JP3684089B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間転写体を用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式のカラー画像形成装置において、像担持体としての感光ドラムの他に、第2の像担持体として中間転写体を備えたものが知られている。これは、感光ドラム上に形成したトナー像を一旦、中間転写体に転写するいわゆる一次転写を複数回繰り返して、中間転写体上に複数色のトナー像を重ねた後、これら複数色のトナー像を紙等の転写材上に一括して二次転写するものである。
【0003】
図8に、従来の中間転写体を使用したカラー画像形成装置の一例を示す。
【0004】
カラー画像形成装置は、第1の像担持体として感光ドラム101を備え、この感光ドラム101は矢印R1方向に回転自在に支持され、感光ドラム101の周囲には、各色の現像器、すなわちブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色の現像剤(トナー)がそれぞれ収納された4個の現像器105、106、107および108が配置されている。これらの現像器105〜108は、図示しない離接手段によって感光ドラム101に当接され、感光ドラム101上の静電潜像の現像に供される。
【0005】
感光ドラム101は、帯電器102によって表面を一様に帯電され、レーザ露光光学系103等による走査光(レーザ光)104によって静電潜像が形成される。静電潜像は、上記の現像器105等により選択的に反転現像され、トナーが付着したトナー像として可視化される。この感光ドラム101上のトナー像は、第2の像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト109上に、一次転写ローラ110によって順次に一次転写される。
【0006】
上記の静電潜像の形成、現像、一次転写が4色のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックについて行われ、これにより中間転写ベルト109上に4色のトナー像を重ねたカラー画像が形成される。ついで、これら4色のトナー像は、二次転写ローラ111と中間転写ベルト109とによって挟持、搬送される転写材Pに一括して転写される。
【0007】
上述の一次転写および二次転写についてさらに説明する。
【0008】
感光ドラム101が、たとえば負の帯電特性を有するOPC(有機光半導体)感光体である場合、現像器105〜108は、負極性のトナーを使用してレーザ光104による露光部を現像する。従って、現像時、一次転写ローラ110には、一次転写ローラ110とともに一次転写手段を構成するバイアス電源120により、正極性の転写バイアスが印加される。
【0009】
中間転写ベルト109は、一例として必要に応じて抵抗調整がなされた、体積抵抗率1011〜1016Ωcm程度の厚さ100〜200μmの、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを無端状に形成したものが用いられ、背面ローラ112、駆動ローラ115およびテンションローラ116に掛け渡される。
【0010】
このように、中間転写ベルト109として薄膜のフィルムを用いることにより、一次転写ニップN1において、数100〜数1000pFの大きな静電容量を確保できるため、安定した転写電流を得ることができる。
【0011】
また、中間転写ベルト109の、他の構成例として、図9(a)に示すように、中間転写ベルト109を基層109aとその上の表面層109bとで構成し、少なくともその基層109aについて、厚さ0.5〜2mm程度の弾性体(JIS−A測定で60°〜90°程度)を用いることも出来る。
【0012】
この方法は、前述の樹脂ベルトの欠点である中抜け画像を改善する効果がある。すなわち中間転写ベルト109の表面の硬度が高いと、一次転写された中間転写ベルト109上のトナー像に中抜けが発生しやすいが、弾性体109aを用いることで、中間転写ベルト109の表面硬度を下げることが可能となる。
【0013】
一方、中間転写ベルト109上の画像は、表面に担持された状態で複数回転にわたり搬送されることになるので、中間転写ベルト109に対するトナーの静電気力による吸着が弱いと、中間転写ベルトを張架しているローラ112、115、116等の外周面で、中間転写ベルトが屈曲したり、表面の伸縮が繰り返されたときに、中間転写ベルトの表面に順次重ねられてくるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が乱れることがある。
