JP5983543B2 - 穴詰栓および加工穴の穴詰方法 - Google Patents
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Description
加工穴を閉塞するための穴詰栓としては、先端部がテーパ状に形成され、加工穴の開口部に打ち込んで圧入することにより加工穴を閉塞する止栓部材が特許文献1に開示されている。
穴詰栓80により加工穴61・62を閉塞する際には、穴詰部81の先端部を開口部61a・62aに嵌合させた状態で打ち込み部82をハンマーにて打ち込んで、穴詰部81を開口部61a・62aに圧入することで、加工穴61・62が閉塞される。
即ち、請求項1記載の如く、ワークに形成された加工穴に挿入され、前記加工穴を閉塞する穴詰栓であって、前記加工穴に挿入される詰栓本体と、前記詰栓本体に対して、前記詰栓本体の中心軸に対して偏芯した偏芯軸を中心として回転可能に取り付けられ、前記詰栓本体とともに前記加工穴に挿入される偏芯駒とを備え、前記偏芯駒の回転中心となる前記偏芯軸は、前記偏芯駒の中心軸に対して偏芯している。
穴詰栓10により加工穴61・62を閉塞することで、穴加工工具70を用いて、加工穴61・62と連通する加工穴63を金型60に加工する際に、開口部61a・62aから切削油が噴出することを防ぐことができる。
穴詰部21の外径d1は加工穴61・62の内径D(図5参照)よりも若干小さく形成されており、穴詰部21は加工穴61・62に円滑に挿入可能となっている。
穴詰部21は、詰栓本体20を加工穴61・62に挿入した際に、加工穴61・62の内周面に当接して加工穴61・62を閉塞する、詰栓本体20の主要部材である。
偏芯軸Oeを軸中心とする支持軸22の偏芯駒30側端面には、偏芯軸Oeに沿って雌螺子穴22aが形成されている。
また、穴詰部21は支持軸22よりも大径に形成されており、穴詰部21の外径d1は詰栓本体20全体の外径であるともいえるため、以降においては「外径d1」を、適宜「詰栓本体20の外径d1」とも記載する。
貫装孔31は支持軸22と略同径に形成されており、貫装孔31には支持軸22を回転可能に貫装することが可能となっている。係止孔32は貫装孔31よりも大径に形成されており、貫装孔31と係合孔31との境界部には段差が形成されている。
また、本実施形態においては、穴詰部21の外径d1と偏芯駒30の外径d2とは同じ値に設定されている。外形d1・d2は、例えば加工穴61・62の内径Dよりも0.1mm小さい値に設定することができる。
また、頭部40は、加工穴61・62よりも大径に形成されており、詰栓本体20および偏芯駒30を加工穴61・62へ挿入した際に、開口部61a・62aの周縁部に係止して、詰栓本体20および偏芯駒30がそれ以上加工穴61・62の奥側へ侵入しないように規制する部材である。
また、図4に示すように、頭部40の軸方向他端面には、六角穴41が形成されている。
支持軸22の軸方向長さは貫装孔31の軸方向長さよりも長く形成されており、支持軸22を貫装孔31に貫装した際には、支持軸22の先端が貫装孔31から係止孔32側へ突出することとなる。
また、ボルト50における頭部の外径は、貫装孔31の内径よりも大きく形成されており、雌螺子穴22aに螺装されたボルト50の頭部は、貫装孔31と係止孔32との境界部に形成される段差部に係止可能となる。
また、支持軸22の軸方向長さは貫装孔31の軸方向長さよりも長く形成されており、偏芯駒30が穴詰部21とボルト50との間で直接締め付けられることがないため、偏芯駒30の穴詰部21に対する偏芯軸Oeを中心とした回転が妨げられることがない。つまり、穴詰栓10においては、偏芯駒30は詰栓本体20に対して偏芯軸Oeを中心として回転可能に構成されている。
