JP3689034B2 - スカラ型ロボット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回動式アームの回動端部に作業軸を往復移動自在に設けたスカラ型ロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のスカラ型ロボットとしては、例えば特開平11−170184号公報に開示されたものがある。この公報に示されたスカラ型ロボットは、基台に水平方向へ延びる第1のアームを水平方向へ回動自在に設けるとともに、この第1のアームの回動端部に水平方向へ延びる第2のアームを水平方向に回動自在に設け、この第2のアームの回動端部に作業軸を設けている。前記作業軸は、軸線が上下方向を指向し、第2のアームに上下方向へ移動自在に支持させるとともに、回転自在に支持させている。
前記第1のアームを駆動するモータは基台内に設け、第2のアームを駆動するモータは、第2のアームの基端部に設けている。また、第2のアームには、前記作業軸を回転駆動するための回転駆動装置と、作業軸を昇降させる昇降装置とを支持させている。
【0003】
前記第2のアームの回動端部には、作業軸が振れるのを防ぐために2本のタイバーを設けている。これらのタイバーは、第2のアームの両側方で上下方向に延びるように設けており、第2のアームの両側部に設けた軸受に上下方向に移動自在に支持させ、下端部を作業軸に連結部材を介して接続している。
前記タイバーは、作業軸が上下方向に移動するときに作業軸と一体的に上下方向に移動する。このようにタイバーを作業軸に接続することによって、第2のアームを旋回させたりして作業軸に横方向の曲げモーメントが作用したときに、タイバーによって作業軸を支えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように構成した従来のスカラ型ロボットにおいては、作業軸を最も下方へ延びるように作動させた状態では、急旋回時に作業軸が振れるのを必ずしも確実に防ぐことはできなかった。これは、タイバーを軸支する軸受とタイバーとの間には微小とはいえクリアランスがあり、このクリアランスを形成する隙間分だけタイバーが軸受に対して傾動するからである。
【0005】
詳述すると、作業軸とともにタイバーが下方へ大きく突出し、タイバーと作業軸との連結部分が軸受から大きく離間している状態では、前記隙間分に相当する傾斜角度だけタイバーが傾動することにより作業軸の下端部が大きく変位するため、横方向の振動が生じ、この振動が減衰し停止するまでは作業軸の位置が決まらないからである。すなわち、アームの旋回速度が制約されるという不具合があった。
【0006】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、作業軸が振れるのをタイバーによって確実に防ぐことができるスカラ型ロボットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係るスカラ型ロボットは、回動式アーム(4)の回動端部に作業軸(5)を前記回動端部を貫通して往復移動自在に設けるとともに、前記作業軸と平行なタイバー(42)を移動自在に支持させ、前記作業軸に連結部材を介して前記タイバーを接続することにより作業軸の往復動にタイバーが連動するスカラ型ロボットであって、前記作業軸とタイバーとをそれぞれ前記アームに嵌合構造によって支持させ、前記連結部材を、前記アーム(4)より下方において前記作業軸(5)の先端部が回転自在に接続されかつ前記タイバー(42)の一端部が接続された下部連結部材(41)と、前記アーム(4)より上方において前記作業軸(5)の後端部が回転自在に接続されかつ前記タイバー(42)の他端部が固定された上部連結部材(24)とによって構成し、前記下部連結部材(41)と前記上部連結部材(24)のうち少なくとも一方を作業軸(5)およびタイバー(42)に対して着脱可能に形成したものである。
請求項2に記載したスカラ型ロボットは、請求項1に記載したスカラ型ロボットにおいて、回動式アーム(4)に作業軸(5)と平行にボールねじ軸(22)を回転自在に支持させ、このボールねじ軸(22)に螺合させたボールねじナット(23)を上部連結部材(24)に固定したものである。
請求項3に記載したスカラ型ロボットは、請求項1または請求項2に記載したスカラ型ロボットにおいて、回動式アーム(4)に回動端部の全域を覆うカバー(16)を取付けたものである。
【0008】
本発明によれば、作業軸の後端部がタイバーの前記他端部を保持することになり、タイバーがアームに対して傾斜するのを阻止することができる。また、作業軸およびタイバーをアームに装着した状態でこれらに連結部材の少なくとも一方を取付けることができるから、タイバーの傾動を阻止する構造を採っているにもかかわらず、組立性が低下するようなことはない。
