JP3685565B2 - 建築用断熱板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井、壁、床等に使用される建築用断熱板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築用断熱板として、方形木枠内に発泡樹脂成形体を板状に一体成形したもの、あるいは嵌め込み嵌入したもの等が知られている。周囲の木枠は、該建築用断熱板を建造物の間柱の間等に取り付けたるときの支持枠となると共に、壁板等の表面材を打ち付けるため保持枠として用いられる。そのために、構造物への組付け時に、周囲の木枠と間柱等構造物側の支持部材との間に隙間が生じないように、さらには、表面材の打ち付けが確実となるように、製造後の建築用断熱板の周囲の木枠はできるだけ方形状であることが望まれる。また、木枠と発泡樹脂成形体との間に空気の流路が生じると断熱性が低下することから、木枠の内側面と発泡樹脂成形体とは十分に密着していることが必要となる。
【0003】
上記の条件を配慮した建築用断熱板の製造方法として、例えば特開平6−238761号公報には、木等から構成されている少なくとも一面が開放しているパネル枠を周囲から加圧保持し、該パネル枠内に発泡性樹脂からなる発泡粒子を充填して発泡成形し、建築用断熱板を製造する方法が開示されている。これによれば、発泡樹脂成形体とパネル枠との密着性が高く、断熱性が優れると共に、成型後の寸法精度が高く、これにより、施工精度が向上した建築用断熱板を得ることができる。
【0004】
また、他の方法として、特公平7−116767号公報には、予め骨組みとなる枠体を所定の大きさに形成し、そこに別行程で発泡成形した特殊な形状の発泡樹脂成形体を嵌め込んで固着して、枠体と発泡樹脂成形体とを一体とした建築用断熱板が開示されている。ここでは、枠体への発泡樹脂成形体の取付けが確実となるように、枠体と断熱材との当接面の厚さ方向一方側の側縁に溝部が形成され、さらに発泡樹脂成形体にはこの溝部に対応する位置に凸部が設けられ、さらにテーパ面を設けるようにされている。この場合にも、発泡樹脂成形体が一部潰れた状態で枠体内に嵌め込まれるから、枠体と発泡樹脂成形体との密着性は確実となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平6−238761号公報の製造方法では、製造に際して、木等から構成されている少なくとも一面が開放しているパネル枠を、その周囲から加圧保持するための複数の加圧板を必要とし、成形装置が複雑となる。
【0006】
また、特公平7−116767号公報の建築用断熱板を製造するためには、特別の形状をした枠体と発泡樹脂成形体を用意する必要があり、断熱板の製造に多大な工数を必要とする。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、発泡樹脂成形体とパネル枠との密着性が高く、かつ、断熱性に優れる建築用断熱板を、パネル枠をその周囲から加圧保持するための特別の手段を用いることなく、従来から使用されている成形設備をそのまま使用して安価に製造することのできる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく本発明者らは多くの実験を行うことにより、雄雌型からなる発泡成形金型の雌型内に、相対する2面が解放しているパネル枠を、4周側面側に若干の間隔をあけた状態で配置し、雄雌型を型締めした後、このパネル枠内に発泡性樹脂粒子を充填し加熱発泡させることにより、少ない工程でありながら、十分に実用に耐えうる建築用断熱板を製造できることを知り、本発明をなすにいたった。
【0009】
すなわち、本発明による建築用断熱板の製造方法は、相対する2面が解放しているパネル枠を雄雌型からなる発泡成形金型の雌型内に保持し、前記の雄雌型を型締めした後、このパネル枠内に発泡性樹脂粒子を充填し、加熱発泡させることでパネル枠と発泡樹脂成形体とを一体に成形するに際して、前記の雄雌型を型締めした際にパネル枠の外側面と金型キャビティー空間の内側壁面との間に所要の隙間Sができるよう、好ましくは、キャビティー空間の縦寸法、横寸法がパネル枠の外形の縦寸法の1.002〜1.1倍、横寸法の1.002〜1.1倍となるよう設けることを特徴とするものである。
【0010】
