JP3685713B2 - コンクリート製マット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後左右に敷き並べて一定の領域を覆うための所定の大きさ及び形状を有するコンクリート製マットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば建物の屋上やベランダ、或いは広場や歩道などに敷設するものとして、タイルやブロックなどが広く用いられて来た。従来のタイルやブロックなどは、一定の型にセメントモルタルを流し込みによって充填し、製造されたため、強度の面から部材の厚さも分厚いものとせざるを得ず、重量や施工性を考慮すると1枚当たりの大きさも自然と限定されたものとなる。また従来のタイルやブロックなどを敷設するためには対象となるものの構造に配慮しなければならず、どこにでも敷設できるものでもない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は大きさ及び形状を自由に設定することができ、特に厚さを薄くできることにより、施工性及び経済性を著しく向上可能なコンクリート製マットを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明は、マット本体の裏面側にシート材を配置し、マット本体の成形材料を加圧成形することによりシート材が一体成形されたマット本体を形成し、マット本体は折り曲げ可能な目地部を有し、折り曲げによって生じた割れ目に沿って、シート材をカッターやナイフ等によって切断し、分離可能であり、さらにマット本体はシート材から裏面外方に出る脚部を有し、かつ隣接するマット同士の接続のための接続部を有するコンクリート製マットを提供したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンクリート製マットは、前後左右に敷き並べて一定の領域を覆うための所定の大きさ及び形状を有し得るが、相対的に大形に形成可能であることを特徴する。本発明において、マットは、より大きく、折り曲げ可能である点で従来のタイルと異なり、また薄く、軽量である点でブロックとも異なるものを指す。
【0006】
コンクリート製であるから、本発明に係るマット本体の成形材料は、セメントを主材とする組成物から成り、これを加圧成形することによって製造することができる。組成物としてのマット本体は、セメント、必要な混和剤、砂及び水のほかに液状の合成樹脂を含むことができる。樹脂の種類としては例えばアクリルエマルジョン系、エチレン酢酸系或いは酢酸ビニル系等のものを挙げることができるが、これらに限定されるものでもない。また合成樹脂をベースとする耐酸性セメントが合成樹脂系耐食セメントとして公知であるが、これに用いられる樹種も本発明のために使用可能である。
【0007】
成形されるべきマット本体の裏面側にシート材を配慮し、マット本体の成形材料を加圧成形することにより、シート材がマット本体に一体成形される。シート材は繊維素材を編織したもので、マット本体が折り曲げられた場合にも、折り曲げによって割れたマット片を繋ぎ止める役割を果たしており、シート材がカッターやナイフで切断されたときにマット片は個々の部分に分かれる。
【0008】
マット本体は折り曲げの目安となる目地部を有しているものとし、その結果折り曲げによって生じるべき割れ目を整然としたものとすることができる。目地部、とは普通、タイルやブロックの間の継目のことであるが、本発明ではブロック本体表面に付けた模様で目地のように見える、やや薄肉化された部分を指す。つまり目地部はマット本体の折り曲げを容易にする手段でもある。
【0009】
マット本体には、シート材よりも裏面外方に出る脚部が設けられる。脚部により施工面とマット本体裏面との間に隙き間が形成されるので、そこを降雨や散水によってもたらされる水の排水路に利用することができる。さらにマット同士の接続のための接続部もマット本体に設けられる。接続のための手段には別部品の接続具を使用することが望ましい。接続部と接続相手とは係合或いは雌雄嵌合などの手段によってワンタッチで着脱出来る方が取り扱いは容易である。また接続手段は、それによって接続されたマット本体の相互の位置が容易に決められるようなものであればさらに良い。
【0010】
本発明のコンクリート製マットを製造するには、実施例に示す装置のほかに、例えば所定の母型によって型成形された凹状の成形型面を有するプラスチックフィルム、シート類から成る被膜材と、被膜材と同一の型形状面を有する樹脂発泡体から成る型保持枠と、型保持枠の外面に接してこれを支え変形を防止するため鋼板等によって形成された外枠と、キャビティとなる空間を設けて被膜材側を覆う脚部成形部分とから成る型枠装置、そしてキャビティに充填される成形材料を加圧する装置を使用することができる。
【0011】
【実施例】
以下図示の実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。図1、図2は実施例1に係るコンクリート製マット10を示しており、これはコンクリート製のマット本体11と、その裏面側に配置されているネット状のシート材12とが加圧成形により一体化されたものである。
【0012】
実施例1のマット本体11は、表面に格子模様を有し、その模様は、マット本体11の厚さを薄肉化した目地部13、13′…を含んでおり、目地部13はそれの部分で折り曲げるとマット本体11の原形の整数分の1の大きさに分割されるように設けられている。マット本体11の裏面にはシート材12から裏面外方に突出する脚部14が適当な配置及び間隔で設けられている。
【0013】
目地部13、13′は深浅各種のものを含んでいるが、最も多く利用されるであろうものほど深く形成され、この目地部(符号13)の部分には脚部14がかからないように設定されている(図2参照)。脚部14はマット本体11を施工面から離しておく手段であり、同時にマット本体11を施工面に取り付ける、のりしろのような役割を果たす部分でもある。
【0014】
