JP4010816B2 - 電子内視鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃などの器官を検査、処置等するための電子内視鏡装置に関し、特に、電子内視鏡の先端にある撮像素子から読み出される画像信号を処理するための信号処理回路に対するデータ設定に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子内視鏡装置においては、電子内視鏡(以下、ビデオスコープという)の先端に備えられた撮像素子から読み出される画像信号を処理するための信号処理回路が集積回路として設けられており、カラー(R、G、B)信号のゲインコントロールやガンマ補正、色差信号生成などの処理が信号処理回路において施される。ゲインコントロールにおけるゲイン値やガンマ補正時のガンマ値など、画像信号処理の演算基準値となる信号処理用設定データは、ROM(Read Only Memory)やデータ書き換え可能なEEPROM(Electronic Erasable Programmable ROM)などの不揮発性のメモリにあらかじめ記憶されており、電子内視鏡装置のデータ初期設定時にそのデータがメモリから読み出され、信号処理回路の信号処理に関わるレジスタに書き込まれて設定される。
【0003】
メモリにあらかじめ記憶されている信号処理用設定データ、すなわち、信号処理に関わるレジスタに格納されるレジスタ設定データの値は、その信号処理回路の組み込まれたビデオスコープの特性等を考慮して、個々のスコープに対応した設定データ(ここでは、特定初期データという)に定められるのが理想的であるが、諸々の理由によって書き換え可能なメモリに特定初期データが記憶されていない場合、標準的なデータの値であっていずれのビデオスコープにも対応したレジスタ設定データ(以下では、標準初期データという)が書き込まれる。
【0004】
書き換え可能メモリに書き込まれる標準初期データは、ビデオスコープあるいはプロセッサの特性、例えば、カラーテレビジョン方式(NTSC/PAL方式)、ビデオスコープに搭載されるCCDなどの撮像素子の画素数(低画素/高画素)によって異なる。電子内視鏡装置の製造時には、接続するプロセッサの信号処理特性、撮像素子の画素数に従って、複数の標準初期データの中から適切な標準初期データがメモリに書き込まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電子内視鏡装置の製造時においてメモリに標準初期データが書き込まれる際に誤ったデータ設定を行った場合、不適切なデータに基づく信号処理が行われることにより、適正でない映像がモニタに表示される。しかしながら、従来では、一度書き込まれた標準初期データを容易に設定し直すことができなかった。また、ある機能向けの回路基板、ビデオスコープ(高画素用)を、他の機能向けの回路基板、ビデオスコープ(低画素用)にデータ設定し直すことは容易でなかった。
【0006】
そこで本発明では、信号処理に関わるレジスタ設定データの初期設定において選択された標準初期データを必要に応じて変更することができる電子内視鏡装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子内視鏡装置は、撮像素子を有するビデオスコープと、ビデオスコープが接続されるプロセッサとを備えた電子内視鏡装置であって、信号処理回路、メモリ、データ選択手段、標準初期データ設定手段、信号処理レジスタ書き込み手段、データ変更検出手段とを備える。信号処理回路は、撮像素子から読み出される被写体に応じた画像信号を処理する信号処理回路であって、集積回路などにより構成される。信号処理回路は、信号処理に関わるレジスタに格納されるレジスタ設定データに基づいて画像信号を処理する。ここで、レジスタ設定データは、R、G、B原色信号生成時の演算係数、R,G,BゲインコントロールにおけるR,Bゲイン値、色差信号生成における演算係数、ガンマ補正におけるガンマ補正値などの演算基準値を含むデータを表す。
【0008】
レジスタ設定データは、自身のスコープに適した特定初期データに設定されており、信号処理回路製造時においてメモリに格納される。しかしながら、例えば、特定初期データが信号処理回路製造時の最初においてはメモリに書き込まれていない。標準初期データ設定手段は、メモリに特定初期データが書き込まれていない場合、信号処理データとして標準初期データを電子内視鏡装置の初期設定時、すなわち工場における電子内視鏡装置製造時にメモリに書き込む。ただし、標準初期データは、あらゆるビデオスコープに対応した標準的なレジスタ設定データであって、いわば最大公約数的な値をもつデータを示す。信号処理レジスタ書き込み手段は、信号処理データ、すなわち特定初期データあるいは標準初期データをメモリから読み出し、信号処理に関わるレジスタに書き込む。電子内視鏡装置の製造過程においては、書き込まれた標準初期データは、必要に応じて、より適したデータへ書き換えられる。
