JP3686604B2 - 脱穀機の二番処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
脱粒した扱卸物から未処理物を分離回収して選別部に還元する搬送経路に処理部を設け、枝梗付着粒を除去する脱穀機の二番処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、グレンタンクに搬出する揚穀筒に直交する処理胴を設け、良穀粒に混在する枝梗付着粒をグレンタンクに集穀する直前に除去したものが特開平09−084445号公報に記載され、穀粒の全量がこの処理部を通過することで相互の干渉作用が生じ枝梗の除去効果を向上させたものであるが、穀粒の表皮が磨耗して多量の粉塵が発生したり、タンク内の拡散を妨げるために吸塵ファンや分散を目的とした拡散羽根を設ける等の補助手段を要する問題点がある。又、二番還元物を搬送する受継ぎ部に回転ツースと受け歯を重合させ、これを脱着自在に設置したものが特開平07−143817号公報に開示されているが、このような処理装置は一回転で還元物が処理部を通過して二番還元筒に受継ぐ構成となり、横送りをする処理装置に比べて枝梗の除去率が低くなるとともに、揺動選別体への拡散が改善されない問題点が残る。本発明は、扱室の受け網と揺動選別体の上方で形成する空間に処理装置を設け、還元物を横送りしながら枝梗除去を効果的に行い、軸流方向の広範囲に穀粒を放出して再選別をし易くしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
二番還元物の枝梗処理を行っても粉塵が機外に流出しない選別経路に処理装置を設け、枝梗の除去率を高めるとともに揺動選別装置に還元する処理物の拡散供給を可能にし、選別性能を向上させた二番処理装置の提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために扱胴と直交するように二番還元筒の先端に処理胴を設けて還元物を横送し、揺動選別体の上面に吐出口を臨ませて軸流方向に放出する二番処理装置の構成にしたものである。
【0005】
未処理物を分離回収して揺動選別装置に還元する脱穀機において、扱胴に対して直交する処理胴軸を二番還元軸の軸端に装着し、処理胴を嵌着させた始端側の正面で還元物を受継ぎ、処理胴の終端側に吐出口を開口し処理胴軸に沿った処理経路(以下軸流方向とする)の後方に放出する構成と、前記処理胴の前後に前頭と後胴部を設けて処理部を形成し、その全長で枝梗除去を行う構成にする手段を講じたものである。
【0006】
処理胴の前側にリード角を有する取込羽根を固設した前頭を設け、後側に跳出し羽根を固設した後胴部を連設して処理部を形成し、放射状のツースバーを植設した中央部に脱粒空間を設けた処理胴にし、その前後にドラム状の前頭と後胴部を連設する手段を講じたものである。
【0007】
二番還元筒に直交する処理部の終端を受け網の下方に臨ませ、揺動選別体の上面に深く重合させ、供給側に対し反対側の近傍まで処理物が到達する放出手段を講じたものである。
【0008】
処理部を内装する処理ケースの終端部上方に開放口を形設させ、扱胴に張設した受け網の前方から落下する扱卸物を直下で受止めて一部を導入し、後胴部に移送した処理物と合流させて軸流方向に放出をする手段を講じたものである。
【0009】
ツースバーを植設した処理胴の後方に跳出し羽根を設け、軸流方向に放出する吐出口を対設させ、処理ケースの開口部から流入する扱卸物と処理物の混合穀粒をツースバーと同高にした跳出し羽根で軸流方向に放出し、処理胴内の流通を促進させる手段を講じたものである。
【0010】
【発明実施の形態】
【実施例】
本発明による未処理物を処理しながら選別部に還元する二番処理装置について、コンバインに搭載した脱穀部の実施例図を参照に説明すると、図5は二番処理装置に処理部を設けたコンバインの側面図であって、左右一対のクローラ走行装置(20)に支持された機台(21)上に脱穀部(B)を搭載し、前方に昇降自在の刈取部(A)を装着して刈高さ調節を行ない分草板(24)で植立穀稈を浮揚させ、刈刃(22)で切断して継設する揚上搬送装置(23)で前記脱穀部(B)に張設したフィードチェン(25)の始端側に受継がせ、扱室(8)に装架した扱胴(27)によって脱粒処理を行い、外周に張設した受け網(30)から扱卸物が揺動選別体(3)上に落下するものであって、前後方向に揺動するチャフシーブ(31)等で穀粒を分離しながら下方に併設した選別部(C)に誘導し、矢印(イ)方向の風選別をするようにしたコンバインの形態である。
