JP2002031609A - 結晶構造解析方法 - Google Patents

結晶構造解析方法

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JP2002031609A
JP2002031609A JP2000216542A JP2000216542A JP2002031609A JP 2002031609 A JP2002031609 A JP 2002031609A JP 2000216542 A JP2000216542 A JP 2000216542A JP 2000216542 A JP2000216542 A JP 2000216542A JP 2002031609 A JP2002031609 A JP 2002031609A
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crystal
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rays
sbt
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Keisuke Saito
啓介 齋藤
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Philips Japan Ltd
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    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B5/00Measuring arrangements characterised by the use of mechanical techniques
    • G01B5/28Measuring arrangements characterised by the use of mechanical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B15/00Measuring arrangements characterised by the use of electromagnetic waves or particle radiation, e.g. by the use of microwaves, X-rays, gamma rays or electrons

Abstract

(57)【要約】 【課題】結晶構造を詳細に解析することができる結晶構
造解析方法を提供する。 【解決手段】SBT薄膜1の傾き角ψを0度≦ψ≦90
度の範囲内において1度間隔で変化させるとともに、入
射X線5の入射角度θを0度≦θ≦90度の範囲内にお
いて0.025度間隔で変化させながら、SBT薄膜1
に入射X線5を照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶構造を有する
試料にX線を照射し、前記試料で回折したX線を検出
し、該検出されたX線の強度に基づいて前記試料の結晶
構造を解析する結晶構造解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、結晶性を示す薄膜の結晶相を
解析する方法として、X線をθ−2θスキャンで走査す
るX線回折法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】結晶性を示す薄膜は、
成膜条件により、異なる結晶相を示す場合が少なくな
い。例えば、Pt/TiO2/(001)Si基板上に
SrBi2Ta2O9(以下、SBTと呼ぶ)薄膜を成
膜すると、このSBT薄膜は、多くの場合SBT相と呼
ばれる結晶相を示すことが知られているが、成膜時の温
度変化等の影響を受け、フローライト相と呼ばれる、S
BT相とは異なる結晶相も形成される。このSBT薄膜
は、フローライト相の回折線の現れる角度(2θ)が、
SBT相の回折線の現れる角度に近接しているため、上
記のX線回折法では、フローライト相とSBT相との判
別が極めて難しい。このように、異なる結晶相の回折線
が互いに近接した角度で現れてしまうと、結晶相の判別
ができなくなり、結晶構造の詳細な解析が難しいという
