JP3688500B2 - 光電式分離型感知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、送光部と受光部を分離して配置し、その間の煙による光の減衰を検出して火災を感知する光電式分離型感知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、設置の際に光軸調整・受光量調整を必要とする従来の光電式分離型感知器においては、感知器を取り付けた後、感知器光学台に設けられた視準孔を覗き、送光部側・受光部側とも相手の筐体が視準孔の中にはいるよう光学台を向け、そのあと受光部側で受光量調整を受光部本体のボリウムを回す形で行っている。
【0003】
ところで、光軸調整や受光用調整を実施する際も、調整終了後の火災監視時でも受信機側から感知器に電源を供給して送光部を発光させる必要がある。しかし、受信機から電源が供給された時点で、感知器はその受光量を元に火災判断を行い、火災と判断すると火災信号を受信機に伝送してしまい、受信機が火災判断をしてしまうことになる。特にP型火災報知システムでは火災信号は感知器に供給される電源を感知器の側で短絡し、受信機は電流が増加することを検出して火災信号を出しているため、感知器側としては、火災信号送出中は自らの電源を断つことになるので、機能停止状態となる。
【0004】
よって、光軸調整・受光量調整を行う際には、受光量が大きく上下しても火災信号を送出しないよう、単に送光部発光→受光→受光量表示のルーチンのみ実行し火災表示は行わない調整モードを、実際に火災監視まで行う監視モードと切り換えるようにする必要がある。よって、このモードを切り換えるためのスイッチが、通常、感知器・受光部側にのみ装備され、送光部側には装備されないことが多い。
【0005】
また、光軸調整や受光用調整を実施する際も、調整終了後の火災監視時でも受信機側から感知器に電源を供給して送光部を発光させる必要があるが、工事の日程の都合など、受信機から電源が供給できない状態で、感知器の光軸調整・受光量調整を行わなくてはいけない場合がある。よってこのような場合に備え、光軸調整・受光量調整を受信機なしでも行えるよう予備電源端子を受光部側に装備している。
【0006】
また、通常光電式分離型感知器には、監視/調整の2つのモードがある。監視モードは火災検出を行う通常モ一ドである。調整モードは光軸調整時に用いるモードで、光軸・受光量の調整時に、誤って受光部前面を手で遮ってしまうことなどで火災信号や故障信号を受信機に送出しないようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の光電式分離型感知器の場合、複数の光電式分離型感知器が設置されている現場では、隣接する光電式分離型感知器がほぼ同時に発光する場合がある。
そうした場合、隣接する光電式分離型感知器間の距離によっては、隣の光電式分離型感知器の光信号を受光してしまい、正確な受光量を測定できない恐れがある。そのため複数の光電式分離型感知器を平行に並べて設置する際は、隣の光電式分離型感知器に対して送光部・受光部が交互になるように設置していた。しかし、送光部・受光部を交互設置すると火災受信機等へ接続するための火災信号線の電線の線路長が増大する等の問題点があった。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、送光部・受光部を交互設置するような電線の線路長を増大させることなく、隣接する感知器の発光による影響を受けない光電式分離型感知器を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光電式分離型感知器は、送光部と、検煙空間を挟んで該送光部に対向して設けられる受光部とを有し、前記送光部の発光と前記受光部の受光とを同期させるための同期線が接続されて、前記送光部の発光に対する前記受光部による受光量が煙の存在により変化することに基づいて火災情報を出力する光電式分離型感知器において、前記受光部は、所定の周期で前記同期線に同期信号を出力し、また、前記送光部は、前記同期線から該同期信号を受信して発光するものであって、前記受光部は、前記同期信号の発信周期を選択できる周期選択スイッチを有し、該周期選択スイッチにより選択された周期で前記同期信号を出力し、さらに、前記送光部または受光部は、前記周期選択スイッチによって選択された周期を示す表示灯を備えていることを特徴とする。
また、各発信周期は、約3秒近辺であり、かつ、送光部からの発光時間が約100μ秒、発信周期間の差が少なくとも約50m秒以上設定され、各発信周期の精度が土1%である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図を参照しながら説明する。
図1はこの発明の実施の形態による光電式分離型感知器の受光部側を示す構成図である。
図において、1は実質的に電源の極性をなくし、有極による配線の不便さを解消する無極性化回路であって、ブリッジ接続された複数のダイオード1a〜1dからなり、ダイオード1aのアノードおよびダイオード1cのカソードの接続点とダイオード1bのアノードおよびダイオード1dのカソードの接続点がそれぞれ電源端子兼火災信号出力端子T1およびT2に接続される。この電源端子兼火災信号出力端子T1およびT2は、図示しない火災受信機または中継器(以下、単に受信機という)に火災信号線(電源線兼信号線)により接続されている。
【0016】
また、ダイオード1aのカソードおよびダイオード1bのカソードの接続点が復旧パルス検出回路2および定電圧回路6の入力側に接続され、ダイオード1cのアノードとダイオード1dのアノードの接続点が予備電源端子の一方の端子(−側)T6に接続される。定電圧回路6は受信機側からの電源電圧を送光部側内部回路の動作に適した電圧に変換するための回路である。予備電源端子T5(+側)が逆流防止用ダイオード22および抵抗器23を介して無極性化回路1の出力側に接続される。
3はマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)からなる受光部制御回路であって、その電源+側入力端子に定電圧回路6の出力側が接続され、その復旧信号検出入力端子に復旧パルス検出回路2の出力側が接続される。
【0017】
また、無極性化回路1の出力側即ちダイオード1aのカソードおよびダイオード1bのカソードの接続点とダイオード1cのアノードおよびダイオード1dのアノードの接続点の間に例えば赤色のLEDを用いた火災表示灯5と火災信号出力スイッチング素子4が接続され、このスイッチング素子4は受光部制御回路3からの火災信号出力でその開閉を制御される。
【0018】
定電圧回路6の出力側と送光部電源兼同期信号出力端子T7(+側)の間に送光部電源スイッチング素子7と第1の逆流防止素子としての逆流防止用ダイオード8が接続され、また、送光部電源兼同期信号出力端子T7と無極性化回路1の出力側の間に予備電源供給のための配線PLが第2の逆流防止素子としての逆流防止用ダイオード9を介して接続される。
【0019】
送光部電源兼同期信号出力端子T7およびT8(−側)間には監視/調整切換パルス受信回路10と同期線短絡スイッチング素子11が並列接続され、監視/調整切換パルス受信回路10の出力は受光部制御回路3の監視/調整モード切換入力端子に供給され、同期線短絡スイッチング素子11は受光部制御回路3からの同期線短絡スイッチング操作信号によりその開閉を制御される。受光部制御回路3および監視/調整切換パルス受信回路10は実質的にモード設定手段を構成する。また、この受光部側には調整モードであることを表示する表示灯を設けるようにしてもよい。
【0020】
12は例えばフォトダイオードPDを用いた受光素子、13はこの受光素子12に並列接続された受光素子負荷抵抗であって、この受光素子負荷抵抗13の摺動端子が受光増幅回路14およびサンプル/ホールド(S/H)回路15を介して受光部制御回路3の受光増幅回路入力端子に接続される。
受光増幅回路14とサンプル/ホールド回路15は定電圧回路6より電源を受けるようになされている。
【0021】
受光部制御回路3の監視距離切換スイッチ端子、監視/調整切換スイッチ端子および発光周期切換スイッチ端子と電源−側端子入力端子の間にそれぞれ双方向スイッチ16、モード選択スイッチとしての単方向スイッチ17および周期選択スイッチとしての単方向スイッチ18が設けられ、また、トラブル表示灯端子と電源−側端子入力端子の間に例えば黄色のLEDを用いた異常表示手段としてのトラブル表示灯19が設けられる。
【0022】
20はトラブル信号出力スイッチング素子、21は無極性化回路であって、ブリッジ接続された複数のダイオード21a〜21dからなり、ダイオード21aのアノードおよびダイオード21cのカソードの接続点とダイオード21bのアノードおよびダイオード21dのカソードの接続点がそれぞれトラブル信号出力端子T3およびT4に接続される。
【0023】
また、ダイオード21aのカソードおよびダイオード21bのカソードの接続点とダイオード21cのアノードおよびダイオード21dのアノードの接続点にトラブル信号出力スイッチング素子20が接続され、その開閉を受光部制御回路3からのトラブル信号出力により制御される。
【0024】
図2はこの発明の実施の形態による光電式分離型感知器の送光部側を示す構成図である。
図において、31は無極性化回路であって、ブリッジ接続された複数のダイオード31a〜31dからなり、ダイオード31aのアノードおよびダイオード31cのカソードの接続点とダイオード31bのアノードおよびダイオード31dのカソードの接続点がそれぞれ電源端子兼同期信号入力端子T11およびT12に接続される。
【0025】
この電源端子兼同期信号入力端子T11およびT12は電源線兼信号線としての送光・受光同期線(以下、同期線という)を介して受光部側の送光部電源兼同期信号出力端子T7およびT8に接続されている。
また、ダイオード31aのカソードおよびダイオード31bのカソードの接続点が起動・同期・受光電圧用のパルス検出回路32および定電圧回路37の入力側に接続される。
【0026】
33はマイクロコンピュータからなる送光部制御回路であって、その電源+側入力端子に定電圧回路37の出力側が接続され、そのパルス信号検出入力端子にパルス検出回路32の出力側が接続される。
また、無極性化回路31の出力側即ちダイオード31aのカソードおよびダイオード31bのカソードの接続点とダイオード31cのアノードおよびダイオード31dのアノードの接続点の間に例えば監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子34が接続され、送光部制御回路33からの監視/調整モード切換出力でその開閉を制御される。
【0027】
35は無極性化回路、36は火災試験信号入力回路であって、無極性化回路35はブリッジ接続された複数のダイオード35a〜35dからなり、ダイオード35aのアノードおよびダイオード35cのカソードの接続点とダイオード35bのアノードおよびダイオード35dのカソードの接続点がそれぞれ火災試験信号入力端子T13およびT14に接続される。
【0028】
また、ダイオード35aのカソードおよびダイオード35bのカソードの接続点とダイオード35cのアノードとダイオード35dのアノードの接続点の間に火災試験信号入力回路36が設けられ、その出力が送光部制御回路33の火災試験信号入力端子に供給されるようになされている。
【0029】
