JP3908472B2 - 膜厚測定方法及び段差測定方法 - Google Patents

膜厚測定方法及び段差測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハの多層配線等の上に形成された膜の膜厚を測定或いはその膜に形成された段差を測定する方法、更には測定装置に関する。また、これらの測定をコンピュータに行わせるためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいて、Siウェハ上には各種の薄膜が形成される。図1は、Siウェハ107上に酸化膜105,金属膜104,絶縁膜103の3層構造を形成した後に、これらの上に層間絶縁膜106を介して金属配線102を形成し、さらにその上に薄膜(測定対象膜)101を形成した例である。
【0003】
従来、図1に示すような多層配線上の膜厚Wを測定するには、次のようにしている。まず、図9に示す手順(ステップS1からS4)で干渉分光強度比を計算する。
【0004】
(ステップS1)
ベアシリコンでリファレンスウェハの測定を行う。具体的には、測定対象のSiウェハに白色光を照射し、Siウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する。そして、検出した干渉光強度をコンピュータに横軸が波長、縦軸が分光強度の分光波形Iref(λ)として記録する。
【0005】
(ステップS2)
バックグランドの測定を行う。具体的には、検出系のシャッターを閉じた状態で、光学系内部で生じる乱反射の分光反射光強度をバックグランドIbg(λ)とし、ステップS1と同様に測定する。
【0006】
(ステップS3)
膜厚測定対象ウェハの測定を行う。即ち、図1に示すような多層配線上に測定対象膜101としての酸化膜が成膜され、その酸化膜の膜厚測定したいというサンプルの反射分光強度Ispl(λ)をステップS1と同様にして測定する。
【0007】
(ステップ4)
反射光強度比への換算を行う。具体的には、ステップS1〜S3で求めた分光反射光強度Iref(λ),Ibg(λ),Isp(λ)を基に、各波長における反射分光強度比Ref(λ)を計算する。
【0008】
次に、以下のステップS5によって測定対象膜101の膜厚(段差)を算出する。
【0009】
(ステップ5)
ステップS4で記録した干渉分光強度比Ref(λ)の波形から測定値を算出する。即ち、所定の範囲の膜厚(段差)t=t0〜t1の範囲で理論上の分光波形を求め、ステップS1〜S3で測定された分光波形を理論上の分光波形と比較する。理論上の分光波形は、例えば下記の手順(1)〜(6)で算出する。
【0010】
(1)各膜101〜106及びSiウェハ107の光学定数を事前に求めておく。これらの光学定数は、例えば文献値から調査する、又は単層膜のサンプルを別途作成し,そのサンプルの反射光強度比の分光波形を解析することにより求める。
【0011】
(2)層間絶縁膜106と酸化膜105の混合層とし、106と105の光学定数をある比率で混合して新たなレイヤXとし、その光学定数を算出する。例えば、混合比f=fx に対し、
レイヤxの屈折率nx =fx ×n106+(1−fx )×n105
を求める。
【0012】
(3)(2)と同様の手段で層間絶縁膜106と金属膜104についても新たなレイヤYの屈折率ny とし、その光学定数を算出する。
(4)(2)と同様の手段で層間絶縁膜106と絶縁膜103についても新たなレイヤZの屈折率nz とし、その光学定数を算出する。
(5)(2)と同様の手段で層間絶縁膜106と金属配線102についても新たなレイヤWの屈折率nw とし、その光学定数を算出する。
【0013】
(6)Siウェハ107で反射した光がレイヤX→レイヤY→レイヤZ→層間絶縁膜106→レイヤW→測定対象膜101を通過するときの、理論上の分光波形を上記(2)から(5)で求めた各レイヤの屈折率nx,ny,nz,w 及び膜厚tx,ty,tz,tw を入力パラメータとする多層膜の理論上の分光波形Ithe を求める。
【0014】
このときの多層膜の理論波形はIthe は、下記の(a)〜(d)によって求められる。
【0015】
(a)Si基板の屈折率をnsiとした場合、図10における、基板面での反射光901であるrsiは、
【0016】
【数1】
Figure 0003908472
【0017】
で計算される。
【0018】
(b)(a)の反射光901であるrsiが105及び106の混合膜X(膜厚tx 、屈折率nx )の層を通過し、104,105の混合膜Yと混合膜Xの界面により生じるrx と干渉することで、干渉光rが計算される。
【0019】
【数2】
Figure 0003908472
【0020】
(c)(b)の干渉光rが104及び106の混合膜Y(膜厚ty 、屈折率ny )の層を通過し、103,106の混合膜Zと混合膜Yの界面により生じるry と干渉することで、干渉光r’が(b)と同様に計算される。
【0021】
(d)以後、測定対象膜101を通過するまで(b)の計算を繰り返すことで、多層膜の理論波形Ithe が計算される。
【0022】
上記(6)の分光波形Ithe は、(2)から(5)の混合比fx,fy,fz,fw を指定した範囲fx =0〜1,fy =0〜1,fz =0〜1,fw =0〜1と、膜厚の範囲tx =tx0〜tx1,ty =ty0〜ty1,tz =tz0〜tz1,tw =tw0〜tw1の全てについて求める。
