JP3680010B2 - 光ディスク装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランド・グルーブ記録方式を採るDVD−RAM等の光ディスクに対しデータの記録又は再生を行うための光ディスク装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PC等を始めとする情報機器の急速な普及に伴い、大容量の情報記録メディアに対する需要が増加している。情報記録密度の向上を図った大容量記憶媒体の一つに、光ディスク表面にスパイラル状に形成されるランド/グルーブの各々を記録トラックとしたランド・グルーブ記録方式のDVD−RAMがある。
【0003】
例えば、シングルスパイラルフォーマットのDVD−RAMは、ディスク一周毎に、ランドトラックとグルーブトラックとが交互に入れ替わり、ディスク内周から外周に向けて一本のトラックで形成されている。また、DVD−RAMは、ランドトラックとグルーブトラックが複数のセクタに分割されており、各セクタの先頭に、アドレス情報を持つCAPA(Complementary Allocated Pit Address)と呼ばれるピットで形成されたヘッダ領域が、トラック列方向におけるランドトラックとグルーブトラックの境界部分に千鳥状に設けられている。
【0004】
このような、DVD−RAMでは、ディスク上のリライタブルデータゾーンであるランドトラック又はグルーブトラックで再生を行う場合、光ビームのビームスポットとトラックの中心との相対的な位置誤差を示すプッシュプルトラッキングエラー信号(以下「PPTE信号」と称する)を用いてトラッキングサーボを施すのが一般的である。ここで、PPTE信号は、理想的には残留位置誤差だけが出力されることが望ましいが、実際のPPTE信号には、残留位置誤差以外に光ピックアップ本体と対物レンズとの相対的な位置ズレに対応するレンズシフト外乱も混入している。
【0005】
そこで、このレンズシフト外乱を補正するために、光ビームのビームスポットとCAPAとの相対的な位置誤差を示すCAPAバランスエラー信号を生成し、このCAPAバランスエラー信号とPPTE信号とを用いてトラッキングサーボを行う方法もMatsushita Technical Journal Vol.45 No.6 Dec.1999“DVD−ROMドライブにおけるDVD−RAM再生技術”で提案されている。
【0006】
図12は、上記CAPAバランスエラー信号とPPTE信号とを用いてトラッキングサーボを行うDVD−RAMを再生可能な光ディスク装置の概略的な機能ブロック図である。
【0007】
同図に示すように、この光ディスク装置には、主に、DVD−RAMを駆動するディスクモータ101と、ディスクモータ駆動アンプ102と、ピックアップに搭載され、レーザ照射部、光検出部及び光電変換部を備えた光学系103並びにアクチュエータ駆動アンプ104により駆動されコイルや永久磁石等を備えたトラックアクチュエータ105と、ピックアップが備える対物レンズの移動距離がトラックアクチュエータ104の可動範囲より大きい場合にピックアップ本体を移動させるフィードモータ106と、このフィードモータ106を駆動するフィードモータ駆動アンプ107と、フィードモータ106の駆動制御を安定に行うフィードイコライザ108と、フィードモータ106の駆動力をピックアップに伝達するためのギア類等からなるフィードメカニズム109と、トラッキングエラー信号TEの位相進み保証を行いトラッキングサーボの安定化を図るトラックサーボイコライザ110と、4分割フォトディテクタ等の光検出器によるトラック列方向の受光量の違いを検出して、PPTE信号を生成するPPTE信号生成器111と、ヘッダ領域(CAPA)において、ディスクの接線方向の前段、後段に千鳥状に配置された個々のヘッダからの反射光を上記光検出器によりそれぞれ検出しCAPAバランスエラー信号を生成するCAPAバランスエラー信号生成器112と、CAPAバランスエラー信号生成器112によって生成されたCAPAバランスエラー信号の高域成分をカットするローパスフィルタ114と、ディスクモータ101の駆動制御や、切替スイッチ113、117を介してのトラッキングサーボのON/OFFの切替制御を行う主制御部115等が設けられている。
【0008】
したがって、上記光ディスク装置では、PPTE信号と高域成分をカットしたCAPAバランスエラー信号とを重畳した信号に基づいて、光ビームのビームスポットをグルーブトラック又はランドトラックの中央に追従させるトラッキング制御が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなDVD−RAMを再生可能な従来の光ディスク装置は、トラッキングサーボがONの状態でビームスポットによりトラックが捕捉(追従)されている状態では、ディスクの接線方向の前段、後段の千鳥配置されたヘッダが、ビームスポットによって各々トレースされることから正しくCAPAバランスエラー信号が得られることになる。
【0010】
