JP2005233718A - 試料の結晶方位のカラーマッピング方法及び装置 - Google Patents

試料の結晶方位のカラーマッピング方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶方位を三つの回転角度α,β,γで表現して,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを選択することにより,結晶方位のわずかな違いでも明瞭に色分けできるようにする。
【解決手段】試料の表面上の複数の位置のそれぞれにおいて,X線回折法を用いて試料の結晶方位を求める。試料座標系に対する,前記結晶方位を代表する結晶座標系のなす角度を,試料座標系の三つの座標軸の回りの回転角度α,β,γで表現する。そのα,β,γを,変換関数fr,fg,fbを用いて,三原色の各色の濃度値Dr,Dg,Dbに変換するのであるが,その変換関数を決定するに当たっては,試料の結晶方位の現実の分布状態を考慮して,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを適切に定めることができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、試料上の位置の違いによる結晶方位の違いを色の違いで表現するカラーマッピング方法及び装置に関するものである。
X線回折法を用いて試料の表面上の各位置での結晶方位を測定して,位置の違いによる結晶方位の違いを,色の違いで表現する方法,すなわち,結晶方位のカラーマッピング方法,というものが知られている。次の特許文献1は,そのようなカラーマッピング方法を開示している。
特公平6−75044号公報
このカラーマッピング方法は,ステレオ投影図の基本ステレオ三角形について,その{011}{111}{001}の三つの頂点にRGBの三原色をそれぞれ割り当てて,その三つの頂点から,目的の結晶方位までの角度を,RGBの濃度値に対応させて,その合成色を結晶方位の色として表現している。
上述のカラーマッピング方法は,基本ステレオ三角形の三つの頂点からの結晶方位の角度が決まると,結晶方位の色が定まる。この場合,位置の違いによる結晶方位の違いがわずかであると,色の違いが目立たなくなり,結晶方位の違いを見分けにくくなる。
本発明は,上述の問題点を解決するためになされたものであり,その目的は,結晶方位のわずかな違いでも明瞭に色分けすることのできるカラーマッピング方法及び装置を提供することにある。
本発明のカラーマッピング方法は,結晶方位を三つの回転角度α,β,γで表現して,これらを各変換関数に基づいて三原色の各色の濃度値に変換している。その場合の各変換関数は,試料の結晶方位の現実の分布状態を考慮して定めることができ,具体的には,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを適切に定めることで,適切な変換関数fr,fg,fbを決定することができる。三つの回転角度α,β,γは,各変換関数fr,fg,fbを用いて三原色の各色の濃度値Dr,Dg,Dbに変換でき,これによって合成色を得ている。そして,この合成色によって,試料の各位置における結晶方位を表現している。すなわち,本発明のカラーマッピング方法は,次の各段階を備えている。(ア)試料の表面上の複数の位置のそれぞれにおいて,X線回折法を用いて試料の結晶方位を求める段階。(イ)前記複数の位置のそれぞれにおいて,前記試料の外形を基準とした試料座標系に対する,前記結晶方位を代表する結晶座標系のなす角度を,前記試料座標系の三つの座標軸の回りの回転角度α,β,γで表現する段階。(ウ)前記三つの回転角度α,β,γのそれぞれについて,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを定める段階。(エ)前記回転角度α,β,γと三原色の各色の濃度値との対応関係を定める各変換関数を,前記有効角度範囲と前記階調数とに基づいて求める段階。(オ)前記各変換関数に基づいて,前記回転角度α,β,γを前記三原色の各色の濃度値に変換する段階。(カ)前記複数の位置のそれぞれに,前記各色の濃度値の合成色を割り当てて,試料の表面上の各位置の結晶方位の違いを色の違いで表現する段階。
