JP3689360B2 - 無段変速機付き動力伝達装置 - Google Patents

無段変速機付き動力伝達装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,エンジン出力軸に連なる変速入力軸及び変速出力部材を有してその両者間の変速比を無段階に変更し得る無段変速機を,エンジン出力軸及び駆動輪駆動系間に介裝した,無段変速機付き動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,かゝる無段変速機付き動力伝達装置において,変速出力部材と駆動輪駆動系との間に,操縦者によってオン,オフ操作されるニュートラルクラッチを設け,自動二輪車等の小型車両をエンジンの停車状態で押し動かすときに,ニュートラルクラッチをオフ状態にすることにより無段変速機が移動抵抗とならないようにすることが,例えば特開平10−184841号公報に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また従来の上記変速機付き動力伝達装置では,エンジン出力軸及び変速入力軸間にも車両の発進を容易にする遠心式の発進クラッチを介裝しているので,結局,上記動力伝達装置ではニュートラルクラッチ及び発進クラッチの二種類のクラッチを必要としており,これによって構造の複雑化,大型化,コストアップ等を余儀なくされている。またニュートラルクラッチについては,操縦者自身がオン,オフ操作しなければならないので,操作の煩わしさが残る。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,一個の自動クラッチを設けるだけで,容易な発進が可能であること,エンジン停止状態での車両の軽快な押し動かしを特別なクラッチ操作無しで可能にすることを同時に満足させ得る,前記無段変速機付き動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,エンジン出力軸に連なる変速入力軸及び変速出力部材を有してその両者間の変速比を無段階に変更し得る無段変速機を,エンジン出力軸及び駆動輪駆動系間に介裝した,無段変速機付き動力伝達装置において,変速出力部材と駆動輪駆動系との間に,変速入力軸の回転数が所定値未満のときオフ状態,所定値以上のときオン状態となる自動クラッチを介裝したことを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば,エンジンの停止状態では,変速出力部材及び駆動軸間の自動クラッチがオフ状態になっているから,車両の押し動かしを,クラッチ操作を何等行わずに無段変速機を停止したまゝで,軽快に行うことができる。
【0007】
また車両の発進時には,変速入力軸の回転数が所定値に達すると,自動的にオン状態となって,変速出力部材の出力を駆動軸に自動的に伝達するようになるので,発進を容易に行うことができる。
【0008】
このように,一つの自動クラッチが自動発進クラッチと自動ニュートラルクラッチの両方の機能を備えることになり,無段変速機付き動力伝達装置の構造の簡素化,小型化,コストダウンを図ることができる。
【0009】
また本発明は,第1の特徴に加えて,自動クラッチを,変速入力軸の回転数の上昇に応じて作動する遠心機構と,変速出力部材に連結するクラッチ入力部材と,駆動輪駆動系に連なるクラッチ出力部材と,遠心機構の作動によりクラッチ入力部材及びクラッチ出力部材間を摩擦連結する摩擦係合手段とで構成したことを第2の特徴とする。
【0010】
この第2の特徴によれば,遠心機構は,エンジンの低速域では変速出力部材よりも高速回転する変速入力軸により駆動されるので,比較的小型なものでも大きな遠心出力を発生して摩擦係合手段を作動することができ,自動クラッチの小型化を図ることができる。
【0011】
尚,前記エンジン出力軸,クラッチ入力軸及びクラッチ出力部材は,後述する本発明の実施例中のクランク軸1,クラッチアウタ42及びクラッチインナ46にそれぞれ対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1は自動二輪車用無段変速機付き動力伝達装置の縦断面図,図2は図1の自動クラッチ部の拡大断面図である。
【0014】
