JP3689746B2 - ビーム合成装置、マルチビーム光源装置及びマルチビーム走査装置 - Google Patents

ビーム合成装置、マルチビーム光源装置及びマルチビーム走査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、デジタル複写機、レーザファクシミリ等における高速光書込系に利用されるビーム合成装置、マルチビーム走査装置及びマルチビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高速記録を行なうため、複数本の光ビームを感光体上に同時に走査させて画像記録を行なうマルチビーム走査装置が知られている。この場合のマルチビーム走査装置としては、光源として複数個の半導体レーザを用い、偏光ビームスプリッタ等により各半導体レーザからの光ビームを合成するビーム合成方式(例えば、特開平6−331913号公報参照)と、光源として複数の発光点を有する半導体レーザアレイを用いるアレイ方式(例えば、特開平5−53068号公報参照)とが、一般によく知られている。これらのマルチビーム走査装置におけるビーム数は、通常、2ビームであるが、高速記録の要求に対してさらなる多ビーム化の実現が望まれている。
【0003】
アレイ方式の場合、半導体レーザアレイ自体の入手が困難で、また、入手できたとしても非常に高価である。特に、発光点の数、即ち、射出し得る光ビーム数が増えるに従ってこの傾向が増す。一方、ビーム合成方式によれば、通常の汎用されている半導体レーザを用い得るため、3ビーム以上のマルチビーム化を図る上では、コスト面においてアレイ方式より有利と考えられる。
【0004】
ビーム合成方式で3ビーム以上のマルチビーム化を図ったものとしては、例えば、特開平7−181412号公報に示されるものがある。即ち、n個の半導体レーザからの光ビームを(n−1)面のビームスプリッタ面と1個のミラー面とを一体的に構成した合成プリズムに入射させることにより合成するようにしたものである。このような合成プリズムの一例として、ビームスプリッタ面を全て偏光ビームスプリッタ面として構成する例が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように複数個の偏光ビームスプリッタを用いても、3ビーム以上の光ビームを実質的な光損失なしに合成することは原理的に不可能である。即ち、偏光ビームスプリッタにより合成された2本の光ビームは互いに垂直な直線偏光光束となるので、これらの光を次の偏光ビームスプリッタに入射させるときにはλ/2板又はλ/4板などの偏光素子が別途必要となり、構成が複雑化する上に、この偏光ビームスプリッタ射出後の何れかの光ビームの光量は入射前の少なくとも1/2以下となってしまう。
【0006】
従って、このような合成プリズムの場合、複数の偏光ビームスプリッタ面を用いるメリットがあまりなく、(n−1)面のビームスプリッタ面の内、1面のみを偏光ビームスプリッタ面とし、残りの(n−2)個は通常のビームスプリッタ面とするか、或いは、(n−1)面の全てを通常のビームスプリッタ面とするかの何れかの方式が考えられる。
【0007】
例えば、図35に示すように、1面の反射面Mと、(n−1)面のビームスプリッタ面BSi (i=1,…,n−1)とにより、n本の光ビームBMi (i=1,…,n)を合成する合成プリズム100の場合を考える。ここでは、全てのビームスプリッタ面BSi を通常のビームスプリッタ面とし、各ビームスプリッタ面BSi がその透過率と反射率とがとも0.5のハーフミラー構成とした場合、各光ビームBMi のビーム合成前後の光量比、即ち、光利用効率ηi は、
ηi =0.5^i (但し、i=1,…,n−1)
ηn =0.5^(n-1)
として表される。しかし、ハーフミラー反射(又は、透過)回数に応じて光量が減衰していくため、合成すべき光ビーム数の増加に伴い光利用効率のビーム間偏差が大きくなってしまう。例えば、
n=4の場合、
η1 =0.5,η2 =0.25,η3 =η4 =0.125
n=6の場合、
η1 =0.5,η2 =0.25,η3 =0.125,η4 =0.0625,η5 =η6 =0.03125
n=8の場合、
η1 =0.5,η2 =0.25,η3 =0.125,η4 =0.0625,η5 =0.03125,
η6 =0.0156,η7 =η8 =0.0078
の如くなり、合成プリズム100における光利用効率のビーム間偏差が大きくなる。
【0008】
また、仮にビームスプリッタ面BSn-1 のみを偏光ビームスプリッタ面とした場合を考えると、各光ビームBMi のビーム合成前後の光利用効率ηi は、
ηi =0.5^i (但し、i=1,…,n−2)
ηn-1 =ηn =0.5^(n-1)
として表され、同様に、光ビーム数の増加に従い、光利用効率のビーム間偏差が大きくなってしまう。例えば、
n=4の場合、
η1 =0.5,η2 =η3 =η4 =0.25
n=6の場合、
η1 =0.5,η2 =0.25,η3 =0.125,η4 =η5 =η6 =0.0625
n=8の場合、
η1 =0.5,η2 =0.25,η3 =0.125,η4 =0.0625,η5 =0.03125,
η6 =η7 =η8 =0.0156
の如くなり、合成プリズム100における光利用効率のビーム間偏差が大きくなる。
【0009】
このように、何れの方式にしても、光利用効率が低下すると高出力の光源が必要となり、光源が高価となる。また、光利用効率のビーム間偏差が大きいので、合成プリズム100から射出後の光量を各光ビーム間で均一化させるためには、NDフィルタ等の光減衰手段が別途必要になったり、合成プリズム100への入射前の光量、即ち、各光源自体の発光出力を、各光ビームの光利用効率に応じて大きく異ならせるように設定する必要が生ずる。
【0010】
従って、光源としてn個の半導体レーザを用いる場合を考えると、同種の半導体レーザを使用する場合には最低の光利用効率に合わせて高出力の半導体レーザとする必要があり、コスト高になるとともに、光利用効率の高い光ビームに対応する半導体レーザの発光出力が定格より著しく小さくなるため、LED発光成分の比率が高くなり結像性能が劣化したり半導体レーザのモニタ電流が微弱となり出力制御に支障を来すおそれがある。また、出力定格の異なる複数種類の半導体レーザを使用する場合には、種類が異なることにより半導体レーザの光学的・電気的特性(例えば、波長、拡がり角、モニタ電流、周波数応答特性等)が異なるため、各半導体レーザの出力制御や感光体に対する結像性能に支障を来すことが多くなる。
【0011】
そこで、本発明は、4ビーム以上のマルチビーム化を図る上で、ビーム合成前後の光量比なる光利用効率が高く、かつ、その光利用効率を各光ビーム間で均一化し得る簡易な構成のビーム合成装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらには、このようなビーム合成装置を利用することにより、合成出力される各光ビームの光出力を均一化し得るマルチビーム光源装置及びマルチビーム走査装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のビーム合成装置は、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、少なくとも1面の偏光ビームスプリッタ面を含み、入射したn本の光ビームを列状のm本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2)と、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、前記第1のビーム合成手段から出されるm本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、ビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている。
【0014】
n本の光ビームは、まず、第1のビーム合成手段の偏光ビームスプリッタ面により各々2本ずつの光ビーム対として合成され、ほぼ半数のm本の列状の光ビームに合成される。第1のビーム合成手段から出射されるm本の光ビームは、第2のビーム合成手段に入射し、1面の反射面と所定の透過率、反射率に設定されて互いに平行な(m−1)面のビームスプリッタ面により順次合成され、最終的に実質的に1本の光ビームに合成される。ここに、第1のビーム合成手段は偏光ビームスプリッタ面によりビーム合成を行うので、入射ビームの偏光特性を適正に設定することによりn本の光ビームは光損失最小でほぼ半数のm本の光ビームに合成される。第2のビーム合成手段は、1面の反射面と平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面で構成されているので、m本の列状の光ビームを実質的に1本の光ビームに好適に合成できる。特に、各ビームスプリッタ面の透過率及び反射率の設定を適正にするだけで、n本の光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができ、入射側において各光ビームの光量を調整したり発光出力の異なる複数種類の光源を用いたりする必要がなく、入射側の制約が大幅に軽減される。
【0015】
請求項2記載の発明のビーム合成装置は、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2)と、互いに平行な1面の偏光ビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、前記第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように前記(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている。
【0016】
概略的には、請求項1記載の発明における第1のビーム合成手段と第2のビーム合成手段とを入れ替えた構成とされている。従って、2列状に入射したn本の光ビームは第1のビーム合成手段の各ビームスプリッタ面及び1面の反射面により順次合成されて2本の光ビームに合成される。合成されたこれらの2本の光ビームは偏光ビームスプリッタ面を有する第2のビーム合成手段に入射され、その入射ビームの偏光特性に従い、実質的に1本の光ビームに合成される。この際、第1のビーム合成手段は互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有するので、m本及び(n−m)本の2列状のn本の光ビームを好適に実質的に2本の光ビームに合成することができる。また、第2のビーム合成手段は偏光ビームスプリッタ面によりビーム合成を行なうので、入射ビームの偏光特性を適切に設定することにより、入射する2本の合成光ビームを光損失最小なる状態で1本の光ビームに合成できる。また、第1のビーム合成手段の各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率をビーム合成前後の光量比が均一となるように設定したので、入射ビームの光量をビーム間で同一としたまま合成後の各ビームの光量を均一にすることができる。これにより、高い光利用効率での多ビームの合成が可能となり、また、入射光量を大きく異ならせたり発光出力の異なる複数種類の光源としたりすることなく、ビーム合成後の光量をビーム間で均一とすることができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のビーム合成装置において、前記(m−1)面のビームスプリッタ面を被合成ビームに近い方から順にBS1 ,BS2 ,…,BSm-1 とし、前記各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,2,…,m−1)としたとき、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、
2 =T1 /R1 又は R2 =R1 /T1
i =Ri-1 /Ti-1 (但し、i=3,…,m−1)
m-1 =Tm-1
なる条件を満たすように設定されている。
【0018】
従って、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、(m−1)面のビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段を通過前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。特に、他方の第1又は第2のビーム合成手段が偏光ビームスプリッタを含む構成であり、微少な光損失でビーム合成が行われるため、全体として、ビーム合成前後の光量比が各ビーム間で均一かつ高効率なる状態でビーム合成を行える。
【0019】
ここに、本発明及び以下の発明において、「実質的に」とは、光ビーム合成前後の光量比のビーム間偏差が、機能上、問題がない程度の誤差を含み得ることを意味する。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のビーム合成装置において、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、
1 :T1 =(m−1):1 又は R1 :T1 =1:(m−1)
i :Ti =1:(m−i)(但し、i=2,…,m−1)
なる条件を満たすように設定されている。
【0021】
従って、ビームスプリッタ面の光損失が無視できる程度に十分に小さいとした場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、(m−1)面のビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項3記載のビーム合成装置において、(m−1)面のビームスプリッタ面の光損失を各々δとしたとき、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、
1 ={(1+δ)(1−δ)^(2-m)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}
又は、
1 =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}
i =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m)−1}(但し、i=2,…,m−1)
なる条件を満たすように設定されている。
【0023】
従って、ビームスプリッタ面の光損失を或る一定値δで近似できる場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、これらのビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0024】
請求項6記載の発明のビーム合成装置は、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第1のビーム合成部と、互いに平行に列状に並設された(m′−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第2のビーム合成部とよりなり、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=m′=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2、かつ、m′=m又はm′=m−1)と、1面の偏光ビームスプリッタ面を有し、前記第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように前記(m−1)面及び前記(m′−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている。
【0025】
従って、概略的には、請求項1記載の発明における第1のビーム合成手段と第2のビーム合成手段とを入れ替え、第1のビーム合成手段を第1,2のビーム合成部を有する構成とされている。n本の光ビームは第1のビーム合成手段の第1,2のビーム合成部における各ビームスプリッタ面及び1面の反射面によりm本、(n−m)本が順次合成されて1本の光ビームに合成され、両方で2本の光ビームに合成される。合成されたこれらの2本の光ビームは偏光ビームスプリッタ面を有する第2のビーム合成手段に入射され、その入射ビームの偏光特性に従い、実質的に1本の光ビームに合成される。この際、第1のビーム合成手段は、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第1のビーム合成部と、互いに平行に列状に並設された(m′−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第2のビーム合成部とを有するので、m本及び(n−m)本の各列状の合計n本の光ビームを好適に実質的に2本の光ビームに合成することができる。また、第2のビーム合成手段は偏光ビームスプリッタ面によりビーム合成を行なうので、入射ビームの偏光特性を適切に設定することにより、入射する2本の合成光ビームを光損失最小なる状態で1本の光ビームに合成できる。また、第1のビーム合成手段の第1,2のビーム合成部における各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率をビーム合成前後の光量比が均一となるように設定したので、入射ビームの光量をビーム間で同一としたまま合成後の各ビームの光量を均一にすることができる。これにより、高い光利用効率での多ビームの合成が可能となり、また、入射光量を大きく異ならせたり発光出力の異なる複数種類の光源としたりすることなく、ビーム合成後の光量をビーム間で均一とすることができる。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のビーム合成装置において、前記第1のビーム合成手段における前記(m−1)面のビームスプリッタ面、前記(m′−1)面のビームスプリッタ面を被合成ビームに近い方から順に各々BS1 ,BS2 ,…,BSm-1 、BS1′ ,BS2′ ,…,BSm-1′ とし、前記各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,2,…,m−1)、Ri′ ,Ti′ (i=1,2,…,m′−1)としたとき、各反射率Ri ,Ri′ 及び透過率Ti ,Ti′ が、実質的に、
2 =T1 /R1 又は R2 =R1 /T1
i =Ri-1 /Ti-1 (但し、i=3,…,m−1)
m-1 =Tm-1
2′ =T1′ /R1′ 又は R2′ =R1′ /T1
i′ =Ri-1′ /Ti-1′ (但し、i=3,…,m′−1)
m-1′ =Tm-1
なる条件を満たすように設定されている。
【0027】
従って、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、第1のビーム合成手段を通過前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。特に、他方の第2のビーム合成手段が偏光ビームスプリッタを含む構成であり、微少な光損失でビーム合成が行われるため、全体として、ビーム合成前後の光量比が各ビーム間で均一かつ高効率なる状態でビーム合成を行える。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のビーム合成装置において、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、
1 :T1 =(m−1):1 又は R1 :T1 =1:(m−1)
i :Ti =1:(m−i)(但し、i=2,…,m−1)
1′ :T1′ =(m′−1):1 又は R1′ :T1′ =1:(m′−1)
i′ :Ti′ =1:(m′−i)(但し、i=2,…,m′−1)
なる条件を満たすように設定されている。
【0029】
従って、ビームスプリッタ面の光損失が無視できる程度に十分に小さいとした場合に、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項6記載のビーム合成装置において、前記(m−1)面のビームスプリッタ面、前記(m′−1)面のビームスプリッタ面の光損失を各々δとしたとき、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、