しかしながら、トラッキングサーボがONの状態であっても、トラックジャンプ終了段階等においてのビームスポットによりトラックが捕捉されていない状態、すなわちビームスポットがトラック列を高速に横断している状態等では、ビームスポットが上記前段、後段の各ヘッダをディスクの接線方向にトレースできず、正しいCAPAバランスエラー信号を得ることができない。このため、このようなトラックが捕捉されていない状態で、PPTE信号に重畳されるCAPAバランスエラー信号は、トラッキング制御を行う上でかえって誤った情報を与えてしまうという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、トラッキングサーボを行う際の複数の基準の誤差信号を選択的に用いることで、安定したトラッキング制御を実現する光ディスク装置及びその制御方法を提供するものである。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置は、ランド・グルーブ記録方式の光ディスクに対しデータの記録又は再生を行う光ディスク装置であって、光学ヘッドから前記光ディスク上へ照射される光ビームのビームスポットと前記光ディスク上のランドトラック及びグルーブトラックとの相対変位に対応するトラッキングエラー信号を生成する第1の信号生成手段と、前記光ディスク上のヘッダ領域における、前記ランドトラック又はグルーブトラックのセンタからの延長線上の位置と前記ビームスポットとの相対変位に対応するヘッダバランスエラー信号を生成するヘッダバランスエラー信号生成手段と、前記ヘッダバランスエラー信号生成手段により生成された前記ヘッダバランスエラー信号から高域成分を除去して得た信号と、前記第1の信号生成手段によって生成された前記トラッキングエラー信号から低域成分を除去して得た信号とを、合成した合成トラッキングエラー信号を生成する第2の信号生成手段と、前記第1又は第2の信号生成手段によって生成された前記トラッキングエラー信号又は前記合成トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行うトラックサーボ手段と、前記トラックサーボ手段により行われる前記トラッキングサーボによって、前記ビームスポットが前記光ディスク上の前記ランドトラック又は前記グルーブトラックに対しオントラック状態であるか否かを検知する検知手段と、前記検知手段により前記オントラック状態であることが検知された場合、前記第2の信号生成手段により生成された前記合成トラッキングエラー信号を選択して前記トラックサーボ手段に供給し、前記検知手段によりオフトラック状態であることが検知された場合、前記第1の信号生成手段により生成された前記トラッキングエラー信号を選択して前記トラックサーボ手段に供給する手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光ディスク装置の制御方法は、ランド・グルーブ記録方式の光ディスクに対しデータの記録又は再生を行うための光ディスク装置の制御方法であって、光学ヘッドから前記光ディスク上へ照射された光ビームのビームスポットと前記光ディスク上のランドトラック及びグルーブトラックとの相対変位に対応するトラッキングエラー信号を生成する第1の信号生成工程と、前記光ディスク上のヘッダ領域における、前記ランドトラック又はグルーブトラックのセンタからの延長線上の位置と前記ビームスポットとの相対変位に対応するヘッダバランスエラー信号を生成するヘッダバランスエラー信号生成工程と、前記ヘッダバランスエラー信号生成工程で生成された前記ヘッダバランスエラー信号から高域成分を除去して得た信号と、前記第1の信号生成工程で生成された前記トラッキングエラー信号から低域成分を除去して得た信号とを、合成した合成トラッキングエラー信号を生成する第2の信号生成工程と、前記第1の信号生成工程で生成された前記トラッキングエラー信号、及び前記第2の信号生成工程で生成された前記合成トラッキングエラー信号のうちのいずれか一方の信号を選択しこの選択した信号に基づいて、トラッキングサーボを行うトラッキングサーボ工程とを有し、前記トラッキングサーボ工程は、前記ビームスポットが前記光ディスク上の前記ランドトラック又は前記グルーブトラックに対しオントラック状態であるか否かを検知する検知工程と、前記検知工程で前記オントラック状態であることが検知された場合、前記第2の信号生成工程で、低域成分の除去により交流成分が抽出され且つヘッダバランスエラー信号が重畳されて得られた前記合成トラッキングエラー信号を選択し、一方、前記検知工程でオフトラック状態であることが検知された場合、前記第1の信号生成工程で、前記ヘッダバランスエラー信号を重畳することなく且つ低域成分を除去せずに生成された前記トラッキングエラー信号を選択する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
このように、本発明は、光学ヘッドから照射される光ビームのビームスポットによりランドトラック又はグルーブトラックが追従(捕捉)されている場合には、例えばトラッキングエラー信号とヘッダ(CAPA)バランスエラー信号とを重畳した合成トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行い、一方、ビームスポットによりトラックが追従されていない場合、つまりトラック列をビームスポットが横断している場合等には、ヘッダバランスエラー信号を用いずに例えばトラッキングエラー信号のみに基づいてトラッキングサーボを行うことを可能にしたものである。
