JPH11304729A - X線測定方法及びx線測定装置 - Google Patents

X線測定方法及びx線測定装置

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JPH11304729A
JPH11304729A JP11536098A JP11536098A JPH11304729A JP H11304729 A JPH11304729 A JP H11304729A JP 11536098 A JP11536098 A JP 11536098A JP 11536098 A JP11536098 A JP 11536098A JP H11304729 A JPH11304729 A JP H11304729A
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JP11536098A
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Etsuo Morita
悦男 森田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 被測定試料の表面に垂直な結晶面について、
その結晶配向性やモザイク性、及び面間隔の状態を総合
的に把握することができるX線測定方法及びX線測定装
置を提供する。 【解決手段】 X線源2と、少なくとも被測定試料10
の3方向x,y,zの移動機構と1方向ωの回転機構と
を有して成るゴニオメータ装置3と、試料10によって
反射されたX線Xdを検出するX線検出器4と、X線源
2とX線検出器3との被測定試料10の測定点Mに対す
る方向θ,2θを変更するX線回転機構とを備えたX線
測定装置1を用いて、試料表面10sが1方向ωの回転
機構と垂直になるように固定し、試料表面10sで全反
射する条件にX線の入射角αを設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全反射とブラッグ
反射とを利用して行うX線測定方法であって、被測定試
料の例えば面内結晶配向性や面内モザイク性等の表面特
性の評価に用いて好適なX線測定方法に係わる。また、
このX線測定方法に用いて好適なX線測定装置に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】結晶性試料において、その内部位置に応
じて結晶方位が変化する様子、例えば結晶配向、モザイ
ク性等を測定する方法としては、被測定試料を回転軸
(いわゆるω軸)の回りを回転させながらX線の入射角
θを変えたときに回折されるX線強度を測定するロッキ
ングカーブ法や、被測定試料を回転軸(いわゆるω軸)
の回りに回転させながら入射角と回折角とを測定するこ
とによって逆格子空間の強度分布を測定する逆格子マッ
ピング法が用いられている。
【0003】また、結晶内の格子面間隔の状態を評価す
る方法としては、例えば測定する結晶面からの回折角を
測定する2θ−ω法や、(hkl)結晶面における反射
と(−h−k−l)結晶面における反射のブラッグ条件
を満足した結晶方位を正確に走査するボンド法によって
結晶面間隔を測定する方法等が用いられている。
【0004】一方、ω−2θスキャンを各ωにおいて逐
次測定することによって、目的とする(hkl)結晶面
に対する逆格子点hkl付近の、被測定試料表面に垂直
な逆格子断面強度分布を測定することによって、配向性
やモザイク性を測定する手法もある。
【0005】上述の方法では、被測定試料の表面に対し
て傾いている結晶面か、或いは被測定試料の表面に平行
な結晶面における結晶方位の変化の様子や面間隔を測定
して評価を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、被測定
試料の表面にほぼ垂直な結晶面の場合には、ブラッグ反
射した回折X線が被測定試料の内部に入ってしまうため
に、前述の方法では回折X線の測定が不可能である。
【0007】そこで、X線の表面に対する入射角αを小
さくして、表面でX線の全反射を起こさせながら、かつ
表面に垂直な結晶面によるブラッグ反射を起こさせるこ
とによって(いわゆるGIXS:微小入射角X線回折
法)、ロッキングカーブ法や2θ−ω法(又はω−2θ
法)による結晶性の評価を行うようにしている。
【0008】ここで、試料の表面にほぼ垂直な結晶面に
ついて、面間隔の異なる領域を含み、結晶方位が結晶表
面内で変化する試料の測定においては、前述のGIXS
によるロッキングカーブ法や2θ−ω法を用いて、結晶