請求項3記載の発明によれば、回動式アームにおける作業軸およびタイバーを上下方向に移動自在に支持する嵌合支持部に装置外の塵埃が付着することをカバーによって防ぐことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るスカラ型ロボットの一実施の形態を図1ないし図7によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るスカラ型ロボットの側面図、図2は同じく平面図、図3は作業軸部分の断面図、図4は上部連結部材の平面図で、同図は要部を破断して描いてある。図5は図3におけるV−V線断面図、図6は下部連結部材の底面図、図7はアームにおけるタイバー貫通部分の断面図である。
【0010】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるスカラ型ロボットである。このロボット1は、基台2と、この基台2に水平方向へ回動自在に設けて水平方向に延びる第1のアーム3と、この第1のアーム3の回動端部の上部に水平方向へ回動自在に設けて水平方向に延びる第2のアーム4と、この第2のアーム4の回動端部を貫通して上下方向に延びる作業軸5などを備えている。この作業軸5は、後述するように、第2のアーム4に上下方向へ移動自在に支持させるとともに、回転自在に支持させている。
【0011】
前記基台2は、第1のアーム3を駆動するモータ10を内蔵しており、このモータ10の出力軸に接続した減速機11を介して第1のアーム3が接続されている。減速機11は、出力側を第1のアーム3の基端部に固着しており、前記モータ10の回転が減速機11によって減速されて伝達されることにより、第1のアーム3が基台2に対して回動する。
【0012】
第1のアーム3の回動端部には、第2のアーム4を駆動するための減速機12を設けている。この減速機12は、出力側を第1のアーム3に固着し、入力側を第2のアーム4のモータ13に接続している。すなわち、第2のアーム4は、モータ13の回転が減速機12によって減速されて第1のアーム3に伝達されることにより、第1のアーム3に対してモータ13を中心にして回動する。
【0013】
第2のアーム4には、図3に示すように、前記作業軸5を上下方向に移動させるための昇降装置14と、作業軸5を回転させるための回転駆動装置15と、これらの装置を覆うカバー16とを設けている。このカバー16は、図2に示す平面視において、第2のアーム4の側縁4aに沿う形状であって、第2のアーム4の回動端部の全域を覆う形状に形成している。同図において、前記カバー16に隣接させて設けた符号17で示すものは、第2のアーム4に設けた前記駆動用のモータ13および昇降装置14・回転駆動装置15のモータ18,19(図1参照)に給電する複数の配線およびその端子(図示せず)などを収容する端子カバーである。この端子カバー17内において、前記基台2に一端を接続した配線ケーブル20の他端を接続している。
【0014】
前記昇降装置14は、前記モータ18と、このモータ18にベルト式伝動装置21を介して接続したボールねじ軸22と、このボールねじ軸22に螺合させたボールねじナット23と、このボールねじナット23に一端部を固定するとともに他端部に前記作業軸5を連結した上部連結部材24とによって構成している。この昇降装置14の各回転部材は、軸線が上下方向を指向するように形成している。前記ベルト式伝動装置21は、第2のアーム4の内部に収納している。
【0015】
前記ボールねじ軸22は、下端部を第2のアーム4に軸受25によって回転自在に支持させるとともに、第2のアーム4に立設したフレーム26に上端部を軸受27によって回転自在に支持させている。
前記上部連結部材24と作業軸5との接続部分には、作業軸5が回転することができるように軸受28を介装している。この軸受28の内輪は、作業軸5を下方から嵌合させてロックナット29によって締結させ、外輪は、上部連結部材24の軸受孔24aに上方から嵌合させてストッパープレート30と固定用ボルト31で上部連結部材24に固定している。すなわち、作業軸5の上端部を上部連結部材24に前記軸受28によって上下方向への移動が規制される状態で着脱可能に取付けている。
【0016】
前記回転駆動装置15は、前記モータ19と、作業軸5の外周部に回転自在に支持させて前記モータ19にベルト式伝動装置32を介して接続したハーモニックドライブ(登録商標)減速機33と、この減速機33の出力部材であるフレクスプライン33aに固着したボールスプラインナット34とによって構成している。この回転駆動装置15のベルト式伝動装置32は、前記昇降装置14のベルト式伝動装置21に較べてプーリ32aの外径を大きく設定し、ベルト32bの内側に前記ボールねじ軸22を通した状態で前記昇降装置14のベルト式伝動装置21の上方に配設している。
【0017】
回転駆動装置15のベルト式伝動装置32は、作業軸5側のプーリ32aを作業軸5に回転自在に支持させるとともに、前記減速機33の入力部材であるウェーブジェネレータ33bに結合させている。このウェーブジェネレータ33bは、円筒状に形成して外周部を軸受35によって第2のアーム4に回転自在に支持させている。