【0023】
これらの所定の範囲の屈折率及び膜厚に対する多層膜の理論波形Ithe(λ)と上記ステップS1〜S4で測定されたRef(λ)を比較し、その差が最小となるところの測定対象膜厚t及び各レイヤの混合比fx,fy,fz,fw 及び膜厚の範囲tx,ty,tz,tw を測定値として算出する。
【0024】
以上説明した従来技術には、次のような問題点があげられる。即ち、パラメータ数が多いため、計算に莫大な時間を要する。具体的には、6つの膜厚値(tx,ty,tz,tw )と4つの混合比(fx,fy,fz,fw )で合計10種のパラメータが必要である。また、配線のエッジ部分で生じる散乱光,配線の形状,密度などの不確定要因が多いため、高精度な測定ができない。例えば、散乱光は図11に示すように、垂直に入射してきた光912が金属配線102のエッジ部分で散乱されディテクタに検出できない光911がある。
【0025】
従って、半導体製造工程において図1に示される多層配構造の膜厚測定は現実的に不可能である。現状はテストピースウェハ(ベアシリコン上に成膜したサンプル)によって膜厚の条件出しと管理が行われている。しかし、このテストピースウェハによるコストの増大と生産性の低下が問題となっている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、多層配線の上に形成された膜の膜厚や段差を測定するには、Siウェハをリファレンスとして光学系のハードウェアの分光特性のキャリブレーションを行うのが一般的であるが、この方法では、パラメータ数が多いため計算に莫大な時間を要する、配線のエッジ部分で生じる散乱光や配線の形状,密度など不確定要因が多いため高精度な測定ができない問題があった。
【0027】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、膜厚や段差の測定のために必要なパラメータ数を少なくして計算に要する時間を短縮でき、配線のエッジ部分で生じる散乱光や配線の形状,密度などの不確定要因を排除して高精度な測定を行い得る膜厚及び段差の測定方法を提供することにある。
【0028】
また、本発明の他の目的は、上記の膜厚測定方法を実施するための膜厚測定装置を提供することにある。本発明の更に他の目的は、上記の膜厚測定方法をコンピュータで実現するためのプログラムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は次のような構成を採用している。
【0030】
即ち本発明は、ウェハ上の測定対象膜の膜厚(又は段差)を測定するための膜厚(又は段差)測定方法において、測定対象となるウェハに白色光を照射し、該ウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する第1の工程と、前記検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として求める第2の工程と、第1及び第2の工程と同様にして、前記ウェハの測定対象膜よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を求める工程と、前記求められたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、前記求められた測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する工程と、前記正規化により得られた反射光強度比から前記測定対象膜の膜厚(又は段差)を求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0031】
ここで、本発明の望ましい実施態様としては次のものがあげられる。
(1) 測定対象となるウェハは、金属配線及び層間絶縁膜を有する多層金属配線上に測定対象膜が形成されていること。
(2) リファレンスとなるサンプルとして、測定対象となるウェハの層構造を形成するのと同一のプロセスで、金属配線,層間絶縁膜及びその下層構造が形成されたものを用いること。
(3) リファレンスとして用いたサンプルの構造の全てを基板と見なし、該基板に対する理論波形を計算すること。
(4) 基板と見なした多層配線部分の構造に対し、既知の物理的モデル或いは数学的近似により光学定数を求めること。
【0032】
また本発明は、ウェハ上の測定対象膜の膜厚を測定するための膜厚測定装置において、測定対象膜を有する測定対象となるウェハに対し白色光源からの白色光を集束レンズにより収束して照射する手段と、前記白色光の照射により得られる前記ウェハからの干渉光強度を分光器を介して波長毎に検出する手段と、前記検出された波長毎の干渉光強度の値をコンピュータで横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として記録する手段と、前記照射手段,検出手段及び記録手段を用いて、前記ウェハの測定対象となる層構造よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を記録する手段と、前記記録されたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、前記記録された測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する手段と、前記正規化により得られた反射光強度比から測定対象膜の膜厚を演算する手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0033】