方位や格子面間隔の変化の様子が測定されている。
【0009】ところが、GIXSによるロッキングカー
ブ法では、格子面間隔が近くかつ結晶方位がわずかに変
化したような試料においては、格子面間隔が近いことに
よる効果と結晶方位の変化による効果との2つの効果が
重なってしまうため、区別して評価することが困難であ
る。
【0010】一方、GIXSによる2θ−ω法では、格
子面間隔は区別できるが、結晶方位の僅かな違いによる
面間隔の変化を総合的に捉えることが困難である。
【0011】また、通常の逆格子マッピングにおいて
は、表面に垂直な方向の逆格子点又は表面に対して斜め
方向の逆格子点について、表面に対してほぼ垂直な逆格
子断面、場合によっては表面に対して傾斜した断面、を
測定するため、表面に平行又は表面に対して傾いた結晶
面におけるその結晶面方位の変化を知ることができる
が、表面に垂直な結晶面についてはその表面内回転等、
結晶面方位の変化を測定することはできない。
【0012】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、被測定試料の表面に垂直な結晶面について、そ
の結晶配向性やモザイク性、及び面間隔の状態を総合的
に把握することができるX線測定方法及びX線測定装置
を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のX線測定方法
は、X線を発生させ単色化させるX線源と、少なくとも
被測定試料の3方向の移動機構と1方向の回転機構とを
有して成るゴニオメータ装置と、被測定試料によって反
射されたX線を検出するX線検出器と、X線源とX線検
出器とをそれぞれ同期させて回転させることにより被測
定試料の測定点に対する方向を変更するX線回転機構と
を備えたX線測定装置を用いて、被測定試料の表面が1
方向の回転機構の回転軸と垂直になるように被測定試料
を固定し、X線源からのX線が被測定試料の表面で全反
射する条件に表面へのX線の入射角を設定し、被測定試
料の表面に垂直な一結晶面におけるブラッグ反射条件を
満たす被測定試料の回転機構の回転角及びX線回転機構
の回転角とを中心として、これら2つの回転角の所定範
囲において、いずれか一方の回転角を一定値にした状態
で他方の回転機構を回転走査させてX線検出器による連
続的又は断続的なX線測定を行い、一定値を変更して、
さらに他方の回転機構を回転走査させて上記X線検出器
による連続的又は断続的なX線測定を行い、以降一定値
の変更と連続的又は断続的なX線測定を繰り返し、最終
的に2つの回転角の所定範囲内である2次元領域内のX
線強度分布の測定を行うものである。
【0014】本発明のX線測定装置は、X線を発生させ
単色化させるX線源と、少なくとも被測定試料の3方向
の移動機構と1方向の回転機構とを有して成るゴニオメ
ータ装置と、被測定試料によって反射された上記X線を
検出するX線検出器と、X線源とX線検出器とをそれぞ
れ同期させて回転させることにより被測定試料の測定点
に対する方向を変更するX線回転機構と、1方向の回転
機構の回転制御を行う第1の回転制御手段と、X線回転
機構の回転制御を行う第2の回転制御手段とを備えたX
線測定装置であって、被測定試料の一結晶面におけるブ
ラッグ反射条件を満たす第1の回転制御手段の回転角及
び第2の回転制御手段の回転角と、第1の回転制御手段
の回転角を中心として行われる第1の回転制御手段によ
る回転走査の走査範囲と、第2の回転制御手段回転角を
中心として行われる第2の回転制御手段による回転走査
の走査範囲とが制御プログラムに対して与えられ、制御
プログラムを用いて、上第1の回転制御手段及び第2の
回転制御手段のうちいずれか一方の回転制御手段が走査
範囲内の一定値である状態に対して、他方の回転制御手
段による回転走査及びX線検出器による連続的又は断続
的なX線測定がなされ、一方の回転制御手段の走査範囲
内の一定値を走査範囲内で変更された一定値として、他
方の回転制御手段による回転走査及び上記X線検出器に
よる連続的又は断続的なX線測定が繰り返され、最終的
に第1の回転制御手段による回転走査の走査範囲内でか
つ第2の回転制御手段による回転走査の走査範囲内であ
る2次元領域内のX線強度分布が得られるものである。
【0015】上述の本発明によれば、X線源からのX線
が被測定試料の表面で全反射する条件に表面へのX線の
入射角を設定しているので被測定試料の表面に垂直な結
晶面におけるブラック反射によるX線を測定することが
でき、被測定試料の表面に垂直な一結晶面におけるブラ
ック反射条件を満たす2つの回転機構の回転角を中心と
