JPH09254179A - 発泡合成樹脂成形体の成形方法及び該発泡合成樹脂成形体 - Google Patents

発泡合成樹脂成形体の成形方法及び該発泡合成樹脂成形体

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JPH09254179A
JPH09254179A JP8066765A JP6676596A JPH09254179A JP H09254179 A JPH09254179 A JP H09254179A JP 8066765 A JP8066765 A JP 8066765A JP 6676596 A JP6676596 A JP 6676596A JP H09254179 A JPH09254179 A JP H09254179A
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synthetic resin
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foamed synthetic
molded body
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JP8066765A
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Yuichi Nakamura
裕一 中村
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Original Assignee
SANPO KANAGATA SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡合成樹脂成形体の新規な成形方法を開発
することにより、従来の成形方法では得られなかった特
性、すなわち優れた圧縮強度、柔軟性、復元性、遮音性
などを有する発泡合成樹脂成形体を得るとともに、成形
サイクルの短縮と成形コストの低減などを図ることにあ
る。 【解決手段】 発泡合成樹脂予備発泡ビーズ16を複数
の金型で構成される成形金型10,12の成形空間14
に充填した後、該予備発泡ビーズ16を該発泡合成樹脂
の軟化温度以上に加熱するとともに2次発泡させて、ビ
ーズ16を加圧融着成形した後、成形体を離型する発泡
合成樹脂成形体の成形方法において、前記加熱工程から
冷却工程までの間で前記成形金型10,12の成形空間
14を拡大又は拡張させることにより、軟化温度以上で
ある成形体20を拡張又は膨張させて所定の形状に成形
するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡合成樹脂成形体
の成形方法と、その成形方法によって成形された発泡合
成樹脂成形体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ビーズ融着成形法にお
ける発泡合成樹脂成形体の成形方法は図10(a) に示す
ように、発泡合成樹脂を1次発泡させた予備発泡ビーズ
1を雌形金型2と雄形金型3で構成される成形金型の成
形空間4に充填した後、蒸気を吹き込んで発泡合成樹脂
の軟化温度以上に加熱するとともにビーズ1を2次発泡
させて、同図(b)に示すようにビーズ1を加圧融着成形
し、冷却した後、成形体5を離型させている。この成形
方法においては通常、雌形金型2と雄形金型3とを若干
離型させた状態で予備発泡ビーズ1を成形空間4に充填
するクラッキングにより、予備発泡ビーズ1を迅速且つ
密に成形空間4に充填した後、型締めをしているため、
予備発泡ビーズ1は過充填の状態にあり、加熱発泡させ
たとき、内圧が非常に高くなる。しかも、発泡ガスが成
形体5から完全に抜け出ないため、成形後、成形体5を
充分に冷却した後に成形金型2,3から取り出さない
と、成形体5が3次発泡により変形してしまうことがあ
る。このため、冷却に長時間を要して、成形サイクルが
長くなるという問題があった。
【0003】たとえば、ビーズ融着成形法における発泡
合成樹脂成形体は通常5〜100倍、特に40〜60倍
の発泡倍率のものの需要が多いため、この40〜60倍
の成形体を例に成形方法を説明する。ビーズ融着成形法
における成形温度は発泡合成樹脂の種類によって異なる
が通常、100〜110℃であり、発泡成形時に生ずる
成形体内の圧力は0.8〜1.2kg/cm2 程度で保持さ
れている。この条件下で2次発泡加圧熱融着が完了した
成形体を取り出すのに、金型及び成形体を水冷却及び真
空気化冷却で冷却しているが、成形体を通常60℃近傍
の温度にまで冷却しないと、3次発泡により成形体の変
形,膨張が発生して、不良品となる。
【0004】たとえば50倍の成形体を例に考えると、
成形金型内には2%の樹脂と、98%の高温気化ガスと
高温空気と蒸気が充填されているに過ぎず、保持熱容量
としては成形体容積の割りには非常に小さい構成となっ
ている。一方、成形体の保持熱容量は小さいが、断熱性
に優れた断熱材(λ=0.030kcalm/hr℃) で成形体
自体が構成されているため、成形体を外周から冷却して
中心部まで冷却するのは非常に困難である。たとえば、
内圧が0.8〜1.2kg/cm2 程度生じている通常の成
形体では、3次発泡させないように冷却させるのに30
秒〜数分間要している。特に、大型ブロックと称するた
とえば920×1820×420mmの角物成形体などに
あっては10分以上〜60分程度の冷却時間を要して、
ハイサイクル化の最大の障害となっている。
【0005】このため、発泡成形のハイサイクル化を目
的に真空冷却法の開発などがなされたが、成形方法や成
形装置の開発だけでは冷却時間の短縮化を達成すること
ができなかった。そこで、今日では、原料メーカーを中
心に、ビーズ自体のハイサイクル化の研究が続けられて
いる。
【0006】また、このビーズ融着成形法は図11(a)
及び(b) に示すように、予備発泡ビーズ1を発泡させる
ことにより、ほぼ球形のビーズ1とビーズ1などとの間
に生ずる空隙6を埋めるようにビーズ1が発泡するとと
もに、ビーズ1同士が融着する成形法である。したがっ
て、通常、樹脂の発泡倍率がたとえば50倍の成形体を
