JP3690147B2 - 半導体発光素子の実装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サファイア等の硬質の基板を持つフリップチップ型の半導体発光素子をフェイスダウンで実装基板側に実装する方法及びこの実装の際の超音波負荷に用いるボンディングツールに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の化合物半導体の薄膜層を基板の上に積層して形成される半導体発光素子の中で、たとえばサファイア等の絶縁性であってしかも透光性の基板を用いるものでは、p側及びn側の電極が半導体積層膜の表面に形成されたフリップチップ型として利用できる。このようなフリップチップ型の発光素子では、p側及びn側の電極を配線基板等の表面の電極パターンに直に導通搭載するフェイスダウン方式のアセンブリによる実装が可能である。そして、フェイスダウンによる実装では、実装面積が小さくて回路配線が短くできるので、高密度実装や高速素子の実装に最適であり、電子機器の小型化や高機能化への対応も可能である。
【0003】
フェイスダウンによる半導体発光素子の実装方法の一つの典型的なものは、半導体発光素子のp側及びn側のそれぞれの電極にAu等を利用したバンプ電極を予め形成しておき、配線基板の配線パターンの電極部にバンプ電極を突き合わせて超音波併用の熱圧着によるものである。この方法は、たとえば半田や導電性のペースト等を利用した接合に比べると接合材の硬化時間等が不要なので、生産性の面では好ましい。
【0004】
図5は従来の超音波併用熱圧着による実装方法において、半導体発光素子へのバンプ電極の形成から配線基板への導通搭載までの工程を示す概略図である。
【0005】
図5の(a)は、ヒータ51を内蔵したステージ50の上面に予めダイシングした半導体発光素子52を搭載し、この半導体発光素子52の電極52aの表面にバンプ電極53を形成する工程を示す。半導体発光素子52は先に説明したようにサファイア等を基板52bの表面にたとえばGaN等の半導体薄膜層52cを積層形成し、この半導体薄膜層52cの表面にp側及びn側の電極52aを設けたものである。そして、バンプ電極53は、キャピラリー54から供給されるAu線55をトーチ(図示せず)で加熱して溶融させてボール状とした後、キャピラリー54を電極52aの表面に接近させて超音波を印加しながら熱圧着して形成される。
【0006】
このバンプ電極53形成では、その突き出し長さに数μmから数十μmのばらつきが発生するため、配線基板へ実装するときに各バンプ電極53に対する超音波の伝達量が不均一となり、接合強度にもばらつく傾向がみられる。このため、超音波併用熱圧着によって接合するフェイスダウン実装の場合では、全てのバンプ電極53の突き出し長さを一様とする必要があり、図5の(b)に示すレベリングが行われる。この工程では、レベリング治具56によってバンプ電極53を一様に圧下することで、バンプ電極53の突き出し長さが一様化される。
【0007】
次いで、半導体発光素子52は図5の(c)に示すように、配線基板57の表面の配線パターンに合わせてフェイスダウン式で実装される。この実装工程では、配線パターン57aを上面に形成した配線基板57をステージ50の上に搭載し、ヒータ51によって加熱保持する。一方、レベリング処理されたバンプ電極53を形成した半導体発光素子52は、上下反転した姿勢として搬送されるとともにボンディングツール58によって吸着固定される。そして、半導体発光素子52と配線基板57のそれぞれのバンプ電極53及び配線パターン57aの位置合わせをした後、ボンディングツール58を用いた超音波併用熱圧着によって、バンプ電極53と配線パターン57aの金属材料との間での溶融合金化を促すことで、配線基板57に対して半導体発光素子52がフェイスダウン式で実装される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなフェイスダウン式の実装方法では、1辺の長さが200〜400μm程度の微小な半導体発光素子52にバンプ電極53を形成した後にレベリングし、半導体発光素子52を1個ごとに上下反転して搬送した後に実装するというものなので、バンプ電極53を形成した後の実装までの工程での半導体発光素子52のハンドリングが難しい。特に、フェイスダウン実装するために半導体発光素子52を上下に反転させる操作では、バンプ電極53が突き出ているために、ハンドリングが適切に実行できなくて損傷を招くことがあり、製品歩留りに大きな影響を及ぼす。
