JP5903900B2 - 粒子存在比率算出方法及び粒子結晶サイズ算出方法 - Google Patents

粒子存在比率算出方法及び粒子結晶サイズ算出方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法、及び、被検試料中の粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法に関する。
物質の結晶性は、その物質が有する様々な性質や、その物質を材料としたときの材料特性の発現態様等に密接に関係する。また、材料に含まれる結晶粒子の均一性は、材料特性に影響を与える。物質の結晶径は、その物質から材料を製造する際の加工条件や熱処理条件等によって著しく変化する。このため、材料中に存在する結晶粒子は、その結晶サイズが一様に揃わず、極めて大きな結晶粒子(粗大粒子)や極めて小さな結晶粒子(微細粒子)が存在することがある。そこで、制御すべき結晶サイズから逸脱するサイズの粒子の有無を把握することが重要となる。
材料中の粒子の粒度分布を測定する方法としては、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いる方法が挙げられる。例えば特許文献1には、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により、複写機に用いられるトナー粒子の粒度を測定する方法が記載されている。この粒度分布測定において、測定サンプルは、粉体状又は溶液中に分散した状態でなければならず、さらに、サンプル量が少ない場合には、精度良く測定することができない等の問題がある。
また、電子顕微鏡写真を画像解析して、粒子の寸法形状の情報を得ることも実施されている。例えば特許文献2には、電子顕微鏡写真を画像解析して、炭酸ストロンチウム微粉末の一次粒子径を算出することが記載されている。この特許文献2に記載の方法では、材料中の粒子の粒子径を算出することは可能であるが、粒度分布を算出するまでには更なる手間を要する等の問題がある。
一方、X線回折は、材料に含まれる物質の結晶性についての様々な情報を得ることができる回折法であり、材料特性を把握するために利用される評価技術である。しかしながら、X線回折によっては、材料中の粗大粒子の存在比率を求める手段は、未だ確立されていない。
また、結晶性の情報の1つである結晶サイズは、材料に含まれる物質に由来する回折ピークの強度や回折ピークの広がり度合いを調べることによって把握することができる。シェラー法は、回折ピークの広がり度合いが結晶サイズに起因するという考えの元に、材料に含まれる物質の結晶サイズを算出する方法である。例えば特許文献3には、ITO薄膜のX線回折のピークからシェラー法により粒子サイズを算出する方法が記載されている。
材料に含まれる物質の結晶サイズが1つのサイズ分布として存在していれば、このシェラー法(シェラーの式)によって、回折ピークの広がり度合いから結晶サイズを算出することができる。
特開2007−271766号公報 特開2008−222496号公報 特開2000−109321号公報
しかしながら、多くの材料は、粗大粒子及び微細粒子が混在する2つ以上のサイズ分布を有している。このような2つ以上のサイズ分布を有する材料においては、回折ピークの広がり度合いから各粒子の結晶サイズを求めることができない。これは、粗大粒子による回折強度が高く、微細粒子による回折強度が埋もれてしまうためである。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料において、X線回折によって被検試料中の粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法、及び、粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明の粒子存在比率算出方法は、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法であって、被検試料の任意の回折面のロッキングカーブを測定し、ロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線が急唆な強度分布となり、又は、微細粒子由来の回折線が緩やかな或いは略平坦な強度分布となることにより、粗大粒子を特定し、ロッキングカーブの全面積強度に対するロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度を粗大粒子の存在比率として算出することを特徴とする。
また、上述の課題を解決するために、本発明の粒子結晶サイズ算出方法は、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法であって、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定し、ロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線が急唆な強度分布となり、又は、微細粒子由来の回折線が緩やかな或いは略平坦な強度分布となることにより、粗大粒子を特定し、粗大粒子由来の回折線が検出される傾角に固定して入射X線に対する回折角と被検試料の試料面に対する入射X線の入射角とを走査して回折面の回折パターンを取得し、回折パターンにおける粗大粒子由来の回折ピークの回折角及び半価幅を用いてシェラーの式から結晶サイズを算出することを特徴とする。
本発明の粒子情報算出方法によれば、X線回折によって粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定することで、容易に、被検試料中の粗大粒子の存在比率、及び、粗大粒子の結晶サイズを算出することができる。