先ず,図1において,自動二輪車に搭載されるエンジンEの出力は,それのクランク軸1から1次減速ギヤ列2,トルクダンパ3,無段変速機T及び自動クラッチCを介して駆動輪駆動系6に伝達される。駆動輪駆動系6は,2次減速駆動ギヤ4及び2次減速被動ギヤ5を備え,自動クラッチCの出力を減速して,自動二輪車の駆動輪たる後輪7に伝達する。
【0015】
無段変速機Tは,エンジンEのクランクケースに一体に連なるミッションケース8にベアリング9,9′を介して両端部を回転自在に支承される変速入力軸10と,この変速入力軸10の中間部に一体に形成され,外周面を,膨らみの有る略円錐状のトラクション伝動面11aとした摩擦駆動輪11と,この摩擦駆動輪11の大径側に隣接して変速入力軸10に圧入等により固着される駆動板12と,この駆動板12の外周部と軸方向摺動可能に連結されると共に,変速入力軸10にブッシュ13を介して相対回転及び軸方向摺動可能に支承されるウエイトホルダ14と,このウエイトホルダ14のボス14aにベアリング15を介して相対回転可能に支承されてウエイトホルダ14を覆うカップ状のキャリヤ支持体16と,摩擦駆動輪11を挟んで駆動板12と反対側で変速入力軸10にベアリング17を介して回転及び軸方向摺動可能に支承され,摩擦駆動輪11に開放面を向けるカップ状の変速出力部材18と,キャリヤ支持体16に固着されると共に,変速入力軸10に相対回転及び軸方向移動可能にベアリング19を介して支承されるキャリヤ20と,このキャリヤ20に回転自在にに軸支される複数の変速回転駒21とを備える。
【0016】
ウエイトホルダ14には,周方向に等間隔置きに並ぶ複数のローラ状の遠心ウエイト22がそれぞれ半径方向移動可能に保持される。駆動板12及びウエイトホルダ14は,これら遠心ウエイト22を挟持するように対置され,両者12,14の対向面は,半径方向外方に行くにつれて互いに近づく斜面となっている。
【0017】
キャリヤ支持体16の外周壁には,半径方向のローラ軸23によりローラ24が取り付けられ,このローラ24は,ミッションケース8の内壁に固着されたガイド部材25の,変速入力軸10と略平行なガイド溝25aに移動可能に係合される。これによりキャリヤ支持体16及びキャリヤ20は,変速入力軸10周りの回転を阻止されつゝ,変速入力軸10上を軸方向に移動することができる。
【0018】
カップ状の変速出力部材18の開放端内周縁には環状で膨らみを持つトラクション伝動面18aが形成される。キャリヤ20は,上記トラクション伝動面18a及び摩擦駆動輪11間を横切り且つ変速出力部材18の開放端に向かって大径となる円錐筒状をなしており,その周壁には,周方向等間隔置きに開口する複数の窓27が設けられると共に,これら窓27をキャリヤ20の円錐面の母線方向に横切る複数の支軸28が取り付けられ,これら支軸28に前記変速回転駒21がベアリング29を介して回転自在に支承される。
【0019】
各変速回転駒21は,その外周に,軸方向両端に向かって小径となる円錐状の一対の摩擦伝動面21a,21bを有しており,変速入力軸10側の第1摩擦伝動面21aを摩擦駆動輪11の外周面に接触させ,それと反対側の第2摩擦伝動面21bを変速出力部材18のトラクション伝動面18aに接触させる。したがって,摩擦駆動輪11の回転は,互いに接触するトラクション伝動面11a及び第1摩擦伝達面21aを介して変速回転駒21に伝達し,またこの変速回転駒21の回転は,互いに接触する第2摩擦伝動面21b及びトラクション伝達面18aを介して変速出力部材18に伝達することができる。
【0020】
キャリヤ支持体16と,ミッションケース8の内壁に支持されるリテーナ30との間にはコイル状の変速ばね31が所定のセット荷重をもって縮設され,この変速ばね31の荷重によりキャリヤ支持体16はロー変速比側に押圧され,またウエイトホルダ14は駆動板12と協働して遠心ウエイト22を挟圧する。
【0021】
また変速出力部材18の端壁と,その外端面に隣接して変速入力軸10に軸方向移動不能に支持される後述のクラッチアウタ42との間には皿状の押圧ばね32が所定のセット荷重をもって介裝され,この押圧ばね32の付勢力により摩擦駆動輪11と変速回転駒21,変速回転駒21変速出力部材18の各接触部の初期面圧が付与される。
【0022】
