JP3692391B2 - 電源供給制御装置および電源供給制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電源供給制御装置および電源供給制御方法に係り、過電流や過熱に対する保護機能を備え、制御信号に応じた半導体スイッチのスイッチング制御により、電源から負荷への電力供給を制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体スイッチを備えた電源供給制御装置としては、例えば図8に示すようなものがある。本従来例の電源供給制御装置は、自動車で用いられるヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等の各負荷にバッテリからの電源を選択的に供給して、各負荷への電力の供給を制御する装置である。
【0003】
同図において、本従来例の電源供給制御装置100は、電源101の出力電圧VBを負荷103に供給する経路中に、シャント抵抗104およびサーマルFET102のドレイン(D)−ソース(S)を直列接続して備えた構成である。また本装置100は、シャント抵抗104を流れる電流(以下、負荷電流と称す)を検出してハードウェア回路によりサーマルFET102の駆動を制御するドライバ105と、スイッチ107がオン状態中にドライバ105を制御するためのPWM(パルス幅変調)制御信号をドライバ105に供給するマイコン(CPU)109とを備えて構成されている。
【0004】
半導体スイッチとしてのサーマルFET102は、温度センサ(図示せず)を備え、サーマルFET102が過電流等により規定の温度(例えば、150℃)以上まで上昇した場合には、ゲート(G)に“H"レベルの電位が印加されている状態であっても、内蔵するゲート遮断回路によってサーマルFET102を強制的にオフ制御させる過熱遮断機能を備えている。このようにしてオフ制御されたサーマルFET102は、その後温度が下がってもゲート(G)に“L"レベルの電位が印加されるまで過熱遮断状態を維持する。
【0005】
また、ゲート(G)−ソース(S)間には、ゲート(G)−ソース(S)間を一定の電圧レベルに保ってゲート(G)に過電圧が印加されようとした場合にこれをバイパスしてサーマルFET102の損傷を防止するツェナーダイオードZD1が接続されている。
【0006】
また、ドライバ105は、コンパレータ111と駆動回路113とを備えている。コンパレータ111は、シャント抵抗104を流れる負荷電流を検出して、この電流が過電流である旨を示す信号を出力する過電流検出回路である。また、駆動回路113は、マイコン109からのPWM制御信号およびコンパレータ111からの信号に基づいて、抵抗115および内蔵抵抗125を介してサーマルFET102のゲート(G)に駆動信号を供給することによってサーマルFET102の駆動を制御する回路である。すなわち、サーマルFET102の駆動をコンパレータ111の過電流検出によってハード制御する構成である。
【0007】
このようにしてサーマルFET102の駆動が制御され、例えば、負荷103またはサーマルFET102のドレイン(D)−ソース(S)間の短絡故障または不完全短絡故障等によって生じた過電流が経路に流れようとしても、駆動回路113によってサーマルFET102をオフ制御して、本装置100の過電流保護機能を実現している。
【0008】
このような過電流保護を行うにあたって、コンパレータ111は、検出したシャント抵抗104による電圧降下分の電位差が判定値(過電流遮断値)を超えたとき、“H"レベルの電位を持った信号を駆動回路113に供給する。このとき、駆動回路113はサーマルFET102をオフ制御するための駆動信号をサーマルFET102に供給する。その後、負荷電流が低下してシャント抵抗104による電圧降下分の電位差が判定値(復帰電流値)を下回ると、コンパレータ111は“L"レベルの電位を持った信号を駆動回路113に供給する。このとき、駆動回路113はサーマルFET102をオン制御するための駆動信号をサーマルFET102に供給する。
【0009】
また、本従来例の電源供給制御装置100における図9は、(a)PWM制御信号、(b)サーマルFET102の温度および(c)負荷電流の経時変化を説明する説明図である。同図に示すように、サーマルFET102が過熱保護のためにオフ制御(過熱遮断)されている状態において、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)から“L"レベル(OFF)になったとき、サーマルFET102の過熱遮断状態は解除されてしまう。そして、再びPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)となったときは、サーマルFET102は再びオン制御となるため、再び過熱遮断状態となってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記従来例の電源供給制御装置100では、サーマルFET102の温度が十分に低下していない状態において、PWM制御信号の電圧レベルが再び“H"レベル(ON)となったときは、サーマルFET102の温度が再び規定以上まで上昇してしまう。したがって、デッドショート等によって過電流が連続的に流れようとする場合は、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルとなるたびにサーマルFET102が比較的高温な状態におかれるため、サーマルFET102に熱的ストレスを頻繁に受けてしまい、熱的寿命に短時間で達してしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、過熱遮断機能によるサーマルFETのオフ状態をできる限り早く検出して、過熱状態によって受けるサーマルFETの熱的ストレスを低減し、熱的寿命の短縮を防止し得る電源供給制御装置および電源供給制御方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の請求項1に係る電源供給制御装置は、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチと、前記半導体スイッチが所定の温度に達したときに、前記半導体スイッチをオフ制御する過熱遮断手段と、前記半導体スイッチに流れる負荷電流を検出する電流検出手段と、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持する制御手段と、を備えたものである。
【0013】
また、請求項2に係る電源供給制御装置は、請求項1に記載の電源供給制御装置において、前記負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前において、前記電流検出手段によって得られた電流値が零でなければ当該電源供給制御装置が通常状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断するものである。
【0014】
請求項3に係る電源供給制御装置は、請求項1または2に記載の電源供給制御装置において、前記電流検出手段によって得られた電流値または前記電圧検出手段によって得られた電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る電源供給制御方法は、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって半導体スイッチを制御して電源から負荷への電力供給を制御し、前記半導体スイッチが所定の温度に達したときは過熱遮断手段によって前記半導体スイッチをオフ制御する電源供給制御方法において、前記半導体スイッチに流れる負荷電流の電流値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電流検出ステップと、前記電流検出ステップで検出された電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止して前記半導体スイッチの遮断状態を維持するステップと、を備えたものである。
【0016】
また、請求項5に係る電源供給制御方法は、請求項4に記載の電源供給制御方法において、前記負荷に印加されている電圧の電圧値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電圧検出ステップと、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零でなければ電力供給が通常状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断する判断ステップと、を備えたものである。