まず、詰栓本体20と偏芯駒30とを、偏芯軸Oeを中心として相対的に回転させて、詰栓本体20の中心軸O1と偏芯駒30の中心軸O2とが最も接近する位置に配置する。つまり、偏芯軸Oeと詰栓本体20の中心軸O1とを結ぶ線と、偏芯軸Oeと偏芯駒30の中心軸O2とを結ぶ線とが重なるように、さらには、偏芯軸Oeを中心とした中心軸O1の周方向位置と、中心軸O2の周方向位置とが一致するように、詰栓本体20と偏芯駒30とを配置する。
この場合、詰栓本体20の外径d1および偏芯駒30の外径d2は加工穴61・62の内径Dよりも若干小さく形成されているため、詰栓本体20および偏芯駒30は、圧入することなく、小さな力で円滑に加工穴61・62へ挿入することが可能である。
詰栓本体20を回転させる際には、例えば、頭部40に形成された六角穴41に六角レンチを嵌合させて、当該六角レンチを回転方向に操作することで、頭部40とともに詰栓本体20を回転させることができる。
つまり、偏芯駒30が詰栓本体20に対して偏芯軸Oeを中心として相対的に回転すると、偏芯軸Oeは中心軸O1・O2に対して偏芯しているため、中心軸O1と中心軸O2とが円周方向の異なる位置に配置される偏芯状態となる。これにより、偏芯駒30の外周の一部が詰栓本体20の外周からはみ出すこととなって、穴詰栓10における加工穴61・62に挿入された部分(詰栓本体20および偏芯駒30)の、回転後の全体的な最大外径dm(図8参照)が、回転前の全体的な最大外径(本実施形態においては穴詰部20および偏芯駒30の外径d1・d2となる)よりも大きくなり、詰栓本体20および偏芯駒30が加工穴61・62に圧接することとなる。
このように、加工穴61・62に挿入された詰栓本体20および偏芯駒30の外周面を加工穴61・62の内周面に圧接させることで加工穴61・62を閉塞して、加工穴61・62の穴詰を行っている。
また、詰栓本体20の穴詰部21および偏芯駒30の外周面における軸方向途中部には、周方向に沿った円環状の溝が一または複数形成されているが、このような溝を形成することにより、穴詰部21および偏芯駒30の外周面の加工穴61・62に対する圧接度合いが高められている。
これにより、図9に示すように、穴加工工具70を用いて、金型60に加工穴61・62と連通する加工穴63を加工する際に、開口部61a・62aから切削油が噴出することを確実に防ぐことができる。
これにより、穴詰栓10や穴詰されるワークである金型60が破損するおそれがなく、かつ作業者の熟練度合いによらず確実に加工穴61・62を閉塞することが可能となっている。
また、穴詰栓80は、加工穴61・62へ圧入する際の打ち込み強さによって、加工穴61・62への圧入度合いにばらつきが生じる。従って、例えば圧入度合いが小さいと、図10の加工穴61に圧入された穴詰栓80のように、穴加工工具70による加工穴63の加工中に、加工穴61・62内に供給される切削油の圧力により開口部61aから外れてしまい、開口部61aから切削油が噴き出してしまうおそれがある。
これは、偏芯量e1・e2を0.5mmに設定した場合には、詰栓本体20および偏芯駒30を加工穴61・62に挿入するとともに詰栓本体20を回転させて、詰栓本体20と偏芯駒30とを偏芯状態としたときに、偏芯駒30の詰栓本体20からのはみ出し量が少なくなって、偏芯駒30および詰栓本体20の加工穴61・62に対する圧接強さが小さくなるため、十分な圧接力での加工穴61・62の閉塞が実現できないためである。
従って、十分な圧接力で確実に加工穴61・62を閉塞するために、偏芯量e1・e2を0.5mmよりも大きい値に設定することが好ましい。
従って、詰栓本体20および偏芯駒30を加工穴61・62に挿入した際の、詰栓本体20の回転可能角度を大きくするために、偏芯量e1・e2を2mmより小さい値に設定することが好ましい。
つまり、図11に示すように、外径d1・d2の値を互いに異なる値に設定して作成した複数の穴詰栓10により加工穴61・62を閉塞して、加工穴61・62に切削油を供給した際の、開口部61a・62aからの切削油の漏れ量の経過時間による変化を測定した結果、外径d1・d2と内径D(D>d1・d2)との差が0.1mm以下であれば切削油の漏れ量に差がなかったため、切削油の漏れを防止しつつ、穴詰栓10の加工穴61・62に対する挿入性を向上させるべく、外径d1・d2と内径Dとの差を0.1mmに設定している。
