JP3950074B2 - 厚さ測定方法及び厚さ測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は極薄試料の厚さを測定する方法およびそれに用いる測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高加速電子線が透過し得るような極薄試料の厚さを測定する方法としては、透過電子顕微鏡による収束電子線回折法および電子エネルギー損失分光法を利用した方法が用いられている。
【0003】
収束電子線回折法を用いる具体的な手段は次の通りである。まず、高加速電子線が透過し得る厚さの被測定物の所望な位置に、角θ1(θ1>>0)で収束された電子線を照射する。照射された高加速電子の一部またはその多くは被測定物内で弾性および非弾性散乱されて試料裏面へ透過し、蛍光板上またはCCDカメラを介してモニター上に収束電子線回折像を結像する。厚さ測定では2波回折条件で励起された回折斑点内に観察される縞状コントラストの強度変動から計算して求める。しかし、このときの照射電子線は収束角θ1にて収束されているため回折像上に現れる回折斑点は角θ1とカメラ長とに依存した有限の面積を有する。また回折斑点内のコントラストを正確に測定する必要があるためには相応の面積が必要である。これら条件を満たすためには、ダイレクトスポットと2波条件で励起された回折スポットが十分に離れていること、つまり指数の大きい回折斑点を選択する必要があり、また測定のためには電子線入射方位を2波回折条件に設定するなどの実験上の制約が多く、簡便に用いることは困難である。
【0004】
また、電子エネルギー損失分光法を用いた具体的な厚さ測定方法は、次の通りである。まず、高加速電子線が透過し得る厚さの被測定物の所望な位置に、電子線を照射する。照射された高加速電子の一部は被測定物内で非弾性散乱され、そのエネルギーを損失する。試料を透過した電子線を、電子線分光器を用いてエネルギー分解することにより透過電子線のエネルギー分解スペクトルを取得する。取得したスペクトルの中でエネルギーを損失していない電子によって形成されるピーク(ゼロロスピーク)は損失エネルギー量0eVを中心としてガウス分布していると仮定することができるため、そのピーク高さおよび半値幅とからゼロロスピークを規定することができる。これらスペクトルの全強度とゼロロスピークの強度との差分を求めることにより非弾性散乱電子の割合が得られる。一方、被測定物内において高加速電子が非弾性散乱される確立は物質によって異なり、各々の物質には高加速電子が非弾性散乱されてから次の非弾性散乱されるまでの平均自由行程という距離が存在する。平均自由行程は結晶性の物質であれば電子線の照射方位によって変化する物理量である。ここで先に述べた被測定物に電子を照射して非弾性散乱される電子の割合から、平均自由行程で規格化された厚さを求めることができる。
但し、電子エネルギー損失分光法を用いた厚さ測定では被測定物の平均自由行程を事前に求めておく必要があるが、その物理量を実験的に求めることは容易ではない。
【0005】
さらにそれぞれの厚さ測定法には被測定物質に依存する測定可能な厚さ範囲が存在する。例えば、収束電子線回折法を用いた厚さ測定では収束電子線回折像を明瞭なコントラストで取得するためには相応の厚さが必要であるが、その一方では2波回折条件が成立するためには試料厚さを抑制する必要があるなど、非常に制約された条件下での膜厚しか測定することが出来ない。さらに、電子エネルギー損失分光法では、エネルギーを損失していない電子数に対してエネルギー損失電子数が少な過ぎたり、多重散乱電子が増加したりすると測定誤差が大きくなるという問題が生じる。
【0006】
また、X線回折現象を利用した多結晶膜の膜厚測定方法として、試料に入射角を固定してX線を照射し、X線検出器を所定の角度範囲に走査して基板からの任意の回折ピークの回折X線の回折角と強度を測定し、この手順を入射角を変更して複数回繰り返し、得られた回折角度、回折強度、入射角及び回折角のデータから、厚さを算出することが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法によれば、1試料について電子線照射角を変更しながら、極めて多数のデータを取得する必要があり、作業効率が悪かった。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−194611号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように、従来極薄い試料厚さを測定する方法としては収束電子線回折法を用いた方法、および電子エネルギー損失分光法を用いた方法が行われているが、その適用厚さ範囲には制約があり、例えば厚さ数nmの試料への適用は困難であった。
