JP3683845B2 - スパイラルスプリング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板面が互いに対向するように、硬度の高い帯状の鋼板を渦巻き状に成形して形成されるスパイラルスプリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のシートフレームに設けられたリクライニング調整機構には、自動車メカニズム図鑑・三訂版(株式会社グランプリ出版発行)の210頁に図示されるように、スパイラルスプリングが使用されている。この種のスパイラルスプリングは、板面を互いに対向させつつ帯状の鋼板を渦巻き状に成形して形成されており、シートバックが後方へ倒されるときに巻かれ、シートバックが前方へ起こされるときに巻きが緩められて初期形状に復帰する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のスパイラルスプリングにおいては、巻かれていく途中で対向板面どうしが接触して引っ掛かり、この引っ掛かり部位の内側における巻きが規制され、同引っ掛かり部位の外側だけが巻かれ続けることがあった。すると、上記引っ掛かり部位の内側では、引っ掛かりが生じるまでしか巻かれていないため、バネ性能が十分に発揮されず、シートバックをスムーズに前方位置へ復帰させることができないことがあった。本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、シートバックをスムーズに前方位置へ復帰させることが可能なスパイラルスプリングの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、板面が互いに対向するように、硬度の高い帯状の鋼板を渦巻き状に成形して形成されるスパイラルスプリングであって、上記鋼板どうしの対向面形状を異ならせた構成としてある。上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、板面が互いに対向するように、硬度の高い帯状の鋼板を渦巻き状に成形し、当該スパイラルスプリングを形成する。
【0005】
このとき、上記鋼板どうしの対向面形状が互いに異なることから、当該スパイラルスプリングを巻いていく途中で対向板面どうしが接触しても、点状あるいは線状に接触し、対向板面間の接触面積を低減させることができる。このように、高い硬度を有する鋼板を採用し、対向板面間の接触面積を低減させると、接触部位が引っ掛かりにくい。このため、互いの板面を滑らせつつスムーズに巻いていくことが可能となり、バネ性能を十分に発揮させることができる。
【0006】
【0007】
また、上記鋼板どうしの対向面形状を互いに異ならせるための別の具体的な構成例として、請求項1にかかる発明は、上記請求項1に記載のスパイラルスプリングにおいて、上記板面には、長さ方向に延びる筋状の凸部が形成されている構成としてある。上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、当該スパイラルスプリングが巻かれていくときに対向板面が接触すると、長さ方向に延びる筋状の凸部の頂点付近が対向する板面に対して線状に接触する。従って、対向板面間の接触面積を低減させることができる点で有用な構成となる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
さらに、対向板面が接触しにくいように当該スパイラルスプリングを形成することも可能である。その一例は、上記請求項1に記載のスパイラルスプリングにおいて、上記鋼板を偏心させつつ渦巻き状に成形して形成されている構成としてある。上記のように構成した発明においては、巻くときに接触しやすい対向板面間を離間させるように、当該スパイラルスプリングを偏心させつつ形成する。そして、中心が中央に位置するように当該スパイラルスプリングを配置して使用する。すると、接触しやすい対向板面どうしは、互いに離間する方向へ付勢されるため、当該スパイラルスプリングを巻いていくときに接触しにくくなる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1によれば、バネ性能を十分に発揮させることが可能なスパイラルスプリングを提供することができる。特に、当該スパイラルスプリングをシートフレームに設けられたリクライニング調整機構に採用する場合、後方に倒されたシートバックをスムーズに前方位置へ復帰させることが可能となる。また、請求項1にかかる発明によれば、対向板面間の接触面積を低減させるための具体的な構成を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)ドライバーズシートの説明:(2)スプリングケースの説明:(3)スパイラルスプリングの説明:(4)スパイラルスプリングの変形例1:(5)スパイラルスプリングの変形例2:(6)スパイラルスプリングの変形例3:(7)スパイラルスプリングの変形例4:(8)まとめ:
【0016】
(1)ドライバーズシートの説明:図1は、ファーストシートのフレームを斜視図により示している。同図において、ファーストシートは、フロアに取り付けられるフロアフレーム100と、フロアフレーム100の後端側に取り付けられる一対のアッパーアーム200とを備えている。フロアフレーム100は、矩形枠状に構成されており、枠内にスプリング類を有するクッションフレームが組み付けられている。そして、クッションフレームの上方にウレタンパッドが張られ、ウレタンパッドの表面がウールモケットで覆われている。
【0017】
一方、各アッパーアーム200,200は、下端部位がフロアフレーム100の左右後端にて前後方向へ回動可能にそれぞれ取り付けられている。また、各アッパーアーム200,200の上端部位は、フロアフレーム100の左右幅と概略同等な長さを有する連結材300により連結され、左右のアッパーアームが一体的に前後方向へ回動可能となっている。そして、アッパーアーム200,200の間には、フロアフレーム100と同様に、クッションフレームが組み付けられ、クッションフレームの前方にウレタンパッドが張られ、ウレタンパッドの表面がウールモケットで覆われている。このアッパーアーム200,200の間にてウールモケットにより覆われた部位は、いわゆるシートバックを構成する。ここで、各アッパーアームの下端部位とフロアフレームの後端部位との間には、図2に示すようなリクライニング調整機構が設けられている。
【0018】
フロアフレーム100の後端部位には、下方にて左右に分岐され、所定間隔だけ離間されつつ鉛直方向へ延設される二股形状の支持部110,110が左右それぞれに形成されており、各支持部110,110の間には、後述するスパイラルスプリングが収容された円盤形状のスプリングケース400と、アッパーアーム200の下端部位とがくわえ込まれている。また、スプリングケース400、アッパーアーム200および支持部110,110には、左右方向へ軸孔がそれぞれに設けられており、各軸孔を連通させつつ、スプリングケース400は、一面側にて支持部110に溶接固定され、他面側にてアッパーアーム200に溶接固定されている。
【0019】
そして、連結ロッド500が支持部110、スプリングケース400およびアッパーアーム200の各軸孔に対して回転可能に挿通され、アッパーアーム200の回動軸として配設される。なお、連結ロッド500の左端には、前後方向へ配向されたロック解除レバー510の後端部位が組み付けられており、ロック解除レバー510の前端部位を上方へ引き上げた際、ロック解除レバー510の引き上げ角度に応じて連結ロッド500が同方向へ同角度だけ回転されるようになっている。
【0020】
(2)スプリングケースの説明:図3は、スプリングケースの外観を斜視図により示し、図4は、スプリングケースの構成部材を分解斜視図により示している。スプリングケース400は、下ケーシング410と上ケーシング420とから構成されており、スパイラルスプリング430、軸部材440、スライド部材450、噛合部材460,460、回転部材470が内部に収容されている。下ケーシング410は、概略円盤形状で構成されており、周縁部位からは鉛直上方へ側壁411が立設されている。また、上ケーシング420は、側壁411を内側に挿入可能な側壁421を有する概略円筒形状で構成されており、上端には、中央に向けてフランジ部422が延設されて円形状の開口422aを形成している。
【0021】
下ケーシング410の中央には、軸孔412が設けられており、上面には、軸孔412を中心とする概略円形状の凹部413が設けられている。また、凹部413よりも一段高い位置には、軸孔412を中心とする概略十字形状の凹部414が設けられており、この凹部414の外周側には、凹部414と同じ高さで軸孔412を中心とする概略リング形状の凹部415が設けられている。なお、側壁411の外面には、径方向へ突出する係合突起411aが周方向へ所定間隔で設けられており、側壁421には、係合突起411aよりもわずかに幅広で下端から切り欠かれた係合溝421aが設けられている。この係合溝421aは、下端から鉛直上方へ形成された後に周方向へ屈曲して略L字形状となっている。