【0017】
さらに、請求項6に係る電源供給制御方法は、請求項4または5に記載の電源供給制御方法において、前記電流検出ステップによって検出された電流値または前記電圧検出ステップによって検出された電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。
【0018】
本発明の請求項1に係る電源供給制御装置および請求項4に係る電源供給制御方法では、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチに流れようとする電流が、電流検出手段によって検出される(電流検出ステップ)。そして、制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持している(制御ステップ)。特に、制御手段(制御ステップ)は、半導体スイッチが所定の温度に達して過熱遮断状態となったとき、制御信号の供給が停止されるので、半導体スイッチが高温状態に頻繁に置かれることがなくなり、半導体スイッチが受ける熱的ストレスが減少するため、半導体スイッチの熱的寿命を延ばすことが可能となる。
【0019】
また、請求項2に係る電源供給制御装置および請求項5に係る電源供給制御方法では、負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段(電圧検出ステップ)を備え、制御手段は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前の、電流検出手段(電流検出ステップ)によって得られた電流値が零でなければ当該電源供給制御装置が通常状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段(電圧検出ステップ)によって得られた電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断している(判断ステップ)。したがって、半導体スイッチまたは負荷の状態を正確に知ることができるため、故障に対する処置が行いやすい。
【0020】
さらに、請求項3に係る電源供給制御装置および請求項6に係る電源供給制御方法では、電流検出手段によって得られた電流値または電圧検出手段によって得られた電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。したがって、検出見落としを極力少なくすることが可能となるため、半導体スイッチまたは負荷の状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電源供給制御装置および電源供給制御方法の実施の形態例について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕の順に図1乃至図7を参照して詳細に説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図、図2は半導体スイッチ(サーマルFET15)の詳細な回路構成図、図3は(a)PWM制御信号、(b)負荷電流、(c)サーマルFETのゲート(G)−ソース(S)間電圧VGSおよび(d)サーマルFETの温度の継時変化を説明する説明図、図4は(a)PWM制御信号、(b)サーマルFETの温度および(c)負荷電流の経時変化と、(d)負荷電流の検出タイミングとを説明する説明図、図5は第1の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャート、図6は本発明の第2の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図、図7は第2の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【0022】
なお、以下の説明では、例えば自動車で用いられるヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等の各負荷にバッテリからの電源を選択的に供給して、各負荷への電力の供給を制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法に適用した実施の形態例について説明するが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、電源から負荷への電力供給をスイッチング制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法であればどのような形態であっても適用可能である。
【0023】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置について、図1を参照して説明する。本実施形態の電源供給制御装置10は、主に、電源11と、負荷13と、特許請求の範囲の半導体スイッチに該当するサーマルFET15と、電流検出手段に該当する電流検出回路17と、過電流検出回路19と、駆動回路21と、制御手段に該当するマイコン(CPU)23と、シャント抵抗25とを備え、電源11の出力電圧VBを負荷13に供給する経路中に、シャント抵抗25およびサーマルFET15のドレイン(D)−ソース(S)を直列接続して備えた構成である。
【0024】
まず、電源11は、略12[V]の電圧値を持った直流電力を供給するバッテリである。次に、負荷13は、例えばヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等であり、スイッチ27をオン動作することによって機能する。ユーザ等によってスイッチ27がオン状態とされると電源11から負荷13に電力が供給されるため、負荷13が稼動する。
【0025】
次に、半導体スイッチとしてのサーマルFET15は、より詳しくは図2に示すような構成となっている。図2において、サーマルFET15は、制御用FET124と、内蔵抵抗125と、温度センサ121と、ラッチ回路122と、制御用FET124のゲート遮断回路としての特許請求の範囲の過熱遮断手段に該当する過熱遮断用FET123とを備えて構成されている。
【0026】
これらの構成要素を備えたサーマルFET15は、制御用FET124またはサーマルFET15が規定以上の温度(例えば、150℃)まで上昇したことが温度センサ121によって検出された場合には、ゲート(G)に“H"レベルの電位が印加されている状態であっても、その旨の検出情報がラッチ回路122に保持され、過熱遮断用FET123がオン動作となることによって、制御用FET124を強制的にオフ制御する過熱遮断機能を備えている。このようにしてオフ制御されたサーマルFET15は、その後温度が下がってもゲート(G)に"L“レベルの電位が印加されるまで過熱遮断状態を維持する。
【0027】
より詳しくは、温度センサ121は4個のダイオードが縦続接続されてなり、実装上、温度センサ121は制御用FET124の近傍に配置形成されている。サーマルFET15(制御用FET124)の温度が上昇するにつれて温度センサ121の各ダイオードの抵抗値が減少するので、FETQ51のゲート電位が“L“レベルとされる電位まで下がると、FETQ51がオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、FETQ54のゲート電位がサーマルFET15のゲート制御端子(G)の電位にプルアップされ、FETQ54がオフ状態からオン状態に遷移して、ラッチ回路122に“1"がラッチされることとなる。このとき、ラッチ回路122の出力が“H"レベルとなって過熱遮断用FET123がオフ状態からオン状態に遷移するので、制御用FET124のゲート(TG)の電圧レベルが“L"レベルとなって、制御用FET124がオン状態からオフ状態に遷移して、過熱遮断されることとなる。
【0028】
また、サーマルFET15のゲート(G)−ソース(S)間には、ツェナーダイオードZD1が接続されており、ゲート(G)−ソース(S)間を一定の電圧レベル(例えば、12V)に保って、ゲート(G)に過電圧が印加されようとした場合にこれをバイパスしてサーマルFET15の損傷を防止する。また、該ツェナーダイオードZD1の電流制限用として、駆動回路11の出力端子とサーマルFET15のゲート(G)との間に電流制限抵抗22を設置している。