本発明では,まず,試料上のそれぞれの位置で結晶方位を求める必要がある。結晶方位を決定するということは,試料の外形を代表する適当な2方向(板状の試料ならば,試料の表面の法線方向と試料表面内に設けた基準線の方向)のそれぞれと,主要結晶軸との間の角度を決定することを意味する。そして,本発明では,結晶方位を上述の三つの回転角度α,β,γで定義している。
この回転角度α,β,γを,変換関数fr,fg,fbを用いて,三原色の各色の濃度値に変換するのであるが,その際の変換関数を決定するに当たっては,試料の結晶方位の現実の分布状態を考慮して,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを適切に定めることができる。そして,有効角度範囲および階調数の両方またはいずれかを変更することで,結晶方位の色表現を変えることができる。
また,本発明のカラーマッピング装置は,次の構成を備えている。(ア)試料の表面上の複数の位置のそれぞれにおいて,X線回折法を用いて試料の結晶方位を測定する結晶方位測定装置。(イ)前記複数の位置のそれぞれにおいて,前記試料の外形を基準とした試料座標系に対する,前記結晶方位を代表する結晶座標系のなす角度を,前記試料座標系の三つの座標軸の回りの回転角度α,β,γで表現する回転角度演算手段。(ウ)前記三つの回転角度α,β,γのそれぞれについて,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを設定する変換条件設定手段。(エ)前記回転角度α,β,γと三原色の各色の濃度値との対応関係を定める各変換関数を,前記有効角度範囲と前記階調数とに基づいて作成する変換関数作成手段。(オ)前記回転角度α,β,γを,前記各変換関数に基づいて,前記各色の濃度値に変換する色作成手段。(カ)前記複数の位置のそれぞれに対して,前記各色の濃度値の合成色を割り当てて,試料の表面上の各位置の結晶方位の違いを色の違いで表現する可視化装置。
本発明のカラーマッピング方法及び装置は、色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とに基づいて各変換関数を求めているので,色表現の自由度が高まる。そして,有効角度範囲を変えることによって,または,階調数を変えることによって,さまざまな色表現が可能になる。これにより,試料上の位置の違いによる結晶方位の変化がわずかであっても,それらを明瞭に色違いで表現することができる。
以下,図面を参照して,本発明の実施例を詳しく説明する。図1は本発明のカラーマッピング方法に使用する結晶方位測定装置の一例の概略正面図である。この結晶方位測定装置は,背面反射ラウエ法を用いたX線回折装置である。試料10は試料テーブル12の上に水平に載っている。試料テーブル12には,X線通過用の開口が形成されている。X線管14はタングステンのターゲットを備えており,そのX線焦点30から出射されたX線22は,開口直径が1mmのダブルピンホール・コリメータ16で絞られて,試料10の表面(下面)に照射される。試料10で回折したX線は,蛍光板18に当たる。この蛍光板18でX線が可視光に変換され,その可視光はレンズで縮小されて,CCDカメラ20の撮像面に結像する。CCDカメラ20の視野サイズは80mm角であり,有効画素数は512×512ピクセルであり,ひとつの画素のサイズは24μm×24μmである。
入射X線22と試料表面とのなす角度はωである。試料表面上のX線照射位置26と蛍光板18の中心28とを結ぶ線分24と,試料表面とのなす角度もωである。この実施例ではω=60度である。入射X線22と線分24とのなす角度ψは120度である。試料表面上のX線照射位置26から蛍光板18までの距離L(カメラ長)は35mmである。
次に,結晶方位を求めるために使用する三つの座標系を説明する。三つの座標系とは,大文字のXYZで表される光学系座標系と,小文字のxyzで表される蛍光板座標系と,STUで表される試料座標系である。いずれの座標系も原点は試料上のX線照射位置26にとる。X軸,x軸,S軸は図1の紙面に垂直である(図3を参照)。入射X線22と線分24とを含む平面を基準平面と呼ぶことにすると,図1の紙面は基準平面内にあり,Y軸,Z軸,y軸,z軸,T軸及びU軸は,いずれも基準平面内にある。
まず,光学系座標系XYZを説明する。基準平面内において,原点からX線管14に向かって入射X線22に沿って延びているのがY軸であり,このY軸に垂直に延びているのがZ軸である。X軸(図3)はY軸及びZ軸に対して直交している。この光学系座標系XYZは入射X線22を表現するのに便利である。
