JP3884265B2 - 内視鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射光画像と蛍光画像を得る内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡は医療用分野及び工業用分野で広く用いられるようになった。特に医療用分野においては、通常の白色光による通常画像を得る内視鏡装置の他に、正常組織と病変組織とを識別し易いような画像が得られるような技術の提案も行われている。
【0003】
例えば、第1の従来例としての特開2001−137174号公報では、主として蛍光の相対強度を色に、輝度に参照光の強度を反映させて表示信号を生成する装置を開示している。
また、第2の従来例としての特開2000−270265号公報では、蛍光画像と背景画像とを重ね合わせる装置を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
第1の先行技術では正常組織から発せられる蛍光の強度は患者毎に異なるため、患者毎に正常組織の色調が異なって、病変組織と正常組織との識別が困難になる可能性がある。
また、第2の従来例では、反射光が広帯域のため、十分に正常組織と病変組織とを識別し易いような画像を得る機能が低下する欠点がある。
【0005】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で十分に正常組織と病変組織とを識別し易いような画像を得ることができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、少なくとも蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段を持つ光源と、生体組織に前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、前記蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して画像を構築する画像生成手段と、前記画像生成手段により処理された画像を表示する表示手段よりなる内視鏡装置における前記画像生成手段と表示手段の間に接続可能であり、前記蛍光画像モード時において、入力した蛍光画像信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に軸変換し、前記表示手段に表示する際、病変組織部分を所定の略単一の色相内に集約するように表示する第1の表示制御モードと、当該略単一の色相内に集約して表示された当該病変組織部分を所定の複数の色相に分散させて表示可能とする第2の表示制御モードとを切り換えて表示するよう制御する手段を備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図13は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は第1の実施の形態の内視鏡装置の全体構成を示し、図2は通常観察用フィルタと蛍光観察用フィルタが設けられた切替フィルタの構成を示し、図3は通常観察用フィルタ、蛍光観察用フィルタ及び励起光カットフィルタの波長に対する透過特性を示し、図4は画像処理回路の構成を示し、図5は生体組織に対する蛍光画像の波長より得られる強度分布の特性例と、生体組織に対する反射光の波長より得られる強度分布の特性例とを示し、図6は蛍光強度と2つの反射光強度を3軸とした軸空間座標上で正常の部分と病変の部分とを分布させた様子を示し、図7は第1の反射光の波長をパラメータとした場合における第2の反射光の中心波長に対する分離度の変化の様子を示し、図8は第1の反射光の波長幅をパラメータとした場合における第2の反射光の中心波長に対する分離能の変化の様子を示し、図9から図12まではマトリックスを変更した場合におけるる正常部分と病変部分の分布を示す色度図を示し、図13は画像処理回路による演算範囲を示す。
【0008】
図1に示す本発明の第1の実施の形態の通常観察モードと蛍光観察モードとを備えた内視鏡装置1Aは、体腔内に挿入して観察するための電子内視鏡2Aと、通常観察用の光及び励起用光を発する光源装置3Aと、通常観察画像と蛍光画像を構築するための信号処理を行うプロセッサ4Aと、通常光による画像と蛍光による画像を表示するモニタ5とにより構成される。
【0009】
電子内視鏡2Aは体腔内に挿入される細長の挿入部7を有し、この挿入部7の先端部8に照明手段と撮像手段を内蔵している。
挿入部7内には通常観察のための照明光及び励起光を伝送(導光)するライトガイドファイバ9が挿通され、このライトガイドファイバ9の手元側の入射端に設けた光源用コネクタ10は光源装置3Aに着脱自在に接続される。
【0010】
光源装置3Aは、ランプ駆動回路11により発光するように駆動され、赤外波長帯域から可視光帯域を含む光を放射するランプ12と、このランプ12による照明光路上に設けられ、ランプ12からの光量を制限する光源絞り13と、照明光路上に設けられた切替フィルタ部14と、この切替フィルタ部14を通った光を集光するコンデンサレンズ15とを備えている。
【0011】
この切替フィルタ部14は回転用モータ16により回転されると共に、移動用モータ20により光路上に配置されるフィルタが切り替えられる切替フィルタ17と、回転用モータ16に取り付けたラック18に螺合するピニオン19を回転駆動することにより、回転用モータ16と共に切替フィルタ17を光軸に垂直な方向に移動する移動用モータ20とを備えている。
【0012】
切替フィルタ17には図2に示すように内周側と外周側とに同心状に通常観察用のRGBフィルタ21と蛍光観察用フィルタ22とが設けてあり、前記移動用モータ20を駆動することにより光路上に通常照明用フィルタ21を設定して通常画像モード(通常モードともいう)での動作状態に設定したり、通常照明用フィルタ21から蛍光照明用フィルタ22に切り換えて蛍光画像モード(蛍光モードともいう)に設定した動作状態に切り替えができるようにしている。
【0013】
上記RGBフィルタ21は、周方向にR(赤)、G(緑)、B(青)の各波長帯域の光をそれぞれ透過するR、G、Bフィルタ21a、21b、21cが3等分するように設けてあり、回転モータ16で回転駆動されることによりそれぞれが光路中に順次、略連続的に介挿される。
【0014】
また、R、G、Bフィルタ21a、21b、21cの透過特性は図3(A)に示すように、600−700nm、500−600nm、400−500nmの各波長帯の光をそれぞれ透過するフィルタ特性を有する。図3等では符号21a、21b、21cの代わりに、そのフィルタ透過特性に対応する符号R、G、Bを用いて示している(後述する蛍光観察用フィルタ22においても、同様である)。
【0015】
また、蛍光観察用フィルタ22は、周方向に狭帯域の赤(R1)、狭帯域の緑(G1)、狭帯域の励起光(E1)をそれぞれ透過するR1、G1、E1フィルタ22a、22b、22cが3等分するように設けてあり、回転用モータ16で回転駆動されることによりそれぞれが光路中に順次介挿される。
また、R1、G1、E1フィルタ22a、22b、22cの透過特性は図3(B)に示すように590−610nm、540−560nm、390−445nmを各波長帯域の光をそれぞれ透過するフィルタ特性を有する。
【0016】
光源装置3Aからの照明光はライトガイドファイバ9により、電子内視鏡2Aの挿入部7の先端側に伝送(導光)される。このライトガイドファイバ9は蛍光観察のための光と通常観察のための光を少ない伝送ロスで伝送する。このライトガイドファイバ9としては、例えば多成分系ガラスファイバ、石英ファイバ等で構成される。
【0017】
ライトガイドファイバ9の先端面に伝送された光は、その先端面に対向する照明窓に取り付けた照明レンズ24を経て、拡開して体腔内の観察対象部位側に照射される。
【0018】
先端部8にはこの照明窓に隣接して観察窓が設けてあり、この観察窓には光学像を結ぶための対物レンズ系25と、遠点から近点までフォーカスを合わせるため空間的に入射光量を制限する絞り26と、励起光をカットする励起光カットフィルタ27と、蛍光および反射光の各画像を撮像する撮像素子として例えばモノクロ撮像(或いは白黒撮像)を行う電荷結合素子(CCDと略記)28とが配置されている。