必要とするときには、樹脂ビーズを予め見掛け50倍に
1次発泡させた予備発泡ビーズ1を用い、その予備発泡
ビーズ1を成形金型2,3に注入して2次発泡成形させ
て、発泡倍率50倍の成形体5を製造している。このよ
うに、成形金型2,3に注入された見掛け50倍の予備
発泡ビーズ1は、ビーズ1間の空隙6を2次発泡力で埋
めることにより約50倍の成形体5を得るものであるた
め、予備発泡ビーズ1と成形体5の倍率とその物性はほ
ぼ同等のものとなる。このため、発泡合成樹脂成形体1
の物性は同一樹脂であれば、その機械的・物理的特性、
たとえば強度、緩衝性、熱的・音的特性などは、発泡倍
率とほぼリニアーな比例関係を示すことになる。このこ
とから、必要な特性値を有する発泡合成樹脂成形体5を
得るためには、その特性値を示す発泡倍率の予備発泡ビ
ーズ1を準備しなければならないという問題があった。
【0007】ところで、このビーズ融着成形法によって
成形された発泡合成樹脂成形体は、射出成形された成形
体と比較して、弾力性、柔軟性、断熱性などの種々の点
で優れた特性を備えている。しかし、これらの特性は樹
脂の種類によって大きく異なり、たとえば発泡ポリスチ
レン樹脂は常温では脆くて硬い性質を示し、その成形体
に大きな外力が加わると割れてしまい、柔軟性、復元
性、緩衝性に劣るという問題がある。
【0008】このため、緩衝性を向上させるために、た
とえば図12(a)(b)に示すように、発泡倍率の異なる2
種の予備発泡ビーズ7a,7bを用いて、部分的に異倍
率のビーズから成る成形体7を一体的に製造している。
この部分2層成形法は予備発泡ビーズ7a,7bを2回
に分けて成形金型内に充填しなければならず、通常の成
形方法に比べて更に煩雑なものとなり、成形サイクルが
長くなるという問題があった。
【0009】また、成形体全体の緩衝性を向上させる方
法として、図13(a) に示すように通常の手法で成形し
た成形体8を同図(b) に示すように、1方向にたとえば
常温で約1/2に圧縮して、そのまま約10分から1時
間程度保持した後、同図(c)に示すように、圧縮から開
放する加工法が提案されている。この圧縮加工によっ
て、圧縮方向の寸法は元の寸法の7〜8割に回復した製
品が得られる。この方法によると、圧縮方向には弾性率
及び柔軟性が向上し、優れた緩衝性を示すが、この圧縮
方向と直角をなす方向には、柔軟性は向上するが、弾性
率や圧縮強度、復元性が低下するという問題があった。
このように、特性に方向性が生ずるため、使用条件が限
定され、しかも、プレス工程を必要とするため、量産性
に欠けるだけでなく、形状が直方体に限定されるなどの
問題があった。
【0010】そこで、本発明者は発泡合成樹脂成形体の
新規な成形方法を開発することにより、従来の成形方法
では得られなかった特性、すなわち優れた圧縮強度、柔
軟性、復元性、遮音性などを有する発泡合成樹脂成形体
を得るとともに、成形サイクルの短縮と成形コストの低
減などを図ることを目的に鋭意研究と検討を重ねた結
果、本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る発泡合成樹
脂成形体の成形方法の要旨とするところは、発泡合成樹
脂予備発泡ビーズを複数の金型で構成される成形金型の
成形空間に充填した後、該予備発泡ビーズを該発泡合成
樹脂の軟化温度以上に加熱するとともに2次発泡させ
て、ビーズを加圧融着成形した後、成形体を離型する発
泡合成樹脂成形体の成形方法において、前記加熱工程か
ら冷却工程までの間で前記成形金型の成形空間を拡大又
は拡張させることにより、軟化温度以上である成形体を
拡張又は膨張させて所定の形状に成形することにある。
【0012】かかる発泡合成樹脂成形体の成形方法にお
いて、前記発泡合成樹脂予備発泡ビーズを該樹脂の軟化
温度以上に加熱するとともに該ビーズを2次発泡させ、
成形金型の成形空間内を昇圧させた後、成形金型の成形
空間を拡大又は拡張させることにより、成形体を拡張又
は膨張させて所定の形状に成形することにある。
【0013】また、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、樹脂温度、発泡圧力、及び成形金型の成形
空間を拡大又は拡張させる時期、速度、量並びに形状等
の条件を適宜選定し又は組み合わせて制御することにあ
る。
【0014】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、前記成形金型に温度センサ及び/又は圧力
センサを設け、該センサの検出値に基づいて、成形金型
の成形空間を拡大又は拡張させる時期、速度、量を制御
することにある。
【0015】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、発泡合成樹脂予備発泡ビーズを充填する成
形金型の成形空間の容積又は形状と、成形された成形体
を離型させるときの成形金型の成形空間の容積又は形状
が異なることにある。
【0016】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、成形金型の成形空間を拡大又は拡張させる
ことにより成形金型内の圧力を下げ、冷却時間を短縮さ
せることにある。
【0017】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、成形金型の成形空間を拡大又は拡張させる
ことにより成形体を拡張又は膨張させて所定の形状に成
形した後、昇温状態で該成形金型の成形空間を縮小させ
ることにある。
【0018】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、成形金型の成形空間を拡大又は拡張させる
ことにより成形体を拡張又は膨張させて所定の形状に成
形し、冷却した後、該拡大又は拡張させた成形金型の成
形空間の一部又は全部を縮小させることにある。
【0019】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、成形金型の成形空間の拡大又は拡張が少な
くとも1方向以上であることにある。
【0020】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、成形金型の成形空間の拡大又は拡張が少な