1 ={(1+δ)(1−δ)^(2-m)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}
又は、
1 =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}
i =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m)−1}(但し、i=2,…,m−1)
1′ ={(1+δ)(1−δ)^(2-m′)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m′)−1}
又は、
1′ =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m′)−1}
i′ =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m′)−1}(但し、i=2,…,m′−1)
なる条件を満たすように設定されている。
【0031】
従って、ビームスプリッタ面の光損失を或る一定値δで近似できる場合に、各反射率Ri ,Ri′ 及び透過率Ti ,Ti′ が実質的に所定の条件を満たすように設定されているので、第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0032】
請求項10記載の発明のマルチビーム光源装置は、偏光特性を有する光ビームを射出するn(n>4)個の光源と、これらの各光源から射出されるn本の光ビームが入射される請求項1ないし9の何れか一に記載のビーム合成装置とを備える。
【0033】
従って、ビーム合成装置から合成されて出力される各光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で均一化され、かつ、光利用効率が高いので、光源としては比較的低出力の同種のものを使用することができ、よって、比較的低コストにてビーム間の特性のばらつきの少ないマルチビーム光源装置となる。
【0034】
請求項11記載の発明のマルチビーム走査装置は、請求項10記載のマルチビーム光源装置と、このマルチビーム光源装置のビーム合成装置から合成されて出力されるn本の光ビームを偏向走査させる偏向手段と、この偏向手段により偏向走査されるn本の光ビームを感光体上に光スポットとして結像させる結像光学系とを備える。
【0035】
従って、各ビーム間の特性のばらつきの少ない状態で良好に感光体に対して光書込みを行わせることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態は、ビーム合成装置1に適用されている。このビーム合成装置1は、偶数本なるn(n≧4)本の偏光特性を有する光ビームBM1 ,BM2 ,…,BMn を一旦m本(m=n/2)の列状の光ビームに合成する第1のビーム合成手段S1と、第1の合成手段S1から出射されるm本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成して被合成ビーム1又は被合成ビーム2として射出する第2のビーム合成手段S2との組合せとして構成されている。第1のビーム合成手段S1はm個分の偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-1 とミラーM2 ,M4 ,…,Mn との対が互いに平行に列状に並設された構成とされている。第1のビーム合成手段S1へ入射した光ビーム中、奇数番目の光ビームBM1 ,BM3 ,…,BMn-1 はそのp偏光成分が各偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-1 をそのまま透過し、偶数番目の光ビームBM2 ,BM4 ,…,BMn は各ミラーM2 ,M4 ,…,Mn で反射された後、そのs偏光成分が各偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-1 で反射されることで、対をなす対応する奇数番目の光ビームBM1 ,BM3 ,…,BMn-1 と合成されて、m本の列状の光ビームとして出射される。第2のビーム合成手段S2は、第1のビーム合成手段S1から出射されて同一方向から入射するm(=n/2)本の光ビームを合成して出力するものであって、(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 と1枚のミラーMとが、互いに平行に列状に並設された構成とされている。なお、いうまでもないが、本実施の形態の構成においては、ミラーの表面又は裏面には反射面が形成され、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の表面又は裏面にはビームスプリッタ面が形成されており、ミラーMと反射面とは等価的であり、ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 とビームスプリッタ面とは等価的である。
【0037】
これにより、基本的には、列状に合成されて同一方向(各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 及びミラーMに対して約45°の方向)から入射するm本の光ビームがこれらのミラーM及び各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 により適宜反射・透過を繰り返すことで順次合成され、最終的には、ビームスプリッタBS1 からn本の光ビームBM1 ,…,BMn が全て合成され、入射ビームに平行な方向1への被合成ビーム1又は入射ビームに直交する方向2への被合成ビーム2として出射される。
【0038】
ここに、(m−1)枚のビームスプリッタに関して、被合成ビームに近い方から順に、BS1 ,BS2 ,…,BSm-1 とし、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,…,m−1)(Ri +Ti ≦1)としたとき、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、下記の条件(1)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。
【0039】
条件(1)は、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において各光ビームの合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(1-1) は被合成ビーム1の場合、条件(1-1)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。また、「実質的に」とは、ビーム合成前後の光量比のビーム間偏差が、機能上、問題がない程度の誤差を含み得ることを意味し、厳密に偏差が零である必要がないことを意味する(以下の各実施の形態においても同様である)。
【0040】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、第1のビーム合成手段S1から第2のビーム合成手段S2へ入射するm本の光ビームに関して、被合成ビーム1とする場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(1-1),(1-2),(1-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηn が等しくなる。
【0041】
従って、第1のビーム合成手段S1において、入射する光ビームを例えばλ/2板等の偏光手段により予め所定の偏光状態(図示例では、奇数番目の光ビームをp偏光、偶数番目の光ビームをs偏光)に設定しておくことにより、最小の光損失でm本の光ビームに合成することができ、このようなm本の光ビームを第2のビーム合成手段S2で上記のように合成するので、結局、n本の全ての光ビームBM1 ,…,BMn に関して、合成前後の光量比のビーム間偏差が小さくて実質的に同一の光利用効率となる状態で合成できる。
【0042】
同様に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、被合成ビーム2の場合のm本の光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(1-1)′,(1-2),(1-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0043】
ちなみに、m=2の場合であれば、R1 =T1 に設定し、m=3の場合であれば、R2 =T2 、T1 /R1 =R2 (被合成ビーム1のとき)又はR1 /T1 =R2 (被合成ビーム2のとき)に設定すればよい。
【0044】
なお、幾つかの変形例について図2ないし図12を参照して説明する。図2に示す第1の変形例は、光ビーム数n(n≧5)を奇数とする場合のビーム合成装置2である。この場合、第1のビーム合成手段S1ではm=(n+1)/2本の光ビームに合成するもので、(m−1)個分の偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-2 とミラーM2 ,M4 ,…,Mn-1 との対が互いに平行に列状に並設された構成とされている。即ち、光ビームBMn に対応する偏光ビームスプリッタは存在せず、第1のビーム合成手段S1をそのまま透過して第2のビーム合成手段S2に入射する構成とされている。第2のビーム合成手段S2は、(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 と1枚のミラーMとが、互いに平行に列状に並設された構成とされている。n本の各光ビームに関して所定の偏光状態に設定され、かつ、これらのビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(1)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置2の場合にも、ビーム合成装置1と同様な効果が得られる。
【0045】
図3に示す第2の変形例は、ビーム合成装置1に対応するビーム合成装置3をプリズム構成により一体化構造としたものである。従って、図1における第1のビーム合成手段S1と第2のビーム合成手段S2とがともにビーム合成プリズムとして構成され、接着等により一体化されている。即ち、第1のビーム合成手段S1にあってはm個の偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-1 が各々偏光ビームスプリッタ面PBS1 ,PBS3 ,…,PBSn-1 として構成され、m個のミラーM2 ,M4 ,…,Mn が各々反射面M2 ,M4 ,…,及び、内面反射面Mn として構成されている。また、第2のビーム合成手段S2にあってはビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 が各々ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 として構成され、1枚のミラーMが内面反射面Mとして構成されている。第2のビーム合成手段S2におけるこれらのビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(1)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置3の場合にも、ビーム合成装置1と同様な効果が得られる。特に、この変形例のようにプリズム構成とした場合には、内面反射面Mでは光ビームが全反射するために内面反射面Mでの光損失を殆ど生じない上に、全体が一体化構造となるため、コンパクトとなり、ビーム合成装置3が傾いたり位置ずれを起こしても各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 間の相対角度が変動することがなく、ビーム合成後の各ビーム間の角度は一定に保たれ、安定したビーム合成を行えるものとなる。また、第1,2ビーム合成手段S1,S2間もプリズム構造の接着等により一体化されているので、振動等による外乱や経時変化などがあっても各面が全て同時に動くため、射出ビームの方向を安定させることができる。
【0046】
図4に示す第3の変形例は、ビーム合成装置1に対応するビーム合成装置4をビーム合成装置3と同様にプリズム構成により一体化構造としたものであるが、特に、第1のビーム合成手段S1に関して、両端を内面反射面M1 ,Mn により構成したものである。即ち、第1のビーム合成手段S1を構成するビーム合成プリズムに関して、偏光ビームスプリッタ面と内面反射面との任意対の順序を逆に構成し、併せて、対応する光ビームの偏光状態を逆に設定したものである。具体的には、m面の偏光ビームスプリッタ面PBS2 ,PBS4 ,…,PBSn-5 ,PBSn-3 ,PBSn-1 と、m面の反射面M3 ,…,Mn-4 ,Mn-2 、内面反射面M1 ,Mn とにより構成されている。この変形例による場合、基本的には第2の変形例のビーム合成装置3の場合と同様な効果が得られるが、特に、第1のビーム合成手段S1において両端が内面反射面M1 ,Mn により構成されており、全反射させるので、光損失をより低減させることができ、小型化を図る上でも有利となる。
【0047】
図5に示す第4の変形例のビーム合成装置5は、第1のビーム合成手段S1に関して、対をなす偏光ビームスプリッタ面と内面反射面とを各々独立したm個のプリズムとして構成し、第2のビーム合成手段に接着等により一体化させたものである。図示例は、n=4であり、偏光ビームスプリッタ面PBS1 と内面反射面M2 とが1つのプリズムを形成し、偏光ビームスプリッタ面PBS3 と内面反射面M4 とが1つのプリズムを形成している。この変形例によれば、第1のビーム合成手段S1において全ての反射面が全反射面として構成されるので、光損失を最小にすることができる。
【0048】
図6に示す第5の変形例は、n=5(奇数)の場合のビーム合成装置2に対応するビーム合成装置6をプリズム構成により一体化構造としたものである。従って、図2における第1のビーム合成手段S1と第2のビーム合成手段S2とがともにビーム合成プリズムとして構成され、接着等により一体化されている。即ち、第1のビーム合成手段S1にあっては2(=m−1)個の偏光ビームスプリッタPBS1 ,PBS3 が各々偏光ビームスプリッタ面PBS1 ,PBS3 として構成され、2(=m−1)個のミラーM2 ,M4 が各々反射面M2 ,M4 として構成されている。また、第2のビーム合成手段S2にあってはビームスプリッタBS1 ,BS2 が各々ビームスプリッタ面BS1 ,BS2 として構成され、1枚のミラーMが内面反射面Mとして構成されている。従って、光ビームBM5 に対する偏光ビームスプリッタ面及び反射面を有しないものであり、図中に破線で示す部分はプリズム構造として必須ではなく、第2のビーム合成手段S2側に直接入射させるようにしてもよい。図7に示す第6の変形例は、n=7(奇数)の場合のビーム合成装置2に対応するビーム合成装置7をプリズム構成により一体化構造としたものであり、ビーム合成装置6の場合と同様である。第2のビーム合成手段S2におけるビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(1)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置6,7の場合にも、ビーム合成装置1と同様な効果が得られる。
【0049】
図8ないし図11に示す第7の変形例のビーム合成装置8は、例えば、光ビーム数nが偶数の場合において、第1のビーム合成手段S1と第2のビーム合成手段S2とが互いに直交する方向でビーム合成を行う構成とされている。即ち、第1のビーム合成手段S1はx,y両方向に対して45度の角度で互いに平行に設定された1面の内面反射面M1 と1面の偏光ビームスプリッタ面PBSとを有する偏光ビームスプリッタにより構成されている。所定の偏光状態に設定されてm(=n/2)本ずつ2列状にx方向に入射されるn本の光ビームが、各々共通な1面の内面反射面M1 と1面の偏光ビームスプリッタ面PBSとによりx‐y平面内で光損失が最小の状態で列状のm本の光ビームに合成されて第2のビーム合成手段S2に入射する。第2のビーム合成手段S2では、x,z両方向に対して45度の角度で互いに平行に設定された1面の反射面Mと(m−1)面のビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 とを有すビーム合成プリズムであり、入射するm本の列状の光ビームをy‐z平面内で反射面Mと各ビームスプリッタ面BSm-1 ,BSm-3 ,…,BS1 により順次合成し、最終的に、ビームスプリッタBS1 からn本の光ビームBM1 ,…,BMn を全て合成し、入射ビームに平行な方向1への被合成ビーム1又は入射ビームに直交する方向2への被合成ビーム2として出射する。第2のビーム合成手段S2におけるビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(1)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置8の場合にも、ビーム合成装置1と同様な効果が得られるが、特に、入射する光ビームを2列に列状にさせることができ、同数の光ビームを合成する際にビーム合成装置8のサイズ(高さ方向)を半減させることができ、装置の小型化を図る上で都合がよい。また、第1のビーム合成手段S1に関して構造を単純化させることができる。
【0050】
図12に示す第8の変形例のビーム合成装置9は、第1のビーム合成手段S1に関して、各々独立したm個のキューブ型偏光ビームスプリッタにより構成し、奇数番目、偶数番目で対をなす入射光同士を90度異なる方向から入射させるようにしたものである。これによれば、第1のビーム合成手段S1に必ずしも反射面を必要とせず、かつ、ビーム配列方向に長い一体的な構成とする必要もなく、汎用のキューブ型偏光ビームスプリッタを用いて構成できる。
【0051】
ここに、本実施の形態及び各変形例において、第2のビーム合成手段S2に関する条件(1)は各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi (=1−Ri −Ti )(i=1,…,m−1)に依らず、ビーム合成前後の光量比を一定とするための条件である。即ち、各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi が決まれば、条件(1-3) によりビームスプリッタ面BSm-1 の反射率Rm-1 、透過率Tm-1 の設定値は、
n-1 =Tn-1 =(1−δm-1 )/2
として求められる。次に、ビームスプリッタ面BSm-2 の反射率Rm-2 、透過率Tm-2 の設定値は、一般式:Rm-2 +Tm-2 =1−δm-2 、及び、条件(1-2) から導出される式:Rm-2 /Tm-2 =Rm-1 により、
m-2 =Rm-1・(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
m-2 =(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
として求められる。以下、同様に、一般式:Ri +Ti =1−δi 、及び、条件(1-2) に基づき、各ビームスプリッタ面BSm-3 ,…,BS2 の各々の反射率及び透過率の設定率が順次求められ、最後に、条件(1-1) 又は条件(1-1)′ によりビームスプリッタ面BS1 の反射率R1 、透過率T1 の設定値が求められる。
【0052】