定電圧回路37の出力側即ち送光部制御回路33の電源+側入力端子と電源−側入力端子の間に発光素子電流切換スイッチ38、発光素子スイッチング素子39および例えば近赤外線LEDを用いた発光素子40が直列接続される。発光素子電流切換スイッチ38は並列に設けられた切換可能な複数の発光電流設定用抵抗からなり、また、発光素子スイッチング素子39は送光部制御回路33からの発光素子スイッチング出力でその開閉を制御される。
【0030】
また、送光部制御回路33の電源+側入力端子と電源−側入力端子の間に、限流用抵抗41、通電表示灯スイッチング素子42および例えば緑色のLEDを用いた通電表示灯43が直列接続され、同様に、限流用抵抗44、試験表示灯スイッチング素子45および例えば赤色のLEDを用いた試験表示灯46が直列接続され、これらの直列回路に発光電流充電用電解コンデンサ47が並列接続される。
【0031】
なお、通電表示灯スイッチング素子42および通電表示灯43は、同期線を介して送光部側に選択されている周期を示す周期信号が受光部側から出力された際に、実質的にその周期信号を受信して発光の周期を区別する投光側表示手段を構成する。なお、この選択されている周期を区別するための表示手段を受光部側にも設けてもよい。
【0032】
そして、通電表示灯スイッチング素子42と試験表示灯スイッチング素子45は、それぞれ送光部制御回路33からの通電表示灯スイッチング素子出力および試験表示灯スイッチング素子出力でその開閉を制御される。
48はモード変更スイッチ即ち監視/調整モード切換スイッチであって、このスイッチが例えばオフの時はモードを変更しない定位状態、オンの時はモードを変更する状態(監視→調整モードまたはその逆)である。
【0033】
49は定電圧回路37の出力側即ち送光部制御回路33の電源+側入力端子と電源−側入力端子の間に設けられ、送光部制御回路33からの受光レベル出力を受ける受光レベル出力回路、50は受光レベル出力回路49の出力側に端子T17とT18を介して着脱可能に接続された受光量表示用電圧計である。
予備電源端子T15(+側)が逆流防止用ダイオード51および抵抗器52を介して電源端子兼同期信号入力端子T11に接続され、予備電源端子T16(−側)が直接電源端子兼同期信号入力端子T12に接続される。
【0034】
次に、動作について説明する。
先ず、光電式分離型感知器の全体的な動作について説明する。
通常監視時においては、火災信号出力スイッチング素子4がオフの状態で受信機より受光部側に火災信号線を介して電源電圧が供給されており、受光部側はそれを無極性化回路1を介して受け、定電圧回路6でその電源電圧を送光部側内部回路の動作に適した電圧に変換し、同期線を介して送光部側に電源として供給している。このとき、送光部電源スイッチング素子7はオン、同期線短絡スイッチング素子11はオフとなっている。
【0035】
そして、受光部制御回路3は図示しない内部のタイマ手段としての監視周期タイマの出力を受けてその指令を受けると、一定時間例えばば5ms間だけスイッチング素子7および11の状態を反転し、電源が断たれ、線間が短絡されるため同期線の電圧が0となり、送光部側へ5ms幅の同期パルスを確実に送ることができる。
【0036】
以後受光部側は、監視周期タイマの出力ごとに上記動作を繰り返す。そして、受光部制御回路3は上記の同期パルスに同期して受光素子12で受光され、受光増幅回路14およびサンプル/ホールド回路15を介して入力された受光量に基づき火災と判断すれば、火災信号出力スイッチング素子4をオンさせ、火災表示灯5を点灯すると共に、端子T1、T2に図示しない火災信号線を介して接続される図示しない受信機に火災である旨を伝える。
【0037】
また、送光部側は受光部側より供給される電圧を定電圧回路37で安定化させている。しかし、通電表示灯スイッチング素子42は通常オフ、即ち遮断状態となっており、通電表示灯43は消灯状態である。
同期パルスが受光部側より送られると、電圧検出回路37でそれを検出して送光部制御回路33が所定のパターンで通電表示灯スイッチング素子42をオンし、通電表示灯43に電源を供給するのでこの通電表示灯43が点滅し、よって送光部側が発光することになる。
【0038】
ここで、同期パルスを受けた後における送光部の発光時間は約100μ秒間であり、複数用意される異なる同期信号の発信周期間の差が、該送光部の発光から受光部が受光するまでに少なくとも20m秒程度必要とされ、各発信周期の精度が±1%である。そして、各発信周期は、約3秒近辺である例えば、発光周期の公称値が2.9秒と3.0秒の2通りがある場合、この同期パルス発信時間の精度は土1%なので、公称2.9秒とは2.87〜2.93秒の間、公称3.0秒は2.97〜3.03秒の間に送光部に同期パルスが送られ、送光部は所要時間100μ秒の幅の発光を開始する。また、対向する受光部側は同期パルスを送光部に送り始めてから20m秒間を送光部からの発光を受光して火災判断を行うのに要する時間となる。つまり受光部側は同期パルスを発してから20m秒間が、対向する送光部からの受光から火災判断までの所要時間であるため、この間他の送光部からの光を受光してはならない時間である。この20m秒間を除いた1周期残りの時間は待機時間で受光を行わないので、対向する送光部以外の光を受けたとしても何ら問題ない時間である。
【0039】
また、受光部は確実な火災判断のために、1度だけの受光量だけでは火災判断を行わず、その前後で数回分の受光量平均値を火災判断に用いる。隣接する2台の感知器が1度でも発光が重なってしまうことは防止できないが、1度だけの発光の重なりは、火災判断のための受光量平均値にはさほど大きく影響せず、その次の周期から数回以上連続して重ならなければ、正常な火災判断を継続して監視が続けられることになる。
【0040】