くとも1方向の1部分以上であることにある。
【0021】更に、かかる発泡合成樹脂成形体の成形方
法において、発泡合成樹脂を最高倍率に予備発泡させた
予備発泡ビーズを用いることにある。
【0022】次に、本発明に係る発泡合成樹脂成形体の
要旨とするところは、前記発泡合成樹脂成形体の成形方
法により成形された成形体であることにある。
【0023】また、本発明に係る発泡合成樹脂成形体の
他の要旨とするところは、発泡合成樹脂予備発泡ビーズ
を成形金型内で2次発泡させて成形された発泡合成樹脂
成形体において、該成形体の3次発泡力がほぼゼロであ
ることにある。
【0024】かかる発泡合成樹脂成形体において、前記
発泡合成樹脂成形体に加工が施されることにある。
【0025】また、かかる発泡合成樹脂成形体におい
て、発泡合成樹脂成形体が柔軟性、復元性、緩衝性、耐
座屈性、吸音性、透水性、又は通気性のいずれか1以上
の特性を有することにある。
【0026】更に、かかる発泡合成樹脂成形体が建築用
パネルとして用いられることにある。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係る発泡合成樹脂成形体
の成形方法は、発泡合成樹脂予備発泡ビーズを成形空間
内で加熱融着成形した後、その成形空間の容積を拡大・
拡張させることによって成形体を膨張させ、成形体の内
圧を減圧(除圧)し、その後、少なくとも成形体の表面
と成形金型の冷却をした後、成形体を離型するように構
成したのである。この成形方法において、成形空間の容
積を拡大・拡張させて成形体を膨張させることにより、
成形体は加熱完了時の内圧0.8〜1.2kg/cm2 が瞬
時に成形金型の開度に応じて減圧(除圧)されて、たと
えば0.3〜0.7kg/cm2 程度にまで内圧が低下す
る。
【0028】この成形体の膨張は断熱膨張であるため、
膨張前の成形体内の気化ガス、水蒸気及び空気は約10
0〜110℃相当を維持しているのに対して、断熱膨張
後はこれらの気体の温度は急激に低下し、水蒸気は結露
し、水滴化してしまう。その結果、水蒸気成分は1/2
2.4に体積が減少するため、成形体の内圧はさらに低
下して、内部の温度が低下する。更に、水滴化によって
成形体内部の樹脂や気体が冷却されるとともに減圧され
ることにより、成形体の3次発泡力が相殺されることに
なる。
【0029】一方、加熱工程において、成形融着用蒸気
により2次的に加熱された成形金型の保持温度は100
〜110℃近傍に維持されているため、成形金型に接し
ている成形体の表面は成形金型から加熱されることにな
る。このため、成形体の表面が流動することなく離型で
き、しかも成形体の3次発泡を防止することのできる8
0℃近傍にまで成形金型を冷却した後、成形体を離型す
ることになる。なお、従来の成形方法においては、成形
体の内圧及び内部温度が高いため、離型時の成形金型の
温度は50〜60℃以下にする必要があったのに対し
て、本発明の成形方法においては、成形体の内圧及び内
部温度が低いため、離型時の成形金型の温度を高く設定
することが可能となった。
【0030】以上から、本発明の成形方法によると、成
形体を断熱膨張させて成形体の内圧を下げるとともに内
部温度を下げ、更に成形金型を別途冷却するように構成
しているため、成形サイクルの高速化が可能となる。ま
た、成形金型の離型温度を高く設定することができるた
め、成形金型の昇温時間を短縮できるだけでなく、加熱
に要する熱量が少なくて済むことから、省エネルギー化
が可能となる。
【0031】次に、上述の本発明の成形方法によって成
形された発泡合成樹脂成形体は発泡融着時に膨張させら
れているため、個々のビーズの組成が均一化され、更に
ビーズ間同士などに生じていた残留応力や残留歪が除去
されるものと考えられる。その結果、特に柔軟性や復元
性などが向上した成形体が得られる。
【0032】次に、本発明に係る発泡合成樹脂成形体の
成形方法及び発泡合成樹脂成形体の実施の形態を図面に
基づいて詳しく説明する。
【0033】本発明に係る発泡合成樹脂成形体の成形方
法に用いられる成形装置及び成形金型は従来のものと同
一のものが使用され、図1(a) に示すように従来の成形
方法と同様に、雌形金型10と雄形金型12とから構成
される成形金型のキャビティ14内に発泡合成樹脂予備
発泡ビーズ16が充填される。その際、クラッキング操
作を行って、予備発泡ビーズ16を迅速に充填するよう
に構成しても良い。予備発泡ビーズ16を充填した後、
同図(b) に示すように、成形金型10,12を予備加熱
し、次いで、一方の成形金型10又は12から熱媒体を
キャビティ14内に注入して予備発泡ビーズ16をほぼ
均一に加熱した後、他方の成形金型12又は10から熱
媒体をキャビティ14内に注入して予備発泡ビーズ16
を軟化温度以上に加熱するとともに発泡させ、更に、両
成形金型10及び12の両面を加熱して、一定時間保熱
する。
【0034】キャビティ14内で予備発泡ビーズ16が
発泡して、キャビティ14内の圧力がほぼ最高に達する
保熱工程に入った後、同図(c) に示すように、雌形金型
10と雄形金型12とを適切な量だけ開移動させる。そ
の結果、図2(a) 及び(b) に示すように、軟化温度以上
に加熱されるとともに発泡させられて相互に融着させら
れたビーズ18は、同図(c) に示すように、成形金型1
0,12が開移動させられて広がったキャビティ14の
容積だけ引き延ばされる。ここで、成形金型10,12
の開移動の方向が1方向のみの場合は、ビーズ18は縦
長に延ばされることになるが、成形金型10,12の開
移動の方向が2方向又は3方向の場合は、同図(d) に示
すように、ビーズ18は3次元的にほぼ均等に膨張させ
られて、成形体20が成形されることになる。この雌形
金型10と雄形金型12の開移動させる量は適宜選定さ
れ、特に限定されるものではないが、より好ましくは2
次発泡させられた予備発泡ビーズ16の発泡余力に応じ
て定められる。
【0035】その後、成形体20が3次発泡させられて
キャビティ14内の圧力が所定の値まで回復する待圧を
して、成形した後、雌形金型10と雄形金型12を同時
に冷却して、少なくとも成形金型10,12を成形体2