粗大粒子の存在比率の算出処理の工程を説明するためのフローチャートである。 粗大粒子の結晶サイズの算出処理の工程を説明するためのフローチャートである。 被検試料Aについて測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブを示す図である。 被検試料Bについて測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブを示す図である。 粗大粒子の結晶サイズを求めるため、被検試料Aの傾角ψを−20deg.に固定して2θ−ω走査を行うことにより得られた回折パターンを示す図である。 微細粒子の結晶サイズを求めるため、被検試料Bの傾角ψを−15deg.に固定した状態で2θ−ω走査を行うことにより得られた回折パターンを示す図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1 概要
2 粒子存在比率算出方法
3 粒子結晶サイズ算出方法
4 実施例
<1 概要>
本実施の形態は、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法を提供するものである。また、本実施の形態は、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法を提供するものである。
本実施の形態における粒子存在比率算出方法では、被検試料の任意の回折面(結晶面)のロッキングカーブを測定する。そして、この測定したロッキングカーブの全面積強度に対する、このロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度を粗大粒子の存在比率として算出する。
また、本実施の形態における粒子結晶サイズ算出方法では、この測定したロッキングカーブにおいて粗大粒子由来の回折線が検出される傾角を読み取る。そして、この傾角に固定して入射X線に対する回折角と被検試料の試料面に対する入射X線の入射角とを走査して回折面の回折パターンを取得する。そして、この回折パターンにおける粗大粒子由来の回折ピークの回折角及び半価幅を用いてシェラーの式から結晶サイズを算出する。
被検試料の任意の回折面のロッキングカーブは、被検試料への入射X線に対する回折角2θをその入射X線の回折ピークの位置に固定して傾角(被検試料基板面と入射X線の角度)を走査することで測定される強度曲線である。このように傾角を変化させることで、あらゆる傾角の傾斜した回折面(結晶面)に由来する回折強度を測定することができるため、被検試料中における粗大粒子由来の回折線、微細粒子由来の回折線を確実に検出することができる。
測定されたロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線は、相対的に急峻な強度分布となる。これに対し、微細粒子由来の回折線は、相対的に緩やかな或いは略平坦な強度分布となる。このような回折線の強度分布の違いにより、粗大粒子、微細粒子それぞれを特定する。そして、特定された粗大粒子の回折線から、粗大粒子の存在比率及び結晶サイズを算出する。
これに対し、従来のX線回折測定は、被検試料の傾を0deg.で固定して入射角と回折角とが同一になるように走査し、横軸を回折角[deg.]、縦軸を回折強度とした広角回折パターンにより評価するのが一般的であった。このような従来のX線回折測定では、被検試料の傾0deg.での回折線の回折強度のみを測定することになり、傾斜した回折面(結晶面)に由来する回折強度を測定することができない。すなわち、被検試料のあらゆる結晶面において回折強度の測定を行わないことから、被検試料中の全ての粗大粒子の存在を検出することができない。このため、粗大粒子の存在比率を正確に算出できないとともに、粗大粒子の正確な結晶サイズを算出することができない。
本実施の形態では、このような従来のX線回折測定では検出不可能であった被検試料中における粗大粒子由来の回折線、微細粒子由来の回折線をロッキングカーブの測定によって確実に検出することができる。そして、測定されたロッキングカーブの強度分布に基づいて、正確な被検試料中の粗大粒子の存在比率及び結晶サイズを算出することができる。
<2 粒子存在比率算出方法>
先ず、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法について詳細に説明する。
被検試料中の粗大粒子の存在比率は、被検試料の任意の回折面について測定したロッキングカーブの全面積強度に対するこのロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度として特定される。
具体的には、先ず、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定する。次に、測定したロッキングカーブの全面積強度、及び、このロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度を測定する。
そして、測定したロッキングカーブの全面積強度I、このロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度Iを用いて、式(1)により、被検試料中における粗大粒子の存在比率Rを算出する。
=I/I×100 (1)