変速出力部材18の端壁と,その外端面に隣接して変速入力軸10に軸方向移動不能に支持される後述のクラッチアウタ42との間に面圧制御機構33(図2参照)が設けられる。この面圧制御機構33は,変速出力部材18及びクラッチアウタ42の対向面にそれぞれ形成されて周方向に並ぶ複数の凹部34,35と,これら凹部34,35間に挟持される複数のボール36とからなっており,変速出力部材18及びクラッチアウタ42間に発生する回転トルクに応じて,変速出力部材18の変速回転駒21側への押圧力を変化させて,摩擦駆動輪11と変速回転駒21,変速回転駒21と変速出力部材18の各接触部の面圧を強めるようになっている。
【0023】
次に,自動クラッチCの構成について図2を参照しながら説明する。
【0024】
自動クラッチCは,変速入力軸10にアンギュラコンタクトベアリング41を介して回転自在に支承されて,開放面を変速出力部材18と反対側に向けた有底円筒状のクラッチアウタ42と,このクラッチアウタ42内で変速入力軸10にベアリング43及びアンギュラコンタクトベアリング44を介して回転自在に支承されるクラッチインナ支持軸45と,このクラッチインナ支持軸45に摺動可能にスプライン結合されるクラッチインナ46と,クラッチアウタ42に外周部を摺動可能にスプライン嵌合される複数の駆動摩擦板47と,これら駆動摩擦板47と交互に重ねられて内周部をクラッチインナ46に摺動可能にスプライン嵌合される複数の被動摩擦板48と,クラッチインナ支持軸45にブッシュ49を介して回転及び摺動可能に支承され,駆動及び被動摩擦板47,48群の最内側面に対向する加圧板50と,クラッチインナ46の外端に一体に形成されて駆動及び被動摩擦板47,48群の最外側面に対向する受圧板51と,変速入力軸10及び加圧板50間に設けられる遠心機構52とを備える。
【0025】
クラッチアウタ42を支持する前記アンギュラコンタクトベアリング41は,そのインナレースが変速入力軸10に係止されたコッタ53により変速出力部材18から離反する軸方向移動が阻止され,これによりクラッチアウタ42も同様な軸方向移動が阻止される。
【0026】
またクラッチインナ支持軸45を支持する前記アンギュラコンタクトベアリング44も,そのインナレースが変速入力軸10に係止されたコッタ54により変速出力部材18から離反する軸方向移動が阻止され,これによりクラッチインナ支持軸45も同様な軸方向移動が阻止される。このクラッチインナ支持軸45の外端に駆動輪駆動系6の2次減速駆動ギヤ4が一体に形成されており,この2次減速駆動ギヤ4とクラッチインナ46との間には皿状のクラッチばね60が介裝され,また加圧板50及びクラッチインナ46間には同じく皿状の戻しばね61が介裝される。戻しばね61のばねレートはクラッチばね60のそれより低く設定されており,これらばね60,61の無負荷状態では,加圧板50は駆動及び被動摩擦板47,48群の最内側面から離れ,各駆動及び被動摩擦板47,48を遊離状態にする。
【0027】
遠心機構52は,クラッチアウタ42内で変速入力軸10にスプライン結合されると共に前記コッタ54により変速出力部材18側への移動を阻止されるウエイトホルダ55と,このウエイトホルダ55にそれぞれ半径方向移動可能に収容され,周方向に等間隔置きに並ぶ複数のローラ状の遠心ウエイト56と,これら遠心ウエイト56をウエイトホルダ55と協働して挟持する作動板57とからなり,作動板57の遠心ウエイト56との接触面は,半径外方に行くにつれてウエイトホルダ55側に近づく斜面となっている。この作動板57は前記加圧板50のボス50aにベアリング58を介して相対回転自在に支承される。
【0028】
この自動クラッチCにおいて,駆動摩擦板47群,被動摩擦板48群,加圧板50及び受圧板51は,クラッチアウタ42及びクラッチインナ46間を摩擦連結する摩擦係合手段59を構成する。
【0029】
再び図1において,ミッションケース8の一側壁には,変速入力軸10により駆動されるオイルポンプ63が設けられ,このオイルポンプ63の吸入ポートに連なる吸入油路64が,その吸い込み口をミッションケース8底部の油溜め65に設置されるオイルストレーナ66に接続するようにしてミッションケース8に形成され,該ポンプ63の吐出ポートに連なる供給油路67が,無段変速機T及び自動クラッチCの潤滑部に連通するよう変速入力軸10に穿設される。したがって,オイルポンプ63は変速入力軸10の回転中,油溜め65のオイルを吸入して,無段変速機T及び自動クラッチCの潤滑部に供給することができる。