0の表面が流動化したり、3次発泡しない程度の温度、
たとえば80℃程度に冷却した後、成形体20が離型さ
せられる。成形体20の成形工程において、成形金型1
0,12を開移動させて成形体20を膨張(エキスパン
ド)させているため、成形体20自体は断熱膨張により
内部温度が低下しており、成形金型10,12を冷却す
ることによって、成形体20を容易に冷却することがで
きる。
【0036】上述の本発明に係るエキスパンド成形(E
XP成形)において、予備発泡ビーズ16を軟化温度以
上に加熱して発泡させたビーズ18が、成形金型10,
12を開移動させてキャビティ14の体積を拡大するこ
とにより、高倍率に発泡して膨張する理由は充分に解明
されていない。そこで、推測を交えて説明すれば、まず
予備発泡工程で樹脂ビーズに含浸させた発泡ガスを限界
である最大倍率まで発泡させて得られた予備発泡ビーズ
を成形金型のキャビティ内に充填する。そして、蒸気加
熱による蒸気圧力と、樹脂中の残余の発泡ガスの気化力
と、ビーズの中の空気の熱膨張力により、キャビティ内
を高温昇圧下に保持し、ビーズ間の融着を促進させつ
つ、あるいは融着させた後、成形金型を一定量まで開移
動させることによって、キャビティ内の圧力、すなわち
ビーズの内圧を除圧(減圧)する。その結果、ビーズの
内圧が高圧下から低圧下に減圧されることによって発泡
が促進され、予備発泡工程では限界で得られなかった倍
率よりも更に高い倍率の成形体が得られるものと推定さ
れる。
【0037】以上の成形方法によって成形された成形体
20について物性を調べたところ、従来の成形方法によ
って成形された成形体と比較して、柔軟性、復元性、圧
縮強度、曲げ弾性率、クリープ性、耐割れ性、耐欠け性
などに優れていた。
【0038】ここで、成形体の柔軟性と復元性につい
て、発泡ポリスチレン(EPS)を例に説明する。EP
Sは発泡合成樹脂の中でも倍率、緩衝性、断熱性、成形
コストなどの点で最も経済的で性能的にもバランスが取
れた素材であることから、今日最も使用されている。と
ころが、このEPSは割れたり、欠けたりし易い、柔軟
性や復元性に劣るという欠点がある。このため、これら
の欠点を改良した素材として、発泡ポリエチレン(EP
E)や発泡ポリプロピレン(EPP)が開発されてい
る。そこで、本発明方法による、EPS製の予備発泡倍
率が40倍のビーズを用いてエキスパンド成形(EXP
成形)により50倍に膨張させた成形体(EXP成形
品)と、従来法による、EPS製の予備発泡倍率が50
倍のビーズを用いて成形した成形体(EPS成形品)
と、従来法による、EPE製の予備発泡倍率が40倍の
ビーズを用いて成形した成形体(EPE成形品)のそれ
ぞれについて、圧縮歪と圧縮応力との関係を調べた結果
を図3に示す。
【0039】図3に示すように、EXP成形品につい
て、圧縮歪が74%になるまで圧縮した後、圧縮応力を
除くと、約30%の圧縮歪が残った。同様に、EPS成
形品について、圧縮歪が75%になるまで圧縮した後、
圧縮応力を除くと、約55%の圧縮歪が残った。更に同
様に、EPE成形品について、圧縮歪が75%になるま
で圧縮した後、圧縮応力を除くと、約18%の圧縮歪が
残った。また、同図に示す応力歪曲線と、応力の除去に
対する歪の回復を示す復元曲線とから分かるように、E
PS成形品は応力歪曲線と復元曲線とが大きくずれてい
て、復元性がほとんどなく、柔軟性に欠ける。一方、E
PE成形品は応力歪曲線と復元曲線とが接近していて、
復元性に優れているとともに柔軟性に優れていることが
分かる。これらに対して、EXP成形品は素材がEPS
であるのに、EPS成形品の応力歪曲線及び復元曲線と
異なり、EPEの挙動に近似した応力歪曲線と復元曲線
とが接近した挙動を示している。これは、EXP成形す
ることにより、素材の有する復元性と柔軟性が大幅に向
上することを示すものである。
【0040】このようにEXP成形することにより、復
元性及び柔軟性を始めとする各種の物性が向上する理由
について、充分に解明されていない。そこで、この物性
が変化する理由についても推論を交えて説明すると、次
のように考えられる。まず、EPS予備発泡ビーズはビ
ーズの外面をなす外包スキンと、その内部の無数のセル
膜に覆われたセル室とから形成されていて、ほぼ球形で
ある。この予備発泡ビーズを成形金型のキャビティに充
填して軟化・発泡させることにより、粒子間などの隙間
に膨張占積して融着成形することになる。このとき、球
形の予備発泡ビーズが膨張するのは粒子間などの隙間だ
けであって、多面立方体にならざるを得ず、均一に膨張
していない。このため、発泡させられた1個のビーズを
ミクロ的に見たとき、膨張している箇所、膨張していな
い箇所、更にクラッキング操作などにより押圧されて収
縮している箇所が存在し、発泡倍率が異なっていると考
えられる。したがって、ビーズが膨張拡大するのは、発
泡余力として残っている未膨張の箇所や収縮した箇所で
あり、これらの箇所がEXP成形することにより膨張
し、1個のビーズの発泡倍率がほぼ均一化するものと考
えられる。その結果、個々のビーズ及び全体として、発
泡倍率や組成がほぼ均一化され、更に、ビーズ間の内部
応力あるいは残留応力と残留歪が除去されるため、EX
P成形された成形体の物性が向上すると考えられる。
【0041】更に、他の観点から成形体の物性の変化を
説明すれば、1軸方向にEXP成形をすることにより、
当初、多面立方体に成形されたビーズはエキスパンド方
向に縦長の多面立方体に膨張成形され、各セル膜、セル
も立配列化される。その結果、エキスパンド方向の押圧
変形反力とそれに直角をなす方向の押圧変形反力とに差
ができる。そして更に、EXP成形は高温下で樹脂を一
気に膨張させるため、樹脂の膨張方向に、方向性がつ
き、さらに一種のアニーリング効果(表面硬化)が発生
して、樹脂の可撓性が一段と向上することになると考え
られる。
【0042】また更に、他の観点から成形体の物性の変
化を説明すれば、本発明に係るEXP成形をすることに
より、予備発泡ビーズが発泡させられたビーズは断熱膨
張させられ、ビーズ自体の内部温度及び内部圧力が低下
させられる。このため、ビーズを構成する樹脂に加わる
熱履歴及び高圧下での加圧履歴が従来の樹脂よりも圧倒