【0009】
また、ボンディングツール58によってバンプ電極53を配線基板57の配線パターン57aに超音波併用熱圧着するとき、接合に必要な超音波エネルギーの印加によって実装の位置ずれを伴いやすい。すなわち、半導体発光素子52が微小であるため、その上下方向及び左右方向のずれを発生すると同時に回転による姿勢の捩れを発生する。このような位置ずれは、バンプ電極53と配線パターン57aとの間の接合面積を小さくしてしまうことになり、その結果配線基板57に対する半導体発光素子52の搭載接合強度を低下させ、製品の信頼性を大幅に低下させる。
【0010】
更に、フェイスダウン実装の接続強度と実装精度は、荷重と超音波強度の大きさに左右され、とりわけ超音波強度の影響は大きい。このため、超音波強度を小さくすることで実装精度は向上するものの、その反面で接合強度が弱くなり最適条件を設定することが困難であるとともに信頼性低下の原因となる。
【0011】
このように従来のフェイスダウン式の実装方法では、半導体発光素子側とその実装面との間の位置ずれによる問題のほか、接合強度の安定化についても改善すべき点が残っている。
【0012】
本発明において解決すべき課題は、半導体発光素子を実装するときのハンドリングが容易で実装時の位置ずれの発生がなくしかも接合面積の大きさも確保して安定した接合強度でのフェイスダウン実装ができるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極パターンを形成した半導体ウエハーを実装基板とし、フリップチップ型の半導体発光素子をフェイスダウンで実装する方法であって、前記半導体ウエハーの電極パターンのそれぞれにバンプ電極を形成する工程と、前記半導体発光素子の電極を前記バンプ電極に対応させて荷重負荷をかけながら搭載し前記バンプ電極をレベリングする工程と、前記半導体発光素子の電極と前記バンプ電極とを溶融接合する工程と、前記半導体ウエハーを前記半導体発光素子をチップ単位として含むようにダイシングする工程とからなることを特徴とする。
【0014】
この実装方法において、前記半導体発光素子の電極と前記バンプ電極との溶融接合を、前記半導体発光素子への超音波振動負荷により実行する場合では、前記半導体発光素子への超音波振動を負荷するためのボンディングツールに、下端側に開口して前記半導体発光素子を吸着するためのバキューム流路と、前記半導体発光素子の外郭のうち少なくとも負荷される超音波振動の振幅方向の外郭面を拘束する保持環とを備えたものが使用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、電極パターンを形成した半導体ウエハーを実装基板とし、フリップチップ型の半導体発光素子をフェイスダウンで実装する方法であって、前記半導体ウエハーの電極パターンのそれぞれにキャピラリーから供給されるAu線を溶融させてボール状とした後超音波を印加しながら熱圧着してバンプ電極を形成する工程と、前記半導体発光素子の電極を前記バンプ電極に対応させて超音波を印加しない状態で荷重負荷をかけながら搭載し前記半導体発光素子を使って前記バンプ電極をレベリングする工程と、前記半導体発光素子の電極と前記バンプ電極とを超音波振動負荷により溶融接合する工程と、前記半導体ウエハーを前記半導体発光素子をチップ単位として含むようにダイシングする工程とからなる半導体発光素子の実装方法であり、半導体発光素子を半導体ウエハーに搭載したときに同時にバンプ電極のレベリングが行えるので、レベリングのための治具の交換等の作業が不要となり工数削減に対応できるという作用を有する。なお、バンプ電極のレベリングでは、突き出し長さのばらつきを3μm以内の範囲とすることが好ましい。