【0009】
標準初期データの値は、信号処理方式やビデオスコープ内の撮像素子特性によって異なる。例えば、カラーテレビジョン方式としてNTSC方式、PAL方式があり、NTSC方式に対応した標準初期データとPAL方式に対応した標準初期データが用意される。また、それぞれのカラーテレビジョン方式について撮像素子の画素数に従ってデータの値も異なり、高画素に応じた標準初期データと低画素に応じた標準初期データが用意される。本発明では、カラーテレビジョン方式別及び撮像素子の画素数別に、あらかじめ複数の標準初期データ(第1の標準初期データ、第2の標準初期データ、第3の標準初期データおよび第4の標準初期データ)が用意されており(ROMなどに記憶されている)、データ選択手段は、複数の標準初期データのうちいずれか1つの標準初期データを設定するために設けられている。オペレータは、データ選択手段に対する操作を行うことにより、製造する電子内視鏡装置に適した標準初期データを選択し、さらには、特定の標準初期データが設定されている状態(以下では、設定状態という)を他の標準初期データの設定状態へ変更することができる。
【0010】
データ変更検出手段は、データ選択手段に対する所定の操作を検出することにより、設定状態の変更要求がされたか否かを検出する。標準初期データ設定手段は、データ選択手段において新たに選択された標準初期データをメモリに書き込み、レジスタ書き込み手段は、変更された選択状態に応じた標準初期データをメモリから読み出してレジスタに書き込むことを特徴とする。
【0011】
本発明の電子内視鏡装置では、電子内視鏡装置の製造時に特定の標準初期データを一度設定した後、必要に応じて他の標準初期データへ設定し直す(切り替える)ことができる。このとき、オペレータはデータ選択手段に対する操作を行うだけでよく、自動的に標準初期データの設定が変更される。
【0012】
複数の標準初期データの中で、相対する(対となる)データを必要に応じて切り替えるように構成するため、データ選択手段は、第1乃至第4の標準初期データを選択的に切替設定可能であるようにするのがよい。
【0013】
データ選択手段としては、ON/OFF状態を切り替える切替スイッチがよい。オペレータは、切替スイッチを切り替えることにより、設定状態を変更させる。データ変更検出手段は、切替スイッチのON/OFF状態に基づいて、設定状態の変更要求を検出する。設定状態の変更を検出することに関しては、設定状態をデータとして記憶させておき、この記憶された設定状態から設定状態の変更を検出するのがよい。すなわち、電子内視鏡装置は、データ選択手段における設定状態を設定状態記憶メモリに記憶する設定状態記憶手段をさらに備え、データ変更検出手段は、設定状態記憶メモリに記憶されている設定状態とデータ選択手段の設定状態とに基づいて、設定状態を変更するためデータ選択手段に対する操作が行われたことを検出するのがよい。例えば、切替スイッチのON/OFFの状態を設定状態記憶メモリに記憶させ、現在の切替スイッチのON/OFF状態が記憶させた設定状態と違っている場合、変更要求があったことを検出する。標準初期データ設定手段は、データ選択手段の設定状態に基づいて、新たに選択された標準初期データをメモリに書き込む。
【0014】
あるいは、データ選択手段としては、メンテナンス時において標準初期データの切替(例えば、NTSC方式からPAL方式への切替)を容易に行えるようにするため、パーソナルコンピュータがよい。オペレータがパーソナルコンピュータに対して所定の操作を行うことにより、標準初期データの変更要求コマンドが送信される。データ変更検出手段は、パーソナルコンピュータから送られてくる設定変更のコマンドデータを検出する。標準初期データの変更に関しては、記憶させたデータの設定状態に基づいてデータ変更を行うのがよい。すなわち、電子内視鏡装置は、データ選択手段における設定状態を設定状態記憶メモリに記憶する設定状態記憶手段をさらに備え、データ変更検出手段は、データ選択手段に対して設定状態を変更するための入力操作が行われたか否かを検出する。例えば、変更要求のコマンドデータを受信することによって入力操作が行われたことを検出するのがよい。標準初期データ設定手段は、設定状態記憶メモリに記憶されている設定状態に基づいて、新たに選択された標準初期データをメモリに書き込む。例えば、NTSC方式の設定状態が記憶されている場合、PAL方式の設定状態へ切り替える。
【0015】
