JP3684067B2 - 電子内視鏡システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のスコープと、これらスコープのそれぞれを着脱自在に接続させ得るようになった画像信号処理ユニットとから成る電子内視鏡システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したような電子内視鏡システムでは、種々のタイプのスコープ、例えば胃カメラ用スコープ、気管支用スコープ、大腸用スコープ等が使用され、その種類としては、現在のところ、少なくとも200 種類以上が知られている。周知のように、個々のスコープは可撓性導管として構成され、そのスコープの遠位端には固体撮像デバイス例えばCCD(charge coupled device)イメージセンサが設けられ、このCCDイメージセンサは対物レンズ系と組み合わされる。また、かかるスコープ内には光ファイバー束からなる照明用光ガイドが挿通させられ、その先端部の端面は電子内視鏡のスコープの遠位端に位置し、その他方の端部はスコープの近位端に位置する。スコープが画像信号処理ユニットに接続されると、照明用光ガイドは該画像信号処理ユニット内に設けられた光源ランプに光学的に接続させられる。
【0003】
患者の体腔内へのスコープの挿入時にその遠位端側の対物レンズ系の前方が光ガイドの先端部端面からの射出光にでもって照明され、これにより対物レンズ系によって捉えられた被写体像はCCDイメージセンサの受光面に結像させられ、そこで画素信号として光電変換される。CCDイメージセンサで得られた画素信号は画像信号処理ユニット内のビデオ信号処理回路に送られ、そこで所定の画像処理例えばホワイトバランス処理、ガンマ補正、輪郭強調処理等を受けた後にビデオ信号としてTVモニタ装置に対して出力され、そこで光学的内視鏡像が再現される。
【0004】
ところで、個々のスコープで用いられるCCDイメージセンサの画素数、画素信号の処理用クロックパルスの周波数及びホワイトバランス処理用の補正係数等はスコープの種類に応じて異なる。そこで、従来では、個々のスコープには不揮発性メモリ例えば再書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)が設けられ、そこには各スコープに特有な画素数データ、クロックパルスの周波数データ及びホワイトバランス処理用の補正係数データ等が格納され、個々のスコープが画像信号処理ユニットに接続される度毎に、該画像信号処理ユニット内のシステムコントローラが該スコープの不揮発性メモリ内のデータを読み取り、これらデータに基づいて個々のスコープのCCDイメージセンサからの画素信号を処理するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の電子内視鏡システムにあっては、特にホワイトバランス処理が適正に行い得ないという問題が指摘されている。詳述すると、個々のスコープが工場から出荷されるとき、各スコープはマスタ画像信号処理ユニットと呼ばれる基準画像信号処理ユニットに接続され、そこでホワイトバランス処理用の補正係数の設定が行われ、その補正係数データが該スコープの不揮発性メモリに書き込まれる。ところが、ユーザ側の画像信号処理ユニットと基準画像信号処理ユニットとの間で光学的特性等は必ずしも一致するわけではなく、個々のスコープの補正係数データに基づいてユーザ側の画像信号処理ユニットでホワイトバランス処理を行ったとしても、そのホワイトバランス処理が最適なものとは限らない。
【0006】
また、ホワイトバランス処理用の補正係数は特に個々の画像信号処理ユニットの光源ランプの色温度特性に深く関係するものであるが、しかし該光源ランプの色温度特性自体はその劣化に伴って経時的に変化するという問題もある。
【0007】
要するに、適正なホワイトバランス処理が常に適正に行われるためには、ホワイトバランス処理用の補正係数設定をユーザ側の個々の画像信号処理ユニットについて定期的に行って更新することが必要となる。
【0008】
従って、本発明の目的は、複数のスコープと、これらスコープのそれぞれを着脱自在に接続させ得るようになった画像信号処理ユニットとから成る電子内視鏡システムであって、個々のスコープで得られる画素信号に対する適正なホワイトバランス処理を保証し得る電子内視鏡システムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子内視鏡システムは、複数のスコープと、これらスコープのそれぞれを着脱自在に接続させ得るようになった画像信号処理ユニットとからなり、各スコープには光学被写体像を画素信号に光電変換させるための固体撮像手段が設けられ、画像信号処理ユニットには画素信号に基づいてビデオ信号を生成するためのビデオ信号処理手段が設けられる。