【0029】
次に、電流検出回路17は、第1の差動増幅器171および第2の差動増幅器173を備えて構成されており、シャント抵抗25を流れる電流(以下、負荷電流と称す)を検出している。該電流検出回路17は、所定の抵抗値を持ったシャント抵抗25による電圧降下分の電位差をまず第1の差動増幅器171で差動増幅し、さらに第1の差動増幅器171から出力された信号を第2の差動増幅器173で差動増幅する。このようにして差動増幅された信号は、A/D変換器29でA/D変換されマイコン23に供給される。
【0030】
次に、過電流検出回路19は、負荷13またはサーマルFET15のドレイン(D)−ソース(S)間の短絡故障(デッドショート等)または不完全短絡故障等によって生じた過電流を検出するコンパレータ191を有している。該コンパレータ191は、図3に示すように、シャント抵抗25による電圧降下分の電位差が判定値(過電流遮断値)を超えたとき、"H"レベルの電位を持ったの信号を駆動回路21に供給する。また、その後、シャント抵抗25を流れる負荷電流が低下して電位差が判定値(復帰電流値)を下回ったときは、"L"レベルの電位を持った信号を駆動回路21に供給する。このように、サーマルFET15が過電流遮断機能によりオフ制御されている状態から再びオン制御されるタイミングに遅延を設けることで、サーマルFET15の遮断をラッチし続けることなく制御している。なお、過電流遮断電流値と復帰電流値との間にヒステリシスを設けた理由としては、例えば、過電流検出回路19がノイズによって実際とは異なる負荷電流の電流値がマイコン23に入力されたときは、マイコン23が所望しない動作を行ってしまうというように、ノイズによる誤動作を防ぐために設定されている。
【0031】
次に、駆動回路21は、コレクタ側が電位VPに接続されたソーストランジスタ211と、エミッタ側が接地電位(GND)に接続されたシンクトランジスタ213とを直列接続して備え、マイコン23からのPWM(パルス幅変調)制御信号に基いて、ソーストランジスタ211およびシンクトランジスタ213をオン/オフ制御することによってソーストランジスタ211のエミッタまたはシンクトランジスタ213のコレクタから“H"または“L"レベルの電位を持った信号を出力して、サーマルFET15を駆動制御する。なお、図1中のシンクトランジスタ213のコレクタに印加される電位VPは、昇圧のために用いられるチャージポンプ(図示せず)の出力電圧である。
【0032】
また、駆動回路21は、コンパレータ191から“L"レベルの電位を持った信号が供給されたときは、サーマルFET15をオン制御する信号をサーマルFET15に供給し、コンパレータ191から“H"レベルの電位を持った信号が供給されたときは、マイコン23からのPWM制御信号にかかわらず、サーマルFET15をオフ制御する信号をサーマルFET15に供給する。
【0033】
さらに、マイコン23は、設定によりPWM(パルス幅変調)制御信号を駆動回路21に供給する。また、該マイコン23は、電流検出回路17によって検出されたシャント抵抗25を流れる負荷電流を常時モニタしている。また、PWM制御信号、サーマルFET15の温度および負荷電流の経時変化と、負荷電流の検出タイミングとを説明する図4に示すように、PWM制御信号の電圧レベルが“L"レベル(OFF)となる直前の負荷電流の電流値を得る。このとき得られた電流値が略0[V]であれば、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。以後、マイコン23は、電源11の切り離し等による電源リセットや、修理工場でのサービスツール等による過熱遮断状態の設定解除などの特別な処置が行われるまで、PWM制御信号の供給停止状態を維持する。すなわち、マイコン23はプログラムによりソフト的にサーマルFET15の過熱遮断のラッチ状態を維持し続けることとなる。
【0034】
次に、以上説明した本実施形態の電源供給制御装置10の回路構成を踏まえて、図5を参照して電源供給制御方法を説明する。まず、ステップS501では、マイコン23から出力されたPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)から“L"レベル(OFF)となる直前のタイミングで、シャント抵抗25を流れる負荷電流を検出する。次にステップS503に進み、マイコン23はこの負荷電流の電流値が略0[A]であるかを調べる。ここで電流値が略0[A]のときはステップS505に進み、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。一方、電流値が略0[A]ではない所定値以上のときはステップS507に進み、マイコン23は駆動回路21にPWM制御信号を供給し続け、ステップS501に戻ってPWM制御信号の電圧レベルが再び“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流を検出する。
【0035】
以上のように、本実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法10によれば、シャント抵抗25を流れる負荷電流を検出して、該負荷電流の電流値が略0[A]であれば、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止して、マイコン23のプログラムによりソフト的に過熱遮断状態のラッチが維持される。このように、サーマルFET15は高温状態に頻繁に置かれることがなくなるため、サーマルFET15の受ける熱的ストレスが減少し、サーマルFET15の熱的寿命を延ばすことができる。また、PWM制御信号の供給の停止以後、マイコン23は、電源の切り離しやラッチ状態解除の特別処置が修理工場などで行われるまで、プログラムによりソフト的にサーマルFET15のこの状態をラッチし続けている。このため、例えばノイズ等によってサーマルFET15のゲート(G)または制御用FET124のゲート(TG)に“H"レベル相当の電位が印加されてサーマルFET15がオン状態になることがないため、確実にラッチ状態を維持することができる。また、ラッチ状態をソフト的に維持することにより、ラッチ状態解除方法をシステム毎に独自に設定することができる。
【0036】
また、マイコン23は、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流の電流値を検出する。なお、マイコン23のプログラムの関係上、負荷電流検出タイミングと、PWM制御信号が“H"レベルから“L"レベルとなるタイミングとの時間差はプログラムの順番上避けられないが、負荷電流を検出する処理およびPWM制御信号を“H"レベルから“L"レベルにする処理をプログラムの順番上近くすれば、検出見落としを極力少なくすることができるため、サーマルFET15のオフ状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法について、図6および図7を参照して説明する。ここで、図6は、本実施形態の電源供給制御装置を示す回路構成図であり、図7は、本実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。なお、図6において、第1の実施形態(図1)と重複する部分には同一の符号を附して説明を省略する。
【0038】
図6において、本実施形態の電源供給制御装置60は、図1に示した第1の実施形態の構成に加えて、サーマルFET15のソース(S)と負荷13との接続点の電位(以下、負荷電圧と称す)をA/D変換器29′を介してマイコン23に取り込む構成、すなわち、特許請求の範囲にいう電圧検出手段が追加されたものである。この電圧検出手段により、マイコン23は負荷電圧を常時モニタしており、第1実施形態の電源供給制御装置10と同様に、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前に電流検出回路17から負荷電流を、また電圧検出手段から負荷電圧を得て、得られた負荷電流の電流値および負荷電圧の電圧値から、当該電源供給制御装置60が通常状態であるか、サーマルFET15が過熱遮断状態であるか、或いは負荷13がオープン状態(以下、負荷オープン状態と称す)であるかを判断する。該判断結果が通常状態である場合はPWM制御信号の供給を継続する。また、サーマルFET15が過熱遮断状態の場合はPWM制御信号の供給を停止し、マイコン23のプログラムによりソフト的に過熱遮断状態のラッチが維持されることとなる。また、負荷オープン状態の場合にもPWM制御信号の供給を停止するが、ユーザ等に負荷オープン状態である旨を知らせるために別途表示手段(図示せず)等を用いてその旨を表示(以下、負荷オープン表示と称す)させる。なお、負荷オープン状態がユーザ等に報知されれば良く、表示手段の代わりに音声出力手段を用いても良いし、或いは表示手段および音声出力手段の組み合わせで作用することも考えられる。