本発明の電子内視鏡装置のビデオスコープは、撮像素子を有し、プロセッサに接続される電子内視鏡装置のビデオスコープであって、撮像素子から読み出される被写体に応じた画像信号を処理する信号処理回路であって、信号処理に関わるレジスタに格納されるレジスタ設定データに基づいて処理する信号処理回路と、書き換え可能なメモリであって、信号処理データとして特定初期データがあらかじめ格納されるメモリと、複数の標準初期データのうちいずれか1つの標準初期データを設定するためのデータ選択手段と、メモリに特定初期データが書き込まれていない場合、データ選択手段において選択された標準初期データをメモリに書き込む標準初期データ設定手段と、レジスタ設定データを、メモリから読み出して信号処理に関わるレジスタに書き込むレジスタ書き込み手段と、データ選択操作手段に対する操作を検出することによって設定状態の変更要求がされたか否かを検出するデータ変更検出手段とを備え、標準初期データ設定手段が、データ選択手段において新たに選択された標準初期データをメモリに書き込み、信号処理レジスタ書き込み手段が、書き込まれた標準初期データをメモリから読み出してレジスタに書き込むことを特徴とする。また、本発明のプログラムは、撮像素子を有するビデオスコープと、ビデオスコープが接続されるプロセッサとを備えた電子内視鏡装置であって、撮像素子から読み出される被写体に応じた画像信号を処理する信号処理回路であって、レジスタに格納されるレジスタ設定データに基づいて処理する信号処理回路と、書き換え可能なメモリであって、信号処理データとして特定初期データがあらかじめ格納されるメモリとを備えた電子内視鏡装置において実行される初期設定処理を実行するためのプログラムであって、複数の標準初期データのうちいずれか1つの標準初期データを設定するためのデータ選択手段と、メモリに特定初期データが書き込まれていない場合、データ選択手段において選択された標準初期データをメモリに書き込む標準初期データ設定手段と、レジスタ設定データを、メモリから読み出して信号処理回路のレジスタに書き込む信号処理レジスタ書き込み手段と、データ選択操作手段に対する操作を検出することによって設定状態の変更要求がされたか否かを検出するデータ変更検出手段とを機能させるためのプログラムであり、データ選択手段において新たに選択された標準初期データをメモリに書き込むように標準初期データ設定手段を機能させ、書き込まれた標準初期データをメモリから読み出してレジスタに書き込むようにレジスタ書き込み手段を機能させることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態である電子内視鏡装置について説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。ビデオスコープとプロセッサとを備えた電子内視鏡装置は、胃などの臓器に対して検査、手術などを行うための装置であり、検査等が開始されると、ビデオスコープが観察部位の撮影のため体内へ挿入される。
【0018】
電子内視鏡装置では、撮像素子であるCCD54を有するビデオスコープ50と、CCD54から読み出される画像信号を処理するプロセッサ10とが備えられ、被写体像を表示するモニタ32がプロセッサ10に接続される。ビデオスコープ50はプロセッサ10に着脱自在に接続され、また、プロセッサ10には、キーボード34が接続される。
【0019】
ランプ点灯スイッチ(図示せず)がONになると、ランプ制御部11Aを含むランプ電源11からランプ12へ電源が供給される。点灯したランプ12から放射された光は、集光レンズ14を介してビデオスコープ50内に設けられた光ファイバー束51の入射端51Aに入射する。光ファイバー束51は、ランプ12から放射される光を観察部位のあるビデオスコープ50の先端側へ伝達する光ファイバーであり、光ファイバー束51を通った光は出射端51Bから出射する。これにより、拡散レンズである配光レンズ52を介して観察部位Sに光が照射される。
【0020】
観察部位Sにおいて反射した光は、対物レンズ53を通ってCCD54の受光面に到達し、これにより観察部位Sの被写体像がCCD54の受光面に形成される。本実施形態では、カラー撮像方式として単板同時式が適用されており、CCDの受光面上にはイエロー(Ye)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、グリーン(G)の色要素が市松状に並べられた補色カラーフィルタ(図示せず)が受光面の各画素に対応するよう配置されている。そして、CCD54では、補色カラーフィルタを通る色に応じた被写体像の画像信号が光電変換により発生し、所定時間間隔ごとに1フレームもしくは1フィールド分の画像信号が、色差線順次方式に従って順次読み出される。カラーテレビジョン方式としては例えばNTSC方式が適用されており、1/30(1/60)秒間隔ごとに1フレーム(1フィールド)分の画像信号が順次読み出され、ICチップで構成された信号処理回路55へ送られる。
【0021】