次に,蛍光板座標系xyzを説明する。基準平面内において,蛍光板18に対して平行に原点から延びているのがy軸であり,原点から蛍光板18の中心28に向かって線分24に沿って延びているのがz軸である。x軸(図3)はy軸及びz軸に対して直交している。この蛍光板座標系は,蛍光板18に照射された回折X線のスポット,すなわちラウエ斑点,の位置を表現するのに便利である。ラウエ斑点の位置は(x,y)座標で表現できる。この実施例では,蛍光板座標系xyzは,光学系座標系XYZを,図1において原点の回りに反時計方向に30度だけ回転させたものに等しい。
次に,試料座標系STUを説明する。基準平面内において,試料表面に対して平行に原点から延びているのがT軸であり,試料表面に対して垂直に延びているのがU軸である。U軸は試料表面の法線方向に一致する。S軸(図3)はT軸及びU軸に対して直交している。この試料座標系STUは,試料10の外形を代表する座標系であり,測定する結晶方位(すなわち,回折に寄与する結晶格子面の法線の方向)が試料表面の法線に対してどちらの方向に向いているかを表現するのに便利である。この実施例では,試料座標系STUは,光学系座標系XYZを,図1において原点の回りに反時計方向に60度だけ回転させたものに等しい。
試料10は試料テーブル12上でS方向及びT方向に移動可能であり,この移動により,試料表面上のX線照射位置を変えることができる。
本発明の測定対象となる試料10は,単結晶からなる結晶粒が集合した状態の多結晶試料である。ひとつの結晶粒のサイズは,基本的には,コリメータ16で絞られたX線ビームの断面サイズ(例えば,直径1mm)よりも大きいことを前提としている。このような結晶粒に白色X線(いろいろな波長の混じったX線)を照射すると,単結晶によるX線回折現象となり,蛍光板18上にラウエ斑点が現れる。このラウエ斑点を解析することにより,その結晶粒の結晶方位を求めることができる。
図2は図1の結晶方位測定装置の主要部を示す斜視図であり,試料10の下方から見たものである。X線管14とコリメータ16と試料10とCCDカメラ20との相対位置関係が示されている。試料10の表面上のX線照射位置26と,蛍光板の中心28も示されている。
図3は図1の結晶方位測定装置の三つの座標系を示す斜視図であり,図2と同様に,試料10の下方から見たものである。蛍光板18上では,多数のラウエ斑点のうちのひとつのスポット32が示されている。スポット32の位置は(x,y)座標で表現される。
図4はX線回折に係る結晶格子面の法線方向を説明する斜視図である。試料10上のX線照射位置26から入射X線22の逆方向に向く単位ベクトルをk0とする。このベクトルk0はXYZ座標系で簡単に記述することができる。XYZ座標系で表現したベクトルk0をk0/XYZ/と記載するものとすると,k0/XYZ/は図15の(1)式のようになる。
また,ラウエ斑点のひとつのスポット32に相当する回折X線34を考えて,X線照射位置26から回折X線34の方向を向く単位ベクトルをkiとする。ベクトルkiはxyz座標系で簡単に記述することができる。xyz座標系で表現したベクトルkiをki/xyz/と記載するものとすると,ki/xyz/は図15の(2)式のようになる。ベクトルkiをXYZ座標系で表現するには,xyz座標系からXYZ座標系に座標変換をすればよく,その結果は図15の(3)式のようになる。得られたXYZ成分をXi,Yi,Ziと定める。
次に,スポット32に寄与している結晶格子面の法線の方向を求める。この法線方向を示す単位ベクトルをViとする。このViを求めるには,上述のk0とkiの合成ベクトルを求めて,その方向の単位ベクトルを求めればよい。XYZ座標系で表現したViをVi/XYZ/と記載するものとすると,Vi/XYZ/は図15の(4)式のようになる。そのXYZ成分をξi,ηi,ζiと定める。
(4)式のViはXYZ座標系で表現されているが,これをSTU座標系に変換すると,図16の(5)式のようになる。このようにして,あるスポット32について,試料の外形を基準とした試料座標系STUを用いて,回折に寄与した結晶格子面の法線方向の単位ベクトルViを求めることができた。