【0018】
前記ボールスプラインナット34は、従来からよく知られているものと同等の構造のもので、作業軸5に下端部から上端部まで延びるように形成した縦溝(図示せず)に係入する多数のボールを循環移動できるように内蔵し、作業軸5の上下方向への移動を許容しながら、作業軸5の回転を規制する構造のものである。すなわち、ボールスプラインナット34が前記減速機33のフレクスプライン33aと一体的に回転することによって、作業軸5がボールスプラインナット34と一体的に同一回転数で回転する。また、上述した昇降装置14のボールねじ軸22が回転してボールねじナット23が上昇または下降することにより、作業軸5が前記ボールスプラインナット34に支えられながら上下方向に移動する。作業軸5は、両端部に軸受嵌合用の小径部5a,5bが形成されている他は外径が一定になるように形成しており、ボールスプラインナット34に嵌合させることによって第2のアームに支持させている。
【0019】
前記作業軸5は、図3および図6に示すように、下端部に下部連結部材41を取付け、この下部連結部材41を介してタイバー42を接続している。作業軸5の下端部が本発明に係る作業軸の先端部を構成し、作業軸5の上端部が本発明に係る後端部を構成している。前記下部連結部材41は、図6に示すように、下方から見て三角形状に形成し、三角の各頂点に対応する部分に作業軸5と、2本のタイバー42とを接続している。下部連結部材41と作業軸5との接続部分には、図3に示すように、作業軸5が回転できるように軸受43を介装している。この軸受43の外輪は、下部連結部材41の軸受孔41aに上方から嵌合させ、内輪は、作業軸5を上方から嵌合させている。
【0020】
前記タイバー42は、この実施の形態では断面円形のパイプによって形成し、第2のアーム4の長手方向とは直交する水平方向(図6において上下方向)に並べて配設し、作業軸5と平行に、第2のアーム4を貫通して上下方向へ延びている。タイバー42の下端部が本発明に係るタイバーの一端部を構成し、タイバー42の上端部が本発明に係る他端部を構成している。
【0021】
このタイバー42の下部連結部材41への固定は、図6に示すように、下部連結部材41の後面(第2のアーム4の基端部側の面)にホルダ44を固定用ボルト45によって固定し、これらの下部連結部材41とホルダ44とによってタイバー42の下端部を挟持することによって行っている。下部連結部材41とホルダ44におけるタイバー42を挟持する部分には、下部連結部材41とホルダ44の両方に半円状の切欠き46をそれぞれ形成し、これらの切欠き46にタイバー42を嵌合させている。
【0022】
一方、タイバー42の上端部は、図4に示すように、前記上部連結部材24の両側面にタイバー毎にホルダ47を固定用ボルト48によって固定し、上部連結部材24とホルダ47とによってタイバー42の上端部を挟持している。上部連結部材24とホルダ47におけるタイバー42を挟持する部分には、上部連結部材24とホルダ47の両方に半円状の切欠き49をそれぞれ形成し、これらの切欠き49にタイバー42を嵌合させている。
【0023】
タイバー42が第2のアーム4を貫通する部分には、図5および図7に示すように、ボールブッシュ50を介装している。このボールブッシュ50は、円筒状に形成した軸受(具体的には、タイバー42の表面に接触可能な軸方向のボール配列のボールが、ボール配列の一端から内部を通って他端に循環可能とされてなる環状のボール列を、内周に沿って複数周方向に配置してなるリニアブッシュ)からなり、内周部にタイバー42を摺動自在に嵌挿させるとともに、第2のアーム4の軸受孔51に外周面を嵌合させてサークリップ52(図7参照)によって固定している。
【0024】
前記ボールブッシュ50を支持する第2のアーム4は、図2および図5に示すように、作業軸5を支持する回動端部から第1のアーム3に支持される基部側へ側縁4aが直線的に延びるように形成しており、上方(第2のアーム4の回動軸の軸線方向)から見て前記側縁4aよりアーム内側に前記ボールブッシュ50およびタイバー42を配設している。この実施の形態では、第2のアーム4の幅寸法は、相対的に外径が大きくなる減速機33を第2のアーム4内に収容できるような寸法に設定している。
【0025】
上述したように構成したスカラ型ロボットは、作業軸5とタイバー42の下端部どうしを下部連結部材41で接続するとともに、上端部どうしを上部連結部材24によって接続し、両連結部材を作業軸5およびタイバー42に対して着脱自在に形成しているから、作業軸5の上端部がタイバー42の上端部を支えるようになり、タイバー42が第2のアーム4に対して傾動するのを阻止することができる。
【0026】
このため、作業軸5が第2のアーム4から下方へ大きく突出する状態で第2のアーム4が急速に旋回したりして作業軸5およびタイバー42に大きな曲げモーメントが作用したときに、タイバー42の傾動が阻止されるから作業軸5が振れて振動が生じるのを防ぐことができる。