的に低くなる。その結果、樹脂の劣化、老化が防止さ
れ、成形体の物性が向上するものと考えられる。
【0043】以上、本発明に係る発泡合成樹脂成形体の
成形方法とその成形方法によって成形された発泡合成樹
脂成形体の一例を詳述したが、本発明は上述の実施の形
態に限定されるものではない。
【0044】たとえば、前述の実施の形態では成形金型
10,12の両面を加熱した後、保熱し、その後エキス
パンドするように構成していたが、保熱工程を必ずしも
設ける必要はなく、成形体20の大きさや形状によって
は、両面加熱工程の終了前からあるいは終了と同時にエ
キスパンドを開始しても良い。成形体が大きい場合など
においては、融着率を向上させるために、保熱時間を充
分に確保するのが好ましい。また逆に、予備発泡ビーズ
16が充分に発泡し、融着しない前にエキスパンドを開
始させて成形することにより、ビーズとビーズの間に空
隙を積極的に残すことによって、透水性を有する成形体
を成形することも可能となる。
【0045】また、エキスパンドの終了後、充分な待圧
時間を設けて、キャビティ14内の圧力の回復を待つこ
とにより、成形体20の表面スキン層の形成を図っても
良いが、エキスパンドの終了後直ちに、あるいは一定の
待圧後に雌形金型10と雄形金型12とを若干閉移動さ
せて、成形体20に圧力を加え、成形体20の表面スキ
ン層の形成を図っても良い。表面スキン層の形成を図る
ことにより、成形体20の外観が良好になるだけでな
く、曲げ強度、耐割れ性、耐欠け性などについてもさら
に向上することになる。
【0046】更に、冷却工程については、成形体はエキ
スパンドにより断熱膨張させることによって、その内部
温度は充分に低下しているため、成形金型10,12の
冷却が主としてなされる。成形金型10,12の冷却
は、成形体20の表面が溶融して流動化しない温度であ
って、成形金型10,12からの熱伝導によって成形体
20が加熱されて3次発泡しない温度以下になされれば
足りる。省エネルギー及び成形サイクルの向上のために
は、成形金型10,12を冷却しすぎないのが好まし
い。また、成形金型10,12の冷却方法として、水冷
だけでなく真空放冷やその他の手法を併用することも可
能であり、特に限定されるものではない。成形金型1
0,12の冷却方法としては、少なくとも成形金型を所
定の温度以下に急速に冷却し得る方法であるのが好まし
い。
【0047】また、エキスパンドを開始する時期、速
度、量又は形状などは予め試作段階などで得たデータを
基にして設定し、プログラム化して成形装置を稼働させ
ることも可能であるが、特にエキスパンドを開始する時
期、速度又は量については、成形中の樹脂温度又は発泡
圧力のいずれか一方又は双方を検出し、その検出値に基
づいて制御するように構成することも可能である。成形
中の樹脂温度又は発泡圧力を検出するために、成形金型
に温度センサ及び/又は圧力センサを設けることも可能
である。制御の一例として、温度と圧力の検出値に基づ
いてエキスパンドを開始する時期を制御し、エキスパン
ドの開始後は圧力の検出値に基づいて、成形金型の開移
動の速度と量を制御するように構成することができる。
これらの制御方法などは特に限定されるものではなく、
適宜設定し得るものである。
【0048】次に、本発明の成形方法はエキスパンド前
と後とのキャビティ(成形空間)の容積は異なるもので
あるが、その前後において形状が異なるように構成する
ことも可能である。たとえば、図4(a) に示すように容
器状の成形体22をエキスパンドして、同図(b) に示す
ように、成形体22の底部24を主として膨張させて成
形しても良い。このような成形方法により、底部24が
柔軟で、側壁部が硬い構造の容器を製造することができ
る。
【0049】また、成形金型のうち雌形金型と雄形金型
のいずれか一方の全体を移動させてエキスパンドする必
要はなく、雌形金型及び/又は雄形金型の一部であって
も良い。たとえば図5(a) に示すように、雌形金型26
及び雄形金型28のそれぞれに配設した移動駒30,3
2をキャビティ34内に突出させた状態で成形体36を
成形した後、同図(b) に示すように、移動駒30,32
を引いて、成形体36の一部をエキスパンドさせて成形
体38を成形するように構成することが可能である。こ
の成形方法により、両端部が柔軟性及び復元性に優れた
成形体38を製造することができる。
【0050】また図6(a) に示すように、雌形金型40
に移動駒42を配設して、板状の成形体44を成形した
後、同図(b) に示すように移動駒42を引いて、成形体
44の一部をエキスパンドさせ、容器状あるいはコの字
状の成形体46を成形するように構成することも可能で
ある。
【0051】以上説明した本発明の成形方法は予備発泡
ビーズを加熱融着させるとともに発泡させて成形体を成
形した後、その成形体の一部又は全部をエキスパンドし
て、特性の異なる成形体を成形するものである。これに
対して、一旦エキスパンドして成形体の一部又は全部を
膨張させた後、更にその膨張させた箇所の一部又は全部
を押圧してほぼ元の形状に押し圧縮縮小する加工を施し
ても良い。この圧縮加工は成形金型内で成形工程の一つ
として行っても良いが、離型後、別工程で行うように構
成しても良い。このように、エキスパンド成形後、更に
圧縮させることにより、成形体の柔軟性や遮音性をさら
に向上させることができる。なお、この圧縮縮小工程は
成形体が昇温状態にあるときに行っても良いが、冷却後
であっても良く、特に限定されない。
【0052】また、以上の実施の形態はいずれもエキス
パンド方向は1軸方向であったが、たとえば図7(a) に
示すように、4個の成形金型48がそれぞれ個別に移動
し得るように構成し、成形体50を発泡成形した後、同
図(b) に示すように成形金型48を移動させて、成形体
50を2軸方向にエキスパンドするように構成すること
も可能である。更に、少なくとも一部を3軸方向にエキ
スパンドするように構成することも可能である。このよ
うに、成形体を2軸又は3軸方向にエキスパンドするこ
とにより、ビーズのエキスパンド方向が均一化され、方
向性のない均一な特性を有する成形体を製造することが
可能となる。
【0053】以上、本発明の実施の形態を種々説明した