公称値が2.9秒側に設定された感知器は誤差のため処理が後ろに移動しても2.93秒から2.95秒まで20m秒間が受光を行う時間であり、一方公称値3.0秒に設定した側は誤差のための同期パルス送出が前に移動したとしても2.97秒となる。これにより、発光が重なった周期があってもその次の周期では必ず公称2.9秒設定の感知器は2.95秒までに受光を終わり、公称3.0秒設定の感知器は少なくとも2.97秒後にならないと送光部が発光しないので2回以上連続して隣り合った感知器の発光が重なり、他方側の受光部に受光されてその火災判断を誤らせることを防止できることになる。1度重なった発光が次に重なるのは理論上2.9秒と、3.0秒との最小公倍数である87秒後、すなわち1.5分後であり、これは火災監視のための数周期分の平均を求めるに必要な数10秒程度の時間に比べ十分長いので全く問題は生じない。
【0041】
また、基準を2秒とすれば、発光周期の公称値の差が50m秒でも重ならない。そして、この場合精度が±1%で、1.93〜1.97秒の間と、1.98〜2.02秒の間とで100μ秒の幅で発光する。
かくして、感知器取付後隣接する感知器と異なる発光周期・発光タイミング等になるように設定となっているのを確認する場合、隣接する感知器で表示灯の点灯の仕方が異なるかどうかを確認することで、分かるようになる。
つまり、隣接する光電式分離型感知器の送光部・受光部をそれぞれ同一方向に並べて設置できるようにするために、発光周期や発光タイミングを何通りか設定し、設定内容を表示灯の点滅のさせ方で表示することができる。
【0042】
なお、設定内容を示す表示灯は、本実施の形態では通電表示灯43に兼用させているが、設定表示専用のものを用いても、その他の通電表示灯等の既存の表示灯と兼用させても良い。
送光部側を発した光は監視空間(検煙空間)を経て対向する受光部側に受光される。受光部側では、送光部側の光を受光素子12を介して受け、その出力を受光増幅回路14で増幅し、光った時間のパルスのみサンプル/ホールド回路15でサンプル/ホールドして受光部制御回路3に入力する。
【0043】
受光部制御回路3はサンプル/ホールド回路15の出力を受光増幅回路入力端子により取り込んでA/D変換し、6ビツトの2進化符号に変換してそのコードに基づき、送光部電源スイッチング素子7をオフ、同期線短絡スイッチング素子11をオンしてパルスを形成し、送光部ヘ受光量情報を伝達する。このときの受光量情報を表すパルスは図5に示すように同期信号を表すパルス(同期パルス)とパルス幅で区別できるよう例えば1msとしている。
【0044】
送光部側ではこのコード化されたパルスを受けるとパルス検出回路32がそのパルスをとらえて送光部制御回路33へ伝達し、送光部制御回路33はその情報量に基づいた電圧を出力できるようD/A変換を行い、その電圧を受光レベル出力回路49を介して電圧計接続端子T17およびT18に出力する。
よって、受光量表示用電圧計50を接続端子T17およびT18に接続すれば送光部側で受光量が確認できることになる。
なお、受光量は電圧以外の物理量(例えば電流・周波数・パルス幅・位相など)と関連づけて表示させてもよく、また送光部自体にLEDを内蔵させてその点灯状態で示してもよい。
【0045】
この機能によって、送光部側の作業者は受光部側作業者に受光量を尋ねたり、電線を改めて敷設したりしなくとも、手元で受光量を知ることができるため、より正確で確実な光軸調整が行えることになる。
【0046】
通常、受光部側は受光部制御回路3内の監視周期タイマの出力に基づいて、送光部へ図5のような負極性の同期パルスを送っている。送光部側は同期パルスの立ち下がりを、パルス検出回路32でとらえて、送光部制御回路33に受光部側より発光指令がきたことを通知する。送光部制御回路33はこれを受け、発光素子スイッチング素子39をオンし、発光素子40に定電圧回路37の電圧を発光素子電流切換スイッチ38を介して供給することによって、感知空間を挟んだ受光部側へ向け、発光を行う。
【0047】
この発光を受け、受光部側は受光素子12でこの発光を電気信号に変換する。そして受光増幅回路14にてこの電気信号を増幅し、サンプル/ホールド回路15でサンプル/ホールドして受光部制御回路3でA/D変換して受光量をデジタル量に変換し、内部のメモリ(図示せず)に記憶する。
また、このデジタル量を例えば図5のような形で複数のパルスP1〜P6からなる受光量情報として送光部側へ送信する。ここでは、一例としてパルスP1〜P5は受光電圧、P6は周期・モードをそれぞれ表している。
【0048】
送光部側はこれらのパルスを起動・同期・受光電圧パルス検出回路32で検出し、送光部制御回路33を経由してDA変換を行い、電圧計接続端子T17およびT18に接続した受光量表示用電圧計50に電圧の形で受光量を表示し、送光部側の作業者に通知する。このとき常閉型の監視/調整スイッチ48を切り換えなければそのまま次の発光周期時間まで待機となる。
【0049】
送光部側の作業者が監視調整スイッチ48をオフからオンへ切り換えることにより、送光部側制御回路33の監視/調整切換スイッチ端子によってスイッチ48の操作による電圧変化を検出し、スイツチが切り換えられたことを認識する。送光部制御回路33は同期線上の受光量パルスを受けた後、監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子34をオンして同期線間を低インピーダンスで短絡することにより、図6に示すような負極性の監視調整モード切換要求パルスを送る。
【0050】
受光部側では受光量情報を送光部側へ送った後、同期線間に流れる電流が増えたことを監視/調整切換パルス受信回路10で検出し、受光部制御回路3のモード切換入力端子に入力されて送光部側よりモード切換要求がきたことを認識でき、次の監視からモードを切り換えることが可能である。
【0051】
この機能によって、送光部側の作業者は、送光部光軸調整・受光量調整作業終了後は、受光部側へ行かなくとも、調整モードから監視モードヘ切換可能となり、作業時間の短縮化が図れる。
【0052】