【0014】
特に、中間転写ベルト109を弾性体を含む構成としていると、図9(b)に示すように、中間転写ベルト109が、ローラ部、たとえばローラ115のところで湾曲および伸縮(湾曲部では、直線部に比較し、ベルト表面が伸び内側面が縮む)を受けたときに、中間転写ベルト109上のイエロートナーtYのトナー像上層に乗ったマゼンタトナーtMが、イエロートナーtYからの電気的反発を受けつつ、中間転写ベルト109の湾曲、伸縮のショックを受けるため、図9(b)のように飛び散る。
【0015】
もちろん、弾性体を含まない構成の樹脂ベルトにおいても体積抵抗率の小さいベルトでは、上記飛び散り現象が生じ易い。
【0016】
このようなトナーの飛び散り(画像の飛び散り)は、各色トナー像を形成するトナーの量が多く、かつ複数色のトナーを中間転写ベルト上で重ねてフルカラーの文字等を形成する場合に、顕著に発生する。これは、中間転写ベルト上でトナー像を重ねた場合、上層に重ねられたトナー像(後から転写されたトナー像)のトナーが飛び散りやすいからである。
【0017】
この飛び散りを改善するため、前述の樹脂ベルトにおける樹脂の体積抵抗率や後述の図9(a)の様な弾性体を含むベルトにおける表面層の体積抵抗率を高抵抗化し、図9(c),(d)に示す様な、電位の壁を形成することで、画像の飛び散りを防止するという方法が本件出願人等により見出されている。
【0018】
次に、二次転写ローラ111、による転写材への転写について説明を行なう。
【0019】
二次転写ローラ111、背面ローラ112、およびバイアス電源121によって構成された二次転写手段により、転写材Pに対するトナー像の二次転写が行われる。中間転写ベルト109の内側に配置した、接地または適当なバイアスを印加した低抵抗の背面ローラ112を対向電極とし、これと中間転写ベルト109の外側に配置した低抵抗の二次転写ローラ111とで、中間転写ベルト109を挟み込んで二次転写ニップ部N2を構成する。そして二次転写ローラ111に対してバイアス電源121によって正極性の転写バイアスを印加し、この二次転写ローラ111を転写材Pの裏面側から当接させることにより、二次転写を行う。
【0020】
一次転写が終了した感光ドラム101は、表面に残った一次転写残りトナーがクリーナ119によって除去、回収され、さらに残留電荷が露光器117によって除去され、つぎの画像形成に供される。二次転写が終了した中間転写ベルト109の表面は、クリーナ113によって二次転写残りトナーが除去された後、除電帯電器114によって除電される。除電帯電器114としては、ACコロナ帯電や、接触タイプのローラ帯電器、その他が用いられる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような画像形成装置において、1次転写を行う際に、1次転写ローラ110に印加される正極性バイアスと、感光ドラム101の負極性電位との間の転写電位コントラストの大小により、転写不良や画像不良の生じることがある。転写不良については、トナーの有する負極性電荷の大小に応じ、最適な転写コントラストが存在するので、前記1次転写部の転写電位コントラストが小さすぎても大きすぎても転写効率が悪化する。ところが、前述の飛び散り改善のために、中間転写ベルト109の抵抗値を上げると、上記転写不良以外に、転写電位コントラストを大きくした場合に転写ニップ近傍で気中放電が生じることによる画像乱れの発生することが判明した。
【0022】
この画像乱れについて詳述すると、1次転写実行時の色自身で気中放電が発生した場合は、1次転写時における中間体上のトナー画像の乱れとなって発生し、一方1次転写が既に行われた中間体上のトナー画像上に、次の色の非画像部が重ねて転写される際に気中放電が発生した場合は、放電パターンに従って中間体上に電荷パターンが形成され、これが1次転写終了後に、転写紙上に2次転写を行う際にトナーの乱れを誘発する形で顕在化するものである。
【0023】
ここで、前者の1次転写時の自色の乱れに比べ後者の既に形成された中間体トナー上への、次の色またはそれ以降の色の非画像域が転写される場合の方が、気中放電は生じ易い。これは、画像形成が反転現像法で行われているため、非画像域の感光体電位の方が負方向に大きく(即ち、暗部電位)転写電位コントラストも大きくなるためである。
【0024】