各スコープはそれ自身を特定するためのスコープ特定情報データとともに、自身に対応したホワイトバランス補正係数データを格納するスコープ側メモリ手段を具備し、画像信号処理ユニットは複数のスコープのそれぞれについてスコープ特定情報データ及び各スコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データを格納するユニット側メモリ手段と、任意のスコープを画像信号処理ユニットに接続した際にそのスコープ側メモリ手段からスコープ特定情報データを読み出して、その読出しスコープ特定情報データに該当するものがユニット側メモリ手段に格納されているか否かを判別する判別手段とを具備する。判別手段によって読出しスコープ特定情報データに該当するものがユニット側メモリ手段に格納されていると判別されたとき、任意のスコープの固体撮像素子から得られた画素信号に対して、そのスコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データに基づくホワイトバランス処理が施される。また、画像信号処理ユニットは、ホワイトバランス設定によりホワイトバランス補正係数データが演算された場合、ユニット側メモリ手段に演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させるとともに、スコープ側メモリ手段に対し、スコープ側メモリ手段に格納されていたホワイトバランス補正係数データを更新して演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させる制御手段を具備する。判別手段によって読出しスコープ特定情報データに該当するものがユニット側メモリ手段に格納されていないと判別されたとき、スコープ側メモリ手段に記憶されているホワイトバランス補正係数データを用いてホワイトバランス処理が施される
【0010】
本発明による電子内視鏡システムにあっては、好ましくは、複数のスコープのそれぞれのホワイトバランス補正係数データをユニット側メモリ手段に格納した日付が登録日として該ユニット側メモリ手段に格納される。この場合には、任意のスコープを画像信号処理ユニットに接続した際にそのスコープ側メモリ手段からスコープ特定情報データを読み出して、その読出しスコープ特定情報データに該当するものがユニット側メモリ手段に格納されていると判別手段によって判別されたとき、任意のスコープを画像信号処理ユニットに接続した接続日と登録日との間の差を演算する日数演算手段と、この日数演算によって演算された差が所定値以上であるとき、任意のスコープに対するホワイトバランス補正係数データの再設定を行うべき旨を報知するホワイトバランス再設定報知手段とが設けられる。
【0011】
また、本発明による電子内視鏡システムにおいては、判別手段によって読出しスコープ特定情報データに該当するものがユニット側メモリ手段に格納されていないと判別されたとき、任意のスコープが未登録である旨を報知する未登録報知手段が設けられてもよい。
【0012】
更に、本発明による電子内視鏡システムにおいては、ユニット側メモリ手段に格納された少なくともスコープ特定情報データのそれぞれが該当スコープのスコープ側メモリ手段にも格納されてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による電子内視鏡システムの一実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明による電子内視鏡システムで用いる電子内視鏡がブロック図として示される。電子内視鏡は可撓性導管からなるスコープ10を具備し、このスコープ10はプロセッサと呼ばれる画像信号処理ユニット12に着脱自在に接続されるようになっている。スコープ10の先端部即ち遠位端にはCCDイメージセンサ14が設けられ、このCCDイメージセンサ14は対物レンズ系(図示されない)と組み合わされ、この対物レンズ系によって撮られた被写体像がCCDイメージセンサ14の受光面に結像させられる。
【0015】
また、スコープ10内には光ファイバー束からなる光ガイド16が挿通させられ、この光ガイド16の遠位端はスコープ10の遠位端まで延びる。光ガイド16の近位端は画像信号処理ユニット12へのスコープ10の連結時に該画像信号処理ユニット12内の光ガイド18の外側端に接続され、光ガイド18の内側端はハロゲンランプ或いはキセノンランプ等の光源ランプに光学的に接続される。本実施形態では、電子内視鏡は面順次方式によるカラー映像を再現し得るように構成されるので、光源ランプ20と光ガイド18の内側端との間には回転式三原色カラーフィルタとして回転式RGBカラーフィルタ22が介在させられる。光源ランプ20からの光は図示されない集光レンズによって光ガイド18の内側端面に集光させられる。
【0016】
なお、回転式RGBカラーフィルタ22は電子内視鏡で採用されるTV映像再現方式に応じて所定の回転周波数で回転させられる。例えば、PAL方式が採用されている場合には、回転式RGBカラーフィルタ22の回転周波数は25Hzであり、NTSC方式が採用されれいる場合には、その回転周波数は30Hzとなる。
【0017】