【0039】
次に、本電源供給制御装置60における電源供給制御方法を、図7を参照して説明する。まず、ステップS701では、マイコン23から出力されたPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流および負荷電圧を検出する。次にステップS703に進み、マイコン23はこの負荷電流の電流値が略0[A]であるかを調べる。ここで電流値が略0[A]ではない所定値以上であるときにはステップS705に進み、マイコン23は駆動回路21にPWM制御信号を供給し続ける。一方、電流値が略0[A]であるときには次のステップS707に進み、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。次に、ステップ709に進み、負荷電圧の電圧値が略12[V]であるかを調べることによって、負荷13がオープン状態かを調べる。ここで、負荷オープン状態と判断されたときはステップS711に進み、表示手段等を用いてユーザ等に負荷オープン状態である旨を表示する。一方、負荷オープン状態ではないと判断されたときは、ステップを終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法によれば、シャント抵抗25を流れる負荷電流およびサーマルFET15のソース(S)側の負荷電圧を検出することにより、マイコン23は、通常状態、サーマルFET15の過熱遮断状態または負荷オープン状態のいずれかを、電源電圧や温度変動に影響されずに検出することができる。また、該判断結果によってPWM制御信号の継続または停止などの制御または負荷オープン表示を行っている。したがって、本実施形態においては、第1の実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法による効果に加えて、サーマルFET15の過熱遮断状態と負荷オープン状態とを区別して、負荷オープン状態の場合にはその旨をユーザ等に通知して、当該電源供給制御装置の状況に応じた対処が可能となる。
【0041】
なお、本実施形態の変形例として、サーマルFET15のソース(S)側の負荷電圧をコンパレータで受けて、基準電圧と比較して"H"レベルまたは"L"レベルの電圧を持った信号をマイコン23に供給する構成により、電圧検出手段を実現しても良い。この場合には、図7のステップS709において、「負荷電圧の電圧レベルが"H"レベルか?」というステップに置きかえる必要がある。
【0042】
また、以上説明した実施形態に係る電源供給制御装置の回路構成においては、FETにNチャネル型のものを使用したが、本発明に係る電源供給制御装置の回路構成はこれに限定されるものではなく、Pチャネル型のものを使用しても良い。但し、各FETのゲート電位が“L"/“H"レベルに逆転することに伴う回路変更が必要となる。また、FETの代わりにIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電源供給制御装置および電源供給制御方法によれば、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチに流れようとする電流が、電流検出手段によって検出される。そして、制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持している。特に、制御手段は、半導体スイッチが所定の温度に達して過熱遮断状態となったとき、制御信号の供給を停止させるので、半導体スイッチが高温状態に頻繁に置かれることがなくなり、半導体スイッチが受ける熱的ストレスが減少するため、半導体スイッチの熱的寿命を延ばすことができる。
【0044】
また、本発明によれば、負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を備え、制御手段は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前の、電流検出手段によって得られた電流値および電圧検出手段によって得られた電圧値から、通常状態、前記半導体スイッチの過熱遮断状態または前記負荷のオープン状態のいずれであるかを判断している。したがって、半導体スイッチまたは負荷の状態を正確に知ることができるため、故障に対する処置が行いやすいという効果を呈する。
【0045】
さらに、本発明によれば、電流検出手段によって得られた電流値または電圧検出手段によって得られた電圧値は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。したがって、検出見落としを極力少なくすることが可能となるため、半導体スイッチまたは負荷の状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置を示す回路構成図である。
【図2】半導体スイッチの詳細な回路構成図である。
【図3】(a)PWM制御信号、(b)負荷電流、(c)サーマルFETのゲート(G)−ソース(S)間電圧VGSおよび(d)サーマルFETの温度の継時変化を説明する説明図である。
【図4】(a)PWM制御信号、(b)サーマルFETの温度および(c)負荷電流の経時変化と、(d)負荷電流の検出タイミングとを説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図である。
【図7】第2の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】従来の電源供給制御装置を示す回路構成図である。
【図9】従来の技術の(a)PWM制御信号、(b)サーマルFET102の温度および(c)負荷電流の経時変化とを示す説明図である。
【符号の説明】
11 電源
13 負荷
15 サーマルFET
17 電流検出回路
19 過電流検出抵抗
21 駆動回路
22 電流制限抵抗
23 マイコン
25 シャント抵抗
27 スイッチ
29 A/D変換器
61 導線
121 温度センサ
122 ラッチ回路
123 過熱遮断用FET
124 制御用FET
125 内蔵抵抗
171 第1の差動増幅器
173 第2の差動増幅器
191 コンパレータ
211 ソーストランジスタ
213 シンクトランジスタ
ZD1 ツェナーダイオード
【発明の属する技術分野】
本発明は電源供給制御装置および電源供給制御方法に係り、過電流や過熱に対する保護機能を備え、制御信号に応じた半導体スイッチのスイッチング制御により、電源から負荷への電力供給を制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体スイッチを備えた電源供給制御装置としては、例えば図8に示すようなものがある。本従来例の電源供給制御装置は、自動車で用いられるヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等の各負荷にバッテリからの電源を選択的に供給して、各負荷への電力の供給を制御する装置である。
【0003】
同図において、本従来例の電源供給制御装置100は、電源101の出力電圧VBを負荷103に供給する経路中に、シャント抵抗104およびサーマルFET102のドレイン(D)−ソース(S)を直列接続して備えた構成である。また本装置100は、シャント抵抗104を流れる電流(以下、負荷電流と称す)を検出してハードウェア回路によりサーマルFET102の駆動を制御するドライバ105と、スイッチ107がオン状態中にドライバ105を制御するためのPWM(パルス幅変調)制御信号をドライバ105に供給するマイコン(CPU)109とを備えて構成されている。
【0004】
半導体スイッチとしてのサーマルFET102は、温度センサ(図示せず)を備え、サーマルFET102が過電流等により規定の温度(例えば、150℃)以上まで上昇した場合には、ゲート(G)に“H"レベルの電位が印加されている状態であっても、内蔵するゲート遮断回路によってサーマルFET102を強制的にオフ制御させる過熱遮断機能を備えている。このようにしてオフ制御されたサーマルFET102は、その後温度が下がってもゲート(G)に“L"レベルの電位が印加されるまで過熱遮断状態を維持する。