ところで、ビームスプリッタ面には、様々な種類があるが、一般には、ガラス等の基体上に金属や誘電体膜をコーティングすることにより作製される。例えば、クロム等による金属コーティングしたものは、光損失は比較的大きいが、入射ビームの波長、偏光状態による影響が少なく、かつ、角度依存性も小さいという特長がある。また、誘電体多層膜コーティングしたものは、入射ビームの波長、偏光状態による影響を受けやすく、かつ、角度依存性が大きいが、光損失が殆どないという特長がある。さらに、全誘電体無偏光コーティングされたものは、光損失が小さく入射ビームの偏光状態の影響も受けにくいという特長がある。また、金属+誘電体なるハイブリッドコーティングされたものは、双方の長所を併有する特長がある。これらは何れも使用可能であり、ビーム合成装置1〜9の用途に応じて適宜選択される。
【0053】
また、このようなビーム合成装置1〜9に関して、入射側と出射側とを逆にすれば、ビーム分割装置として機能し得ることはいうまでもない(以下の各実施の形態のビーム合成装置でも同様である)。即ち、被合成ビーム1又は2の射出側から無偏光又は円偏光の1本の光ビームを入射させることにより、均一な光量のn本の光ビームに分割して射出させることができる。さらに、同一のビームスプリッタ面や反射面に対して各々複数本の光ビームを入射させるようにすれば、n本以上の光ビームを合成させることも可能であり、特に、p(p≧2)個の発光部を有するn個の半導体レーザアレイと組合せれば、p×n本の光ビームを同時に合成させることができる(以下の各実施の形態のビーム合成装置でも同様である)。
【0054】
本発明の第二の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置1に適用されており、基本的には、第一の実施の形態の場合と同様であるが、第2のビーム合成手段S2における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti ≦1)が、実質的に、下記の条件(2)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。
【0055】
条件(2)は、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームBM1 ,…,BMn の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(2-1) は被合成ビーム1の場合、条件(2-1)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。
【0056】
具体的に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、被合成ビーム1の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(2-1),(2-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0057】
従って、第1のビーム合成手段S1ではn本の光ビームを所定の偏光状態とすることにより微少な光損失でm本に合成できるので、上記のようなm本の光ビームが入射される第2のビーム合成手段S2を通すことにより、結局、n本全ての光ビームを実質的に同一な光利用効率(≒1/m)で合成することができる。
【0058】
同様に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、被合成ビーム2の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(2-1)′,(2-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0059】
なお、本実施の形態でも、変形例として例示した各ビーム合成装置2〜9に同様に適用できる。即ち、各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(2)を満たすように設定されていればよい。
【0060】
ここで、一例として、被合成ビーム1を得る場合の条件(2)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=2)の場合
BS11 :T1 =1:1,R1 =0.5 , T1 =0.5
ηi =0.5 (=1/m)(i=1,2)
光ビーム数:n=5又は6(m=3)の場合
BS11 :T1 =2:1,R1 =0.667, T1 =0.333
BS22 :T2 =1:1,R2 =0.5 , T2 =0.5
ηi =0.333(=1/m)(i=1,2,3)
光ビーム数:n=7又は8(m=4)の場合
BS11 :T1 =3:1,R1 =0.75 , T1 =0.25
BS22 :T2 =1:2,R2 =0.333, T2 =0.667
BS33 :T3 =1:1,R3 =0.5 , T3 =0.5
ηi =0.25 (=1/m)(i=1,2,3,4)
光ビーム数:n=9又は10(m=5)の場合
BS11 :T1 =4:1,R1 =0.8 , T1 =0.2
BS22 :T2 =1:3,R2 =0.25, T2 =0.75
BS33 :T3 =1:2,R3 =0.333, T3 =0.667
BS44 :T4 =1:1,R4 =0.5 , T4 =0.5
ηi =0.2 (=1/m)(i=1,2,3,4,5)
光ビーム数:n=11又は12(m=6)の場合
BS11 :T1 =5:1,R1 =0.833, T1 =0.167
BS22 :T2 =4:1,R2 =0.2 , T2 =0.8
BS33 :T3 =1:3,R3 =0.25, T3 =0.75
BS44 :T4 =1:2,R4 =0.333, T4 =0.667
BS55 :T5 =1:1,R5 =0.5 , T5 =0.5
ηi =0.167(=1/m)(i=1,2,3,4,5,6)
となる。
【0061】
なお、被合成ビーム2を得る場合の条件(2)の具体例としては、上記数値例中のR1 とT1 の数値を入替えればよい。
【0062】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来のように全てハーフミラーとしたときの光利用効率は、その最小値をηmin 、最大値をηmax とすると、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.125 、ηmax=0.5、ηmax:ηmin= 4:1
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.03125、ηmax=0.5、ηmax:ηmin=16:1
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00781、ηmax=0.5、ηmax:ηmin=64:1
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。例えば、仮に光利用効率のビーム間偏差が2:1まで許容されると仮定すると、各ビームスプリッタ面の反射率Ri 、透過率Ti の上記設定値の許容範囲として、Ri 、Ti の内で大きい方をSi としたときにSi に対して概ね±{(√2)^1/(m-1)−1}×100%程度まで許容されることになり、許容範囲の大きいものとなる。
【0063】
本発明の第三の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置1に適用されており、基本的には、第一の実施の形態の場合と同様であるが、第2のビーム合成手段S2における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がほぼ等しい一定値δを持つ場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti =1−δ)が、実質的に、下記の条件(3)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。
【0064】
条件(3)は、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つ場合に、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームの合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(3-1) は被合成ビーム1の場合、条件(3-1)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。
【0065】
ここで、条件(3-2) より、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の透過率Ti は、
Figure 0003689746
であるので、Ti =Ri /Ri+1 (i=2,…,m−2)、即ち、Ri =Ri-1 /Ti-1 (i=3,…,m−1)と表される。また、条件(3-2) より、
Figure 0003689746
となる。
【0066】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が一定値δを持つものとして、被合成ビーム1の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(3-1),(3-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第2のビーム合成手段S2に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m))−1}として等しくなる。
【0067】
従って、第1のビーム合成手段S1ではn本の光ビームを所定の偏光状態とすることにより微少な光損失でm本に合成できるので、上記のようなm本の光ビームが入射される第2のビーム合成手段S2を通すことにより、結局、n本全ての光ビームを実質的に同一な光利用効率で合成することができる。
【0068】
同様に、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つものとして、被合成ビーム2の場合のm本の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(3-1)′,(3-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第2のビーム合成手段S2に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}として等しくなる。
【0069】
なお、本実施の形態でも、変形例として例示した各ビーム合成装置2〜9に適用できる。即ち、各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、前述した条件(3)を満たすように設定されていればよい。
【0070】
ここで、一例として、光損失が一定値δ=0.1 のときに被合成ビーム1を得る場合の条件(3)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=2)の場合
BS11 =0.45 ,T1 =0.45
ηi =0.45(i=1,2)
光ビーム数:n=5又は6(m=3)の場合
BS11 =0.621,T1 =0.279
BS22 =0.45 ,T2 =0.45
ηi =0.279(i=1,2,3)
光ビーム数:n=7又は8(m=4)の場合
BS11 =0.703,T1 =0.197
BS22 =0.279,T2 =0.621
BS33 =0.45 ,T3 =0.45
ηi =0.197(i=1,2,3,4)
光ビーム数:n=11又は12(m=6)の場合
BS11 =0.784,T1 =0.116
BS22 =0.148,T2 =0.752
BS33 =0.197,T3 =0.703
BS44 =0.279,T4 =0.621
BS55 =0.45 ,T5 =0.45
ηi =0.116(i=1,2,…,6)
光ビーム数:n=15又は16(m=8)の場合
BS11 =0.823,T1 =0.077
BS22 =0.094,T2 =0.806
BS33 =0.116,T3 =0.784
BS44 =0.148,T4 =0.752
BS55 =0.197,T5 =0.703
BS66 =0.279,T6 =0.621
BS77 =0.45 ,T7 =0.45
ηi =0.077(i=1,2,…,8)
となる。
【0071】
なお、被合成ビーム2を得る場合の条件(3)の具体例としては、上記数値例中のR1 とT1 の数値を入替えればよい。
【0072】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来のように全てハーフミラー(T=R=0.45)としたときの光利用効率は、その最小値をηmin 、最大値をηmax とすると、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.091 、ηmax=0.45、ηmax:ηmin= 4.9:1
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.0185 、ηmax=0.45、ηmax:ηmin= 24.3:1
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00374、ηmax=0.45、ηmax:ηmin=120:1
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。
【0073】
本発明の第四の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。本実施の形態は、マルチビーム光源装置ないしはマルチビーム走査装置に関し、レーザプリンタに適用されている。まず、n本のマルチビームを同時に射出し得るマルチビーム光源装置11が設けられている。このマルチビーム光源装置11はn(n≧4)個の半導体レーザ121 〜12n と、各半導体レーザ121 〜12n から発せられるn本の光ビームを各々実質的な平行光束(又は、所定の発散光束、或いは集光光束)とするn個のコリメートレンズ131 〜13n と、平行光束化されたn本の光ビームを合成するビーム合成装置14とにより構成されている。即ち、複数の半導体レーザ121 〜12n からの光ビームを各々コリメートし、ビーム合成装置14を通すことにより合成前後の光量比がビーム間で均一なn本の合成された被合成ビーム1として出射される。
【0074】
ビーム合成装置14は、前述した各実施の形態或いは各変形例におけるビーム合成装置1〜9の何れかであるが、本実施の形態では、特に、ビーム合成装置8が用いられている。即ち、n本の光ビームを2列状に第1のビーム合成手段S1に入射させるものであり、半導体レーザ121 〜12n 等もビーム合成装置14(ビーム合成装置8)に対して2列状に配列されている。なお、第1のビーム合成手段S1の偏光ビームスプリッタPBS側に対する入射面にはλ/2板15が介在されている。即ち、偶数番列のm本の光ビームは、λ/2板15によりその直線偏光の方向を90°回転させてからビーム合成装置14に入射させることにより、高効率でビーム合成が行われるとともに、各光ビームの合成前後の光量比が均一化される。もっとも、λ/2板15を設けずに、対応する半導体レーザ122 ,…,12n の設定方向を工夫することで他方の光ビームと偏光方向が直交するようにしてもよい。また、λ/4板16は必要に応じてビーム合成装置14の出射側前方に設けられ、n本の光ビームを各々円偏光に揃えることにより、感光体17に至る各光ビームの特性が概ね均一化される。
【0075】
マルチビーム光源装置11より射出したn本の光ビームは、副走査方向にパワーを持つシリンダレンズ18に入射し、副走査方向に集光光束とされ、偏向手段としての回転多面鏡19の同一反射面に入射する。回転多面鏡19は複数の偏向反射面を有し、入射した光ビームをその回転により各偏向反射面で順次偏向走査する。
【0076】
回転多面鏡19の偏向反射面で反射されたn本の光ビームは走査光学系20に入射し、感光体17面上に光スポットとして結像されながら、一括して露光走査される。ここに、走査光学系20はfθレンズ21とトロイダルレンズ22とにより構成されており、入射した光ビームを感光体17上に結像させるとともに、感光体17上を略等速走査させる。なお、走査光学系20としてはこのような構成に限らず、例えば、fθレンズ21に代えてfθミラーを用いるような構成であってもよい。シリンダレンズ18及び走査光学系20により結像光学系23が構成され、マルチビーム光源装置11から射出されたn本の光ビームを各々感光体17上に所定の光スポットとなるように結像させる。
【0077】
従って、図13に示すような基本的構成において、回転多面鏡19が等速回転すると、n本の光ビームは等角速度的に偏向され、感光体17上にはn本の光ビームによりn本の走査線が一括して等速走査されることになる。
【0078】
なお、本実施の形態では、光源として半導体レーザを用いたが、LED等を用いてもよい。また、単なる半導体レーザに代えて、各々p(p≧2)個の発光点を有するn個の半導体レーザアレイを光源として用いれば、図13と同様な構成のまま、p×n本の光ビームを同時に走査させ得るマルチビーム走査装置となる。
【0079】
また、複数の光源の配列方向は任意であり、必ずしも図13に示すように副走査方向にする必要はない。
【0080】
ところで、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置11の組立構成例を図14を参照して説明する。まず、2列状に配列されて用いる半導体レーザ121 〜12n を位置決め用の切欠部(図示せず)の位置を基準として各半導体レーザのヘテロ接合面が概ね平行となるように各々の支持体311 〜31n に圧入固定され、支持体311 〜31n を介して基体32にねじ止め固定される。
【0081】
また、各々鏡筒に納められたコリメートレンズ131 〜13n を、基体32に形成された嵌合穴34に各半導体レーザ121 〜12n と位置合わせして係合・接着する。この際、いわゆるコリメート調整が、半導体レーザとコリメートレンズとの対に対して順次行われ、各光ビームが各々平行光束或いは所定の発散光束(又は、集光光束)とされる。次に、各半導体レーザ121 〜12n からの光ビームを整形するアパーチャ351 〜35n が形成されたアパーチャ部材36、λ/2板15、ビーム合成装置14(ビーム合成装置8)及びλ/4板16を収容・支持したフランジ部37を基体32に対してねじ止め固定する。ここに、フランジ部37の光ビーム射出部には円筒状の凸部38が形成されている。マルチビーム光源装置11はこの円筒状の凸部38をガイドとして図13に示したようなマルチビーム走査装置の本体と接合される。また、ビーム整形用のアパーチャ部材36はビーム合成装置14の前方でシリンダレンズ18の後方の何れかの位置に配設すればよい。もっとも、やや大きめのn個のアパーチャ351 〜35n が形成されたアパーチャ部材36をコリメートレンズ131 〜13n とビーム合成装置14との間に配設することにより、有害光を除去し得る効果が得られる。また、λ/2板15やλ/4板16は前述した如く必須ではなく、アパーチャ部材36も必ずしも一体的としなくてもよい。なお、前述したコリメート調整時には、各光ビームは光軸(x方向)を中心に互いに所定の微小角度(数分ないし数十分程度)ずつずれるように設定され、フランジ部37には設定されたアーム部をマイクロメータヘッド等により押圧しマルチビーム光源装置11全体を光軸を中心に回転することにより、感光体17上にn本の光ビームが所定の走査ピッチとなるように設定・調整される。
【0082】
本発明の第五の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態は、ビーム合成装置41に適用されている。このビーム合成装置41は、偶数本なるn(n≧4)本の偏光特性を有する光ビームの内、m(=n/2)本のBM1 ,BM2 ,…,BMm が入射される第1のビーム合成部S11と、残りの(n−m)本のBMm+1 ,BMm+2 ,…,BMn が入射される第2のビーム合成部S12とにより構成されて、2本の光ビームBMc1,BMc2に合成する第1のビーム合成手段S1と、第1の合成手段S1から出射される2本の光ビームBMc1,BMc2を実質的に1本の光ビームに合成して被合成ビーム1又は被合成ビーム2として射出する第2のビーム合成手段S2との組合せとして構成されている。
