JP3691827B2 - 逆格子マップの測定範囲の設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はX線回折の逆格子マップを求める場合に,その測定範囲を設定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線回折の測定手法のひとつに逆格子マップ測定というものがある。これを説明する前に,まず,散乱ベクトルから説明する。図1はX線回折における散乱ベクトルの説明図である。試料10の表面にX線12が入射して,そこから回折X線14が出て行くことを考える。入射X線12が試料10の表面に対してなす角度(入射角)をωと定義する。回折X線14が入射X線12に対してなす角度(回折角)は2θである。X線回折の測定を行う場合には,入射X線12がX線源16からやってくることになり,回折X線14はX線検出器18で検出されることになる。
【0003】
試料10を構成する結晶の逆格子空間を用いてX線回折現象を説明すると,次のようになる。入射X線12の方向に単位ベクトルS0をとり,回折X線14の方向に単位ベクトルSをとる。良く知られているように,入射X線ベクトルをS0/λとし,回折X線ベクトルをS/λとすると,回折X線ベクトルから入射X線ベクトルをベクトル的に引き算したものが散乱ベクトルHとなる。ここで,λはX線の波長である。散乱ベクトルHの先端が逆格子空間の格子点に一致すると,その格子点に対応する実格子面20(現実の空間での結晶の格子面)でX線回折が生じる,というのがX線回折の理論である。散乱ベクトルHの方向は実格子面20に垂直であり,散乱ベクトルHの大きさは実格子面20の格子面間隔の逆数に等しい,という性質がある。入射X線12と回折X線14を含む平面内において,散乱ベクトルHの方向は,試料10の表面の法線22からの傾きαで表すことができる。
【0004】
逆格子マップというのは,上述の入射角ωと回折角2θを変化させることで散乱ベクトルの方向と大きさを所望の範囲内で変化させて,それぞれの散乱ベクトルに対してX線回折測定を実施して,ωと2θの変化に伴って回折X線の強度がどのように変化するかを求めたものである。次に,ωと2θを変化させることで散乱ベクトルがどのように変化するかを説明する。
【0005】
図2は散乱ベクトルの大きさを一定にしてその方向を変えるときの説明図である。以下の説明では,入射X線ベクトルを単に入射X線12とし,回折X線ベクトルを単に回折X線14として説明する。入射X線12の入射角ωをΔωだけ増加させて(図2の時計方向に回転させて),かつ,回折X線14を(すなわち,X線検出器の角度位置を)同じ方向にΔωだけ変化させると,入射X線12に対する回折X線14の角度であるところの回折角2θは変化せずに,散乱ベクトルHの方向だけが変化する。すなわち,傾きαがα+Δωになる。このように,入射X線12と回折X線14を同じ方向に同じ角度だけ変化させれば,散乱ベクトルHの方向だけが変化する。このような角度変化の動作をωスキャンと呼ぶ。
【0006】
次に,図3を用いて,別のスキャン方法を説明する。図3は散乱ベクトルの方向を一定にしてその大きさを変えるときの説明図である。回折X線14を図3の反時計方向に所定角度(これは,Δ2θ/2に等しい)だけ回転させて,かつ,入射X線12をそれとは反対の方向(図3の時計方向)に同じ角度だけ回転させると,回折角2θは2θ+Δ2θに変化し,入射角ωはω+Δ2θ/2に変化する。このように角度を変化させると,散乱ベクトルHの方向が変わらずに,大きさだけが変化する。このような角度変化の動作を2θ/ωスキャンと呼ぶ。
【0007】
ωスキャンを実行すると,ωだけが変化して2θは変化しない。一方,2θ/ωスキャンを実行すると,2θが変化することに伴ってωも変化する(2θの変化量の半分だけωが変化する)。このような2θ/ωスキャンの性質が,本発明における相対角度指定と絶対角度指定の問題にかかわってくる。
【0008】