が、本発明に用いられる発泡合成樹脂はビーズ融着成形
法が適用し得るものであれば限定されるものではなく、
たとえば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポ
リプロピレン、発泡ポリスチレンとポリエチレンの共重
合体、発泡塩化ビニールなど、いずれでも良い。また、
予備発泡ビーズの発泡倍率は適宜選定し得るものであ
り、限定されるものではない。特に、本発明において
は、特定の発泡合成樹脂を最高倍率にまで発泡させた予
備発泡ビーズであっても用いることができ、このような
予備発泡ビーズを発泡成形した成形体をさらにエキスパ
ンドさせて、成形体を成形することが可能である。
【0054】上述の本発明方法により成形し得る成形体
の形状は特に限定も制限もされるものではなく、各種の
緩衝材、魚凾、野菜凾などの容器や、その他、土木建築
用の型物、断熱材、ネダ、畳などの芯材など、多くの用
途に用いられる成形体を一体的に成形することができ
る。また、大型のブロック成形体を成形することも可能
であり、その成形体をそのまま土木工事に利用すること
も可能であるが、その大型のブロック成形体を適宜切り
出して、各種の断熱材や緩衝材などに利用することがで
きる。
【0055】特に、本発明方法により成形された成形体
は柔軟性及び復元性に優れることから、隙間なく気密に
部材のスパン間に配設することができ、建築用の断熱
材、たとえば床や壁、天井などの内壁面と外壁面との間
に配設して断熱するとともに結露を防止するための断熱
材として有用である。また、気密性良く成形体を配設で
きることから、内外音を遮音するための遮音材としても
使用できる。
【0056】その他、成形体を薄く切断して紙や布など
の部材に貼着して使用したりすることができるなど、本
発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に
基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し
得るものである。
【0057】次に、本発明に係る発泡合成樹脂成形体の
成形方法を実施例により、具体的に説明する。
【0058】
【実施例 1】EPSを用い、製品形状が300mm×2
00mm×25mmのブロック形状の緩衝材を成形した。1
成形サイクルにおける各工程の時間とキャビティ内の圧
力とを図8に示した。まず、成形金型を閉めるのに5秒
かかった後、キャビティ内に予備発泡ビーズを13秒か
けて充填した。その後、成形金型を3秒間予備加熱した
後、一方の成形金型から加熱蒸気をキャビティ内に送り
込んで他方の成形金型から排出することにより予備発泡
ビーズを12.5秒間加熱した。そして、蒸気の注入を
一旦停止した後、逆方向から加熱蒸気を注入して、6.
5秒間加熱し、蒸気の注入を停止した。更に、両成形金
型からキャビティ内のビーズを7秒間加熱した後、2秒
間保熱した。この加熱工程において、キャビティ内の圧
力は、加熱蒸気の注入圧力によって大きく上昇し、予備
発泡ビーズが加熱溶融し、発泡させられることにより、
キャビティ内をビーズが隙間なく充満したとき、最高圧
力に達した。
【0059】上記2秒間の保熱後、成形金型を2秒間で
5mm開移動させて、キャビティ内の成形体をエキスパン
ドした。その後、4秒間待圧し、キャビティ内の圧力が
約0.5kg/cm2 に回復するのを待った後、成形金型を
両側から水冷により20秒間冷却し、次いで成形金型を
5秒で開移動させて成形体を離型して取り出した。この
1成形サイクルは80秒であった。得られた成形体の形
状や寸法は所望の通りであり、更に、柔軟性,復元性な
どに優れていた。
【0060】
【実施例 2】実施例1と同様の成形金型により、同様
にして両成形金型からキャビティ内のビーズを7秒間加
熱した後、1秒間保熱した。その後、成形金型を5秒間
で8mm開移動させて、キャビティ内の成形体をエキスパ
ンドした。その後、4秒間待圧し、キャビティ内の圧力
が約0.5kg/cm2 に回復するのを待った後、成形金型
を両側から水冷により10秒間冷却し、次いで成形金型
を5秒で開移動させて成形体を離型して取り出した。こ
の1成形サイクルは72秒であった。得られた成形体の
形状や寸法は所望の通りであり、更に、柔軟性,復元性
などに優れていた。
【0061】
【実施例 3】実施例1と同様の成形金型により、同様
にして両成形金型からキャビティ内のビーズを7秒間加
熱した後、1秒間保熱した。その後、成形金型を2秒間
で10mm開移動させて、キャビティ内の成形体をエキス
パンドした。その後、待圧しないで直ちに、成形金型を
両側から水冷により10秒間冷却し、次いで成形金型を
5秒で開移動させて成形体を離型して取り出した。この
1成形サイクルは65秒であった。得られた成形体の形
状や寸法は所望の通りであり、更に、柔軟性,復元性な
どに優れていた。
【0062】
【比較例 1】実施例1と同様の成形金型により、同様
にして両成形金型からキャビティ内のビーズを7秒間加
熱した後、2秒間保熱し、続いて3秒間成形金型を予冷
した。その後、成形金型をまず雌形金型側を13秒間水
冷した後、雄形金型側を10秒間水冷し、更に、成形金
型を真空引きして、50秒間真空放冷し、次いで成形金
型を5秒で開移動させて成形体を離型して取り出した。
この1成形サイクルは130秒であった。得られた成形
体の形状や寸法は所望の通りであり、また、成形体の物
性は従来からのEPS成形体と同じであり、柔軟性,復
元性などの点で劣るものであった。
【0063】
【実施例 4】EPSを用い、製品形状が920mm×1
825mm×415mmのブロック形状の成形体を成形し
た。1成形サイクルにおける各工程の時間とキャビティ
内の圧力とを図9に示した。まず、成形金型を5秒かけ
て閉め、その後、成形金型を加熱蒸気を用いて30秒間
予熱した後、エアーによりキャビティ内の水切りを5秒
間行った。予熱を行うのは前成形サイクルにおいて成形
金型が充分に冷却されてしまうためであり、水切りは冷
却工程や予熱工程で水滴などとしてキャビティ内に付着
した水を除去するためである。次に、水切り工程の後、
キャビティ内に予備発泡ビーズを30秒かけて充填した
後、一方の成形金型から加熱蒸気をキャビティ内に送り