蛍光および反射画像を撮像する撮像素子としては、CCD28の代わりにCMD (Charged Modulation Device) 撮像素子、C−MOS撮像素子、AMI(Amplified MOS Imager)、BCCD(Back Illuminated CCD)でも良い。
【0019】
励起光カットフィルタ27は蛍光観察時に、蛍光を発生させるために励起される励起光を遮光するフィルタである。この励起光カットフィルタ27の特性を図3(C)に示す。この図3(C)に示すように470−700nmの波長帯域を透過する、つまり、青色帯域の一部の波長(400−470nm)を除いた可視光を透過する特性を有する。
【0020】
なお、この電子内視鏡2Aには蛍光画像モードと通常画像モードとを選択する指示操作や、フリーズ、レリーズの指示操作を行うためのスコープスイッチ29が設けてあり、その操作信号は制御回路37に入力され、制御回路37はその操作信号に対応した制御動作を行う。
【0021】
例えばスコープスイッチ29におけるモード切換スイッチの通常モードスイッチを操作すると、光源装置3Aはライトガイドファイバ9に通常モードの照明光、つまりR、G、Bの光を順次供給する状態となり、またプロセッサ4Aも通常モードに対応した信号処理を行う状態になる。
【0022】
また、モード切換スイッチの蛍光モードスイッチを操作すると、光源装置3Aはライトガイドファイバ9に蛍光モードの照明光、つまりR1、G1、E1の光を順次供給する状態となり、またプロセッサ4Aも蛍光モードに対応した信号処理を行う状態になる。
【0023】
CCD28はプロセッサ4A内に設けたCCD駆動回路31からのCCD駆動信号により駆動され、CCD28に結像された光学像を光電変換して画像信号を出力する。
【0024】
この画像信号はプロセッサ4A内に設けたプリアンプ32で増幅され、さらにオートゲインコントロール(AGC)回路33で所定レベルまで増幅された後、A/D変換回路34によりアナログ信号からデジタル信号(画像データ)に変換され、各画像データは切換を行うマルチプレクサ35を経て、第1フレームメモリ36a、第2フレームメモリ36b及び第3フレームメモリ36cに一時格納(記憶)される。
【0025】
なお、CCD駆動回路31は制御回路37により制御される。具体的には、後述するように通常モードにおいては、Bフィルタ21cで照明を行った場合、CCD28で受光される光量が他のR、Gフィルタ21a、21bで照明を行った場合よりも低下するので、電子シャッタ機能を動作させる。
【0026】
また、蛍光モードにおいても、E1フィルタ22cにより励起光を照射して蛍光画像を得る期間におけるCCD28で受光される光量がR1、G1フィルタ22a、22bで照明を行った場合の反射光の場合よりもはるかに低下するので、電子シャッタ機能を動作させる。
【0027】
また、制御回路37は選択されたモードに応じて移動用モータ20を制御する。また、回転用モータ16は制御回路37により制御されると共に、この回転用モータ16の回転軸等に取り付けた図示しないエンコーダの出力は制御回路37に入力され、制御回路37はこのエンコーダの出力に同期してCCD駆動回路31やマルチプレクサ35の切換等を制御する。
【0028】
また、制御回路37は、マルチプレクサ35の切換を制御し、通常モードではR、G、Bフィルタ21a、21b、21cの照明のもとで撮像した各画像データをそれぞれ第1フレームメモリ36a、第2フレームメモリ36b、第3フレームメモリ36cに順次記憶させるように制御する。
【0029】
また、蛍光モードにおいても、制御回路37は、マルチプレクサ35の切換を制御し、R1、G1、E1フィルタ22a、22b、22cの照明のもとで撮像した各信号をそれぞれ第1フレームメモリ36a、第2フレームメモリ36b、第3フレームメモリ36cに順次記憶させるように制御する。
上記フレームメモリ36a〜36cに格納された画像データは画像処理回路38に入力され、図4で後述するように入力信号に対してマトリックス回路45で変換して正常組織部分と病変組織部分とを識別し易い色相の出力信号に変換する画像処理が施された後、D/A変換回路39によりアナログのRGB信号に変換されてモニタ5に出力される。
【0030】
本実施の形態の特徴の1つとなる画像処理回路38では、これに入力される3つの信号、つまり、狭帯域の2つの照明光G1、R1による生体組織での反射光を撮像した反射光撮像信号と励起光E1により生体組織より発生した蛍光を撮像した蛍光画像信号を画像処理回路38でマトリックス変換処理してカラー表示するRGBの3つのチャンネルに割り当てるようにしている。
【0031】
また、このプロセッサ4Aにはプリアンプ32を通した信号に基づいて光源装置3A内の光源絞り13の開口量を自動的に制御する調光回路40が設けてある。また、この調光回路40は制御回路37により、制御される。
また、この制御回路37は、ランプ駆動回路11のランプ12を発光駆動するランプ電流を制御する。
また、この制御回路37はスコープスイッチ29の操作に応じた制御動作を行う。
【0032】
また、電子内視鏡2Aにはその電子内視鏡2Aの少なくともその機種を含む固有のID情報を発生するスコープID発生部41を有し、電子内視鏡2Aをプロセッサ4Aに接続すると、プロセッサ4A側に設けた機種検知回路42により、接続された電子内視鏡2Aの機種情報を検知し、その機種情報を制御回路37に送る。
【0033】
制御回路37は接続された電子内視鏡2Aの機種の特性に応じて、画像処理回路38のマトリックス回路のパラメータを適切なものに設定する制御信号を送る。また、画像処理回路38には、マトリックス回路のパラメータを選択設定ができる設定スイッチ43も接続されている。
【0034】
図4を参照して画像処理回路38の具体的な構成を示す。
図4に示すように第1〜第3フレームメモリ36a〜36cから画像処理回路38の3つの入力端Ta、Tb、Tcには通常画像モードではR、G、Bの信号が入力され、蛍光画像モードではR1、G1、EXの信号が入力される。ここでは、簡単化のため、R1、G1の信号は、R1、G1の照明光の下で、生体組織で反射信号を撮像した撮像信号を示し、EXの信号は励起光E1の下で撮像した蛍光画像の信号を示している。
【0035】
入力端Ta、Tb、Tcに入力されたR、G、Bの信号或いはR1、G1、EXの信号はマトリックス回路45により、信号R′、G′、B′に変換されて出力される。実際には、通常画像モードでは入力信号R、G、Bをそのまま出力する。一方、蛍光画像モードでは、入力信号R1、G1、EXは信号R′、G′、B′に変換されて出力される。
【0036】
つまり、マトリックス回路45の3行3列のマトリックスエレメント(パラメータとも言う)をaijとした場合、
【0037】
【式1】
Figure 0003884265
と表される。
【0038】
なお、式1は蛍光画像モードの場合で示す。一方、式1′はより一般的に入力信号として入力1、2、3(通常モードでは入力1、2、3は信号R、G、Bとなり、蛍光モードではR1、G1、EXとなる)に対してマトリックス回路45により信号R′、G′、B′に変換して出力する場合を示している。
【0039】
マトリックス回路45の出力信号R′、G′、B′はさらに3つのレンジ補正テーブル46a、46b、46cを通して所定範囲外のものが補正され、この画像処理回路38の出力信号R′、G′、B′となり、出力端Ta′、Tb′、Tc′から(モニタ5のR、G、Bチャンネルに接続されている)D/A変換回路39に出力される。
【0040】
なお、レンジ補正テーブル46a、46b、46cは、このレンジ補正テーブル46a、46b、46cに入力される信号における異常値を補正するためのもので、通常の信号レベルのものはそのまま出力するので、簡単化のためレンジ補正テーブル46a、46b、46cの出力信号もR′、G′、B′で示す。
【0041】
また、このマトリックス回路45はそのパラメータaijを決定するパラメータ決定部47と接続され、このパラメータ決定部47は制御回路37とROM48とが接続されている。また、このROM48には、設定スイッチ43が接続されている。
【0042】
ROM48にはパラメータaijを変えた複数のマトリックスエレメントが格納されており、制御回路37による制御信号によってパラメータ決定部47により決定(選択)されるパラメータがマトリックス回路45に送られ、式1′のパラメータaijが決定される。
【0043】
具体的には、制御回路37により、プロセッサ4Aに接続された電子内視鏡2Aの機種に応じてその機種の場合に適したパラメータに設定する制御信号がパラメータ決定部47に送られ、パラメータ決定部47は制御信号に対応したパラメータに決定する。