信号処理回路55には、増幅処理を行うための初期プロセス回路、輝度信号と色信号に分離するための信号分離処理回路、R,G,Bの原色信号を生成するR,G,Bマトリクス回路、R,G,Bのゲイン調整を行うR,G,Bゲイン回路、ガンマ補正を行うためのガンマ補正回路、輝度信号、色差信号を生成するためのカラーマトリクス回路などが含まれている(いずれも図示せず)。信号処理回路55に入力された画像信号に対して様々な処理が各回路において施されることにより、映像信号が生成される。生成された映像信号は、プロセッサ信号処理回路28へ送られるとともに、輝度信号は調光回路23へ送られる。また、調光回路23へ順次送られる1フレーム分(1フィールド分)の輝度信号に合わせて、所定のタイミングの同期信号等が信号処理回路55から後述のタイミングコントロール回路30へ送られる。
【0022】
プロセッサ信号処理回路28では、信号処理回路55から送られてくる映像信号に対して所定の処理が施される。処理された映像信号は、NTSCコンポジット信号、Y/C分離信号(Sビデオ信号)、RGB分離信号などのビデオ信号としてモニタ32へ出力され、これにより被写体像がモニタ32に映し出される。
【0023】
システムコントロール回路22内のプロセッサCPU24は、プロセッサ10全体を制御し、調光回路23、ランプ制御部11A、プロセッサ信号処理回路28などの各回路に制御信号を出力する。タイミングコントロール回路30では、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスがプロセッサ10内の各回路に出力され、また、ビデオ信号に付随される同期信号がプロセッサ信号処理回路28に送られる。
【0024】
ライトガイド51の入射端51Aと集光レンズ14との間には被写体Sに照射される光の光量を調整するための絞り16が設けられており、モータ18の駆動によって開閉する。本実施形態では、調光回路23によって絞り16を通過する光、すなわち被写体Sへ照射される光の光量調整が行われる。信号処理回路55から出力される輝度信号は、A/D変換器(図示せず)によってデジタルの輝度信号に変換された後、調光回路23へ入力される。この輝度信号に基き、調光回路23からモータドライバ20へ制御信号が送られ、モータ18がモータドライバ20によって駆動される。これにより、絞り16が所定の開度まで開く。
【0025】
ビデオスコープ50内には、ビデオスコープ50全体を制御するスコープCPU56、データ書き換え可能なEEPROM57が設けられており、スコープ制御に関するプログラムがスコープCPU56内のROM58に記憶されている。また、スコープの特性に関するデータ、すなわちCCD54の画素数や信号処理に関する設定データ(信号処理に関わるレジスタ設定データ)が、ROM58およびEEPROM57に記憶されている。スコープCPU56は、信号処理回路55を制御するとともに、EEPROM57、ROM58から信号処理に関するデータを読み出して信号処理回路55のレジスタ55Aへ書き込む。ビデオスコープ50がプロセッサ10に接続されると、スコープCPU56とシステムコントロール回路22との間でデータが送受信され、必要に応じてスコープCPU56からシステムコントロール回路22へ、あるいはシステムコントロール回路22からスコープCPU56へデータが送信される。
【0026】
ビデオスコープ50内部に設けられ、スコープCPU56に接続される初期設定スイッチS1、S2は、あらかじめ用意された複数の標準初期データの中で特定の標準初期データを選択してEEPROM57へ設定するための専用スイッチである。ただし、標準初期データは、いずれのビデオスコープにも対応した標準的な値をもつデータを表す。本実施形態では、カラーテレビジョン方式としてNTSCおよびPAL方式それぞれに対応した標準初期データがあり、さらに、各テレビジョン方式において、CCD54の画素数、すなわち高画素および低画素それぞれに対応した標準初期データがある。これら標準初期データはROM58にあらかじめ格納されており、初期設定スイッチS1、S2のON/OFF状態に従い、選択された標準初期データがスコープCPU56によってEEPROM57へ書き込まれる。
【0027】
フロントパネル96には、自動調光において基準となる参照輝度値の設定をするための設定スイッチ(図示せず)が設けらており、オペレータが設定スイッチを操作することによって設定された値に応じた信号がシステムコントロール回路22へ送られる。この参照輝度値のデータは、RAM26へ一時的に格納されるとともに、必要に応じてシステムコントロール回路22から調光回路23へ送られる。また、キーボード34において患者情報などの文字情報をモニタ32に表示するためキー操作がなされると、キーボード34の操作に応じた信号がシステムコントロール回路22へ入力され、その信号に基づき、プロセッサ信号処理回路28においてキャラクタ信号が映像信号にスーパーインポーズされる。
【0028】