【0011】
脱穀した扱卸物の選別経路は、扱室(8)で発生した穀粒と未処理物が受け網(30)から漏下して扱卸物となり、前後に揺動する揺動選別体(3)上に落下して篩選別を行いながら下手側に配置したチャフシーブ(31)の始端側で主に単粒を分離し、一番回収域(33)で集穀する経路と、一方枝梗付着粒と少量の単粒が混合した還元物を後方の二番回収域(35)に落下させて回収する経路に分別してあり、下方に併設した選別部(C)の前方に設けたファン(36)の選別風によって塵埃を矢印(イ)方向に吹き飛ばし、機体の後方に配設した吸引ファン(37)で吸塵して機外に排出する選別経路にしたものである。
【0012】
選別部(C)で分離した良穀粒は、一番コンベア(40)で搬送して機台(21)の右側に並設したグレンタンク(43)に一時貯留するが、前述した枝梗付着粒の多くは未処理物となって二番コンベア(41)で集穀され、機体外側(42)に斜設した二番還元筒(5)の下方と連結し、その上方で扱胴(27)に対して直交する処理部(32)を装着させて枝梗付着粒を除去し、揺動選別体(3)上に放出する搭載用の脱穀部(B)にしたものである。
【0013】
脱粒と選別を行なった良穀粒を一時貯留するグレンタンク(43)を機台(21)の右側に並設して適宜放出する排出オーガ(45)を備えるとともに、前方に連設した運転席(D)のサイドパネルには変速レバー(47)を設け、ステップ(51)の先端に立設するステアリングコラム(48)に操行レバー(50)を植立して走行操作を行い、対向するシート(52)との間隔を適性な運転姿勢に調節可能にした操縦装置にしたものである。
【0014】
図1は、二番処理装置の要部を断面した側面図であって、本発明の要旨である処理部を設けた二番処理装置の構造について説明すると、二番還元軸(1)の先端に送穀羽根(13)を固設し、軸端に一対のベベルギア(55)を噛合させたメタルケース(10)を設けて前記二番還元軸(1)を支持し、これに連設する処理胴軸(56)を扱胴(27)に対して直交させ、ツースバー(12)を植設した処理胴(2)を嵌着するとともに、前側にリード角を有する取込羽根(14)を固設した前頭(29)を設け、後側にドラム状の後胴部(28)を連設し、前記ツースバー(12)と同高の跳出し羽根(19)を固設した一体構造の処理部(32)を形成したものであり、周速度を高めた前記跳出し羽根(19)の送穀によって処理胴(2)内の流通を促進したものである。
【0015】
このような処理部を内装する処理ケースの構成は、二番還元軸(1)の終端と交叉する処理胴軸(56)の先端を支持するメタルケース(10)を設け、扱胴(27)に対して直交する横側方を開放させた処理ケース(11)と連結する一体形のケース構造にし、終端部の後壁(16)に設けたメタル(57)で前記処理胴軸(56)の軸端を支持してある。又、矢印(ハ)の軸流方向に処理物を放出する吐出口(15)を跳出し羽根(19)と対設する前記後壁(16)に開口させ、その上部に設けた開放口(18)と前記吐出口(15)が連結する処理ケース(11)の形状にして、処理部(32)を内装する二番処理装置にしたものである。
【0016】
処理ケースに内装した処理部の構造は、処理胴軸(56)に嵌着するボス(58)に取付け板(60)を4方向の放射状に突設してあり、鋼板を折曲げて成形したツースバー(12)を前記取付け板(60)に脱着自在に植設して処理胴(2)を構成したものである。又、処理ケース(11)の底部に立設する受け歯(17)を送穀羽根(13)の矢印(ロ)に示す投入方向に対面する配置にし、前記ツースバー(12)の歯先と重合させて、この間を通過する衝撃によって枝梗付着粒を単粒化させるとともに、後端に設けた跳出し羽根(19)で矢印(ハ)の軸流方向に放出することで、揺動選別体(3)の上面における拡散が一層広がり、選別部(C)に均等落下して選別性能を向上させるものである。
【0017】