図4は,ωスキャンを実行したときの逆格子空間上での散乱ベクトルの動きを示している。散乱ベクトルの先端位置(これを測定点と呼ぶことにする)を黒丸で示している。それぞれの黒丸のところでX線回折測定を実施することになる。測定点の中心位置(逆格子マップの中心位置)をO点と仮定する。散乱ベクトルの大きさがO点と同じになるようにωスキャンをすると,A点からB点に測定点が移動する(ωが小さい数値から大きい数値に向かってスキャンをしている)。この場合,測定点は,試料10上のX線照射点を中心にして円周方向に移動する。次に,散乱ベクトルの大きさを別の数値に変えてωスキャンをするには,例えば,測定点をO点からC点に移動して(すなわち,散乱ベクトルの大きさを小さくする。具体的には,2θ/ωを所定量だけステップ移動する),その後,散乱ベクトルの大きさがC点と同じになるように,ωスキャンする。すなわち,測定点をE点からF点に移動する。実際には,散乱ベクトルの大きさを(すなわち2θ/ωの値を)C点からD点まで,所定の測定きざみでステップ移動して,それぞれの散乱ベクトルの大きさのところで,ωスキャンを実行することになる。図4の例では,説明を分かりやすくするために,散乱ベクトルの大きさを(すなわち2θ/ωの値を)5種類に設定して,5回のωスキャンを実行する例を示している。各ωスキャンにおいては,散乱ベクトルの方向が異なる5個の測定点でX線回折測定を実行する。合計で25個の測定結果が得られる。実際の逆格子マップ測定ではもっと多数の測定点を使うのが一般的である。
【0009】
図5は,2θ/ωスキャンを実行したときの逆格子空間上での散乱ベクトルの動きを示している。この場合は,散乱ベクトルの方向を(すなわち,ωの値を)5種類に設定して,5回の2θ/ωスキャンを実行している。2θ/ωスキャンでは,散乱ベクトルの方向を一定にしてその大きさを変えるようにスキャンするので,測定点は,試料10上のX線照射点を通る直線上で移動する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここまでの説明は,逆格子空間上での測定点の説明であり,すっきりとした説明となる。しかしながら,現実の測定条件を設定するに当たっては,入射角ωと回折角2θを使って数値を設定することになる。その設定に関して,ωスキャンにおけるωの測定範囲の数値設定を相対角度で指定するか絶対角度で指定するかによって,図4に示したような整った測定領域が設定される場合と,図6に示したようないびつな測定領域が設定される場合とがある。この点を以下に説明する。
【0011】
図7は図4に示すωスキャンの測定領域をωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。座標軸としての2θ/ωの意味は,2θ/ωスキャン方向に2θとωを連動して変化させるときの2θの角度という意味である。ここでは,逆格子マップの中心の測定点(O点)を2θ/ω=60度,ω=30度に仮定している。また,中心の測定点O点を基準にして,2θ/ωを±10度の範囲で変化させ,ωも±10度の範囲で変化させるものと仮定している。測定点O点を基準にして,散乱ベクトルの大きさを一定(すなわち,2θが一定)にして,ωを±10度の範囲でスキャンすると,測定点はA点からB点に移動することになる。測定条件としては,2θ/ω=60度一定で,ω=20度,25度,30度,35度,40度の5点で測定することになる。したがって,ωは20度から40度まで変化することになる。
【0012】
一方,別の2θ/ωの値でωスキャンする場合は,測定点O点から,散乱ベクトルの方向を変えずに(すなわち,図3に示すように傾きαを変えずに)散乱ベクトルの大きさを変えて,例えばC点(2θ/ω=50度)までステップ移動して,その2θ/ωのところで,ωを±10度の範囲で変化させてωスキャンを実行する。この場合,留意すべきことは,測定点O点からC点までα=一定でステップ移動させると,2θを10度だけ小さくすることに伴って,ωも5度だけ小さくなっていることである。したがって,C点はω=25度の位置にある。この位置からωを±10度の範囲で変化させると,ωは15度(E点)から35度(F点)の範囲で変化することになる。このように,2θ/ω=60度のときのωの測定範囲20〜40度と,2θ/ω=50度のときのωの測定範囲15〜35度とが,異なることになる。同様のことは,2θ/ωを変化させるたびに生じることになり,結局,図11に示すように,測定点O点を基準にしたα=一定のライン24を中心にして,ω=±10度が測定範囲となる。
【0013】
図11のグラフの横軸はωの絶対角度であるが,これを,α=一定のライン24からの相対角度Δωに変えたものが,図9である。これによれば,測定領域が整った形で表現される。このように,ωスキャンの測定範囲を相対角度Δωの数値で指定すれば(この場合は±10度),図9及び図4に示すような測定領域を実現できることになる。