問題がある。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑み、結晶構造を
詳細に解析することができる結晶構造解析方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の結晶構造解析方法は、結晶構造を有する試料にX線
を照射し、前記試料で回折したX線を検出し、該検出さ
れたX線の強度に基づいて前記試料の結晶構造を解析す
る結晶構造解析方法であって、前記検出されたX線のう
ち、第1の結晶面間隔で並ぶ第1の結晶面で回折した第
1のX線の強度と、前記第1の結晶面に対し斜めに広が
り第2の結晶面間隔で並ぶ第2の結晶面で回折した第2
のX線の強度とに基づいて、前記試料の結晶構造を解析
することを特徴とする。
【0006】本発明では、第1の結晶面間隔で並ぶ第1
の結晶面で回折した第1のX線の強度だけでなく、前記
第1の結晶面に対し斜めに広がり第2の結晶面間隔で並
ぶ第2の結晶面で回折した第2のX線の強度を検出し
て、前記試料の結晶構造を解析している。このように、
互いに斜めに広がる第1及び第2の結晶面で回折したX
線の強度を検出することにより、従来と比較して結晶構
造を詳細に解析することができる。
【0007】ここで、本発明の結晶構造解析方法は、前
記試料に対し異なる角度で交差する複数の面内それぞれ
において、前記試料に対し異なる入射角度でX線を前記
試料に照射し該試料で回折したX線を検出することが好
ましい。
【0008】このようにすることにより、互いに斜めに
広がる第1及び第2の結晶面で回折したX線を容易に検
出することができる。
【0009】ここで、本発明の結晶構造解析方法は、前
記試料に対するX線の入射角度を、前記第1のX線が前
記試料に入射するときの入射角度と前記第2のX線が前
記試料に入射するときの入射角度との間の角度範囲内で
変更することが好ましい。
【0010】上記の角度範囲内でX線の入射角度を変更
することにより、第1及び第2の結晶面とは別の結晶面
で回折したX線を検出することも可能となる。
【0011】ここで、本発明の結晶構造解析方法は、前
記複数の面が、前記試料に対し0度〜90度の範囲内で
互いに交差するものであり、前記試料に対するX線の入
射角度を0度〜90度の角度範囲内で変更することが好
ましい。
【0012】このようにすることにより、試料の結晶構
造を更に詳細に解析することができる。
【0013】また、本発明の結晶構造解析方法は、前記
試料に交差する1つの面内において前記試料を異なる傾
き角に傾け、各傾き角で傾けられた前記試料それぞれに
対し前記1つの面内において異なる入射角度でX線を前
記試料に照射し該試料で回折したX線を検出してもよ
い。
【0014】前記試料に交差する1つの面を考え、この
1つの面内において、傾き角及び入射角度を変更して
も、互いに斜めに広がる第1及び第2の結晶面で回折し
たX線の強度を検出することができ、従来と比較して結
晶構造を詳細に解析することができる。
【0015】ここで、本発明の結晶構造解析方法は、前
記試料がビスマス層状化合物であることが好ましい。
【0016】ビスマス(Bi)層状化合物は、例えば、
SBT相、フローライト相、及びパイロクロア相などの
様々な結晶相を示す物質である。従来では、試料が複数
の結晶相を示す可能性がある場合、この試料の結晶相を
判別することは極めて難しかったが、本発明を用いるこ
とにより、例えばBi層状化合物などの様々な結晶相を
示す試料であっても、この試料の結晶相を高精度で判別
することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、SBT薄膜の結晶構造を解析する例を取り上げて説
明するが、本発明の結晶構造解析方法は、結晶構造を形
成する試料であればSBT薄膜以外の試料の結晶構造を
解析するのにも用いることができる。
【0018】図1は、本発明の一実施形態の結晶構造解
析方法を用いて、SBT薄膜の結晶構造を解析するとき
の方法を示す概念図である。本実施形態では、従来から
知られているθ−2θスキャンで走査するX線回折法を
応用することにより、結晶構造を解析している。
【0019】図1には、SBT薄膜1が示されている。
このSBT薄膜1は、交点Pで互いに垂直に交わるX−
X軸及びY−Y軸で決まる平面内に配置されている。ま
た、このSBT薄膜1は、X−X軸を中心軸として回転