図1は、粗大粒子の存在比率の算出処理の工程を説明するためのフローチャートである。ステップS1では、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定する。測定したロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線は、相対的に急峻な強度分布となる。これに対し、微細粒子由来の回折線は、相対的に緩やかな或いは略平坦な強度分布となる。このような回折線の強度分布の違いにより、粗大粒子を特定することができる。
ステップS2では、測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引く。
ステップS3では、ロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブのデータを用いて、波形分離ソフトにより、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度、及び、このロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度を測定する。
ステップS4では、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度I、粗大粒子由来の回折線の面積強度Iを用いて、式(1)より、被検試料中における粗大粒子の存在比率Rを算出する。
=I/I×100 (1)
このように、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面において測定したロッキングカーブに基づいて、被検試料中における粗大粒子の存在比率を正確に算出することができる。
なお、この被検試料中の微細粒子の存在比率を算出する場合には、ステップS3、ステップS4において、微細粒子について粗大粒子と同様の処理を行うようにする。すなわち、ステップS3において、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度、及び、このロッキングカーブにおける微細粒子由来の回折線の面積強度を測定する。そして、ステップS4において、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度I、微細粒子由来の回折線の面積強度Iを用いて、式(2)より、被検試料中における微細粒子の存在比率Rを算出する。
=I/I×100 (2)
<3 粒子結晶サイズ算出方法>
次に、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法について詳細に説明する。
粗大粒子の結晶サイズは、次のようにして算出される。すなわち、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定する。そして、この測定したロッキングカーブにおいて粗大粒子由来の回折線が検出される傾角を読み取る。そして、この傾角に固定して入射X線に対する回折角と被検試料の試料面に対する入射X線の入射角とを走査して回折面の回折パターンを取得する。最後に、この回折パターンにおける粗大粒子由来の回折ピークの回折角及び半価幅を用いてシェラーの式から結晶サイズを算出する。
図2は、粗大粒子の結晶サイズの算出処理の工程を説明するためのフローチャートである。ステップS11では、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定する。上述したように、測定されたロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線は、相対的に急峻な強度分布となる。これに対し、微細粒子由来の回折線は、相対的に緩やかな或いは略平坦な強度分布となる。このような回折線の強度分布の違いにより、粗大粒子、微細粒子を特定することができる。
ステップS12では、ステップS11にて測定したロッキングカーブから、粗大粒子由来の回折線が検出される傾角を読み取る。具体的には、このステップS12において、粗大粒子由来の急峻な強度分布の回折線において最大強度となる傾角ψを読み取る。
ステップS13では、粗大粒子由来の回折線が検出される傾角ψに固定して2θ−ω走査を行い、使用する回折面の回折パターンを取得する。
ステップS14では、ステップS13にて取得した粗大粒子由来の回折パターン(横軸:2θ[deg.]、縦軸:検出強度[cps又はcounts])における回折ピークの位置(回折角)2θ=2θ[deg.]及び半価幅b=b[deg.]を測定する。
ステップS15では、ステップS14にて測定した回折角2θ=2θ[deg.]及び半価幅b=b[deg.]を用いて、式(3)に示すシェラーの式より、粗大粒子の結晶サイズD=D[nm]を算出する。
D[nm]=(0.9λ)/(β・cosθ) (3)
式(3)において、λはX線の波長[nm]、βは結晶サイズによる回折ピークの広がり幅[rad]である。
ここで、βは、実測した回折ピークの半価幅bから光学系による広がり幅bを差し引いた値を採用する。βは、ガウス型近似(β=(b−b)×π/180)又はコーシー型近似(β=√(b−b )×π÷180)の近似式により算出される。なお、bは、同じ傾角で測定した標準粉末試料由来の回折ピークの半価幅である。標準粉末としては、例えばNIST製LaB6粉末、NIST製Si粉末を用いることができる。
なお、この被検試料中の微細粒子の結晶サイズを算出する場合には、ステップS12〜S15において、微細粒子について粗大粒子と同様の処理を行うようにする。すなわち、ステップS12において、ロッキングカーブから、微細粒子由来の回折線が検出される傾角を読み取る。この場合、このロッキングカーブの粗大粒子由来の強度分布が無い部分における所定の傾角ψを読み取る。