【0083】
第1のビーム合成手段S1中の、第1のビーム合成部S11は、互いに平行に列状に並設された(m−1)個のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1と1個のミラーMとを有する構成とされ、第2のビーム合成部S12は、互いに平行に列状に並設された(m′−1)個のビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′と1個のミラーM′とを有する構成とされている。第1のビーム合成部S11へ入射したm本の光ビームは、ミラーM及び各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1により順次合成されて実質的に1本の光ビームBMc1とされ、同様に、第2のビーム合成部S12へ入射したm′本の光ビームは、ミラーM′及び各ビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′により順次合成されて実質的に1本の光ビームBMc2とされる。本実施の形態の場合のように、nが偶数の場合であれば、第1の光源部S11と第2の光源部S12とは、基本的に同一の構成とすることができる。なお、いうまでもないが、本実施の形態の構成においては、ミラーの表面又は裏面には反射面が形成され、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′の表面又は裏面にはビームスプリッタ面が形成されており、ミラーM、M′と反射面とは等価的であり、ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′とビームスプリッタ面とは等価的である。
【0084】
第2のビーム合成手段S2は、1個分の偏光ビームスプリッタPBSと1個のミラーM1との対が互いに平行に並設された構成とされている。第2のビーム合成手段S2へ入射する2本の光ビーム中、第1のビーム合成部S11からの光ビームBMc1はそのp偏光成分が偏光ビームスプリッタPBSをそのまま透過し、第2のビーム合成部S12からの光ビームBMc2はミラーM1で反射された後、そのs偏光成分が偏光ビームスプリッタPBSで反射されることで、光ビームBMc1とともに方向1への被合成ビーム1として射出される。また、第1のビーム合成部S11からの光ビームBMc1はそのs偏光成分が偏光ビームスプリッタPBSで反射され、第2のビーム合成部S12からの光ビームBMc2はミラーM1で反射された後、そのp偏光成分が偏光ビームスプリッタPBSをそのまま透過することで、光ビームBMc1とともに方向2への被合成ビーム2として射出される。
【0085】
ここに、第1のビーム合成部S11の(m−1)枚のビームスプリッタに関して、被合成ビームに近い方から順に、BS1 ,BS2 ,…,BSm-1 とし、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,…,m−1)(Ri +Ti ≦1)とし、第2のビーム合成部S12の(m′−1)枚のビームスプリッタに関して、被合成ビームに近い方から順に、BS1′ ,BS2′ ,…,BSm-1′ とし、各ビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′ の反射率及び透過率を各々Ri′ ,Ti′ (i=1,…,m′−1)(Ri′ +Ti′ ≦1)としたとき、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、下記の条件(4)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合にはm=m′=n/2であり、nが奇数の場合にはm=(n+)/2、m′=m又はm′=m−1であり、より具体的には、第1のビーム合成部S11のビームスプリッタ面は(m−1)面、入射ビーム数はmであり、第2のビーム合成部S12のビームスプリッタ面は(m′−1)面、入射ビーム数は(n−m)である。
【0086】
条件(4-1)〜(4-3)は、第1のビーム合成部S11において、各光ビームのビーム合成前後の光量比をm本のビーム間で実質的に略均一とするための条件である。この内、条件(4-1)は入射ビームと同一方向に被合成ビーム1(BMc1)を取り出す場合、条件(4-1)′は入射ビームと直交する方向に被合成ビーム2(BMc1)に取り出す場合の条件を示す。
【0087】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、第1のビーム合成部S11へ入射するm本の光ビームに関して、被合成ビーム1とする場合の合成前後の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(4-1),(4-2),(4-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる(η1 =…=ηm=T1)。
【0088】
同様に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、被合成ビーム2の場合のm本の光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(4-1)′,(4-2),(4-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる(η1 =…=ηn=R1)。
【0089】
一方、条件(4-4)〜(4-6)は、第2のビーム合成部S12において、各光ビームのビーム合成前後の光量比をm′本のビーム間で実質的に略均一とするための条件である。この内、条件(4-4)は入射ビームと同一方向に被合成ビーム1(BMc2)を取り出す場合、条件(4-4)′は入射ビームと直交する方向に被合成ビーム2(BMc2)に取り出す場合の条件を示す。
【0090】
基本的には、上述の第1のビーム合成部S11側の場合と同様であり、詳細は省略するが、ミラーM′の光損失が十分に小さいものとして、第2のビーム合成部S12へ入射するm′(=n−m)本の光ビームに関して、被合成ビーム1とする場合の合成前後の各光ビームの光利用効率ηm+1 ,…,ηn を考えると、条件(4-4),(4-5),(4-6) を満足する場合、m′本の全ての光ビームの光利用効率ηm+1 ,…,ηn が等しくなる(ηm+1 =…=ηn=T1′)。同様に、ミラーM′の光損失が十分に小さいものとして、被合成ビーム2の場合のm′(=n−m)本の光ビームの光利用効率ηm+1 ,…,ηn を考えると、条件(4-4)′,(4-5),(4-6) を満足する場合、m′本の全ての光ビームの光利用効率ηm+1 ,…,ηn が等しくなる(ηm+1 =…=ηn=R1′)。
【0091】
このように、条件(4-1)〜(4-3)を満足するとき、第1のビーム合成部S11へ入射したm本の光ビームのこの第1のビーム合成部S11によるビーム合成時の光利用効率は等しくなり、また、条件(4-4)〜(4-6)を満足するとき、第2のビーム合成部S12へ入射したm′本の光ビームのこの第2のビーム合成部S12によるビーム合成時の光利用効率は等しくなることがわかる。
【0092】
ちなみに、m=2,m′=2の場合であれば、R1 =T1 ,R1 ′=T1 ′に設定し、m=3,m′=3の場合であれば、R2 =T2 、T1 /R1 =R2 ,R2 ′=T2 ′、T1′ /R1′ =R2′ (被合成ビーム1のとき)又はR1 /T1 =R2 ,R1′ /T1′ =R2′ (被合成ビーム2のとき)に設定すればよい。
【0093】
ここで、総ビーム数nが本実施の形態の場合のように偶数の場合には、第1,2のビーム合成部S11,S12を基本的に同一構成とすることができるので、条件(4)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。また、総ビーム数nが奇数の場合でも、後述するように(図17等参照)、第1,2のビーム合成部S11,S12を同一構成とすれば、条件(4)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。
【0094】
また、第2のビーム合成手段S2において、入射する光ビームを例えば図15中に破線で示すようにλ/2板等の偏光手段により予め所定の偏光状態に設定(図示例では、方向1へのビーム合成例であり、第1のビーム合成部S11側の光ビームをp偏光、第2のビーム合成部S12側の光ビームをs偏光に設定)しておくことにより、最小の光損失でm本の光ビームに合成することができ、入射ビームを所定の偏光状態とすることにより、n本の光ビームを微小な光損失で1本に合成することができるので、結局、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成することができるとともに、高い光利用効率を得ることができる。なお、図15において方向2への合成とする場合であれば、第1のビーム合成部S11側へ入射する光ビームをs偏光、第2のビーム合成部S12側へ入射する光ビームをp偏光に設定しておけば、方向2へのビーム合成を最適に行なえる。また、付加するλ/2板等の偏光手段は、第1,2のビーム合成手段S1,S2の間に配設するようにしてもよい。、
なお、本実施の形態の幾つかの変形例について図16ないし図26を参照して説明する。図16に示す第1の変形例は、光ビーム数n(n≧5)を奇数とする場合のビーム合成装置42である。ここでは、n本の光ビームの内、m=(n+1)/2本の光ビームBM1 ,BM2 ,…,BMm が入力される第1のビーム合成部S11が互いに平行に並設された(m−1)個のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 と1枚のミラーMとにより構成されている。n本の光ビームの内、残りの(m−1)本の光ビームBMm+1 ,BMm+2 ,…,BMn が入力される第2のビーム合成部S12が互いに平行に並設された(m−2)個のビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-2′ と1枚のミラーM′とにより構成されている。後は、図15で説明した場合と同様であり、n本の各光ビームに関して所定の偏光状態に設定され、かつ、これらのビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-2′ に関して、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、前述した条件(4)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置42の場合にも、ビーム合成装置41と同様な効果が得られる。
【0095】
ところで、この変形例のように、総ビーム数nが奇数で、第2のビーム合成部S12のビームスプリッタ数を(m−2)個とした場合(m′=m−1)、第1のビーム合成部S11とは光利用効率に若干の差異を生ずることになる。もし、この差異が支障を来す場合には、λ/2板を第2のビーム合成部S12の後方に配設し(後述する図26参照)、第2のビーム合成手段S2へ入射する光ビームBMc2(又は、BMc1)の直線偏光方向を適切に設定することにより、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成することができるとともに、高い光利用効率が得られる。
【0096】
図17に示す第2の変形例は、総ビーム数nが奇数の場合のビーム合成装置42に対する変形例としてのビーム合成装置43の構成例を示す。即ち、図16に示した第2のビーム合成部S12中のミラーM′をビームスプリッタBSm-1′ に置き換えることで、(m−1)個のビームスプリッタを有する構成としたしたものである。これにより、第2のビーム合成部S12も基本的には第1のビーム合成部S11と同様な構成となるので、各ビームスプリッタは第1,2のビーム合成部S11,S12の間で共通とすることができ(部品の共通化)、奇数なるn本の光ビームに対してビーム合成前後の光量比をより均一にすることができる。もっとも、図17中に仮想線で示すように、第2のビーム合成部S12中にミラーM′(ダミー)を付加した構成とし、第1のビーム合成部S11と全く同一の構成としてもよい。
【0097】
図18に示す第3の変形例のビーム合成装置44は、第1のビーム合成部S11と第2のビーム合成部S12とを背中合せに配設し、光ビームを逆方向から入射させて2本の合成ビームBMc1,BMc2を入射方向に直交する同一方向に取り出す構成とし、その取り出し部分に第2のビーム合成手段S2を組合せたものである。この変形例によれば、図面からも分かるように、第2のビーム合成手段S2を小型化させることができる。
【0098】
なお、後述するように、合成された光ビームBMc1,BMc2を光ビームの入射方向と同一方向に取り出す構成とするか、入射方向に直交する方向に取り出す構成とするか(図19参照)によって、最終出射部分のビームスプリッタBS1,BS1′の透過率、反射率の最適な設定値が異なる(透過率と反射率とが入れ替わる)。
【0099】
図20に示す第4の変形例は、ビーム合成装置41に対応するビーム合成装置45をプリズム構成により一体化構造としたものである。従って、図15における第1のビーム合成手段S1と第2のビーム合成手段S2とがともにビーム合成プリズムとして構成され、接着等により一体化されている。即ち、第1のビーム合成手段S1にあってはビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′ が各々ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′として構成され、1枚のミラーM,M′が内面反射面M,M′として構成されている。第2のビーム合成手段S2にあっては偏光ビームスプリッタPBSが偏光ビームスプリッタ面PBSとして構成され、ミラーM1が反射面M1として構成されている。また、第1のビーム合成手段S1におけるこれらのビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′に関して、各反射率Ri ,Ri′及び透過率Ti ,Ti′ が、実質的に、前述した条件(4)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置45の場合にも、ビーム合成装置41と同様な効果が得られる。特に、この変形例のようにプリズム構成とした場合には、全体が一体化構造となるため、コンパクトとなり、ビーム合成装置45が傾いたり位置ずれを起こしても各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′間の相対角度が変動することがなく、ビーム合成後の各ビーム間の角度は一定に保たれ、安定したビーム合成を行えるものとなる。また、第1,2ビーム合成手段S1,S2間もプリズム構造の接着等により一体化されているので、振動等による外乱や経時変化などがあっても各面が全て同時に動くため、射出ビームの方向を安定させることができる。
【0100】
図21に示す第5の変形例は、ビーム合成装置41に対応するビーム合成装置46をビーム合成装置45の場合と同様にプリズム構成により一体化構造としたものであるが、特に、第1のビーム合成手段S1に関して、第1,2のビーム合成部S11,S12を線対称に一体化配置させたものである。これによれば、第1,2のビーム合成部S11,S12の端部内面反射面M,M′とすることができ、全反射させるので光損失をより低減させることができる。同時に、第1,2のビーム合成部S11,S12の出射部分が接近するため、第2のビーム合成手段S2を小型化することもできる。
【0101】
図22に示す第6の変形例のビーム合成装置47は、第1のビーム合成手段S1に関して、第1,2のビーム合成部S11,S12を別体のプリズムとして構成し、第2のビーム合成手段S2に接着等により一体化させたものである。図示例は、n=4であり、ビームスプリッタ面BS1 と内面反射面Mとが第1のビーム合成部S11なるプリズムを形成し、ビームスプリッタ面BS1′ と内面反射面M′とが第2のビーム合成部S12なるプリズムを形成している。この変形例によれば、第1のビーム合成手段S1において全ての反射面が全反射面として構成されるので、光損失を最小にすることができる。
【0102】
図23に示す第7の変形例は、ビーム合成装置44に対応するビーム合成装置48をプリズム構成により一体化構造としたものである。従って、図18における第1のビーム合成手段S1と第2のビーム合成手段S2とがともにビーム合成プリズムとして構成され、接着等により一体化されている。即ち、第1のビーム合成手段S1にあってはビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′が各々ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′として構成され、1枚のミラーM,M′が内面反射面M,M′として構成されている。第2のビーム合成手段S2にあっては偏光ビームスプリッタPBSが偏光ビームスプリッタ面PBSとして構成され、ミラーM1が反射面M1として構成されている。第1のビーム合成手段S1におけるビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′に関して、各反射率Ri ,Ri′及び透過率Ti ,Ti′ が、実質的に、前述した条件(4)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置48の場合にも、ビーム合成装置44と同様な効果が得られる。
【0103】
図24に示す第8の変形例のビーム合成装置49は、直交する方向から入射するm本ずつの光ビームを合成して出力する構成例であり、第1のビーム合成手段S1を構成する第1,2のビーム合成部S11,S12が直交配置されている。その交差部に配置される第2のビーム合成手段S2は偏光ビームスプリッタ面PBSのみを有する構成とされている。即ち、第2のビーム合成手段S2に関して反射面が不要とされており、汎用キューブ型偏光ビームスプリッタを用いることができる。
【0104】
図25に示す第9の変形例のビーム合成装置50も、直交する方向から入射するm本ずつの光ビームを合成して出力する構成例であり、第1のビーム合成手段S1を構成する第1,2のビーム合成部S11,S12によるビームBMc1,BMc2の出射方向が直交する方向に設定されている。これらのビームBMc1,BMc2の交差部に配置される第2のビーム合成手段S2は偏光ビームスプリッタ面PBSのみを有する構成とされている。即ち、図24の場合と同様に、第2のビーム合成手段S2に関して反射面が不要とされており、汎用キューブ型偏光ビームスプリッタを用いることができる。
【0105】
なお、図25に示す構成例で、第2のビーム合成手段S2(汎用キューブ型偏光ビームスプリッタ)を第1,2のビーム合成部S11,S12の何れか一方又は両方に接着等により一体化させれば、ビーム合成装置50全体を小型化できるとともに、振動等による外乱の影響や経時変化を生じにくい安定したビーム合成を行なえる。
【0106】
ここに、本実施の形態及び各変形例において、第1のビーム合成手段S1に関する条件(4)は各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi (=1−Ri −Ti )(i=1,…,m−1)に依らず、ビーム合成前後の光量比を一定とするための条件である。即ち、各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi が決まれば、条件(4-3) によりビームスプリッタ面BSm-1 の反射率Rm-1 、透過率Tm-1 の設定値は、
n-1 =Tn-1 =(1−δm-1 )/2
として求められる。次に、ビームスプリッタ面BSm-2 の反射率Rm-2 、透過率Tm-2 の設定値は、一般式:Rm-2 +Tm-2 =1−δm-2 、及び、条件(4-2) から導出される式:Rm-2 /Tm-2 =Rm-1 により、
m-2 =Rm-1・(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