自在に傾けられる。SBT薄膜1が水平に配置された状
態から(水平に配置されたSBT薄膜は、実線で示され
ている)、Y−Y軸がY’−Y’軸で表される位置に配
置されるまでSBT薄膜1を傾けたとき、SBT薄膜1
の傾き角は、Y−Y軸とY’−Y’軸とのなす角ψで表
される。図1には、傾き角ψだけ傾いた状態のSBT薄
膜1が破線で示されている。ここで、X−X軸を含み、
水平に配置された状態のSBT薄膜1に対し垂直に広が
る平面4を考え、この平面4の面内において、入射角度
θをSBT薄膜1に対して変更しながら、X線装置2か
ら所定位置Pに入射X線5を照射する。また、この平面
4の面内において、入射X線5の入射方向に対し散乱角
度2θ傾いた方向には、SBT薄膜1で散乱した散乱X
線6を検出する検出器3が備えられている。従って、入
射X線5をSBT薄膜1に入射させると、入射X線5の
入射方向に対し散乱角度2θ傾いた方向に散乱した散乱
X線6が、検出器3で検出される。本実施形態では、S
BT薄膜1の傾き角ψを、0度≦ψ≦90度の範囲内に
おいて1度間隔で変化させており、傾き角ψを1度変化
させる毎に、入射X線5の入射角度θを0度≦θ≦90
度の範囲内で変化させて、SBT薄膜1で散乱した散乱
X線6を検出器3で検出している。入射角度θを変更す
るためには、例えば、θ方向にSBT薄膜1を傾けた
り、θ方向にX線装置2を移動させればよい。このと
き、検出器3をθ(2θ)方向に移動させることによ
り、散乱角度2θ傾いた方向に散乱した散乱X線6を検
出することができる。
【0020】図2は、水平に保持された(ψ=0度)S
BT薄膜1をX−X’軸方向から見た概略図である。
【0021】SBT薄膜1の傾き角ψ=0度のときに、
結晶面間隔がd1で並ぶ多数の結晶面11(実線で示さ
れている)が、SBT薄膜1の表面に対して平行に配置
される場合を考える。平面4は、結晶面11に対し垂直
に広がる面であり、さらに、この平面4は、図1に示す
ように、X線装置2が照射する入射X線5と、検出器3
が検出する散乱X線6とを含んで広がる面である(この
平面4を散乱面と呼ぶ)。従って、検出器3は、結晶面
11で散乱したX線を検出する。このため、入射角度θ
及び結晶面11の面間隔d1が、以下の(1)式で示さ
れるブラッグの式を満足する場合、各結晶面11で回折
した散乱X線6は強め合い、この強めあった散乱X線6
が検出器3で検出される。 2dsinθ=nλ…(1)
【0022】ここで、d;結晶面間隔、θ;入射角度、
λ;X線の波長である。
【0023】X線の波長λは既知であり、入射角度θ
は、検出器3で散乱X線6が検出されたときの入射X線
5の角度であるため、入射角度θの値はわかる。従っ
て、(1)式から、結晶面11の結晶面間隔d1が求め
られる。
【0024】ところが、結晶面11に対して斜めに傾
き、結晶面間隔d2で並ぶ結晶面12(破線で示されて
いる)について考えると、この結晶面12で散乱したX
線は、平面4から外れた方向に散乱する。従って、入射
角度θを変化しただけでは、結晶面12で散乱したX線
は検出されず、この結晶面12の結晶面間隔d2を求め
ることができない。つまり、互いに斜めに広がる結晶面
11及び12が存在した場合、入射角度θを変化させた
だけでは、いずれか一方の結晶面のみの情報しか得られ
ない。
【0025】そこで、本実施形態では、入射角度θを変
化させるだけでなく、傾き角ψも変化させている。結晶
面11に対し垂直に広がる平面4の他に、結晶面12に
対し垂直に広がる平面4’(破線で示されている)を考
え、Y−Y軸及びY’−Y’軸(図1参照)を含みこの
平面4内に垂直に交わる面内においてSBT薄膜1を傾
き角ψだけ傾けることにより、入射X線5及び散乱X線
6の経路は、結晶面11に垂直な平面4から外れ、結晶
面12に対し垂直な平面4’内に入射X線5及び散乱X
線6の経路が形成される。これにより、図3に示すよう
に、結晶面11に代わり、結晶面12が水平に配置され
る。従って、結晶面11に関する情報(例えば結晶面間
隔d1)だけでなく、結晶面12に関する情報(例えば
結晶面間隔d2)も得ることができる。尚、傾き角ψ
は、SBT薄膜1を固定しておき、X−X軸に対しX線
装置2及び検出器3を回転させることにより変更しても
よい。
【0026】ところで、SBT薄膜1は、SBT相と呼
ばれる結晶相を示すことが知られているが、SBT相の
他にも、フローライト相と呼ばれる結晶相を示す場合も
