駆動し、電極ユニット10の各電極間の接続態様を、検出モードあるいは零点補正モードに設定する。
【0019】
CPU1は、「検出モード」あるいは「零点補正モード」に切替回路Cswのモードを切替えた直後に、まず発振回路3の発振を安定させる。発振回路3の発振を安定させる為にCPU1は、交流電圧v1の発振レベルを表す直流電圧信号である発振レベルVLを読み込む。次に、発振レベルVLに応じて、共振/結合回路2が発振回路3の発振条件を満たすようなデジタルデータ制御電圧Vmを算出する。そして、I/OポートのIO−2からラダー抵抗RAを介してデジタルデータ制御電圧VmをD/A変換し、共振/結合回路2に与える。後述するが、「検出モード」と「零点補正モード」では、制御電圧Vmの電圧レベルが異る。制御電圧Vmは共振/結合回路2内部のバリキャップダイオード(可変容量ダイオード)VD(図2)の直列コンデンサCz1側に印加され、制御電圧Vmの電圧レベルに応じたバリキャップダイオードVDの容量変化により、共振/結合回路2の2次側の静電容量が変化し、発振回路3の発振条件が満たされて発振が安定する。
【0020】
CPU1からの切替信号S3に応じた切替回路Cswの切替により、電極ユニット10が検出モード(図1で、切替回路CswのスイッチがTa側に接:図3の(a))となっており、発振回路3の発振が安定している場合において、電極ユニット10(電極10a)に、人,建造物,金属等の障害物が接近すると、電極ユニット10のインピーダンスZin1が変化する。ここで、切替回路Cswの容量が一定であれば、電極ユニット10のインピーダンスZin1の変化に応じて共振/結合回路2の2次側の容量が変化する。これに伴い、発振回路3の発振条件が満たされなくなり、発振回路3の発生する交流電圧v1の発振レベルが変化する。障害物が直近に存在すると、発振が停止することもある。
【0021】
発振回路3には、検波/増幅回路4が接続されており、交流電圧v1を検波・増幅し、交流電圧v1の発振レベルの変化に応じて増減する直流の電圧である発振レベルVLに変換してCPU1のI/OポートのIO−1に与える。CPU1は、発振レベルVLを、障害物と電極ユニット10間の距離に比例したデジタル信号に変換し、I/OポートのIO−4からラダー抵抗RBを介して直流電圧にD/A変換してアナログ信号S1として外部に出力する。アナログ信号S1は、図示しない警報チャイムの周波数制御さらに、後述する異常判定に使われる。またCPU1は、発振レベルVLがしきい値以下となると、I/OポートのIO−5からON/OFF信号すなわち障害物の有無を表わす2値信号S2を出力する。この2値信号S2は、障害物検出装置が障害物を検知したことを知らせるものであり、前述の警報チャイムや図示しない表示ランプの電源投入に使われる。
【0022】
図4に、切替回路Cswの回路構成を示す。CPU1が与える切替信号S3が零点補正モードを指定するLレベルになると、PNPトランジスタであるTR1がON状態になり、ダイオードD2bのアノード側がVccレベルになるのでダイオードD2bがオンされ、第1電極10aはコンデンサC1を介して高周波的にGND状態になる。すなわち発振回路3が発生する高周波に関しては接地となる。同時に、NPNトランジスタであるTR2のベース電位がHレベルになり、トランジスタTR2がオンとなる。共振/結合回路2のコイルL(図2)の端子2bには、トランジスタTR2がオフの場合には、バイアス回路40の抵抗R2,R3によるVccの分圧すなわち直流バイアス電圧Vbがかけられている。しかし、トランジスタTR2がオンとなることにより、端子2bが実質上接地状態となるので、直流バイアスVbが0Vとなり、スイッチ回路50のダイオードD2aのアノード側すなわち第2電極10bには、コイルLの2次側に交流電圧v1により誘置された高周波の交流電圧vnが、0Vを中心に印加される。
【0023】
このとき、ダイオードD2aのカソード側は、トランジスタTR1及びダイオードD2bのオンにより、ほぼVccレベルになっているため、ダイオードD2aはオフである。ダイオードD2aのオフにより、第1電極10aと第2電極10bは切り離された状態になるので、第2電極10bがGND電極に挾まれた図3(b)に示す「零点補正モード」になり、第1電極10aの前の障害物mの有無に関係なく、電極ユニット10(第2電極10b)の静電容量(Co1,Co2)すなわち入力インピーダンスZin2が定まるので、共振/結合回路2の結合容量が決定し、発振回路3の発振条件が定まる。
