JP3684086B2 - 止栓、加工用の止栓、及び、金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法、並びに、金型部材の流体流通用孔の加工方法 - Google Patents

止栓、加工用の止栓、及び、金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法、並びに、金型部材の流体流通用孔の加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は開口部を塞ぐ止栓に関する。
【0002】
特に、本発明は金型部材等の基板に孔を加工する場合に加工液を止める止栓の構造及び止栓方法に関する。
【0003】
更に、本発明は前記止栓を使用して金型部材等の基板に穿孔加工する場合の加工方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
樹脂材料を溶融し、成形用金型部材のキャビテイ面1Gに射出してキャビテイ面の形状を転写して成形品を成形加工するための金型部材1は、射出した樹脂を冷却して固化するために冷却液を循環供給するための冷却流路が形成されている。
【0005】
該冷却流路は図4に示したように、冷却液を循環流通させるために流路1A,1Bのように各流路1A,1Bを交差して設ける場合がある。
【0006】
流路1Bを加工する際に、予め加工した流路1Aと交差する場合には流路1Bをガンドリル(不図示)で穿孔加工する際に、加工孔に所定の圧力の切削液を供給しつつ加工を進めるが、切削液が流路1Aの開口部1aから噴出して不具合を来さないように開口部1aを塞ぐ必要がある。
【0007】
従来の前記開口部1aを塞ぐ止栓としては図5 に示すような先端がテーパ状の鍔を持った止栓部材2で該止栓部材2を開口部1a内に打ち込んで開口を塞ぐ形態がある。
【0008】
上記の方法は切削油の圧力を穴径と止栓部材の軸部外周面の摩擦力で受けている。
【0009】
従って、穴径が大きい場合に、切削油圧力が大きくなり止栓作用が不安定になる。
【0010】
又、図6 に示すように止板4をねじで固定する方法等もある。
【0011】
この場合は穴径の大小、切削油の」大小に関わらず穴を塞ぐことができるが、金型部材加工後にねじ穴が残り、又ねじ穴加工の手間を要する。
【0012】
更に、穴の空いている個所に磁石板を取り付けて穴を塞ぐ方法もあるが、この場合は金型部材の材質が磁性材料である制約があり、また、磁石板の磁力が切削油圧力より大きい条件が必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は切削油や冷却液等を循環させる流体回路の開口部を止栓する場合に好適な止栓を提供することを目的とする。
【0014】
又、上記の図 5、6に示した止栓の問題点である穴径が大きくなる場合や、切削油の圧力が大きい場合にも対応できる止栓を提供することを目的とする。
【0015】
更に、金型部材等のように大型の被加工物を対象とする場合には切削油の圧力が大きくなり、止栓機能が上手く作用しないと切削油の急激な噴出を招き、事故に繋がる恐れもあるが、本発明はこのような場合にも対応できる止栓を提供する。
【0016】
又、金型部材の冷却流体の循環流路を加工する場合の好適な加工方法を提供する。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金型部材の流体流通用経路の加工用止栓であって、前記流体流通経路が交差する流路の開口部を塞ぐ鍔部材と楔部材と及び結合部材から構成し、前記鍔部材には、開口穴内に流通する流体を逃がすための穴と前記開口部の内周面に密着するチャック部を設け、前記楔部材には前記チャック部を押圧する楔部とラビリンス部を設けたことを特徴とした加工用止栓により上記課題の解決を図る。
【0027】
又本発明の1つは、金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法であって、前記金型部材に窃孔した前記金型部材の端部に開口した開口穴に、ラビリンス部を備えた楔部材と該楔部材により前記開口穴の周壁に押圧されるチャック部及び前記開口穴内を流通する流体を逃がすための穴を備えた鍔部材をねじ部材で結合して挿入し、挿入後、前記ねじ部材の締め込みにより前記楔部材とチャック部の楔結合により前記開口部を塞ぐようにしたことを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法を提案する。