具体的に述べると、回転式RGBカラーフィルタ22は円板要素から成り、この円板要素はその中心から外周に向かって6つのセクタ領域に分割され、それらセクタ領域のうちの1つ置きの3つのセクタ領域は遮光領域とされ、その他の3つのセクタ領域がそれぞれ赤色フィルタ、緑色フィルタ及び青色フィルタとされる。回転式RGBカラーフィルタ22が例えば30Hz(NTSC方式)で回転させられると、その1回転に要する時間は約33.3ms(1/30sec) となり、各色のフィルタでの照明時間はほぼ33.3/6msとなる。光ガイド16の遠位端の端面からは赤色光、緑色光及び青色光が毎33.3ms(1/30sec) 間にほぼ33.3/6msだけ順次射出させられて、被写体は赤色光、緑色光及び青色光でもって順次照明され、その各色の被写体像がCCDイメージセンサ14の受光面に順次結像される。
【0018】
CCDイメージセンサ14はその受光面に結像された各色の光学的被写体像を一フレーム分のアナログ画素信号に光電変換し、その各色の一フレーム分のアナログ画素信号は各色の照明時間(33.3/6ms)に続く次の遮光時間(33.3/6ms)に亘ってCCDイメージセンサ14から順次読み出される。CCDイメージセンサ14からのアナログ画素信号の読み出しはスコープ10側に設けられたCCDドライバ回路24によって行われる。なお、厳密に言うと、カラーフィルタ22からのそれぞれの色の出力パワー及びCCDイメージセンサ14の分光感度特性が異なるために、赤色光、緑色光及び青色光による照明時間はそれぞれ多少異なったものとされるが、しかしCCDイメージセンサ14からのそれぞれの色の一フレーム分のアナログ画素信号の読出しは同じ遮光時間内で行われる。
【0019】
また、スコープ10側には適当な不揮発性メモリ例えば再書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)26が設けられ、このEEPROM26にはスコープ10に組み込まれたCCDイメージセンサ14についての種々の情報が書き込まれる。例えば、EEPROM26には、CCDイメージセンサ14の画素数データ、CCDドライバ回路24によって読み出されたアナログ画像信号を処理する際のクロックパルスの周波数情報等が格納され、更に本発明に特に関連する情報データとしては、スコープ10自体を特定するためのスコープ特定情報データ例えばスコープ名データ及びシリアル番号データが挙げられる。
【0020】
画像信号処理ユニット12にはシステムコントローラ28が設けられ、このシステムコントローラ28はマイクロコンピュータから構成される。即ち、システムコントローラ28は中央処理ユニット(CPU)、種々のルーチンを実行するためのプログラム、常数等を格納する読出し専用メモリ(ROM)、データ等を一時的に格納する書込み/読出し自在なメモリ(RAM)及び入出力インターフェース(I/O)から成り、電子内視鏡の作動全般を制御する。
【0021】
また、画像信号処理ユニット12にはメモリ読出し回路30が設けれ、スコープ10が画像信号処理ユニット12に連結されると、EEPROM26はメモリ読出し回路30を介してシステムコントローラ28に接続され、このときシステムコントローラ28はメモリ読出し回路30を介してEEPROM26内の情報データを読み出し、その情報データはシステムコントローラ28内のRAM内に一時的に格納保持される。
【0022】
更に、画像信号処理ユニット12には、ビデオ信号処理回路32と、このビデオ信号処理回路32の動作を制御するタイミングジェネレータ34とが設けられる。ビデオ信号処理回路32はCCDプロセス回路32Aと、アナログ/デジタル(A/D)変換器32Bと、フレームメモリ32Cとを包含する。タイミングジェネレータ34はシステムコントローラ28の制御下でビデオ信号処理回路32の動作を制御する。ビデオ信号処理回路32は画像信号処理ユニット12へのスコープ10の連結時にCCDドライバ回路24に接続され、CCDドライバ回路24によってCCDイメージセンサ14から読み出された各色の一フレーム分のアナログ画素信号は順次ビデオ信号処理回路32に送られ、そこで適宜処理した後にカラービデオ信号(R、G、B)として該ビデオ信号処理回路32から出力される。
【0023】
詳述すると、CCDドライバ回路24によってCCDイメージセンサ14から読み出された各色の一フレーム分のアナログ画素信号は先ずCCDプロセス回路32Aで種々の画像処理例えばホワイトバランス処理、ガンマ補正、輪郭強調処理等を受ける。本発明に特に関連したホワイトバランス処理については、各色の一フレーム分のアナログ画素信号をそれぞれの色毎に用意された補正係数データで積算することにより行われる。種々の画像処理はタイミングジェネレータ34からCCDプロセス回路32Aに対して出力されるクロックパルスに従って行われ、そのクロックパルスの周波数については、EEPROM26から読み出された周波数データに基づいて決められる。
【0024】
