JP3691540B2 - コンパクト容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、本体に対して、化粧料収納用のドラム枠を着脱自在に組付けることを可能としたコンパクト容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本体に対して、化粧料収納用の中皿を着脱自在に組付ける構成とし、もって携帯する化粧料を詰め替えできるようにしたコンパクト容器の代表例として、実開平2−82208号公報および実公平3−20273号公報に開示された技術がある。
【0003】
この従来技術は、本体に形成された中皿収納部の対向した側面に、嵌装された中皿に係止する係止部を設け、中皿収納部の一方の係止部を設けた側壁部分に弾力部分を設け、この弾力部分の弾力の作用により本体と中皿との係止結合を保持し、中皿が本体から妄りに外れないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術は、中皿と係止する本体側の一方の係止部が、中皿の弾力を作用させる弾力部分に設けられているので、中皿の中皿収納部への嵌装組付け時の互いの係止部乗り越えの際に、両係止部に強大な摩擦抵抗力が作用し、このため本体および中皿の係止部が早期に磨耗すると云う問題があった。
【0005】
また、弾力部分が、中皿収納部を形成する一方の側壁部分で構成され、この弾力部分は両端を固定した架設状の構造となっているので、この弾力部分に設ける係止部は弾力部分の中央部に制限されることになり、このため中皿に対する本体の一方側での係止保持が一箇所に制限され、中皿を安定した姿勢で係止保持する能力が決して充分ではないと云う問題があった。
【0006】
そして、弾力部分が、中皿収納部を形成する一方の側壁部分を、スリットを設けることにより両端を固定して架設状にして構成されているので、この弾力部分を弾性変形させるのに比較的大きな力を必要とし、本体に対する中皿の着脱操作が行い難いと云う問題があった。
【0007】
さらに、本体に対する中皿の着脱操作を行い易くするために、弾力部分の比較的小さな弾性変形により中皿の着脱を達成できるように設定しているので、コンパクト容器の使用中における取り落とし等により、或る程度の外部衝撃が作用すると、この外部衝撃の作用による弾力部分の瞬間的な変形により、中皿が本体から簡単に不正離脱し易いと云う問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、弾力部分の弾力を、本体と中皿との係止保持に適正に作用させることを技術的課題とし、もって中皿の円滑な着脱操作を得ることができる状態で、中皿の安定した姿勢での長期間にわたる確実な係止保持を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した技術的課題を解決する本発明の手段は、
底壁と、この底壁に起立した仕切り壁片および側壁とにより中皿収納部を区画形成し、仕切り壁片の内周面に係止片を突設すると共に、この仕切り壁片内周面に対向する側壁部分に、切欠きを設けることにより、中央側に位置させた先端に突き当たり片を突設した左右一対の弾片を横設状に形成すると共に、両弾片間の側壁部分を切除して、上端部に係止壁片を残して窓部を開設し、さらに同側壁部分の両端部内周面に係止突片を突設した有底短筒状の本体を有すること、
この本体に開閉回動自在に蝶番結合した蓋体を有すること、
周壁外周面に、本体の係止片が係止する係止溝を設け、この係止溝とは反対側の周壁外周面の両端部に、本体の係止突片が係止する係止凹部を、また同周壁外周面の中央部分に、本体の係止壁片に下方から係止する係止突部をそれぞれ設け、係止溝に本体の係止片を、係止凹部に本体の係止突片を、そして係止突部を本体の係止壁片に係止させた状態で、周壁に本体の弾片の突き当たり片を押接させる幅を有する有底短筒状の化粧料収納用の中皿を有すること、
にある。
【0010】
本体の、中皿収納部を形成する仕切り壁片を含めた側壁の内周面側上端部に周段部を周設し、中皿の、周壁外周面上端部に、本体の周段部に搭載する外鍔片を周設するのが良い。
【0011】
中皿を、反転姿勢が同じとなるように対称構造に構成すると共に、本体の仕切り壁片の中央部分に、中皿の係止突部が侵入する欠部を設けるのが有効である。
【0012】