図2は、第1の実施形態のスコープCPU56において実行される、データの初期設定処理を含むメインルーチンを示した図である。ビデオスコープ50がプロセッサ10に接続されることによってビデオスコープ50の電源がON状態になると、メインルーチンが開始される。
【0029】
ステップ101では、スコープCPU56に対する初期設定、変数の初期設定が施される。ステップ102では、自身のビデオスコープ50に適した信号処理に関わる設定データ(特定初期データ)がEEPROM57にあらかじめ書き込まれているか、すなわち信号処理回路55の製造時に書き込まれているか否かが判断される。ここで、信号処理に関わる設定データには、R,G,BゲインコントロールにおけるR,Bゲイン値、R,G,Bマトリクス回路の演算係数(α、β)、γ補正時におけるガンマ補正値(γ)、色差信号生成における演算係数などのデータが含まれる。また、特定初期データが書き込まれているか否かの判断は、特定のアドレスのデータビットがすべて所定の値(例えば1)の場合、特定初期データが書き込まれていないと判断する。
【0030】
ステップ102において特定初期データがEEPROM57に書き込まれていないと判断された場合、ステップ103へ進む。一方、ステップ102において特定初期データがあらかじめEEPROM57に書き込まれていると判断された場合、ステップ105へ進む。ステップ105では、初期設定スイッチS1、S2のON/OFF状態が変化しているか否かが判断される。初期設定スイッチS1、S2は、あらかじめ信号処理回路55の製造時において設定されており、そのON/OFF設定状態はEEPROM57に記憶されていく。ステップ105においてスコープCPU56が検知するON/OFF設定状態とEEPROM57に記憶されたON/OFF設定状態とが変わっていないと判断された場合、ステップ106へ進む。一方、ステップ105においてスコープCPU56が検知するON/OFF設定状態と記憶されたON/OFF設定状態とが変化していると判断された場合、すなわち、何らかの理由で最初に設定した標準初期データを変更するため初期設定スイッチS1、S2が操作されたと判断された場合、ステップ103へ移る。
【0031】
ステップ103では、変更された初期設定スイッチS1、S2のON/OFF設定状態が検出されるとともに、EEPROM57に記憶される。ステップ104では、初期設定スイッチS1、S2のON/OFF設定状態に従って、複数の標準初期データのうち初期設定スイッチS1、S2により選択された標準初期データがEEPROM57に書き込まれる。
【0032】
図3は、図2のステップ104のサブルーチンを示した図である。また、図4は、ROM58のアドレスマップを示した図である。
【0033】
本実施形態では、初期設定スイッチS1、S2が両方ともON状態である場合、カラーテレビジョン方式としてはNTSC方式、画素数としては高画素に対応した標準初期データ(以下では、dataAという)が選択され、初期設定スイッチS1がON状態で初期設定スイッチS2がOFF状態である場合、カラーテレビジョン方式としてはNTSC方式、画素数としては低画素に対応した標準初期データ(以下では、dataBという)が選択される。初期設定スイッチS1がOFF状態で初期設定スイッチS2がON状態である場合、カラーテレビジョン方式としてはPAL方式、画素数としては高画素に対応した標準初期データ(以下では、dataCという)が選択され、初期設定スイッチS1、S2が両方ともOFF状態である場合、カラーテレビジョン方式としてはPAL方式、画素数としては低画素に対応した標準初期データ(以下では、dataDという)が選択される。dataA、dataB、dataC、dataDはあらかじめROM58に格納されており、必要に応じて読み出される(図4参照)。ここで、dataA、dataB、dataC、dataDは、それぞれひとまとまりのデータを表している。
【0034】
ステップ201では、初期設定スイッチS1がON状態であるか、すなわち、NTSC方式に対応したdataA、あるいはdataBが選択されているか否かが判断される。初期設定スイッチS1がON状態であると判断されると、ステップ202へ進み、初期設定スイッチS2がON状態であるか、すなわち高画素に対応したdataAが選択されているか否かが判断される。初期設定スイッチS2がON状態であると判断されると、ステップ203へ進み、dataAが標準初期データとして選択されていることを検出する。一方、ステップ202において初期設定スイッチS2がON状態ではない、すなわち低画素に対応したdataBが選択されていると判断されると、ステップ204へ進み、dataBが標準初期データとして選択されていることを検出する。ステップ203もしくはステップ204が実行されると、ステップ208へ進む。
【0035】