【0030】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0031】
図1及び図2の上半分は,エンジンEの停止状態もしくは無段変速機Tのロー変速比状態を示し,下半分は無段変速機Tのトップ変速比状態を示す。
【0032】
無段変速機Tがロー変速比の状態にあるときは,摩擦駆動輪11が変速回転駒21の第1摩擦伝動面21aの大径部に接触し,変速出力部材18の伝動摩擦面18aが変速回転駒21の第2摩擦伝動面21bの小径部に接触している。したがって,この状態でエンジンEが作動して,その動力により変速入力軸10が回転されると,その回転は,摩擦駆動輪11から変速回転駒21を回転変速出力部材18に伝達する間に,変速回転駒21により最大に減速される。
【0033】
また変速入力軸10の回転は,駆動板12からウエイトホルダ14にも伝達して,それを回転させるので,遠心ウエイト22も同時に回転する。したがって,変速入力軸10の回転が上昇すると,それに伴い遠心ウエイト22が増大する遠心力により半径方向外方に移動して,ウエイトホルダ14を駆動板12から離反する方向に移動し,そして変速ばね31を圧縮しながらキャリヤ支持体16を介してキャリヤ20を同様に移動するので,これに伴い変速回転駒21の第1摩擦伝動面21aは,摩擦駆動輪11との接触部を小径側に移し,また第2摩擦伝動面21bは,変速出力部材18との接触部を大径側に移していくので,変速入力軸10及び変速出力部材18間の変速比がトップ変速比に向かって制御されることになる。
【0034】
一方,自動クラッチCでは,エンジンEがアイドリング状態にあるときは,遠心機構52が非作動状態にあり,即ち遠心ウエイト56がウエイトホルダ55の半径方向内方寄りの位置を占めて,作動板57が加圧板50を自由にしているので,加圧板50は戻しばね61の付勢力で後退位置に保持され,各駆動摩擦板47及び被動摩擦板48を遊離させる。したがって該クラッチCはオフ状態となっている。このようなクラッチオフ状態では,変速出力部材18の回転が面圧制御機構33を介してクラッチアウタ42に伝達されても,クラッチインナ46や駆動輪駆動系6への動力伝達は遮断される。
【0035】
いま,車両を発進すべくエンジンEの回転数を上昇させていくと,遠心ウエイト56が遠心力の増加により半径方向外方へ移動するのに伴い作動板57を加圧板50へ押圧するので,加圧板50が駆動及び被動摩擦板47,48群を受圧板51に対して押圧し,各駆動及び被動摩擦板47,48間の摩擦連結力を強めていき,それに応じてクラッチばね60に反発力が発生する。その結果,各駆動及び被動摩擦板47,48間にはクラッチばね60の反発力に応じた摩擦連結力が付与され,自動クラッチCは,半クラッチ状態を経てオン状態となるから,変速出力部材18から面圧制御機構33を介してクラッチアウタ42に伝達される回転は,駆動及び被動摩擦板47,48群を介してクラッチインナ46へ,さらに駆動輪駆動系6を経て後輪7へと伝達し,車両をスムーズに発進することができる。
【0036】
変速入力軸10が所定の高速回転数に達すると,遠心ウエイト56はウエイトホルダ55の内周壁に当接して外方への移動を阻止され,遠心ウエイト56の作動板57に対する押圧力の増加を停止するので,各駆動及び被動摩擦板47,48間の摩擦連結力が,このときのクラッチばね60の反発力により一定に保持されるようになる。
【0037】
発進後は,無段変速機Tの前述のような変速作用により,変速入力軸10及び変速出力部材18間の変速比が変速入力軸10の回転数の変化に応じて無段階に自動制御される。
【0038】
エンジンEの運転が停止されると,自動クラッチCは,上記アイドリング時と同様にオフ状態となるので,自動二輪車を押し動かす場合,後輪7の動きに連動してクラッチインナ46が回転しても,その回転はクラッチアウタ42に伝達されず,したがってクラッチ操作を何等行わずに無段変速機Tを停止したまゝにおくことができるから,無段変速機Tから抵抗を受けることなく,車両を軽快に移動することができる。
【0039】