次に,ラウエ斑点の指数付けを行う。ラウエ斑点のスポットのうち,例えば3点を選んで,その単位ベクトルViを上述のようにして求めて,それらのベクトル間の角度を算出する。この角度が「結晶の格子面間角度」に相当する。一方,試料を構成する結晶の材質は既知であり,その結晶について,任意の二つの格子面の組み合わせに係る格子面間角度の一覧表を用意しておく。そして,測定した格子面間角度と,公知の格子面間角度との一致度を比較して,3点のスポットの格子面のミラー指数をどのように仮定したら,測定した格子面間角度と,公知の格子面間角度とが最も一致するのか,を探索する。その結果,3点のスポットのミラー指数を決定することができる。この作業は基本的には試行錯誤を伴うものである。上述の指数付け作業は,現在では,コンピュータの内部で演算によって自動的に処理できる。そして,得られたラウエ斑点の方位とそのミラー指数とを分かりやすく示すには,図8に示すようなステレオ投影図で表現するのが便利である。
以上のようにして,ラウエ斑点の各スポットのミラー指数を決定できる。その結果,X線が照射された位置に存在する結晶粒について,回折に寄与する結晶格子面の法線方向が求まったことになる。なお,ここまでの手法は公知である。
次に,結晶方位を三つの回転角度で表現する方法を説明する。ここでは,試料結晶が立方晶系であると仮定し,その結晶座標軸が,試料の外形を基準とした座標軸STUに対して,どのような角度関係になっているかを求めるものとする。以下の説明では,結晶の面形{110}の法線ベクトルのうちのいずれかがU軸に一致するように,かつ,面形{110}の法線ベクトルと直交関係にある面形{100}の法線ベクトルのいずれかがS軸に一致するように,試料の結晶座標軸をS軸,T軸,U軸の回りに回転させることを考える。そのときの三つの回転角度が結晶方位を表現することになる。
図5において,面形{110}の法線ベクトルのうち,U成分が最大になるベクトルV{110}を抽出する。そのSTU成分は,図16の(6)式に示すように,(V1,V2,V3)である。また,面形{100}の法線ベクトルの中で,S成分が最大で,かつV{110}に直交するベクトルW{100}を選ぶ。そのSTU成分は,図16の(7)式に示すように,(W1,W2,W3)である。V{110}とW{100}とが直交しているとき,図16の(8)式を満足する。V{110}とW{100}が本発明における結晶座標系に相当する。
まず,図5において,V{110}がSU平面(S軸とU軸とを含む平面)内に来るように,結晶を,すなわちV{110}とW{100}を,S軸の回りに回転する。これをα回転と呼ぶことにし,その回転角度をαとする。αは,V{110}の当初の成分を用いて計算でき,図16の(9)式のようになる。
次に,図6に示すように,V{110}がU軸に一致するように,結晶をT軸の回りに回転する。これをβ回転と呼ぶことにし,その回転角度をβとする。βは,V{110}の当初の成分を用いて計算でき,図16の(10)式のようになる。
次に,図7に示すように,W{100}がS軸に一致するように,結晶をU軸の回りに回転する。これをγ回転と呼ぶことにし,その回転角度をγとする。γは,W{100}の当初の成分を用いて計算でき,図16の(11)式のようになる。
回転角度α,β,γは,S軸,T軸,U軸の正方向から原点を見たときに時計方向に回転する方向を正方向と定める。
以上の三つの回転により,V{110}がU軸に一致し,かつ,W{100}がS軸に一致した。そのときの三つの回転角度の組(α,β,γ)をもって,X線が照射されている位置に存在する結晶粒の結晶方位を表現できた。
これをステレオ投影図で説明すると,図8において,(110)のスポットがV{110}に相当し,(001)のスポットがW{100}に相当する。試料座標軸STUは,それぞれ,図8のS,T,Uの位置に存在する。V{110}とW{100}をU軸とS軸に一致させることは,ステレオ投影図で言えば,(110)スポットをステレオ投影の中心位置にもってきて,(001)スポットをS軸の位置にもってくることに相当する。図5〜図7に示したα回転,β回転,γ回転は,ステレオ投影図では,図8のα,β,γのようになる。
以上の説明では,結晶を代表する座標軸として,V{110}とW{100}の二つのベクトルを考えたが,別のベクトルを用いてもよい。
以上説明したように,結晶粒の結晶方位は(α,β,γ)で表現することができた。そして,試料上の各位置において,ラウエ斑点を求めて,各位置での(α,β,γ)を求め,この(α,β,γ)に三原色を割り当てれば,任意の結晶方位を色で表現することができる。例えば,液晶表示装置やCRTなどの表示装置を用いて結晶方位を色分けして表現することを考えると,表示装置ではRGB系の三原色を用いているので,αをRed(赤),βをGreen(緑),γをBlue(青)に割り当てればよい。α,β,γは0〜360度(または,−180度〜+180度)の範囲内にあり,一方,三原色の各色の濃度は,例えば256階調で表すことができる。したがって,360度を256階調に割り振れば,約1.41度が1階調ステップに相当する。このようにして色を割り当てれば,任意の結晶方位をフルカラー表示することができる。