本発明による方法は、このような従来の測定方法における問題点を解消するためになされたもので、試料の像を観察中に測定することができ、簡便に且つ高精度な厚さ測定が可能とすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、被測定物の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する工程と、
被測定物質の所望の領域に電子線を収束照射し、透過回折された電子線の結晶面間隔および方位に対応する複数の回折スポットの中から前記回折強度比に対応する少なくとも2つ以上の所望の回折スポットの強度を測定し、回折スポットの強度比を求める工程と、
計算によって導出された回折スポットの強度比が実験によって得られた回折スポットの強度比と一致するような試料厚さを決定する工程とからなることを特徴とする厚さ測定方法である。
【0010】
第2の本発明は、被測定物の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する工程と、
被測定物質の所望の領域に電子線を収束照射し、透過回折された電子線の結晶面間隔および方位に対応する複数の回折スポットの中から上記回折強度比に対応する少なくとも2つ以上の所望の回折スポットの強度を測定し、回折スポットの強度の大小関係を求める工程と、
計算によって導出された回折スポットの強度比と実験によって得られた回折スポットの強度の相対的関係とが一致する領域を試料厚さ範囲として決定する工程とからなることを特徴とする厚さ測定方法である。
【0011】
前記第1及び第2の本発明において、前記回折スポット強度比の実測値を得るために照射した高加速電子線が、被測定物の晶帯軸からずれた方位から入射された場合に、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンにおいて、ダイレクトスポットを挟んで対称位置に現れた回折スポット対の強度比から晶帯軸のズレを検知する過程と、晶帯軸のズレを検知した際には、計算によって導出される回折スポット強度比を試料厚さtおよび晶帯軸ズレ角θという二つのパラメータを有する関数として扱うことによって測定値を補正することが好ましい。
【0012】
また、前記第1及び第2の本発明において、前記被測定物の電子線照射領域が単一の結晶で形成されていない場合に、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンから、バックグラウンドとなる非晶質相に起因するハレーションの削除、および複数の結晶粒からの回折波の分離を行う過程により、測定精度を向上させる手段を有することが好ましい。
【0013】
第3の本発明は、被測定物質の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する第1の演算処理装置と、
高加速電子線を用いた透過電子顕微鏡から出力される被測定試料の透過回折像を取得するための撮像装置と、前記撮像装置の制御および撮像装置で取得した画像を記録保存し、前記画像から前記回折スポット強度比を算出するための第2の演算制御装置と、
前記第1の演算処理装置によって算出した回折スポット強度比と、前記第2の演算処理装置によって算出した前記回折スポット強度比とを比較し前記比測定物質の厚さを決定する第3の演算処理装置からなることを特徴とする厚さ測定装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態によって詳細に説明する。
本発明は電子線を透過し得る被測定物の所望な箇所に高加速電子線を照射し、透過回折された電子線の回折スポットの強度を用いて厚さを測定する方法であり、従来法に対して比較的簡便に測定が可能であるとともに、原理的には適応範囲の制限がないという特徴を有する。
【0015】
上記本発明において、高加速電子線とは、具体的には、数keV以上の加速電圧で出
射された電子線で、被測定試料の厚さよりも同物質における照射電子線の平均自由行程の方が長くなる程度のエネルギーを有するものが好ましい。また、本発明の方法を適用するのに適した試料としては、結晶構造を有している物質層であって、照射電子線による平均自由行程よりも薄い厚さの層として自立する膜を構成できるものであれば、どのような材料であっても使用することができるが、Siのような半導体単結晶や、SiCなどのようなセラミックス等が適している。
【0016】
[測定方法の第1の実施の形態]
以下本発明方法の第1の実施の形態について説明する。