【0022】
かかる構成により、スパイラルスプリング430の中心に形成される矩形孔430aに軸部材440を圧入し、このスパイラルスプリング430を凹部413に収容させる。この際、軸部材440が凹部414の開口高さ付近まで突出するため、スライド部材450の中央に設けられた軸孔451に軸部材440を挿入しつつ、スライド部材450を凹部414に収容させる。また、図4におけるスライド部材450の手前側と奥側とには、それぞれアーム452,452が延設され、各アーム452,452の先端部位には、鉛直上方へガイドピン452a,452aが立設されている。各ガイドピン452a,452aを噛合部材460,460のガイド溝461,461に挿入させつつ、噛合部材460,460を凹部414,414に収容させる。
【0023】
そして、回転部材470の周縁部位から鉛直下方へ突設されている側壁471を凹部415に収容させ、側壁421を側壁411に対向させつつ上ケーシング420を下ケーシング410の上方から取り付ける。このとき、各係合突起411aをそれぞれに対向する係合溝421aに挿入し、上ケーシング420を下ケーシング410に対して反時計方向へ回転させると、係合突起411aが係合溝421a内に保持されるため、下ケーシング410に対する上ケーシング420の上下動が規制され、下ケーシング410の内部に収容された各部材がスプリングケース400内に保持される。
【0024】
次に、スプリングケース400に収容された各構成部材の具体的な構成と動作とを説明する。軸部材440に設けられた軸孔441は、連結ロッド500の外形よりも僅かに大きい矩形孔で構成されており、この軸孔441に断面矩形形状の連結ロッド500を挿通させている。軸部材440には、上端部位に径方向へ突出する凸部442が延設されており、スライド部材450の軸孔451には、凸部442を収容可能な切り欠き451aが周縁部位から径方向へ形成されている。また、凹部414の最大左右幅は、スライド部材450の左右幅よりも広く形成されているため、凸部442の回動により切り欠き451aが左右方向へ押圧されると、スライド部材450が切り欠き451aの移動方向へスライドする。
【0025】
また、噛合部材に設けられたガイド溝461は、左方にて軸孔412の側に近接し、右方にて軸孔412から離間するように、概略円弧状に形成されており、スライド部材450が右方へスライドすると、ガイドピン452a,452aがガイド溝461,461に沿って誘導されるため、噛合部材460,460が徐々に軸孔412の側へ引き寄せられる。なお、噛合部材460,460は、側壁411の内面との対向部位が円弧形状となっており、この対向部位には、軸孔412を中心とする周方向へギヤが設けられている。また、凹部415に収容される回転部材470に設けられた側壁421の内面にも、図5に示すように、噛合部材460,460と同様に軸孔412(軸孔472)を中心とする周方向へギヤが設けられており、互いに噛合可能となっている。
【0026】
以上の構成により、平常時、図6に示すように、切り欠き451aが凸部442により左方へ押圧されているため、スライド部材450は左方に位置しており、噛合部材460,460は、回転部材470の側壁471の内面に噛合している。従って、回転部材470に対する下ケーシング410の回転が規制され、下ケーシング410に固定されたアッパーアーム200にかかる傾斜角度の変更が禁止される。ここで、ロック解除レバー510を引き上げると、図6における連結ロッド500が時計方向へ回転するため、軸部材440も時計方向へ回転し、凸部442により切り欠き451aを右方へ押圧する。すると、スライド部材450は、図7に示すように、各噛合部材460,460を軸孔412の側へ引き寄せつつ右方へスライドする。このため、噛合部材460,460が回転部材470の側壁471内面から離間し、ロックが解除されて回転部材470に対する下ケーシング410の回転が許容され、アッパーアーム200の傾斜角度が変更可能となる。
【0027】
なお、ロック解除レバー510を引き上げ場合、軸部材440が付勢力に抗しつつスパイラルスプリング430の中心を時計方向へ巻きながら回転するため、連結ロッド500の回転に抵抗力が生じ、ロック解除レバー510を操作する利用者に抵抗感を与える。一方、利用者がロック解除レバー510を離すと、スパイラルスプリング430が自らの復元力により中心を反時計方向へ回転させて初期形状に戻ろうとするため、軸部材440も反時計方向へ押し戻される。すると、スライド部材450は、凸部442により切り欠き451aが左方へ押圧され、噛合部材460,460を回転部材470の側壁471内面に向けて押し戻しつつ左方へスライドする。従って、再び噛合部材460,460が回転部材470の側壁471内面に噛合してロックされ、回転部材470に対する下ケーシング410の回転が規制される。