m-2 =(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
として求められる。以下、同様に、一般式:Ri +Ti =1−δi 、及び、条件(4-2) に基づき、各ビームスプリッタ面BSm-3 ,…,BS2 の各々の反射率及び透過率の設定率が順次求められ、最後に、条件(4-1) 又は条件(4-1)′ によりビームスプリッタ面BS1 の反射率R1 、透過率T1 の設定値が求められる。各ビームスプリッタ面BS1′ ,…,BSm-1′ 側についての条件(4-4)〜(4-6)を満たす反射率R1′ 、透過率T1′ の設定値の算出も同様である。
【0107】
ところで、ビームスプリッタ面には、様々な種類があるが、一般には、ガラス等の基体上に金属や誘電体膜をコーティングすることにより作製される。例えば、クロム等による金属コーティングしたものは、光損失は比較的大きいが、入射ビームの波長、偏光状態による影響が少なく、かつ、角度依存性も小さいという特長がある。また、誘電体多層膜コーティングしたものは、入射ビームの波長、偏光状態による影響を受けやすく、かつ、角度依存性が大きいが、光損失が殆どないという特長がある。さらに、全誘電体無偏光コーティングされたものは、光損失が小さく入射ビームの偏光状態の影響も受けにくいという特長がある。また、金属+誘電体なるハイブリッドコーティングされたものは、双方の長所を併有する特長がある。これらは何れも使用可能であり、ビーム合成装置41〜50の用途に応じて適宜選択される。
【0108】
また、本実施の形態及び各変形例のビーム合成装置41〜50に関しても、入射側と出射側とを逆にすれば、ビーム分割装置として機能し得ることはいうまでもない。即ち、被合成ビーム1又は2の射出側から無偏光又は円偏光の1本の光ビームを入射させることにより、均一な光量のn本の光ビームに分割して射出させることができる。さらに、同一のビームスプリッタ面や反射面に対して各々複数本の光ビームを入射させるようにすれば、n本以上の光ビームを合成させることも可能であり、特に、p(p≧2)個の発光部を有するn個の半導体レーザアレイと組合せれば、p×n本の光ビームを同時に合成させることができる。
【0109】
本発明の第六の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置41に適用されており、基本的には、第五の実施の形態の場合と同様であるが、第1のビーム合成手段S1の第1,2のビーム合成部S11,S12における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、(m′−1)枚のビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′ の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′ の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti ≦1)、各反射率Ri′ 及び透過率Ti′ (Ri′ +Ti′ ≦1)、が実質的に、下記の条件(5)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合にはm=m′=n/2であり、nが奇数の場合にはm=(n+)/2、m′=m又はm′=m−1であり、より具体的には、第1のビーム合成部S11のビームスプリッタ面は(m−1)面、入射ビーム数はmであり、第2のビーム合成部S12のビームスプリッタ面は(m′−1)面、入射ビーム数は(n−m)である。
【0110】
条件(5-1),(5-1)′,(5-2)は、第1のビーム合成部S11の各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームBM1 ,…,BMm の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(5-1) は被合成ビーム1の場合、条件(5-1)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。
【0111】
具体的に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、被合成ビーム1の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(5-1),(5-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0112】
同様に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、被合成ビーム2の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(5-1)′,(5-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0113】
一方、条件(5-3),(5-3)′,(5-4)は、第2のビーム合成部S12の各ビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′ の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームBMm+1 ,…,BMn の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(5-3) は被合成ビーム1の場合、条件(5-3)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。
【0114】
これらの条件も、基本的には、第1のビーム合成部S11側の条件(5-1),(5-1)′,(5-2)と同じであるので、詳細は省略するが、結果として、条件(5-3)又は(5-3)′及び(5-4)を満足するときには、第2のビーム合成部S12でも(n−m)本の光ビームの光利用効率を等しくすることができる。
【0115】
このように、条件(5-1)〜(5-2)を満足するとき、第1のビーム合成部S11へ入射したm本の光ビームのこの第1のビーム合成手段S11によるビーム合成時の光利用効率は等しくなり、また、条件(5-3)〜(5-4)を満足するとき、第2のビーム合成部S12へ入射したm′本の光ビームのこの第2のビーム合成手段S12によるビーム合成時の光利用効率は等しくなることがわかる。
【0116】
ここで、総ビーム数nが本実施の形態の場合のように偶数の場合には、第1,2のビーム合成部S11,S12を基本的に同一構成とすることができるので、条件(5)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。また、総ビーム数nが奇数の場合でも、図17の場合のように、第1,2のビーム合成部S11,S12を同一構成とすれば、条件(5)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。
【0117】
なお、本実施の形態でも、変形例として例示した各ビーム合成装置42〜50に同様に適用できる。即ち、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′ に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti 、各反射率Ri′ 及び透過率Ti′ が実質的に、前述した条件(5)を満たすように設定されていればよい。この場合、第1の変形例のように、総ビーム数nが奇数で、第1,2のビーム合成部S11,S12の光利用効率に若干の差異を生じ、その差異が支障を来す場合には、図26に示すように、λ/2板を第2のビーム合成部S12の後方に配設し、第2のビーム合成手段S2へ入射する光ビームBMc2(又は、BMc1)の直線偏光方向を適切に設定すれば、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成することができるとともに、高い光利用効率が得られる。
【0118】
ここで、一例として、被合成ビーム1を得る場合の条件(5)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=m′=2)の場合
BS11 :T1 =1:1,R1 =0.5 , T1 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =1:1,R1′ =0.5 , T1′ =0.5
η1 =η2 =η3 =η4 =0.5 (=1/m)
ηmin=0.5 、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=5(m=3,m′=2)の場合
BS11 :T1 =2:1,R1 =0.667, T1 =0.333
BS22 :T2 =1:1,R2 =0.5 , T2 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =2:1,R1′ =0.667, T1′ =0.333
η1 =η2 =η3 =0.333(=1/m)
η4 =η5 =0.5 (=1/(m−1))(λ/2板等による補正無し)
ηmin=0.333 、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=1.5
光ビーム数:n=6(m=m′=3)の場合
BS11 :T1 =2:1,R1 =0.667, T1 =0.333
BS22 :T2 =1:1,R2 =0.5 , T2 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =2:1,R1′ =0.667, T1′ =0.333
BS2′ R1′ :T1′ =1:1,R1′ =0.5 , T1′ =0.5
ηi =0.333(=1/m)(i=1〜6)
ηmin=0.333 、ηmax=0.333 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=7(m=4,m′=3)の場合
BS11 :T1 =3:1,R1 =0.75 T1 =0.25
BS22 :T2 =1:2,R2 =0.333, T2 =0.667
BS33 :T3 =1:1,R3 =0.5 , T3 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =2:1,R1′ =0.667, T1′ =0.333
BS2′ R2′ :T2′ =1:1,R2′ =0.5 , T2′ =0.5
η1 =η2 =η3 =η4 =0.25(=1/m)
η5 =η6 =η7 =0.333 (=1/(m−1))(λ/2板等による補正無し)
ηmin=0.25 、ηmax=0.333 、ηmax/ηmin=1.33
光ビーム数:n=8(m=m′=4)の場合
BS11 :T1 =3:1,R1 =0.75 T1 =0.25
BS22 :T2 =1:2,R2 =0.333, T2 =0.667
BS33 :T3 =1:1,R3 =0.5 , T3 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =2:1,R1′ =0.667, T1′ =0.333
BS2′ R2′ :T2′ =1:1,R2′ =0.5 , T2′ =0.5
BS3′ R3′ :T3′ =1:1,R3′ =0.5 , T3′ =0.5
ηi =0.25(=1/m)(i=1〜8)
ηmin=0.25 、ηmax=0.25 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=10(m=m′=5)の場合
BS11 :T1 =4:1,R1 =0.8 T1 =0.2
BS22 :T2 =1:3,R2 =0.25 T2 =0.75
BS33 :T3 =1:2,R3 =0.333, T3 =0.667
BS44 :T4 =1:1,R4 =0.5 , T4 =0.5
BS1′ R1′ :T1′ =4:1,R1′ =0.8 T1′ =0.2
BS2′ R2′ :T2′ =1:3,R2′ =0.25 T2′ =0.75
BS3 ′ R3′ :T3′ =1:2,R3′ =0.333, T3′ =0.667
BS4 ′ R4′ :T4′ =1:1,R4′ =0.5 , T4′ =0.5
ηi =0.25(=1/m)(i=1〜10)
ηmin=0.2 、ηmax=0.2 、ηmax/ηmin=1
なお、被合成ビーム2を得る場合の条件(5)の具体例としては、上記数値例中のR1 ,R1′ とT1 ,T1′ の数値数値を入替えればよい。
【0119】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来(図35)のように全てハーフミラーとしたときの光利用効率は、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.125 、ηmax=0.5、ηmax/ηmin= 4
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.03125、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=16
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00781、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=64
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。例えば、仮に光利用効率のビーム間偏差が2倍まで許容されると仮定すると、各ビームスプリッタ面の反射率R1 ,R1′ と、透過率T1 ,T1′ の上記設定値の許容範囲として、Ri 、Ti の内で大きい方をSi 、R1′ 、T1′ の内で大きい方をSi′ としたときにSi ,Si′ に対して概ね±{(√2)^1/(m-1)−1}×100%程度まで許容されることになり、許容範囲の大きいものとなる。
【0120】
本発明の第七の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置41に適用されており、基本的には、第五の実施の形態の場合と同様であるが、第1のビーム合成手段S1の第1,2のビーム合成部S11,S12における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、(m′−1)枚のビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′ の光損失がほぼ等しい一定値δを持つ場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′ の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti ≦1)、各反射率Ri′ 及び透過率Ti′ (Ri′ +Ti′ ≦1)、が実質的に、下記の条件(6)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合にはm=m′=n/2であり、nが奇数の場合にはm=(n+)/2、m′=m又はm′=m−1であり、より具体的には、第1のビーム合成部S11のビームスプリッタ面は(m−1)面、入射ビーム数はmであり、第2のビーム合成部S12のビームスプリッタ面は(m′−1)面、入射ビーム数は(n−m)である。
【0121】
条件(6-1),(6-1)′,(6-2)は、第1のビーム合成部S11の各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つ場合に、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームの合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(6-1) は被合成ビーム1の場合、条件(6-1)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。
【0122】
ここで、条件(6-2) より、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の透過率Ti は、
Figure 0003689746
であるので、Ti =Ri /Ri+1 (i=2,…,m−2)、即ち、Ri =Ri-1 /Ti-1 (i=3,…,m−1)と表される。また、条件(6-2) より、
Figure 0003689746
となる。
【0123】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が一定値δを持つものとして、被合成ビーム1の場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(6-1),(6-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第1のビーム合成部S11に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}として等しくなる。
【0124】
同様に、第1のビーム合成部S11において、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つものとして、被合成ビーム2の場合のm本の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(6-1)′,(6-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第1のビーム合成部S11に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}として等しくなる。
【0125】
一方、条件(6-3),(6-3)′,(6-4)は、第2のビーム合成部S12の各ビームスプリッタBS1′ ,…,BSm-1′ の光損失が無視できない一定値δを持つものとして、被合成ビーム1又は被合成ビーム2において、各光ビームBMm+1 ,…,BMn の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(6-3) は被合成ビーム1の場合、条件(6-3)′ は被合成ビーム2の場合の条件を示す。′
これらの条件も、基本的には、第1のビーム合成部S11側の条件(6-1),(6-1)′,(6-2)と同じであるので、詳細は省略するが、結果として、条件(6-3)又は(6-3)′及び(6-4)を満足するときには、第2のビーム合成部S12でも(n−m)本の光ビームの光利用効率を等しくすることができる。
【0126】
このように、条件(6-1)〜(6-2)を満足するとき、第1のビーム合成部S11へ入射したm本の光ビームのこの第1のビーム合成手段S11によるビーム合成時の光利用効率は等しくなり、また、条件(6-3)〜(6-4)を満足するとき、第2のビーム合成部S12へ入射したm′本の光ビームのこの第2のビーム合成手段S12によるビーム合成時の光利用効率は等しくなることがわかる。
【0127】
ここで、総ビーム数nが本実施の形態の場合のように偶数の場合には、第1,2のビーム合成部S11,S12を基本的に同一構成とすることができるので、条件(6)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。また、総ビーム数nが奇数の場合でも、図17の場合のように、第1,2のビーム合成部S11,S12を同一構成とすれば、条件(6)を満足することにより、n本の全ての光ビームに対して第1のビーム合成手段S1によるビーム合成時の光利用効率は等しくなる。
【0128】