次に、ステップS13において、微細粒子由来の回折線が検出される傾角ψに固定して2θ−ω走査を行い、使用する回折面の回折パターンを取得する。
そして、ステップS14において、微細粒子由来の回折パターン(横軸:2θ[deg.]、縦軸:検出強度[cps又はcounts])における回折ピークの位置(回折角)2θ=2θ[deg.]及び半価幅b=b[deg.]を測定する。
その後、ステップS15において、回折角2θ=2θ[deg.]及び半価幅b=b[deg.]を用いて、上記式(3)のシェラーの式より、微細粒子の結晶サイズD=D[nm]を算出する。
以上説明したように、本実施の形態における粒子情報算出方法では、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含む被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定し、ロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の強度分布に基づいて、粗大粒子についての粒子情報(存在比率、結晶サイズ)を算出することができる。
<4 実施例>
以下、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
所定の化合物の粗大粒子及び微細粒子が混在した被検試料(以下、「被検試料A」という。)について、次の処理を行い、粗大粒子の存在比率を算出した。すなわち、粗大粒子及び微細粒子を含む被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定した。次に、測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いた。
このバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブのデータを用いて、波形分離ソフトにより、被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度I、及び、このロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度Iを測定した。この全面積強度I、粗大粒子由来の回折線の面積強度Iを用いて、式(1)より、被検試料中における粗大粒子の存在比率Rを算出した。
=I/I×100 (1)
図3は、被検試料Aについて測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブを示す図である。図3において、ロッキングカーブの横軸は試料傾角[deg.]であり、縦軸は回折強度[counts]である。このロッキングカーブにおいて、粗大粒子由来の回折線Aは、相対的に急峻な強度分布となる。これに対し、微細粒子由来の回折線Aは、相対的に緩やかな強度分布となる。このような回折線の強度分布の違いにより、粗大粒子、微細粒子それぞれを特定した。
図3のロッキングカーブについて、波形分離ソフトにより測定した、被検試料Aの任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度Iは23492countsであり、Iは15559countsであった。そして、上記式(1)より算出された被検試料Aにおける粗大粒子の存在比率Rは66.2%であった。
次に、被検試料Aよりも粗大粒子が少ない被検試料(以下、「被検試料B」という。)についても、これと同様の方法で、粗大粒子の存在比率を算出した。
図4は、被検試料Bについて測定されたロッキングカーブの回折強度からバックグラウンドによる回折強度を差し引いて得られたロッキングカーブを示す図である。図4に示すロッキングカーブについて、波形分離ソフトを用いて測定した、被検試料Bの任意の回折面におけるロッキングカーブの全面積強度Iは15937countsであり、Iは8581countsであった。そして、上記式(1)から算出された被検試料Bにおける粗大粒子の存在比率Rは53.8%であった。
これらの結果から、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面(結晶面)について測定したロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の強度分布に基づいて、被検試料中における粗大粒子の存在比率を算出できることがわかった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1で用いた被検試料A及び被検試料Bについて、従来の一般的なX線回折を行った。すなわち、被検試料A及び被検試料Bについて、被検試料の傾角を0deg.で固定し、入射角と回折角とが同じ値になるように走査し、横軸を回折角[deg.]、縦軸を回折強度とした広角回折パターンを得た。そして、実施例1と同じ回折線について波形分離ソフトを用いて、被検試料の傾角0deg.での回折面における広角回折パターンの全面積強度I、この広角回折パターンにおける粗大粒子由来の回折線の面積強度Iを測定し、上記式(1)から被検試料中における粗大粒子の存在比率Rを算出した。
その結果、被検試料A中の粗大粒子の存在比率は70.5%、被検試料B中の存在比率Rは71.2%と算出された。このように、被検試料Aと被検試料Bとでは、粗大粒子の存在比率において有意差は見られなかった。
これは、比較例1のX線回折では、試料傾角0deg.での回折強度のみを測定したため、被検試料A,Bの傾斜した結晶面(回折面)に由来する回折強度を測定することができなかったためであると考えられる。