上記の製造方法によれば、パネル枠は発泡成形の際生じる発泡圧力によって外側に向けてキャビティー空間の内側壁面に衝接するまで膨出変形し、同時に、パネル枠と発泡樹脂成形体とは十分に密着して一体化する。キャビティー空間の縦寸法、横寸法とパネル枠の外形の縦寸法、横寸法との比を上記の範囲内とすることにより、前記パネル枠の変形は、冷却時の発泡樹脂成形体の収縮により元の方形形状にまで回復するか、若干凸状形状を残した状態で安定する。
【0011】
元の方形形状に回復する場合には、そのまま、表面材を一面あるいは両面にパネル枠に対して釘打ち等で固定することで、パネル枠との間の密着性に優れた発泡樹脂成形体を内蔵する建築用断熱板を容易に得ることができる。また、得られた建築用断熱板を建造物の支持体間に容易に組付けることができる。若干凸状形状を残した状態で安定した場合には、作業者は、木枠を側面から押圧しながら表面材を釘打ち等で固定することで、所要の建築用断熱板を容易に得ることができる。
【0012】
前記のパネル枠と金型キャビティー空間との間の間隙をどの程度とするかは、成形圧力によりパネル枠が成形過程で破損しないこと、発泡成形後の発泡樹脂成形体の収縮によりパネル枠が凹曲しないこと、さらに、発泡成形後の発泡樹脂成形体の収縮によりパネル枠と発泡樹脂成形体との間に隙間が生じないこと、を条件に任意であり、用いるパネル枠の寸法や素材、予備発泡樹脂粒子の種類、発泡成形条件等を考慮して実験的に定めればよいが、本発明者らの実験によれば、パネル枠として木材を用い、予備発泡樹脂粒子としてポリスチレン予備発泡樹脂粒子を用いた場合に、キャビティー空間の縦寸法、横寸法がパネル枠の外形の縦寸法の1.1倍を超える場合には、発泡成形時の外方への湾曲変形により、パネル枠が破損する場合があった。また、1.002倍よりも狭い場合には、冷却時に枠体が内側に向けて凹曲するか、枠体と発泡樹脂成形体との間に隙間が生じる場合があり、表面材の打ち付けができなくなるか、断熱性能が低下したものとなった。従って、キャビティー空間の縦寸法、横寸法がパネル枠の外形の縦寸法の1.002〜1.1倍、横寸法の1.002〜1.1倍となるよう設けることが好ましいことを知った。
【0013】
上記のように、本発明によれば、パネル枠内に予備発泡樹脂粒子を充填し加熱発泡することによってパネル枠と発泡樹脂成形体とが一体的に成形されるので、従来の成形装置を用いかつ工程を増やすことなく、パネル枠に密着した発泡樹脂成形体を成形することがが可能となり、それを用いて、施工精度が高く、断熱性に優れた建築用断熱板を容易に製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明する。図2(a)(b)は、本発明による成形方法によって作られた建築用断熱板Pの一例を示すものであり、両面が開放された例えば木製の板等からなるパネル枠(以下、木枠と称する)1にポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡熱可塑性樹脂成形体(以下、発泡樹脂成形体と称する)2が一体的に成形されたものである。図2(c)はそのような建築用断熱板Pの一面に合板のような表面材3を釘4を用いて木枠1に打ち付け固定して製造した表面材付き建築用断熱板Paを示しており、通常はこの形で構造物に取り付けられる。
【0015】
図1はこのような建築用断熱板Pの製造装置の一例を示している。この装置は、雄型としての上面加圧板11を有する加圧機10と、雌型としての箱状の下方金型20とを備えている。下方金型20は成形空間となるキャビティー空間21を有しており、成形時には後記する寸法の木枠1が保持される。
【0016】
上面加圧板11には、木枠1内部に原料となる予備発泡樹脂粒子2aを送り込むための充填孔(図示されない)が設けられると共に、この充填孔に予備発泡樹脂粒子2aを供給するためのフィーダ(図示されない)が連結されている。さらに、上面加圧板11には、その下面に複数の蒸気小孔12が設けられると共に、水蒸気及び冷却水を導入するための第一導入管13が内部に設けられている。この第一導入管13には、蒸気導入用バルブ14や冷却水導入用バルブ15を通して、水蒸気や冷却水が導入される。
【0017】
蒸気導入用バルブ14を開弁することによって導入される水蒸気は、第一導入管13から蒸気小孔12を通して木枠1内に注入され、この木枠1内に充填されている予備発泡樹脂粒子2aを加熱する。また、冷却水導入用バルブ15を開弁することによって導入される冷却水は、上記と同様に、第一導入管13から蒸気小孔12を通して木枠1内に注入され、木枠1内で発泡成形した発泡樹脂成形体2を冷却する。