【0044】
また、ユーザが設定スイッチ43を操作して、ROM48に格納されたパラメータを選択設定した場合には、パラメータ決定部47はその選択設定されたパラメータとなるようにマトリックス回路45のパラメータを設定する。
【0045】
本実施の形態では内視鏡装置1Aでは、光源装置3Aの切替フィルタ17のRGBフィルタ21、蛍光観察用フィルタ22及び、電子内視鏡2Aの撮像光路中に設けた励起光カットフィルタ27のフィルタ特性を図3(A)〜図3(C)に示すように設定して、正常組織と病変組織の部分との分離度を大きくできるようにしたことが特徴となっている。
【0046】
また、画像処理回路38により、特に入力信号R1,G1,EXに対してマトリックス変換を行って正常組織と病変組織とを識別し易いように色相が異なり、病変組織が特定の色相に入るように表示できるように設定したことも特徴となっている。
【0047】
まず分離能を大きくしたことを図5等を参照して以下に説明する。
図5(A)は生体組織により得られる蛍光画像の波長に対する強度分布の特性例を示し、図5(B)は生体組織により得られる反射光の波長に対する強度分布の特性例とを示す。
【0048】
図5(A)から分かるように520nm付近でピークとなる分布特性を示し、本実施の形態では励起光カットフィルタ27による透過特性をこの520nm付近の波長帯域を含むように設定している。
【0049】
また、図5(B)の反射光の強度特性では、550nm付近でヘモグロビンによる吸収が大きく、この波長付近で反射強度が低下する谷となっている。なお、600nm付近はヘモグロビンによる非吸収帯となる。
そして、2つのフィルタ22a、22b(図ではG1、R1)の中心波長は550nmと600nmに設定されている。
【0050】
つまり、本実施の形態では、R1フィルタ22aの帯域を酸化ヘモグロビンの吸光度が低い部分に設定し、かつG1フィルタ22bの帯域を酸化ヘモグロビンの吸光度が高い部分に設定している。
【0051】
なお、蛍光モードで照明し、その反射光で撮像する第1及び第2の照明光(反射光)となるG1、R1の光は、その波長幅を例えば20nmに設定している(後述するように20nm以下に設定しても良い)。
なお、E1フィルタ22cにより遮光された青色領域(の長波長領域)と、励起光カットフィルタ27で遮光させた青色領域(の短波長領域)の光の透過率はOD4(1/10000)以下に設定されている。
【0052】
上述のように蛍光モードでの2つの反射光の画像を得る場合におけるその波長(中心波長)を550nmと600nmに設定した理由を図6等により説明する。なお、蛍光画像の波長帯域は反射光による画像の強度に比べて小さいので、その輝度レベルが反射光による画像に比べて相対的に低くなり、色相による識別もしにくくなるので、その輝度レベルを大きくして色相による識別をし易くするために少なくとも蛍光スペクトルにおけるピークの波長(520nm付近)を含む広い帯域に設定している。
【0053】
図6は2つの反射光強度と蛍光強度とを3軸とした軸空間座標上で正常の部分と病変の部分とを分布させた様子を示す。図6において、梨地模様で示す部分が生体組織における正常組織、斜線で示す部分が生体組織における病変組織となることを示す。
【0054】
そして、正常組織と病変組織とが重なった部分が小さい程、正常組織と病変組織との識別が容易となるので、本実施の形態では、この重なり部分が最小となるように、2つの反射光の帯域を統計的手法(具体的にはフィッシャーの判別関数)を用いて算出する。
つまり、正常組織と病変組織の分布の重なりにより分離能Sを以下の式で求める。
【0055】
分離能S=1−(正常組織と病変組織の分布が重なった部分)/(分布全体)
そして、第1の反射光と第2の反射光との中心波長を変化させて、得られる分離能Sを算出する。
【0056】
図7は第1の反射光をパラメータとして変化させた場合における第2の反射光の中心波長に対して得られる分離能Sを示す。ここでは、第1の反射光の中心波長をパラメータとして510nm、550nm、600nmと変化させた場合を示している。
【0057】
そして、第1の反射光の中心波長が550nmで、第2の反射光の中心波長が600nmの場合に最も大きな分離能Sが得られることが分かる。なお、第1の反射光と第2の反射光の中心波長を入れ換えた場合、つまり第1の反射光の中心波長が600nmで、第2の反射光の中心波長が550nmの場合に最も大きな分離能Sが得られる。
【0058】
また、図8は第1の反射光の中心波長を550nmとし、その波長幅をパラメータとして変化させた場合に得られる分離能Sを示す。図8では波長幅を80nm、20nm、10nmにした場合を示す。
【0059】
図8から第1の反射光の中心波長を550nmは略20nmかこれより小さい場合に大きな分離能Sが得られることが分かる。図8からは20nmより10nmの場合の方が大きな分離能Sが得られるが、波長幅を小さくすると、強度が低下してS/Nが低下する。このため、本実施の形態では、20nmの波長幅に設定している。プロセッサ4Aの信号処理系等のS/Nに応じて、波長幅を20nm以下の例えば10nm等にしても良い。
【0060】
図7及び図8から、本実施の形態では、図3に示したように第1及び第2の反射光(照明光)の波長をそれぞれ、550nmと600nmとに設定すると共に、その波長幅を20nmに設定して、大きな分離能Sにできるように、つまり正常組織と病変組織とを出来るだけ分離した状態に分布させることができるようにしている。
【0061】
上述したように、本実施の形態では蛍光画像の強度は反射光の場合に比べてはるかに弱いので、図5(A)に示すようにその強度がピークとなる520nm付近の波長帯域を含む蛍光画像を得る特性の励起光カットフィルタ27を採用している。これにより、S/Nの良い蛍光画像を得られるようにしている。
【0062】
また、本実施の形態では、画像処理回路38によるマトリックス変換のパラメータを適切な値に設定して、正常組織と病変組織とを表示画像上で、識別し易い色相(輝度も含む)となるようにしている。
そして、図9から図12に示す色度図上に正常組織と病変組織が識別し易い状態で分布するような輝度及び色相の状態で、擬似カラー表示できるようにしている。
【0063】
なお、図13はモニタ5の表示面を示す。モニタ5には図13における正方形部分49がCCD28により撮像した撮像エリアであり、モニタ5にはその4隅の暗くなる部分をカットした八角形部分が内視鏡画像の表示エリア50となり、本実施の形態ではこの表示エリア50の範囲に相当する映像信号期間のみ画像処理回路38を動作させることにより、画像処理回路38でマトリックス変換等を行う処理量を減らし、高速処理ができるようにしている。
このような構成による本実施の形態の作用を以下に説明する。
図1に示すように電子内視鏡2Aの光源用コネクタ10を光源装置3Aに接続し、また電子内視鏡2Aの図示しない信号用コネクタをプロセッサ4Aに接続する。そして、図1に示すような接続状態に設定して、各装置の電源を投入し、動作状態に設定する。すると、制御回路37は初期設定の動作を行い、この初期設定の状態では例えば通常モードで動作するように設定する制御を行う。
【0064】
この通常モードでは、制御回路37は光源装置3Aの移動用モータ20を制御して、切替フィルタ17をその内周側のRGBフィルタ21が照明光路中に位置するように設定する。
そして、回転モータ16を回転させる。ランプ12の白色光は切替フィルタ17のR、G、Bフィルタ21a、21b、21cが順次照明光路中に配置されるようになり、観察対象側へR、G、Bの照明光が出射される。
【0065】
この通常モードでは切替フィルタによる(観察対象側への)照明光はR、G、Bフィルタ21a、21b、21cが順次照明光路中に配置される。
R、G、Bの光で順次照明され、CCD28で撮像された信号は、増幅、A/D変換された後、マルチプレクサ35が制御回路37で順次切り換えられることにより、第1フレームメモリ36a、第2フレームメモリ36b、第3フレームメモリ36cに順次格納される。
【0066】
これらフレームメモリ36a〜36cに格納されたR、G、Bの色成分の画像データは所定のフレーム期間(例えば33ms、つまり1/30秒)で同時に読み出され、画像処理回路38に入力される。
【0067】
この画像処理回路38は通常モードでは、入力信号をそのまま出力する。例えばマトリックス回路45とレンジ補正テーブル46a〜46cをスルーしてD/A変換回路39に出力するようにしても良いし、通常モードに設定したマトリックス回路45を通すようにしても良い。