した所定範囲の2次元領域内のX線強度分布を測定する
ので、被測定試料の表面に垂直な結晶面における格子面
間隔の変化及び面内方位の変化の分布を正確に知ること
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、図1を用いて本発明に係る
X線測定方法の概念を説明する。図1中、[10
0]* ,[010]* ,[001]* で示す矢印は、そ
れぞれx軸方向、y軸方向、z軸方向における逆格子空
間のユニットベクトルを示す。そして、[100]*
[010]* の2つのユニットベクトルが作る平面は、
通常xy平面とされる被測定試料の表面と平行になる。
【0017】また、図1中、ユニットベクトル[00
1]* に平行な断面Szは、被測定試料の表面と垂直な
逆格子断面である。ユニットベクトル[010]* に平
行な断面Syは、被測定試料の表面と平行な逆格子断面
である。
【0018】前述の従来の測定法では、図中の被測定試
料の表面と垂直な逆格子断面Szにおける逆格子点00
1の周辺の回折X線強度の分布(図中等高線で示す)を
測定していた。しかしながら、被測定試料の表面と平行
な逆格子断面Syにおける逆格子点010の周辺の回折
X線強度の分布を測定することはできなかった。
【0019】これに対して、本発明のX線測定方法にお
いては、被測定試料の表面と平行な逆格子断面Syにお
ける逆格子点010の周辺の回折X線強度の分布を測定
することができるものである。
【0020】続いて、本発明のX線測定方法の実施の形
態を説明する。図2は、本発明の実施の形態として、本
発明のX線測定方法及びX線測定装置の実施に適用する
X線回折測定装置1の概略構成図を示す。
【0021】このX線回折測定装置1は、充分単色化さ
れたX線Xoを発生し被測定試料10に入射させるX線
源2と、被測定試料10の方位や被測定試料10内の測
定点Mの位置等を設定するゴニオメータ装置3と、回折
X線Xdの方向を正確に測定するための分解能を有した
X線検出器4とから構成される。
【0022】単色化されたX線源2としては、放射光に
限らず例えば回転対陰極X線発生装置やX線管球を用い
たX線発生装置を用い、1つ以上の結晶を用いてX線を
単色化かつ平行化する機能を有したコリメータ、例えば
Ge(220)結晶面を用いたチャンネルカット結晶2
組を用いた4結晶コリメータを備えたモノクロメータに
よって、X線を単色化かつ平行化する。
【0023】尚、モノクロメータに用いられるコリメー
タとしては、Geの(220)結晶面以外の結晶面を用
いたり、Ge以外の結晶を用いたり、チャンネルカット
結晶1つを用いた2結晶コリメータや、単一の結晶面を
用いたコリメータ等、その他の単色化を目的としたコリ
メータを用いることもできる。
【0024】上述の単色化したX線を、スリット等によ
って被測定試料10の表面10sの測定位置方向のX線
のみに制限して、これを入射X線Xoとして被測定試料
10の表面10sに照射する。
【0025】X線源2、スリット等を含むX線照射系
は、好ましくは傾きを変化させることによって被測定試
料10の表面10sに対する入射X線Xoの入射角αを
変化させることができる構成とする。尚、X線照射系の
傾きを変化させる代わりに、ゴニオメータ装置3側の傾
きを変化させることによって入射角αを変化させること
ができる構成としてもよい。
【0026】ゴニオメータ装置3は、少なくとも被測定
試料10の表面10sにほぼ垂直な回転軸の周囲に被測
定試料10を回転させることができるω回転機構と、被
測定試料10の位置を設定して被測定試料10の測定し
たい点を入射X線Xoの入射位置に移動できるように構
成されたx軸,y軸,z軸の3軸方向の移動機構とを有
して構成される。また、図2のX線回折測定装置1で
は、さらにω回転機構のω回転軸に垂直なψ回転軸によ
って被測定試料10の表面10sと平行で被測定試料1
0の表面のあおり角を変化させることができるψ回転機
構を有して構成されている。そして、好ましくは、これ
ら各回転機構及び移動機構がそれぞれ独立して動くこと
が可能な構成とする。
【0027】X線検出器4は、全体として上述のゴニオ
メータ装置3の試料回転機構(ω回転機構)と同じ回転
軸で回転できる回転機構(2θ回転機構)上に設置す
る。そして、回折角(2θ)を、ω回転軸やψ回転軸を
中心として測定することができるように構成する。
【0028】また、X線検出器4の向きは、入射角αに
合わせて試料表面10sに対する傾斜角度が入射角に等
しい角度αに設定されるようにして、被測定試料10の
表面10sで全反射され、かつ表面10sに垂直な結晶