また、もし誤って光軸調整後、監視モードに切り換えるのを忘れると、光電式分離型感知器は火災検出を行わないので、当該感知器の監視エリアが未警戒となる。よって、調整モードを選択してからある一定の時間(例えば1時間)を経過した場合、自動的に監視モードに切り換えることで、斯かる不都合を解消できる。このため、監視/調整切換スイッチ48は、定位/モード変更のモード変更スイッチとする。感知器光軸調整時に作業者は、感知器が監視モードになっている場合には、モード変更スイツチをモード変更側に操作することにより調整モードにする。
【0053】
そして、感知器が調整モードとなった時点で、本実施の形態ではソフト上で計数しているが、感知器内蔵マイコンのタイマ等により、調整モードを実行している時間を計測する。光軸調整終了後作業者はモード変更スイツチにより監視モードに戻して光軸調整終了となるが、もし監視モードに戻すことを、誤って忘れてしまっても、調整モード実行時間が例えば1時間経過したら自動的に監視モードに切り換わることで、モードの切り換え忘れを防ぐことができる。また、光軸調整が不完全な状態で、監視モードになってしまった場合は、感知器側から受信機に障害信号(トラブル信号)が送出されることで、未監視状態であることがわかる。
【0054】
従って、調整モードから監視モードヘ切り換えることを誤って忘れた場合でも、火災検出を確実に行うことができる。また、光軸調整が不完全な状態であった場合、障害信号を送出することにより、光軸調整の不良を示すことができる。
【0055】
上述の如く、送光部側は受光部側からの受光量情報としてのパルスを検出し、送光部制御回路33でD/A変換して電圧計50に電圧の形で受光量として表示するが、この電圧は受光部側の定電圧回路6と送光部電源スイッチング素子7を通っており、通常6V〜8V程度となる。
一方、予備電源の電圧は通常24Vあり、18V近い電圧差がある。そこで、上述の如く送光部側に設けた予備電源端子T15およびT16から少なくとも一方この場合T15側を逆流防止用ダイオード51および電流制限抵抗52を介して同期線に結線している。
【0056】
また、受光部側には同期線から定電圧回路6へ逆流防止用ダイオード9を挿入すると共に送光部電源スイッチング素子7から定電圧回路6へ電圧が逆流しないよう逆流防止用ダイオード8を挿入している。これにより、送光部側の予備電源端子T15およびT16に予備電源が接続された場合、同期線を通じて受光部側にも電源が供給され、かつ受光部側の同期線短絡スイッチング素子11や送光部側の監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子34が同期線間を低インピーダンスで短絡した際も、線間電圧は予備電源端子T15のすぐ近傍につけた電流制限抵抗52のために低下するので、図7に破線で示すように平常時の電圧(負極性パルス以外の部分)だけが高い同様のパルス波形が形成される。
【0057】
また、送光部側のパルス検出回路32も3V程度以下に下がった場合を検出するので、やはり受信機から電源供給したのと同じ動作となる。よって、送光部側に接続した予備電源で火災信号出力以外の光電式分離型感知器の機能全てを行わせることが可能となる。
【0058】
この機能によって、送光部側の作業者は、送光部光軸調整・受光量調整作業終了後は、すぐ手元で予備電源をはずせるので受光部側へ行く必要がなくなり、作業時間の短縮化が図れる。
【0059】
また、本実施の形態では、送光部側よりの監視/調整モード切換要求を確実に把握できると共に消費電流の低減を図るために、図5に示すようなパルスP7を用いる。
このパルスP7は、受光部側の同期線短絡スイッチング素子11はオフのままとして、常閉型の送光部電源スイッチング素子7を所定時間だけオフして作る。つまり、図5において、送光部電源スイッチング素子7を時間t1でオフ、時間t3でオンさせて作るもので、このパルスP7の時間帯は電源が供給されないので、このパルスの間は実質的に送光部側と受光部側を繋いでいるケーブル(電源線兼信号線)の線間容量の電荷に充電されていた電荷のみが残る形になる。即ち、このパルスP7のパルス幅期間中はケーブルの線間容量の電荷は、出力端子17→監視/調整切換パルス受信回路10→出力端子18の経路で、監視/調整切換パルス受信回路10の感知電流が流れて電荷を消費するので、実質的に図5に示すような波形となる。
【0060】
このとき、仮に送光部側で監視/調整切換スイッチ48が操作され、監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子34がオンすれば、同期線が短絡され、その短絡した時間だけ線間電圧が0Vとなり、パルスP7は図5に破線で示すように時間t2〜t3の間0Vとなるような波形となる。
【0061】
受光部側は監視/調整切換パルス受信回路10で0V近くまでの電圧降下を検知し、これにより、送光部側よりモードの切換要求があったことを知ることが出来る。また、送光部電源スイッチング素子7がオフなので、受信機側より供給される電流を消費しないで済む。
【0062】
因みに、送光部電源スイッチング素子7がオンで、送光部側が同様のパルスP7を送った場合、そのパルスを送る間に受光部側の定電圧回路6からも送光部側の監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子34に電流が流れるので、受信機側から供給される電源をより多く消費してしまい、また、定電圧回路6から電圧が供給され続けるため、このスイッチング素子34のみでは電圧を0Vまで落としにくい。
【0063】
従って、受光量情報を受光部側が送り終わった後の一定時間後受光部側で送光部電源スイッチング素子7のみを一時的にオフすることで、受光部側で送光部側より送られてくる監視/調整モード切換要求パルスをより確実に受信することが出来、また、送光部側に電源を供給したまま、同期線間を短絡することで、消費電流を抑えることができる。