また本発明は、コンピュータを用いてウェハ上の測定対象膜の膜厚を測定するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、測定対象膜を有して測定対象となるウェハに白色光を照射し、該ウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する第1の手順と、前記検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として記録する第2の手順と、第1及び第2の手順と同様にして、前記ウェハの測定対象膜よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を記録する第3の手順と、第3の手順により記録されたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、第1及び第2の手順により記録された測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する第4の手順と、第4の手順により正規化して得られた反射光強度比から前記測定対象膜の膜厚を演算する第5の手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0034】
(作用)
半導体製造工程における光学式膜厚測定は、Siウェハをリファレンスとして光学系のハードウエアの分光特性のキャリブレーションをするのが一般的である。しかし、多層配線上の膜厚及び段差測定をする上では、Siウェハから上の配線構造を全てモデル化して高精度,高スループットで測定することは不可能に近い。
【0035】
本発明では、リファレンスとするサンプルとして、測定対象膜より下の構造を持つウェハを用いることにより、膜厚測定のために必要なパラメータ数を少なくして計算に要する時間を短縮することができ、しかも配線のエッジ部分で生じる散乱光や配線の形状,密度など不確定要因を排除することもできる。これにより、多層配線構造の影響が少ない分光スペクトルが得られ、容易でかつ精度の良い膜厚測定が可能となる。この手法は同様に、多層配線上に形成された段差測定にも適用可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
本実施形態は、多層配線基板上の膜厚測定を精度良く行う方法に関するものである。
【0038】
図1は、本実施形態に適用するウェハ断面構造を示すものである。Siウェハ107上に、酸化膜105,金属膜104,絶縁膜103の3層構造が部分的に形成されている。この3層構造上及びSiウェハ107上には層間絶縁膜106が形成され、層間絶縁膜106の表面部に金属配線102が埋め込み形成されている。そして、これらの上に酸化膜等の測定対象膜101が形成されている。
【0039】
なお、金属配線102はラインアンドスペースに配置されており、そのピッチは波長λに対して十分短く(λ/4以下)となっている。これは、測定光を通過しづらくして、金属配線102を含む層間絶縁膜106の表面を一つの基板面として扱うためである。
【0040】
図2は、本実施形態に使用した膜厚測定装置の概略構成を示す図である。201は白色光を発光する白色光源、202は分光器、203はディテクタ、204はウェハ、205は集光レンズ、206はハーフミラー、207はシャッタ、208はコンピュータを示している。
【0041】
光源201からの白色光は、ハーフミラー206を通過し集光レンズ205により集光されてウェハ204の表面に照射される。この光照射によるウェハ204からの反射光(干渉光)は、集光レンズ205及びハーフミラー206を介して分光器202に導かれる。そして、分光器202により分光された光がディテクタ203で検出される。これによりコンピュータ208では、検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として記録できるようになっている。
【0042】
なお、コンピュータ208では、上記の処理に加え、測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形と共にリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形を記録し、リファレンスサンプルの干渉光強度の分光波形で測定対象ウェハの干渉光強度の分光波形を正規化し、正規化により得られた反射光強度比から測定対象膜の膜厚を演算するようになっている。
【0043】
図3は図1の酸化膜101が成膜される直前の断面構造であり、この構造を有するサンプルをリファレンスとする。
【0044】
次に、本実施形態において、図1に示すような多層配線上の酸化膜の膜厚を測定する方法について説明する。まず、図4に示す手順(ステップS1からS4)で干渉分光強度比を計算する。
【0045】
(ステップS1)
配線構造を持つリファレンスウェハの測定を行う。具体的には、従来技術で述べた通り、一般にはSiウェハをリファレンスとする。本実施形態では図1の測定対象膜101が成膜される直前の断面構造(図3に示される構造)のサンプルをリファレンスとする。このサンプルを図2の204の位置に静置し、以下の手順で理論波形Iref(λ)を求める。
【0046】