しかも、中間転写ベルト109の抵抗値が高い程、前述の転写効率の最良点が、上記気中放電を発生させない範囲を超え易くなり、結果的に飛び散り、転写効率、画像乱れ(特に後者の2次転写に顕在化する方)の3点を全て満足するポイントを得るのがきわめて困難となっていた。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成装置は、画像信号に基づいて感光体上に潜像を露光する露光手段と、前記感光体上に形成された潜像を、対応する各色の現像剤で現像することによりトナー像として可視化する現像手段とを有し、前記感光体上に形成された各色のトナー像を転写媒体上に重ね合わせる様に転写する画像形成装置において、前記画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成色と画像形成を行わない非画像形成色との双方が存在する領域において、前記非画像形成色の少なくとも1つ以上について、現像されない程度の微小露光を行う一方、前記画像形成色が存在しない白地領域においては、いずれの色についても前記微小露光を行わない様に、前記露光手段を制御することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の画像形成装置は、画像信号に基づいて感光体上に潜像を露光する露光手段と、前記感光体上に形成された潜像を、対応する各色の現像剤で現像することによりトナー像として可視化する現像手段とを有し、前記感光体上に形成された各色のトナー像を転写媒体上に重ね合わせる様に転写する画像形成装置において、前記画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成色と画像形成を行わない非画像形成色との双方が存在し且つ前記画像形成色の濃度が所定値以上である領域において、前記非画像形成色の少なくとも1つ以上について、現像されない程度の微小露光を行う一方、前記画像形成色が存在しない白地領域においては、いずれの色についても微小露光を行わない様に、前記露光手段を制御することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0029】
本画像形成装置は、4色のフルカラー画像形成装置であり、第1の像担持体である感光ドラム1、帯電手段2、露光手段3、現像手段4、第2の像担持体5の中間転写ベルト51、第1の転写手段6および第2の転写手段7を備えている。
【0030】
画像形成の主要行程は、感光ドラム1上に、画像形成手段の帯電手段2、露光手段3、現像手段4によりトナー像を形成し、このトナー像を第1転写手段6により一旦、中間転写ベルト51上に転写し、その後、中間転写ベルト51上のトナー像を第2転写手段7によって紙等の転写材P上に転写することである。以下、詳述する。
【0031】
第1の像担持体としての感光ドラム1は、アルミニウム製の円筒状基体と、その表面を覆うたとえばOPC(有機光半導体)感光層とによって構成されており、図示しない駆動手段により矢印R1方向に回転駆動される。
【0032】
帯電手段2は、感光ドラム1に接触配置された帯電ローラ21と、これに帯電バイアスを印加する図示しない電源とからなる。本実施例では、帯電電源から帯電バイアスを印加した帯電ローラ21により、感光ドラム1の表面をマイナス極性の均一な電位に帯電する。
【0033】
露光手段3はレーザー光学系31を備えており、画像情報に基づいたレーザー光32の走査によって、感光ドラム1の表面を露光して露光部分の電荷を除電し、感光ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
【0034】
現像手段4は、矢印R4方向に回転可能な回転体41と、これに搭載された4個の現像器、すなわちブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のトナーがそれぞれ収納された現像器4K、4Y、4M、4Cとからなる。これら現像器4K〜4Cは、回転体41の回転により感光ドラム1と対向した現像位置に配置され、感光ドラム101上の静電潜像の現像に供される(図1では、ブラックの現像器4Kが現像位置に配置され、現像に供されている)。
【0035】
これらの現像器4K〜4Yは同様に構成されており、ブラックの4Kを例にとって説明すると、負帯電性の一成分非磁性トナーを収容した現像容器4dに、回転可能な金属製の現像スリーブ4aと、この表面にトナーを塗布する塗布ローラ4bと、現像スリーブ4aの表面上のトナー層厚を規制する弾性ブレード4c(ウレタン、シリコーンゴム等からなる)などを備えてなっている。
【0036】
現像器4Kは、非磁性トナーに摩擦帯電電荷を付与し、そのトナーを現像スリーブ4aに均一にコーティングし、感光ドラム1に対し現像スリーブ4aを略300μmの感覚に保ち、スリーブが相対的にマイナスになるような現像DCバイアスをACバイアスに重畳して印加することにより、感光ドラム1上の静電潜像にブラック(黒)のトナーを付着し、ジャンピング現像方式により反転現像するものである。この現像により、潜像はブラックトナー像として可視化される。