【0064】
次に、受光部側の受光部制御回路3の動作を図3を参照して詳しく説明する。マイコン初期化および予め内部のメモリに格納されている発光周期に関する周期設定の読み込みを行い(ステップS1)、発光制御即ち図5に示すような同期パルスを送光部側に送出する(ステップS2)。
【0065】
すると送光部側で発光素子40が発光し、その発光が受光素子12で受光され、受光増幅回路14およびサンプル/ホールド回路15を介して受光部制御回路3に入力され、ここで受光電圧を測定し(ステップS3)、図5に示すような受光電圧および周期・モード情報の送出を行う(ステップS4)。これらの情報は同期信号を基準としたタイミングで出力される。
【0066】
次いで、モード変更スイッチ即ち監視/調整モード切換スイッチ17の確認を行い(ステップS5)、変更であればモードを変更して(ステップS6)ステップS7に進み、定位状態であればそのままステップS7に進む。
ステップS7ではモードの確認を行い、調整モードであればトラブル表示灯19を点灯し(ステップS8)、調整モードに設定されてからの経過時間を測定し(ステップS9)、規定の時間例えば1時間が経過したか否かを見て(ステップS10)、規定の時間が経過していれば調整後切り換えを誤って忘れたり、或いは光軸調整が不完全な状態等ということでトラブル灯が点灯し続けていると思われるので、監視モードへ強制的に変更(ステップS11)してステップS31に進み、規定の時間が経過してなければそのままステップS31に進む。
一方、ステップS7で監視モードであれば、減光率の計算を、次式に従って行う(ステップS12)。
【0067】
減光率=(基準値−受光電圧)/基準値 (1)
【0068】
この式(1)における基準値は電源投入から所定の更新時間例えば1時間毎に更新されるが、その電源投入後または更新後に最初に受光した受光量(受光電圧)の値であり、受光電圧は現在の受光量の値である。
【0069】
次いで、予め監視距離切換スイッチ16の操作により内部のメモリに設定されている火災感度とステップS12で算出された減光率から火災判定を行い、減光率が所定の火災感度以上であれば火災、火災感度未満であれば火災でないと判断する(ステップS13,14)。
そして、火災であれば火災信号出力を発生して火災信号出力スイッチング素子4をオンし、火災表示灯5を点灯させると共に、そのことを受信機に通報して(ステップS15)ステップS16へ進み、火災でなければそのままステップS16へ進む。
【0070】
ステップS16において基準値の更新時間を経過したか否かを判別し、経過していなければステップS20へ進んで待機し、経過していれば新しい基準値を算出し(ステップS17)、その新しい基準値が正常か否かを判別し(ステップS18)、正常であれば基準値の更新を行い、その値をメモリに格納し(ステップS19)、正常でなければその基準値を更新することなくステップS20へ進む。
【0071】
そして、異常判定を行い(ステップS20)、基準値または受光量が異常か否かどうかを判定し(ステップS21)、異常でなければ、次回発光時間まで待機し(ステップS31)、異常であれば異常信号を出力し(ステップS22)、異常の種別として受光量が過大か否かを判別し(ステップS23)、過大であれば、即ち受光量が基準値を越える(受光量飽和)ときはトラブル灯19を点灯し(ステップS24)、所定時間例えば200ms待って(ステップS25)再びトラブル灯19を点灯し(ステップS26)、以下同様にトラブル灯19の点灯(ステップS28、S30)および200ms待機(ステップS27、S29)を繰り返し、次回発光時間まで待機する(ステップS31)。つまり、受光量飽和の場合はトラブル灯19を4回点滅することになる。
【0072】
また、ステップS23で受光量が過大でない場合は、異常の種別として汚損か否かを受光量の大きさ等から判別し(ステップS32)、汚損であればトラブル灯19を点灯し(ステップS26)、200ms待ち(ステップS27)、以下同様にトラブル灯19の点灯(ステップS28、S30)および200ms待機(ステップS29)を繰り返し、次回発光時間まで待機する(ステップS31)。つまり、汚損の場合はトラブル灯19を3回点滅することになる。
【0073】
一方、ステップS32で汚損でなければ即ち遮光状態であると判別し、トラブル灯19を点灯し(ステップS28)、200ms待ち(ステップS28)、そして再びトラブル灯19を点灯(ステップS30)した後次回発光時間まで待機する(ステップS31)。つまり、遮光の場合はトラブル灯19を2回点滅することになる。そして、ステップS31の後は監視モードに入り、ステップS2へ戻って、上述の動作を繰り返す。
【0074】
これらの動作は異常の種別をトラブル灯の回数で表しているものであり、その回数と種別との対応は本実施の形態のものに限らない。そして、異常の種別は追加してもよい。
【0075】
なお、上述は受光部側で異常判別し、受光側でトラブル灯を点灯する場合であるが、同期線を介して送光部側へ異常情報を出力すれば、送光部側にもトラブル灯を設けることができる。
また、送光部側は受光部側から同期線を介して受光情報を受信しているので、異常判別を送光部側で行うこともでき、送光部側にトラブル灯を設けるとともに、同期線を介して受光部側のトラブル灯を制御してもよい。
【0076】
次に、送光部側の送光部制御回路33の動作を図4を参照して詳しく説明する。
マイコン初期化を行い(ステップS41)、ストップ解除信号即ち図5に示すような負極性の起動パルスを受光部側から受信したか否かを判別し(ステップS42)、受信していなければ受信するまで待機し、起動パルスを受信すると、クロックパルスの発生を停止していた送光部制御回路33即ちマイクロコンピュータのクロックパルス停止が解除され、クロックパルスが発生されるようになる。