面11でブラック反射条件で反射された回折X線Xdを
検出できるように構成する。
【0029】このX線検出器4としては、例えばシンチ
レーション検出器を用いることができ、その前方に回折
X線(散乱X線)の方位・回折角(2θ)を正確に測定
できる機能を有する装置、例えばいわゆるアナライザ装
置が設置された構成とする。
【0030】上述のアナライザ装置としては、例えば1
つ以上の結晶を用いたアナライザ結晶を有し、アナライ
ザ結晶は例えばGe(220)面を用いたチャンネルカ
ット結晶を用いることができる。尚、アナライザ装置
は、例えば3結晶や1結晶のアナライザ装置等の上述の
構成以外の構成から成るアナライザ装置を用いることも
できる。
【0031】尚、X線検出器4は、図2に示す回折X線
Xd以外のX線も検出できるような検出器を用いてもよ
い。
【0032】そして、X線源2とゴニオメータ装置3と
X線検出器4とは、特定の一点において、本発明に係る
被測定試料10の表面に垂直な結晶面11の測定の場合
においては被測定試料10の表面10s上の一点におい
て、X線源2のθ回転機構のθ回転軸,X線検出器4の
2θ回転機構の2θ回転軸,ω回転軸,ψ回転軸がいず
れもこの一点Mを通り、かつX線源2からの入射X線が
この一点Mに入射するように配置構成される。この被測
定試料10の表面10s上の一点Mが、X線回折強度の
測定における被測定試料10の測定点となる。
【0033】尚、ψ回転軸は、入射角αの回転軸とω回
転軸との交点即ち、上述の測定点Mを通らない構成を採
ることもできるが、好ましくは図2に示すように上述の
測定点Mを通る構成とする。
【0034】また、θ回転機構,2θ回転機構,ω回転
機構,ψ回転機構の各回転機構、及びx軸,y軸,z軸
の各移動機構は、好ましくはコンピュータ制御により、
それぞれ独立して、かつ自動的に回転走査又は移動する
ことができ、また任意の角度や任意の位置に設定するこ
とが可能な構成とする。
【0035】尚、θ回転機構と2θ回転機構は、それぞ
れ同期して回転させることによって、図2に示すよう
に、ψ回転軸から共に回転角θだけ回転させることがで
きる。
【0036】このようなX線回折測定装置1を用いて、
本発明に係るX線測定方法を実施する場合について説明
する。被測定試料10の表面10sにある測定点Mに対
して、被測定試料10の表面10sで全反射を起こすよ
うに入射角度αを浅い角度に設定する。
【0037】その後、被測定試料10の表面10sにほ
ぼ垂直な結晶面11によるブラッグ条件を満足するよう
に、被測定試料10の回転のω回転機構の回転角ωと、
検出器4の2θ回転機構の回転角2θとを設定する。こ
こで、被測定試料10の表面10sが、ω回転軸と2θ
回転軸とを含む面に対して垂直になるように、又は測定
する結晶面11とω回転軸と2θ回転軸が平行になるよ
うにψ回転軸を調整することが望ましい。
【0038】そして、設定した入射角度αでX線Xoを
測定点Mに入射させると同時に、測定しようとしている
結晶面11例えば(hk0)結晶面の面内反射のブラッ
グ反射条件を満足する回転角ω付近において回転角ωを
変化させると共に、逐次ω−2θスキャンを行い、回折
X線強度の分布を測定する。即ち、回転角ωを一定値と
してω−2θスキャンによる連続的又は断続的なX線測
定を行ってX線検出器4により回折X線の強度分布を得
て、回転角ωを変更して回転角ωを別の一定値として連
続的又は断続的なX線測定を行い、これを回転角ωの所
定範囲内で繰り返す。
【0039】尚、一定値のω−2θに対してωスキャン
を逐次行うことによって、X線測定を行う方法を採って
も同様の結果を得ることができる。
【0040】これにより、ブラッグ反射条件における回
転角ω周辺の、回転角ωの所定範囲内かつω−2θの所
定範囲内の2次元領域内における回折X線Xdの強度分
布を得ることができる。即ち逆格子空間における逆格子
点hk0付近の2次元的な強度分布を得ることができ
る。
【0041】このとき、結晶面11の面内反射のブラッ
グ条件を満足する回転角ωの値、回転角ωを変化させる
範囲、及びω−2θスキャンの走査の範囲を設定して測
定を行うようにする。
【0042】そして、好ましくは、結晶面11の面内反
射のブラッグ条件を満足する回転角ωの値、回転角ωを
変化させる範囲、及びω−2θスキャンの走査の範囲を
与えれば、制御プログラムによって、回転角ω又はω−
2θスキャンの内いずれか一方を一定値に固定して、他
方を走査して連続的に回折X線が測定され、一定値の変
更と回折X線の測定が繰り返されて、最終的にこれら回