【0018】
さらに、この上面加圧板11の外部には、冷却後、上面加圧板11の蒸気小孔12内等に残留した水分を取り除くため、上面加圧板11内を減圧する真空ポンプ等を有する真空装置16が設けられている。また、上記フィーダには、図示しない供給ホース、シャッター弁及び予備発泡樹脂粒子2aが蓄えられる原料ホッパーが順次連結されている。なお、上記充填孔は、原料としての予備発泡樹脂粒子2aを効率よく充填させるために木枠1の大きさに応じて複数設けられている。
【0019】
一方、前記下方金型20にも、木枠1内部に送り込まれた予備発泡樹脂粒子2aに水蒸気や冷却水を下側からも注入し得るように、上面に複数の蒸気小孔22が設けられると共に、水蒸気及び冷却水を導入するための第二導入管23が内部に設けられている。この第二導入管23に、前記とほぼ同様に、蒸気導入用バルブ24および冷却水導入用バルブ25を各々開弁することによって、水蒸気や冷却水が導入される。第二導入管23に導入された水蒸気は、蒸気小孔22を通して木枠1内に下側から注入され、木枠1に充填された予備発泡樹脂粒子2aを加熱する。また、第二導入管23から蒸気小孔22を通して木枠1内に下側から注入される冷却水によって、木枠1内で発泡成形した発泡樹脂成形体が冷却される。冷却済みの冷却水は、下方金型20の下面に接続された冷却水排出管27を通して排出される。さらに、この下方金型20の外部にも、冷却後、冷却水排出管27から排出されずに蒸気小孔22内等に残留した水分を取り除くため、下方金型20内を減圧する真空ポンプ等を有する真空装置26が設けられている。
【0020】
このように、上記の装置では、上面加圧板11と下方金型20とに水蒸気および冷却水を導入する装置がそれぞれ備えられ、下方金型20内に配置される木枠1の両開口面から水蒸気及び冷却水を注入するようになっている。
【0021】
次に、この製造装置を用いた建築用断熱板Pの製造方法について説明する。例として、木枠1は、その外寸法が横寸法w:900mm、縦寸法h:2700mm、高さd:100mmのものを用いるとする。その場合、下方金型20として、そのキャビティー空間21の寸法が、横寸法W=1.002〜1.1×w、縦寸法H=1.002〜1.1×h、深さD=dのものを用意する。すなわち、この場合に、キャビティー空間の内寸法は、横寸法W=902mm〜990mm、縦寸法H=2705mm〜2970mm、深さD=100mmとなる。
【0022】
下方金型20のキャビティー空間21内に、木枠1をその周囲にほぼ等しい隙間Sができるようにして設置する。なお、この実施例における木枠1は、例えば厚さ約20mmで高さ100mmに成形した枠板からなっているが、木枠1のサイズとしては、上記の900w×2700h×100d(mm)の他に、窓の下の壁材として使用されるものとして、例えば、900w×500h×100d(mm)等の種々のサイズのものが用いられ、後者の場合には、下方金型のキャビティー空間21の内寸法は、W=902〜990mm、H=501〜550mm、D=100mmとされる。また、本実施例では、建築用断熱板のパネル枠1として木製の枠を使用しているが、これに限定することなく、例えば金属製あるいは合成樹脂製の枠でもよい。ただし、図2(c)に示すように、表面材3を別途打ち付ける場合には、木製あるいは合成樹脂製の枠が好ましい。
【0023】
次に、原料ホッパーに蓄えられた発泡ポリスチレン等からなる球形の予備発泡樹脂粒子2a(発泡倍率50倍程度)を、フィーダによって上面加圧板11の充填孔を通して木枠1内に充填する。このときの予備発泡樹脂粒子2aはその直径が上面加圧板11に設けられた蒸気小孔12、及び下方金型20に設けられた蒸気小孔22より大きいものが選択される。なお、本実施例では球形の予備発泡樹脂粒子2aを用いているが、予備発泡樹脂粒子2aは球形に限定されることなく、円筒形等の不定形なものであってもよく、予備発泡樹脂粒子2aが前記蒸気小孔12、22を通過しないものであればよい。
【0024】
次いで、上面加圧板11の外部に設けられた蒸気導入用バルブ14を開弁し、所定圧力(0.5kgf/cm2 程度)の飽和加熱水蒸気を上面加圧板11の下面に設けられた蒸気小孔12を通して木枠1内に所定時間(20秒間)注入し、予備発泡樹脂粒子2aを加熱発泡させる。これにより、図4(a)にその一例を示すように、各予備発泡樹脂粒子2aはその発泡圧力により木枠1を外方向に凸状に膨出させ、木枠1の外側面をキャビティー空間21の4周の側壁に当接させた状態とすると共に、相互に融着し、発泡後の発泡樹脂成形体2は木枠1の内側面に密着する。