【0014】
ところが,逆格子マップの測定条件の設定画面において,ωの測定範囲の数値設定を相対角度で指定する場合と絶対角度で指定する場合とを選択できるような装置が存在する。ωの測定範囲を絶対角度で指定すると,図12に示すような状況が生じる。ωの測定範囲は,中心点O点(ω=30度)よりも10度だけ小さい20度と,10度だけ大きい40度とで指定する。この場合,2θ/ω=60度のときは問題はないが,例えば,2θ/ω=50度のところでは,ωの最小値20度は,C点から見るとマイナス5度であり,ωの最大値40度は,C点から見るとプラス15度である。絶対角度としては20〜40度であるが,C点のωから見れば,マイナス5度からプラス15度までの測定範囲となる。これを逆格子空間で見ると,図6のC点を通るωスキャンのラインとなる。すなわち,図4と比較すると,ωのスキャン範囲が右方向にシフトしている。そして,図12の測定領域の全体を逆格子空間上に移してみると,図6に示すような斜線の領域となる。ωの測定範囲を絶対角度で指定したために,このようないびつな測定領域が設定されたことになる。また,図12のグラフの横軸をΔωにして表現すると,図13のようになり,2θ/ωの値に応じてΔωの数値範囲を変えて測定していることになる。
【0015】
逆格子マップの測定条件を設定するときに,オペレータが図6のような測定領域(したがって,Δωについて図13のような測定領域)を想定して,あえて絶対角度でωの測定範囲を指定したのならば問題はない。しかし,図6のような測定領域で逆格子マップを測定するメリットは存在しないと考えられる。したがって,オペレータとしては,深く考えずに,相対角度で指定しても絶対角度で指定しても,測定領域としては同じになるものと考えてしまっていると推測される。図6のような測定領域になっていると,図4の測定領域の場合と比較して,データ処理を変える必要があるが,図4の測定領域を実施しているつもりで図6の測定領域で測定結果が得られた場合には,データ処理に支障が生じる。
【0016】
そこで,設定画面において絶対角度の指定ができないようにする,という考え方もあるが,絶対角度で指定した方が,測定しようとしている領域を把握しやすいという場合もあり,結局,現在のところ,相対角度と絶対角度のいずれでもωの測定範囲を指定できるような装置が存在する。
【0017】
なお,2θ/ωの測定範囲を指定する場合には,相対角度で指定しても絶対角度で指定しても,測定領域は同じになる。この点を以下に説明する。
【0018】
図10は横軸にΔω(相対角度)を,縦軸に2θ/ωをとったときの,2θ/ωスキャンの動きを示している。Δωが何度になっていても,2θ/ωは常に50度から70度まで移動することになる。この場合,2θ/ωを相対角度で指定しても,絶対角度で指定しても,測定領域は同じになる。
【0019】
図8は図10のグラフの横軸をω(絶対角度)に変えたときのグラフである。α=一定のどのラインに沿って2θ/ωスキャンをしても,2θ/ωは常に50度から70度まで移動することになる。図10と図8において,縦軸の2θ/ωを絶対角度の表示から,相対角度の表示(60度を中心にしたΔ2θ/ωの表示)に変えても,測定領域は同じである。
【0020】
本発明に対する先行技術としては,次の公知文献を挙げることができる。
【0021】
【非特許文献1】
カリティ著,松村源太郎訳,「新版X線回折要論」,新版8刷,株式会社アグネ,8刷,1990年3月,p.445‐458
【特許文献1】
特開2000−39409号公報
【特許文献2】
特開平11−304729号公報
【0022】
散乱ベクトルを用いたX線回折現象の説明については非特許文献1に記載されている。逆格子マップの測定については,特許文献1と特許文献2に記載がある。これらの特許文献は,逆格子マップの測定範囲の設定に関して相対角度と絶対角度の違いについては触れていない。
【0023】