CCDプロセス回路32Aで適宜画像処理を受けた各色の一フレーム分のアナログ画素信号はA/D変換器32Bに対して出力される。各色の一フレーム分のアナログ画素信号はA/D変換器32Bによって順次デジタル画素信号に変換され、その一フレーム分のデジタル画素信号はフレームメモリ32Cの所定領域に書き込まれる。即ち、フレームメモリ32Cには赤色の一フレーム分のデジタル画素信号を格納する赤色メモリ領域と、緑色の一フレーム分のデジタル画素信号を格納する緑色メモリ領域と、青色の一フレーム分のデジタル画素信号を格納する青色メモリ領域とが含まれ、それぞれのメモリ領域に該当色の一フレーム分のデジタル画素信号が格納される。
【0025】
A/D変換器32Bでのアナログ画素信号からデジタル画素信号への変換については、タイミングジェネレータ34から該A/D変換器32Bに対して出力されるサンプリングクロックパルスに基づいて行われ、またフレームメモリ32Cへのデジタル画素信号の書込みについては、タイミングジェネレータ34からフレームメモリ32Cに対して出力される書込みクロックパルスに基づいて行われる。サンプリングクロックパルス及び書込みクロックパルスの周波数はEEPROM26から得られた周波数データに基づいて決められる。
【0026】
一方、フレームメモリ32Cにはタイミングジェネレータ34から読出しクロックパルスも出力され、この読出しクロックパルスに基づいてフレームメモリ32Cの各色のメモリ領域からデジタル画素信号が読み出され、このときフィールド判別信号、水平同期信号及び垂直同期信号等がタイミングジェネレータ34から適宜出力されて読出しデジタル画素信号に付加される。要するに、フレームメモリ32Cの各色のメモリ領域からデジタル画素信号が読み出される際に該デジタル画素信号はデジタルビデオ信号として出力される。書込みクロックパルスの周波数の場合と同様に、読出しクロックパルスの周波数もEEPROM26から得られた周波数データに基づいて決められる。フレームメモリ32Cから出力される赤色デジタルビデオ信号(R)、緑色デジタルビデオ信号(G)及び青色デジタルビデオ信号(B)はビデオプロセス回路36に入力される。
【0027】
図2を参照すると、ビデオプロセス回路36の詳細ブロック図が示され、同図から明らかなように、ビデオプロセス回路36にはキャラクタ処理回路37が設けられる。キャラクタ処理回路37にはビデオRAMが内蔵され、システムコントローラ28のROMから読み出される固定文字コード情報データやキーボード(図示されない)から入力される可変文字コード情報データはキャラクタ処理回路37のビデオRAMの所定アドレスに一旦書き込まれる。キャラクタ処理回路37では、そのビデオRAMに書き込まれた文字コード情報データに基づいて文字パターン信号が生成される。
【0028】
図2に示すように、ビデオプロセス回路36には、更に、デジタル加算器38R、38G及び38Bと、デジタル/アナログ(D/A)変換器40R、40G及び40Bと、ローパスフィルタ(LPF)42R、42G及び42Bとが設けられる。デジタル加算器38R、38G及び38Bのそれぞれにはビデオ信号処理回路からの三原色のデジタルビデオ信号(R、G、B)とキャラクタ処理回路37からの文字パターンデータ信号とが入力され、そこで三原色のデジタルビデオ信号(R、G、B)には文字パターン信号が付加される。文字パターン信号を付加した三原色のデジタルビデオ信号(R、G、B)はD/A変換器40R、40G及び40Bによって三原色のアナログビデオ信号に変換され,次いでLPF42R、42G及び42Bを経た後にTVモニタ装置44(図1)に対して出力され、そこで三原色のアナログビデオ信号に基づくカラー映像が再現される。
【0029】
TVモニタ装置44でのカラー映像の再現時、デジタル換算器38R、38G及び38Bによって付加された文字パターン信号に基づいて文字情報も表示され、このような文字情報は患者名、診察日時、診察寸評等の可変文字情報や再現カラー映像に関する固定文字情報が含まれるが、本発明に特に関連した文字情報としては、4つの固定文字情報、例えば「ホワイトバランス設定の準備が完了しました」、「ホワイトバランス設定が完了しました」、「このスコープの登録をして下さい」及び「ホワイトバランスの再設定が必要です」というような4つのメッセージが挙げられる。これらメッセージ即ち固定文字情報は上述したようにコードデータとして予めシステムコントローラ28のROM内に格納され、それらコードデータは必要に応じてシステムコントローラ28のROMから読み出されてキャラクタ処理回路37のビデオRAMに書き込まれる。なお、上述した4つのメッセージの意味については後述の記載で明らかにされる。
【0030】
再び図1に戻って説明すると、本発明によれば、システムコントローラ28は不揮発性メモリ例えば再書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)46を備え、このEEPROM46はメモリ書込み/読出し回路48を介してシステムコントローラ28に接続される。EEPROM46には、本発明による電子内視鏡システムを構成する複数のスコープ(10)の個々の情報データがシステムコントローラ28によってメモリ書込み/読出し回路48を介して書き込まれ、また必要に応じてEEPROM46から所定の情報データがシステムコントローラ28によってメモリ書込み/読出し回路48を介して読み出される。