【0068】
この場合には、例えば制御回路37は通常モードである制御信号をパラメータ決定部47に送り、パラメータ決定部47は、マトリックス回路45のパラメータaijとしてa11、a22、a33の対角要素のみを1、その他を0にして、入力信号R、G、Bを出力信号としてそのまま出力する。この場合、レンジ補正テーブル46a〜46cは例えばスルーして信号を通す。
【0069】
このようにして、D/A変換回路39を経てアナログの標準的な映像信号、ここではRGB信号にされてR、G、Bチャンネルからモニタ5に出力され、モニタ5の表示面には(白色光を照射した場合に、直接被写体を観察した場合のカラー色調を反映した)通常観察画像がカラー表示される。
【0070】
上述したように、Bフィルタ21cを通して照明を行った場合における被写体側での反射光量は励起光カットフィルタ27によりその短波長側がカットされてCCD28で受光されるため、そのBの色成分画像の受光量が他のR、Gの色成分画像の受光量より少なくなり、そのままではホワイトバランスが崩れることになる。
【0071】
これを防止するために、制御回路37はCCD駆動回路31を介してBフィルタ21cでの照明期間で撮像した場合のCCD28の増幅率を例えば2倍に増大させる。
また、制御回路37はランプ駆動回路11を制御し、Bフィルタ21cでの照明期間におけるランプ12を駆動するランプ電流を、例えば通常のランプ電流の値増大させて、Bの照明光量を増大させる。
【0072】
また、制御回路37はCCD駆動回路31を制御し、CCD28の電子シャッタの機能を動作させる。つまり、R、Gの照明期間においては、その照明期間の一部の期間でのみ撮像を行うようにして、短い撮像期間となるようにCCD28を駆動し、これに対してBの照明期間においては、その照明期間の全部を撮像に用いるようにして、長い撮像期間となるようにする。
【0073】
このようにして、モニタ5にはホワイトバランスがとれた通常画像を表示する。なお、電子シャッタによる撮像期間の設定は予め白い被写体を撮像した場合に、モニタ5でその被写体が白く表示されるように、制御回路37内の図示しないメモリ等に、具体的な撮像期間の値が格納されている(或いは、電源投入の後の初期設定の際に、白い被写体を撮像して、電子シャッタによる撮像期間を具体的に設定するようにしても良い)。この時、電子シャッタの撮像期間ではなく、CCD増幅率の値、ランプ電流の値を記憶して、これらを単独或いは組み合わせても良い。
【0074】
このようにして通常モードで被写体を観察でき、例えば注目する患部部位等の被写体に対して蛍光観察を行いたい場合には、スコープスイッチ29のモード切換スイッチの蛍光モードスイッチを操作する。
【0075】
すると、この操作信号を受けて、制御回路37は光源装置3Aは移動用モータ20を駆動して、切替フィルタ17を移動させ、蛍光観察用フィルタ22が照明光路上に配置される状態に設定し、蛍光モードに切り換える。
蛍光モードに設定されると、電子内視鏡2Aのライトガイドファイバ9には蛍光モードの照明光、つまり図3(B)に示すR1、G1、E1の光が順次供給される状態となる。
【0076】
そして、被写体にはR1、G1、E1の光が順次照射される。R1、G1の照明の場合には、通常モードでのR、Gの光が順次照射された場合と同様の動作となる。つまり、この場合にはR1、G1の被写体での反射光をCCD28で受光する。この場合、励起光カットフィルタ27による影響を受けないで、CCD28は撮像することになる。
【0077】
これに対し、励起光E1を照射した場合には、その励起光E1の反射光は励起光カットフィルタ27で殆ど完全に遮光され、かつこの励起光カットフィルタ27の透過帯域内の被写体側からの蛍光を受光する。
【0078】
この蛍光の強度は、R1、G1の被写体での反射光の強度に比べてはるかに小さいので、上述した通常モードでのR、Gの照明、Bの照明及びそれらの場合の信号処理と類似した動作を行うようにして、(R1、G1の被写体での反射光の画像と対比し易い)明るい蛍光画像が表示されるようにする。
【0079】
具体的には、R1、G1の被写体での反射光を撮像する場合には、電子シャッタにより、照明期間の一部の期間でのみCCD28で撮像した画像データを第1フレームメモリ36a、第2フレームメモリ36bに格納するようにする。
【0080】
これに対し、E1の励起光を照射した場合で、その蛍光画像を撮像する場合には、CCD28の増幅率を例えば10倍から100倍程度に増大し、かつランプ電流も増大し、励起光の照明光量も増大させる。そして、この場合に撮像した蛍光画像データを第3フレームメモリ36cに格納する。
そして、1フレーム周期で第1フレームメモリ36a〜第3フレームメモリ36cの画像データを同時に読み出し、画像処理回路38に入力される。
【0081】
画像処理回路38は図4に示した構成であり、入力信号R1、G1、EXはマトリックス回路45で変換されて出力信号R′、G′、B′となる。この場合、実際に使用される電子内視鏡2Aの機種により、同じ光源装置3Aを採用した場合にも、ライトガイド9の光の(特に波長に対する)伝送特性や、内蔵されたCCD28の(特に波長に対する)感度特性等の影響を受ける。また、観察する被写体により、光の吸収特性等が異なるため、入力信号R1、G1、EXの相対的な大きさが変化するので、予め使用されている機種や被写体による影響を調べ、機種や被写体による依存性を解消するように制御回路37は制御信号をパラメータ決定部47に送る。
【0082】
従って、マトリックス回路45からは機種や被写体による特性を補償した出力信号R′、G′、B′が得られるようになる。例えば、図1の電子内視鏡2Aとは、ライトガイド9の伝送特性が異なる機種の電子内視鏡(分かり易くするために2Cとする)を採用した場合、電子内視鏡2Aと同じ状態で生体組織を撮像した場合、画像処理回路38に入力される信号R1、G1、EXの値は電子内視鏡2Aの場合と異なるが、マトリックス回路45を通した出力信号R′、G′、B′の相対的な値は同じとなるようにマトリックス回路45のパラメータが(電子内視鏡2Aの機種の場合とは異なる値に)設定される。
【0083】
このように(導光して照明する照明手段と撮像手段を含む電子内視鏡の機種を検知した検知信号によりマトリックス回路45のパラメータは適切な値に自動的に設定されてこのマトリックス回路45から機種や被写体に依存しない出力信号R′、G′、B′が得られる。
【0084】
これらの出力信号R′、G′、B′はレンジ補正テーブル46a〜46cにより、例えばマトリックス変換により適正な範囲から外れた場合、具体的には大きくなり過ぎた及び小さくなり過ぎた場合には、上限値及び下限値でカットして適正な範囲の信号レベルに補正する(具体的には輝度レベルが0未満255以上にならないように補正する)。
【0085】
レンジ補正テーブル46a〜46cを通った信号は、D/A変換回路39によりアナログのRGB信号に変換され、モニタ5で擬似的にカラー表示される。 本実施の形態では蛍光モードに設定した場合、標準の機種の電子内視鏡2Aの場合には、マトリックス回路45のマトリックスは以下の式2或いは式3に示す値のマトリックスに設定される。また、さらに選択の操作を行うことにより式4或いは式5のマトリックスに設定することができる。式2〜式4はそれぞれ図9〜図12の色度図に対応する。
【0086】
【式2】
Figure 0003884265
蛍光モードに設定した場合には、マトリックス回路45のマトリックスは式2或いは式3に設定され、その場合には図9或いは図10に示すように色度図(に相当する状態)で正常組織部分と病変組織部分とが異なり、特に病変組織部分が略単一の色相に入るようにしてモニタ5には擬似カラーで表示される。
【0087】
例えば、式2の場合には、蛍光波長帯域からなる画像信号EXをGチャンネルに、2つの異なる中心波長と波長幅を持った反射光波長帯域のうちの1つをRチャンネル、もう1つの反射光波長帯域をBチャンネルに配置したものとなっている。
式2に対応する図9の場合には病変組織部分はピンクの色相付近に限定されるようになる。
【0088】
また、式3の場合には、式2の場合と同様に蛍光波長帯域からなる画像信号EXをGチャンネルに、残りの2つの反射光波長帯域の信号を式2と逆に入れ換えている。
【0089】