ステップ201において初期設定スイッチS1がON状態ではない、すなわちPAL方式に対応したdataC、あるいはdataDが選択されていると判断されると、ステップ205へ進み、初期設定スイッチS2がON状態であるか、すなわち高画素が選択されているか否かが判断される。初期設定スイッチS2がON状態であると判断されるとステップ206へ進み、dataCが標準初期データとして選択されていることを検出する。一方、ステップ205において初期設定スイッチS2がON状態ではないと判断されると、ステップ207へ進み、dataDが標準初期データとして選択されていることを検出する。ステップ206もしくはステップ207が実行されると、ステップ208へ進む。
【0036】
ステップ208では、dataA〜dataDのうち選択されたデータがEEPROM57へ書き込まれる。ステップ208が実行されると、図2のステップ104へ戻る。
【0037】
ステップ106では、EEPROM57に書き込まれたdataA〜dataDのうちのいずれか1つの標準初期データおよびROM58に書き込まれた特定初期データを含む信号処理に関わる設定データが読み出される。そして、ステップ107では、読み出されたレジスタ設定データが信号処理回路55のレジスタ55Aに書き込まれる。ステップ108では、繰り返し処理が実行され、例えばプロセッサからのコマンドに対する処理などの処理がサブルーチンとして実行される。ステップ108は、ビデオスコープ50の電源がOFF状態になるまで繰り返し実行される。
【0038】
このように第1の実施形態によれば、スコープCPU56が検知する初期設定スイッチS1、S2のON/OFF状態と、EEPROM57に記憶されている初期設定スイッチS1、S2のON/OFF状態とに基いて、標準初期データの設定変更があるか否かが判断される(ステップ105)。そして、設定変更の要求があると判断された場合、検知された初期設定スイッチS1、S2のON/OFF状態に対応した標準初期データ(dataA〜dataDのうちいずれか1つのデータ)がEEPROM57に新たに書き込まれる。これにより、ある機能向けの回路基板、ビデオスコープ(高画素用)を、他の機能向けの回路基板、ビデオスコープ(低画素用)にデータ設定し直すことが容易にできる。したがって、機能別に複数の回路基板を用意する必要がなく、1種類だけで済み、生産性の向上、製造コストの削減に繋がる。
【0039】
次に、図5〜7を用いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、パーソナルコンピュータを操作することにより、標準初期データの設定切替が行われる。なお、第2の実施形態では、NTSC/PAL方式に対応するdataE、dataFの一方を選択する構成になっている。
【0040】
図5は、第2の実施形態における電子内視鏡装置のブロック図である。
【0041】
パーソナルコンピュータ100は、ビデオスコープ50とシリアルケーブルSCを介して接続されており、パーソナルコンピュータ100とビデオスコープ50のスコープCPU56との間でデータが相互通信される。パーソナルコンピュータに対して所定の操作(例えば、キーボードのファンクションキー操作など)が行われると、設定されている一方の標準初期データが他の標準初期データへ切り替えられる。
【0042】
図6は、第2の実施形態におけるスコープCPU56のメインルーチンの一部を示した図であり、図3のステップ108に対応する繰り返し処理である。
【0043】
ステップ301では、ビデオスコープ50の操作部に設けられたハードコピー実行スイッチ、VTR実行スイッチなどのスイッチ(図示せず)の操作に対する処理が施される。ステップ302では、プロセッサ10とのデータ通信に関する処理が施される。そして、ステップ303では、後述するように、パーソナルコンピュータ100との通信に関する処理が施される。
【0044】
図7は、図6のステップ303のサブルーチンを示した図である。
【0045】
ステップ401では、コマンドデータがパーソナルコンピュータ100から送信されたか否かが判断される。コマンドデータは送信されていないと判断されると、このままサブルーチンは終了する。一方、コマンドデータが送信されたと判断された場合、ステップ402へ進む。ステップ402では、送られてきたコマンドデータが、標準初期データの設定切替に応じたデータ(以下では、commandKという)であるか否かが判断される。送られてきたコマンドデータがcommandKではないと判断されると、ステップ408において、送られてきたコマンドに対応する他の処理が実行される。一方、ステップ402においてコマンドデータがcommandKであると判断された場合、ステップ403へ進む。
【0046】
ステップ403では、切替設定変数vsが1であるか否かが判断される。ここで、切替設定変数vsは、設定状態(NTSC方式およびPAL方式)を記憶しておくための変数であり、EEPROM57に記憶されている。切替設定変数vsが0の場合にはNTSC方式のdataEが選択されており、切替設定変数vsが1の場合にはPAL方式のdataFが選択されている。