被測定物質に照射される電子線が回折されて生じる回折スポットについて、結晶構造、物質構成原子の散乱断面積、照射電子線方位、及び、照射電子線の加速電圧の情報から当該試料の任意の回折スポット強度についての試料厚さ依存性を計算により算出して参照情報とする。この算出の手順については、Bloch波法(文献H. Bethe, Ann, Phys., 87(1928), 55参照)やMultislice法(文献Cowly and Moodie, Acta Cryst., 10(1957), 609−619参照)と呼ばれるシミュレーション法を使用することができる。
一方、同じ結晶構造の物質からなる試料について、同じ照射電子線方位、照射電子線の加速電圧を用いて回折スポット強度を実測する。
このようにして得られるスポット強度の実測値と、上記過程で算出した試料厚さをパラメータとする回折スポット強度の参照情報のデータ群とを比較して、試料厚さを決定するものである。
【0017】
具体的には、照射電子線の強度Iを基準としたときの各回折スポットの強度Iは結晶構造および照射電子線方位および被測定物質厚さおよび照射電子線の加速電圧および物質構成原子の散乱断面積とから計算にて求め(算出の手順については、上記文献参照)、膜厚を変数とする回折スポット強度関数のデータ群(参照情報)として蓄積する。
【0018】
一方、電子線を透過し得る被測定物質の所望の箇所に比較的並行な高加速電子線を照射する。高加速電子の一部または多くは被測定物質内で散乱または回折されて透過するので、この透過した高加速電子を、蛍光板上またはCCDカメラのような撮像装置を介したモニター上に透過電子回折像として形成する。このようにして得られた透過電子回折像には、被測定物質が結晶性の物質であれば結晶構造および照射電子線方位に対応した回折スポットが現れる。
【0019】
ただし、本発明をCCDカメラのような撮像装置を具備しない装置に適用する場合、回折像のスポット強度をリアルタイムに測定することができない。そのために、観測する回折スポット強度を相対的に比較することにより強度計算値との整合性を確認することで、簡易的にその場評価を可能にすることができる。またそのような相対比較においては、測定精度の観点からも比較対照スポット数を多く設定することが好ましい。
【0020】
上記手順によって、被測定物質の設定条件下での回折スポットの厚さ依存性のデータを計算によって算出し、一方、厚さが未知の同じ被測定物質について、回折スポットを測定し、両者を比較することにより、厚さを判定することができる。
【0021】
ところで、電子顕微鏡によって形成された像を、感光性フィルムに焼き付けて形成された画像を元に、回折スポット強度を算出する場合、感光性フィルムのダイナミックレンジが回折スポット強度のレンジより狭い場合には、感光性フィルムの画像からは確度の高い強度の実測はできない。このような場合には、得られる電子線回折像をディジタル画像に変換し、回折像内の回折斑点の径が、回折強度に相関している性質を利用し、この回折スポットの径を測定することによって回折強度を判定することができる。
【0022】
なお、前記回折スポット強度比の実測値を得るために照射した高加速電子線が、被測定物の晶帯軸からずれた方位から入射された場合に、回折スポット強度に影響を及ぼすため、これによる影響を排除する必要がある。具体的には、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンにおいて、ダイレクトスポットを挟んで対称位置に現れた回折スポット対の強度比から晶帯軸のズレを検知する過程と、晶帯軸のズレを検知した際には、計算によって導出される回折スポット強度比を試料厚さtおよび晶帯軸ズレ角θという二つのパラメータを有する関数として扱うことによって測定値を補正することができる。
【0023】
また、前記被測定物の電子線照射領域が単一の結晶で形成されていない場合に、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンから、バックグラウンドとなる非晶質相に起因するハレーションの削除、および複数の結晶粒からの回折波の分離を行うことによって、測定精度を向上させることができる。
【0024】
具体的には、次のような手法によって実施する。
まず、結晶相である被測定物が測定箇所において非晶質相と重複している場合、回折像には結晶相に起因する回折スポットと非晶質相に起因するハローパターンとが現れる。そのときの被測定物の厚さが照射電子線の平均自由行程よりも短ければ、被測定物にて透過散乱された高加速電子は結晶相、非晶質相のいずれか一方とのみ相互作用したものと考えられる。よって、回折スポットとハローパターンとは明確に分離することが可能となる。またハローパターンは通常中心スポットから外へ連続的に変化しているため、結晶相と非晶質相が重複した測定箇所から得られる回折像における回折スポットの強度は、結晶相による本来の回折スポット強度とハローパターンの強度の足し合わせとなる。よって、回折スポット間のハローパターンの強度変化からスポットと重複している領域にハローパターンの強度を見積もり、及び差し引くことで結晶相に起因する回折スポット強度のみを測定することが可能となる。