また、作業軸5およびタイバー42を第2のアーム4に装着した状態でこれらに上部連結部材24や下部連結部材41を取付けることができるから、タイバー42の傾動を阻止する構造を採っているにもかかわらず、組立性が悪くなることはない。
【0027】
作業軸5とタイバー42の第2のアーム4への組付けは、例えば、先ず、これら両部材の上端部に上部連結部材24を取付けて両部材を一つの組立体とし、作業軸5を第2のアーム4側の支持部(回転駆動装置15用ベルト式伝動装置32のプーリ32aの軸孔、減速機33のウェーブジェネレータ33bの軸孔、ボールスプラインナット34の軸孔)に挿通させるとともに、タイバー42を第2のアーム4側の支持部(ボールブッシュ50)に挿通させる。
【0028】
このとき、昇降装置14のボールねじ軸22の下端のプーリ14aにベルト21が連結されている場合には、前記組立体はブレーキ付きのモータ18により重力に逆らって停止する。一方、ボールねじナット23を上部連結部材24に取付けていない場合には、前記組立体は、重力によって下がるが、上部連結部材24が他の部材に接触する位置で停止する。次に、作業軸5とタイバー42の下端部に下部連結部材41を取付ける。この下部連結部材41の取付けは、下部連結部材41に予め装着した軸受43の内輪に作業軸5を嵌合させ、下部連結部材41とホルダ44とでタイバー42を挾持させることによって行う。特に、本実施の形態においては、作業軸5を外周に縦溝を形成するのみの簡単な形状にでき、また、第2のアーム4の先端部にボールねじナット23を配置しない分、先端部の重量を軽減でき、第2のアーム4の回動性能を向上できる。そして、ボールねじ軸22に嵌合するボールねじナット23の上下動の動きを作業軸5に伝達する上部連結部材24を、タイバー42と作業軸5とを連結して作業軸5の剛性向上、すなわち振動軽減にも寄与させることができる。
【0029】
この実施の形態によるスカラ型ロボットは、第2のアーム4を回動端部から基部側(第1のアーム3側)へ側縁4aが直線的に延びるように形成し、この第2のアーム4の回動軸の軸方向から見て前記側縁4aよりアーム内側にタイバー42を配設しているから、従来に較べてタイバー42を第2のアーム4の幅方向の中央に寄せることができる。このため、第2のアーム4を回動端部が第1のアーム3に近接するように回動させたときにタイバー42が第1のアーム3または基台2に当接するまでの角度(最大回動角度)を相対的に大きくとることができる。
【0030】
また、このスカラ型ロボットは、第1および第2のアーム3,4の回動方向を水平方向とし、作業軸5とタイバー42が上下方向に移動する構造を採り、第2のアーム4に回動端部の全域を覆うカバー16を取付けているから、第2のアーム4における作業軸5およびタイバー42を上下方向に移動自在に支持する嵌合支持部に装置外の塵埃が付着することがない。このため、作業軸5とタイバー42を長期間にわたって円滑に移動させることができる。特に、この実施の形態では、2本のタイバー42,42を上方から見て第2のアーム4の内側に配設し、第2のアーム4の側縁4aを直線状に形成しているから、カバー16を単純な形状に形成することができるし、カバー16と第2のアーム4との接続部分にシール部材を介装する場合には、単純な形状のシール部材を用いてコスト低減を図ることができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
本発明に係るスカラ型ロボットは、図8ないし図11に示すように構成することができる。
図8は他の実施の形態を示すスカラ型ロボットの側面図、図9は上部連結部材24の平面図、図10は作業軸5とタイバー42を上部連結部材24に接続した状態を示す断面図、図11は作業軸5と上部連結部材24との接続部分の他の例を示す断面図である。これらの図において、前記図1〜図7によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0032】
図8〜図11に示すスカラ型ロボットは、タイバー42を上下方向に移動自在に支持する軸受部材61を第2のアーム4の側方に配置し、タイバー42を第2のアーム4の両側方に配設している。前記軸受部材61は、ボールブッシュ(図示せず)を備えており、第2のアーム4から側方へ突出するステー62に支持させている。このステー62は、板状に形成して中央部を第2のアーム4に固定し、両端部に前記軸受部材61を支持させている。
【0033】
この実施の形態による上部連結部材24は、図10に示すように、作業軸5の上端部に嵌着させた軸受28を軸受孔63に嵌合させるとともに、タイバー42の上端部を嵌合孔64に嵌合させて固定用ボルト65によって固定している。このため、この上部連結部材24は、作業軸5およびタイバー42の上端部に対して上方から着脱させることができる。
【0034】