【0031】
図3を参照すると、EEPROM46のフォーマットの一例が模式的に図示され、同図に示すように、EEPROM46のメモリ領域は複数の区分領域46Aに区分され、各区分領域46Aは更に4つの細区分領域46A1 、46A2 、46A3 及び46A4 に区分される。各区分領域26Aは個々のスコープ(10)に割り当てられ、細区分領域46A1 及び46A2 のそれぞれにはその該当スコープのスコープ特定情報データとしてスコープ名データ及び製造シリアル番号データが書き込まれ、また細区分領域46A3 及び46A4 のそれぞれにはスコープの登録年月日データ及びホワイトバランス処理用の補正係数データが書き込まれる。
【0032】
図3に示す例では、スコープ名データについては、“SCOPE1”、“SCOPE2”、“SCOPE3”、“SCOPE5”等で示され、また製造番号シリアル番号データについては、“000001”、“000003”、“000013”、“000021”、“000005”等で示されている。登録年月日としては西暦の下二桁及び月日が示され、ホワイトバランス処理用補正係数データについては、赤色のアナログ画素信号に対するものを例えば“R=124”で、緑色のアナログ画素信号に対するものを例えば“G=108”で、青色のアナログ画素信号に対するものを例えば“B=120”で示され、これら数値は不図示のビデオアンプの利得(ゲイン)に対応している。なお、EEPROM46へのデータの書込みについては、後述するように各スコープのホワイトバランス補正係数設定時に行われる。
【0033】
図1に示すように、光源ランプ20はランプ電源回路50を介してシステムコントローラ28に接続され、ランプ給電回路50から光源ランプ20への給電はシステムコントローラ28によって制御される。また、画像信号処理ユニット12には操作パネル52が設けられ、この操作パネル52には種々の表示灯や種々のスイッチが設けられる。なお、図1では、本発明に特に関連するスイッチとして、画像信号処理ユニット12の主電源(図示されない)のオン/オフを切り替える電源スイッチ(SW)、光源ランプ20の点灯を制御する点灯スイッチ(SW)、電子内視鏡の通常の作動モードとホワイトバランス設定モードとを切り替えるモード切換スイッチ(SW)及びホワイトバランス補正係数を設定する際のホワイトバランス設定スイッチ(SW)がそれぞれ参照符号54、56、58及び60で示されている。
【0034】
図4を参照すると、システムコントローラ28で実行されるホワイトバランス設定ルーチンのフローチャートが示され、その実行開始は電源スイッチ54をオンした後にモード切換スイッチ58でホワイトバランス設定モードを選択することにより行われる。なお、ホワイトバランスの設定については、例えば本発明による電子内視鏡システムが病院等の医療機関等に新規に納入されたような場合、本発明による電子内視鏡システムの納入後に新たなスコープが追加されたような場合、本発明による電子内視鏡システムで既に使用されているスコープについてホワイトバランスを再設定するような場合に行われる。
【0035】
ステップ401では、点灯スイッチ56のオンにより光源ランプ20が点灯されたか否かが判断される。ステップ401で光源ランプ20の点灯が確認されると、ステップ402に進み、そこで光源ランプ20の点灯後所定時間が経過したか否かが判断される。即ち、光源ランプ20の発光状態が安定するまで待機状態となる。光源ランプ20の発光状態が安定した後、ステップ403に進み、そこでホワイトバランス設定の準備が完了した旨のメッセージ、例えば「ホワイトバランス設定の準備が完了しました」というようなメッセージがTVモニタ装置44に表示される。
【0036】
ステップ404では、スコープ(10)が画像信号処理ユニット12に接続されたか否かが判断される。スコープの接続が確認されると、ステップ405に進み、そこでホワイトバランス設定スイッチ60がオンされた否かが判断される。ホワイトバランス設定スイッチ60はホワイトバランスの設定準備の完了後にオペレータの手動操作によってオンされる。ここで、ホワイトバランスの設定準備について簡単に述べると、ホワイトバランス設定は基準白色を持つ包囲体を用いることにより行われる。即ち、該包囲体の内側壁には所定の基準白色が塗布されおり、その包囲体内にスコープ(10)の先端を挿入することにより、ホワイトバランスの設定準備が完了することになる。なお、電子内視鏡でのホワイトバランスの設定自体は周知である。
【0037】
ステップ405でホワイトバランス設定スイッチ60のオンが確認されると、ステップ406に進み、そこで接続スコープのEEPROM26からスコープ特定情報データ、即ちスコープ名データ及び製造シリアル番号データが読み出されて、システムコントローラ28のRAM内に保持される。次いで、ステップ407では、その読出しスコープ特定情報データに対応するものががEEPROM46に格納されているか否か、即ち接続スコープが未登録か否かが判断される。