【0005】
また、ゲート(G)−ソース(S)間には、ゲート(G)−ソース(S)間を一定の電圧レベルに保ってゲート(G)に過電圧が印加されようとした場合にこれをバイパスしてサーマルFET102の損傷を防止するツェナーダイオードZD1が接続されている。
【0006】
また、ドライバ105は、コンパレータ111と駆動回路113とを備えている。コンパレータ111は、シャント抵抗104を流れる負荷電流を検出して、この電流が過電流である旨を示す信号を出力する過電流検出回路である。また、駆動回路113は、マイコン109からのPWM制御信号およびコンパレータ111からの信号に基づいて、抵抗115および内蔵抵抗125を介してサーマルFET102のゲート(G)に駆動信号を供給することによってサーマルFET102の駆動を制御する回路である。すなわち、サーマルFET102の駆動をコンパレータ111の過電流検出によってハード制御する構成である。
【0007】
このようにしてサーマルFET102の駆動が制御され、例えば、負荷103またはサーマルFET102のドレイン(D)−ソース(S)間の短絡故障または不完全短絡故障等によって生じた過電流が経路に流れようとしても、駆動回路113によってサーマルFET102をオフ制御して、本装置100の過電流保護機能を実現している。
【0008】
このような過電流保護を行うにあたって、コンパレータ111は、検出したシャント抵抗104による電圧降下分の電位差が判定値(過電流遮断値)を超えたとき、“H"レベルの電位を持った信号を駆動回路113に供給する。このとき、駆動回路113はサーマルFET102をオフ制御するための駆動信号をサーマルFET102に供給する。その後、負荷電流が低下してシャント抵抗104による電圧降下分の電位差が判定値(復帰電流値)を下回ると、コンパレータ111は“L"レベルの電位を持った信号を駆動回路113に供給する。このとき、駆動回路113はサーマルFET102をオン制御するための駆動信号をサーマルFET102に供給する。
【0009】
また、本従来例の電源供給制御装置100における図9は、(a)PWM制御信号、(b)サーマルFET102の温度および(c)負荷電流の経時変化を説明する説明図である。同図に示すように、サーマルFET102が過熱保護のためにオフ制御(過熱遮断)されている状態において、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)から“L"レベル(OFF)になったとき、サーマルFET102の過熱遮断状態は解除されてしまう。そして、再びPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)となったときは、サーマルFET102は再びオン制御となるため、再び過熱遮断状態となってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記従来例の電源供給制御装置100では、サーマルFET102の温度が十分に低下していない状態において、PWM制御信号の電圧レベルが再び“H"レベル(ON)となったときは、サーマルFET102の温度が再び規定以上まで上昇してしまう。したがって、デッドショート等によって過電流が連続的に流れようとする場合は、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルとなるたびにサーマルFET102が比較的高温な状態におかれるため、サーマルFET102に熱的ストレスを頻繁に受けてしまい、熱的寿命に短時間で達してしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、過熱遮断機能によるサーマルFETのオフ状態をできる限り早く検出して、過熱状態によって受けるサーマルFETの熱的ストレスを低減し、熱的寿命の短縮を防止し得る電源供給制御装置および電源供給制御方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の請求項1に係る電源供給制御装置は、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチと、前記半導体スイッチが所定の温度に達したときに、前記半導体スイッチをオフ制御する過熱遮断手段と、前記半導体スイッチに流れる負荷電流を検出する電流検出手段と、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持する制御手段と、を備えたものである。
【0013】
また、請求項2に係る電源供給制御装置は、請求項1に記載の電源供給制御装置において、前記負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前において、前記電流検出手段によって得られた電流値が零でなければ当該電源供給制御装置が通常状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断するものである。
【0014】
請求項3に係る電源供給制御装置は、請求項1または2に記載の電源供給制御装置において、前記電流検出手段によって得られた電流値または前記電圧検出手段によって得られた電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る電源供給制御方法は、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって半導体スイッチを制御して電源から負荷への電力供給を制御し、前記半導体スイッチが所定の温度に達したときは過熱遮断手段によって前記半導体スイッチをオフ制御する電源供給制御方法において、前記半導体スイッチに流れる負荷電流の電流値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電流検出ステップと、前記電流検出ステップで検出された電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止して前記半導体スイッチの遮断状態を維持するステップと、を備えたものである。
【0016】
また、請求項5に係る電源供給制御方法は、請求項4に記載の電源供給制御方法において、前記負荷に印加されている電圧の電圧値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電圧検出ステップと、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零でなければ電力供給が通常状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断する判断ステップと、を備えたものである。
【0017】
さらに、請求項6に係る電源供給制御方法は、請求項4または5に記載の電源供給制御方法において、前記電流検出ステップによって検出された電流値または前記電圧検出ステップによって検出された電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。
【0018】
本発明の請求項1に係る電源供給制御装置および請求項4に係る電源供給制御方法では、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチに流れようとする電流が、電流検出手段によって検出される(電流検出ステップ)。そして、制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持している(制御ステップ)。特に、制御手段(制御ステップ)は、半導体スイッチが所定の温度に達して過熱遮断状態となったとき、制御信号の供給が停止されるので、半導体スイッチが高温状態に頻繁に置かれることがなくなり、半導体スイッチが受ける熱的ストレスが減少するため、半導体スイッチの熱的寿命を延ばすことが可能となる。
【0019】