【0028】
また、回転部材470に対する下ケーシング410の回転が許容されたとき、シートバックを後方へ倒してアッパーアーム200を後方へ傾斜させようとすると、凹部413の周縁部位から径方向へ形成された切り欠き413aに圧入されるスパイラルスプリング430の外側端部を図4における反時計方向へ回転させるため、スパイラルスプリング430の付勢力により、シートバックを倒そうとする利用者に抵抗感が与えられる。一方、ロックを解除した状態で、シートバックに加えていた力を取り除くと、スパイラルスプリング430が自らの復元力により、外側端部を時計方向へ回転させて初期形状に戻ろうとするため、シートバックが前方へ押し戻される。
【0029】
(3)スパイラルスプリングの説明:図8は、スパイラルスプリングの構成を平面図により示している。スパイラルスプリング430は、板面が互いに対向するように、硬度の高い帯状の鋼板を渦巻き状に成形して形成されている。また、一面側には、図9に示すように、幅方向へ互いに離間される一対の突起431,431が長さ方向へ所定間隔で形成されている。かかる構成により、内側端部の回転角度を一定に維持しつつ、外側端部を図10のように反時計方向へ移動させると、あるいは、外側端部の位置を固定しつつ、内側端部を時計方向へ移動させると、隣接する板面を互いに近接されるようにスパイラルスプリング430が巻かれていく。
【0030】
このとき、スパイラルスプリング430の各部位における板面間が均等な間隔を維持しつつ巻かれていくのが理想であるが、実際には、機体差や取付状況などに応じて板面間距離にバラツキが生じるため、いずれかの部位で対向板面が接触してしまうことがある。例えば、図10におけるAの部位における対向板面どうしが接触したとすると、図11および図12に示すように、各突起431の先端だけが概略点状に対向板面へ接触する。
【0031】
このとき、接触面積は極めて小さく、かつ、接触した突起も対向板面も共に硬度の高い材質であるため、突起431の先端を対向板面上に滑らせることができる。従って、当該スパイラルスプリング430は、接触する部位があってもスムーズに全体で巻かれ続け、バネ性能を効率良く発揮することが可能となる。これに対し、突起431を板面に設けない場合には、Aの部位において対向板面どうしが接触すると、図13に示すように、接触面積が大きくなるため、対向板面が互いに引っ掛かってしまう。すると、外側端部がさらに反時計方向へ移動しても、Aの部位よりも内側の部分はこれ以上巻かれず、Aの部位よりも外側の部分だけが巻かれ続ける。
【0032】
従って、外側端部が時計方向へ移動して当該スパイラルスプリング430の巻きが解かれる際、Aの部位の内側では、Aにて対向板面どうしが接触するまでの巻き分だけを解き戻すことになる。このため、当該スパイラルスプリング430のバネ性能を効率良く発揮することができない。以上の観点から、本実施形態にかかるスパイラルスプリング430に設けられた板面上の突起431は有用な構成となる。
【0033】
(4)スパイラルスプリングの変形例1:本実施形態では、図9に示すように、一方の板面に幅方向へ互いに離間される一対の突起431,431を長さ方向へ所定間隔で形成しているが、上述したように、対向板面が接触した場合であっても継続して巻き続けることが可能であれば良いとの観点から、かかる構成は一例にすぎない。別の形態として、図14に示すように、幅方向に一箇所だけ配置される突起431を長さ方向へ所定間隔で形成することも可能である。すると、隣接する板面が近接した場合、一つの突起431の先端だけで対向板面に接触するため、接触面積を一層少なくすることができる点で有用となる。
【0034】
また、同様の観点から、板面に突起を形成する場合に限定されず、図15に示すように、長さ方向へ筋状に延びる凸部432を形成することも可能である。すると、凸部432の頂点付近だけが対向板面と線状に接触するため、接触面積を低減させることができる。むろん、同様の観点から、図16に示すように、幅方向へ互いに離間させつつ長さ方向へ筋状に延びる凸部432を複数形成しても良い。さらに、板面に突起431や凸部432を形成する場合、鋼板の一面側だけに形成する必要はなく、両面側に形成することも可能である。両面側に形成する場合、例えば、図17に示すように、所定範囲にだけ凸部432を形成し、凸部432が形成されない平坦な部位と凸部432とを線状に接触させることで、同様に接触面積の低減を図ることができる。