【0037】
第2の像担持体5は、前記の中間転写ベルト51を主要構成部材としている。中間転写ベルト51は、弾性体の基層(弾性層)を有する無端(エンドレス)ベルトで、駆動ローラ52、テンションローラ(従動ローラ)53および二次転写対向ローラ72に掛け渡され、矢印R5方向に回転駆動される。中間転写ベルト51は、その表面(外周面)側の感光ドラム1と、裏面(内周面)側に配置された一次転写ローラ61とによって挟持されており、中間転写ベルト51と感光ドラム1との間には、一次転写ニップ部(第1の転写部位)N1が、感光ドラム1の表面の母線方向に沿って帯状に形成されている。
【0038】
中間転写ベルト51について詳述すると、図2に示すように、弾性体の基層(下層)51aと、その上に設けた表層(コート層)51bとから構成されている。基層51aの厚さは、好ましくは0.5〜2mmで、体積抵抗率102 〜108 Ωcmである。
【0039】
本実施例では、基層51aとして、カーボン、酸化チタン、酸化スズ等の添加によって体積抵抗率が1×104 Ωcm程度に調整された、硬度がJIS−A測定法でほぼ60°のNBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等の弾性体を素材とし、これを厚さ1mm、幅220mm、周長が約140πmmの円筒状にシームレス成型したものを用いた。
【0040】
成型法の一例を挙げれば、押し出し成型した2枚のゴム材の間に補強のための芯系を挟み、加硫することにより、伸縮の少ない高強度の基層51aを得ることができた。
【0041】
基層51a上に設ける高抵抗の表層51bは、ウレタン系のバインダーにテフロン等の離型剤を分散させたものを用い、厚さが約50μm程度となるようにコートした。コーティング法としては、スプレーコート、ディッピング、その他の方法を用いることができる。バインダーのウレタン材料は、体積抵抗率が約1010〜1016Ωcm程度のものを取捨選択して用いた。
【0042】
表層51bの体積抵抗の測定は、所定大きさのアルミニウム等の導電性板に、表層51bの材料をコーティングした測定片を用いて行った。この測定片をアドバンテスト社製の高抵抗計8340A(プローブ電極径:50mm、ガード電極:内径70mm/外径80mm、対向電極:JISK6911に準拠)により上下から挟み、100Vの電圧を印加して、流れる電流を測定し、これから体積抵抗率を求めて、これを表層51bの体積抵抗率とした。
【0043】
第1の転写手段6は、感光ドラム1と対向する位置において、中間転写ベルト51の裏面に接触配置された前記の一次転写ローラ61と、これに一次転写バイアスを印加する一次転写バイアス電源62とを備えてなる。感光ドラム1上に形成したブラック(黒)のトナー像は、一次転写バイアス電源62によって一次転写ローラ61に+300〜+500V程度の一次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト51上に一次転写される。
【0044】
一次転写後の感光ドラム1は、表面に残った一次転写残りのトナーがクリーナ8によってクリーニング、除去され、つぎのマゼンタの画像形成に供される。
【0045】
上述の帯電、露光、現像、一次転写およびクリーニングからなる一連の画像形成プロセスを、マゼンタ、シアン、イエローの3色についても行い、これにより中間転写ベルト51上に4色のトナー像が重畳して形成される。
【0046】
このとき、一次転写バイアスは、ブラック(第1色目)、マゼンタ(第2色目)、シアン(第3色目)、イエロー(第4色目)の順に、たとえば+300V、+600V、+700V、+800Vというように、第1色目から第4色目にかけて順次上昇させるようにしている。
【0047】
第2の転写手段7は、中間転写ベルト51の表面側に配置された二次転写ローラ71と、裏面側に配置された前記の二次転写対向ローラ72とを備えており、これら2つのローラ71、72によって中間転写ベルト51を挟持して、二次転写ローラ71と中間転写ベルト51との間の帯状の二次転写ニップ部(第2の転写部位)N2を構成している。
【0048】
二次転写ローラ71は、矢印K7方向に移動可能に配置されており、これに一次転写バイアスを印加する二次転写バイアス電源73が接続されている。二次転写対向ローラ72は電気的にフロート状態としてある。中間転写ベルト51上に一次転写された4色のトナー像は、二次転写バイアス電源73によって二次転写ローラ71に二次転写バイアスを印加することにより、紙等の転写材P上に一括して二次転写される。