また、請求項2に係る電源供給制御装置および請求項5に係る電源供給制御方法では、負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段(電圧検出ステップ)を備え、制御手段は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前の、電流検出手段(電流検出ステップ)によって得られた電流値が零でなければ当該電源供給制御装置が通常状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段(電圧検出ステップ)によって得られた電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断している(判断ステップ)。したがって、半導体スイッチまたは負荷の状態を正確に知ることができるため、故障に対する処置が行いやすい。
【0020】
さらに、請求項3に係る電源供給制御装置および請求項6に係る電源供給制御方法では、電流検出手段によって得られた電流値または電圧検出手段によって得られた電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。したがって、検出見落としを極力少なくすることが可能となるため、半導体スイッチまたは負荷の状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電源供給制御装置および電源供給制御方法の実施の形態例について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕の順に図1乃至図7を参照して詳細に説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図、図2は半導体スイッチ(サーマルFET15)の詳細な回路構成図、図3は(a)PWM制御信号、(b)負荷電流、(c)サーマルFETのゲート(G)−ソース(S)間電圧VGSおよび(d)サーマルFETの温度の継時変化を説明する説明図、図4は(a)PWM制御信号、(b)サーマルFETの温度および(c)負荷電流の経時変化と、(d)負荷電流の検出タイミングとを説明する説明図、図5は第1の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャート、図6は本発明の第2の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図、図7は第2の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【0022】
なお、以下の説明では、例えば自動車で用いられるヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等の各負荷にバッテリからの電源を選択的に供給して、各負荷への電力の供給を制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法に適用した実施の形態例について説明するが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、電源から負荷への電力供給をスイッチング制御する電源供給制御装置および電源供給制御方法であればどのような形態であっても適用可能である。
【0023】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置について、図1を参照して説明する。本実施形態の電源供給制御装置10は、主に、電源11と、負荷13と、特許請求の範囲の半導体スイッチに該当するサーマルFET15と、電流検出手段に該当する電流検出回路17と、過電流検出回路19と、駆動回路21と、制御手段に該当するマイコン(CPU)23と、シャント抵抗25とを備え、電源11の出力電圧VBを負荷13に供給する経路中に、シャント抵抗25およびサーマルFET15のドレイン(D)−ソース(S)を直列接続して備えた構成である。
【0024】
まず、電源11は、略12[V]の電圧値を持った直流電力を供給するバッテリである。次に、負荷13は、例えばヘッドライトやパワーウィンドウの駆動モータ等であり、スイッチ27をオン動作することによって機能する。ユーザ等によってスイッチ27がオン状態とされると電源11から負荷13に電力が供給されるため、負荷13が稼動する。
【0025】
次に、半導体スイッチとしてのサーマルFET15は、より詳しくは図2に示すような構成となっている。図2において、サーマルFET15は、制御用FET124と、内蔵抵抗125と、温度センサ121と、ラッチ回路122と、制御用FET124のゲート遮断回路としての特許請求の範囲の過熱遮断手段に該当する過熱遮断用FET123とを備えて構成されている。
【0026】
これらの構成要素を備えたサーマルFET15は、制御用FET124またはサーマルFET15が規定以上の温度(例えば、150℃)まで上昇したことが温度センサ121によって検出された場合には、ゲート(G)に“H"レベルの電位が印加されている状態であっても、その旨の検出情報がラッチ回路122に保持され、過熱遮断用FET123がオン動作となることによって、制御用FET124を強制的にオフ制御する過熱遮断機能を備えている。このようにしてオフ制御されたサーマルFET15は、その後温度が下がってもゲート(G)に"L“レベルの電位が印加されるまで過熱遮断状態を維持する。
【0027】
より詳しくは、温度センサ121は4個のダイオードが縦続接続されてなり、実装上、温度センサ121は制御用FET124の近傍に配置形成されている。サーマルFET15(制御用FET124)の温度が上昇するにつれて温度センサ121の各ダイオードの抵抗値が減少するので、FETQ51のゲート電位が“L“レベルとされる電位まで下がると、FETQ51がオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、FETQ54のゲート電位がサーマルFET15のゲート制御端子(G)の電位にプルアップされ、FETQ54がオフ状態からオン状態に遷移して、ラッチ回路122に“1"がラッチされることとなる。このとき、ラッチ回路122の出力が“H"レベルとなって過熱遮断用FET123がオフ状態からオン状態に遷移するので、制御用FET124のゲート(TG)の電圧レベルが“L"レベルとなって、制御用FET124がオン状態からオフ状態に遷移して、過熱遮断されることとなる。
【0028】
また、サーマルFET15のゲート(G)−ソース(S)間には、ツェナーダイオードZD1が接続されており、ゲート(G)−ソース(S)間を一定の電圧レベル(例えば、12V)に保って、ゲート(G)に過電圧が印加されようとした場合にこれをバイパスしてサーマルFET15の損傷を防止する。また、該ツェナーダイオードZD1の電流制限用として、駆動回路11の出力端子とサーマルFET15のゲート(G)との間に電流制限抵抗22を設置している。
【0029】
次に、電流検出回路17は、第1の差動増幅器171および第2の差動増幅器173を備えて構成されており、シャント抵抗25を流れる電流(以下、負荷電流と称す)を検出している。該電流検出回路17は、所定の抵抗値を持ったシャント抵抗25による電圧降下分の電位差をまず第1の差動増幅器171で差動増幅し、さらに第1の差動増幅器171から出力された信号を第2の差動増幅器173で差動増幅する。このようにして差動増幅された信号は、A/D変換器29でA/D変換されマイコン23に供給される。
【0030】
次に、過電流検出回路19は、負荷13またはサーマルFET15のドレイン(D)−ソース(S)間の短絡故障(デッドショート等)または不完全短絡故障等によって生じた過電流を検出するコンパレータ191を有している。該コンパレータ191は、図3に示すように、シャント抵抗25による電圧降下分の電位差が判定値(過電流遮断値)を超えたとき、"H"レベルの電位を持ったの信号を駆動回路21に供給する。また、その後、シャント抵抗25を流れる負荷電流が低下して電位差が判定値(復帰電流値)を下回ったときは、"L"レベルの電位を持った信号を駆動回路21に供給する。このように、サーマルFET15が過電流遮断機能によりオフ制御されている状態から再びオン制御されるタイミングに遅延を設けることで、サーマルFET15の遮断をラッチし続けることなく制御している。なお、過電流遮断電流値と復帰電流値との間にヒステリシスを設けた理由としては、例えば、過電流検出回路19がノイズによって実際とは異なる負荷電流の電流値がマイコン23に入力されたときは、マイコン23が所望しない動作を行ってしまうというように、ノイズによる誤動作を防ぐために設定されている。
【0031】