【0024】
切替信号S3のレベルが、検出モ−ドを指定するHレベルになるとトランジスタTR1はオフとなり、ダイオードD2bのアノード側が0Vになるので、ダイオードDb2はオフ状態になる。これと同時にトランジスタTR2のベース電位が0Vになり、トランジスタTR2はオフする。トランジスタTR2がオフすると、コイルLの端子2bには、抵抗R2,R3によるVccの分圧すなわち直流バイアス電圧Vbがかかる。これにより、コイルLの端子2aに表れる信号波形は、コイルLの端子2bにかかる直流バイアス電圧Vbに高周波の交流電圧vnが重なり、直流バイアス電圧Vbを中心にして交流電圧vnの波高値分だけ振動する脈流の高周波信号Vsになる。
【0025】
この高周波信号Vsの最大値は、D1a,D1b,R1,C1からなる制限回路30によって制限される。つまり、高周波信号Vsの最大値がVccを越えると、制限回路30のダイオードD1bのカソード側よりアノード側が高電位となるので、ダイオードD1bがオンとなり、ダイオードD1aのアノード側よりカソード側が高電位となるのでダイオードD1aがオフとなる。こうして、制限回路30に流れ込んだVccを越える高周波信号成分Vsは、R1,C1を介してGNDに逃がされ、その最大値はVccに制限される。なお、制限回路30は「零点補正モード」においても、電源投入時や切替信号S3の切替時に、一時的に大電圧が印加されてもVccを越えるものについては遮断して(GNDに逃がして)、ダイオードD2aがオンするのを防止する。
【0026】
脈流の高周波信号VsはダイオードD2aのアノード側にかかり、ダイオードD2aはオン状態となる。ダイオードD2aのカソード側には定電流回路20のトランジスタTR3のコレクタ側が接続されている。トランジスタTR3,抵抗R5〜R8からなる定電流回路20には、VccとR5,R7の値で決定される一定電流が流れる。定電流回路20は、制限回路30により入力の最大値を制限されているので、常に安定して定電流回路として働くことができる。通常ダイオードは、オン時に流れる順方向電流の影響を受けて、オン時とオフ時で接合容量が異る。しかし、本実施例においては、定電流回路20を設けてダイオードD2aのオン時の電流を定め、ダイオードD2aに流れる電流をオン・オフにかかわらずに一定とすることによりダイオードD2aの容量を一定としている。また、高周波信号Vsにより印加される電圧に変化があっても、第1電極10aと第2電極10bに流れる電流値が一定になるので、双方の電極は同じ導通条件となり、電極ユニット10(第1電極10a)の前方にある障害物を検知することができる。
【0027】
図5,図6及び図7に、CPU1の制御動作を示す。まず図5を参照する。電源Vccが供給されると、CPU1は、ステップ1において初期化すなわち、内部レジスタ,フラグ等、メモリのクリアを実行する。以下、カッコ内には「ステップ」という言葉を省略してステップ番号のみを示す。
【0028】
「零点補正モード」:ステップ2〜11
初期化が終了するとCPUはまず、ポートI/O−3の切替信号S3をLレベル(零点補正モ−ド指定)とする(2)。これにより、切替回路Cswを介して電極ユニット10が「零点補正モード」の接続(図3の(b)となる。ここでCPU1は、回数フラグF1の内容に1を加算する(3)。初回であれば回数フラグF1にはデータが存在しないので、0+1=1となる。そして、ポートI/O−1より、発振レベルVLを読み込んで(4)、デジタル変換し、その値が「零点補正モード」の第1設定値Vxであるかを判定する(5)。
【0029】