還元物の搬送経路は、選別部(C)の二番回収域(35)に分別した還元物を二番コンベア(41)で集穀し(図5に図示)軸端と連設した二番還元筒(5)内を上昇しながら送穀羽根(13)に到達し、処理部(32)の始端側に嵌着させた前頭(29)の正面側から矢印(ロ)方向の投入をするものであって、この受継ぎをツースバー(12)よりも低く設定した取込羽根(14)で受継ぐとともに、投入方向に対面するように受け歯(17)が処理ケース(11)の内面に数列植立され、投入穀粒の障壁となって前記処理胴(2)内の送穀速度を緩和させるものである。又、搬送速度を調整するために処理ケース(11)の内周面に複数の調節板(63)を調節可能に螺着して処理物を後方に誘導し、後胴部(28)に固設した跳出し羽根(19)をツースバー(12)と同高に設定し、周速度を速めて遠方の放出を可能にしたので取込不良による詰まりの防止と、拡散性能を向上させたものである。
【0018】
図2は二番処理装置の処理部を断面した正面図であって、図1の側面図を併用して扱室(8)で発生する枝梗付着粒を処理胴(2)に部分供給する構成について説明すると、受け網(30)からの漏下が激しい前方側に対して、処理ケース(11)の終端部上方に設けた開放口(18)を臨ませ、跳出し羽根(19)の直上に扱卸物が流入する配置にしたものであって、処理部(32)の前頭(29)で受継いだ還元物と扱卸物が後胴部(28)で合流し、前記跳出し羽根(19)の放出作用にともなう衝撃で枝梗除去が事前に行われ、しかも、揺動選別体(3)の始端側に生じる扱卸物の右側に片寄る現象を前述したように、軸流方向の放出作用で分散可能にした二番処理装置である。
【0019】
処理胴(2)を形成するツースバー(12)は、鋼板を打ち抜きU字型に折り曲げて成形し、平面部(67)にボルト(68)を挿通させて取付け板(60)に脱着自在に締結してあり、矢印(ホ)方向に回転する前記ツースバー(12)の歯先と重合する受け歯(17)を数列処理ケース(11)の下方に立設させて衝打するとともに、後壁(16)に開口する吐出口(15)に処理物を移送する調節板(63)を前記処理ケース(11)の膨出部分に複数斜設し、排出速度を調整するようにした二番処理装置である。
【0020】
図3は、処理部の斜視図であって、処理部(32)を構成する後胴部(28)の外周に固設した跳出し羽根(19)に矢印(ハ)方向に放出するリード角を設け、処理胴(2)から移動される処理物をツースバー(12)と同高にして周速度を高めた放出構造にし、揺動選別体(3)の始端側に軸流方向の放出を行い拡散させるものである。又、円錐状の前頭(29)と前記後胴部(28)で挟着した処理胴(2)は、ツースバー(12)を放射状に固設した取付け板(60)に締結した構成であって、軸芯である処理胴軸(56)に至る前記取付け板(60)、(60)の間にL字型の各空域が形成され、還元物が自由に出入して穀粒密度が低下するよになり、圧縮による詰まりや損傷粒の発生を防ぐ構成にしてある。
【0021】
処理部(32)の前方は、円錐状の前頭(29)に送穀方向のリード角を有する取込羽根(14)を固設し、連設する処理胴(2)の先端に植設したツースバー(12)に前記取込羽根(14)の終端部を継設してあって、受継いだ還元物の初期脱粒を効果的に行うために、穀粒を取込みながら前記ツースバー(12)に誘導して枝梗除去の衝打を有効に作用させ、処理性能の向上と受継ぎを円滑にしたものである。
【0022】
図4は二番処理装置の斜視図であって、関連する受け網(30)と揺動選別体(3)の配置を説明すると、前記受け網(30)の円弧形状と揺動選別体(3)の上方で形成する空間に処理部(32)を内装した処理装置を横設したものであって、処理ケース(11)の終端部上方に設けた開放口(18)を前記受け網(30)の下方に接近するように臨ませ、落下中の扱卸物を流入し易くした配置にしてあり、処理中の還元物と落下流入する扱卸物の双方が跳出し羽根(19)の直上で合流する構成にしたことで、揺動選別体(3)上の拡散効果をより向上させたものである。
【発明の効果】
以上説明したように二番還元筒と直交する処理ケースを設けて、扱胴に張設した受け網の下方に臨ませ、還元物と扱卸物の一部を揺動選別装置に拡散供給する二番処理装置にしたので、以下に掲げるような効果を発揮するものである。
【0023】
未処理物を集穀して揺動選別装置に還元する脱穀機において、扱胴に対して直交する処理胴軸を二番還元軸の軸端に装着し、処理胴を嵌着させるとともに、始端側の正面で還元物を受継ぎ、終端側に吐出口を開口して処理物を軸流方向に放出して選別部の始端側に供給させたので、処理装置の設置場所が脱穀機内であってコンパクトに構成できるとともに、発生する塵埃を吸引ファンと連通する選別経路に装備したことで粉塵立ちが防止された。