込んで他方の成形金型から排出することにより予備発泡
ビーズを20秒間加熱し、蒸気の注入を一旦停止した
後、逆方向から加熱蒸気を注入して、20秒間加熱し、
蒸気の注入を停止した。更に、両成形金型からキャビテ
ィ内のビーズを20秒間加熱した後、5秒間保熱した。
【0064】その後、成形金型を60秒間で80mm徐々
に開移動させて、キャビティ内の成形体をエキスパンド
した。その後、60秒間待圧し、キャビティ内の圧力が
約1.0kg/cm2 に回復するのを待った後、成形金型を
両側から水冷により180秒間冷却し、更に真空放冷と
水冷により180秒間、急速に冷却し、次いで成形金型
を30秒で開移動させて成形体を離型して取り出した。
この1成形サイクルは635秒であった。得られた成形
体の形状や寸法は所望の通りであり、更に、柔軟性,復
元性などに優れていた。
【0065】
【比較例 2】実施例4と同様の成形金型により、同様
にして成形金型を型閉めをした後、キャビティ内に予備
発泡ビーズを30秒かけて充填し、次いで、実施例4と
同様に加熱発泡させた後、5秒間保熱した。その後、成
形金型を両側から50秒間水冷した後、成形体を成形金
型から取り出しても3次発泡しないように、1055秒
間放冷し、次に成形金型を30秒で開移動させて成形体
を離型して取り出した。この1成形サイクルは1200
秒であった。得られた成形体の形状や寸法は所望の通り
であり、また、成形体の物性は従来からのEPS成形体
と同じであり、柔軟性,復元性などの点で劣るものであ
った。
【0066】
【実施例 5】実施例4と同様の成形方法により成形体
を製造した。但し、成形金型の両面加熱工程の終了時を
加熱完了時とし、その加熱完了時を基準として1秒前か
らエキスパンドした成形体、完了時からエキスパンドし
た成形体、冷却開始10秒後からエキスパンドした成形
体、冷却開始20秒後からエキスパンドした成形体をそ
れぞれ製造し、それらの物性を調べた。また、比較例2
によって製造した成形体についても物性を調べ、その従
来法である比較例2の成形体の物性を基準にして、評価
した。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1から分かるように、表面のスキン厚み
を除いて、特性が向上していた。なお、遮音性は成形体
の柔軟性、復元性が向上した結果、密閉性が向上したた
めと考えられる。また、成形コストは、成形中に成形金
型を移動させることに伴うコストアップがあるが、成形
サイクルの短縮と冷却時間の短縮、及び冷却温度を高く
設定できることなどによるコストダウンを評価した。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る発泡合成樹脂成形体の成形
方法は、発泡合成樹脂予備発泡ビーズを成形空間内で加
熱融着成形した後、その成形空間の容積を拡大・拡張さ
せることによって成形体を断熱膨張させて所定の形状に
成形するようにしているため、成形体の膨張工程で成形
体の内圧が減圧(除圧)されるとともに内部温度が急激
に低下させられる。このため、成形体の成形完了時に
は、成形体の内圧及び内部温度が3次発泡の少ない状態
になっており、その後、少なくとも成形体の表面と成形
金型の冷却するだけで、成形体を離型することができ、
成形サイクルが非常に短縮化される。また、成形金型を
必要以上に冷却する必要がないため、冷却コストの削減
が図れるだけでなく、予備発泡ビーズを加熱融着させる
ための熱量が少なくて済み、省エネルギー化を図ること
もできる。
【0070】また、本発明の成形方法によって成形され
た発泡合成樹脂成形体は、予備発泡ビーズを一旦発泡さ
せて成形体を成形した後、そのビーズを膨張させて所定
の形状の成形体を成形するようにしているため、成形体
を構成する個々のビーズは均一で内圧や残留応力、残留
歪がほとんど残らず、特に柔軟性及び復元性に優れた成
形体となる。その他、発泡合成樹脂成形体は圧縮強度や
耐割れ性、耐欠け性などの特性に優れた製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) 乃至(c) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法を示す断面説明図である。
【図2】同図(a) 乃至(d) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法を示す要部拡大断面説明図である。
【図3】本発明に係る発泡合成樹脂成形体の圧縮応力−
圧縮歪の関係を示すグラフである。
【図4】同図(a) 及び(b) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法の他の形態を示す断面説明図である。
【図5】同図(a) 及び(b) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法の更に他の形態を示す断面説明図であ
る。
【図6】同図(a) 及び(b) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法の更に他の形態を示す断面説明図であ
る。
【図7】同図(a) 及び(b) は本発明に係る発泡合成樹脂
成形体の成形方法の更に他の形態を示す断面説明図であ
る。
【図8】本発明に係る発泡合成樹脂成形体の成形方法に
おける各成形工程と成形空間内の圧力との関係を示す図
である。
【図9】本発明に係る発泡合成樹脂成形体の他の成形方
法における各成形工程と成形空間内の圧力との関係を示
す図である。
【図10】同図(a) 及び(b) は従来の発泡合成樹脂成形
体の成形方法を示す断面説明図である。
【図11】同図(a) 及び(b) は従来の発泡合成樹脂成形
体の成形方法を示す要部拡大断面説明図である。
【図12】同図(a) 及び(b) は従来の発泡合成樹脂成形
体の一例を示す斜視説明図である。
【図13】同図(a) 乃至(c) は従来の他の発泡合成樹脂
成形体の成形方法を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