図3、図4には実施例2に係るコンクリート製マット20が示してあり、このマット20もコンクリート製のマット本体21とネット状のシート部材22とが加圧成形により一体化された構造を有する点、実施例1のものと同じである。実施例2のマット本体21は表面に曲線と斜線から成る模様を有し、その模様はやはり薄肉化された目地部23を含んでいる。この例の目地部23は一定で、それによって囲まれた部分毎に折り取ることができ、そのため各模様部分毎に数個の脚部24を有している(図4参照)。
【0015】
実施例1及び実施例2のどちらの場合でも、マット本体11、21の成形材料を加圧成形することにより本発明に係るコンクリート製マットが製造される。
【0016】
図6に例示した装置及び工程にしたがって、その製造方法を説明すると、この場合には上型と下型とから成る成形装置が使用される。下型面にマット本体の裏面の模様が刻設され、上型面にはマット本体表面の模様が刻設される。上型はシリンダー装置によって上下可能であり、下型は上下動可能な受枠間に配置されている。図6、1に示すように初めにシート材が下型上にセットされ、次に図6、2に示すように成形材料を下型に投入する。続いて上型が下降し、成形材料を下型との間で加圧成形するが、その際の加圧により成形材料から余分な水分が排出される(図6の3)。その後、上型を上昇させるとともに、成形されたマット10、20を受け型Rに受け取り、本発明に係るコンクリート製マットを取り出す(図6の4)。なおこれ以外にもプラスチックフィルム等を使用する方法を取り得ることは前に述べたとおりである。
【0017】
上記の実施例1、2との関係から説明すれば、各マット本体11、21の格子状の模様、或いは曲線と斜線から成る模様は母型に設けられており、従って被膜材には反転形態で設けられていることになる。シート材を予めセットした型枠装置を用いて、セメント、砂、水及び液状合成樹脂から成る成形材料を50kg/cm2 の圧力でキャビティ内に充填して加圧成形し、本発明に係るコンクリート製マット10、20を製造した。両実施例1、2の場合、マット本体11、21は1000mm×1000mmの正方形の平面形状と脚部を含む最大10数mmの厚さとを有する大型薄板状のものである。
【0018】
得られたコンクリート製マット10、20には、マット同士の接続のための接続部31が凹状に裏側の要所に型成形されている(図2、図5参照)。接続部31の穴には接続相手32の突起がワンタッチで嵌め込み可能に設けられる。また接続相手32の突起は、略方形の接続具30の4隅に設けられる。実施例の接続具30は接続すべきマット本体11、21の裏側に配置され脚部14、24によって生じた施工面との間の隙き間に収まる厚さを有する(図7(a)参照)。接続相手32の突起側面には、接続部との嵌合摩擦力を高める手段33として隆起が設けられている。34は、接続具30の中央部に形成された開口部であり、軟質樹脂の成形品である接続具30の扱いを容易なものとしている。
【0019】
このように構成されたコンクリート製マット10、20は、一定の領域を覆うために前後左右に敷き並べ、隣接しているマット本体同士を接続具30を用いて接続する。図8にはこの接続部分を透視した状態で示してある。隣接するマット本体10…4枚が1個の接続具30で接続され、接続具30は脚部14…の間に配置されるとともに脚部14…を開口部34に収めて重なりが起こらないようになっている。
【0020】
図9に本発明のコンクリート製マットの敷設例を示す。図9(a)は実施例2のマット表面の4分円模様を利用して流れ模様を形成したもので、敷設領域には排水溝ブロック41、植栽ブロック42が並用されている。図9(b)は実施例1と2のマット10、20を並用し、かつ実施例1のマット10を部分的に目地部で切欠き、マット11のない除去部分43を含む面で敷設領域を覆った例を示す。マット切り欠き部は縁取りの整形44を行い、除去部分43には植木などを植設可能とする。45は境界ブロックを示す。図9(c)は実施例2の4分円模様から全円模様を形成する一方、マット20のない半円形の除去部分46を形成したもので、縁取りの整形47の内側は植栽スペースに利用可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、従来のタイルやブロックに比較して相対的に大型のマットをコンクリートの加圧成形によって提供することができ、マット本体に形成された目地部において折り曲げ可能であるため、加工し易く、経済性及び施工性が著しく良好であり、施工面には脚部による排水性が確保され、様々な意匠を容易に施工面に施すことができる等顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係るコンクリート製マットの実施例1に関する平面図。
(b)図1(a)のものの縁辺の端面図。
【図2】(a)実施例1のマットの拡大端面図。
(b)同じく拡大平面図。
【図3】(a)同じく実施例2に関する平面図。
(b)図3(a)のものの縁辺の端面図。
【図4】実施例2のマットの裏面図。
【図5】(a)同じく実施例2のマットの拡大端面図。
(b)同じく拡大平面図。
【図6】コンクリート製マットの製造装置及び工程1〜4を示す説明図。
【図7】(a)隣接マットを接続具により接続した箇所の拡大断面図。
(b)接続具の側面図。
(c)同じく平面図。
【図8】本発明のコンクリート製マットの接続部分を透視状態で示す斜視図。
【図9】(a)本発明のコンクリート製マットを使用した施工例1の平面図。
(b)同じく施工例2の平面図。
(c)同じく施工例3の平面図。
Claims (2)
- 前後左右に敷き並べて一定の領域を覆うために所定の大きさ及び形状に形成されたコンクリート製マットであって、マット本体の裏面側にシート材を配置し、マット本体の成形材料を加圧成形することによりシート材が一体成形されたマット本体を形成し、マット本体は折り曲げ可能な目地部を有し、折り曲げによって生じた割れ目に沿って、シート材をカッターやナイフ等によって切断し、分離可能であり、さらにマット本体はシート材から裏面外方に出る脚部を有し、かつ隣接するマット同士の接続のための接続部を有することを特徴とするコンクリート製マット。
- 組成物としてのマット本体は、セメント、砂及び水のほかに液状樹脂を含んでいる請求項1記載のコンクリート製マット。
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