なお、本実施の形態でも、変形例として例示した各ビーム合成装置42〜50に同様に適用できる。即ち、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 、BS1′ ,…,BSm-1′ に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti 、各反射率Ri′ 及び透過率Ti′ が実質的に、前述した条件(5)を満たすように設定されていればよい。この場合、第1の変形例のように、総ビーム数nが奇数で、第1,2のビーム合成部S11,S12の光利用効率に若干の差異を生じ、その差異が支障を来す場合には、図26に示すように、λ/2板を第2のビーム合成部S12の後方に配設し、第2のビーム合成手段S2へ入射する光ビームBMc2(又は、BMc1)の直線偏光方向を適切に設定すれば、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成することができるとともに、高い光利用効率が得られる。
【0129】
ここで、一例として、光損失が一定値δ=0.1 のときに被合成ビーム1を得る場合の条件(6)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=m′=2)の場合
BS11 =0.45 ,T1 =0.45
BS1′ R1′ =0.45 ,T1′ =0.45
ηi =0.45(i=1,…,n)
ηmin=0.45 、ηmax=0.45 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=5(m=3,m′=2)の場合
BS11 =0.621,T1 =0.279
BS22 =0.45 ,T2 =0.45
BS1′ R1′ =0.45 ,T1′ =0.45
η1 =η2 =η3 =0.279
η4 =η5 =0.45(λ/2板等による補正無し)
ηmin=0.279 、ηmax=0.45 、ηmax/ηmin=1.6
光ビーム数:n=6(m=m′=3)の場合
BS11 =0.621,T1 =0.279
BS22 =0.45 ,T2 =0.45
BS1′ R1′ =0.621,T1′ =0.279
BS2′ R2′ =0.45 ,T2′ =0.45
ηi =0.279(i=1,…,n)
ηmin=0.279 、ηmax=0.279 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=7(m=4,m′=3)の場合
BS11 =0.703,T1 =0.197
BS22 =0.279,T2 =0.621
BS33 =0.45 ,T3 =0.45
BS1′ R1′ =0.621,T1′ =0.279
BS2′ R2′ =0.45 ,T2′ =0.45
η1 =η2 =η3 =η4 =0.197
η5 =η6 =η7 =0.279(λ/2板等による補正無し)
ηmin=0.197 、ηmax=0.279 、ηmax/ηmin=1.42
光ビーム数:n=8(m=m′=4)の場合
BS11 =0.703,T1 =0.197
BS22 =0.279,T2 =0.621
BS33 =0.45 ,T3 =0.45
BS1′ R1′ =0.703,T1′ =0.197
BS2′ R2′ =0.279,T2′ =0.621
BS3′ R3′ =0.45 ,T3′ =0.45
ηi =0.197(i=1,…,n)
ηmin=0.197 、ηmax=0.197 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=10(m=m′=5)の場合
BS11 =0.752,T1 =0.148
BS22 =0.197,T2 =0.703
BS33 =0.279,T3 =0.621
BS44 =0.45 ,T4 =0.45
BS1′ R1′ =0.752,T1′ =0.148
BS2′ R2′ =0.197,T2′ =0.703
BS3′ R3′ =0.279,T3′ =0.621
BS4′ R4′ =0.45 ,T4′ =0.45
ηi =0.148(i=1,…,n)
ηmin=0.148 、ηmax=0.148 、ηmax/ηmin=1
なお、被合成ビーム2を得る場合の条件(6)の具体例としては、上記数値例中のR1 とT1 の数値を入替えればよい。
【0130】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来のように全てハーフミラー(T=R=0.45)としたときの光利用効率は、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.091 、ηmax=0.45、ηmax/ηmin= 4.9
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.0185 、ηmax=0.45、ηmax/ηmin= 24.3
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00374、ηmax=0.45、ηmaxηmin=120
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。
【0131】
本発明の第八の実施の形態を図27ないし図30に基づいて説明する。図27は斜視図、図28はその側面図、図29はその平面図、図30は分解斜視図である。本実施の形態のビーム合成装置51では、例えば、光ビーム数nが偶数の場合において、x方向からm(=n/2)本ずつ2列で光ビームが同一方向から平行に入射される第1のビーム合成手段S1が、x,z両方向に対して45度の角度で互いに平行に設定された(m−1)面のビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 と1面の反射面Mとを一体に有するビーム合成プリズムとして構成されている。この第1のビーム合成手段S1は、所定の偏光状態に設定されてx方向からm本ずつ2列状に入射されるn本の光ビームをこれらの反射面M及びビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 によりx−y平面内において順次合成され、2本の光ビームBMc1,BMc2としてビームスプリッタ面BS1 から入射方向と同一方向に射出される。
【0132】
このビームスプリッタ面BS1 の射出位置には、第2のビーム合成手段S2が配設されている。この第2のビーム合成手段S2は、ともにx,z両方向に対して45度の角度で互いに平行に設定された1面の内面反射面M1と1面の偏光ビームスプリッタPBSとを有する偏光ビームスプリッタとして構成されている。この第2のビーム合成手段S2に入射した光ビームの内、ビームBMc1はそのp偏光成分が偏光ビームスプリッタ面PBSをそのまま透過し、ビームBMc2は内面反射面Mで反射された後、そのs偏光成分が偏光ビームスプリッタ面PBSで反射され、ビームBMc1とともに方向1へ被合成ビーム1として射出される。第2のビーム合成手段S2に入射した光ビームの内、ビームBMc1はそのs偏光成分が偏光ビームスプリッタ面PBSで反射され、ビームBMc2は内面反射面Mで反射された後、そのp偏光成分が偏光ビームスプリッタ面PBSを透過することで、ビームBMc1とともに方向2へ被合成ビーム2として射出される。つまり、図8ないし図11に示したビーム合成装置8における第1,2のビーム合成手段を入れ替えた如き構成といえる。
【0133】
ここで、第1のビーム合成手段S1におけるビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 に関して、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、後述する条件(7)を満たすように設定されている。よって、このようなビーム合成装置51の場合にも、入射ビームを必要に応じてλ/2板等の偏光手段を用いて予め所定の偏光状態に設定しておくことより、第2のビーム合成手段S2により最小の光損失でビーム合成を行なえるとともに、第1のビーム合成手段S1によりn本の光ビーム全てに対してビーム合成前後の光量比のビーム間偏差が小さいビーム合成を行なえる。また、特に、入射する光ビームを2列に列状にさせることができ、同数の光ビームを合成する際にビーム合成装置51のサイズ(高さ方向)を半減させることができ、装置の小型化を図る上で都合がよい。また、第1のビーム合成手段S1に関して構造を単純化させることができる。
【0134】
なお、本実施の形態の場合であれば、ビームBM1 ,…,BMm を偏光ビームスプリッタ面PBSに対してp偏光、ビームBMm+1 ,…,BMn を偏光ビームスプリッタ面PBSに対してs偏光に設定することにより方向1へのビーム合成を最適に行なわせることができる。また、逆に、ビームBM1 ,…,BMm を偏光ビームスプリッタ面PBSに対してs偏光、ビームBMm+1 ,…,BMn を偏光ビームスプリッタ面PBSに対してp偏光に設定することにより方向2へのビーム合成を最適に行なわせることができる。
【0135】
さらに、λ/2板等の偏光手段は第1のビーム合成手段S1の後方、又は、第1のビーム合成手段S1,S2間等に必要に応じて配設される。また、図示例では、第1,2のビーム合成手段S1,S2が接着等により一体に構成されているので、振動等による外乱や環境変動等による経時変化があっても、各面が同時に動くため、被合成ビームの射出方向を安定に維持させることができる。
【0136】
もっとも、図27等に示すビーム合成装置51に関して、第1のビーム合成手段S1を一体的なビーム合成プリズムではなく、互いに平行に設定された(m−1)個のビームスプリッタと1面のミラーとで構成してもよく、第2のビーム合成手段S2に関しても一体的なビーム合成プリズムではなく、互いに平行に設定された1個の偏光ビームスプリッタと1面のミラーとで構成してもよい。
【0137】
ここで、本実施の形態の変形例について図31及び図32を参照して説明する。図31に示す第1の変形例のビーム合成装置52は、ビーム数nが奇数の場合の適用例である。このビーム合成装置52は、構成自体はビーム合成装置51と全く同一であり、入射ビームの何れか1本を除去させたものである。ビーム数nが奇数の場合には、第1のビーム合成手段S1のビームスプリッタ面の数が(m−1)=(n−1)/2であり、第1のビーム合成手段S1へはm本及び(m−1)本の光ビームが入射することになる。
【0138】
図32に示す第2の変形例のビーム合成装置53は、ビーム合成装置51に関して、第1のビーム合成手段S1による2本の合成ビームBMc1,BMc2が入射ビームの入射方向(x方向)と直交する方向(ここでは、y方向)に取り出すように構成されている。また、第2のビーム合成手段S2は、ともにx,z両方向に対して45度の角度に互いに平行に設定された1面の内面反射面M1と1面の偏光ビームスプリッタ面PBSとよる偏光ビームスプリッタとして構成されている。
【0139】
ところで、ビームスプリッタ面には、様々な種類があるが、一般には、ガラス等の基体上に金属や誘電体膜をコーティングすることにより作製される。例えば、クロム等による金属コーティングしたものは、光損失は比較的大きいが、入射ビームの波長、偏光状態による影響が少なく、かつ、角度依存性も小さいという特長がある。また、誘電体多層膜コーティングしたものは、入射ビームの波長、偏光状態による影響を受けやすく、かつ、角度依存性が大きいが、光損失が殆どないという特長がある。さらに、全誘電体無偏光コーティングされたものは、光損失が小さく入射ビームの偏光状態の影響も受けにくいという特長がある。また、金属+誘電体なるハイブリッドコーティングされたものは、双方の長所を併有する特長がある。これらは何れも使用可能であり、ビーム合成装置51〜53の用途に応じて適宜選択される。
【0140】
また、本実施の形態及び各変形例のビーム合成装置51〜53に関しても、入射側と出射側とを逆にすれば、ビーム分割装置として機能し得ることはいうまでもない。即ち、被合成ビーム1又は2の射出側から無偏光又は円偏光の1本の光ビームを入射させることにより、均一な光量のn本の光ビームに分割して射出させることができる。さらに、同一のビームスプリッタ面や反射面に対して各々複数本の光ビームを入射させるようにすれば、n本以上の光ビームを合成させることも可能であり、特に、p(p≧2)個の発光部を有するn個の半導体レーザアレイと組合せれば、p×n本の光ビームを同時に合成させることができる。
【0141】
ところで、本実施の形態及びその変形例の場合の第1のビーム合成手段S1におけるビームスプリッタに要求される条件について説明する。ここに、(m−1)枚のビームスプリッタに関して、被合成ビームBMc1,BMc2に近い方から順に、BS1 ,BS2 ,…,BSm-1 とし、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,…,m−1)(Ri +Ti ≦1)としたとき、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、下記の条件(7)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合にはm=(n+1)/2である。
【0142】
条件(7)は、被合成ビームBMc1又はBMc2に関して各光ビームの合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(7-1) は図27等に示すように入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示し、条件(7-1)′ は図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示す。
【0143】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、第1のビーム合成手段S1へ入射するm本の光ビームBM1〜BMmに関して、図27等の場合と同様に入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1として取り出す場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(7-1),(7-2),(7-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0144】
同様に、ミラーMの光損失が十分に小さいものとして、図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1を取り出す場合のm本の光ビームBM1〜BMmの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(7-1)′,(7-2),(7-3) を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、m本全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0145】
これらの場合において、被合成ビームBMc2として取り出す残りの(n−m)本のビームBMm+1〜BMnに関しても第1のビーム合成手段S1において上記の場合と同一の経路を通るので、ηm+1 =η1 ,ηm+2 =η2 ,…となるので、結局、n本の全ての光ビームについて、第1のビーム合成手段S1による光利用効率は等しくなる。
【0146】
また、第2のビーム合成手段S2では、入射ビームを所定の偏光状態とすることにより、n本の光ビームを微小な光損失で1本に合成できるので、結局、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成できるとともに、高い光利用効率を得ることができる。
【0147】
ここに、本実施の形態及び各変形例において、第1のビーム合成手段S1に関する条件(7)は各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi (=1−Ri −Ti )(i=1,…,m−1)に依らず、ビーム合成前後の光量比を一定とするための条件である。即ち、各ビームスプリッタ面BS1 ,…,BSm-1 の光損失δi が決まれば、条件(7-3) によりビームスプリッタ面BSm-1 の反射率Rm-1 、透過率Tm-1 の設定値は、
n-1 =Tn-1 =(1−δm-1 )/2
として求められる。次に、ビームスプリッタ面BSm-2 の反射率Rm-2 、透過率Tm-2 の設定値は、一般式:Rm-2 +Tm-2 =1−δm-2 、及び、条件(7-2) から導出される式:Rm-2 /Tm-2 =Rm-1 により、
m-2 =Rm-1・(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
m-2 =(1−δm-2 )/(1+Rm-1)
として求められる。以下、同様に、一般式:Ri +Ti =1−δi 、及び、条件(7-2) に基づき、各ビームスプリッタ面BSm-3 ,…,BS2 の各々の反射率及び透過率の設定率が順次求められ、最後に、条件(7-1) 又は条件(7-1)′ によりビームスプリッタ面BS1 の反射率R1 、透過率T1 の設定値が求められる。
【0148】
ちなみに、m=2の場合であれば、R1 =T1 に設定し、m=3の場合であれば、R2 =T2 、T1 /R1 =R2 (図27等のように入射ビームの方向と同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を射出させる場合)又はR1 /T1 =R2 (図32等のように入射ビームの方向と直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を射出させる場合)に設定すればよい。
【0149】
本発明の第九の実施の形態を図27ないし32を参照して説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置51,52又は53に適用されており、基本的には、第八の実施の形態の場合と同様であるが、第1のビーム合成手段S1における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti ≦1)が、実質的に、下記の条件(8)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合にはm=(n+1)/2である。
【0150】
条件(8)は、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できる程度に十分小さい場合に、被合成ビームBMc1又はBMc2に関して、各光ビームBM1 ,…,BMm 、BMm+1 ,…,BMn の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(8-1) は図27等に示すように入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示し、条件(8-1)′ は図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示す。
【0151】
具体的に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、第1のビーム合成手段S1へ入射するm本の光ビームBM1〜BMmに関して、図27等の場合と同様に入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1として取り出す場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(8-1),(8-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0152】
同様に、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がない(Ri +Ti =1)ものとして、図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1を取り出す場合のm本の光ビームBM1〜BMmの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(8-1)′,(8-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm が等しくなる。
【0153】
これらの場合において、被合成ビームBMc2として取り出す残りの(n−m)本のビームBMm+1〜BMnに関しても第1のビーム合成手段S1において上記の場合と同一の経路を通るので、ηm+1 =η1 ,ηm+2 =η2 ,…となるので、結局、n本の全ての光ビームについて、第1のビーム合成手段S1による光利用効率は等しくなる。