弾片を、先端を中央側に位置させて左右一対設けると共に、この両弾片間の側壁部分を切除して窓部を形成する。
【0013】
本体を、一側に蓋体を蝶番結合する有底短筒状の外枠体と、この外枠体の上端面に搭載する外鍔状の頂壁を上端縁に連設した側壁と仕切り壁片とから成り、外枠体内に嵌装組付けされる短筒状の中枠体と、から構成するのが良い。
【0014】
【作用】
中皿が本体の中皿収納部に組付いた状態では、中皿は、その一方側面を本体の弾片の突き当たり片に押接させた状態で、係止溝を本体の係止片に、係止凹部を本体の係止突片に、そして係止突部を本体の係止壁片に係止させ、この係止により本体に離脱不能に組付き、また弾片から中皿に作用する押圧力により、中皿の係止溝と本体の係止片との係止が強固に確保され、これにより本体に対する中皿のガタ付きのない組付きを強固に確保する。
【0015】
また、中皿の一方側(係止溝を設けた側とは反対側)の本体に対する係止は、両端部に設けた係止凹部と、中央部分に設けた係止突部とで達成されるので、その本体に対する係止組付きは、中皿の一方側全域で達成されることになり、これにより中皿の本体に対する係止組付き姿勢は、一定しかつ安定したものとなる。
【0016】
この一方側での本体と中皿との係止は、双方に設けられた係止用突出部分(本体側は係止突片、中皿側は係止突部)で達成されるので、本体と中皿との実質的な係止箇所が本体と中皿の一方側に偏ることがなく、これにより本体に対する中皿のより安定した係止組付きが達成維持される。
【0017】
係止突片は、本体の不動部分に設けられているので、弾片の弾性変形に関わりなく、中皿の係止凹部との係止状態を一定で安定したものとなり、弾片は、単に係止片と係止溝との係止を保持する弾力を中皿に作用させるだけで良く、その弾性変形が中皿の係止凹部に対する係止突片の係止形態に影響を与えると云うことがないので、その構造は簡単となる。
【0018】
中皿の本体からの離脱に際しては、中皿を弾片の弾力に逆らって押圧変位させて、係止片と係止溝との係止を解除させた状態で、中皿の係止片との係止が解除された側を引き上げ、そのまま中皿収納部から中皿を引き出せば良い。
【0019】
反対に、中皿の本体への組付けに際しては、中皿を本体の中皿収納部に斜め上方から挿入して、係止凹部に係止突片を係止させると共に、係止突部を係止壁片に係止させた状態で弾片を弾性変形させ、そのまま中皿収納部内に押し込んで、弾片の弾力により係止片を係止溝に係止させることにより、中皿の本体に対する組付けを達成する。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
本体1は、内面に鏡を固定した蓋体19を一側端に回動開閉自在に蝶番結合した、底壁4を有する有底短長方形筒状の外枠体2と、この外枠体2内に嵌入する短長方形筒状の中枠体3とから構成され、中枠体3は、外枠体2内に嵌入する短長方形筒状の側壁5と、この側壁5の上端縁に外鍔状に連設された頂壁6と、側壁5内を二分割して一方に中皿収納部17と他方に用具収納部18とを形成する仕切り壁片8とから構成されている。
【0021】
中皿収納部17は、その平面形状が長方形をしており、各角部は、比較的大きな曲率で角取りされて、円弧面を形成している。
【0022】
中枠体3の仕切り壁片8は、その中央部分に欠部9を設けて、中皿20の中皿収納部17への着脱操作を行い易くすると共に、中皿20の中皿収納部17への装着に、係止突部24が邪魔とならないようにしており、中皿収納部17内周面となる仕切り壁片8の側面の両側に寄った下部には、横長の係止片10が突設されている。
【0023】
仕切り壁片8に対向する中皿収納部17を形成している側壁5のやや両側に寄った部分には、切欠き14(図5参照)を設けることにより、突き当たり片13を設けた先端を中央側に位置させて一対の弾片12が左右に設けられており、この弾片12の突き当たり片13は、弾片12の全高さ幅範囲にわたって設けられており、その突出高さは係止片10の突出高さよりもわずかに大きく設定され、弾片12を弾性変形させての係止片10と係止溝22との係止の着脱を可能としている。
【0024】
このように、一対の弾片12が左右に分離して設けられているので、中皿20に対する押圧力は二箇所に分散して作用することになり、これにより個々の弾片12の弾力を弱くして、係止機能部分に過剰な摩擦抵抗力が発生しないようにすると共に、中皿20に作用する押圧力が偏ることなく安定した形態で作用するようにしている。