ここで、発振レベルVLが第1設定値Vxでなければ、ステップ6に進み、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差を算出し、CPU1の内部メモリに記憶する。そして、今回の「零点補正モード」のルーチン(2〜11)実行においてステップ6で算出した、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差と、やはりCPU1の内部メモリに記憶されている、前回の「零点補正モード」ルーチン実行においてステップ6で算出した、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差とを比較し、今回算出した発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差が、前回算出した偏差より小さければ、発振レベルVLは安定しつつあると判断して、ステップ10に進む。しかし、今回算出した発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差が、前回算出した偏差以上(同値も含む)であれば、発振レベルVLは発散の傾向にあると判断して、ステップ8に進む(7)。ここで、今回の「零点補正モード」ルーチン実行が初回であり、内部メモリに前回の偏差が記憶されていなければ、CPU1はそのままステップ10に進む。
【0030】
発振レベルVLが発散の傾向にあると判断されると、CPU1は、回数フラグF1をチェックする(8)。ここで、「零点補正モード」ルーチン実行の回数を示す回数フラグF1の内容が、所定数Fnに達していない場合には、CPU1はステップ10に戻る。しかし、回数フラグF1の内容が所定数Fnに達していることを示すFnである場合には、CPU1は「異常判定」(9)に進み、そこでCPU1は、アナログ信号S1を異常を示すデータに設定してポートI/O−4から出力する。これにより、外部の図示しない警報ランプが点滅する。
【0031】
発振レベルVLが収束しつつある場合あるいは、発振レベルVLが発散の傾向にあっても、ルーチン実行の回数を示す回数フラグF1の内容が、所定数Fnに達していない場合には、CPU1はステップ6で算出した偏差を補償する(零とする)ための制御電圧Vmの補正値を算出し、この補正値を現在出力中の制御電圧に加えた値を算出し(10)、算出値に制御電圧Vmを変更する(11)。すなわち算出したデジタルデータ制御電圧Vmを、ポートI/O−2より共振/結合回路2に出力する。そしてステップ3に戻る。
【0032】
こうしてCPU1は、発振レベルVLが第1設定値Vxになるまでステップ3〜ステップ11の処理を繰り返し、発振レベルVLが第1設定値Vxとなると、ステップ12に進む。また、ステップ3〜ステップ11の実行ルーチンを回数フラグF1の内容が、所定数Fnに達するまで繰り返しても発振レベルVLが第1設定値Vxに一致しない場合には、ステップ9の異常判定の処理を行う。
【0033】
「検出モード」:ステップ12〜23
ステップ12においてCPUは、ポートI/O−3より切替信号S3を、検出モ−ドを指定するHレベルとする。これにより、切替回路Cswを介して電極ユニット10が「検出モード」の接続に切替わる。そして、「零点補正モード」における制御電圧Vmの値に、第2設定値vyを加算して、「検出モード」の制御電圧Vmとして出力する(13)。
【0034】
「零点補正モード」において設定した制御電圧Vmのレベルを、第2設定値vyだけ増加することにより、「零点補正モード」において設定された値より共振/結合回路2の容量が減少し、発振回路3の発振レベルVLが増加する。これは、電極ユニット10の容器に付着した水滴,泥水等により検出側の容量(共振/結合回路2,切替回路Csw,電極ユニット10の合成容量)が増加して発振回路3の発振レベルVLが減少し、CPU1が障害物有りと誤認識するのを、予め水滴,泥水等による容量の増加分(見込量)よりやや大きい量だけ検出側の容量を差し引いておくことにより防止する為である。
【0035】
なお、以下に述べる「検出モード」の実行ルーチンの説明において、制御電圧Vmとは、「零点補正モード」における制御電圧Vmの値に第2設定値vyを加算したものである。
【0036】