【0018】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実装方法において、実装基板としての半導体ウエハーの表面に形成された電極パターンのバンプ電極を形成するまでの工程を示す概略縦断面図、図2は半導体ウエハーの要部を拡大して示す平面図である。
【0019】
図1及び図2において、上面のp側及びn側の電極パターン1aを形成した実装基板としての半導体ウエハー1が、従来例と同様にヒータ21を内蔵したステージ20の上に固定されている。そして、ステージ20の上方にはAu線2を供給してバンプ電極を形成するためのキャピラリー22を移動可能に配置するとともに、Au線2に高電圧を印加して溶融するためのトーチ23を備えている。
【0020】
キャピラリー22からAu線2が半導体ウエハー1側に供給されると、図1の(a)に示すように、トーチ23による高電圧印加によってAu線2の下端部が溶融してほぼ球状のボール2aが形成される。そして、図1の(b)のようにキャピラリー22を半導体ウエハー1の電極パターン1aの表面に接近させて超音波を印加する。これにより、ボール2aは電極パターン1a上に熱圧着されて一体に接合され、突起状のバンプ電極3が形成される。このバンプ電極3は半導体ウエハー1の上面の全ての電極パターン1aについて形成するものとし、この後に半導体発光素子の実装と同時にバンプ電極3のレベリングを行う。
【0021】
図3は半導体発光素子の実装とバンプ電極3のレベリングの工程を示す概略縦断面図である。
【0022】
半導体発光素子4は、従来例と同様に絶縁性であって光透過性のサファイアを基板4aとするとともにこの基板4aの表面にGaNの半導体薄膜層4bを積層し、更にそのn側及びp側の半導体薄膜層の表面にn側及びp側の電極4c,4dを形成した青色発光のフリップチップ型としたものである。半導体発光素子4は、従来周知のように、ウエハー状態のサファイアの基板4aの表面に半導体薄膜層4bをエピタキシャル成長によって形成するとともに電極4c,4dを金属蒸着法によって形成し、ダイシングによってチップ化したものである。なお、半導体発光素子4の平面形状の大きさは、従来技術の項でも説明したように、200〜400μm程度である。
【0023】
半導体発光素子4の実装工程では、まず、ステージ20の上に搭載した半導体ウエハー1をヒータ21によって予め加熱しておき、コレット(図示せず)を利用して半導体発光素子4を上下反転させた姿勢でステージ20の上方に配置したボンディングツール24に吸着させる。次いで、実装しようとする半導体発光素子4の電極4c,4dをそれぞれの相手の電極パターン1a上のバンプ電極3に位置合わせし、この後図3の(a)のように半導体発光素子4を半導体ウエハー1上に搭載する。ボンディングツール24は従来周知のように空気吸引用のバキューム流路24aを下端まで形成したものであるが、本発明においては半導体発光素子4の全体が嵌まり込んでこれを保持するための保持環24bを下端に備えている。なお、この保持環24bは半導体発光素子4の外周の全体を包囲する四角形状とすることが好ましいが、超音波振動の振幅方向に一対配置して半導体発光素子4の回転ずれを防止できるものであればよい。
【0024】
ここで、半導体発光素子4の基板4aは高硬度のサファイアなので、図3の(a)のようにバンプ電極3に搭載したときには、ボンディングツール24による圧下を受けても損傷する可能性はない。また、バンプ電極3を押しつぶす程度の圧下力を加えると、バンプ電極3はボンディングツール24に保持されている半導体発光素子4からの荷重を受ける。すなわち、図5の(b)で示したように、従来ではレベリング治具56を利用してバンプ電極53の突き出し長さのばらつきを一様化していたのに対し、半導体ウエハー1を圧下する方向に負荷を加えるボンディングツール24の保持した半導体発光素子4をそのまま使ってレベリングすることができる。
【0025】