【0017】
したがって、本発明によれば、光学ヘッドから照射される光ビームのビームスポットによりトラックが捕捉されている場合には、トラッキングエラー信号に加え、ビームスポットとヘッダとの相対的な位置誤差を示すヘッダバランスエラー信号を基準とした高精度なトラッキング制御を行えるとともに、トラックが捕捉されていない場合、つまりトラック列をビームスポットが横断している場合等には、トラッキング制御の基準信号として誤った情報を与えてしまう可能性のあるヘッダバランスエラー信号を用いずに、ビームスポットのトラック列横断時等においても正しい位置誤差情報が得られるトラッキングエラー信号のみを基準信号とした安定したトラッキング制御を実現することができる。
【0018】
また、本発明は、ビームスポットによりトラックが捕捉されている場合には、ヘッダバランスエラー信号と例えば低域成分をカットしたトラッキングエラー信号とを重畳した合成トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング制御を行うことが可能である。
したがって、本発明によれば、トラック追従時、比較的高い周波数で検出されるトラッキングエラー信号と、ヘッダが個々のセクタの先頭にあることから比較的低い周波数で検出されるヘッダバランスエラー信号とを各々確実に抽出することができ、これにより安定したトラッキング制御を実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0020】
同図に示すように、この光ディスク装置は、DVD−RAM等の光ディスクを記録/再生可能な光ディスク装置であって、主に、ディスクを駆動するディスクモータ1と、ディスクモータ駆動アンプ2と、光学ヘッドであるピックアップに搭載され、レーザ照射部、光検出部及び光電変換部を備えた光学系3並びにアクチュエータ駆動アンプ4により駆動されコイルや永久磁石等を備えたトラックアクチュエータ5と、ピックアップが備える対物レンズの移動距離がトラックアクチュエータ5の可動範囲より大きい場合にピックアップ本体を移動させるフィードモータ6と、このフィードモータ6を駆動するフィードモータ駆動アンプ7と、フィードモータ6の駆動制御を安定に行うフィードイコライザ8と、フィードモータ6の駆動力をピックアップに伝達するためのギア類等からなるフィードメカニズム9と、PPTE信号又は合成トラッキングエラー信号GTEの位相進み保証を行うとともにトラックサーボループに必要な周波数特性をこれらの信号に付加しトラッキングサーボの安定化を図るトラックサーボイコライザ10とを備えている。
【0021】
さらに、この光ディスク装置は、光検出器によりランド又はグルーブトラックのトラック列方向の受光量の違いを検出して、PPTE信号(プッシュプルトラッキングエラー信号)を生成するPPTE信号生成器11と、PPTE信号生成器11によって生成されたPPTE信号の低周波成分をカットするハイパスフィルタ12と、ランドトラックとグルーブトラックとのトラック列方向の中央の前段、後段に千鳥状に配置されたCAPAからの反射光を光検出器により検出しCAPA(ヘッダ)バランスエラー信号CBEを生成するCAPAバランスエラー信号生成器13と、CAPAバランスエラー信号生成器13によって生成されたCAPAバランスエラー信号CBEの高周波成分をカットするローパスフィルタ14と、ピックアップから光ディスク上に照射される光ビームのビームスポットによりランドトラック又はグルーブトラックが捕捉(キャプチャ)されているか否かを検知するトラック捕捉検知器15と、ディスクモータ1の駆動制御や、切替スイッチ16、17を介してのトラッキングサーボのON/OFFの切替制御を行うとともに、トラック捕捉検知器15及び切替スイッチ18、19を介しPPTE信号及びCAPAバランスエラー信号を重畳した合成トラッキングエラー信号とPPTE信号とのいずれかを選択する主制御部20とを備えている。
【0022】
ここで、本実施形態の光ディスク装置によって再生される光ディスク(DVD−RAM)について詳述する。
図2ないし図5に示すように、本実施形態の光ディスクは、ランド・グルーブ記録方式を採用した、例えばシングルスパイラルフォーマットのDVD−RAMであって、ディスク一周毎に、ランドトラック21とグルーブトラック22とが交互に入れ替わり、ピックアップから照射されたレーザ光のビームスポット23にトレースされるディスク内周から外周に向けて一本のトラックで形成されている。
【0023】
また、このディスクは、複数のセクタ24に分割されたかたちでプリフォーマットされており、各セクタ24が、上記ランドトラック21又はグルーブトラック22を有する記録領域(Recording field)25と、ヘッダ領域(Header field)26と、ミラー領域(Mirror field)27とで形成されている。各セクタ24の先頭に設けられたヘッダ領域26には、エンボスピット28として予め形成されたアドレス情報を持つCAPA29が、ランドトラック21とグルーブトラック22とのトラック列方向における境界部分に千鳥状に配置されている。
【0024】