上部連結部材24における作業軸5の上端部を支持する部分は、図11に示すように形成することができる。図11に示す上部連結部材24は、軸受孔66を上方にも開口するように形成し、この上端の開口部にゴム製の蓋体67を装着している。また、上部連結部材24と作業軸5との間に介装する軸受28は、内輪に作業軸5を嵌合させてストッパープレート68と固定用ボルト69とによって固定している。固定用ボルト69は、前記開口部の直下に位置しており、蓋体67を取外した状態で上方から着脱できるようになっている。
すなわち、固定用ボルト69を外した状態では作業軸5が上部連結部材24に対して着脱自在になるから、組立作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0035】
上述した第1および第2の両実施の形態では、第2のアーム4の回動軸線を上下方向と平行として第2のアーム4が水平方向へ回動する例を示したが、第1のアーム3および第2のアーム4は、水平方向に対して傾斜させた方向へ回動させることもできる。
また、両実施の形態において、回転および上下動可能な作業軸5の中心線と、第2のアーム4の回動軸線となるモータ13の中心線は共に上下方向をなし、互いに平行としている。しかしながら、作業軸5の中心線とモータ13の中心線は必ずしも平行でなくてもよい。なお、モータ18の回転軸、ボールねじ軸22および作業軸5は互いに平行の方が、ベルトガイド等が不要になり構造が簡単となる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、作業軸の後端部がタイバーの前記他端部を支えるようになり、タイバーがアームに対して傾動するのを阻止することができるから、作業軸がアームから大きく突出する状態であっても、作業軸が振れて振動が起きるのをタイバーによって確実に防ぐことができる。すなわち、アームの急旋回が可能になるため、ロボットの作業効率の向上が図れる。
【0037】
また、作業軸およびタイバーをアームに装着した状態でこれらに連結部材の少なくとも一方を取付けることができるから、タイバーの傾動を阻止する構造を採っているにもかかわらず、組立性が低下するようなことはない。
請求項3記載の発明によれば、回動式アームにおける作業軸およびタイバーを上下方向に移動自在に支持する嵌合支持部に装置外の塵埃が付着することがない。このため、作業軸とタイバーとを長期間にわたって円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスカラ型ロボットの側面図である。
【図2】 本発明に係るスカラ型ロボットの平面図である。
【図3】 作業軸部分の断面図である。
【図4】 上部連結部材の平面図である。
【図5】 図3におけるV−V線断面図である。
【図6】 下部連結部材の底面図である。
【図7】 アームにおけるタイバー貫通部分の断面図である。
【図8】 他の実施の形態を示すスカラ型ロボットの側面図である。
【図9】 上部連結部材の平面図である。
【図10】 作業軸とタイバーを上部連結部材に接続した状態を示す断面図である。
【図11】 作業軸と上部連結部材との接続部分の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…スカラ型ロボット、2…基台、3…第1のアーム、4…第2のアーム、5…作業軸、24…上部連結部材、41…下部連結部材、42…タイバー。

Claims (3)

  1. 回動式アーム(4)の回動端部に作業軸(5)を前記回動端部を貫通して往復移動自在に設けるとともに、前記作業軸と平行なタイバー(42)を移動自在に支持させ、前記作業軸に連結部材を介して前記タイバーを接続することにより作業軸の往復動にタイバーが連動するスカラ型ロボットであって、前記作業軸とタイバーとをそれぞれ前記アームに嵌合構造によって支持させ、前記連結部材を、前記アーム(4)より下方において前記作業軸(5)の先端部が回転自在に接続されかつ前記タイバー(42)の一端部が接続された下部連結部材(41)と、前記アーム(4)より上方において前記作業軸(5)の後端部が回転自在に接続されかつ前記タイバー(42)の他端部が固定された上部連結部材(24)とによって構成し、前記下部連結部材(41)と前記上部連結部材(24)のうち少なくとも一方を作業軸(5)およびタイバー(42)に対して着脱可能に形成してなるスカラ型ロボット。
  2. 請求項1記載のスカラ型ロボットにおいて、回動式アーム(4)に作業軸(5)と平行にボールねじ軸(22)を回転自在に支持させ、このボールねじ軸(22)に螺合させたボールねじナット(23)を上部連結部材(24)に固定したことを特徴とするスカラ型ロボット。
  3. 請求項1または請求項2記載のスカラ型ロボットにおいて、回動式アーム(4)に回動端部の全域を覆うカバー(16)を取付けたことを特徴とするスカラ型ロボット。
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