【0049】
二次転写後の中間転写ベルト51は、ファーブラシ96(ブレード等でもよい)を有するクリーニング手段95によって、表面の二次転写残りトナーが清掃された後、表面に残った残留電荷が除電手段9によって除去される。
【0050】
除電手段9は、矢印K9方向に移動可能なハウジング92内に配置された除電ローラ91と、これに対し中間転写ベルト51を挟んで対向配置された補助ローラ93とを有する。クリーニング手段95とともに、除電手段9のハウジングを矢印9方向に移動し、除電ローラ91と補助ローラ93との間に中間転写ベルト51を挟み込み、バイアス電源94で所定のバイアス電圧を印加することにより、中間転写ベルト51の表面の二次転写残りトナーおよび残留電荷を除去し、初期化する。
【0051】
ここで、第2の転写手段7、及び除電手段9について詳細に説明する。
【0052】
第2の転写手段7における二次転写ローラ71は、硬度が約40°(アスカーC測定法による)、体積抵抗率が約104 Ωcmの発泡EPDMのゴムローラを用いた。このほかに、低抵抗のウレタン系ゴム、クロロプレンゴム、NBR等を用いてもよい。二次転写バイアス電源73には、約+1000〜+2000Vの電圧を印加し、通紙時において10μA程度の転写電流が流れるように調整を行った。
【0053】
除電手段9は、除電ローラ91として、帯電ローラ21と同材質のものを用いた。帯電ローラ31は周知の接触帯電方式によるもので、たとえば厚さ3mm程度の弾性導電ゴム上に厚さ100〜200μm、体積抵抗率106 Ωcm程度の中抵抗層を設け、さらにその上に数10μmの固着防止層(ナイロン樹脂等)を設けて構成される。除電電圧としては、バイアス電源94によって、ピーク間電圧Vppが約3kVのAC電圧に、+100〜+1000V程度のDC電圧を重畳したバイアス電圧を印加し、対向の補助ローラ93は一次転写ローラ61と同電位とした。
【0054】
第2の転写手段7によって4色のトナー像が二次転写された転写材Pは、定着装置(図示せず)によって加熱及び加圧されて、表面にトナー像が定着された後、画像形成装置本体に排出される。
【0055】
なお、上述の画像形成プロセスにおいて、プロセススピードVpは、Vp=10.0cm/秒に設定されており、また転写材Pは、転写材搬送手段(図示せず)によって矢印Kp方向に給送されるようになっている。
【0056】
次に、上記の様な装置を用い、BK→M→C→Yと、順次1次転写を行なった場合の、従来例と本発明の方法による例を比較説明する。まず、従来の場合、例えば、青の画像を印字する場合は、BKとYはレーザー露光3による画像形成を行わず、MとCのみ感光体1上に露光を行って現像し、中間体51上でMとCを順次重ね合わせて青色を生成する。従って、BKとYについては、感光体1上に地肌(=暗部)電位が形成された状態で感光体1が中間体51に接することになる。この結果、図3に示す様に、特にYの地肌領域を転写する際に、既に中間体51上に存在する。M、Cのトナー部分に、強い転写コントラスト
VTC=VT1 −VD −VB
が加わる。
【0057】
ここで、VT1 は1次転写バイアス、VD は感光体1の暗部電位、VB は中間体ベルト51が高抵抗であるために、1次転写時に感光体1から注入、放電、トナーのやりとり等により中間体51に蓄積した電荷による電位である。
【0058】
本例においては、VT1 =+800V、VD =−600V、VB は略200V程度であった。
【0059】
この結果、VTCは1200V程度の大きな値となり、1次転写時にM、Cの部分にVTC起因の放電が生じ、この放電模様が、引続く2次転写時において、図4の様に2次転写電圧VT2 との間で再放電を起こし、これにより転写紙への転写時に画像乱れが発生する。
【0060】
なお、Yに先立って、M、あるいはCを1次転写している際の転写コントラストVTCは、
VTC=VT1 −VL −VB
(ここで、VL は感光体上にレーザー光を照射した場合の明部電位)
となり、VL は、ベタ画像では略−150V、ハーフトーン画像で略−300V前後であるため、VTCは750V程度の値となる。従って、先に説明したYの地肌電位VD の場合に比べてVTCは十分小さくなるので、M、Cのトナー画像部を1次転写する段階では、画像乱れの原因となる放電パターンは形成されていないことがわかる。
【0061】
次に、本発明による方法を説明する。
【0062】
従来例では、Yの地肌領域を転写する際に、感光ドラム1上の地肌部電位VD が略−600Vと大きく、このために転写コントラスト