【0077】
次いで、上述のステップS2(図3)で受光部側から送出された同期パルスを受信したか否かを判別し(ステップS43)、受信していなければ受信するまで待機し、受信すると、受信機側から無極性化回路35および火災試験信号入力回路36を介して火災試験信号を受信したか否かを判別し(ステップS44)、火災試験信号の受信であれば発光素子スイッチング素子39および試験表示灯スイッチング素子45をオンしてそれぞれ発光素子40および試験表示灯46の発光を行い(ステップS45)、更に通電表示灯スイッチング素子42をオンして通電表示灯43を発光する(ステップS47)。
【0078】
一方、ステップS44における受信が火災試験信号でなければ通常モードの発光と云うことで、発光素子スイッチング素子39をオンして発光素子40の発光を行い(ステップS46)、更に通電表示灯スイッチング素子42をオンして通電表示灯43を発光する(ステップS47)。
【0079】
次いで、上述のステップS4(図3)で受光部側から送出された受光電圧データを受信したか否かを判別し(ステップS48)、受信していなければ受信するまで待機し、受信すると、その受光電圧データをセンサ出力端子即ち受光レベル出力回路49を介して接続端子T17およびT18に出力し(ステップS49)、これらの端子に受光量表示用電圧計50を接続すれば送光部側で受光量が確認できることになる。この電圧計50における受光量の表示はレベルまたは数字のいずれでもよい。
【0080】
同様に、上述のステップS4(図3)で受光部側から送出された周期・モード情報を受信したか否かを判別し(ステップS50)、受信していなければ受信するまで待機し、受信すると、これらの周期・モード情報をデータとして内部のメモリに格納する(ステップS51)。
【0081】
次いで、モード変更スイッチ即ち監視/調整切換スイッチ48の確認を行い(ステップS52)、この監視/調整モード切換スイッチ48がオフであればモードを変更しない定位状態(監視モード)であるので、そのままステップS54に進んで所定時間例えば200ms経過するのを待ち、監視/調整モード切換スイッチ48がオンであればモードを変更する状態(調整モード)であるので、モード変更要求信号即ち図7に示すような監視/調整モード切換要求パルスを送出し(ステップS53)、その後所定時間例えば200m秒経過するのを待つ。
【0082】
次いでモードの確認を行い(ステップS55)、監視モードであれば、監視モードの発光周期の確認を行い(ステップS56)、その周期が第1の設定周期例えば3.0秒の場合は、或いはステップS55で調整モードであれば、共に通電表示灯スイッチング素子42をオンして通電表示灯43を発光し(ステップS57)、その後200m秒の経過時間待機状態に入り(ステップS58)、また、ステップS56でその周期が第2の設定周期例えば2.9秒の場合は、そのままステップS58の200m秒の経過時間待機状態に入る。
【0083】
同様に、再度モードの確認を行い(ステップS59)、調整モードであれば、通電表示灯スイッチング素子42をオンして通電表示灯43を発光し(ステップS60)、その後ステップS61に進み、監視モードであれば、そのままステップS61へ進む。
【0084】
つまり、通電表示灯43の発光回数は、監視モードで発光周期が2.9秒の場合発光周期毎に1回発光し、発光周期が3.0秒の場合発光周期毎に2回発光し、調整モードの場合は発光周期毎に3回発光することになる。
そして、発光制御を含む必要な処理が終了すると、ステップS61でストップモードの実行に入り、クロックパルスの発生を停止する。つまり、発光制御を含む必要な処理をすべて行える処理時間を同期信号受信を基準に計測してストッブモードとなる。これにより、常時クロックパルス発生時に消費している電流を節約できる。なお、このストップモードは受光部側の受光部制御回路3にも設けるようにしてもよい。
【0085】
図8は光電式分離型感知器の遠隔作動試験を行う場合の具体例を示す回路図である。
図において、T19は送光部制御回路33から通常時発光素子スイッチング出力が印加される入力端子、T20は送光部制御回路33から試験時発光素子スイッチング出力が印加される入力端子、60はオア回路、61はアンド回路であってある。オア回路の一方の入力端子は入力端子T19に接続され、他方の入力端子はアンド回路61の出力端子に接続され、その出力が発光素子スイッチング素子39にスイッチング信号として印加される。
【0086】
また、アンド回路61の一方の入力端子は入力端子T20に接続され、その他方の入力端子は過電圧保護用抵抗器62およびコンデンサ63を介して接地される。また、入力端子T20がインバータ64および抵抗器65を介して抵抗器62およびコンデンサ63の接続点に接続される。なお、抵抗器65およびコンデンサ63は時定数回路を構成している。また、構成要素61〜65は実質的にパルス短縮回路を構成する。
【0087】
次に、この回路の動作について図9を参照して説明する。
通常動作時は、送光部制御回路33からの通常時発光素子スイッチング出力として所定幅のパルス信号が入力端子T19に印加され、このパルス信号がオア回路60を介して発光素子スイッチング素子39にスイッチング信号として供給される。
【0088】
一方、試験動作時には送光部制御回路33からの試験時発光素子スイッチング出力として通常時のパルス信号とほぼ同じパルス幅を有する例えば図9Aに示すような試験用パルス信号P11が入力端子T20に印加され、このパルス信号P11がアンド回路61の一方の入力端子に直接印加されると共にインバータ64で反転され、抵抗器65およびコンデンサ63の時定数で決まる立ち下がりの傾きを持つ図9Bに示すようなパルス信号P12として抵抗器62を介してアンド回路61の他方の入力端子に印加される。
【0089】