【0025】
係止突片11は、弾片12が設けられた側壁5部分の円弧状に角取りされた両端部、すなわち湾曲壁構造部分に設けられているので、例え弾片12の基端部、すなわち固定部が比較的接近して位置する構造となっていても、それ自体が設けられている部分が、変形し難い壁構造(湾曲構造)部分であるので、弾片12の弾性変形に伴う弾力の影響で、この壁部分が変形することはなく、これにより中皿20の係止凹部23に対する安定した係止結合を維持する。
【0026】
両弾片12間には、この部分の側壁5中央部分を、上端部を残して切除して窓部15を形成することにより、残存した上端部である係止壁片16が形成されており、中皿20に設けた係止突部24が、窓部15に侵入して下方からこの係止壁片16に係止するようにしている。
【0027】
中皿収納部17を形成する側壁5および仕切り壁片8の内周面上端縁には、中皿20の周壁21の外周面上端縁に突出周設した外鍔片25(図2参照)が搭載する周段部7が形成されており、中皿収納部17に中皿20を嵌装した状態で、この周段部7に搭載した中皿20の外鍔片25が、本体1と中皿20との係止組付き機能部分を隠すので、中皿20装着時の外観体裁を良好なものとしている。
【0028】
化粧料を収納保持する中皿20は、角取りした有底短長方形筒状をしていて、その周壁21外周面の下部に周溝を全周にわたって周設(図1参照)することにより係止溝22を形成し、角取りした各角部の周溝部分を係止凹部23とすることにより、係止溝22と係止凹部23とを一体に形成している。
【0029】
係止凹部23は、周壁21の外周面に周設された周溝の各角部の横幅を、係止突片11に比べて充分に大きくすると共に、溝幅を上方に拡大して構成したものとなっている。
【0030】
係止凹部23の溝幅寸法を大きくしたのは、中皿20を中皿収納部17に挿入した当初において、この係止凹部23が本体1側の係止突片11と容易にかつ確実に係止できるようにするためであり、また係止凹部23の横幅を大きくしたのは、係止突片11に係止凹部23を係止させた状態で、中皿20が弾片12を弾性変形させて本体1側に対して変位しても、係止凹部23に対する係止突片11の係止を確保するためである。
【0031】
周壁21の外周面の一方側と他方側の中央部分の周溝の直上には、本体1側の窓部15内に侵入できる横幅で充分な突出高さ(弾片12の弾性変形ストロークよりも大きい)の係止突部24(図3参照)が横突条状に設けられており、この係止突部24の他方は、中皿20を中皿収納部17に嵌装した状態で、仕切り壁片8の欠部9に位置して、中皿20の本体1側への嵌装の邪魔とならないようにしている。
【0032】
周壁21の外周面上端縁には、本体1の周段部7に搭載する外鍔片25が周設されているが、この外鍔片25は、本体1と中皿20との係止機能部分を覆い隠すと共に、本体1の欠部9に中皿20の上端部の突出部分として露出して位置することにより、中皿20の離脱操作時における中皿20に対する指先の引っ掛かり部を提供し、もって中皿20の離脱操作を行い易くしている。
【0033】
有底短長方形筒体の周壁21の外周面に周溝状の係止溝22を設けると共に、角取りした各角部に係止凹部23を設けて中皿20を構成したので、中皿20は平面的に点対称構造となり、このため本体1に対する組付けに際して、姿勢の方向規制がなくなり、その取扱いが便利となる。
【0034】
なお、中皿収納部17に隣接して形成された用具収納部18は、底壁4に多数の細かい通気用の小孔を開設してパフ収納用に構成されている。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本体と中皿との係止組付きを達成保持する弾力の作用部分と、係止機能部分とが別個に分離して構成されているので、係止機能部分の係止動作時に弾力作用部分が必要以上に弾性変形して、係止機能部分に過剰な押圧力を作用させ、その結果、係止機能部分に強大な摩擦抵抗力を発生させて、係止機能部分を早期に磨耗させると云うことがなく、もって本体と中皿との係止組付きを、長期間にわたって良好にかつ確実に機能させることができる。
【0036】
弾力作用部分と係止機能部分とを分離させたので、弾力作用部分に拘束されることなく係止機能部分を、中皿の係止保持を効果的にかつ安定して達成できるように離して配置することができ、もってガタ付きのない安定した中皿の係止保持状態を得ることができる。