また、外径d1・d2の値は、内径Dの値よりも0.1mm以下の値だけ小さく設定することも可能である。
つまり、偏芯量e1と偏芯量e2、および外径d1と外径d2とを異なる値に設定した場合でも、詰栓本体20と偏芯駒30とを、中心軸O1と中心軸O2とが最も接近する位置に配置された状態から相対的に回転させた際に、詰栓本体20および偏芯駒30の全体的な最大外径が増大する構成であれば、穴詰栓10を構成することは可能である。
但し、詰栓本体20および偏芯駒30の加工穴61・62への挿入容易性、ならびに穴詰栓10により加工穴61・62を閉塞したときの加工穴61・62の密閉性(開口部61a・62aからの切削油の漏れ防止性能)の両方を向上させる観点からは、偏芯量e1と偏芯量e2、および外径d1と外径d2とを同じ値に設定することが好ましい。
20 詰栓本体
21 穴詰部
22 支持軸
30 偏芯駒
31 貫装孔
32 係止孔
40 頭部
50 ボルト
d1 穴詰部の外径
d2 偏芯駒の外径
O1 詰栓本体(穴詰部)の中心軸
O2 偏芯駒の中心軸
Oe 偏芯軸
Claims (5)
- ワークとなる金型に形成された冷却流路循環路の加工穴に挿入され、前記加工穴を閉塞する穴詰栓であって、
前記加工穴に挿入される詰栓本体と、
前記詰栓本体に対して、前記詰栓本体の中心軸に対して偏芯した偏芯軸を中心として回転可能に取り付けられ、前記詰栓本体とともに前記加工穴に挿入される偏芯駒とを備え、
前記偏芯駒の回転中心となる前記偏芯軸は、前記偏芯駒の中心軸に対して偏芯し、
前記詰栓本体は、前記偏芯駒に対して前記偏芯軸を中心として相対的に回転し、前記詰栓本体及び前記偏芯駒の外周面が前記加工穴の内周面に圧接して、前記加工穴を閉塞し、前記加工穴の穴詰を行う、
ことを特徴とする穴詰栓。 - 前記詰栓本体は、前記偏芯軸を軸中心とする支持軸を備え、
前記偏芯駒は、前記支持軸が貫装可能な貫装部を備え、
前記穴詰栓は、前記偏芯駒の貫装部に前記詰栓本体の支持軸を貫装した状態で、前記支持軸に螺装されることにより、前記貫装部に係止可能となる締結部材を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の穴詰栓。 - 前記詰栓本体および前記偏芯駒は、同一径の円柱形状に形成され、
前記詰栓本体および前記偏芯駒の径の値は、前記詰栓本体および前記偏芯駒が挿入される前記加工穴の径の値よりも、0.1mm以下の値だけ小さい、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穴詰栓。 - 前記詰栓本体の中心軸に対する前記偏芯軸の偏芯量と、前記偏芯駒の中心軸に対する前記偏芯軸の偏芯量とは同じであり、
前記詰栓本体の中心軸に対する前記偏芯軸の偏芯量、および前記偏芯駒の中心軸に対する前記偏芯軸の偏芯量は、0.5mmより大きく、かつ2.0mmよりも小さい、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の穴詰栓。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の穴詰栓における前記詰栓本体と前記偏芯駒とを、前記偏芯軸を中心として相対的に回転させて、前記詰栓本体の中心軸と前記偏芯駒の中心軸とが最も接近する位置に配置する工程と、
前記詰栓本体の中心軸と前記偏芯駒の中心軸とが最も接近する位置に配置された前記詰栓本体および前記偏芯駒を、ワークに形成された前記加工穴に挿入する工程と、
前記詰栓本体および前記偏芯駒が前記加工穴に挿入された状態で、前記詰栓本体を、前記詰栓本体の中心軸を中心に回転させる工程とを備える、
ことを特徴とする加工穴の穴詰方法。
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