(1-1) 光源201から白色光を測定対象のウェハ204、この場合はSiウェハに照明する。
(1-2) Siウェハ204からの干渉光強度を波長毎に検出する。
(1-3) ディテクタ203で検出した干渉光強度をコンピュータ208に横軸が波長、縦軸が分光強度の分光波形Iref(λ)として記録する。
【0047】
(ステップS2)
バックグランドの測定を行う。具体的には、図2のシャッター207を閉じた状態で、光学系内部で生じる乱反射の分光反射光強度をバックグランドIbg(λ)とし、ステップS1と同様に測定する。
【0048】
(ステップS3)
図1の膜厚測定対象ウェハの測定を行う。図1は図3の上に酸化膜101が成膜され、この酸化膜101が測定対象となる膜である。このサンプルをステップS1と同様にして測定し、反射分光強度Ispl(λ)を求める。
【0049】
(ステップS4)
反射光強度比への換算を行う。ステップS1〜S3で求めた分光反射光強度を下式に代入し、各波長における反射分光強度比Ref(λ)を算出する。
【0050】
Ref(λ)
=(Ispl(λ)-Ibg(λ))/(Iref(λ)-Ibg(λ))…(3)
次に、以下のステップS5により膜厚値の算出を行う。
【0051】
(ステップS5)
ステップS1〜S4で求めた分光干渉波形Ref(λ)から下記の手順で測定値を算出する。
【0052】
(5-1) 所定の範囲の膜厚(段差)t=t0〜t1の範囲の理論上の分光波形Sim(λ)を求める。
【0053】
(5-2) ステップS4で測定された分光波形Ref(λ)と上記(5-1)のt=t0〜t1の範囲の理論上の分光波形Sim(λ)を比較する。そして、最もその差が小さくなるところのt=tを測定値として算出する。
【0054】
理論上の分光波形Sim(λ)の計算方法は以下の通りである。
【0055】
(5-2-1) 酸化膜101の光学定数を求める。光学定数を求める方法としては、(1)文献値から調査する、(2)単層膜のサンプルを別途作成し,そのサンプルの反射光強度比の分光波形を以下の手順で解析することにより求める。
【0056】
ここで、
a)光学定数測定対象膜の屈折率は下式で与えられる。
【0057】
【数3】
Figure 0003908472
【0058】
但し、qe:電子の電荷量、εo:真空の誘電率、m:電子の質量はそれぞれ既知の定数である。定数以外のNk:原子の密度、ωk:共鳴振動数、γk:振動の減衰定数、さらに膜厚tをパラメータとして最もその差が小さくなるところのnを求める。
【0059】
b)又は、次の式
n=ni +(n2/λ)2 +(n4/λ)4 … (5)
のn1,n3,n4及び膜厚tをパラメータとして最もその差が小さくなるところのnを求めることでも可能である。
【0060】
(5-2-2) 図1に示される金属配線102と層間絶縁膜106及びSiウェハ107を含む構造全体を1つの基板と見なし、基板の光学定数を実測の反射分光強度比Ref(λ)を近似して求める。光学定数を求める方法は以下であり、光学定数と膜厚値の同時測定の方法でもある。
【0061】
(1)光学定数測定対象膜の屈折率は前記(4) 式で与えられる。反射光rint は、基板の屈折率nと(5-2-1)で求められた酸化膜101の屈折率noxから
【0062】
【数4】
Figure 0003908472
【0063】
で計算される。
【0064】
反射光rint は膜厚t、屈折率noxの層を通過し、酸化膜101の表面での反射光rsec と干渉することで、反射光rfin が計算される。
【0065】
【数5】
Figure 0003908472
【0066】
上記のパラメータNk:原子の密度、ωk:共鳴振動数、γk:振動の減衰定数、酸化膜101の膜厚tをパラメータとする。上記のパラメータの範囲の各値における理論波形Sim(λ)=|rfin2 と上記Ref(λ)で求めた測定波形を比較し、その差が最小となるパラメータの値を求め、基板部分の光学定数を最適化する。
【0067】
(2)又は前記(5) 式のn1,n2,n4をパラメータとする。基板からの反射光rint は、基板の屈折率nと(5-2-1)で求められた酸化膜101の屈折率noxから前記(6) 式で計算される。
【0068】
反射光rint は膜厚t、屈折率noxの層を通過し、酸化膜101の表面での反射光rsec と干渉することで、前記(7) 式のように反射光rfin が計算される。
【0069】
(5-3) 上記(5-2)で求めた光学定数を用いて、実測の分光波形Ref(λ)と上記(5-1)とt=t0〜t1の範囲の理論上の分光波形Sim(λ)を比較する。そして、最もその差が小さくなるところのt=tを測定値として算出する。これによって、多層配線層上に形成された酸化膜101の膜厚を測定することが可能となる。
【0070】
本実施形態は、従来技術に対し以下の利点があり、従来技術の問題点を解決することができる。
【0071】
まず、従来技術に対してパラメータの数を大幅に削減できる。図1においての構造では、従来技術ではパラメータ数が合計10種であったのに対し、本実施形態では測定対象膜101の膜厚値1種のみである。
【0072】
配線のエッジ部分で生じる散乱光、配線の形状、密度などの不確定要因をリファレンスとするウェハを配線構造のものを用いることでキャリブレーションできる。
【0073】