【0029】
金型部材の流体流通用孔の加工方法であって、前記金型部材の端部に開口した予備開口穴を予め加工し、前記予備加工穴と交差する前記流体流通用孔の加工において、前記流体流通孔を加工する加工手段の加工液を前記流体流通孔に供給しつつ加工を進め、加工される流体流通孔内の加工液が前記予備加工穴に設けた止栓部材を介してラビリンス作用を受けつつ、該止栓部材に設けた加工液排出部穴から排出されることを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工方法の提案をする。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を示し、図4に示した予め加工された液循環用流路1Aの開口部1aに嵌め込んだ止栓4の断面を示している。
【0031】
該止栓4は鍔部材6、楔部材8、ねじ部材10から構成する。
【0032】
まず、個別の部材の構造について各図を参照して説明する。
【0033】
鍔部材6は図2に示す。
【0034】
鍔部材6は金型部材1の開口穴1aの外周面1cに突き当たる鍔部6Aと、該鍔部6Aから伸びた筒形状のチャック部6Bから成り、該チャック部6Bは筒部を4つの摺り割り部6Cで分割した形になる。
【0035】
チャック部6Bは摺り割りにより4つの円弧状に形成され、先端の開口部内周面にはテーパ形状6bを形成する。
【0036】
そして該テーパ部6bの外周面6Hは後述するように金型部材の穴1Aの内周面と圧着する圧着部と成す。
【0037】
チャック部6Bの外周部6Dは前記圧着部6Hから逃げた逃げ部を形成する。
【0038】
6Eは前記鍔部6Aに形成したチャック部の筒部内周から鍔部の外側に貫通するように加工した貫通穴であり、該貫通穴6Eは後述するように切削油の逃げ穴として作用する。
【0039】
6Fは後述するねじ部材の勘合用螺旋部であり、6Gは挫ぐり部である。
【0040】
図3は楔部材8の断面図を示す。
【0041】
該楔部材8は全体が前記金型部材の穴1Aに勘合する円筒形状であり、その中心にねじ穴8Aが形成され、先端部の外周には前記鍔部材6のテーパ部6bと嵌合するテーパ部8Bが設けてある。
【0042】
楔部材8の後端部の外周面には複数の溝8Cが加工されてあり、該溝8Cはラビリンス作用を成すように形成する。
【0043】
尚前記楔部材のテーパ8Aのテーパ角度は本例の場合、片側15度である。
【0044】
楔部材の直径寸法は32mm,溝8Cの深さ寸法は2mm,溝のピッチ寸法3mm,溝幅寸法は2mmに設定してある。
【0045】
ねじ部材10は直径寸法8mmである。
【0046】
鍔部材6の材質はSK5である。
【0047】
楔部材8の材質はSK5である。
【0048】
ねじ部材10はSK5である。
【0049】
次に図1を参照して本例の止栓部材の前記金型部材の穴1A内への組み込みの方法及び使用方法について説明する。
【0050】
まず、金型部材1の前記の予め加工された穴1A内に組み込む前に、ねじ部材10を前記鍔部材6の挿入穴6F内に挿通し、続いて該ねじ部材10の先端のねじ部10Aに楔部材8のねじ穴8Aを緩くねじ結合させた状態で、楔部材8の後ろ側(ラビリンス溝側)から前記加工穴1A内に挿入して嵌め込む。
【0051】
続いて鍔部材6のチャック部6の外周部を加工穴1A内に嵌め込む。
【0052】
鍔部材6の鍔部6Aを加工穴1Aの外周の端部に突き当て後、ねじ部材10をねじ締め方向に回転する。
【0053】
ねじ回転により楔部材8は鍔部材方向に送り込まれ、楔部材のテーパ部8Bと鍔部材のチャック部のテーパ部6bの勘合が行われる。
【0054】
このテーパ勘合によりチャック部の先端の外周面6Cは加工穴1Aの内周面に押し付けられて密着する。
【0055】
ねじ部材のトルク値が所定値に達したら装着結合完了である。
【0056】
次に金型部材の加工方法について述べる。
【0057】
図4において、金型部材1の冷却流体流通路用循環路1A,1Bは先に述べたように、予め1Aの穴は加工済みとしている、この穴1Aの加工の時にはガンドリルで穿孔加工する場合には切削油は不用意に排出することはない。
【0058】