VTC=VT1 −VD −VB
が大きくなって、放電が発生した。これに対し、本実施例では、Yの地肌領域のうち、M又はCのトナー画像が既に存在する領域においてのみ、Yの潜像形成時に、レーザー光を微小発光する。これにより、上記VD を略−450V〜−500V程度に減少させ、VTCを放電が発生しない程度の大きさに減少させることが出来る。かつ、この微小発光によるVD の値は、通常Yトナーによる現像が行なわれない、現像しきい値ぎりぎりの値とすることで、画像への影響を防止出来る。
【0063】
図5に、レーザー光学系31により微小発光を行う場合の一例を示す。
【0064】
図5で、コントローラから送られて来る画像信号37は、8ビット=256階調の深さ方向を持つ多値信号(0〜255)であり、この信号が0のときレーザー光はオフ、255のとき完全オン、1〜254の間では両者の中間の値を暫時持つものとする。この信号は、周波数変調回路33により、シリアルな時間軸方向の信号に変換され、本例では解像度が600ドット/インチの各ドットパルスのパルス幅変調に用いられる。具体的には、この信号により、レーザードライバー34が駆動されてレーザーダイオード35が発光する。このレーザー露光光32は、ポリゴンミラーを含んだ補正光学系を経て、走査光として感光体1に照射される。なお、周波数変調回路は、レーザードライバーとは離して、コントローラ側に設けても良い。
【0065】
このとき、レーザー光32の発光状態を、図6に示す600ドット/インチのビットマップを用いて説明する。
【0066】
図6(a)は、M及びCの画像が書き込まれて、重なり合って青色を形成する領域であり、図6(b)に示す様に、この領域Aに相当するM、Cのビットマップには、一例として、各々255(=レーザーがフル点燈)の値が書込まれている。
【0067】
一方、図6(c)に示す様に、通常このA領域に画像形成を行わないYの画像については、32の値が書き込まれ、フル点燈に対して略32/255のレーザー光が各ドット毎に照射される。一方、M、Cいずれの画像も書き込まれないA以外の領域においては、Yの画像として0(ゼロ)の値が書き込まれ、レーザー光の照射は行われない。
【0068】
以上の様な方法を行うことで、前述の様に、VD が非露光時の−600Vから、微小発光による−480Vまで減少し、1次転写時による放電と、これに伴うM、Cの画像乱れを防止することが出来る。しかも、微小発光による電位は、Yの現像しきい値直前までで抑えられているため、M、Cに対する画像上の影響はない。更に、本実施の形態によれば、MもCも(更にBkも)存在しない完全白地部(図6のA以外の領域)については、Y画像形成時の微小発光を行わないため、微小発光でYトナーの地カブリが増大した場合(もちろん、M、Cトナーが存在している場合には気付かないレベル)においても、白地部の画質を損なうことがない。
【0069】
なお、本実施の形態において、一例として、青色=M+Cの画像を形成する場合のYについての微小露光について説明を行ったが、他の場合においても本例は同様に実施出来る。すなわち、本実施の形態の実施方法としては、Bk、M、C、Yいずれか1色でも画像を形成する領域については、同領域内に画像を形成しないその他の色に関し、前述の説明と同様にして、全て微小露光を実行すれば良い。例えば、青色ではYの他にBkの微小露光を行ってよく、赤色ではCとBkの微小露光、緑色ではMとBkの微小露光、また、M、C、Y、Bk各々の単色画像形成に際しては、各々不使用の3色(例えばM形成時はBk、C、Y)の微小露光を行えば良い。これ等の微小露光を含む、露光量についての各色のビットマップ生成は画像を生成するコントローラ等(不図示)で所定のアルゴリズムに従って行うことが出来る。
【0070】
又、前記実施例では、青色形成時に、M+C画像後のYの地肌転写時の放電を例に説明を行ったが、たとえば、赤色形成時はMとYの間で行うCの地肌転写時、緑色形成時には、CとYの転写より前に行われるMの地肌転写時に同様の放電が発生し、これによる画像乱れが2次転写時に発生するので、1次転写の順番によらず本発明は有効である。なお、上記第1実施例中において、画像形成の順序はBk、M、C、Yの順に行ったが、他の任意の組合わせにおいても本実施例は問題なく実施可能であることは言うまでもない。
【0071】
また、上記第1の実施の形態において、現像方式としてジャンピング現像方式を用いたため、従来例においては、異なる色、例えばMとCの帯状パターンが隣接して存在する場合、各々のパターンが現像時のエッジ効果で幅が若干狭くなり、パターン間にホワイトギャップと呼ばれる空隙が発生することが有ったが、本発明の副次的な効果として、パターン外側の地肌電位が微小露光により減少し、現像時のエッジ効果が弱まって、帯の幅が狭まることも緩和され、結果的にホワイトギャップが目立たなくなる、という利点が有ることも判明した。