▲1▼本実施形態では、図1において酸化膜厚が950nm、配線下膜厚が300,520,730,910nmの4種類のサンプルを用いて実施した。ステップS4で、図1と図3の層間絶縁膜の膜厚が一致するリファレンスサンプルを基板として反射分光強度比Ref(λ)を測定した結果が図5である。スペクトルが配線下の膜厚値に依存しないのが確認できる。
従って、本実施形態では最上層部の酸化膜101に関するパラメータだけで理論式のフィッティングをすればよいことになる。
【0074】
▲2▼参考として従来技術に類したサンプルのリファレンスをベアシリコンを基板とした実測の分光スペクトルの例を図6に示す。
【0075】
このスペクトルでは層間絶縁膜106の膜厚の影響があることが分かる。
【0076】
仮に、これを理論的に取り扱おうとした場合、最も簡単なモデルである配線部分を混合層として取り扱う方法であっても、下記のものを含む10種類ある。
【0077】
1、Siウェハ107から金属配線102までの層間絶縁膜106の膜厚
2、金属配線102と層間絶縁膜106との混合比
3、金属配線102の厚さ
4、酸化膜101の膜厚
しかも断面構造の形状,密度など誤差要因が大きいことが予想される。
【0078】
本実施形態では、リファレンスを配線から下の構造のウェハとすることで、理論波形のモデルを簡単にすることができ、配線のエッジ部分で生じる散乱光,配線の形状,密度など不確定要因があっても、高精度,高スループットの膜厚測定が可能となる。
【0079】
(第2の実施形態)
この手法は最上層部が平坦な膜に限らず、図7のように段差構造を持つサンプルの段差測定にも適用可能である。リファレンスを図3のサンプルとし、図7に示される金属配線102と層間絶縁膜106を含む配線構造〜Siウェハ107までを1つの基板と見なし、この基板の光学定数を予め求めておく。
【0080】
パターン寸法と同じか、それより短い波長の場合は、パターンの凹部と凸部の2種類の経路を通過する光が存在し、それら2種類の光の位相差により干渉光が生じるというモデルで段差を算出することができる。パターン寸法に対して長い波長を使った場合は、基板面で反射した光がパターンの凹凸を識別できず、光学定数が空気と酸化膜の中間である層を通過するモデルで段差を算出することができる。本実施形態はは長波長を使う後者の手法での実施例である。
【0081】
図8がその結果であり、横軸に断面SEM値、縦軸に本手法により計算した段差値をプロットした。断面SEM測定値と±5%(図8の点線)の精度で一致しており、有効な段差測定方法といえる。
【0082】
以上で説明した通りこの手法により、多層配線上の膜厚と段差測定が高精度,高スループットで可能となり、コスト増大と生産性低下の原因となるテストピースウェハ投入の必要がなくなる。
【0083】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、多層配線上に形成された酸化膜の膜厚測定及び段差測定について説明したが、酸化膜に限らず各種の薄膜の測定に適用できる。さらに、下地は多層配線に限るものではなく、適宜変更可能である。また、測定装置の構成は図2に何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0084】
また、実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピーディスク,ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM,DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。
【0085】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、半導体製造工程の多層配線上の膜の膜厚或いは段差を非破壊的に、しかも高精度、高スループットで測定するための技術である。この手法は製品ウェハの膜厚測定が可能であり、その測定値をデバイスの特性或いは歩留まりなどに直接フィードバックできる。また、テストピースウェハを別途に製造ラインに流す必要がないので、投入ウェハの削減となる。
【0087】
従って、本発明を半導体製造工程に適用した場合、生産ラインの効率化と製造コスト削減に大きく寄与するといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に適用するウェハ断面構造の一例を示す図。
【図2】同実施形態に使用した膜厚測定装置の概略構成を示す図。
【図3】同実施形態に用いたウェハ(リファレンス)の断面構造を示す図。
【図4】同実施形態における膜厚測定手順を示す図。
【図5】図1の構造を持つサンプルを本発明方法で測定した場合の分光干渉スペクトルを示す図。
【図6】図1の構造を持つサンプルを従来方法で測定した場合の分光干渉スペクトルを示す図。
【図7】第2の実施形態に適用するウェハ断面構造の一例を示す図。
【図8】第2の実施形態で段差測定した結果を示した図。
【図9】従来方法における膜厚測定手順を示す図。
【図10】多層構造の各層での反射光を示した図。
【図11】金属配線のエッジで生じる散乱光を模式的に示した図。
【符号の説明】
101…酸化膜(測定対象膜)
102…金属配線
103…絶縁膜
104…金属膜
105…酸化膜
106…層間絶縁膜
107…Siウェハ
201…白色光源
202…分光器
203…ディテクタ
204…ウェハ
205…集光レンズ
206…ハーフミラー
207…シャッタ
208…コンピュータ

Claims (8)