【0025】
さらに、回折像に複数のネットパターンが現れている場合には、まず電子線照射領域内に存在する結晶粒の厚さ方向の重複の有無を確認し、厚さ方向の重複な無いことを確認できた場合は、複数確認されたネットパターンの中から、晶帯軸からのずれが少ない、回折スポット強度が測定しやすいなど、評価に適したパターンのみを選択し、上記単一パターンの場合と同様の測定を行うことで試料厚さを求めることが可能である。
一方、試料の厚さ方向への重複によって複数のネットパターンが表れている場合は、各々のパターンを識別した後、それぞれについて上記単一パターンの場合と同等の測定を行うことで各結晶の厚さを求め、その測定された各結晶相の厚さの総和として試料厚さを求めることが可能である。
【0026】
[測定方法の第2の実施の形態]
上記測定方法の第1の実施の形態においては、電子線を照射して透過回折されたスポット強度と、これを、撮像装置を用いて記録及び測定した回折スポット強度との間に線形性があるとして、その強度比を算出して厚さ判定に使用しているが、必ずしも常に透過回折スポット強度と、撮像装置によって記録測定される回折スポット強度との間に線形の関係が成立するとは限らない。このような場合には、回折スポット強度の比を比較することができない。そこで、2つ以上の回折スポット強度の大小関係を判定し、この大小の相対的関係を満足する領域の厚さを被測定物質の厚さの範囲として判定すること好ましい。
【0027】
[測定装置の実施の形態]
次に、上記方法に用いることのできる測定装置を説明する。
この発明の測定装置は、高加速電子線を照射することのできる透過型電子顕微鏡と、観測される像を観測するCCDカメラや、銀塩カメラのような撮像装置と、該撮像装置を制御し、この撮像装置から出力される画像を記録保存し、かつこの画像から任意の回折スポット強度を算出するための第1の演算処理装置と、被測定物質の回折スポット強度をシミュレーションし、その結果を参照情報のデータ群として保存するための第2の演算処理装置と、前記実測したスポット強度と、前記参照情報データ群とを比較して、被測定物質の厚さを判定する第3の演算処理装置からなるものである。
上記測定装置において、第1、第2、第3の演算処理装置は、同一の演算処理装置を用い、ソフトウエアによって上記機能を実現するように設定することが好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の測定方法を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例は、被測定物質として薄片化されたシリコン基板の[110]方位から電子線を照射した場合の実施例である。本実施例の電子線の透過回折像を図1に示す。同回折像は電子顕微鏡による像をフィルムを用いて撮影されたものであるため、回折スポット強度はフィルムのダイナミックレンジを超えている。このようなフィルムを用いて記録された回折像からは正確な回折強度を測定することは困難であるが、各回折スポットは強度に応じた有限の面積を有する回折斑点として記録されている。そこで、回折斑点径と回折強度との関係はリニアではないが、相対的な強度比較の指標として用いることが可能である。ここで、図1の電子線回折像をディジタル画像に変換し、各回折スポット径を測定した結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003950074
【0030】
表1に示した回折斑点径は回折波の強度を反映しているため、ここでは回折斑点径rの大小により回折強度Iの強弱を判定する。その結果、各回折波の相対的な強度関係を導くことが可能となり、特に下記式(1)の関係が成立していることからシリコン単結晶の晶帯軸が下記式(2)で示される方向へ傾斜していることが判る。この晶帯軸の傾斜量は下記式(3)程度であると見積もられた。
次にBloch波法により晶帯軸の傾斜量をも考慮して計算した回折波強度を図2に示す。
一方、表1から得られる下記式(4)で表される3つの回折方位の各回折強度の関係は、下記式(5)であることから、測定領域の試料厚さtは、図2の破線で示した厚さ範囲23〜26nmであると決定することができる。
【0031】
【数1】
Figure 0003950074
【0032】
(実施例2)
本実施例は、炭化珪素4H−SiC単結晶における厚さ測定例である。図3に4H−SiCの[110]方位から電子線を照射して得られた電子線回折像を示す。上記実施例1と同様に回折斑点の径から回折強度を行う。回折斑点径は図3から測定した結果 、I001=6、I003=7であった。