次に、駆動回路21は、コレクタ側が電位VPに接続されたソーストランジスタ211と、エミッタ側が接地電位(GND)に接続されたシンクトランジスタ213とを直列接続して備え、マイコン23からのPWM(パルス幅変調)制御信号に基いて、ソーストランジスタ211およびシンクトランジスタ213をオン/オフ制御することによってソーストランジスタ211のエミッタまたはシンクトランジスタ213のコレクタから“H"または“L"レベルの電位を持った信号を出力して、サーマルFET15を駆動制御する。なお、図1中のシンクトランジスタ213のコレクタに印加される電位VPは、昇圧のために用いられるチャージポンプ(図示せず)の出力電圧である。
【0032】
また、駆動回路21は、コンパレータ191から“L"レベルの電位を持った信号が供給されたときは、サーマルFET15をオン制御する信号をサーマルFET15に供給し、コンパレータ191から“H"レベルの電位を持った信号が供給されたときは、マイコン23からのPWM制御信号にかかわらず、サーマルFET15をオフ制御する信号をサーマルFET15に供給する。
【0033】
さらに、マイコン23は、設定によりPWM(パルス幅変調)制御信号を駆動回路21に供給する。また、該マイコン23は、電流検出回路17によって検出されたシャント抵抗25を流れる負荷電流を常時モニタしている。また、PWM制御信号、サーマルFET15の温度および負荷電流の経時変化と、負荷電流の検出タイミングとを説明する図4に示すように、PWM制御信号の電圧レベルが“L"レベル(OFF)となる直前の負荷電流の電流値を得る。このとき得られた電流値が略0[V]であれば、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。以後、マイコン23は、電源11の切り離し等による電源リセットや、修理工場でのサービスツール等による過熱遮断状態の設定解除などの特別な処置が行われるまで、PWM制御信号の供給停止状態を維持する。すなわち、マイコン23はプログラムによりソフト的にサーマルFET15の過熱遮断のラッチ状態を維持し続けることとなる。
【0034】
次に、以上説明した本実施形態の電源供給制御装置10の回路構成を踏まえて、図5を参照して電源供給制御方法を説明する。まず、ステップS501では、マイコン23から出力されたPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベル(ON)から“L"レベル(OFF)となる直前のタイミングで、シャント抵抗25を流れる負荷電流を検出する。次にステップS503に進み、マイコン23はこの負荷電流の電流値が略0[A]であるかを調べる。ここで電流値が略0[A]のときはステップS505に進み、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。一方、電流値が略0[A]ではない所定値以上のときはステップS507に進み、マイコン23は駆動回路21にPWM制御信号を供給し続け、ステップS501に戻ってPWM制御信号の電圧レベルが再び“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流を検出する。
【0035】
以上のように、本実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法10によれば、シャント抵抗25を流れる負荷電流を検出して、該負荷電流の電流値が略0[A]であれば、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止して、マイコン23のプログラムによりソフト的に過熱遮断状態のラッチが維持される。このように、サーマルFET15は高温状態に頻繁に置かれることがなくなるため、サーマルFET15の受ける熱的ストレスが減少し、サーマルFET15の熱的寿命を延ばすことができる。また、PWM制御信号の供給の停止以後、マイコン23は、電源の切り離しやラッチ状態解除の特別処置が修理工場などで行われるまで、プログラムによりソフト的にサーマルFET15のこの状態をラッチし続けている。このため、例えばノイズ等によってサーマルFET15のゲート(G)または制御用FET124のゲート(TG)に“H"レベル相当の電位が印加されてサーマルFET15がオン状態になることがないため、確実にラッチ状態を維持することができる。また、ラッチ状態をソフト的に維持することにより、ラッチ状態解除方法をシステム毎に独自に設定することができる。
【0036】
また、マイコン23は、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流の電流値を検出する。なお、マイコン23のプログラムの関係上、負荷電流検出タイミングと、PWM制御信号が“H"レベルから“L"レベルとなるタイミングとの時間差はプログラムの順番上避けられないが、負荷電流を検出する処理およびPWM制御信号を“H"レベルから“L"レベルにする処理をプログラムの順番上近くすれば、検出見落としを極力少なくすることができるため、サーマルFET15のオフ状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法について、図6および図7を参照して説明する。ここで、図6は、本実施形態の電源供給制御装置を示す回路構成図であり、図7は、本実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。なお、図6において、第1の実施形態(図1)と重複する部分には同一の符号を附して説明を省略する。
【0038】
図6において、本実施形態の電源供給制御装置60は、図1に示した第1の実施形態の構成に加えて、サーマルFET15のソース(S)と負荷13との接続点の電位(以下、負荷電圧と称す)をA/D変換器29′を介してマイコン23に取り込む構成、すなわち、特許請求の範囲にいう電圧検出手段が追加されたものである。この電圧検出手段により、マイコン23は負荷電圧を常時モニタしており、第1実施形態の電源供給制御装置10と同様に、PWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前に電流検出回路17から負荷電流を、また電圧検出手段から負荷電圧を得て、得られた負荷電流の電流値および負荷電圧の電圧値から、当該電源供給制御装置60が通常状態であるか、サーマルFET15が過熱遮断状態であるか、或いは負荷13がオープン状態(以下、負荷オープン状態と称す)であるかを判断する。該判断結果が通常状態である場合はPWM制御信号の供給を継続する。また、サーマルFET15が過熱遮断状態の場合はPWM制御信号の供給を停止し、マイコン23のプログラムによりソフト的に過熱遮断状態のラッチが維持されることとなる。また、負荷オープン状態の場合にもPWM制御信号の供給を停止するが、ユーザ等に負荷オープン状態である旨を知らせるために別途表示手段(図示せず)等を用いてその旨を表示(以下、負荷オープン表示と称す)させる。なお、負荷オープン状態がユーザ等に報知されれば良く、表示手段の代わりに音声出力手段を用いても良いし、或いは表示手段および音声出力手段の組み合わせで作用することも考えられる。
【0039】
次に、本電源供給制御装置60における電源供給制御方法を、図7を参照して説明する。まず、ステップS701では、マイコン23から出力されたPWM制御信号の電圧レベルが“H"レベルから“L"レベルとなる直前のタイミングで負荷電流および負荷電圧を検出する。次にステップS703に進み、マイコン23はこの負荷電流の電流値が略0[A]であるかを調べる。ここで電流値が略0[A]ではない所定値以上であるときにはステップS705に進み、マイコン23は駆動回路21にPWM制御信号を供給し続ける。一方、電流値が略0[A]であるときには次のステップS707に進み、マイコン23はPWM制御信号の供給を停止する。次に、ステップ709に進み、負荷電圧の電圧値が略12[V]であるかを調べることによって、負荷13がオープン状態かを調べる。ここで、負荷オープン状態と判断されたときはステップS711に進み、表示手段等を用いてユーザ等に負荷オープン状態である旨を表示する。一方、負荷オープン状態ではないと判断されたときは、ステップを終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法によれば、シャント抵抗25を流れる負荷電流およびサーマルFET15のソース(S)側の負荷電圧を検出することにより、マイコン23は、通常状態、サーマルFET15の過熱遮断状態または負荷オープン状態のいずれかを、電源電圧や温度変動に影響されずに検出することができる。また、該判断結果によってPWM制御信号の継続または停止などの制御または負荷オープン表示を行っている。したがって、本実施形態においては、第1の実施形態の電源供給制御装置および電源供給制御方法による効果に加えて、サーマルFET15の過熱遮断状態と負荷オープン状態とを区別して、負荷オープン状態の場合にはその旨をユーザ等に通知して、当該電源供給制御装置の状況に応じた対処が可能となる。