以上のレベリングによって2個のバンプ電極3の突き出し長さが均一化された後には、ボンディングツール24によって圧下を加えながら図3の(b)に示す矢印方向に超音波振動を印加する。この圧下と超音波振動との合成によって、たとえばアルミニュームの電極パターン1aとAuのバンプ電極3のそれぞれの表面が互いに破壊されて新生面が生成され、この新生面に金属間化合物が形成される。したがって、電極パターン1aとバンプ電極3との間が電気的及び機械的に導通接合される。
【0026】
ここで、超音波振動を加えるときでも、半導体発光素子4を保持環24bによって少なくとも振幅方向を拘束すれば、半導体発光素子4の位置ずれや回転が阻止される。したがって、超音波の印加強度を大きくしても実装位置のずれの発生がなく、電極パターン1aとバンプ電極3との間の接合面積が小さくなることが防止され、安定した接合強度が得られる。なお、1辺の長さが200〜400μm程度の半導体発光素子4の場合であれば、保持環24bによる拘束保持は上下及び左右方向の位置ずれは20μm以内程度であって、回転角度も3°以内程度とすることが可能である。
【0027】
以上の工程までで半導体ウエハー1上に半導体発光素子4が実装され、従来例では実装する前にレベリング工程を必要としていたのに対し、本発明ではレベリングからパターン電極1aとバンプ電極3の溶融接合までの工程を、治具等を交換することなく連続処理できる。そして、半導体発光素子4の実装の後には、図4の(a)に示すように、ダイサー25によって半導体ウエハー1をダイシングする最終工程に移り、このダイシングによって図4の(b),(c)に示す半導体発光素子4をフェイスダウンした2層構造の発光素子が得られる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の実装方法では、バンプ電極のレベリングが半導体発光素子の搭載時の負荷を利用して行えるので、レベリングに必要な治具によるハンドリングが不要となり、製造工数の削減と生産性の向上が図られる。
【0029】
また、超音波振動を負荷するときに半導体発光素子をボンディングツールの拘束環で保持することで、超音波振動を受けても半導体発光素子の位置ずれや回転ずれの発生がなく、電極間の接合強度を安定させたアセンブリが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実装方法におけるバンプ電極の形成までを示す概略縦断面図
【図2】半導体ウエハーの電極パターン及びその上面に形成したバンプ電極の配置を示す要部の平面図
【図3】本発明の実装方法における半導体発光素子及びこれを保持したボンディングツールによるレベリング及び超音波振動の印加による電極接合までを示す概略縦断面図
【図4】(a)は半導体発光素子の半導体ウエハー上への実装後のダイシング工程を示す図
(b)は得られた2層構造の半導体発光素子の正面図
(c)は得られた2層構造の半導体発光素子の平面図
【図5】従来のバンプ電極の形成からレベリング及び配線基板への実装までの工程を示す概略図
【符号の説明】
1 半導体ウエハー
1a 電極パターン
2 Au線
2a ボール
3 バンプ電極
4 半導体発光素子
4a 基板
4b 半導体薄膜層
4c,4d 電極
20 ステージ
21 ヒータ
22 キャピラリー
23 トーチ
24 ボンディングツール
24a バキューム流路
24b 保持環
25 ダイサー

Claims (1)

  1. 電極パターンを形成した半導体ウエハーを実装基板とし、フリップチップ型の半導体発光素子をフェイスダウンで実装する方法であって、前記半導体ウエハーの電極パターンのそれぞれにキャピラリーから供給されるAu線を溶融させてボール状とした後超音波を印加しながら熱圧着してバンプ電極を形成する工程と、前記半導体発光素子の電極を前記バンプ電極に対応させて超音波を印加しない状態で荷重負荷をかけながら搭載し前記半導体発光素子を使って前記バンプ電極をレベリングする工程と、前記半導体発光素子の電極と前記バンプ電極とを超音波振動負荷により溶融接合する工程と、前記半導体ウエハーを前記半導体発光素子をチップ単位として含むようにダイシングする工程とからなる半導体発光素子の実装方法。
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