【0035】
なお、図15などに示す凸部432を形成するにあたっては、図18に示すように、鋼板の下面側を凸部432を形成したい上面側に向けて押圧し、この下面側から押し退けられた肉を上面側に盛り上がらせても良い。同様の観点から、下面側の複数箇所を押圧して上面側の複数箇所を盛り上がらせることにより、図19に示すように、幅方向へ山型部と谷型部とが交互に形成された波形の板面形状とすることも可能である。また、図20に示すように、幅方向から所定角度だけ傾斜させつつ長さ方向へ波形の凹凸を形成し、山型部と谷型部とをそれぞれ接触させて接触面積の低減を図っても良い。さらに、板面にショットピーニング加工を施すことにより、隣接する板面に対して凹凸を形成し、凸形状部位だけを対向板面に接触させても良い。
【0036】
(5)スパイラルスプリングの変形例2:上述した本実施形態および変形例1では、スパイラルスプリング430を構成する鋼板の板面形状を工夫することで、バネ性能を効率良く発揮させているが、同様の目的を達成するために別の手法を採用することも可能である。例えば、図21および図22に示すように、円盤形状の樹脂材600の上面にて渦巻き状の板状リブ610を鉛直上方へ立設する。そして、図23および図24に示すように、鋼板の板面間に板状リブ610を挿入しつつ、スパイラルスプリング430を樹脂材600の上面に載置する。すると、スパイラルスプリング430が巻かれるとき、板状リブ610が押し潰されつつ板面間に挟み込まれるため、対向する板面どうしが直に接触して互いに引っ掛かることがなくなる。
【0037】
従って、スパイラルスプリング430が巻かれる際、対向板面が近接しても互いに引っ掛かることなく、スムーズに巻かれ続け、バネ性能を効率良く発揮させることが可能となる。なお、上記説明では、板面の間に樹脂材を介在させたが、スパイラルスプリング430の板面間に挟み込んだ際に変形可能な程度の弾力性を有するものであれば足りるため、樹脂材以外の素材を適宜採用することも可能である。
【0038】
(6)スパイラルスプリングの変形例3:また、スパイラルスプリングに付加機能を設けることも可能である。すなわち、板面を幅方向へずらしつつ渦巻き状に成形して形成すると、図25に示すように、中心側が外周側から徐々に一面側へ突出したタケノコ状となる。この際、スパイラルスプリング430を構成する鋼板は全体にわたって概略同等な幅を有しているため、上方へ突出した部位では、この突出した分だけ下方に空隙が生じることとなる。同図において、上方へ突出する中心側が下方へ押圧されると、各部位における鋼板が上方へ付勢力を生じつつ上記空隙に向けて変位する。このため、上方へ突出する中心部位がスライド部材450の下面に当接するように配置されると、同中心部位がスライド部材450を上方へ押圧し、スライド部材450の動作時には、スライド部材450の動きに合わせて下方へ変位可能となる。
【0039】
従って、スライド部材450のスムーズな動作を実現するために凹部414をスライド部材450の厚みよりも深く形成しても、スパイラルスプリング430の付勢力によりスライド部材450が上ケーシング420の内面に押し当てられ、がたつきが解消される。また、スライド部材450が凹部414内面との間に生じた間隙にて上下方向へ変位しながら動作する場合であっても、スパイラルスプリング430は、スライド部材450の上下動を吸収しつつスライド部材450を上方へ押圧し続けることができる。このような構成をスパイラルスプリング430に採用することにより、スライド部材450のがたつきによる異音の発生を低減させることが可能となる。
【0040】
(7)スパイラルスプリングの変形例4:さらに、上述した本実施形態では、対向板面が接触する際の接触面積を低減させるために板面形状を工夫しているが、対向板面が接触しにくくするための工夫も有用となる。その一例として、図26では、スパイラルスプリング430を偏心させつつ成形し、各部位における対向板面間の距離を不均一としている。そして、かかる構成を有するスパイラルスプリング430を図27に示すように凹部413へ装着する。
【0041】
ここで、凹部413の周壁面には突起413bが設けられており、外周側を突起413bに当接させつつスパイラルスプリング430を凹部413に装着する。すると、スパイラルスプリング430が突起413bにより外方から押圧されるため、対向板面間の距離が概略均一となり、中心が中央へ変位する。このとき、各部位における鋼板は、装着前の初期形状へ復帰する方向へ付勢力を生じつつ変位するため、巻かれる際に接触の可能性が高い部位をあらかじめ離間させるようにスパイラルスプリング430を成形しておくことで、凹部413への装着時、この接触可能性の高い板面間に対して互いに離間する方向へ付勢力を持たせることが可能となる。