【0025】
その後、第一導入管13及び第二導入管23から冷却水を所定時間(1秒間)噴出させることによって、加熱成型後の発泡樹脂成形体2を上面及び下面から冷却する。そして、双方の真空装置16、26で所定時間(60秒間)減圧し、加熱成型後の残留水分を取り除いた後、所定時間(3分間)放置冷却する。冷却により相互に融着した発泡樹脂成形体2は幾分収縮し、図4(b)に示すように、発泡成形品はキャビティー空間21内で、木枠1がほぼ元の方形形状に戻った状態あるいは若干凸状形状(図示されない)を残した状態で安定する。その後、金型を開放して発泡成形品を取り出すことにより、図2(a)(b)に示すような建築用断熱板Pが成形品として得られる。
【0026】
このようにして得られた建築用断熱板Pに対して、図2(c)に示すように、一方の面あるいは必要に応じて両面に合板のような表面材3を釘4で打ち付けることにより、表面材付きの建築用断熱板Paが得られる。なお、一面にのみ表面材3を打ち付けた場合には、その面を建物の外側とし、発泡樹脂成形体2側を建物の内側として、そこに図示しない石膏ボードを接着あるいは打ち付け固定することによって断熱壁として使用される。なお、木枠1が若干凸状形状を残した状態となっている場合には、押し付けることにより容易に木枠1を直線状とすることができ、表面材3の打ち付けに支障は生じない。
【0027】
なお、本実施例では、建築用断熱板の製造における各条件として、飽和加熱水蒸気の圧力を0.5kgf/cm2 、加熱時間を20秒間、冷却水の噴射時間を1秒間、真空ポンプでの減圧時間を60秒間、さらに空気放冷の時間を3分間としているが、これは一例であって、特に上記条件には限定されない。
【0028】
本発明による製造方法によれば、木枠1内に充填された予備発泡樹脂粒子2aは発泡圧力により木枠1の内側面と確実に密着することができ、また、発泡樹脂成形体2は、予備発泡樹脂粒子2aが相互融着することで、内部に隙間のない成形体となっており、これにより高い断熱性が得られる。なお、木枠1を下方金型20のキャビティー空間21内に設置するに際して、その内周側面に合成ゴム系接着剤を塗布するようにしてもよく、それにより、木枠1と発泡樹脂成形体2との接着性の一層向上した建築用断熱材が得られる。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を説明する。
図1に示す構成の既存の発泡成形装置を用いて建築用断熱板の成形を行った。用いた下方金型20のキャビィティー空間21の内法寸法は、3050mm(W)×2050mm(H)×101mm(D)である。予備発泡樹脂粒子2aとしては見掛け密度20kg/m3 の発泡ポリスチレンを用い、パネル枠として板厚21mmの栂材を釘止めにより組み立てたものを用いた。成形時における、飽和加熱水蒸気の圧力、加熱時間、冷却水の噴射時間、真空ポンプでの減圧時間、空気放冷の時間等の条件は、前記実施の形態において記載したような、ポリスチレン予備発泡粒子による通常の発泡成形条件に従って行った。
【0030】
成形時におけるパネル枠1と金型キャビティー空間21との間に形成される4周の隙間Sを変化させるために、種々の外形寸法を持つパネル枠を用意し、それぞれについて、パネル枠1の内面に接着剤を塗布しない場合と接着剤(積水化学工業株式会社:エスダイン235L)を塗布した場合について、同じ条件で発泡成形を行った。表1、表2にその結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
なお、表1、表2において、
〔倍率〕は、矩形状のパネル枠1の外側の寸法(縦寸法、横寸法)に対する、それと相似形であるキャビティー空間21の内法寸法の比であり、
〔成形後の形状〕は、成形後の成形品をキャビティー空間から取り出し、7日後(この間、自然熟成)の外観形状を目認したものであり、そこにおいて、「内側に凹状」とはパネル枠の各辺が相互に近接する方向に引き寄せられた形状(図4(c)に示すような形状)、「ほぼ矩形状」とはパネル枠が成形前の形状にほぼ戻った形状(図4(b)に示すような形状)、「外側の膨出」とはパネル枠の各辺が相互に隔離する方向に外側に凸状に湾曲した形状(図4(a)に示すような形状)を表している。