【0154】
また、第2のビーム合成手段S2では、入射ビームを所定の偏光状態とすることにより、n本の光ビームを微小な光損失で1本に合成できるので、結局、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成できるとともに、高い光利用効率を得ることができる。
【0155】
ここで、一例として、図27等に示すように入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件(2)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=2)の場合
BS11 :T1 =1:1,R1 =0.5 , T1 =0.5
ηi =0.5 (=1/m)(i=1,2,3,4)
ηmin=0.5 、ηmax=0.5 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=5又は6(m=3)の場合
BS11 :T1 =2:1,R1 =0.667, T1 =0.333
BS22 :T2 =1:1,R2 =0.5 , T2 =0.5
ηi =0.333(=1/m)(i=1,…,n)
ηmin=0.333 、ηmax=0.333 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=7又は8(m=4)の場合
BS11 :T1 =3:1,R1 =0.75 , T1 =0.25
BS22 :T2 =1:2,R2 =0.333, T2 =0.667
BS33 :T3 =1:1,R3 =0.5 , T3 =0.5
ηi =0.25 (=1/m)(i=1,…,n)
ηmin=0.25 、ηmax=0.25 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=9又は10(m=5)の場合
BS11 :T1 =4:1,R1 =0.8 , T1 =0.2
BS22 :T2 =1:3,R2 =0.25 , T2 =0.75
BS33 :T3 =1:2,R3 =0.333, T3 =0.667
BS44 :T4 =1:1,R4 =0.5 , T4 =0.5
ηi =0.2 (=1/m)(i=1,…,n)
ηmin=0.2 、ηmax=0.2 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=11又は12(m=6)の場合
BS11 :T1 =5:1,R1 =0.833, T1 =0.167
BS22 :T2 =4:1,R2 =0.2 , T2 =0.8
BS33 :T3 =1:3,R3 =0.25 , T3 =0.75
BS44 :T4 =1:2,R4 =0.333, T4 =0.667
BS55 :T5 =1:1,R5 =0.5 , T5 =0.5
ηi =0.167(=1/m)(i=1,…,n)
ηmin=0167 、ηmax=0.167 、ηmax/ηmin=1
となる。
【0156】
なお、図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件(8)の具体例としては、上記数値例中のR1 とT1 の数値を入替えればよい。
【0157】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来のように全てハーフミラーとしたときの光利用効率は、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.125 、ηmax=0.5、ηmax/ηmin= 4
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.03125、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=16
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00781、ηmax=0.5、ηmax/ηmin=64
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。例えば、仮に光利用効率のビーム間偏差が2倍まで許容されると仮定すると、各ビームスプリッタ面の反射率Ri 、透過率Ti の上記設定値の許容範囲として、Ri 、Ti の内で大きい方をSi としたときにSi に対して概ね±{(√2)^1/(m-1)−1}×100%程度まで許容されることになり、許容範囲の大きいものとなる。
【0158】
ちなみに、本実施の形態の場合も、m=2の場合であれば、R1 =T1 に設定し、m=3の場合であれば、R2 =T2 、T1 /R1 =R2 (図27等のように入射ビームの方向と同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を射出させる場合)又はR1 /T1 =R2 (図32等のように入射ビームの方向と直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を射出させる場合)に設定すればよい。
【0159】
本発明の第十の実施の形態を図27ないし図32に基づいて説明する。本実施の形態も、ビーム合成装置51,52又は531に適用されており、基本的には、第八の実施の形態の場合と同様であるが、第1のビーム合成手段S1における(m−1)枚のビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失がほぼ等しい一定値δを持つ場合に適用されている。このような前提の下、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の各反射率Ri 及び透過率Ti (Ri +Ti =1−δ)が、実質的に、下記の条件(9)
Figure 0003689746
を満たすように設定されている。但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合にはm=(n+1)/2である。
【0160】
条件(9)は、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つ場合に、被合成ビームBMc1又はBMc2に関して、各光ビームBM1 ,…,BMm 、BMm+1 ,…,BMn の合成前後の光量比を全てのビーム間で略均一とするための条件である。これらの内、条件(9-1) は図27等に示すように入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示し、条件(9-1)′ は図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件を示す。
【0161】
ここで、条件(9-2) より、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の透過率Ti は、
Figure 0003689746
であるので、Ti =Ri /Ri+1 (i=2,…,m−2)、即ち、Ri =Ri-1 /Ti-1 (i=3,…,m−1)と表される。また、条件(9-2) より、
Figure 0003689746
となる。
【0162】
具体的に、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が一定値δを持つものとして、第1のビーム合成手段S1へ入射するm本の光ビームBM1〜BMmに関して、図27等の場合と同様に入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1として取り出す場合の各光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(9-1),(9-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第1のビーム合成手段S1に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}として等しくなる。
【0163】
同様に、ミラーMの光損失が十分に小さく、各ビームスプリッタBS1 ,…,BSm-1 の光損失が無視できない一定値δを持つものとして、図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1を取り出す場合のm本の光ビームBM1〜BMmの光利用効率η1 ,…,ηm を考えると、条件(9-1)′,(9-2)を満足する場合、
Figure 0003689746
となり、第1のビーム合成手段S1に入射したm本の全ての光ビームの光利用効率η1 ,…,ηm がδ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}として等しくなる。
【0164】
これらの場合において、被合成ビームBMc2として取り出す残りの(n−m)本のビームBMm+1〜BMnに関しても第1のビーム合成手段S1において上記の場合と同一の経路を通るので、ηm+1 =η1 ,ηm+2 =η2 ,…となるので、結局、n本の全ての光ビームについて、第1のビーム合成手段S1による光利用効率は等しくなる。
【0165】
また、第2のビーム合成手段S2では、入射ビームを所定の偏光状態とすることにより、n本の光ビームを微小な光損失で1本に合成できるので、結局、n本の全ての光ビームを実質的に同一の光利用効率で合成できるとともに、高い光利用効率を得ることができる。
【0166】
ここで、一例として、光損失が一定値δ=0.1 のときに、図27等に示すように入射ビームと同一方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件(9)の具体的数値例を示すと、
光ビーム数:n=4(m=2)の場合
BS11 =0.45 ,T1 =0.45
ηi =0.45(i=1,…,n)
ηmin=0.45 、ηmax=0.45 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=5又は6(m=3)の場合
BS11 =0.621,T1 =0.279
BS22 =0.45 ,T2 =0.45
ηi =0.279(i=1,…,n)
ηmin=0.279 、ηmax=0.279 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=7又は8(m=4)の場合
BS11 =0.703,T1 =0.197
BS22 =0.279,T2 =0.621
BS33 =0.45 ,T3 =0.45
ηi =0.197(i=1,…,n)
ηmin=0.197 、ηmax=0.197 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=9又は10(m=5)の場合
BS11 =0.752,T1 =0.148
BS22 =0.197,T2 =0.703
BS33 =0.279,T3 =0.621
BS44 =0.45 ,T4 =0.45
ηi =0.148(i=1,…,n)
ηmin=0.148 、ηmax=0.148 、ηmax/ηmin=1
光ビーム数:n=11又は12(m=6)の場合
BS11 =0.784,T1 =0.116
BS22 =0.148,T2 =0.752
BS33 =0.197,T3 =0.703
BS44 =0.279,T4 =0.621
BS55 =0.45 ,T5 =0.45
ηi =0.116(i=1,…,n)
ηmin=0.116 、ηmax=0.116 、ηmax/ηmin=1
となる。
【0167】
なお、図32等に示すように入射ビームと直交する方向に被合成ビームBMc1,BMc2を取り出す場合の条件(9)の具体例としては、上記数値例中のR1 とT1 の数値を入替えればよい。
【0168】
ちなみに、ビームスプリッタ面を従来のように全てハーフミラー(T=R=0.45)としたときの光利用効率は、
光ビーム数:n=4の場合
ηmin=0.091 、ηmax=0.45、ηmax/ηmin= 4.9
光ビーム数:n=6の場合
ηmin=0.0185 、ηmax=0.45、ηmax/ηmin= 24.3
光ビーム数:n=8の場合
ηmin=0.00374、ηmax=0.45、ηmax/ηmin=120
となるので、本実施の形態及び各変形例による効果が明らかである。
【0169】
本発明の第十一の実施の形態を図33及び図34に基づいて説明する。本実施の形態は、マルチビーム光源装置ないしはマルチビーム走査装置に関し、レーザプリンタに適用されている。まず、n本のマルチビームを同時に射出し得るマルチビーム光源装置61が設けられている。このマルチビーム光源装置61はn(n≧4)個の半導体レーザ621 〜62n と、各半導体レーザ621 〜62n から発せられるn本の光ビームを各々実質的な平行光束(又は、所定の発散光束、或いは集光光束)とするn個のコリメートレンズ631 〜63n と、平行光束化されたn本の光ビームを合成するビーム合成装置64とにより構成されている。即ち、複数の半導体レーザ621 〜62n からの光ビームを各々コリメートし、ビーム合成装置64を通すことにより合成前後の光量比がビーム間で均一なn本の合成された被合成ビーム1として出射される。
【0170】
ビーム合成装置64は、前述した各実施の形態或いは各変形例におけるビーム合成装置41〜53の何れかであるが、本実施の形態では、特に、ビーム合成装置51が用いられている。即ち、n本の光ビームをm本ずつ2列状に第1のビーム合成手段S1に入射させるものであり、半導体レーザ621 〜62n 等もビーム合成装置64(ビーム合成装置51)に対して2列状に配列されている。なお、第1のビーム合成手段S1の入射面半分にはλ/2板65が介在されている。即ち、1列目のm本の光ビームは、λ/2板65によりその直線偏光の方向を90°回転させてからビーム合成装置64に入射させることにより、高効率でビーム合成が行われるとともに、各光ビームの合成前後の光量比が均一化される。もっとも、λ/2板65を設けずに、対応する半導体レーザ621 ,…,62n の設定方向を工夫することで他方の光ビームと偏光方向が直交するようにしてもよい。また、λ/4板66は必要に応じてビーム合成装置64の出射側前方に設けられ、n本の光ビームを各々円偏光に揃えることにより、感光体67に至る各光ビームの特性が概ね均一化される。
【0171】
マルチビーム光源装置61より射出したn本の光ビームは、副走査方向にパワーを持つシリンダレンズ68に入射し、副走査方向に集光光束とされ、偏向手段としての回転多面鏡69の同一反射面に入射する。回転多面鏡69は複数の偏向反射面を有し、入射した光ビームをその回転により各偏向反射面で順次偏向走査する。
【0172】
回転多面鏡69の偏向反射面で反射されたn本の光ビームは走査光学系70に入射し、感光体67面上に光スポットとして結像されながら、一括して露光走査される。ここに、走査光学系70はfθレンズ71とトロイダルレンズ72とにより構成されており、入射した光ビームを感光体67上に結像させるとともに、感光体67上を略等速走査させる。なお、走査光学系70としてはこのような構成に限らず、例えば、fθレンズ71に代えてfθミラーを用いるような構成であってもよい。シリンダレンズ68及び走査光学系70により結像光学系73が構成され、マルチビーム光源装置61から射出されたn本の光ビームを各々感光体67上に所定の光スポットとなるように結像させる。
【0173】
従って、図33に示すような基本的構成において、回転多面鏡69が等速回転すると、n本の光ビームは等角速度的に偏向され、感光体67上にはn本の光ビームによりn本の走査線が一括して等速走査されることになる。
【0174】
なお、本実施の形態では、光源として半導体レーザを用いたが、LED等を用いてもよい。また、単なる半導体レーザに代えて、各々p(p≧2)個の発光点を有するn個の半導体レーザアレイを光源として用いれば、図33と同様な構成のまま、p×n本の光ビームを同時に走査させ得るマルチビーム走査装置となる。
【0175】
また、複数の光源の配列方向は任意であり、必ずしも図33に示すように副走査方向にする必要はない。
【0176】
ところで、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置61の組立構成例を図34を参照して説明する。まず、2列状に配列されて用いる半導体レーザ621 〜62n を位置決め用の切欠部(図示せず)の位置を基準として各半導体レーザのヘテロ接合面が概ね平行となるように各々の支持体811 〜81n に圧入固定され、支持体811 〜81n を介して基体82にねじ止め固定される。
【0177】
また、各々鏡筒に納められたコリメートレンズ631 〜63n を、基体82に形成された嵌合穴84に各半導体レーザ621 〜62n と位置合わせして係合・接着する。この際、いわゆるコリメート調整が、半導体レーザとコリメートレンズとの対に対して順次行われ、各光ビームが各々平行光束或いは所定の発散光束(又は、集光光束)とされる。次に、各半導体レーザ621 〜62n からの光ビームを整形するアパーチャ851 〜85n が形成されたアパーチャ部材86、λ/2板65、ビーム合成装置64(ビーム合成装置51)及びλ/4板66を収容・支持したフランジ部87を基体82に対してねじ止め固定する。ここに、フランジ部87の光ビーム射出部には円筒状の凸部88が形成されている。マルチビーム光源装置61はこの円筒状の凸部88をガイドとして図33に示したようなマルチビーム走査装置の本体と接合される。また、ビーム整形用のアパーチャ部材86はビーム合成装置64の前方でシリンダレンズ68の後方の何れかの位置に配設すればよい。もっとも、やや大きめのn個のアパーチャ851 〜85n が形成されたアパーチャ部材86をコリメートレンズ631 〜63n とビーム合成装置64との間に配設することにより、有害光を除去し得る効果が得られる。また、λ/2板65やλ/4板66は前述した如く必須ではなく、アパーチャ部材86も必ずしも一体的としなくてもよい。なお、前述したコリメート調整時には、各光ビームは光軸(x方向)を中心に互いに所定の微小角度(数分ないし数十分程度)ずつずれるように設定され、フランジ部87には設定されたアーム部をマイクロメータヘッド等により押圧しマルチビーム光源装置61全体を光軸を中心に回転することにより、感光体67上にn本の光ビームが所定の走査ピッチとなるように設定・調整される。
【0178】
なお、上述したビーム合成装置は、必ずしも方向1又は方向2の何れかへの1本の光ビームに合成する必要はなく、例えば、方向1,2の両方向へ所定の光量比で分割した2本の光ビームとし、何れか一方の光ビームをビーム合成特性の検出やフィードバック用として使用できるように構成してもよい。この場合、図33で説明したように、例えば、第2のビーム合成手段S2の後方の何れかに配設したλ/2板等の偏光手段により、各光ビームの偏光特性を制御することにより、両方向への光ビームの光量の分割比は容易に制御できる。
【0179】
また、上述した全てのビーム合成装置において、第1又は第2のビーム合成手段における偏光ビームスプリッタ面をハーフミラー等の通常のビームスプリッタ面に置き換えることも可能である。この場合には、各光ビームの光利用効率が約1/2に低下するものの、比較的高い光利用効率を維持できるとともに、1/2波長板等の偏光手段が不要となり、構成が簡易となる。
【0180】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のビーム合成装置によれば、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、少なくとも1面の偏光ビームスプリッタ面を含み、入射したn本の光ビームを列状のm本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段と、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、第1のビーム合成手段から出射されるm本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、ビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されているので、第1のビーム合成手段にあってはn本の光ビームの偏光状態を適正に設定し、第2のビーム合成手段にあっては各ビームスプリッタ面の透過率及び反射率の設定を適正にするだけで、n本の光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができ、特に、第1のビーム合成手段が偏光ビームスプリッタを含む構成であり、微少な光損失でビーム合成が行われるため、全体として、ビーム合成前後の光量比が各ビーム間で均一かつ高効率なる状態でビーム合成を行うことができる。