10,26,40:雌形金型 12,28:雄形金型 14,34:キャビティ(成形空間) 16:予備発泡ビーズ 18:ビーズ 20,22,38,44,46,50:成形体 48:成形金型

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡合成樹脂予備発泡ビーズを複数の金
    型で構成される成形金型の成形空間に充填した後、該予
    備発泡ビーズを該発泡合成樹脂の軟化温度以上に加熱す
    るとともに2次発泡させて、ビーズを加圧融着成形した
    後、成形体を離型する発泡合成樹脂成形体の成形方法に
    おいて、前記加熱工程から冷却工程までの間で前記成形
    金型の成形空間を拡大又は拡張させることにより、軟化
    温度以上である成形体を拡張又は膨張させて所定の形状
    に成形することを特徴とする発泡合成樹脂成形体の成形
    方法。
  2. 【請求項2】 前記発泡合成樹脂予備発泡ビーズを該樹
    脂の軟化温度以上に加熱するとともに2次発泡させ、成
    形金型の成形空間内を昇圧させた後、成形金型の成形空
    間を拡大又は拡張させることにより、成形体を拡張又は
    膨張させて所定の形状に成形することを特徴とする請求
    項1に記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載する発泡合成
    樹脂成形体の成形方法において、樹脂温度、発泡圧力、
    及び成形金型の成形空間を拡大又は拡張させる時期、速
    度、量並びに形状等の条件を適宜選定し又は組み合わせ
    て制御することを特徴とする発泡合成樹脂成形体の成形
    方法。
  4. 【請求項4】 前記成形金型に温度センサ及び/又は圧
    力センサを設け、該センサの検出値に基づいて、成形金
    型の成形空間を拡大又は拡張させる時期、速度、量を制
    御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1又は2に記載する発泡合成
    樹脂成形体の成形方法において、発泡合成樹脂予備発泡
    ビーズを充填する成形金型の成形空間の容積又は形状
    と、成形された成形体を離型させるときの成形金型の成
    形空間の容積又は形状が異なることを特徴とする発泡合
    成樹脂成形体の成形方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに
    記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、成形
    金型の成形空間を拡大又は拡張させることにより成形体
    内の圧力を下げ、冷却時間を短縮させることを特徴とす
    る発泡合成樹脂成形体の成形方法。
  7. 【請求項7】 前記請求項1乃至請求項6のいずれかに
    記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、成形
    金型の成形空間を拡大又は拡張させることにより成形体
    を拡張又は膨張させて所定の形状に成形した後、昇温状
    態で該成形金型の成形空間を縮小させることを特徴とす
    る発泡合成樹脂成形体の成形方法。
  8. 【請求項8】 前記請求項1乃至請求項6のいずれかに
    記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、成形
    金型の成形空間を拡大又は拡張させることにより成形体
    を拡張又は膨張させて所定の形状に成形し、冷却した
    後、該拡大又は拡張させた成形金型の成形空間の一部又
    は全部を縮小させることを特徴とする発泡合成樹脂成形
    体の成形方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至請求項8のいずれかに
    記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、成形
    金型の成形空間の拡大又は拡張が少なくとも1方向以上
    であることを特徴とする発泡合成樹脂成形体の成形方
    法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至請求項8のいずれか
    に記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、成
    形金型の成形空間の拡大又は拡張が少なくとも1方向の
    1部分以上であることを特徴とする発泡合成樹脂成形体
    の成形方法。
  11. 【請求項11】 前記請求項1乃至請求項10のいずれ
    かに記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法において、
    発泡合成樹脂を最高倍率に予備発泡させた予備発泡ビー
    ズを用いることを特徴とする発泡合成樹脂成形体の成形
    方法。
  12. 【請求項12】 前記請求項1乃至請求項11のいずれ
    かに記載する発泡合成樹脂成形体の成形方法により成形
    された成形体であることを特徴とする発泡合成樹脂成形
    体。
  13. 【請求項13】 発泡合成樹脂予備発泡ビーズを成形金
    型内で2次発泡させて成形された発泡合成樹脂成形体に
    おいて、該成形体の3次発泡力がほぼゼロであることを
    特徴とする発泡合成樹脂成形体。
  14. 【請求項14】 前記請求項12又は請求項13に記載
    する発泡合成樹脂成形体に加工が施されることを特徴と
    する発泡合成樹脂成形体。
  15. 【請求項15】 前記請求項12又は請求項13に記載
    する発泡合成樹脂成形体が柔軟性、復元性、緩衝性、耐
    座屈性、吸音性、透水性、又は通気性のいずれか1以上
    の特性を有することを特徴とする発泡合成樹脂成形体。
  16. 【請求項16】 前記請求項12乃至請求項15に記載
    する発泡合成樹脂成形体が建築用パネルとして用いられ
    ることを特徴とする発泡合成樹脂成形体。
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