このように,一つの自動クラッチCが自動発進クラッチと自動ニュートラルクラッチの両方の機能を備えることになり,無段変速機付き動力伝達装置の構造の簡素化,小型化,コストダウンを図ることができる。
【0040】
また自動クラッチCは,変速入力軸10の回転数の上昇に応じて作動する遠心機構52と,変速出力部材18に連結するクラッチアウタ42と,クラッチインナ46と,遠心機構52の作動によりクラッチアウタ42及びクラッチインナ46間を摩擦連結する摩擦係合手段59とで構成されるので,遠心機構52は,エンジンEの低速域では変速出力部材18よりも高速回転する変速入力軸10により駆動され,比較的小型なものでも遠心ウェイト22が大きな遠心出力を発生して摩擦係合手段59を作動することができ,自動クラッチCの小型化が可能となる。
【0041】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,斜板式油圧無段変速機を持つ動力伝達装置への適用も可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,エンジン出力軸に連なる変速入力軸及び変速出力部材を有してその両者間の変速比を無段階に変更し得る無段変速機を,エンジン出力軸及び駆動輪駆動系間に介裝した,無段変速機付き動力伝達装置において,変速出力部材と駆動輪駆動系との間に,変速入力軸の回転数が所定値未満のときオフ状態,所定値以上のときオン状態となる自動クラッチを介裝したので,一つの自動クラッチが自動ニュートラルクラッチと自動発進クラッチの両方の機能を備えることになり,エンジンの停止状態では,車両の押し動かすしを,クラッチ操作を何等行わずに無段変速機を停止したまゝで軽快に行うことができ,また車両の自動発進も可能であり,しかも無段変速機付き動力伝達装置の構造の簡素化,小型化,コストダウンに寄与し得る。
【0043】
また本発明の第2の特徴によれば,自動クラッチを,変速入力軸の回転数の上昇に応じて作動する遠心機構と,変速出力部材に連結するクラッチ入力部材と,駆動輪駆動系に連なるクラッチ出力部材と,遠心機構の作動によりクラッチ入力部材及びクラッチ出力部材間を摩擦連結する摩擦係合手段とで構成したので,遠心機構を変速入力軸により駆動するようにしたことで,比較的小型な遠心機構ででも大きな遠心出力を発生して摩擦係合手段を作動することができ,自動クラッチの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車用無段変速機付き動力伝達装置の縦断面図。
【図2】図1の自動クラッチ部の拡大断面図。
【符号の説明】
C・・・・・自動クラッチ
E・・・・・エンジン
T・・・・・無段変速機
1・・・・・エンジン出力軸(クランク軸)
6・・・・・駆動輪駆動系
10・・・・変速入力軸
18・・・・変速出力部材
42・・・・クラッチ入力部材(クラッチアウタ)
46・・・・クラッチ出力部材(クラッチインナ)
59・・・・摩擦係合出力59

Claims (2)

  1. エンジン出力軸(1)に連なる変速入力軸(10)及び変速出力部材(18)を有してその両者(10,18)間の変速比を無段階に変更し得る無段変速機(T)を,エンジン出力軸(1)及び駆動輪駆動系(6)間に介裝した,無段変速機付き動力伝達装置において,
    変速出力部材(18)と駆動輪駆動系(6)との間に,変速入力軸(10)の回転数が所定値未満のときオフ状態,所定値以上のときオン状態となる自動クラッチ(C)を介裝したことを特徴とする,無段変速機付き動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の無段変速機付き動力伝達装置において,
    自動クラッチ(C)を,変速入力軸(10)の回転数の上昇に応じて作動する遠心機構(52)と,変速出力部材(18)に連結するクラッチ入力部材(42)と,駆動輪駆動系(6)に連なるクラッチ出力部材(46)と,遠心機構(52)の作動によりクラッチ入力部材(42)及びクラッチ出力部材(46)間を摩擦連結する摩擦係合手段(59)とで構成したことを特徴とする,無段変速機付き動力伝達装置。
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