【0038】
もし該当接続スコープが未登録であるときには、ステップ408に進み、そこで読出しスコープ特定情報がEEPROM46の未使用の区分領域46Aの細区分領域46A1 及び46A2 にそれぞれ書き込まれる。次いで、ステップ408では、当該年月日データ(即ち、接続スコープを登録しようとする年月日)が上述の区分領域46Aの細区分領域46A3 に書き込まれる。なお、当該年月日データとしては、システムコントローラ28に内蔵されている時計(暦)機能から得られるデータが用いられる。
【0039】
一方、ステップ407において、接続スコープが既に登録済みであると確認された場合には、即ちその接続スコープのスコープ特定情報が既に所定の区分領域46Aに登録されている場合には、ステップ407からステップ409にスキップし、そこで該所定の区分領域46の細区分領域46A3 の年月日データが当該年月日データに更新される。
【0040】
ステップ410では、CCDイメージセンサ14からアナログ画素信号を読み出し、そのアナログ画素信号、基準白色から得られたアナログ画素信号に基づいてホワイトバランス補正係数データが演算される。なお、このようなホワイトバランス補正係数データの演算については従来から行われていることである。
【0041】
ステップ411では、ステップ410で得られた演算結果、即ちホワイトバランス補正係数データ)がEEPROM46の該当区分領域46Aの細区分領域46A4 に書き込まれる。なお、接続スコープが既に登録済みである場合には、その細区分領域46A4 のホワイトバランス補正係数データが書き直されて更新される。次いで、ステップ412では、ホワイトバランス設定が完了した旨のメッセージ、例えば「ホワイトバランス設定が完了しました」というようなメッセージがTVモニタ装置44に表示される。
【0042】
ステップ413では、スコープが交換されたか否かが監視され、続いてステップ414では、モード切換スイッチ58による通常作動モードへの切換が行われたか否かが監視される。もし登録の終了したスコープ或いはホワイトバランスの再設定の終了したスコープに代えて、未登録のスコープ或いはホワイトバランスの再設定の必要なスコープが画像信号処理ユニット12に接続されたことがステップ413で確認されると、ステップ413からステップ405に戻り、ステップ405ないし414から成るルーチンが再び繰り返される。一方、モード切換スイッチ58による通常作動モードへの切換がステップ414で確認されると、電子内視鏡のメイン作動ルーチンに戻る。
【0043】
本発明による電子内視鏡システムを従来の電子内視鏡システムと共存させることも可能であり、この場合にはステップ410で得られたホワイトバランス補正係数データが接続スコープのEEPROM26に書き込まれて、該接続スコープのEEPROM26に保持されたホワイトバランス補正係数データ(その工場出荷時に書き込まれた)が更新される。
【0044】
図6を参照すると、システムコントローラ28で実行されるホワイトバランス補正係数データ読出しルーチンのフローチャートが示される。このホワイトバランス補正係数データ読出しルーチンはスコープ(10)が画像信号処理ユニット12に接続される度毎に実行される。即ち、スコープが画像信号処理ユニット12に接続されると、割込み信号がシステムコントローラ28に入力され、これによりホワイトバランス補正係数データ読出しルーチンが実行される。
【0045】
ステップ601では、画像信号処理ユニット12に接続されたスコープ(10)のEEPROM26から情報データが読み出されてシステムコントローラ28のRAMに格納される。次いで、ステップ602では、読出し情報データのうちのスコープ特定情報データ(即ち、スコープ名データ及び製造シリアル番号データ)とEEPROM46の登録データ(図3)とに基づいて接続スコープが既に登録されているか否かの照合が行われる。
【0046】
ステップ602で接続スコープの登録が確認されると、ステップ603に進み、そこで該接続スコープの登録年月日データがEEPROM46から読み出されて、その登録年月日データと当該年月日(スコープの接続した年月日)との日数差が演算される。次いで、ステップ604では、その日数差が予め決められた所定の日数以内であるか否かが判断される。日数差が所定日数以内であれば、ステップ605に進み、そこでEEPROM46から接続スコープのホワイトバランス補正係数データが読み出されてシステムコントローラ28のRAMに格納される。その後、電子内視鏡のメイン作動ルーチンに戻り、そこでCCDイメージセンサ14から得られたアナログ画素信号をホワイトバランス処理する際にかかるホワイトバランス補正係数データが用いられる。
【0047】