【0034】
〔発泡体と枠との隙間〕は、成形7日後における成形品の、パネル枠1の内面と発泡樹脂成形体2との間に1mm以上の隙間があるかどうか目認したものである。そこにおいて、「枠破損」とは、成形後にキャビティー空間から成形品を取り出した際に、パネル枠に割れが生じていたことを示す。
【0035】
〔評価〕は、得られた成形品が建築用断熱板として良品であるか不良品であるかを評価したものであり、判断基準として、成形後の形状がほぼ矩形状か外側に膨出したものであり、かつ、パネル枠に破損がないこと、及び、発泡樹脂成形体とパネル枠との間に隙間がないこと、の双方を満たすものを○、それ以外のものを×としている。
【0036】
前記の倍数(すなわち、パネル枠の外側の寸法に対する、それと相似形であるキャビティー空間の内法寸法の比)が1.002以下の場合に、接着剤を用いない場合には、外観形状は矩形状であるが、冷却後に発泡体とパネル枠との間に隙間が生じて断熱性の低下を招くことから好ましくなく、また、接着剤を用いる場合には、冷却後に発泡体とパネル枠との間に隙間がなく、そこでの断熱性の低下は生じないものの、外観形状が内側に凹状となってしまい、表面材の打ち付けが困難であるばかりだなく、構造物に取り付けた際に躯体側と断熱板との間に間隙が生じて断熱性が低下する。従って、前記倍数が1.002以下の場合は「建築用断熱板」の製造方法としては不適である。
【0037】
また、倍数が1.1以上の場合には、接着剤の有無にかかわらず、発泡成形時の成形圧力により木枠に破損が生じており、不適である。
以上の実験結果から、成形に際して、型締めした際にパネル枠と金型キャビティー空間とに所要の隙間Sができるよう、キャビティー空間の縦寸法、横寸法がパネル枠の外形の縦寸法の1.002〜1.1倍、横寸法の1.002〜1.1倍となるよう、両者の寸法を調整することが有効であることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の成形装置を用いかつ工程を増やすこと無なく、パネル枠に密着した発泡樹脂成形体を形成することが可能となり、施工精度が高く、断熱性が高い建築用断熱板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における建築用断熱板の製造方法に適用される建築用断熱板の製造装置の概略構成図。
【図2】図1の製造装置によって製造される建築用断熱板の一例を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図であり、(c)は表面材付き建築用断熱板の例を示す断面図である。
【図3】図1の製造装置における下方金型とそこに配置されるパネル枠とを説明的に示す斜視図。
【図4】成形後における、建築用断熱板の形状とキャビティー空間との関係を説明する図。
【符号の説明】
1…パネル枠(木枠)、2…発泡熱可塑性樹脂成形体(発泡樹脂成形体)、2a…予備発泡樹脂粒子、3…表面材、4…固定用釘、11…上面加圧板、20…下方金型、21…キャビィティー空間、12、22…水蒸気用小孔、S…キャビィティー空間とパネル枠との間の隙間、P、Pa…建築用断熱板
Claims (2)
- 相対する2面が解放しているパネル枠を雄雌型からなる発泡成形金型の雌型内に保持し、前記の雄雌型を型締めした後、このパネル枠内に発泡性樹脂粒子を充填し、加熱発泡させることでパネル枠と発泡樹脂成形体とを一体に成形するに際して、前記の雄雌型を型締めした際にパネル枠の外側面と金型キャビティー空間の内側壁面との間に所要の隙間Sができるようにして配置することを特徴とする建築用断熱板の製造方法。
- 相対する2面が解放しているパネル枠を雄雌型からなる発泡成形金型の雌型内に保持し、前記の雄雌型を型締めした後、このパネル枠内に発泡性樹脂粒子を充填し、加熱発泡させることでパネル枠と発泡樹脂成形体とを一体に成形するに際して、前記の雄雌型を型締めした際にパネル枠の外側面と金型キャビティー空間の内側壁面との間に所要の隙間Sができるようキャビティー空間の縦寸法、横寸法がパネル枠の外形の縦寸法の1.002〜1.1倍、横寸法の1.002〜1.1倍となるよう設けることを特徴とする建築用断熱板の製造方法。
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