本発明の目的は,上述の図6に示したようないびつな測定領域が設定されてしまうのを防ぐようにした,逆格子マップの測定範囲の設定方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は,X線回折の逆格子マップを求めるときの測定範囲の設定方法に関するものである。逆格子マップは次のようにして求めることができる。入射X線と試料と回折X線の3者の間での相対角度関係を規定する第1の角度変数および第2の角度変数を準備して,前記第1の角度変数を変化させることで,X線回折の散乱ベクトルの方向を一定にして大きさを変化させるような第1の条件変化を実現させ,前記第2の角度変数を変化させることで,前記散乱ベクトルの大きさを一定にして方向を変化させるような第2の条件変化を実現させて,前記第1の条件変化と前記第2の条件変化を組み合わせることで,逆格子空間内の所定の目標位置を取り囲む所望の領域内に含まれる複数の散乱ベクトルを作り出し,これらの散乱ベクトルについてX線回折測定を実施して逆格子マップを求めることができる。
【0025】
そして,このような逆格子マップを求める場合の測定範囲を設定するのに,次の段階を実施する。まず,前記第2の角度変数の変化範囲の数値指定方法が,前記目標位置を基準とした相対角度による指定か,絶対角度による指定かを判定する。次に,前記判定段階において前記相対角度で指定されたものと判定した場合は,前記第2の角度変数の変化範囲として前記相対角度の数値範囲を取得し,前記絶対角度で指定されたものと判定した場合は,前記絶対角度の数値範囲を前記相対角度に変換して取得する。また,前記第1の角度変数の変化範囲については,相対角度の数値範囲および絶対角度の数値範囲のいずれで取得してもよい。
【0026】
本発明によれば,第2の角度変数の変化範囲については,オペレータが絶対角度で指定しても,これを相対角度に変換して取得するので,相対角度と絶対角度のいずれで指定しても測定領域は同じものになり,図6のようないびつな測定領域が設定されてしまうのを防ぐことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に,本発明の実施形態を図面を参照して説明する。従来技術として説明してきた上述の各種の図面は,本発明における説明でもそのまま使えるので,これらの図面も利用して,本発明の実施形態を説明する。
【0028】
図14は,逆格子マップを測定するときの条件設定画面の一部(本発明に関連する部分だけ)を示したものである。「中心位置」というのは,図4や図9における測定点O点を,ωと2θ/ωの数値で指定したものである。オペレータは,ここに,自分が逆格子マップを求めたい測定領域の中心位置の角度を入力する。ここでは,2θ/ω=60度,ω=30度を仮定している。2θ/ωは本発明における第1の角度変数に該当し,ωが第2の角度変数に該当する。そして,上記中心位置が本発明における目標位置に該当する。
【0029】
「スキャン方向」とは,図5のような2θ/ωスキャンをするのか,図4のようなωスキャンをするのかを選択するものである。2θ/ωスキャンを選択した場合は,測定手順としては,ωについては所定の角度きざみでステップ移動して,それぞれのωの数値に対して2θ/ωスキャンを実行することになる。ωスキャンを選択した場合は,測定手順としては,2θ/ωについては所定の角度きざみでステップ移動して,それぞれの2θ/ωの数値に対してωスキャンを実行することになる。ここでは,ωスキャンを選択した状態を示している。2θ/ωスキャンは本発明における第1の条件変化に該当し,ωスキャンが第2の条件変化に該当する。
【0030】
「スキャン方法」とは,連続スキャンをするのか,ステップスキャンをするのかを選択するものである。連続スキャンとは,スキャン方向の角度を変化させながらX線回折測定をするものであり,ステップスキャンとは,スキャン方向の角度を一時的に固定した状態でX線回折測定を実施するものである。連続スキャンの場合には,測定した回折X線の強度は,測定中に変化する角度の中心位置でのデータとする。
【0031】
「測定範囲」の項目では,数値の入力方法として相対角度と絶対角度を選べるようになっている。さらに,その選択した角度指定方法によって2θ/ωとωの数値範囲を指定できるようになっている。ここでは,相対角度を指定して,2θ/ωをマイナス10度からプラス10度まで,ωをマイナス10度からプラス10度まで指定している。この測定領域は図9に示す測定領域と同じである。
【0032】
「測定きざみ」は,測定点をどれくらいの細かさで分割して測定するかというものであり,ここでは2θ/ωを0.1度きざみに,ωも0.1度きざみにしている。