式3に対応する図10の場合には病変組織部分は紫の色相付近に限定されるようになる。なお、図9或いは図10に対応する表示モードは蛍光モードにおける切換モードを操作することにより相互に切り換えることができる。そして、ユーザは好みの方で表示させることができる。
【0090】
従って、術者は図9の場合にはピンクの色相付近で表示される部分を注目することにより、病変組織である可能性が高いと判断できる。
また、術者は図10の場合には、紫の色相付近で表示される部分を注目することにより、病変組織である可能性が高いと判断できる。
【0091】
また、図9或いは図10のような色度図に対応する状態の擬似カラーによる表示状態で、病変組織の可能性が高いと判断できた場合には、スコープスイッチ29の蛍光モードにおいてさらに用意した病変組織用モードのスイッチを操作した場合には、制御回路37によりパラメータ決定部47はマトリックス回路45のパラメータをさらに変更して、式4或いは式5に設定する。
【0092】
式4或いは式5は図11或いは図12に示すような色度図に相当する状態で、蛍光モードでの画像、つまり2つの反射光画像と蛍光画像を擬似カラー表示する。
【0093】
式4及び式5では蛍光画像の信号EXをBチャンネルに、2つの反射光画像の信号G1、R1をG、Rチャンネル及び入れ換えたR、Gチャンネルにしたものである。
【0094】
図11或いは図12では病変組織が複数の色相に分布するように表示されるので、最初から正常組織と病変組織との診断を行う場合には適切ではないかもしれないが、図9或いは図10で病変組織の可能性が高いと診断したような場合には、さらに図11或いは図12に示すような表示モードにすると、その色相の違いにより、病変組織の状態をより詳しく診断することがし易い。例えば、色相の変化により、病変の進行の程度等を判断し易くなる。
【0095】
このように本実施の形態によれば、2つの反射光による画像と蛍光画像とで擬似カラーで表示する場合に、正常組織と病変組織との重なりを小さくして分離能Sを大きくなるように反射光による画像の波長を適切な値に設定し、また蛍光画像の波長もそのS/Nが大きく識別し易いようにし、病変組織を正常組織とは異なり、識別し易い略単一の色相に入るように擬似カラー表示するようにしているので、病変組織の部分か否かを診断する場合、術者は病変組織を容易に診断することができる。つまり、診断し易い環境を提供できる。
【0096】
また、電子内視鏡2Aの撮像素子の前に配置した励起光カットフィルタ27は、青色の波長帯域の一部を含む励起光をカットすると共に、前記励起カットフィルタ27は、通常観察を行うための可視領域の青色光の一部以外の光を透過する(青色光の一部と、緑、赤の波長帯の全域を透過する)ようにしているので、1つの撮像素子を挿入部7の先端部8に配置することにより、通常画像の撮像と蛍光画像の撮像及び信号処理により通常画像と蛍光画像の表示ができる。
【0097】
従って、(複数の撮像素子を内蔵した場合に比較して)電子内視鏡2Aの挿入部7を細径にでき、挿入使用できる適用範囲を広げることができると共に、挿入の際に患者に与える苦痛を軽減できる。また、術者も体腔内に挿入する作業が容易となる。また、1つの撮像素子で済むので低コスト化が可能となる。
【0098】
また、励起光として可視光の波長帯域(領域)内の青色を採用しているので、光源装置3Aのランプ12として、通常照明(白色照明)に使用できるハロゲンランプ、キセノンランプ等を使用できる。また、紫外線等を励起光とした場合に比較して、ライトガイドファイバ9による伝送ロスを小さくできたり、通常照明用のものをそのまま使用できる等のメリットがある。
特に、簡単な構成で正常組織と病変組織を識別し易いように(蛍光画像と反射光画像とによる)画像画像を擬似カラー表示すことができるる内視鏡装置1Aを実現できる。
【0099】
次に第1の実施の形態の変形例を説明する。
図14は第1変形例の画像処理回路38Bの構成を示す。第1変形例の画像処理回路38Bは図4において、マトリックス回路45とレベル補正テーブル46a〜46cの代わりにルックアップテーブル(図ではLUTと略記))51を採用している。
【0100】
このルックアップテーブル51はパラメータ決定部52を介してROM53と接続され、このパラメータ決定部47は制御回路37と設定スイッチ43に接続されている。
ROM53には予め複数通りの出力値が格納されており、パラメータ決定部52を介して制御回路37の制御信号及び設定スイッチ43の設定により決定されたものがルックアップテーブル51にセットされる。
【0101】
そして、入力端Ta〜Tcから入力される3つの信号に対してルックアップテーブル51により対応する出力値が読み出され、出力端Ta′、Tb′、Tc′からR、G、Bチャンネルに出力される。
【0102】
なお、通常モードの場合には、ルックアップテーブル51は入力信号をそのまま出力する特性のものにセットされる。
本変形例は第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有する。
【0103】
図15は第2変形例の画像処理回路38Cを示す。
この画像処理回路38Cは、図14において、ルックアップテーブル51の代わりに色調変換部55にしている。
【0104】
色調変換部55はCPUや演算回路等で構成され、式1′のマトリックス変換(及びレンジ補正テーブル処理)の演算処理を行う。
なお、通常モードの場合には、色調変換部54は入力信号を(演算処理しないで)そのまま出力する。本変形例は第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有する。
【0105】
(第2の実施の形態)
図16は本発明の第2の実施の形態における画像処理回路38Dを示す。
この画像処理回路38Dは、図4において、さらに強調変換テーブル56、コンパレータ57、ROM58を設けた構成となっている。
【0106】
本実施の形態では図4の入力端Tcとマトリックス回路45との間には強調変換テーブル56が配置され、蛍光画像の信号EXはこの強調変換テーブル56によって強調処理されてマトリックス回路45に入力される。
【0107】
また、入力端Ta、Tbはマトリックス回路45と接続されると共に、コンパレータ57と接続され、このコンパレータ57により入力端Ta、Tbから入力される信号R1、G1は所定の範囲から逸脱する信号が検出され、その検出信号はマトリックス回路45とレンジ補正テーブル46a〜46cとの間に配置されたROM58に入力される。
【0108】
ROM58は入力端Ta、Tbから入力される信号の輝度レベルと上限値とを比較し、上限値を越える場合には、マトリックス回路45による変換処理後の3つの信号の輝度レベルを例えば全て同じ上限値に設定する(この場合には白で表示されることになる)。
【0109】
また、強調変換テーブル56は、図17に示すような入出力特性Kに設定されており、特に入力レベルの小さい病変組織側の信号に対する出力レベルを大きくなるように伸張し、入力レベルの範囲が大きい方に偏った正常組織側の信号に対する出力レベルの範囲を狭くなるように圧縮する。
【0110】
このようにすることにより、マトリックス回路45に入力される3つの信号のレベルが偏ったものとなっているのを補正し、より望ましいレベルで入力できるように変換処理する。
なお、強調変換テーブル56は通常モードでは機能しないで、入力信号をそのまま出力する。
その他は第1の実施の形態と同様の構成である。
【0111】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を有すると共に、さらに蛍光画像の信号レベルを伸張し、擬似カラー表示した場合の輝度レベルを大きくして色相の識別や色調の変化の具合等をより識別し易くできる(輝度レベルが低いとその色相等の識別も困難になる)。
また、入力信号のレベルが大きくなり過ぎるような場合にも、適正なレベルの色調で表示するようにできる。
【0112】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態を図18ないし図21を参照して説明する。図18は、第3の実施の形態の内視鏡装置を示す。図18に示す内視鏡装置1Cは電子内視鏡(ここでは、スコープと略記)2Bと、照明光を供給する光源装置3Aと、信号処理を行うプロセッサ4Cと、画像を表示するモニタ5と、プロセッサ4Cの出力端に接続される画像処理装置38Eと、この画像処理装置38Eの出力端に接続されたモニタ61と、画像処理装置38Eに接続されたキーボード62とから構成される。