転角ωの範囲内及びω−2θスキャンの走査の範囲内の
2次元領域におけるX線強度分布が得られるようにX線
回折測定装置1を構成する。
【0043】この測定結果を、縦軸をω軸、横軸をω−
2θ軸、又はその逆に表示することによって、各々の方
向の強度分布を2次元的に把握することができる。尚、
この得られた回折X線強度の分布の測定結果は、縦軸及
び横軸を角度の単位から逆格子空間の単位系(長さ分の
1)に変換して表示することもできる。
【0044】上述の測定の手順は、通常の逆格子マッピ
ングによる測定と同様である。
【0045】上述のように測定を行うことにより、入射
X線Xoの単色性/平行性と、X線検出器4の精度のよ
さとを利用して、回折X線Xdの回折角2θを分解能良
く精密に測定でき、逆格子点付近の回折X線強度分布を
2次元的に細かく知ることができる。
【0046】これにより、通常の逆格子マッピング法の
特長を有しているばかりでなく、通常の逆格子マッピン
グ法では測定できない、表面10sにほぼ平行な逆格子
点hk0周辺の表面に平行な逆格子断面における回折X
線強度の分布の測定が可能となる特長を有している。ま
た、前述のGIXSにおけるロッキングカーブ法では区
別が難しかった、格子定数の変化と結晶方位の変化とを
区別して2次元的に表示することができる。
【0047】ここで、得られる2次元の回折X線強度分
布において、ω−2θスキャン方向の広がりや分布は、
格子面間隔の変化の様子を表す。また、ωスキャン方向
の広がりや分布は、測定した結晶面11の結晶方位のふ
らつき分布の様子を表す。
【0048】そして、結晶方位と格子面間隔の変動が組
み合わさったような複雑な構造材料の場合には、ωスキ
ャンを繰り返す、或いはω−2θスキャンを繰り返す、
といった1次元的な測定のやり方では、実際の構造とは
異なる誤った理解をしてしまう危険性があるが、上述の
実施の形態に示す測定方法によれば、網羅的に2次元的
な情報が得られるため、このような誤った理解をしてし
まう危険を回避することができる。
【0049】また、表面に平行な逆格子断面Syを測定
することができるために、結晶面11の面内回転変化の
様子を面内格子面間隔とも区別して定量的に測定するこ
とができる。
【0050】上述の本発明のX線測定方法により実際に
測定を行った結果を図3に示す。図3の測定に用いた試
料10は、サファイア基板上に成長させたGaN(窒化
ガリウム)エピタキシャル成長結晶である。
【0051】図3は、この試料10の表面10sの結晶
面11のブラッグ条件を満たす回転角ω及び回転角2θ
の周辺で、これらの回転角ω,2θを変化させたときの
回折X線強度の分布を示す。即ち、試料10の表面10
sの面内結晶方位のふらつき分布状態を表している。
【0052】この測定では、ω−2θ方向にも変化や広
がり、即ち格子定数の広がり又は変化は観察されていな
いが、被測定試料10の表面10s内に、又はごく表面
近傍に格子定数の異なる例えばAlGaN,GaInN
等の物質が混在する場合には、ω−2θ方向にも変化や
広がりが観察される。
【0053】尚、図3では回転角ωの範囲が中心の角度
±0.2°、ω−2θの範囲が中心の角度±0.05°
に設定されて測定した場合であったが、これらの測定の
範囲は、結晶面間隔の分布や結晶方位の分布等の試料の
状態によって、必要に応じて広い範囲或いは狭い範囲を
設定して2次元分布測定を行うことができる。
【0054】上述の本発明に係るX線測定方法の応用対
象としては、例えばIII族元素の窒化物系材料や結晶
配向した金属薄膜、半導体薄膜、誘電体薄膜等種々の材
料の面内配向の定量的な評価に用いることができる。そ
して材料の結晶性の正確な評価が可能となり、結晶性の
向上に適用して、半導体デバイス、磁気記録デバイス、
表示デバイスなど各種デバイスの特性を向上することが
できる。
【0055】本発明のX線測定方法及びX線測定装置
は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得
る。
【0056】
【発明の効果】上述の本発明によれば、全反射条件とブ
ラッグ条件をほぼ満足させるような条件でマッピング測
定することによって、表面にほぼ平行な逆格子断面の強
度分布を得ることができ、得られた逆格子断面の強度分
布から、被測定試料の表面に垂直な結晶面に対しても、
結晶面内方向の結晶方位の変動の様子と格子面間隔の変
動の様子を区別して総合的に評価できるようになる。
【0057】従って、III族元素の窒化物系材料や結
晶配向した金属薄膜、半導体薄膜、誘電体薄膜等種々の