ステップ602でもし接続スコープが登録されていないときには、ステップ602からステップ606へ進み、そこで接続スコープを登録すべき旨のメッセージ、例えば「このスコープの登録をして下さい」というようなメッセージがTVモニタ装置44に表示される。その後、電子内視鏡のメイン作動ルーチンに戻ることになるが、このとき接続スコープの登録が直ちに行われないような場合には、該接続スコープのEEPROM26に格納されていたホワイトバランス補正係数データ(その工場出荷時に書き込まれていたもの)、ホワイトバランス係数データの演算によって更新された場合には更新されたホワイトバランス補正係数データがホワイトバランス処理時に用いられることになる。
【0048】
また、ステップ607で日数差が所定日数以上であると判断されたときには、ステップ607からステップ609に進み、そこでホワイトバランスの再設定を促す旨のメッセージ、例えば「ホワイトバランスの再設定が必要です」というようなメッセージがTVモニタ装置44に表示される。次いで、ステップ605に進み、そこでEEPROM46から接続スコープのホワイトバランス補正係数データが読み出されてシステムコントローラ28のRAMに格納される。もしオペレータがホワイトバランスの再設定を促す旨のメッセージ表示後にホワイトバランスの再設定を直ちに行わない場合には、かかる読出しホワイトバランス補正係数データがホワイトバランス処理時に用いられることになる。勿論、かかるメッセージに従って接続スコープのホワイトバランスの再設定が図4のホワイトバランス設定ルーチンに従って行われた場合には、最新のホワイトバランス補正係数データでのホワイトバランス処理が可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明による電子内視鏡システムにおいては、個々のスコープから得られるアナログ画素信号に対する常に適正なホワイトバランス処理を施すことが可能であり、電子内視鏡による内視鏡像の色再現性を高品位に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子内視鏡システムで用いられる電子内視鏡のブロック図である。
【図2】図1に示したビデオプロセス回路の詳細ブロック図である。
【図3】図1に示した電子内視鏡の画像信号処理ユニット内のEEPROMのフォーマットを例示的に示す模式図である。
【図4】図1に示した画像信号処理ユニットのシステムコントローラで実行されるホワイトバランス設定ルーチンの一部分を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した画像信号処理ユニットのシステムコントローラで実行されるホワイトバランス補正係数データ読出しルーチンの残りの部分を示すフローチャートである。
【図6】図1に示した画像信号処理ユニットのシステムコントローラで実行されるホワイトバランス補正係数データ読出しルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 スコープ
12 画像信号処理ユニット
14 CCDイメージセンサ
20 光源ランプ
24 CCDドライバ回路
26 EEPROM
28 システムコントローラ
30 メモリ読出し回路
32 ビデオ信号処理回路
32A CCDプロセス回路
32B アナログ/デジタル(A/D)変換回路
32C フレームメモリ
34 タイミングジェネレータ
36 ビデオプロセス回路
37 キャラクタ処理回路
38R・38G・38B デジタル加算器
40R・40G・40B デジタル/アナログ(D/A)変換器
42R・42G・42B ローパスフィルタ(LPF)
46 EEPROM
48 メモリ書込み/読出し回路

Claims (5)

  1. 複数のスコープと、これらスコープのそれぞれを着脱自在に接続させ得るようになった画像信号処理ユニットとから成る電子内視鏡システムであって、
    前記各スコープには光学被写体像を画素信号に光電変換させるための固体撮像手段が設けられ、前期画像信号処理ユニットには前記画素信号に基づいてビデオ信号を生成するためのビデオ信号処理手段が設けられる電子内視鏡システムにおいて、
    前記各スコープがそれ自身を特定するためのスコープ特定情報データとともに、自身に対応したホワイトバランス補正係数データを格納するスコープ側メモリ手段を具備し、
    前記画像信号処理ユニットが前記複数のスコープのそれぞれについてスコープ特定情報データ及び各スコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データを格納するユニット側メモリ手段と、任意のスコープを前記画像信号処理ユニットに接続した際にそのスコープ側メモリ手段からスコープ特定情報データを読み出して、その読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されているか否かを判別する判別手段とを包含し、
    前記判別手段によって前記読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていると判別されたとき、前記任意のスコープの固体撮像素子から得られた画素信号に対して、そのスコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データに基づくホワイトバランス処理が施され