次にCPU1は、回数フラグF2の内容に1を加算する(14)。ステップ12〜22の「検出モード」ルーチン実行が初回であれば、回数フラグF2にはデータが存在しないので、0+1=1となる。そして、ポートI/O−1より、発振レベルVLを読み込んで(15)、デジタル変換し、その値が第1設定値VxからVx+dVまでの範囲にあるかを判定する(16)。dVは、制御電圧Vmのレベルを第2設定値vyだけ増加することにより増加する発振レベルの変化量である。ここで、障害物による電極ユニット10の静電容量の変化は、水滴,泥水等の付着による変化よりも大きい。従って、障害物による発振レベルの減少量はdVよりも大きな値となるので、制御電圧Vmのレベルを第2設定値vyだけ増加することは、電極ユニット10に水滴,泥水等の付着物が無い場合においても、障害物の有無判定に影響しない。
【0037】
CPU1は、発振レベルVLが、VxからVx+dVまでの範囲内か否かをチェックして(16)、範囲外であれば、ステップ17(図6)に進み、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差を算出し、CPU1の内部メモリに記憶する。そして、今回の「検出モード」ルーチン(12〜22)の実行においてステップ17で算出した、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差と、やはりCPU1の内部メモリに記憶されている、前回のルーチン12〜22の実行においてステップ17で算出した、発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差とを比較し、今回算出した発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差が、前回算出した偏差以下(同値を含む)であるかをチェックして(18)、そうであれば、発振レベルVLは安定しつつあると判断して、今回算出した偏差を零とするための制御電圧の補正量を算出し、算出した補正値を現在出力中の制御電圧に加算した和を求めて(21)、この和を表わすデ−タを制御電圧デ−タ(Vm)として出力する(22)。そしてステップ14に戻る。しかし、今回算出した発振レベルVLと第1設定値Vxの偏差が、前回算出した偏差より大きく(同値は含まない)なっていれば、発振レベルVLは発散の傾向にあると判断して、ステップ19に進む。今回の「検出モード」ルーチン実行が初回であり、内部メモリに前回の偏差が記憶されていなければ、CPU1はステップ19,21,22を経てステップ14に戻る。
【0038】
発振レベルVLが発散の傾向にあると判断されると、CPU1は、回数フラグF2をチェックする(19)。ここで、「検出モード」ルーチン実行の回数を示す回数フラグF2の内容が、所定数Fmに達していない場合には、CPU1はステップ14に戻る。しかし、回数フラグF2の内容が所定数Fmに達している場合には、CPU1は異常判定(20)を実行する。これにおいてCPU1は、アナログ信号S1を異常を示すデータに設定して、ポートI/O−4から出力する。これにより、外部の図示しない警報ランプが点滅する。
【0039】
こうしてCPU1は、発振レベルVLが安定し、しかも第1設定値Vx〜Vx+Vdの範囲に入るまでステップ14〜ステップ22の処理を繰り返し、発振レベルVLが該範囲内になると、ステップ23に進む。しかし、ステップ14〜ステップ20の実行ルーチンを、回数フラグF2の内容が所定数Fmに達するまで繰り返しても発振レベルVLが安定しない場合には、ステップ20の異常判定の処理を行う。
【0040】
「障害物検出制御」:23(23a〜23e)
図7に、図5に示したステップ21の障害物検出制御のサブルーチンを示す。CRU1は、発振レベルVLを読み込み(23a)、障害物有の判定基準レベルであるVrと比較する(23b)。ここで、発振レベルVLが判定基準レベルVr以上となるまで、発振レベルVLの読み込みを繰り返す。そして、発振レベルVLが判定基準レベルVr以上になると、ポートI/O−5を障害物有を示すHレベルに設定して(23c)、発振レベルVLをもとに障害物と電極ユニット10間の距離に比例したデジタル信号S1を算出する(23d)。算出したデジタル信号S1は、I/OポートのIO−4からラダー抵抗RBを介して直流電圧にD/A変換し、アナログ信号S1として出力する(23e)。これにより、図示しない外部の警報ランプが点灯し、警報チャイムが電極ユニット10と障害物との距離に応じた周波数で鳴り、運転者に障害物の存在と障害物までの車体との距離(緊迫度)を知らせる。