【0113】
この内視鏡装置1Cでは、例えば図1のスコープ2Aの代わりに2つの撮像素子を内蔵した機種等が異なるスコープ2Bを採用できるようにしている。
このスコープ2Bは蛍光観察用CCD(蛍光用CCD)28aと通常観察用CCD(通常用CCD)28bとを挿入部7の先端部8に設けている。
【0114】
先端部8の観察窓には光学像を結ぶための対物レンズ系25aと、空間的に光量を制限する第1絞り26aと、励起光カットフィルタ27と、蛍光像を撮像する撮像素子としての蛍光観察用CCD28aとによる蛍光観察用撮像部と、光学像を結ぶための対物レンズ系25bと、第2絞り26bと、通常像を撮像する撮像素子としての通常観察用CCD28bとによる通常観察用撮像部とが配置されている。なお、第1絞り26aのfNo.は第2絞り26bのfNo.より小さい値となる。つまり、蛍光用CCD28aにより多くの光量が入るようになっている。
【0115】
2つのCCD28a、28bは切替スイッチ64を介してCCD駆動回路31とプリアンプ32とに接続されている。この切替スイッチ64は制御回路37により切替が制御される。つまり、スコープスイッチ29により蛍光モードが選択されると、蛍光用CCD28aが選択使用され、通常モードが選択されると、通常用CCD28bが選択使用される。
【0116】
また、本実施の形態においてもスコープ2Bの機種が異なるものを接続して使用できるようにスコープ2Bにはその種類(機種)を含む固有の識別情報を発生するスコープID発生部41(図では簡単化のため単にスコープIDと略記)が設けてあり、プロセッサ4Cに設けた機種検知回路42はそのスコープIDにより機種を検知する。
【0117】
なお、スコープID発生部41は、スコープ2Bの機種を含む情報が書き込まれたメモリ素子で構成されるが、これに限定されるものでなく、例えば複数のスイッチからなるディップスイッチ等で構成することもできる。
【0118】
そして、プロセッサ4Cの機種検知回路42により検知された機種情報は制御回路37に送られ、制御回路37は検出された機種に応じてその機種のスコープに適した蛍光モード及び通常モードで観察できるように光源装置3C等を制御する。
また、本実施の形態における光源装置3Aは図1の光源装置3Aと同様の構成である。
また、CCD28aの前に配置した励起光カットフィルタ27は図3(C)に示すような透過特性に設定されている。
【0119】
また、プロセッサ4Cは図1のプロセッサ4Aにおいて、画像処理回路38の代わりにガンマ補正等の映像信号生成の処理を行う映像処理回路65が採用されている。そして、このプロセッサ4Cの映像出力端のR、G、Bチャンネルから出力される信号はモニタ5に出力されると共に、画像処理装置38Eにも出力される。
【0120】
図19はこの画像処理装置38Eの構成を示す。
この画像処理装置38Eは、プロセッサ4CのR、G、Bチャンネルから出力されるアナログの映像信号に対してA/D変換回路71a〜71cによりA/D変換する。A/D変換されたデジタル信号はルックアップテーブル72a〜72cに入力され、逆ガンマ補正が行われる。
【0121】
逆ガンマ補正が行われた信号はマトリックス回路45に入力され、第1の実施の形態と同様にマトリックス変換処理が行われ、また、その出力信号に対してレンジ補正テーブル46a〜46cによりレンジ補正処理が行われる。
レンジ補正テーブル46a〜46cの出力信号はさらにルックアップテーブル72a〜72cに入力され、ガンマ補正が行われた後、D/A変換回路74a〜74cによりアナログ信号に変換されてモニタ61に出力される。
【0122】
また、マトリックス回路45には、パラメータ決定部47が接続され、このパラメータ決定部47にはROM48と外部のキーボード62とが接続されている。
【0123】
ROM48には第1の実施の形態と同様に複数通りのマトリックスエレメントを発生するパラメータが格納されており、キーボード62による選択操作によりパラメータ決定部47を介してマトリックス回路45のマトリックスが決定される。
【0124】
本実施の形態では、プロセッサ4Cではほぼ通常の映像処理を行い、その外部に設けた映像処理装置38Eにより、蛍光モードでは正常組織と病変組織とを識別し易い画像にする処理を行うようにしている。
【0125】
また、蛍光観察用CCD28a、通常観察用CCD28bとを備えたスコープ2Bを採用することにより、それぞれの機能を兼用した場合よりも、それぞれのモードで画質の良い画像を得ることができるようにしている。
【0126】
次に本実施の形態の作用を説明する。
スコープ2Bがプロセッサ4Bに接続されると、そのスコープID回路41からのID情報を機種検知回路42で検知し、この機種検知回路42の検知信号により制御回路37は、接続されたスコープの機種を判断する。そして、判断した機種に応じた制御動作を行う。
【0127】
スコープ2Bが接続された状態の場合で、通常モードが選択されると、制御回路37は切替スイッチ64を通常観察用CCD28bが選択されるように切り替える。
また、この通常モードでは切替フィルタ部14の内周側のRGBフィルタ21が光路上に配置される。
【0128】
本実施の形態ではCCD28bの前には励起光カットフィルタ27が配置されていないので、通常のCCDでの撮像と同様にR、G、Bの面順次撮像を行うことができる。
【0129】
このため、このモードでは第1の実施の形態におけるBの照明期間に、ランプ電流の増大等を必要としないで、ホワイトバランスのとれた撮像及び表示を行うことができる。
【0130】
また、蛍光モードが選択されると、制御回路37は蛍光観察用CCD28aが選択されるように切替スイッチ46を切り替える。
また、制御回路37は移動用モータ20を制御して、蛍光観察用フィルタ51が照明光路上に配置されるように切替フィルタ17を移動する。
【0131】
この場合には、第1の実施の形態におけるスコープ2Aで撮像を行う状態と同じとなる。
なお、蛍光モードではCCD28aの増幅率、ランプ電流等が増大される。 この場合のプロセッサ4Cにより映像信号生成の処理が行われ、R、G、Bチャンネルから出力される映像信号はモニタ5に入力されると共に、画像処理装置38Eに入力される。
【0132】
この場合、モニタ5には第1の実施の形態におけるマトリックス変換処理等が行われないで擬似カラー表示されることになる。
一方、画像処理装置38Eにより、第1の実施の形態のプロセッサ4A内の画像処理回路38で行っていたのと類似の処理を行う。
【0133】
画像処理装置38Eでは、プロセッサ4Cの外部に出力されるアナログの映像信号が入力されるので、図19に示すようにA/D変換回路71a〜71cによりA/D変換し、さらにルックアップテーブル72a〜72cにより逆ガンマ補正を行ってガンマ補正されていないデジタルの信号にする。
【0134】
そして、マトリックス回路45でマトリックス変換処理し、その後レンジ補正テーブル46a〜46cでレンジ補正を行う。その後は、ルックアップテーブル72a〜72cによりガンマ補正を行って、D/A変換回路74a〜74cを通して、R、G、Bチャンネルからモニタ61に出力し、モニタ61の表示面には第1の実施の形態で説明したものと同様の画像を表示する。
【0135】
本実施の形態によれば、通常モードでは青色の波長帯域の一部が励起光カットフィルタで遮光されるような事なく撮像でき、S/Nの良い通常画像を得ることができる。
【0136】
また、蛍光モードにおいては、外部の画像処理装置38Eを通すことにより、第1の実施の形態で説明したのと同様に正常組織と病変組織を識別し易い状態で擬似カラー表示することができる。
【0137】
図20は画像処理装置38Eに接続されたモニタ61に表示される画像例を示す。このモニタ61の表示面における画像表示部80には画像処理装置38Eにより出力される画像が擬似カラーで表示される。
【0138】
この画像表示部80の横のボックス81に入力した患者ID毎に画像を保存するディレクトリが作成される。ボタン82により選択したモードにより予め決めてあるマトリックスのパラメータを選択することができる。
その他、画像表示の開始のボタン、停止のボタン、保存のボタン83、設定画面を呼び出すボタン84等が設けてある。
【0139】
また、図21はボタン84を操作して呼び出された設定画面を示す。この場合には図20の画像表示部80の上にマトリックスのパラメータの入力するボックス86とR、G、Bチャンネルに対するゲインの設定ボックス87とが表示され、ユーザは所望とする値に設定することができるようになっている。