ある。SBT相は、一般的に、(115)面に配向しや
すく(つまり、(115)面が、SBT薄膜1が成膜さ
れる基板の表面に対して平行に成長しやすい)、一方、
フローライト相は、(111)面に配向しやすいといわ
れている。SBT相の(115)面で散乱したX線がブ
ラッグの条件を満たす場合、散乱角度2θは2θ=2
8.9度であり、一方、フローライト相の(111)面
で散乱したX線がブラッグの条件を満たす場合、散乱角
度2θは2θ=27.9度である。このように、SBT
相の(115)面及びフローライト相の(111)面で
は、ブラッグの条件を満たす散乱角度2θが、互いに近
接している。従って、散乱角度2θ=28度付近にX線
回折線が得られただけでは、SBT相の(115)面に
よる回折線なのか、フローライト相の(111)面によ
る回折線なのかを判定することができない。さらに、S
BT薄膜1は、成膜時の温度変化等の影響を受け、SB
T相とフローライト相とが混在した相状態を示す場合も
ある。従って、散乱角度2θ=28度付近にX線回折線
が得られた場合、SBT薄膜1が、SBT相のみ又はフ
ローライト相のみを有するという可能性の他に、SBT
相びフローライト相が混在するという可能性もあり、従
来のθ−2θ法では、SBT薄膜1の結晶相の判別をす
ることができない。また、SBT薄膜1は、その成膜条
件や、SBT薄膜1に含まれるSi、Bi、Ta及びO
の比率が変化すると、配向しやすい結晶面も変化する可
能性がある。このようなことも、SBT薄膜1の結晶相
の判別を難しくしている。
【0027】これに対し、本実施形態では、上記のよう
に、入射角度θだけでなく傾き角ψも変化させており、
このため、互いに斜めに傾く結晶面11及び12双方の
情報を得ることができる。これにより、SBT薄膜1の
結晶相を判定することが可能となる。以下に、入射角度
θだけでなく傾き角ψも変化させることにより、どのよ
うにしてSBT薄膜1の結晶相が判定できるのかについ
て説明する。
【0028】SBT薄膜1の結晶相の判別をするため
に、入射角度θ及び傾き角ψを変化させながらSBT薄
膜1にX線を照射し、検出器3で検出されたX線の強度
分布を測定した。以下に、この測定結果について説明す
る。
【0029】図4は、検出器3で検出されたX線の回折
強度分布の測定結果を示す図である。
【0030】このX線の回折強度分布の測定は、SBT
薄膜1の傾き角ψを0度≦ψ≦90度の範囲内において
1度間隔で変化させ、この傾き角ψを1度変化させる毎
に、入射X線5の入射角度θを0度≦θ≦90度の範囲
内において0.025度間隔で変化させながらSBT薄
膜1にX線を照射し、このSBT薄膜1で回折した散乱
X線6を検出器3で検出することにより行った。
【0031】この図の横軸は2θ、縦軸は傾き角ψであ
る。また、この図4において、2θは、27度≦2θ≦
40度の範囲が示されており、傾き角ψは0度≦ψ≦9
0度の範囲が示されている。
【0032】この図を参照すると、2θとψの値に応じ
て、互いに異なる位置にスポットS1〜S8が確認でき
る。2θの値が決まれば、(1)式で表されるブラッグ
の条件から結晶面間隔dを求めることができる。ここ
で、2θ=36度付近に着目すると、2θ=36度付近
では、1つのスポットS1のみが確認できる。2θ=3
6度の場合、ブラッグの条件から結晶面間隔dを求める
と、(1)式より、d≒0.243nmとなる。結晶面
間隔がd≒0.243nmで並ぶ結晶面は、フローライ
ト相には存在せずSBT相に存在する結晶面であって、
(0010)配向するSBT相の結晶面である。従っ
て、2θ=36度付近で1つのスポットS1が確認でき
ることから、このSBT薄膜1はSBT相が形成されて
いることがわかる。
【0033】また、スポットS1は、傾き角ψ=56度
付近に現れている。従って、SBT相の(0010)面
は、SBT薄膜1の表面に対し、56度傾いて配列して
いることがわかる。このように、結晶面がどの傾き角で
いくつ現れるのかを知ることができれば、その他の結晶
面についても、何度の傾き角で現れるのかを知ることが
できる。例えば、SBT相では、(0010)面に対し
56度傾いて存在する結晶面(つまり、傾き角ψ=0度
に現れる結晶面)は(103)面及び(217)面であ
る。従って、このSBT薄膜1は、(103)面又は
(217)面がこの薄膜1の表面に対し優先的に平行に