【0033】
図14に示した測定条件で測定を実行すると,2θ/ωについては60−10=50度から,60+10=70度の範囲で,0.1度きざみで測定条件を設定することになり,合計200個の2θ/ω設定点となる。これらのそれぞれの設定点において,ωをマイナス10度からプラス10度まで0.1度きざみでステップスキャンを実行して,それぞれのωの値のところでX線回折測定を実行することになる。これによれば,合計で200×200=40000回の測定を実行することになる。なお,この条件は仮想的なものであり,現実の測定では,測定の角度範囲はもっと小さい場合が多く,また,測定きざみについては,測定目的に応じてさまざまである。
【0034】
図14は相対角度で測定範囲を設定したが,図15は絶対角度で設定した例である。図14と異なるところは,「測定領域」の項目で絶対角度を選択していることであり,さらに,それに応じて,2θ/ωの数値は50〜70度を,ωの数値は20〜40度を入力している。この場合,従来であれば,図12に示したような測定領域(したがって,図6の測定領域)が設定される。なぜならば,ωスキャンの測定範囲をωの絶対角度で指定しているからである。これに対して,本発明では,「測定領域」の項目が絶対角度になっている場合は,逆格子マップの測定条件を管理している制御装置の内部で,絶対角度の指定を相対角度の指定に変換している。すなわち,図14のような設定内容に自動的に変換している。したがって,図15の設定画面のように入力しても,制御装置の内部では,図14の設定画面と同じ測定領域が設定される。これにより,図6のようないびつな測定領域が設定されることがなく,図4のような測定領域が設定される。
【0035】
図16は制御装置の内部で実行する測定範囲取得手順を示している。制御装置では,まず,図14の条件設定画面の「測定範囲」の項目が相対角度を選択しているか絶対角度を選択しているかを判定する。相対角度を選択していると判定した場合は,測定範囲の項目の2θ/ωの数値範囲とωの数値範囲(いずれも相対角度である)を取得する。一方,相対角度の選択ではない(絶対角度を選択している)と判定した場合は,測定範囲の項目の2θ/ωの数値範囲とωの数値範囲(いずれも絶対角度である)を取得してから,これを相対範囲に変換する。
【0036】
この測定範囲の取得手順では,2θ/ωとωの両方について,絶対角度の場合は,これを相対角度に変換しているが,2θ/ωについては,絶対角度のまま取得してもよい。2θ/ωについては,相対角度で取得しても絶対角度で取得しても,測定領域は同じになる。すなわち,2θ/ωについては従来通りに設定数値の内容をそのまま取り込み,ωについてだけ図16に示す測定範囲取得手順を実施してもよい。
【0037】
図16において「絶対角度を相対角度に変換する」という動作には,2種類の方法が考えられる。第1の方法は,絶対角度の数値を相対角度の数値に直して,制御装置としては相対角度を取得したのと全く同じ制御をすることである。すなわち,図15の設定画面を,制御装置の内部的には,図14の設定画面に変えてしまうことである。
【0038】
第2の方法は,絶対角度のままで図12のようなωスキャン範囲をまず作り,その後,これを図7のように補正して測定範囲を取得する方法である。例えば,図12のようなωスキャン範囲を作ったら,2θ/ω=50度のところでは,ωのスキャン範囲をマイナス5度だけシフトし,2θ/ω=55度のところでは,ωのスキャン範囲をマイナス2.5度だけシフトし,というように,2θ/ωの目標位置(60度)と現在の2θ/ωとの差の2分の1だけωのスキャン範囲をシフトする。この方法によっても,結果的には,絶対角度を相対角度に変換したことになる。
【0039】
本発明の方法は,上述の実施形態に限らずに,インプレーン回折における逆格子マップ測定にも適用できる。インプレーン回折における逆格子マップ測定については,上述の特許文献2に記載されているが,その中で試料の面内回転についての角度スキャンが,上述の実施形態におけるωスキャンと同様に機能する。すなわち,試料の面内回転の角度について,その測定範囲を相対角度で指定する場合と絶対角度で指定する場合とで,逆格子マップの測定領域が変わってくる。この場合も,絶対角度で指定された場合には相対角度に変換して測定範囲を設定することで,上述の実施形態と同様の効果が期待できる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の逆格子マップの測定範囲設定方法によれば,第2の角度変数の変化範囲については,オペレータが絶対角度で指定しても,これを相対角度に変換して取得するので,相対角度と絶対角度のいずれで指定しても,測定領域は同じものになり,いびつな測定領域が設定されてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回折における散乱ベクトルの説明図である。
