JP3688523B2 - ガラス容器のコーティング方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ガラスびんなどのガラス容器の外面に樹脂コーティングを行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスびんなどのガラス容器には、容器どうしが擦れ合ったときの擦り傷を防止するため、破壊強度を増強させるため、又は色付けやフロスト調の外観にするために樹脂コーティングが行われる。ガラス容器に樹脂コーティングを行う最も一般的方法は、特公昭58−28216号公報に示されるような、いわゆるディッピング方式である。これは、容器軸回りに自転自在にガラス容器を把持し、このガラス容器を搬送コンベアで搬送し、かつ、自転させながらディップ槽に浸漬し容器胴部にコーティング液を付着させ、さらにこのガラス容器を搬送コンベアで搬送しながらコーティング液を乾燥させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のディッピング方式によるコーティングには、次のような欠点があった。
【0004】
第一に、ガラス容器を自転させながらディップ槽内を移動させるので、ディップ槽の中のコーティング液が波立ち、容器首部の見切り線(コーティングとガラス地肌の境界線)が不規則となり、見苦しくなってしまう。この傾向は、容器の移動速度又は自転速度を大きくするほど顕著となる。また、容器の容量が大きい場合には、容器がディップ槽内を移動するときにその浮力によって上下動し、やはり見切り線が不規則になる傾向が大きくなる。
【0005】
第二に、通常、ガラス容器は胴部に比べて口部の径が小さくなっているが、ガラス容器をディップ槽内で自転させた場合に口部と胴部で周速が異なり、コーティングの膜厚が不均一となり、外観上不適切な状態となる。すなわち、口部は胴部に比べて周速が小さいので、コーティング液の巻き上がり量が少なく、膜厚が薄くなってしまう。
【0006】
第三に、特に大型のガラス容器の場合、ガラス容器をコーティング液に浸漬する場合、ガラス容器の浮力が大きいために、ガラス容器が浮き上がってしまい、底部にコーティング液が付着しない部分ができてしまったり、コーティング膜が極端に薄い部分ができてしまうことがある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決すること、すなわち、容器口部の見切り線を真っ直ぐに見栄えよくすること、口部の膜厚を補って容器全体の膜厚を均一化することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容器軸回りに自転自在にガラス容器を把持し、このガラス容器を搬送コンベアで搬送し、かつ、自転させながらディップ槽に浸漬し容器外面にコーティング液を付着させる工程と、さらにこのガラス容器を搬送コンベアで搬送しながらコーティング液を乾燥させる工程とを有するガラス容器のコーティング方法において、前記コーティング液を乾燥させる工程に入る前に、ガラス容器を搬送コンベアで搬送し、かつ、自転させながらガラス容器の首部付近に局部的に、ガラス容器の搬送方向に沿って膜状に落下するコーティング液の中をガラス容器を通過させることによりコーティング液を付着させる工程を有することを特徴とするガラス容器のコーティング方法である。
【0009】
このような局部的にコーティング液を付着させる工程は、ディップ槽に容器を浸漬する工程の前工程又は後工程として行うことも可能であるが、ディップ槽に容器を浸漬する工程と同時に行うと、コーティング液を処理する特別の設備が不要となる。
【0010】
ガラス容器にコーティング液を局部的に付着させる方法は、ガラス容器の搬送方向に沿って膜状に落下するコーティング液の中をガラス容器を通過させる方法が採用される。この方法により、首部の見切り線が安定する。
【0011】
本発明は、ガラス容器をディップ槽に浸漬するだけではコーティング液が付着しにくい首部に、局部的にコーティング液を付着させるので、一般の容器の首部にコーティング液が付着しない部分が生じるのを防ぐことができ、当該部分の膜厚を補って、容器全体の膜厚を均一化できる。また、首部の見切り線が真っ直ぐに安定して形成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、ガラス容器1をディップ槽16に浸漬した状態の説明図、図2は付着手段4の斜視図、図3は付着手段7の斜視図、図4は実施例の方法によりコーティングしたガラス容器1の部分正面図、図5は従来方法によりコーティングしたガラス容器1の部分正面図である。
【0013】
図1に示すのは、ガラス容器の首部付近及び底部付近に局部的にコーティング液を付着させる工程を、ガラス容器をディップ槽に浸漬する工程と同時に行う場合である。同図において、符号4、6は付着手段、10は無端搬送コンベア、11はガラスびんの把持具、12は把持具の先端部、13は把持具のローラ部、14はユニバーサルジョイント、15はカム板、16はディップ槽、17はオーバーフロー槽、18は配管、19は予備槽、20は配管、21はコーティング液である。
【0014】
無端搬送コンベア10にはユニバーサルジョイント14を介してガラスびんの把持具11が取り付けられている。把持具11の先端部12にはガラス容器1の口部が嵌入し、ガラス容器1が把持具11に把持される。先端部12はゴムなどの弾性体である。把持具11は、ローラ部13がカム板15の上を転がりながら(自転しながら)、図の表方向から裏方向に、無端搬送コンベア10により移動する。
【0015】