【0072】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態においては、画像形成に使用しない色について、転写の順によらず同一の微小発光を各色で行う場合について説明を行ったが、1次転写時における放電有無を決定する転写コントラスト
VTC=VT1 −VD −VB
は、1次転写電圧VT1 の大小によって変化する。一方、1次転写電圧の大きさは、中間体51上に存在するトナーの量、および、1次転写をくり返すうちに中間体51に蓄積する電荷により形成される。中間体ベルト厚さ方向の電位VB の大小により変化する。
【0073】
具体的には、前回の転写によるトナーが存在せず、かつVB も形成されていない1色目の1次転写電圧VT1 は比較的小さくて良く、逆に、既に最大3色のトナーが存在する可能性のある、かつ電荷蓄積によるVB も最大となる4色目の1次転写電圧VT1 は最大値に設定することになる。本例では、前述の様に1色目から4色目にかけて、VT1 を+300V→+600V→+700V→+800Vと順次上昇させている。
【0074】
つまり、後の方の色を転写するほど、その色の地肌転写時の放電、及び、これに伴う画像乱れは発生し易い。そこで、画像形成に使用しない色の地肌部に対する微小発光の光量を、後の転写順の色では多く、前の転写順の色では少なくするのが良い。
【0075】
一例として、Bk→M→C→Yと1次転写を行う場合において、前述した微小発光光量の画像データを、Bk=0(即ち、微小発光無し)、M=24、C=28、Y=32(いずれもフル点燈を255とする)としたところ、それぞれの地肌電位VD は、Bk=−600V、M=−530V、C=−500V、Y=−480Vとなり、このとき放電による画像乱れも生じることがなかった。しかも、VD が下がることで生じ易くなる地カブリについても、カブリの最も目につき易いBkを1色目、最も目立ちにくいYを4色目としたことで、他色に対して影響の出ずらい構成とすることが出来ている。
【0076】
なお、本実施の形態において、MとCの形成順序に関しては、どちらが先であってもかまわない。
【0077】
(第3の実施の形態)
画像形成に使用しない色について、その部分の領域のみ微小発光を行う実施例について説明を行ったが、一方で、画像形成に使用する色に関しては、ベタ画像から淡い中間調まで、様々なものが用いられる。従って、画像形成に使用しない色についての微小発光を行う場合、画像形成する色の色調が次第に淡い方向となると、これに重ね合わせる形の画像形成しない色の地カブリが微小発光に伴って悪化した場合、淡い色調の画像部分に影響を与える場合が有る。
【0078】
本実施の形態は、これを改善するもので画像形成を行う色のうち、各ドットごとに最大濃度(又は発光光量データが最大)のものを選択し、その値が所定値以下である場合は、画像形成を行わない色の微小発光を中止するものである。
【0079】
これは、対象画像の色調(濃度)が、他色の地肌カブリに影響を受ける様なきわめて淡い領域である場合は、1次転写時の放電による画像乱れ自体も目立ちにくくなるため、微小発光を中止することが可能となることによる。但し、本実施例、及び前述の実施の形態1、2の実施に際し、画像形成を行う色については、図7(a)のパターンをそのまま印字するのではなく、図7(b)の様に、ある程度大きめの画素を用いることで、各画素の形状や成長のし方を明確にするのがプリンターとしては中間調形成に有利(例えば、1つの画素を4×4ドットの多値ディザにて構成する)であるが、一方、微小露光によるVD 減少を目的とする場合においては、逆に、露光部が離散的なドットにならず、むしろ均一なランプで露光された様に、VD がムラなく減少するのが望ましいため、微小露光はディザ等を通さずに、図6(c)の様に最小ドット単位(本例では600ドット/インチ)ごとにパルス幅変調による露光を行うのが良い。そこで、前述の画像形成色のうち、最大濃度を選択して、非画像形成色の微小発光有無を決定する場合は、画像形成色の濃度データとしてディザ等の画素に展開する以前の図7(a)の様な原画像データ(即ち、各色とも600ドット/インチの単位で濃度データを有するもの)を用いなくてはならない。
【0080】
この様にして、一例として、画像形成色の濃度データが48以上の場合(これは画像上、反射濃度0.3程度に相当)は微小露光実行、それ以下の場合は微小露光を行わない様にしたところ、これより濃い側では放電による画像乱れが防止出来、かつ、これより淡い側で非画像色のカブリ影響が出ないとともに、放電による乱れも実用上全く問題とならないレベルであった。