【図2】散乱ベクトルの大きさを一定にしてその方向を変えるときの説明図である。
【図3】散乱ベクトルの方向を一定にしてその大きさを変えるときの説明図である。
【図4】ωスキャンを実行したときの逆格子空間上での散乱ベクトルの動きを示す説明図である。
【図5】2θ/ωスキャンを実行したときの逆格子空間上での散乱ベクトルの動きを示す説明図である。
【図6】いびつな測定領域を示す説明図である。
【図7】図4に示すωスキャンの測定領域をωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。
【図8】図10に示す測定領域をωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。
【図9】ωスキャンの測定領域をΔωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。
【図10】2θ/ωスキャンの測定領域をΔωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。
【図11】ωスキャンの測定領域をωと2θ/ωの座標系で表現した別のグラフである。
【図12】ωスキャンの範囲を絶対角度で指定したときの測定領域をωと2θ/ωの座標系で表現した別のグラフである。
【図13】図12に示す測定領域をΔωと2θ/ωの座標系で表現したグラフである。
【図14】逆格子マップを測定するときの条件設定画面の一部を示した画面例である。
【図15】図14に示す条件設定画面の別の状態を示す画面例である。
【図16】測定範囲取得手順のフローチャートである。
【符号の説明】
10 試料
12 入射X線
14 回折X線
16 X線源
18 X線検出器
20 実格子面
22 試料表面の法線
24 α=一定のライン
Claims (2)
- 次の(a)に示す方法でX線回折の逆格子マップを求める場合に,(b)から(d)までの段階を実施することを特徴とする,逆格子マップの測定範囲を設定する方法。
(a)入射X線と試料と回折X線の3者の間での相対角度関係を規定する第1の角度変数および第2の角度変数を準備して,前記第1の角度変数を変化させることで,X線回折の散乱ベクトルの方向を一定にして大きさを変化させるような第1の条件変化を実現させ,前記第2の角度変数を変化させることで,前記散乱ベクトルの大きさを一定にして方向を変化させるような第2の条件変化を実現させて,前記第1の条件変化と前記第2の条件変化を組み合わせることで,逆格子空間内の所定の目標位置を取り囲む所望の領域内に含まれる複数の散乱ベクトルを作り出し,これらの散乱ベクトルについてX線回折測定を実施して逆格子マップを求める方法。
(b)前記第2の角度変数の変化範囲の数値指定方法が,前記目標位置を基準とした相対角度による指定か,絶対角度による指定かを判定する判定段階。
(c)前記判定段階において前記相対角度で指定されたものと判定した場合は,前記第2の角度変数の変化範囲として前記相対角度の数値範囲を取得し,前記絶対角度で指定されたものと判定した場合は,前記絶対角度の数値範囲を前記相対角度に変換して取得する段階。
(d)前記第1の角度変数の変化範囲としては相対角度の数値範囲および絶対角度の数値範囲のいずれかで取得する段階。 - 請求項1に記載の設定方法において,前記試料の表面に対する前記入射X線の入射角をωとし,前記入射X線に対する前記回折X線の角度を2θとした場合に,前記散乱ベクトルの方向が変化しないように前記2θと前記ωを連動させて変化させるような角度変数(これを2θ/ωと呼ぶ)を前記第1の角度変数として採用し,前記ωを前記第2の角度変数として採用することを特徴とする請求項1記載の設定方法。
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