全くランダムな方向を向く結晶粒の集合であれば,上述のような色表現も有効である。しかし,結晶粒のほとんどが任意の方向に強く配向しているような試料では,特定の結晶方位の付近に結晶方位がばらついており,それから離れた方向には結晶方位はほとんど存在しないことになる。例えば,α,β,γの変化範囲がそれぞれ10度程度の範囲内に収まってしまうことがある。このような試料の場合,上述のように0〜360度を256階調に割り振ってしまうと,結晶方位のわずかな違いは,ほとんど同じ色で表現されてしまい,観察者にとっては見分けのつかないものとなる。
そこで,この発明では,特定の角度範囲,すなわち,色の変化で角度を表現する有効角度範囲だけを色変化の対象として,その有効角度範囲を任意に定めることができ,かつ,その角度範囲での色の階調数を任意に定めることができる。これによって,試料の結晶方位の現実のばらつき状態に応じて,最適な色表現にすることができる。
次に,具体的な試料に基づいて,測定例を説明する。試料としてはケイ素鋼板を用いた。このケイ素鋼板について,縦横それぞれ1mmの間隔で測定点を設定して,各測定点について回転角度α,β,γを測定した。20cm×20cmの面積について縦横それぞれ1mmの間隔で測定すると,測定点は約4万箇所になる。その約4万組の(α,β,γ)を得て,α,β,γのそれぞれのばらつき状況を調べた。結晶粒界のところでは結晶方位が不定になるので,結晶方位の測定結果が不定になったとき(きれいなラウエ斑点が得られなかったとき)は,その位置が結晶粒界であると判断する。
図17は回転角度αについての,角度に依存する頻度分布を模式的に示すグラフである。特定の方向に結晶方位が偏っているケイ素鋼板の場合,回転角度αは,特定の数値の付近に集まることになる。そこで,出現するαの最小値αminと最大値αmaxを決定することができ,この最小値αminと最大値αmaxと間の角度範囲を,色変換のための有効角度範囲と定めることができる。
図9は,三つの回転角度α,β,γについて,有効角度範囲とその階調数と色の濃度値を示すものである。αを赤,βを緑,γを青に割り当てている。そして,各色について8階調で表現している。回転角度αは,最小値αminが8度,最大値αmaxが16度であり,その間の角度範囲を階調数N=8で分割している。すなわち,8度以上〜9度未満,9度以上〜10度未満,10度以上〜11度未満,11度以上〜12度未満,12度以上〜13度未満,13度以上〜14度未満,14度以上〜15度未満,15度以上〜16度以下の8種類の角度範囲に分割している。そして,これらの8種類の角度範囲を,256階調(使用する表示装置が表現可能な赤の階調数)の赤の色濃度Drにおける8種類の濃度値,すなわち31,63,95,127,159,191,223,255の濃度値,に割り当てた。
このような,αからDrへの変換は,変換関数frで表すことができる。この変換関数frは,図13に示すような階段状の関数である。βとγについても,同様にして,Dg(緑の濃度値)とDb(青の濃度値)を求めた。そのときの各変換関数はfg,fbであり,図13と同様の階段状である。βの最小値βminは−3度,最大値βmaxは5度である。γの最小値γminは−7度,最大値γmaxは1度である。
α,β,γの最小値,最大値は,図17に示すような現実の測定値の分布を考慮して定めることができる。図17では,αについての多数の測定値のうちの現実の最小値と最大値を,色変換のための有効角度範囲の最小値と最大値としてそのまま採用しているが,別の方法を採用してもよい。例えば,図18に示すように,出現する現実の最小値よりも少し大きい値を,有効角度範囲の最小値αminとし,現実の最大値よりも少し小さい値を,有効角度範囲の最大値αmaxとすることができる。この場合のαminが8度,αmaxが16度であると仮定すると,回転角度αを赤の濃度値Drに変換するときに,αが8度未満のデータや16度を超えるデータがわずかに存在することになる。その場合は,8度未満のデータは,8種類の階調値のうちの最小値31を割り当て,16度を超えるデータについては,8種類の階調値のうちの最大値255を割り当てるものとする。