この結果、アンド回路61の出力側には実質的にその閾値で決まるパルス信号P11のパルス幅に対してほぼ約70%にそのパルス幅が短縮された図9Cに示すようなパルス信号P13が出力され、このパルス幅の短縮されたパルス信号P13が試験用パルス信号としてオア回路60を介して発光素子スイッチング素子39に供給される。
【0090】
なお、この場合の試験用パルス信号としてのパルス信号P13のパルス幅は、時定数回路を構成している抵抗器65およびコンデンサ63の値を変えることにより任意に設定できるものである。また、このパルス幅はマイコンを用いれば、ソフトの作成だけで変更可能である。
【0091】
このようにして試験動作時はパルス幅の短縮された試験用パルス信号で図2の発光素子スイッチング素子39がオンし、発光素子40が発光すると、その発光は受光部側の受光素子46で受光され、受光増幅回路14で増幅され、サンプル/ホールド回路15でサンプリングされて受光部制御回路3に供給されるが、通常受光部増幅回路14は、外光等のノイズの影響をなくすため、送光部側からの光信号のパルス幅(例えば100μ秒)の周波数帯を中心に増幅するようなフィルタアンプとなっている。
【0092】
そこで、上述の如く試験動作時には試験用パルス信号のパルス幅を変えれば(例えば10μ秒または1m秒等)とすれば、発光電流を一定でも、受光増幅回路14の出力はフィルタの効果により減少する。
かくして、送光部側からの光信号つまり試験用パルス信号のパルス幅を変えることにより、発光電流が一定であっても、フィルタの効果により、受光増幅回路の出力を減少させ、擬似的な火災状態とすることが可能であり、容易に光電式分離型感知器の遠隔作動試験を行うことが出来る。
上記実施に形態では、火災受信機等へ受光部の火災信号出力スイッチング素子4をオンすることで火災信号を送出するようになっているが、火災信号をコード信号で出力する場合には、そのスイッチング素子4の部分を伝送回路に置き換えればよく、また、出力される信号はアナログシステムの場合、アナログ値を表す信号を送出すればよい。
【0093】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、受光部は、所定の周期で前記同期線に同期信号を出力し、また、送光部は、同期線から該同期信号を受信して発光するものであって、受光部は、同期信号の発信周期を選択できる周期選択スイッチを有し、該周期選択スイッチにより選択された周期で同期信号を出力するので、送光部・受光部を交互に同一方向に並べて設置しても電線の線路長を増大させることなくなり、以て、構成の簡略化、コストの低廉化が図れ、また、受光部を一列とできるので太陽光線の直射光に問題があるときにそれを避けることができ、しかも、隣接する感知器と異なる発光周期・発光タイミング等の設定スイッチを容易に確認することができる等の効果がある。
また、送光部からの発光時間が約100μ秒であり、同期信号の異なる発信周期間の差が少なくとも約50m秒以上設定され、各発信周期の精度が土1%であるので、精度よく設定内容を確認できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態の受光部側の一例を示す構成図である。
【図2】 この発明の一実施の形態の送光部側の一例を示す構成図である。
【図3】 この発明の一実施の形態における受光部側の動作説明に供するためのフローチャートである。
【図4】 この発明の一実施の形態における送光部側の動作説明に供するためのフローチャートである。
【図5】 この発明の一実施の形態における信号波形を示す図である。
【図6】 この発明の一実施の形態における信号波形を示す図である。
【図7】 この発明の一実施の形態における信号波形を示す図である。
【図8】 この発明の一実施の形態における要部の一例を示す回路構成図図である。
【図9】 図8の動作説明に供するための図である。
【符号の説明】
1,21,31,35 無極性回路、 3 受光部制御回路、 4 火災信号出力スイッチング素子、 5 火災表示灯、 6,37 定電圧回路、 7 送光部電源スイッチング素子、 8,9,22 逆流防止用ダイオード、 10 監視/調整切換パルス受信回路、 11 同期線短絡スイッチング素子、 12受光素子、 14 受光増幅回路、 15 サンプル/ホールド回路、 17監視/調整切換スイッチ、 18 発光周期切換スイッチ、 19 トラブル灯、 32 パルス検出回路、 33 送光部制御回路、 34 監視/調整モード切換要求パルス出力用スイッチング素子、 39 発光素子スイッチング素子、 40 発光素子、 42 通常表示灯スイッチング素子、 43 通常表示灯、 45 試験表示灯スイッチング素子、 46 試験表示灯、 50 受光量表示用電圧計。
Claims (2)
- 送光部と、検煙空間を挟んで該送光部に対向して設けられる受光部とを有し、前記送光部の発光と前記受光部の受光とを同期させるための同期線が接続されて、前記送光部の発光に対する前記受光部による受光量が煙の存在により変化することに基づいて火災情報を出力する光電式分離型感知器において、
前記受光部は、所定の周期で前記同期線に同期信号を出力し、また、前記送光部は、前記同期線から該同期信号を受信して発光するものであって、
前記受光部は、前記同期信号の発信周期を選択できる周期選択スイッチを有し、該周期選択スイッチにより選択された周期で前記同期信号を出力し、さらに、前記送光部または受光部は、前記周期選択スイッチによって選択された周期を示す表示灯を備えていることを特徴とする光電式分離型感知器。 - 各発信周期は、約3秒近辺であり、かつ、送光部からの発光時間が約100μ秒、発信周期間の差が少なくとも約50m秒以上設定され、各発信周期の精度が土1%である請求項1記載の光電式分離型感知器。
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