【0037】
弾片を、側壁部分に切欠きを形成することにより、片持ち状に横設したので、弾力の作用部分である突き当たり片を設けた先端部の無理のない弾性変位を得ることができ、もって本体に対する中皿の着脱操作を、大きな操作力を要することなく、円滑にかつ簡単に達成することができる。
【0038】
本体と中皿との実質的な係止箇所を、中皿側だけではなく、中皿に設けた係止突部により本体側にも形成したので、外部から作用する不正な衝撃に伴う瞬間的な変位により、本体と中皿との係止が妄りに解除されると云う不都合が発生し難くなり、これにより本体に対する中皿の着脱操作の容易さを維持したまま、本体に対する中皿の係止組付きのより安定した維持を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、一部破断除去した全体分解斜視図。
【図2】図1に示した実施例における、要部弾片部拡大縦断面図。
【図3】図1に示した実施例における、要部中央部拡大縦断面図。
【図4】図1に示した実施例における、要部角部拡大縦断面図。
【図5】図1に示した実施例における、弾片部分の要部拡大図。
【図6】図1に示した実施例における、本体の中皿収納部の平面図。
【符号の説明】
1 ; 本体 2 ; 外枠体
3 ; 中枠体 4 ; 底壁
5 ; 側壁 6 ; 頂壁
7 ; 周段部 8 ; 仕切り壁片
9 ; 欠部 10; 係止片
11; 係止突片 12; 弾片
13; 突き当たり片 14; 切欠き
15; 窓部 16; 係止壁片
17; 中皿収納部 18; 用具収納部
19; 蓋体 20; 中皿
21; 周壁 22; 係止溝
23; 係止凹部 24; 係止突部
25; 外鍔片
Claims (4)
- 底壁(4)と、該底壁(4)に起立した仕切り壁片(8)および側壁(5)とにより中皿収納部(17)を区画形成し、前記仕切り壁片(8)の内周面に係止片(10)を突設すると共に、該仕切り壁片(8)内周面に対向する前記側壁(5)部分に、切欠き(14)を設けることにより、中央側に位置させた先端に突き当たり片(13)を突設した左右一対の弾片(12)を横設状に形成すると共に、該両弾片 (12) 間の側壁 (5) 部分を切除して、上端部に係止壁片(16)を残して窓部(15)を開設し、さらに同側壁(5)部分の両端部内周面に係止突片(11)を突設した有底短筒状の本体(1)と、該本体(1)に開閉回動自在に蝶番結合した蓋体(19)と、周壁(21)外周面に、前記係止片(10)が係止する係止溝(22)を設け、該係止溝(22)とは反対側の前記周壁(21)外周面の両端部に、前記係止突片(11)が係止する係止凹部(23)を、また同周壁(21)外周面の中央部分に、前記係止壁片(16)に下方から係止する係止突部(24)をそれぞれ設け、前記係止溝(22)に係止片(10)を、係止凹部(23)に係止突片(11)を、そして係止突部(24)を係止壁片(16)に係止させた状態で、前記周壁(21)に前記弾片(12)の突き当たり片(13)を押接させる幅を有する有底短筒状の化粧料収納用の中皿(20)と、から成るコンパクト容器。
- 本体(1)の、中皿収納部(17)を形成する仕切り壁片(8)を含めた側壁(5)の内周面側上端部に周段部(7)を周設し、中皿(20)の、周壁(21)外周面上端部に、前記周段部(7)に搭載する外鍔片(25)を周設した請求項1に記載のコンパクト容器。
- 中皿(20)を、反転姿勢が同じとなるように対称構造に構成すると共に、仕切り壁片(8)の中央部分に、前記中皿(20)の係止突部(24)が侵入する欠部(9)を設けた請求項1または2に記載のコンパクト容器。
- 本体(1)を、一側に蓋体(19)を蝶番結合する有底短筒状の外枠体(2)と、該外枠体(2)の上端面に搭載する外鍔状の頂壁(6)を上端縁に連設した側壁(5)と仕切り壁片(8)とから成り、前記外枠体(2)内に嵌装組付けされる短筒状の中枠体(3)と、から構成した請求項1または2または3に記載のコンパクト容器。
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JP07894195A JP3691540B2 (ja) | 1995-04-04 | 1995-04-04 | コンパクト容器 |
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