配向するSBT相を有していることがわかる。
【0034】次に、2θ=33度付近に着目する。2θ
=33度の場合、スポットS2〜S4が現れているた
め、SBT薄膜1には、結晶面間隔d≒0.271nm
で並ぶ結晶面が存在していることがわかる。結晶面間隔
d≒0.271nmで並ぶ結晶面は、SBT相及びフロ
ーライト相ともに存在し、SBT相では(200)面が
結晶面間隔d≒0.277nmで並び、フローライト相
は(200)面が結晶面間隔d≒0.272nmで並
ぶ。ところで、上記の2θ=36度付近での考察から、
SBT薄膜1の表面に対して平行にSBT相の(10
3)面又は(217)面が存在している。例えば、SB
T薄膜1の表面に対して平行にSBT相の(217)面
が存在しているとすると、SBT相の(200)面はψ
=68度付近で観測できるはずであるが、図4には、ψ
=68度付近にスポットが見られない。また、SBT薄
膜1の表面に対して平行にSBT相の(103)面が存
在しているとすると、SBT相の(200)面はψ=3
5度及び90度付近で観測できるはずであり、図4を見
ると、ψ=35度及び90度付近に確かにスポットS4
及びS2が見られる。従って、スポットS2及びS4
は、SBT相の(200)面でX線が散乱することによ
り測定されたスポットであり、更に、SBT薄膜1の表
面に対して平行にSBT相の(103)面が存在してい
ることが分かる。
【0035】次に、2θ=28度〜29度付近に着目す
る。2θ=28度〜29度の場合、スポットS5〜S8
が現れているため、SBT薄膜1には、結晶面間隔d≒
0.313nmで並ぶ結晶面が存在していることがわか
る。結晶面間隔d≒0.313nmで並ぶ結晶面は、S
BT相及びフローライト相ともに存在し、SBT相では
(115)面が結晶面間隔d=0.308nmで並び、
フローライト相は(111)面が結晶面間隔d=0.3
14nmで並ぶ。SBT相では、(115)面は(10
3)面に対し約35度及び83度傾いた位置に現れる。
従って、2θ=28度〜29度に現れているスポットS
5〜S8のうち、スポットS5及びS6は、SBT相の
(115)面でX線が散乱することにより測定されたス
ポットであることがわかる。
【0036】ここで、2θ=33度に戻ると、スポット
S2〜S4のうち、スポットS2及びS4が、SBT相
の結晶面でX線が回折することにより得られたスポット
ということがわかるため、残りのスポットS3は、フロ
ーライト相の(200)面によるスポットであることが
わかる。同様に考えて、スポットS5〜S8のうち、ス
ポットS5及びS6が、SBT相の結晶面でX線が回折
することにより得られたスポットであるため、残りのス
ポットS7及びS8がフローライト相の(111)面に
よるスポットであることがわかる。
【0037】従って、SBT薄膜1は、SBT相及びフ
ローライト相が混在していることが分かる。
【0038】また、SBT相とフローライト相との混合
比率は、例えば、2θ=28度〜29度付近に現れるス
ポットS6及びS8の面積比を参考にして求めることが
できる。例えばSBT相とフローライト相が1:1の混
合割合で混合されたSBT薄膜を考えると、このSBT
薄膜のスポットS6とS8の面積比は、理論的な計算か
ら1:36になることがわかる。従って、図4におい
て、スポットS6及びS8の面積比が1:1であれば、
SBT相:フローライト相=36:1となる。
【0039】従来では、結晶構造を解析するために、θ
−2θ法がよく採用されているが、上記のように、SB
T相の(115)面によるX線回折線が2θ=28.9
付近に現れ、フローライト相の(111)面によるX線
回折線が2θ=27.9度付近に現れるため、従来のθ
−2θ法では、例えば2θ=28度付近で回折線が得ら
れても、SBT相の(115)面によるX線回折線なの
か、フローライト相の(111)面によるX線回折線な
のか判別することができない。従って、SBT薄膜1の
結晶相の判別をすることができない。
【0040】これに対し、上記のように、2θだけでな
くψを変更することにより、SBT薄膜1の結晶構造を
判別することができる。
【0041】尚、本実施形態では、SBT薄膜1の傾き
角ψを0度≦ψ≦90度の範囲内において1度間隔で変
化させ、入射X線5の入射角度θを0度≦θ≦90度の
範囲内において0.025度間隔で変化させている。し