この比較例1の結果から、従来のX線回折測定では、被検試料A,B中の粗大粒子の存在比率を求めることができないことがわかった。
(実施例2)
実施例1で用いた被検試料Aについて、次の処理を行い、粗大粒子及び微細粒子それぞれの結晶サイズを算出した。すなわち、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定した。
この測定したロッキングカーブにおいて粗大粒子由来の回折線が検出される傾角、すなわち粗大粒子由来の急峻な強度分布の回折線において最大強度となる傾角ψとして、約−20deg.を読み取った。
そして、粗大粒子由来の回折線が検出される傾角ψ=−20deg.に固定して2θ−ω走査を行い、使用する回折面の回折パターンを取得した。
図5は、被検試料Aの傾角ψを−20deg.に固定して2θ−ω走査を行うことにより得られた回折パターンを示す図である。
この粗大粒子についての回折パターン(横軸:2θ[deg.]、縦軸:検出強度[cps又はcounts])における回折ピークの位置(回折角)2θ=2θ=35.98[deg.]、及び、半価幅b=b=0.210[deg.]を測定した。
そして、光学系の広がり幅を算出するため、NIST製Si粉末についてもψと同一の傾角(−20deg.)に固定して2θ−ω走査を行った。
測定したSi(111)回折線の半価幅b=0.200[deg.]を用いて、上記式(3)のシェラーの式より、粗大粒子の結晶サイズD[nm]を算出した。その結果、粗大粒子の結晶サイズD[nm]は、約131nmであった。
また、測定したロッキングカーブから、微細粒子由来の回折線が検出される傾角、すなわち粗大粒子由来の強度分布が無い部分における所定の傾角ψとして、約−15deg.を読み取った。
そして、微細粒子由来の回折線が検出される傾角ψ=−15deg.に固定して2θ−ω走査を行い、使用する回折面の回折パターンを取得した。
図6は、微細粒子の結晶サイズを求めるため、被検試料Bの傾角ψを−15deg.に固定した状態で2θ−ω走査を行うことにより得られた回折パターンを示す図である。
この微細粒子についての回折パターン(横軸:2θ[deg.]、縦軸:検出強度[cps又はcounts])における回折ピークの位置(回折角)2θ=2θ=35.95[deg.]及び半価幅b=b=0.246[deg.]を測定した。
そして、光学系の広がり幅を算出するため、NIST製Si粉末についてもψと同一の傾角(−15deg.)に固定して2θ−ω走査を行った。
測定したSi(111)回折線の半価幅b=0.198[deg.]を用いて、上記式(3)のシェラーの式より、微細粒子の結晶サイズD[nm]を算出した。その結果、微細粒子の結晶サイズD[nm]は、約57nmであった。
これらの結果から、X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料の任意の回折面(結晶面)について測定したロッキングカーブにおける粗大粒子由来の回折線の強度分布に基づいて、被検試料に含まれる粗大粒子の結晶サイズを算出できることがわかった。また、これと同じ被検試料に含まれる微細粒子の結晶サイズも併せて算出できることがわかった。
(比較例2)
比較例2では、実施例2で用いた被検試料Aについて、従来のX線回折を行った。すなわち、被検試料Aについて、傾角を0deg.で固定し、入射角と回折角とが同じ値になるように走査し、横軸を回折角[deg.]、縦軸を回折強度とした広角回折パターンを得た。実施例2と同じ回折線について波形分離ソフトを用いて、被検試料Aの傾角0deg.での回折面における広角回折パターンを用いて、上記式(3)から、被検試料A中の粗大粒子の結晶サイズを算出した。その結果、傾角が0deg.で存在する中間的な粒子の結晶サイズ(約78nm)のみが算出され、被検試料Aに一様に存在する微細粒子の結晶サイズ、傾斜して存在する粗大粒子の結晶サイズは算出できなかった。
このように、従来のX線回折測定では、粗大粒子、微細粒子の何れについても結晶サイズを求めることができないことがわかった。

Claims (2)

  1. X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の該粗大粒子の存在比率を算出する粒子存在比率算出方法であって、
    前記被検試料の任意の回折面のロッキングカーブを測定し、
    前記ロッキングカーブにおいて、前記粗大粒子由来の回折線が急唆な強度分布となり、又は、前記微細粒子由来の回折線が緩やかな或いは略平坦な強度分布となることにより、該粗大粒子を特定し、
    前記ロッキングカーブの全面積強度に対する該ロッキングカーブにおける前記粗大粒子由来の回折線の面積強度を該粗大粒子の存在比率として算出することを特徴とする粒子存在比率算出方法。
  2. X線回折によって、粗大粒子及び微細粒子を含有する被検試料中の該粗大粒子の結晶サイズを算出する粒子結晶サイズ算出方法であって、
    前記被検試料の任意の回折面におけるロッキングカーブを測定し、
    前記ロッキングカーブにおいて、前記粗大粒子由来の回折線が急唆な強度分布となり、又は、前記微細粒子由来の回折線が緩やかな或いは略平坦な強度分布となることにより、該粗大粒子を特定し、該粗大粒子由来の回折線が検出される傾角に固定して入射X線に対する回折角と前記被検試料の試料面に対する該入射X線の入射角とを走査して前記回折面の回折パターンを取得し、
    前記回折パターンにおける該粗大粒子由来の回折ピークの回折角及び半価幅を用いてシェラーの式から前記結晶サイズを算出することを特徴とする粒子結晶サイズ算出方法。
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