材料の結晶性の正確な評価が可能となり、結晶性の向上
に適用して、半導体デバイス、磁気記録デバイス、表示
デバイスなど各種デバイスの特性の向上に寄与すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線測定方法を説明する逆格子空間の
模式図である。
【図2】本発明のX線測定方法に用いるX線測定装置の
概略構成図である。
【図3】本発明のX線測定方法を用いてGaNエピタキ
シャル成長結晶の表面を測定した測定結果の図である。
【符号の説明】
1 X線回折測定装置、2 X線源、3 ゴニオメータ
装置、4 X線検出器、10 被測定試料、10s 試
料表面、11 結晶面、Xo (入射)X線、Xd 回
折X線、M 測定点

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線を発生させ単色化させるX線源と、 少なくとも被測定試料の3方向の移動機構と1方向の回
    転機構とを有して成るゴニオメータ装置と、 上記被測定試料によって反射された上記X線を検出する
    X線検出器と、 上記X線源と上記X線検出器とをそれぞれ同期させて回
    転させることにより上記被測定試料の測定点に対する方
    向を変更するX線回転機構とを備えたX線測定装置を用
    いて、 上記被測定試料の表面が上記1方向の回転機構の回転軸
    と垂直になるように上記被測定試料を固定し、 上記X線源からのX線が上記被測定試料の表面で全反射
    する条件に該表面への該X線の入射角を設定し、 上記被測定試料の上記表面に垂直な一結晶面におけるブ
    ラッグ反射条件を満たす被測定試料の上記回転機構の回
    転角及び上記X線回転機構の回転角とを中心として、上
    記回転機構の回転角の所定範囲及び上記X線回転機構の
    回転角の所定範囲において、 上記被測定試料の上記回転機構と、上記X線回転機構と
    のうちいずれか一方の回転機構の回転角を一定値にした
    状態で他方の回転機構を回転走査させて上記X線検出器
    による連続的又は断続的なX線測定を行い、 上記一定値を変更して、さらに上記他方の回転機構を回
    転走査させて上記X線検出器による連続的又は断続的な
    X線測定を行い、 以降上記一定値の変更と上記連続的又は断続的なX線測
    定を繰り返し、 最終的に上記回転機構の上記回転角の上記所定範囲及び
    上記X線回転機構の上記回転角の上記所定範囲内である
    2次元領域内のX線強度分布の測定を行うことを特徴と
    するX線測定方法。
  2. 【請求項2】 X線を発生させ単色化させるX線源と、 少なくとも被測定試料の3方向の移動機構と1方向の回
    転機構とを有して成るゴニオメータ装置と、 上記被測定試料によって反射された上記X線を検出する
    X線検出器と、 上記X線源と上記X線検出器とをそれぞれ同期させて回
    転させることにより上記被測定試料の測定点に対する方
    向を変更するX線回転機構と、 上記1方向の回転機構の回転制御を行う第1の回転制御
    手段と、 上記X線回転機構の回転制御を行う第2の回転制御手段
    とを備えたX線測定装置であって、 上記被測定試料の一結晶面におけるブラッグ反射条件を
    満たす第1の回転制御手段の回転角及び第2の回転制御
    手段の回転角と、 該第1の回転制御手段の回転角を中心として行われる第
    1の回転制御手段による回転走査の走査範囲と、 該第2の回転制御手段回転角を中心として行われる第2
    の回転制御手段による回転走査の走査範囲とが制御プロ
    グラムに対して与えられ、 上記制御プログラムを用いて、上記第1の回転制御手段
    及び上記第2の回転制御手段のうちいずれか一方の回転
    制御手段が上記走査範囲内の一定値である状態に対し
    て、他方の回転制御手段による回転走査及び上記X線検
    出器による連続的又は断続的なX線測定がなされ、 上記一方の回転制御手段の上記走査範囲内の一定値を該
    走査範囲内で変更された一定値として、上記他方の回転
    制御手段による回転走査及び上記X線検出器による連続
    的又は断続的なX線測定が繰り返され、 最終的に上記第1の回転制御手段による上記回転走査の
    走査範囲内でかつ上記第2の回転制御手段による上記回
    転走査の走査範囲内である2次元領域内のX線強度分布
    が得られることを特徴とするX線測定装置。
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