【0047】
ステップ403において切替設定変数vsが1であると判断された場合、すなわちPAL方式のdataFが選択されていたと判断された場合、ステップ404に進む。ステップ404では、切替設定変数vsが0に設定され、EEPROM57に記憶される。そして、ステップ405では、NTSC方式に応じたdataEがEEPROM57に書き込まれる。ステップ406、407の実行は図2のステップ106、107の実行と同じであり、EEPROM57からdataEを含むレジスタ設定データが読み出され、レジスタ55Aに書き込まれる。
【0048】
一方、ステップ403において切替設定変数vsが1ではないと判断された場合、すなわちNTSC方式のdataEが選択されていたと判断された場合、ステップ408に進み、切替設定変数vsが1に設定されてEEPROM57に記憶される。そして、ステップ409では、PAL方式に応じたdataFがEEPROM57に書き込まれる。ステップ409の処理が終わるとステップ406、407へと進み、レジスタ設定データが読み出され、レジスタ55Aに書き込まれる。
【0049】
このように第2の実施形態では、パーソナルコンピュータ100に対して標準初期データを設定変更するための操作が行われると、そのコマンドデータが検出される(ステップ402)。そして、EEPROM57に記憶されている設定状態変数vsに基いて、新たに選択された標準初期データがEEPROM57に書き込まれる(ステップ403〜405、408、409)。
【0050】
パーソナルコンピュータ100の代わりに、プロセッサ10に接続されたキーボード34に対する操作によって標準初期データを設定変更する構成にしてもよい。この場合、シリアルケーブルSCは不要となり、プロセッサ10のシステムコントロール回路22からビデオスコープ50のスコープCPU56へcommandKが送信され、図6のステップ302にて図7のサブルーチンが実行される。
【0051】
NTSC方式/PAL方式の選択の代わりに、高画素/低画素のみを選択する構成にしてもよい。また、第1の実施形態と同様に、NTSC方式/PAL方式それぞれについて高画素/低画素を選択できる構成にしてもよい。さらに、NTSC方式/PAL方式、高画素/低画素に対応するデータに限定することなく、ビデオスコープ50、プロセッサ10の特性に関する様々な標準初期データの中から特定のデータを選択する構成にしてもよい。
【0052】
第1、第2の実施形態では、ビデオスコープ50内に信号処理回路55が設けられていたが、プロセッサ10内に設けてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、信号処理データの初期設定において選択された標準初期データを必要に応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】スコープCPUにおいて実行される、初期設定を含むメインルーチンである。
【図3】図2のステップ104のサブルーチンであって、標準初期データ書き込み処理を示した図である。
【図4】標準初期データの記憶されるROMのアドレスマップを示した図である。
【図5】第2の実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【図6】第2の実施形態における、スコープCPUのメインルーチンの一部である繰り返し処理を示した図である。
【図7】図6のステップ303のサブルーチンであって、パーソナルコンピュータからのコマンドに対する処理を示した図である。
【符号の説明】
10 プロセッサ
50 ビデオスコープ
54 CCD(撮像素子)
55 信号処理回路
55A レジスタ
56 スコープCPU
57 EEPROM(メモリ、設定状態記憶メモリ)
58 ROM
100 パーソナルコンピュータ(データ選択手段)
S1、S2 初期設定スイッチ(データ選択手段)

Claims (6)

  1. 撮像素子を有するビデオスコープと、前記ビデオスコープが接続されるプロセッサとを備えた電子内視鏡装置であって、
    レジスタを有し、前記撮像素子から読み出される被写体に応じた画像信号を処理する信号処理回路であって、前記レジスタに格納され、読み出された画像信号の処理に関わるレジスタ設定データに基づいて処理する信号処理回路と、
    書き換え可能なメモリであって、前記レジスタ設定データとして特定初期データをあらかじめ格納することが可能なメモリと、
    電子内視鏡装置の製造時および電子内視鏡装置製造後の使用時において、オペレータによる操作に従い、複数の標準初期データのうちいずれか1つの標準初期データを選択して設定するデータ選択手段と、