1C,1Dも予め加工した加工済みの穴である。
【0059】
該穴1C,1Dは設計上定めた深さの位置に穿孔加工するものである。
【0060】
上記の予め穴1A,1C,1Dが開けられた金型部材1に、該穴1A、1Aと略直交する穴1B,1Bを穿孔加工する場合、図示A方向からガンドリルで穿孔加工を行うと、前記穴1a,1c、1Dを塞いでおかないと、切削油が前記穴1a,1C,1Dから噴出して作業に不都合を来すことになる。
【0061】
本例において、前記したような手順で、楔部材8、鍔部材6をねじ部材10により結合させて前記各穴1a,1C,1Dの開口部を塞ぐと、加工する穴1Bの穿孔加工が進み、加工穴1Bと加工済みの穴1Aが交差した後に、加工途中の穴から供給される切削油は前記の楔部材、鍔部材ねじ部材により構成される止栓により急激な噴出を抑制することができる。
【0062】
本例において、加工時の切削油は日石ユニカットTB45 を 1.5リットル/secの量を液圧Pが50Kg/cm2の条件で供給した。
【0063】
図1において、楔部材8の後側にはP =50Kg/cm2の圧力が作用する。
【0064】
切削油の圧力は楔部材8のラビリンス溝8Cの複数の溝を液が通過する際に圧力低下を引き起こされて行く。
【0065】
ラビリンス部を通過したごく小量の切削油は楔部材と鍔部材の結合部分の隙間を通り抜けてチャック部の内側の筒部の空隙6H内に到達する時には相当の圧力低下状態になっている。
【0066】
穿孔加工時間の経過につれて該筒部6H内に滞留する切削油が増加し、該切削油は鍔部材6に形成した排出穴6Eから放出されるが、この時の圧力は微少な圧力に低下している。
【0067】
因みに、本例の場合には該放出穴からの放出量は 0.001リットル/secであり、放出圧力は 0.002 Kg/cm2程度であり、圧力により周囲に飛散することもなく、液受け容器に溜めることが出来た。
【0068】
以上のように本発明は、開口部を塞ぐ止栓であって、前記開口部の先端部に嵌合して開口部の内周面に密着可能なコレットチャック部材と前記コレットチャック部材を前記開口部内周面に押圧する楔部材を含むことを特徴とした止栓により開口部の閉成作用をおこなうことができた。
【0069】
更に、本発明の態様は前記楔部材はラビリンス部を備えることにより開口部内の液体圧力を暫減させ、その外周より漏れる油糧をごく小量にすることができた。
【0070】
また、本発明は基板に設けた開口部を塞ぐ止栓であって、前記基板の開口部の開口部先端を塞ぐ鍔部と該鍔部から伸張したチャック部とから成る栓部材と、前記基板の開口部に挿入し前記チャック部と係合して前記チャック部を基板の開口部の内周面に押圧する楔部材と、及び、前記楔部材と前記栓部材を結合させる結合部材とから構成したことを特徴とした止栓を提供することにより上記課題の解決を図ることができた。
【0071】
更に、前記栓部材のチャック部は前記鍔部から伸張した筒部を摺り割りして複数に分割し、分割部分先端の内周に前記楔部材と楔係合するように構成したことを特徴とした止栓の態様により止栓機能の向上を図ることが出来た。
【0072】
又、前記栓部材のチャック部の外周の一部分は前記基板の開口部との接触を回避する逃げ部を形成してあることを特徴とした止栓を提案した。
【0073】
6C部はチャック部がその半径を拡径しようとした時は穴の内面にあって穴の内面との摩擦力を増すために小さなねじ状の形状を有しており、切削油圧力によって鍔部が押し出されないようにしてある。
【0074】
また、6D部は加工前後に楔部材をゆるめた時に穴の内面との接触面積を減じて挿入及び引き抜きに便利性を与える。
【0075】
発明の1つは、基板に設けた開口部を塞ぐ止栓であって、前記基板の開口部の開口部先端を塞ぐ鍔部と該鍔部から伸張したチャック部とから成る栓部材と、前記基板の開口部に挿入し前記チャック部と係合して前記チャック部を基板の開口部の内周面に押圧する楔部材と、及び、前記楔部材と前記栓部材を結合させるねじ部材とから構成し、前記ねじ部材は前記楔部材に形成したねじ孔と螺旋結合したことを特徴とした止栓を提案することにより開口穴に止栓を装着する操作も簡便な異にすることが出来た。
【0076】