【0041】
なお、本実施形態の変形例として、サーマルFET15のソース(S)側の負荷電圧をコンパレータで受けて、基準電圧と比較して"H"レベルまたは"L"レベルの電圧を持った信号をマイコン23に供給する構成により、電圧検出手段を実現しても良い。この場合には、図7のステップS709において、「負荷電圧の電圧レベルが"H"レベルか?」というステップに置きかえる必要がある。
【0042】
また、以上説明した実施形態に係る電源供給制御装置の回路構成においては、FETにNチャネル型のものを使用したが、本発明に係る電源供給制御装置の回路構成はこれに限定されるものではなく、Pチャネル型のものを使用しても良い。但し、各FETのゲート電位が“L"/“H"レベルに逆転することに伴う回路変更が必要となる。また、FETの代わりにIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電源供給制御装置および電源供給制御方法によれば、オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチに流れようとする電流が、電流検出手段によって検出される。そして、制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持している。特に、制御手段は、半導体スイッチが所定の温度に達して過熱遮断状態となったとき、制御信号の供給を停止させるので、半導体スイッチが高温状態に頻繁に置かれることがなくなり、半導体スイッチが受ける熱的ストレスが減少するため、半導体スイッチの熱的寿命を延ばすことができる。
【0044】
また、本発明によれば、負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を備え、制御手段は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前の、電流検出手段によって得られた電流値および電圧検出手段によって得られた電圧値から、通常状態、前記半導体スイッチの過熱遮断状態または前記負荷のオープン状態のいずれであるかを判断している。したがって、半導体スイッチまたは負荷の状態を正確に知ることができるため、故障に対する処置が行いやすいという効果を呈する。
【0045】
さらに、本発明によれば、電流検出手段によって得られた電流値または電圧検出手段によって得られた電圧値は、制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値である。したがって、検出見落としを極力少なくすることが可能となるため、半導体スイッチまたは負荷の状態をできる限り確実に早く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の電源供給制御装置を示す回路構成図である。
【図2】半導体スイッチの詳細な回路構成図である。
【図3】(a)PWM制御信号、(b)負荷電流、(c)サーマルFETのゲート(G)−ソース(S)間電圧VGSおよび(d)サーマルFETの温度の継時変化を説明する説明図である。
【図4】(a)PWM制御信号、(b)サーマルFETの温度および(c)負荷電流の経時変化と、(d)負荷電流の検出タイミングとを説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態の電源供給制御装置の回路構成図である。
【図7】第2の実施形態の電源供給制御装置が行う電源供給制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】従来の電源供給制御装置を示す回路構成図である。
【図9】従来の技術の(a)PWM制御信号、(b)サーマルFET102の温度および(c)負荷電流の経時変化とを示す説明図である。
【符号の説明】
11 電源
13 負荷
15 サーマルFET
17 電流検出回路
19 過電流検出抵抗
21 駆動回路
22 電流制限抵抗
23 マイコン
25 シャント抵抗
27 スイッチ
29 A/D変換器
61 導線
121 温度センサ
122 ラッチ回路
123 過熱遮断用FET
124 制御用FET
125 内蔵抵抗
171 第1の差動増幅器
173 第2の差動増幅器
191 コンパレータ
211 ソーストランジスタ
213 シンクトランジスタ
ZD1 ツェナーダイオード
Claims (6)
- オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって、電源から負荷への電力供給を制御する半導体スイッチと、
前記半導体スイッチが所定の温度に達したときに、前記半導体スイッチをオフ制御する過熱遮断手段と、
前記半導体スイッチに流れる負荷電流を検出する電流検出手段と、
前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に、前記電流検出手段によって得られた電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止させて前記半導体スイッチの遮断状態を維持する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電源供給制御装置。 - 前記負荷に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前において、前記電流検出手段によって得られた電流値が零でなければ当該電源供給制御装置が通常状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流値が零であり前記電圧検出手段によって得られた電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断することを特徴とする請求項1記載の電源供給制御装置。 - 前記電流検出手段によって得られた電流値または前記電圧検出手段によって得られた電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値であることを特徴とする請求項1または2記載の電源供給制御装置。
- オン信号、オフ信号の繰り返しからなる制御信号によって半導体スイッチを制御して電源から負荷への電力供給を制御し、前記半導体スイッチが所定の温度に達したときは過熱遮断手段によって前記半導体スイッチをオフ制御する電源供給制御方法において、
前記半導体スイッチに流れる負荷電流の電流値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電流検出ステップと、
前記電流検出ステップで検出された電流値が零であれば、前記制御信号の供給を停止して前記半導体スイッチの遮断状態を維持するステップと、
を備えたことを特徴とする電源供給制御方法。 - 前記負荷に印加されている電圧の電圧値を前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する前に検出する電圧検出ステップと、
前記電流検出ステップによって検出された電流値が零でなければ電力供給が通常状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以下であれば前記半導体スイッチが前記過熱遮断手段によってオフ制御された過熱遮断状態であると判断し、前記電流検出ステップによって検出された電流値が零であり前記電圧検出ステップによって検出された電圧値が所定値以上であれば前記負荷がオープン状態であると判断する判断ステップと、
を備えたことを特徴とする請求項4記載の電源供給制御方法。 - 前記電流検出ステップによって検出された電流値または前記電圧検出ステップによって検出された電圧値は、前記制御信号がオン信号からオフ信号へ遷移する直前の電流値または電圧値であることを特徴とする請求項4または5記載の電源供給制御方法。
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