    電子内視鏡装置の製造時において、前記メモリに前記特定初期データが書き込まれていない場合、前記データ選択手段において選択された標準初期データを前記レジスタ設定データとして前記メモリに書き込む標準初期データ設定手段と、
    前記レジスタ設定データを、前記メモリから読み出して前記レジスタに書き込むレジスタ書き込み手段と、
    電子内視鏡装置製造後の使用時において、前記データ選択操作手段に対する所定の操作を検出することによって設定状態の変更要求がされたか否かを検出するデータ変更検出手段とを備え、
    前記ビデオスコープが、前記信号処理回路と、前記メモリと、前記データ選択手段とを有し、
    前記標準初期データ設定手段が、設定状態の変更要求がされた場合、前記データ選択手段において新たに選択された標準初期データを前記メモリに書き込み、
    前記レジスタ書き込み手段が、書き込まれた標準初期データを前記メモリから読み出して前記レジスタに書き込むことを特徴とする電子内視鏡装置。
  2. 前記データ選択手段が、ON/OFF状態を切り替える切替スイッチを有し、
    前記データ変更検出手段が、前記切替スイッチのON/OFF状態に基づいて、設定状態の変更要求を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
  3. 前記データ選択手段における設定状態を設定状態記憶メモリに記憶する設定状態記憶手段をさらに有し、
    前記データ変更検出手段が、前記設定状態記憶メモリに記憶されている設定状態と前記データ選択手段の設定状態とに基づいて、設定状態を変更するため前記データ選択手段に対する操作が行われたことを検出し、
    前記標準初期データ設定手段が、前記データ選択手段の設定状態に基づいて、新たに選択された標準初期データを前記メモリに書き込むことを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の電子内視鏡装置。
  4. 前記データ選択手段における設定状態を設定状態記憶メモリに記憶する設定状態記憶手段をさらに有し、
    前記データ変更検出手段が、前記データ選択手段に対して設定状態を変更するための入力操作が行われたか否かを検出し、
    前記標準初期データ設定手段が、前記設定状態記憶メモリに記憶されている設定状態に基づいて、新たに選択された標準初期データを前記メモリに書き込むことを特徴とする請求項1および請求項のいずれかに記載の電子内視鏡装置。
  5. 前記複数の標準初期データが、NTSC方式且つ前記撮像素子の画素数に関して高画素に応じた第1の標準初期データと、NTSC方式且つ前記撮像素子の画素数に関して低画素に応じた第2の標準初期データと、PAL方式且つ前記撮像素子の画素数に関して高画素に応じた第3の標準初期データと、PAL方式且つ前記撮像素子の画素数に関して低画素に応じた第4の標準初期データとを含み、
    前記データ選択手段が、前記第1乃至第4の標準初期データを選択的に切替設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
  6. 撮像素子を有し、プロセッサに接続される電子内視鏡装置のビデオスコープであって、
    レジスタを有し、前記撮像素子から読み出される被写体に応じた画像信号を処理する信号処理回路であって、前記レジスタに格納され、読み出された画像信号の処理に関わるレジスタ設定データに基づいて処理する信号処理回路と、
    書き換え可能なメモリであって、前記レジスタ設定データとして特定初期データをあらかじめ格納することが可能なメモリと、
    電子内視鏡装置の製造時および電子内視鏡装置製造後の使用時において、オペレータによる操作に従い、複数の標準初期データのうちいずれか1つの標準初期データを選択して設定するデータ選択手段と、
    電子内視鏡装置の製造時において、前記メモリに前記特定初期データが書き込まれていない場合、前記データ選択手段において選択された標準初期データを前記レジスタ設定データとして前記メモリに書き込む標準初期データ設定手段と、
    前記レジスタ設定データを、前記メモリから読み出して前記信号処理に関わるレジスタに書き込むレジスタ書き込み手段と、
    電子内視鏡装置製造後の使用時において、前記データ選択操作手段に対する所定の操作を検出することによって設定状態の変更要求がされたか否かを検出するデータ変更検出手段とを備え、
    前記標準初期データ設定手段が、設定状態の変更要求がされた場合、前記データ選択手段において新たに選択された標準初期データを前記メモリに書き込み、
    前記レジスタ書き込み手段が、書き込まれた標準初期データを前記メモリから読み出して前記レジスタに書き込むことを特徴とする電子内視鏡装置のビデオスコープ。
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