  1. 測定対象膜を有して測定対象となるウェハに白色光を照射し、該ウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する第1の工程と、
    前記検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として求める第2の工程と、
    第1及び第2の工程と同様にして、前記ウェハの測定対象膜よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を求める工程と、
    前記求められたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、前記求められた測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する工程と、
    前記正規化により得られた反射光強度比から前記測定対象膜の膜厚を求める工程と、
    を含むことを特徴とする膜厚測定方法。
  2. 前記測定対象となるウェハは、金属配線及び層間絶縁膜を有する多層金属配線上に前記測定対象膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の膜厚測定方法。
  3. 前記リファレンスとなるサンプルとして、前記測定対象となるウェハの層構造を形成するのと同一のプロセスで、金属配線,層間絶縁膜及びその下層構造が形成されたものを用いることを特徴とする請求項2記載の膜厚測定方法。
  4. 前記リファレンスとして用いたサンプルの構造の全てを基板と見なし、該基板に対する理論波形を計算することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の膜厚測定方法。
  5. 前記基板と見なした構造に対し、既知の物理的モデル或いは数学的近似により光学定数を求めることを特徴とする請求項4記載の膜厚測定方法。
  6. 表面に凹凸を有する測定対象膜を有して測定対象となるウェハに白色光を照射し、該ウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する第1の工程と、
    前記検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として求める第2の工程と、
    第1及び第2の工程と同様にして、前記ウェハの測定対象膜よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を求める工程と、
    前記求められたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、前記求められた測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する工程と、
    前記正規化により得られた反射光強度比から前記測定対象膜の段差を求める工程と、
    を含むことを特徴とする段差測定方法。
  7. 測定対象膜を有する測定対象となるウェハに対し白色光源からの白色光を集束レンズにより収束して照射する手段と、
    前記白色光の照射により得られる前記ウェハからの干渉光強度を分光器を介して波長毎に検出する手段と、
    前記検出された波長毎の干渉光強度の値をコンピュータで横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として記録する手段と、
    前記照射手段,検出手段及び記録手段を用いて、前記ウェハの測定対象となる層構造よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を記録する手段と、
    前記記録されたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、前記記録された測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する手段と、
    前記正規化により得られた反射光強度比から測定対象膜の膜厚を演算する手段と、
    を具備してなることを特徴とする膜厚測定装置。
  8. コンピュータを用いてウェハ上の測定対象膜の膜厚を測定するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、
    コンピュータに、
    測定対象膜を有して測定対象となるウェハに白色光を照射し、該ウェハからの干渉光強度を波長毎に検出する第1の手順と、
    前記検出された波長毎の干渉光強度の値を横軸が波長、縦軸が干渉光強度の分光波形として記録する第2の手順と、
    第1及び第2の手順と同様にして、前記ウェハの測定対象膜よりも下層と同一構造のサンプルをリファレンスとして干渉光強度の分光波形を記録する第3の手順と、
    第3の手順により記録されたリファレンスとなるサンプルの干渉光強度の分光波形で、第1及び第2の手順により記録された測定対象となるウェハの干渉光強度の分光波形を正規化する第4の手順と、
    第4の手順により正規化して得られた反射光強度比から前記測定対象膜の膜厚を演算する第5の手順と、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
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