各色は,8種類の濃度値を用いて表現しているので,その混合色の種類は8×8×8=512種類となる。図10は,このような色分け方法を用いて得られたカラーマッピングを模式的に示すものである。結晶方位のわずかな違いも,明瞭な色違いで表現できた。以上の例では,図13に示すような階段状の変換関数を用いて,各偏差角度を8種類の色濃度値に変換したが,後述する図14に示すような直線状の変換関数fr(階調数Nは256)を用いれば,各回転角度を256種類の色濃度値に変換することもできる。その場合は,256×256×256=約1680万色のフルカラー表示となる。
この発明によれば,回転角度α,β,γの有効角度範囲を定める最小値と最大値,及び各色の表現濃度の階調数を変えることで,変換関数fr,fg,fbを変えることができる。試料中の結晶粒のほとんどが特定の結晶方位の付近でばらついているとすれば,そのばらつきをカバーするようにα,β,γの最小値と最大値を設定すれば,結晶方位のばらつきを明瞭に色表現できる。
したがって,この発明によれば,場所の違いによるα,β,γの変化が例えば0.01度と非常にわずかな場合であっても,このような微小な角度変化が,十分に大きな濃度値変化となるように有効角度範囲を定めれば,結晶方位のわずかな違いを明瞭に色分けすることができる。例えば,図14は,11.2度から12.0度までの0.8度の角度範囲を256階調に割り振った変換関数frを示すものである。図13と比較して,10倍の感度の色変化になっている。
試料に応力が作用していたりすると,ひとつの結晶粒の内部でも,結晶方位が徐々に変化していることがある。そのような場合には,図14に示すような連続的な変換関数を用いて,微小な結晶方位変化を認識できるようにしておくと,ひとつの結晶粒の内部での結晶方位のゆるやかな変化を,色のグラデーションで表現することもできる。図11はひとつの結晶粒の内部での色のグラデーションを模式的に示している。この図面では,便宜上,ハッチングの間隔で色を表現しており,ハッチングの間隔が徐々に変化することで色のグラデーションを表現している。
上述の実施例では,RGB系の三原色を用いて表示装置に表示することを想定しているが,印刷によって色を表現する場合は,YMC系の三原色を使うのが好ましい。その場合は,Δα,Δβ,ΔγをRGB系の三原色に割り当ててから,YMC系に色変換してもよいし,Δα,Δβ,Δγを,直接,YMC系の三原色の濃度階調値に割り当ててもよい。
上述の実施例では,偏差角度Δα,Δβ,Δγを,それぞれ,赤,緑,青に割り当てたが,どの偏差角度をどの色に割り当ててもよい。色の割り当て方によって,全体の色調が変わることになる。
次に,上述のカラーマッピング方法を実施するためのカラーマッピング装置を説明する。図12は,カラーマッピング装置の構成を示すブロック図である。カラーマッピング装置は,各種の演算処理を実行するコンピュータ36を備えていて,これに,結晶方位測定装置38,変換条件設定手段40及び可視化装置44が接続されている。コンピュータ36が実現する機能を,機能実現手段として表現すると,コンピュータ36は,回転角度演算手段46,変換関数作成手段48及び色作成手段50を含んでいる。
結晶方位測定装置38は図1に示したものである。この結晶方位測定装置38は,図5に示すようなV{110}とW{100}のデータ,すなわち結晶方位の情報,を得ることができて,これを回転角度演算手段46に出力する。回転角度演算手段46は,図5〜図7に示す回転角度α,β,γを演算して,その値を変換関数作成手段48に出力する。変換条件設定手段40は,キーボードやマウスなどの入力装置であり,この入力装置を用いて,オペレータは,変換条件の設定画面を見ながら,赤について,変換角度範囲の最小値αminと最大値αmax,それに階調数Nrを設定することができる。緑と青についても同様に,βmin,βmax,Ng,γmin,γmax,Nbを設定できる。変換関数作成手段48は,設定された変換条件を基にして,変換関数fr,fg,fbを作成し,これを色作成手段50に出力する。色作成手段50は,変換関数fr,fg,fbを基にして,三原色の各色の濃度値Dr,Dg,Dbを求めて,これを可視化装置44に出力する。可視化装置44は,表示装置や印刷装置である。