【0041】
零点補正モードにおいて電極ユニット10を外部に対してシールドした状態で制御電圧Vmを設定し、検出側の容量を決定するので、検出モードに切替えられた時点で電極ユニット10のシールドが解除されると、障害物の存在は検出側の容量変化となって表れる。この場合には、「検出モ−ド」に切替わったときに「異常判定」(20)が実行される。例えば、電極ユニット10に電源が投入された時点で既に電極ユニット10の近傍に障害物が存在していた場合、「検出モ−ド」に切替り後のステップ16のチェック結果がNOとなり、ステップ14〜22のサブル−チンをFm回実行しても、ステップ16のチェック結果がNOに留まり、「異常判定」(20)が実行される。従って、電源オン時点で既に存在する障害物の存在を、電源投入時の補正が原因で見逃すことが無い。
【0042】
電源オン時点に障害物が存在しないが、電極ユニット10に水滴・泥等が付着していた場合、あるいは、上述の「障害物検出制御」(23)を実行中に水滴・泥等が付着した場合、「零点補正モ−ド」から「検出モード」に切替えられた時点で障害物検出に影響を与えない範囲で制御電圧Vmを、第2設定値vy分補正しているので、水滴・泥等の付着により電極ユニット10の容量に変化があっても、CPU1が誤判定をすることが無い。従って、障害物検知の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す共振/結合回路2の回路構成を示す電気回路図である。
【図3】 (a)は、電極ユニット10の「検出モード」における電極ユニット10周りの電気力線の分布の概要(推定)を示す平面図であり、(b)は、「零点補正モード」における電気力線の分布を示す平面図である。
【図4】 図1に示す切替回路Cswの回路構成を示す電気回路図である。
【図5】 図1に示すCPU1の制御動作の一部を示すフローチャートである。
【図6】 図1に示すCPU1の制御動作の残部を示すフローチャートである。
【図7】 図5に示す「障害物検出制御」(23)の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:CPU(中央演算処理装置) 2:共振/結合回路
3:発振回路 4:検波/増幅回路
5:温度補償回路 6:リセット回路
10:電極ユニット 10a,10b,10c:第1,第2,第3電極
20:定電流回路 30:制限回路
40:バイアス回路 50:スイッチ回路
L:誘導コイル C,Cc,Cz1:コンデンサ
LL:仮想境界 VD:バリキャップダイオード
Csw:切替回路 C1〜C3:コンデンサ
D1a,D1b,D2a,D2b:ダイオード R1〜R8:抵抗
TR1,TR2:トランジスタ TR3:定電流トランジスタ
Claims (2)
- 物体との間に静電容量を形成するための第1電極;
第1電極と平行な第2電極;
第2電極と平行に、第2電極に関し第1電極と反対側に配置され、基準電位に接続された第3電極;
第1電極を、第2電極と基準電位の一方に選択的に接続する接続切替手段;
第2電極と基準電位の間の静電容量に対応するレベルの電気信号を発生するための発振手段;
第2電極と基準電位の間の静電容量に対する、前記発振手段が発生する電気信号のレベルを、調整するレベル調整手段;
前記接続切替手段を介して第1電極を基準電位に接続して前記レベル調整手段を介して前記レベルを設定値に定めた後、前記接続切替手段を介して第1電極を第2電極に接続し、前記発振手段が発生する電気信号のレベルを、検出環境変動による第1電極と基準電位の間の静電容量の変動分対応の調整値分変更した値、に基づいて第1電極への物体の接近を検出する監視手段;
を備える、静電容量に基づく物体検出装置。 - 監視手段は、接続切替手段を介して第1電極を第2電極に接続した後、前記レベル調整手段を介して前記レベルを、検出環境変動による第1電極と基準電位の間の静電容量の変動分対応の調整値分変更し、前記発振手段が発生する電気信号に基づいて第1電極への物体の接近を検出する、請求項1記載の静電容量に基づく物体検出装置。
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