【0181】
請求項2記載の発明のビーム合成装置によれば、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段と、互いに平行な1面の偏光ビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されているので、第1のビーム合成手段にあっては各ビームスプリッタ面の透過率及び反射率の設定を適正にし、第2のビーム合成手段にあってはn本の光ビームの偏光状態を適正に設定するだけで、n本の光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができ、特に、第2のビーム合成手段が偏光ビームスプリッタを含む構成であり、微少な光損失でビーム合成が行われるため、全体として、ビーム合成前後の光量比が各ビーム間で均一かつ高効率なる状態でビーム合成を行うことができる。
【0182】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載のビーム合成装置において、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が満たすべき条件を明らかにしたので、(m−1)面のビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段を通過前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0183】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載のビーム合成装置において、各ビームスプリッタ面の光損失が無視できる程度に十分に小さいとした場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が満たすべき条件を明らかにしたので、(m−1)面のビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0184】
請求項5記載の発明によれば、請求項3記載のビーム合成装置において、各ビームスプリッタ面の光損失を或る一定値δで近似できる場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri 及び透過率Ti が満たすべき条件を明らかにしたので、(m−1)面のビームスプリッタ面を有する方の第2又は第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0185】
請求項6記載の発明のビーム合成装置によれば、n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第1のビーム合成部と、互いに平行に列状に並設された(m′−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第2のビーム合成部とよりなり、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段と、1面の偏光ビームスプリッタ面を有し、第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように(m−1)面及び(m′−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されているので、第1のビーム合成手段にあっては第1,2のビーム合成部の各ビームスプリッタ面の透過率及び反射率の設定を適正にし、第2のビーム合成手段にあってはn本の光ビームの偏光状態を適正に設定するだけで、n本の光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができ、特に、第2のビーム合成手段が偏光ビームスプリッタを含む構成であり、微少な光損失でビーム合成が行われるため、全体として、ビーム合成前後の光量比が各ビーム間で均一かつ高効率なる状態でビーム合成を行うことができる。
【0186】
請求項7記載の発明のビーム合成装置によれば、請求項6記載のビーム合成装置において、第1のビーム合成手段における第1,2のビーム合成部の各ビームスプリッタ面の各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が満たすべき条件を明らかにしたので、第1のビーム合成手段を通過前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0187】
請求項8記載の発明のビーム合成装置によれば、請求項7記載のビーム合成装置において、第1のビーム合成手段における第1,2のビーム合成部の各ビームスプリッタ面の光損失が無視できる程度に十分に小さいとした場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が満たすべき条件を明らかにしたので、第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0188】
請求項9記載の発明のビーム合成装置によれば、請求項7記載のビーム合成装置において、第1のビーム合成手段における第1,2のビーム合成部の各ビームスプリッタ面の光損失を或る一定値δで近似できる場合に、各ビームスプリッタ面の各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が満たすべき条件を明らかにしたので、第1のビーム合成手段での光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で略均一となるようにして合成して出力させることができる。
【0189】
請求項10記載の発明のマルチビーム光源装置によれば、偏光特性を有する光ビームを射出するn(n>4)個の光源と、これらの各光源から射出されるn本の光ビームが入射される請求項1ないし9の何れか一に記載のビーム合成装置とを備えることで、ビーム合成装置から合成されて出力される各光ビームの合成前後の光量比が各ビーム間で均一化され、かつ、光利用効率が高くされているので、光源としては比較的低出力の同種のものを使用することができ、よって、比較的低コストにてビーム間の特性のばらつきの少ないマルチビーム光源装置を提供することができる。
【0190】
請求項11記載の発明のマルチビーム走査装置によれば、請求項10記載のマルチビーム光源装置と、このマルチビーム光源装置のビーム合成装置から合成されて出力されるn本の光ビームを偏向走査させる偏向手段と、この偏向手段により偏向走査されるn本の光ビームを感光体上に光スポットとして結像させる結像光学系とを備えるので、各ビーム間の特性のばらつきの少ない状態で良好に感光体に対して光書込みを行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一、二及び三の実施の形態を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図2】第1の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図3】第2の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図4】第3の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図5】第4の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図6】第5の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図7】第6の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図8】第7の変形例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図9】その原理的側面図である。
【図10】 その平面図である。
【図11】分解斜視図である。
【図12】第8の変形例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図13】本発明の第四の実施の形態を示すマルチビーム光源装置及びマルチビーム走査装置の斜視図である。
【図14】そのマルチビーム光源装置の組立構成例を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の第五、六及び七の実施の形態を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図16】第1の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図17】第2の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図18】第3の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図19】第1のビーム合成手段の方向性を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図20】第4の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図21】第5の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図22】第6の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図23】第7の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図24】第8の変形例を示すビーム合成装置の原理的側面図である。
【図25】第9の変形例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図26】λ/2板の配置例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図27】本発明の第八、九及び十の実施の形態を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図28】その原理的側面図である。
【図29】 その平面図である。
【図30】分解斜視図である。
【図31】第1の変形例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図32】第2の変形例を示すビーム合成装置の原理的斜視図である。
【図33】本発明の第十一の実施の形態を示すマルチビーム光源装置及びマルチビーム走査装置の斜視図である。
【図34】そのマルチビーム光源装置の組立構成例を示す分解斜視図である。
【図35】従来例を示す原理的側面図である。
【符号の説明】
1〜9,14、41〜53 ビーム合成装置
11,61 マルチビーム光源装置
12,62 光源
18,68 感光体
21,71 偏向手段
25,75 結像光学系
S1 第1のビーム合成手段
S11 第1のビーム合成部
S12 第2のビーム合成部
S2 第2のビーム合成手段
PBS 偏光ビームスプリッタ面
BS ビームスプリッタ面
M 反射面

Claims (12)

  1. n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、
    少なくとも1面の偏光ビームスプリッタ面を含み、入射したn本の光ビームを列状のm本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2)と、
    互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と、1面の反射面とを有し、前記第1のビーム合成手段から出射されるm本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段と、を備え、
    n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように前記(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている、 ことを特徴とするビーム合成装置。
  2. n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、
    互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2)と、
    互いに平行な1面の偏光ビームスプリッタ面と1面の反射面とを有し、前記第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段と、を備え、
    n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように前記(m−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている、 ことを特徴とするビーム合成装置。
  3. 前記(m−1)面のビームスプリッタ面を被合成ビームに近い方から順にBS1 ,BS2 ,…,BSm-1 とし、前記各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti (i=1,2,…,m−1)としたとき、各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、R2 =T1 /R1 又は R2 =R1 /T1i =Ri-1 /Ti-1 (但し、i=3,…,m−1)
    m-1 =Tm-1なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のビーム合成装置。
  4. 各反射率Ri 及び透過率Ti が、
    実質的に、R1 :T1 =(m−1):1 又は R1 :T1 =1:(m−1)Ri :Ti =1:(m−i)(但し、i=2,…,m−1)、 なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項3記載のビーム合成装置。
  5. 前記(m−1)面のビームスプリッタ面の光損失を各々δとしたとき、 各反射率Ri 及び透過率Ti が、実質的に、R1 ={(1+δ)(1−δ)^(2-m)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}又は、R1 =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}Ri =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m)−1}(但し、i=2,…,m−1)、なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項3記載のビーム合成装置。
  6. n(n>4)本の偏光特性を有する光ビームを合成するビーム合成装置であって、
    互いに平行に列状に並設された(m−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第1のビーム合成部と、互いに平行に列状に並設された(m′−1)面のビームスプリッタ面と1面の反射面とを有する第2のビーム合成部とよりなり、入射したn本の光ビームを2本の光ビームに合成する第1のビーム合成手段(但し、nが偶数の場合はm=m′=n/2、nが奇数の場合はm=(n+1)/2、かつ、m′=m又はm′=m−1)と、
    1面の偏光ビームスプリッタ面を有し、前記第1のビーム合成手段から入射した2本の光ビームを実質的に1本の光ビームに合成する第2のビーム合成手段とを備え、
    n本の光ビームについてビーム合成前後の各光ビームの光量比が各ビーム間で略均一となるように前記(m−1)面及び前記(m′−1)面のビームスプリッタ面の透過率及び反射率が設定されている、
    ことを特徴とするビーム合成装置。
  7. 前記第1のビーム合成手段における前記(m−1)面のビームスプリッタ面、前記(m′−1)面のビームスプリッタ面を被合成ビームに近い方から順に各々BS1 ,BS2 ,…,BSm-1 BS1′ ,BS2′ ,…,BSm-1′ とし、前記各ビームスプリッタ面の反射率及び透過率を各々Ri ,Ti(i=1,2,…,m−1)、Ri′ ,Ti′ (i=1,2,…,m′−1)としたとき、
    各反射率Ri ,Ri′ 及び透過率Ti ,Ti′ が、実質的に、
    2 =T1 /R1 又は R2 =R1 /T1i =Ri-1 /Ti-1 (但し、i=3,…,m−1)、
    m-1 =Tm-12′ =T1′ /R1′ 又は R2′ =R1′ /T1′Ri′ =Ri-1′ /Ti-1′ (但し、i=3,…,m′−1)、Rm-1′ =Tm-1′、なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項6記載のビーム合成装置。
  8. 各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、
    1 :T1 =(m−1):1 又は R1 :T1 =1:(m−1)Ri :Ti =1:(m−i)
    (但し、i=2,…,m−1)
    1′ :T1′ =(m′−1):1 又は R1′ :T1′ =1:(m′−1)Ri′ :Ti′ =1:(m′−i)(但し、i=2,…,m′−1)、 なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項7記載のビーム合成装置。
  9. 前記(m−1)面のビームスプリッタ面、前記(m′−1)面のビームスプリッタ面の光損失を各々δとしたとき、各反射率Ri,Ri′及び透過率Ti,Ti′が、実質的に、
    1 ={(1+δ)(1−δ)^(2-m)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}、又は、
    1 =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m)−1}Ri =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m)−1}(但し、i=2,…,m−1)
    1′ ={(1+δ)(1−δ)^(2-m′)−1}/{(1+δ)(1−δ)^(1-m′)−1}又は、R1′ =δ/{(1+δ)(1−δ)^(1-m′)−1}Ri′ =δ/{(1+δ)(1−δ)^(i-m′)−1}(但し、i=2,…,m′−1) なる条件を満たすように設定されている、
    ことを特徴とする請求項7記載のビーム合成装置。
  10. 偏光特性を有する光ビームを射出するn(n>4)個の光源と、これらの各光源から射出されるn本の光ビームが入射される、請求項1ないし9の何れか一に記載のビーム合成装置とを備えるマルチビーム光源装置。
  11. 請求項10記載のマルチビーム光源装置と、このマルチビーム光源装置のビーム合成装置から合成されて出力されるn本の光ビームを偏向走査させる偏向手段と、この偏向手段により偏向走査されるn本の光ビームを感光体上に光スポットとして結像させる結像光学系とを備えるマルチビーム走査装置。
  12. 前記第1のビーム合成手段と前記第2のビーム合成手段とが一体に構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし11いずれか記載のマルチビーム走査装置。
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