本発明の1つの、金型部材の流体流通用流路の加工用止栓において、前記流体流通用流路が交差する流路の開口部を塞ぐ鍔部材と楔部材と及び結合部材から構成し、前記鍔部材には前記開口部の内周面に密着するチャック部を設け、前記楔部材には前記チャック部を押圧する楔部とラビリンス部を設けたことを特徴とした加工用の止栓を提案することにより切削油の圧力の影響を回避することができた。
【0077】
更に、前記鍔部材に前記流体流通用流路と通気する孔を設けたことを特徴とした加工用の止栓の態様を提案することで加工中の切削油の影響の回避ができた。
【0078】
又本発明の1つの、金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法であって、前記金型部材に穿孔した前記金型部材の端部に開口した開口穴に、ラビリンス部を備えた楔部材と該楔部材により前記開口穴の周壁に押圧されるチャック部を備えた鍔部材をねじ部材で緩く結合して挿入し、挿入後、前記ねじ部材の締め込みにより前記楔部材とチャック部の楔結合により前記開口部を塞ぐようにしたことを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法を提案することで加工作業の作業性の改善が図られた。
【0079】
本発明の1つの、金型部材の流体流通用孔の加工方法は、前記金型部材の端部に開口した予備開口穴を予め加工し、前記予備加工穴と交差する前記流体流通用孔の加工において、前記流体流通孔を加工する加工手段の加工液を前記流体流通孔に供給しつつ加工を進め、加工される流体流通孔内の加工液が前記予備加工穴に設けた止栓部材を介してラビリンス作用を受けつつ、該止栓部材に設けた加工液排出穴から少量ずつ排出されることを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工方法の改善が図られた。
【0080】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る止栓は特に、金型部材の穿孔加工の切削液対策として上記にように優れた作用を呈し、作業性の向上を図ることが出来た。
【0081】
また、楔部材、鍔部材、ねじ部材の組み合わせの構成により開口穴の止栓機能を確実に行い得る止栓を得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の止栓を開口穴に組み込んだ状態の要部断面図。
【図2】鍔部材の断面説明図。
【図3】楔部材の断面説明図。
【図4】本発明の止栓を使用して穿孔加工をする金型部材の説明図。
【図5】従来の説明図。
【図6】従来の説明図。
【符号の説明】
1 金型部材
1A、1C、1D 予め加工された穴
6 鍔部材
6B チャック部
6C チャック部の密着部
8 楔部材
8C ラビリンス溝部
10 ねじ部材

Claims (3)

  1. 金型部材の流体流通用経路の加工用止栓であって、前記流体流通経路が交差する流路の開口部を塞ぐ鍔部材と楔部材と及び結合部材から構成し、前記鍔部材には、開口穴内に流通する流体を逃がすための穴と前記開口部の内周面に密着するチャック部を設け、前記楔部材には前記チャック部を押圧する楔部とラビリンス部を設けたことを特徴とした加工用止栓。
  2. 金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法であって、前記金型部材に窃孔した前記金型部材の端部に開口した開口穴に、ラビリンス部を備えた楔部材と該楔部材により前記開口穴の周壁に押圧されるチャック部及び前記開口穴内を流通する流体を逃がすための穴を備えた鍔部材をねじ部材で結合して挿入し、挿入後、前記ねじ部材の締め込みにより前記楔部材とチャック部の楔結合により前記開口部を塞ぐようにしたことを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工時の止栓方法。
  3. 金型部材の流体流通用孔の加工方法であって、前記金型部材の端部に開口した予備開口穴を予め加工し、前記予備加工穴と交差する前記流体流通用孔の加工において、前記流体流通孔を加工する加工手段の加工液を前記流体流通孔に供給しつつ加工を進め、加工される流体流通孔内の加工液が前記予備加工穴に設けた止栓部材を介してラビリンス作用を受けつつ、該止栓部材に設けた加工液排出部穴から排出されることを特徴とした金型部材の流体流通用孔の加工方法。
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