一方、Bloch波法により計算された各回折波の強度を図4に示す。計算値によるとI001<I003となるのは図4において破線で示した領域に限られる。このことから図3の回折像を取得した領域の試料厚さtは5〜17nmの範囲であったと判断される。
【0033】
本実施例は感光フィルムに記録された電子線回折像を用いたため、回折波の強度を直接測定することは出来ないが、そのような場合にも、例えば回折斑点径のように回折強度との相関を有するパラメータを用いて強度比較を行うことにより、測定物の厚さ範囲を求めることが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本手法を用いることにより高加速電子線を透過し得るほどの極薄試料の厚さを、観察を妨げることなく簡便、且つ高精度に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シリコン単結晶の電子線回折像を示す写真。
【図2】 Bloch波法により計算されたSi単結晶による電子線回折波の強度を示すグラフ。
【図3】 炭化珪素単結晶の電子線回折像を示す写真。
【図4】 Bloch波法により計算されたSiC単結晶による電子線回折波の強度を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 被測定物の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する工程と、
    被測定物質の所望の領域に電子線を収束照射し、透過回折された電子線の結晶面間隔および方位に対応する複数の回折スポットの中から前記回折強度比に対応する少なくとも2つ以上の所望の回折スポットの強度を測定し、回折スポットの強度比を求める工程と、
    計算によって導出された回折スポットの強度比が実験によって得られた回折スポットの強度比と一致するような試料厚さを決定する工程とからなることを特徴とする厚さ測定方法。
  2. 被測定物の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する工程と、
    被測定物質の所望の領域に電子線を収束照射し、透過回折された電子線の結晶面間隔および方位に対応する複数の回折スポットの中から上記回折強度比に対応する少なくとも2つ以上の所望の回折スポットの強度を測定し、回折スポットの強度の大小関係を求める工程と、
    計算によって導出された回折スポットの強度比と実験によって得られた回折スポットの強度の相対的関係とが一致する領域を試料厚さ範囲として決定する工程とからなることを特徴とする厚さ測定方法。
  3. 前記回折スポット強度比の実測値を得るために照射した高加速電子線が、被測定物の晶帯軸からずれた方位から入射された場合に、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンにおいて、ダイレクトスポットを挟んで対称位置に現れた回折スポット対の強度比から晶帯軸のズレを検知する過程と、晶帯軸のズレを検知した際には、計算によって導出される回折スポット強度比を試料厚さtおよび晶帯軸ズレ角θという二つのパラメータを有する関数として扱うことによって測定値を補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の厚さ測定方法。
  4. 前記被測定物の電子線照射領域が単一の結晶で形成されていない場合に、透過回折された高加速電子線が形成する回折パターンから、バックグラウンドとなる非晶質相に起因するハレーションの削除、および複数の結晶粒からの回折波の分離を行う過程により、測定精度を向上させる手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の厚さ測定方法。
  5. 被測定物質の散乱断面積および結晶構造および電子線照射方位とから導出される少なくともひとつの回折スポット強度比の試料厚さ依存性を計算する第1の演算処理装置と、
    高加速電子線を用いた透過電子顕微鏡から出力される被測定試料の透過回折像を取得するための撮像装置と、前記撮像装置の制御および撮像装置で取得した画像を記録保存し、前記画像から前記回折スポット強度比を算出するための第2の演算制御装置と、
    前記第1の演算処理装置によって算出した回折スポット強度比と、前記第2の演算処理装置によって算出した前記回折スポット強度比とを比較し前記比測定物質の厚さを決定する第3の演算処理装置からなることを特徴とする厚さ測定装置。
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