【0140】
図22は第1変形例の画像処理装置38Fを示す。この画像処理装置38Fは図19において、例えばルックアップテーブル72a〜72c、マトリックス回路45、レンジ補正テーブル46a〜46c、ルックアップテーブル73a〜73cの機能をまとめてルックアップテーブル76にしている。
本変形例によれば、低コスト化することができる。
【0141】
図23は第2変形例の画像処理装置38Gを示す。この画像処理装置38Gは図19において、マトリックス回路45の代わりに色調変換部55に変更したものである。本変形例は第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有する。
【0142】
図24は第3変形例の画像処理装置38Hを示す。この画像処理装置38Hは図16に相当するものである。
つまり、図16の画像処理回路38Dにおいて、その入力側に図19と同様にA/D変換回路71a〜71cとルックアップテーブル72a〜72cを設け、またその出力側にルックアップテーブル73a〜73cとD/A変換回路74a〜74cとを設けた構成にすると共に、パラメータ決定部46にはキーボード62が接続された構成にしている。
【0143】
本変形例は第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有する。
なお、上述した各実施の形態等を部分的等で組み合わせて構成される実施の形態等も本発明に属する。
【0144】
[付記]
1.2つの異なる波長帯域の照明光と蛍光を励起するための励起光を照明する光源と、
生体組織に前記照明光が照射され、反射された反射光による各々2つの反射光画像と、前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像を撮像する撮像手段と、
前記2つの反射光画像と蛍光画像とを処理して処理画像を構築する画像処理手段と、
前記処理画像を表示する表示手段よりなる内視鏡装置において、
生体組織からの2つの異なる反射光と蛍光の強度を3軸とした空間座標軸上に分布させた際、正常組織と病変組織が3軸空間座標軸上で分離するように前記反射光と蛍光の波長が選択され、
前記画像処理手段は、前記蛍光画像と前記2つの反射光画像の3つの信号を入力する手段を持ち、輝度かつ/または色相が正常組織と病変組織で異なり、病変組織が特定の範囲の色相に入るように、前記信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に変換する軸変換手段をもつことを特徴とする内視鏡装置。
【0145】
1′.2つの異なる波長帯域の照明光と蛍光を励起するための励起光を発生する光源と、
前記照明光及び励起光を導光する導光手段、
前記導光手段で導光され、生体組織に前記照明光が照射され、反射された反射光による各々2つの反射光画像と、前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像を撮像する撮像手段、
を有する内視鏡と、
前記2つの反射光画像と蛍光画像とを処理して処理画像を構築して、表示手段に出力するする画像処理手段と、
を有する内視鏡装置において、
生体組織からの2つの異なる反射光と蛍光の強度を3軸とした空間座標軸上に分布させた際、正常組織と病変組織が3軸空間座標軸上で分離するように前記反射光と蛍光の波長が選択され、
前記画像処理手段は、前記蛍光画像と前記2つの反射光画像の3つの信号を入力する手段を持ち、輝度かつ/または色相が正常組織と病変組織で異なり、病変組織が特定の範囲の色相に入るように、前記信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に変換する軸変換手段をもつことを特徴とする内視鏡装置。
【0146】
2.蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、2つの異なる波長帯域の照明光と蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段をもつ光源と、
生体組織に前記光源から出力された光により、前記照明光による反射光画像と、前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記2つの反射光画像と蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して処理画像を構築する前記画像処理手段と、
前記画像処理手段により処理された画像を表示する表示手段よりなる内視鏡装置において、
生体組織からの2つの異なる反射光と蛍光の強度を3軸とした空間座標軸上に分布させた際、正常組織と病変組織が3軸空間座標軸上で分離するように前記反射光と蛍光の波長が選択され、
前記画像処理手段は、前記2つの反射光画像と蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像の3つの信号を入力する入力手段があり、蛍光画像モード時に、輝度かつ/または色相が正常組織と病変組織で異なり、病変組織が特定の範囲の色相に入るように、前記蛍光画像と前記2つの反射光画像の信号を演算処理し、3つの色成分信号に変換するとともに、通常画像モード時に、前記赤、緑、青色の光による通常光画像の信号をそのまま3つの色成分信号として出力する軸変換手段をもつことを特徴とする内視鏡装置。
【0147】
2′.蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、2つの異なる波長帯域の照明光と蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段をもつ光源と、
生体組織に前記光源から出力された光により、前記照明光による反射光画像と、前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記2つの反射光画像と蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して処理画像を構築し、表示手段に出力する画像処理手段と、
を有する内視鏡装置において、
生体組織からの2つの異なる反射光と蛍光の強度を3軸とした空間座標軸上に分布させた際、正常組織と病変組織が3軸空間座標軸上で分離するように前記反射光と蛍光の波長が選択され、
前記画像処理手段は、前記2つの反射光画像と蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像の3つの信号を入力する入力手段があり、蛍光画像モード時に、輝度かつ/または色相が正常組織と病変組織で異なり、病変組織が特定の範囲の色相に入るように、前記蛍光画像と前記2つの反射光画像の信号を演算処理し、3つの色成分信号に変換するとともに、通常画像モード時に、前記赤、緑、青色の光による通常光画像の信号をそのまま3つの色成分信号として出力する軸変換手段をもつことを特徴とする内視鏡装置。
【0148】
3.付記1、2において、選択された2つの反射光波長帯域は、1つは、ヘモグロビンの光の吸収帯を含む波長帯域であり、もう1つは、ヘモグロビンの光の非吸収体を含む波長帯域であることを特徴とする。
4.付記1、2において、選択された1つの蛍光波長帯域は、520nmを含む波長帯域であり、2つの反射光波長帯域は、それぞれ、550nm、600nmを含む波長帯域であることを特徴とする。
5.付記4において、選択された1つの蛍光波長帯域は、520nmを含むとともに、620nm以上の帯域を除くことを特徴とする。
【0149】
6.付記4において、選択された2つの反射光波長帯域の波長幅は、当該20nmないし20nm以下であることを特徴とする。
7.付記1、2において、3つの色成分信号とはRGB信号である。
8.付記1、2において、軸変換手段は、マトリックス回路、またはルックアップテーブル(以下、LUTと略す)、またはCPUを備えた演算器であることを特徴とする。
【0150】
9.付記1において、観察する部位に合わせて軸変換手段の複数のパラメータを変更する手段をもつことを特徴とする。
10.付記2において、観察する部位や観察モードに合わせて前記パラメータを変更する切り替え手段をもつことを特徴とする。
11.付記9、10において、切り替え手段とは、内視鏡、または画像処理手段に設けられたスイッチである。
【0151】
12.付記9、10において、使用する内視鏡の機種を識別し、検査目的に合った前記パラメータを自動的に設定する識別手段を持つことを特徴とする。