【0081】
なお、本例の様にしきい値を設けて微小露光の実行、非実行を決定する代りに画像形成色の濃度に応じて非画像形成色の微小露光量を連続的に可変させても良い。
【0082】
なお、上記第1〜第3の実施の形態においては、中間転写ベルト51を用い、1つの感光ドラムについて順次4回の現像を行う例について説明を行ったが、中間転写ベルトの他に中間転写ドラムを用いても良く、また、1つの感光体に順次転写する方式の他に、4つの感光体を用いて1つの中間転写体上に一度に画像を形成するワンパス方式においても、本発明は同様に実施可能である。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像信号に基づいて感光体上に潜像を露光する露光手段と、前記感光体上に形成された潜像を、対応する各色の現像剤で現像することによりトナー像として可視化する現像手段とを有し、前記感光体上に形成された各色のトナー像を転写媒体上に重ね合わせる様に転写する画像形成装置において、画像が存在しない領域を転写する際に発生する気中放電によって他の色の画像が乱れる事態を抑制することができる。また、それによるカブリ等の副作用を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の構成図。
【図2】同上における、中間転写ベルトの構成例。
【図3】画像乱れの説明図。
【図4】画像乱れの説明図。
【図5】第1実施例の説明図。
【図6】第1実施例の説明図。
【図7】第3実施例の説明図。
【図8】従来装置の説明図。
【図9】転写による飛び散りの説明図。
【符号の説明】
1 感光体
3 像露光
4 現像器
5 中間転写手段
6 1次転写ローラ
7 2次転写ローラ
31 光学系
32 レーザー光
33 パルス幅変調回路
51 中間転写ベルト

Claims (6)

  1. 画像信号に基づいて感光体上に潜像を露光する露光手段と、
    前記感光体上に形成された潜像を、対応する各色の現像剤で現像することによりトナー像として可視化する現像手段とを有し、
    前記感光体上に形成された各色のトナー像を転写媒体上に重ね合わせる様に転写する画像形成装置において、
    前記画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成色と画像形成を行わない非画像形成色との双方が存在する領域において、前記非画像形成色の少なくとも1つ以上について、現像されない程度の微小露光を行う一方、前記画像形成色が存在しない白地領域においては、いずれの色についても前記微小露光を行わない様に、前記露光手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記非画像形成色に関する微小露光の露光量を、前記転写の順番に従って増大させることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
  3. 最初に転写を行う色が黒色であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 最後に転写を行う色が黄色であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 最初に転写を行う色は、前記微小露光を行わないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  6. 画像信号に基づいて感光体上に潜像を露光する露光手段と、
    前記感光体上に形成された潜像を、対応する各色の現像剤で現像することによりトナー像として可視化する現像手段とを有し、
    前記感光体上に形成された各色のトナー像を転写媒体上に重ね合わせる様に転写する画像形成装置において、
    前記画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成色と画像形成を行わない非画像形成色との双方が存在し且つ前記画像形成色の濃度が所定値以上である領域において、前記非画像形成色の少なくとも1つ以上について、現像されない程度の微小露光を行う一方、前記画像形成色が存在しない白地領域においては、いずれの色についても微小露光を行わない様に、前記露光手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
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