以上の実施例では,結晶格子面の法線方向を示す単位ベクトルViを求めるために,背面反射ラウエ法を用いているが,その他の方法を用いてもよい。例えば,透過ラウエ法(白色X線を使う),発散X線回折法(点X線源からの特性X線を使う),ディフラクトメータ法(やはり特性X線を使う)などの公知の結晶方位測定法を用いることができる。
本発明のカラーマッピング方法に使用する結晶方位測定装置の一例の概略正面図である。 図1の結晶方位測定装置の主要部を示す斜視図であり,試料の下方から見たものである。 図1の結晶方位測定装置の三つの座標系を示す斜視図であり,図2と同様に試料の下方から見たものである。 X線回折に寄与する結晶格子面の法線方向を説明する斜視図である。 結晶座標軸を試料座標軸に一致させる処理におけるα回転を説明する斜視図である。 結晶座標軸を試料座標軸に一致させる処理におけるβ回転を説明する斜視図である。 結晶座標軸を試料座標軸に一致させる処理におけるγ回転を説明する斜視図である。 試料の結晶方位を示すステレオ投影図である。 色の割り当て方法を示す説明図である。 カラーマッピングの模式図である。 ひとつの結晶粒の内部での色のグラデーションを表す模式図である。 カラーマッピング装置のブロック図である。 変換関数の一例を示すグラフである。 変換関数の別の例を示すグラフである。 結晶方位を求めるための数式である。 結晶方位を求めるための数式である。 回転角度αについての,角度に依存する頻度分布を模式的に示すグラフである。 図17の頻度分布において,有効角度範囲の最小値と最大値を変更した例である。
符号の説明
10 試料
14 X線管
16 コリメータ
18 蛍光板
20 CCDカメラ
22 入射X線
26 X線照射位置
30 X線焦点
32 スポット
34 回折X線
38 結晶方位測定装置
40 変換条件設定手段
44 可視化装置
46 回転角度演算手段
48 変換関数作成手段
50 色作成手段

Claims (4)

  1. 次の段階を備える,試料の結晶方位のカラーマッピング方法。
    (ア)試料の表面上の複数の位置のそれぞれにおいて,X線回折法を用いて試料の結晶方位を求める段階。
    (イ)前記複数の位置のそれぞれにおいて,前記試料の外形を基準とした試料座標系に対する,前記結晶方位を代表する結晶座標系のなす角度を,前記試料座標系の三つの座標軸の回りの回転角度α,β,γで表現する段階。
    (ウ)前記三つの回転角度α,β,γのそれぞれについて,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを定める段階。
    (エ)前記回転角度α,β,γと三原色の各色の濃度値との対応関係を定める各変換関数を,前記有効角度範囲と前記階調数とに基づいて求める段階。
    (オ)前記各変換関数に基づいて,前記回転角度α,β,γを前記三原色の各色の濃度値に変換する段階。
    (カ)前記複数の位置のそれぞれに,前記各色の濃度値の合成色を割り当てて,試料の表面上の各位置の結晶方位の違いを色の違いで表現する段階。
  2. 請求項1に記載のカラーマッピング方法において,前記有効角度範囲を変更して結晶方位の色表現を変えることを特徴とするカラーマッピング方法。
  3. 請求項1に記載のカラーマッピング方法において,前記階調数を変更して結晶方位の色表現を変えることを特徴とするカラーマッピング方法。
  4. 次の構成を備える,試料の結晶方位のカラーマッピング装置。
    (ア)試料の表面上の複数の位置のそれぞれにおいて,X線回折法を用いて試料の結晶方位を測定する結晶方位測定装置。
    (イ)前記複数の位置のそれぞれにおいて,前記試料の外形を基準とした試料座標系に対する,前記結晶方位を代表する結晶座標系のなす角度を,前記試料座標系の三つの座標軸の回りの回転角度α,β,γで表現する回転角度演算手段。
    (ウ)前記三つの回転角度α,β,γのそれぞれについて,色の変化で角度を表現する有効角度範囲と,色表現の階調数とを設定する変換条件設定手段。
    (エ)前記回転角度α,β,γと三原色の各色の濃度値との対応関係を定める各変換関数を,前記有効角度範囲と前記階調数とに基づいて作成する変換関数作成手段。
    (オ)前記回転角度α,β,γを,前記各変換関数に基づいて,前記各色の濃度値に変換する色作成手段。
    (カ)前記複数の位置のそれぞれに対して,前記各色の濃度値の合成色を割り当てて,試料の表面上の各位置の結晶方位の違いを色の違いで表現する可視化装置。
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