13.付記9、10において、前記パラメータを入力する入力手段を持つことを特徴とする。
14.付記12において、前記入力手段は前記内視鏡装置に接続するキーボードである。
【0152】
15.付記1、2において、前記画像処理手段は、蛍光画像信号の輝度レベルのレンジを伸張するレンジ伸張(強調)手段を持つことことを特徴とする。
16.付記1、2の前記画像処理手段において、少なくとも1つの反射光画像の特定部位の明るさが特定の値以上である場合、特定部位の3つの色成分信号の値をすべて同じ値にすることを特徴とする。
17.付記16において、反射光画像の特定部位の明るさが特定の値以上であることを確認する手段はコンパレータである。
【0153】
18.蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、少なくとも蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段を持つ光源と、
生体組織に前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して画像を構築する画像生成手段と、
前記画像生成手段により処理された画像を表示する表示手段よりなる内視鏡装置における前記画像生成手段と表示手段の間に接続可能であり、
前記蛍光画像モード時、少なくとも蛍光画像信号を入力し、少なくとも蛍光画像信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に軸変換する手段を持つことを特徴とする画像処理装置。
【0154】
18′.蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、少なくとも蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段を持つ光源と、
生体組織に前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して画像を構築し、表示手段に出力する画像生成手段と、
を有する内視鏡装置における前記画像生成手段と前記表示手段の間に接続可能であり、
前記蛍光画像モード時、少なくとも蛍光画像信号を入力し、少なくとも蛍光画像信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に軸変換する手段を持つことを特徴とする画像処理装置。
【0155】
19.付記18において、3つの色成分信号とはRGB信号である。
20.付記18において、軸変換手段は、マトリックス回路、またはLUT、またはCPUを備えた演算器であることを特徴とする。
21.付記18において、観察する部位や観察モードに合わせて軸変換手段の複数のパラメータを変更する手段を持つことを特徴とする。
【0156】
22.付記18において、前記パラメータを入力する入力手段を持つことを特徴とする。
23.付記22において、前記入力手段は前記画像処理装置に接続するキーボードである。
24.付記21において、前記パラメータの情報をモニタに表示する手段を持つことを特徴とする。
【0157】
25.付記1において、前記画像処理手段により前記3つの信号に対する演算処理を行う演算範囲を特定する手段を有する。
26.付記18において、前記3つの色成分からなる信号に軸変換する手段は前記3つの色成分からなる信号に対する演算処理を行う演算範囲を特定する手段を有する。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、正常組織と病変組織との識別が容易となる画像を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】通常観察用フィルタと蛍光観察用フィルタが設けられた切替フィルタの構成を示す図。
【図3】通常観察用フィルタ、蛍光観察用フィルタ及び励起光カットフィルタの波長に対する透過特性を示す図。
【図4】画像処理回路の構成を示すブロック図。
【図5】生体組織に対する蛍光画像及び反射光画像の波長に対する強度分布の特性例を示す図。
【図6】蛍光強度と2つの反射光強度を3軸とした軸空間座標上で正常の部分と病変の部分とをプロットして分布させた様子を示す図。
【図7】第1の反射光の波長をパラメータとした場合における第2の反射光の中心波長に対する分離能の変化の様子を示す図。
【図8】第1の反射光の波長幅をパラメータとした場合における第2の反射光の中心波長に対する分離能の変化の様子を示す図。
【図9】マトリックスエレメントを式2のように設定した場合におけるる正常部分と病変部分の分布を示す色度図。
【図10】マトリックスエレメントを式3のように設定した場合におけるる正常部分と病変部分の分布を示す色度図。
【図11】マトリックスエレメントを式4のように設定した場合におけるる正常部分と病変部分の分布を示す色度図。
【図12】マトリックスエレメントを式5のように設定した場合におけるる正常部分と病変部分の分布を示す色度図。
【図13】画像処理回路による演算範囲を示す説明図。
【図14】第1変形例における画像処理回路の構成を示すブロック図。
【図15】第2変形例における画像処理回路の構成を示すブロック図。
【図16】第3変形例における画像処理回路の構成を示すブロック図。
【図17】第3変形例における強調変換テーブルの入出力特性を示す図。
【図18】本発明の第2の実施の形態の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図19】画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図20】モニタでの蛍光画像の表示例を示す図。
【図21】マトリックス回路のパラメータを入力設定する画面を示す図。
【図22】第1変形例における画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図23】第2変形例における画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図24】第3変形例における画像処理装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1A…内視鏡装置
2A…電子内視鏡
3A…光源装置
4A…プロセッサ
5…モニタ
7…挿入部
8…先端部
9…ライトガイドファイバ
10…コネクタ
11…ランプ駆動回路
12…ランプ
13…光源絞り
14…切替フィルタ部
16…回転用モータ
17…切替フィルタ
18…ラック
20…移動用モータ
21…RGBフィルタ
22…蛍光観察用フィルタ
25…対物レンズ系
27…励起光カットフィルタ
28…CCD
29…スコープスイッチ
31…CCD駆動回路
34…A/D変換回路
36a〜36c…フレームメモリ
37…制御回路
38…画像処理回路
43…設定スイッチ
45…マトリックス回路
46a〜46c…レンジ補正テーブル
47…パラメータ決定部
48…ROM

Claims (1)

  1. 蛍光情報を含む蛍光画像モードとして、少なくとも蛍光を励起するための励起光を照明する手段と、白色光による通常画像モードとして、赤、緑、青色の光を順次照明する手段を持つ光源と、
    生体組織に前記励起光により励起された蛍光による蛍光画像、および赤、緑、青色の光による通常光画像を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
    前記蛍光画像、または、前記赤、緑、青色の光による通常光画像を処理して画像を構築する画像生成手段と、
    前記画像生成手段により処理された画像を表示する表示手段よりなる内視鏡装置における前記画像生成手段と表示手段の間に接続可能であり、
    前記蛍光画像モード時において、入力した蛍光画像信号を演算処理し、3つの色成分からなる信号に軸変換し、前記表示手段に表示する際、病変組織部分を所定の略単一の色相内に集約するように表示する第1の表示制御モードと、当該略単一の色相内に集約して表示された当該病変組織部分を所定の複数の色相に分散させて表示可能とする第2の表示制御モードとを切り換えて表示するよう制御する手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
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