ディップ槽16には樹脂コーティングのコーティング液21が満たされている。コーティング液21は、オーバーフロー槽17にオーバーフローし、配管18で予備槽19に流れ込む。この際、コーティング液はフィルターFで濾過清浄化される。さらに、コーティング液は予備槽19からポンプPにより、配管20を経てディップ槽に送られる。このように、コーティング液21は常にディップ槽16と予備槽19を循環し、清浄化されている。
【0016】
ガラス容器1は、口部を把持具11に保持され、自転しながらディップ槽の中を移動していく。この際、容器外面がコーティング液と接触し、コーティング液が付着する。また、首部付近には付着手段4により、局部的にコーティング液を付着させる。付着手段4は、図2に示すように、筒状の本体に多数の孔5を穿設したもので、図示しない供給口からコーティング液が供給されると、多数の孔5からコーティング液が容器首部に滴下する。付着手段4は、ディップ槽16の上方にガラス容器の搬送方向に沿って平行に設けられている。したがって、コーティング液はガラス容器の搬送方向に沿った複数カ所から滴下し、ガラス容器は自転しながら滴下するコーティング液の中を通過し、これによって首部に局部的にコーティング液が付着する。
【0017】
また、ガラス容器1の底部には付着手段6により、局部的にコーティング液を付着させる。付着手段6も付着手段4と同様に、筒状の本体に多数の孔を穿設したもので、図示しない供給口からコーティング液が供給されると、多数の孔からコーティング液が容器底部に向かって流出する。付着手段6の場合は、付着手段4よりも高い圧力でコーティング液が供給される。付着手段6は、ディップ槽16の上方にガラス容器の搬送方向に沿って平行に設けられている。したがって、コーティング液はガラス容器の搬送方向に沿った複数カ所から流出し、ガラス容器は自転しながら流出するコーティング液の中を通過し、これによって底部に局部的にコーティング液が付着する。
【0018】
図3に示すのは本発明における付着手段の例である。同図の付着手段7は、付着手段4と同様の多数の孔が穿設された筒状本体8とプレート部9を有する。図示しない供給口から筒状本体8にコーティング液が供給されると、多数の孔からコーティング液が流出する。流出したコーティング液はプレート部で一旦受けられた後、膜状となってプレート部の先端から落下する。付着手段7もディップ槽の上方にガラス容器の搬送方向に沿って平行に設けられている。したがって、コーティング液はガラス容器の搬送方向に沿って膜状に落下し、ガラス容器は自転しながら膜状のコーティング液の中を通過し、これによってガラス容器に局部的にコーティング液が付着する。
【0019】
コーティング液を噴霧することによってガラス容器に局部的にコーティング液を付着させる場合は、噴霧ノズルをガラス容器の搬送方向に沿って複数個設ける。
【0020】
図4は上記の実施例の方法でコーティングされたガラス容器1、図5は従来の方法でコーティングされたガラス容器1の首部を示しており、符号2は斜線で示すコーティング部分、3は見切り線である。
【0021】
ガラス容器1は、首部に環状の溝1aを有するもので、図5に示すように、従来方法では、このような首部の溝1aの内部までコーティングを施すことはできなかった。また、見切り線3が直線状ではなく不規則な波形となってしまうので、見栄えの悪いものとなっていた。
【0022】
図4に示すように、実施例の方法でコーティングを行ったガラス容器1は、首部に局部的にコーティング液を滴下したので、首部の溝1aの内部までコーティング膜が形成され、見切り線3も直線状となり、たいへん見栄えのよいものとなっている。
【0023】
【発明の効果】
本発明のコーティング方法は、ディップ槽に浸漬するだけではコーティング液が付着しにくい部分に局部的にコーティング液を付着させるので、首部にコーティング液が付着しない部分が生じるのを防ぐことができ、当該部分の膜厚を補って、容器全体の膜厚を均一化できる。また、首部において見切り線を真っ直ぐに安定して形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス容器1をディップ槽16に浸漬した状態の説明図である。
【図2】付着手段4の斜視図である。
【図3】付着手段7の斜視図である。
【図4】実施例の方法によりコーティングしたガラス容器1の部分正面図である。
【図5】従来方法によりコーティングしたガラス容器1の部分正面図である。
【符号の説明】
1 ガラス容器
2 コーティング部分
3 見切り線
4 付着手段
5 孔
6 付着手段
7 付着手段
8 筒状本体
9 プレート部
10 無端搬送コンベア
11 把持具
12 先端部
13 ローラ部
14 ユニバーサルジョイント
15 カム板
16 ディップ槽
17 オーバーフロー槽
18 配管
19 予備槽
20 配管
21 コーティング液
Claims (2)
- 容器軸回りに自転自在にガラス容器を把持し、このガラス容器を搬送コンベアで搬送し、かつ、自転させながらディップ槽に浸漬し容器外面にコーティング液を付着させる工程と、さらにこのガラス容器を搬送コンベアで搬送しながらコーティング液を乾燥させる工程とを有するガラス容器のコーティング方法において、前記コーティング液を乾燥させる工程に入る前に、ガラス容器を搬送コンベアで搬送し、かつ、自転させながらガラス容器の首部付近に局部的に、ガラス容器の搬送方向に沿って膜状に落下するコーティング液の中をガラス容器を通過させることによりコーティング液を付着させる工程を有することを特徴とするガラス容器のコーティング方法
- 請求項1のコーティング方法において、前記、ガラス容器の首部付近に局部的に、ガラス容器の搬送方向に沿って膜状に落下するコーティング液の中をガラス容器を通過させることによりコーティング液を付着させる工程を、前記ガラス容器をディップ槽に浸漬する工程と同時に行うことを特徴とするガラス容器のコーティング方法
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