【0024】
処理胴の前側にリード角を有する取込羽根を固設した前頭と、後側には跳出し羽根を固設した後胴部を設けて、処理部を一体で形成したので、中央部に生じた処理胴の空間に還元物が自由に出入して穀粒密度が低下するようになり、圧縮による詰まりや損傷粒の発生を防ぐことができた。
【0025】
二番還元筒に直交する処理部の終端を扱胴に張設した受け網の下方に臨ませ、供給側と反対の選別部近傍まで処理物を放出させたので、処理経路が延長した横送り作用となって枝梗除去率が向上し、揺動選別体の片寄り現象も拡散によって緩和され選別精度が向上した。
【0026】
処理部を内装する処理ケースの後端部上方に開放口を形設させ、受け網の前方から落下する扱卸物を一部導入し、処理物と合流させて拡散する構成にしたので、受け網の前方に片寄って落下する扱卸物が跳出し羽根の直上に流入して衝打されながら拡散するので、選別前の枝梗混入率が低下するとともに揺動選別体の上面に均等供給され選別性能と枝梗の処理能力が向上した。
【0027】
処理部の前側をドラム状の前頭にし、後側を後胴部で構成して受継ぎと放出をする軸流方向のリード角を有する取込みと跳出し羽根を各々固設したので、受継ぎ部の穀粒が停滞せず詰まりが減少し、軸流方向の放出力が増大して供給する選別幅の反対方向まで拡散できるようになった。
【0028】
ツースバーを植設した処理胴の後方に跳出し羽根を設け、軸流方向に放出する吐出口に対設させたので、前記処理胴内の流通が促進され処理ケース内の詰まりが防止でき、しかも、受継ぎから放出までが軸流方向になって処理作用が全長に渡って行われ、小型化した処理装置であっても枝梗の除去率が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】二番処理装置の要部を断面した側面図である。
【図2】二番処理装置の処理部を断面した正面図である。
【図3】処理部の斜視図である。
【図4】二番処理装置の斜視図である。
【図5】二番処理装置に処理部を設けたコンバインの側面図である。
【符号の説明】
A・・刈取部 B・・脱穀部 C・・選別部
1・・二番還元軸 2・・処理胴 3・・揺動選別体
5・・二番還元筒 8・・扱室 10・・メタルケース
11・・処理ケース 12・・ツースバー 13・・送穀羽根
14・・取込羽根 15・・吐出口 16・・後壁
17・・受け歯 18・・開放口 19・・跳出し羽根
27・・扱胴 28・・後胴部 29・・前頭
30・・受け網 32・・処理部 33・・一番回収域
35・・二番回収域 36・・ファン 37・・吸引ファン
40・・一番コンベア 41・・二番コンベア 55・・べベルギア
56・・処理胴軸 57・・メタル 58・・ボス
60・・取付け板 63・・調節板
矢印(イ)・・選別部の風向
矢印(ロ)・・処理部の前面に投入する方向
矢印(ハ)・・処理部からの放出方向
矢印(ホ)・・処理胴の回転方向

Claims (5)

  1. 扱室の下方に揺動選別装置を装架し、併設する風選部で扱卸物から未処理物を分離回収して前記揺動選別装置に還元する脱穀機において、扱胴(27)に対して直交する処理胴軸(56)を二番還元軸(1)の軸端に装着し、処理胴(2)を嵌着させた始端側の正面で還元物を受継ぎ、前記処理胴(2)の終端側に吐出口(15)を開口して軸流方向に処理物を放出させたことを特徴とする脱穀機の二番処理装置。
  2. 処理胴(2)の前側にリード角を有する取込羽根(14)を固設した前頭(29)と、後側には跳出し羽根(19)を固設した後胴部(28)を設けて、処理部(32)を一体で形成したことを特徴とする請求項1に記載した脱穀機の二番処理装置。
  3. 二番還元筒(5)に直交する処理部(32)の終端を扱胴(27)に張設した受け網(30)の下方に臨ませたことを特徴とする請求項1に記載した脱穀機の二番処理装置。
  4. 処理部(32)を内装する処理ケース(11)の終端部上方に開放口(18)を形設させたことを特徴とする請求項3に記載した脱穀機の二番処理装置。
  5. ツースバー(12)を植設した処理胴(2)の後方に跳出し羽根(19)を設け、軸流方向に放出する吐出口(15)に対設させたことを特徴とする請求項3に記載した脱穀機の二番処理装置。
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