かしながら、傾き角ψ及び入射角度θを変化させるとき
の角度間隔及び角度範囲は、結晶構造を解析しようとす
る者が試料をどこまで詳細に解析したいのかによって適
宜変更可能である。
【0042】また、本実施形態では、Y−Y軸に対し垂
直に交わるX−X軸を中心としてSBT薄膜1を傾けて
いるが、Y−Y軸に対し斜めに交わる軸を中心としてS
BT薄膜1を傾けてもよい。
【0043】更に、本実施形態では、結晶構造を解析す
るために、X線の入射角度θを平面4内において変更す
る一方で、SBT薄膜1の傾き角ψを、Y−Y軸及び
Y’−Y’軸を含みこの平面4内に垂直に交わる面内に
おいて変更している。しかしながら、X線の入射角度θ
を平面4内において変更する一方で、SBT薄膜1の傾
き角を、Y−Y軸を中心としてSBT薄膜1を傾けるこ
とにより変更してもよい(つまり、SBT薄膜1の傾き
角を平面4の面内において入射角度θ方向に変更す
る)。このようにしても、結晶面間隔が異なり互いに斜
めに広がる結晶面で回折したX線の強度を検出すること
ができ、従来と比較して結晶構造を詳細に解析すること
ができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の結晶構造
解析方法によれば、結晶構造を詳細に解析することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の結晶構造解析方法を用い
て、SBT薄膜の結晶構造を解析するときの方法を示す
概念図である。
【図2】水平に保持された(ψ=0度)SBT薄膜1を
X−X’軸方向から見た概略図である。
【図3】傾き角ψに傾けられたSBT薄膜1をX−X’
軸方向から見た概略図である。
【図4】検出器3で検出されたX線の回折強度分布の測
定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 SBT薄膜 2 X線装置 3 検出器 4 平面 5 入射X線 6 散乱X線 11,12 結晶面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶構造を有する試料にX線を照射し、
    前記試料で回折したX線を検出し、該検出されたX線の
    強度に基づいて前記試料の結晶構造を解析する結晶構造
    解析方法であって、 前記検出されたX線のうち、第1の結晶面間隔で並ぶ第
    1の結晶面で回折した第1のX線の強度と、前記第1の
    結晶面に対し斜めに広がり第2の結晶面間隔で並ぶ第2
    の結晶面で回折した第2のX線の強度とに基づいて、前
    記試料の結晶構造を解析することを特徴とする結晶構造
    解析方法。
  2. 【請求項2】 前記試料に対し異なる角度で交差する複
    数の面内それぞれにおいて、前記試料に対し異なる入射
    角度でX線を前記試料に照射し該試料で回折したX線を
    検出することを特徴とする請求項1に記載の結晶構造解
    析方法。
  3. 【請求項3】 前記試料に対するX線の入射角度を、前
    記第1のX線が前記試料に入射するときの入射角度と前
    記第2のX線が前記試料に入射するときの入射角度との
    間の角度範囲内で変更することを特徴とする請求項2に
    記載の結晶構造解析方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の面が、前記試料に対し0度〜
    90度の範囲内で互いに交差するものであり、 前記試料に対するX線の入射角度を0度〜90度の角度
    範囲内で変更することを特徴とする請求項3に記載の結
    晶構造解析方法。
  5. 【請求項5】 前記試料に交差する1つの面内において
    前記試料を異なる傾き角に傾け、各傾き角で傾けられた
    前記試料それぞれに対し前記1つの面内において異なる
    入射角度でX線を前記試料に照射し該試料で回折したX
    線を検出することを特徴とする請求項1に記載の結晶構
    造解析方法。
  6. 【請求項6】 前記試料がビスマス層状化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記
    載の結晶構造解析方法。
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