    前記画像信号処理ユニットが、ホワイトバランス設定によりホワイトバランス補正係数データが演算された場合、前記ユニット側メモリ手段に演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させるとともに、前記スコープ側メモリ手段に対し、前記スコープ側メモリ手段に格納されていたホワイトバランス補正係数データを更新して演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させる制御手段を包含し、
    前記判別手段によって前記読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていないと判別されたとき、前記スコープ側メモリ手段に記憶されているホワイトバランス補正係数データを用いてホワイトバランス処理が施されることを特徴とする電子内視鏡システム。
  2. 請求項1に記載の電子内視鏡システムにおいて、前記複数のスコープのそれぞれのホワイトバランス補正係数データを前記ユニット側メモリ手段に格納した日付が登録日として該ユニット側メモリ手段に格納されており、任意のスコープを前記画像信号処理ユニットに接続した際にそのスコープ側メモリ手段からスコープ特定情報データを読み出して、その読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていると前記判別手段によって判別されたとき、前記任意のスコープを前記画像信号処理ユニットに接続した接続日と前記登録日との間の差を演算する日数演算手段と、この日数演算によって演算された差が所定値以上であるとき、前記任意のスコープに対するホワイトバランス補正係数データの再設定を行うべき旨を報知するホワイトバランス再設定報知手段とが設けられることを特徴とする電子内視鏡システム。
  3. 請求項1または2に記載の電子内視鏡システムにおいて、前記判別手段によって前記読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていないと判別されたとき、前記任意のスコープが未登録である旨を報知する未登録報知手段が設けられることを特徴とする電子内視鏡システム。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の電子内視鏡システムにおいて、前記ユニット側メモリ手段に格納された少なくともスコープ特定情報データのそれぞれが該当スコープのスコープ側メモリ手段にも格納されることを特徴とする電子内視鏡システム
  5. それぞれ、光学被写体像を画素信号に光電変換させるための固体撮像手段が設けられ、それ自身を特定するためのスコープ特定情報データとともに、自身に対応したホワイトバランス補正係数データを格納するスコープ側メモリ手段を具備する複数のスコープそれぞれを着脱自在に接続させ得るようになった画像信号処理ユニットであって、
    前記画素信号に基づいてビデオ信号を生成するためのビデオ信号処理手段と、
    前記複数のスコープのそれぞれについてスコープ特定情報データおよび各スコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データを格納するユニット側メモリ手段と、
    任意のスコープを前記画像信号処理ユニットに接続した際にそのスコープ側メモリ手段からスコープ特定情報データを読み出して、その読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されているか否かを判別する判別手段と、
    ホワイトバランス設定によりホワイトバランス補正係数データが演算された場合、前記ユニット側メモリ手段に演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させるとともに、前記スコープ側メモリ手段に対し、前記スコープ側メモリ手段に格納されていたホワイトバランス補正係数データを更新して演算されたホワイトバランス補正係数データを記憶させる制御手段とを備え、
    前記判別手段によって前記読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていると判別されたとき、前記任意のスコープの固体撮像素子から得られた画素信号に対して、そのスコープ特定情報データに対応したホワイトバランス補正係数データに基づくホワイトバランス処理が施され、
    前記判別手段によって前記読出しスコープ特定情報データに該当するものが前記ユニット側メモリ手段に格納されていないと判別されたとき、前記スコープ側メモリ手段に記憶されているホワイトバランス補正係数データを用いてホワイトバランス処理が施されることを特徴とする電子内視鏡システムの画像信号処理ユニット。
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