【0042】
すると、図28に示すように、スパイラルスプリング430が巻かれていく際、接触可能性の高い部位が互いに離間する方向へ付勢力を有するため、この部位における板面接触が防がれる。なお、図27において、突起413bを採用しているのは、スパイラルスプリング430が巻かれる際、凹部413の周壁面との接触面積を低減させるためでもある。すなわち、スパイラルスプリング430の外面と凹部413の周壁面との接触部位に生じる摩擦力が大きくなると、その分だけスパイラルスプリング430の巻き方向に抗する力が生じ、バネ性能を十分に発揮させられないためである。
【0043】
(8)まとめ:このように、スパイラルスプリング430において、十分に高い硬度を有する鋼板の板面には、対向板面との対向部位に幅方向へ所定間隔をおいて一対の突起431,431が形成されている。このため、シートバックが後方へ倒されてスパイラルスプリング430が巻かれていくとき、対向板面どうしが接触することがあっても、対向板面間は突起431,431の頂点付近だけで点状に接触する。従って、接触面積が低減されることにより、スムーズに巻き続けることが可能となり、バネ性能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ファーストシートに設けられたフレームの構成を示す斜視図である。
【図2】 リクライニング調整機構の構成を示す断面図である。
【図3】 スプリングケースの外観を示す斜視図である。
【図4】 スプリングケースの構成部材を示す分解斜視図である。
【図5】 上ケーシングの内面構成を示す斜視図である。
【図6】 ロック時の部材配置を示す断面図である。
【図7】 ロック解除時の部材配置を示す断面図である。
【図8】 スパイラルスプリングの構成を示す平面図である。
【図9】 対向板面が接触していないときの状況を示す断面図である。
【図10】 スパイラルスプリングが巻かれたときの状況を示す平面図である。
【図11】 対向板面が接触したときの状況を示す断面図である。
【図12】 対向板面間の接触面積が小さいことを説明するための部分平面図である。
【図13】 板面に突起が設けられていないときの接触面積が大きいことを説明するための部分平面図である。
【図14】 変形例にかかる板面形状を示す断面図である。
【図15】 図14に示すスパイラルスプリングにおいて対向板面が接触した際の状況を示す断面図である。
【図16】 別の変形例にかかる板面形状を示す断面図である。
【図17】 別の変形例にかかる板面形状を示す鋼板の展開図である。
【図18】 別の変形例にかかる板面形状を示す断面図である。
【図19】 別の変形例にかかる板面形状を示す断面図である。
【図20】 別の変形例にかかる板面形状を示す鋼板の展開図である。
【図21】 対向板面間に介在させる板状リブを備えた樹脂材の構成を示す平面図である。
【図22】 図21のX−X断面を示す断面図である。
【図23】 板状リブを対向板面間に介在させた際の状況を示す平面図である。
【図24】 図23のY−Y断面を示す断面図である。
【図25】 変形例にかかる形状を有するスパイラルスプリングの構成を示す側面図である。
【図26】 別の変形例にかかる形状を有するスパイラルスプリングの構成を示す平面図である。
【図27】 図26に示すスパイラルスプリングを下ケーシングに装着した際の状況を示す平面図である。
【図28】 図27に示すスパイラルスプリングが巻かれた際の状況を示す平面図である。
【符号の説明】
430…スパイラルスプリング
430a…矩形孔
431…突起
432…凸部
600…樹脂材
610…板状リブ
Claims (1)
- 板面が互いに対向するように、硬度の高い帯状の鋼板を渦巻き状に成形して形成されるスパイラルスプリングであって、上記鋼板どうしの対向面形状を異ならせ、板面の幅方向へ互いに離間させつつ長さ方向へ2筋状で延びる、鋼板の肉を上面側に盛り上がらせた、対向板面と線状に接触する凸部を形成し、この2筋状で延びる凸部を上記鋼板の一面側において幅方向へ所定間隔に形成することを特徴とするスパイラルスプリング。
Priority Applications (1)
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