千鳥状に配置されたCAPA29は、ランド/グルーブトラックの切り替わり点とトラックの途中とでは、トラック列方向に対して異なる位置に配置されており(図4、図5参照)、ディスク回転方向における前段にあるヘッダ(Header1 field)26a、(Header2 field)26bと、後段にあるヘッダ(Header3 field)26c、ヘッダ(Header4 field)26dとで構成されている。また、このヘッダ26c、26dのさらに後段に、ミラー領域27が設けられている。このミラー領域27は、PPTE信号等のオフセット補正、ランドトラック21とグルーブトラック22とが切り替わったことを示すタイミング信号に利用される。また、記録領域25には、ウォブルと呼ばれる微小なうねりが所定の周波数で形成されており、このウォブル30を検出することによって得た周波数信号に基づいて、リードチャネルPLLの引込みを行うことが可能とされている。
【0025】
ここで、本実施形態の光ディスク装置についてさらに詳述する。
上記トラック捕捉検知器15は、PPTE信号を入力して、ビームスポット23によりランドトラック21又はグルーブトラック22が捕捉(追従)されているか否かを判定してその結果を主制御部13へ出力するものである。このトラック捕捉検知器15としては次のようなものが例示される。
例えば、PPTE信号のプラス側とマイナス側にそれぞれ閾値(例えば最大値の1/2)を予め設定しておき、PPTE信号の電圧値が、上記の2つの閾値によって3分割されたエリアのうちの一つのエリアに一定時間以上留まっていないという条件を満した場合に、ビームスポット23がトラックを捕捉した状態であると判断するようにしてトラック捕捉検知器15を構成する。
【0026】
また、図6に示すように、PPTE信号生成器11は、光学系13を構成する光検出器としての例えば4分割フォトディテクタ31やアナログ演算回路32等によって主に構成される。4分割フォトディテクタ31は、ディスク上のトラック接線方向とトラック列方向とのそれぞれに2分割された4つの分割受光部A、B、C、Dを有する。アナログ演算回路32は、分割受光部A、B、C、Dからの各出力信号(各出力信号をA、B、C、Dとする)をPPTE=(A+B)−(C+D)なる演算式で演算しPPTE信号を生成する。
【0027】
すなわち、アナログ演算回路32には、4分割フォトディテクタ31の出力信号(電流信号)を電圧信号に変換するための電流−電圧変換器33〜36と上記演算を行うPPTE信号演算部37が設けられている。これにより、PPTE信号生成器11は、図7に示すように、光ビームのビームスポット23とランドトラック21又はグルーブトラック22の中心との相対的な位置誤差を示すPPTE信号を出力する。ここで、光ビームのビームスポット23により、トラックが追従されている場合において、切替スイッチ19を利用し比較的高い周波数で検出されるPPTE信号を確実に抽出できるように、上述したハイパスフィルタ12は、生成され得るPPTE信号に基づいて除去すべき周波数成分の帯域が予め設定されている。
【0028】
また、CAPAバランスエラー信号生成器13は、図8、図9に示すように、上述した4分割フォトディテクタ31と、分割受光部A、B、C、Dからの各出力信号(各出力信号をA、B、C、Dとする)を演算式(A+B)−(C+D)により演算し信号を出力するアナログ演算回路38と、アナログ演算回路38から出力される信号CEの低域成分のみを有効に出力するローパスフィルタ39と、ローパスフィルタ39から出力される信号RPCEのピーク値αとボトム値βを所定のタイミングで保持するピークホールド回路40及びボトムホールド回路41と、ピークホールド回路40及びボトムホールド回路41にそれぞれ保持されたピーク値αとボトム値βとを加算してCAPAバランスエラー信号CBEとして出力するアナログ演算回路42とによって主に構成される。
【0029】
すなわち、CAPAバランスエラー信号生成器13では、図9に示すように、ヘッダ領域26の前段にあるヘッダ26a、26b上と、後段にあるヘッダ26c、ヘッダ26d上とを、光ビームのビームスポット23がディスクの接線方向に通過する際の分割受光部A、B及び分割受光部C、Dの受光量をそれぞれ検出することで、CAPA29上におけるトラックセンタ43の延長線上の位置と、光ビームのビームスポット23のセンタ44との相対的な位置誤差を示すCAPAバランスエラー信号CBEが得られる。
【0030】
ここで、光ビームのビームスポット23により、トラックが追従されている場合において、CAPA29が個々のセクタ24の先頭にあることから比較的低い周波数で検出されるCAPAバランスエラー信号CBEを確実に抽出できるように、上述したローパスフィルタ14は、生成され得るCAPAバランスエラー信号CBEに基づいて除去すべき周波数成分の帯域が予め設定されている。
【0031】
次に、上述した主制御部20について詳述する。
主制御部20は、図1及び図10に示すように、切替スイッチ16、17を介してトラッキンサーボがONにされているものの、ビームスポットによりランドトラック21又はグルーブトラック22が、捕捉(追従)されていないことがトラック捕捉検知器15によって検知された場合、つまりトラック列をビームスポット23が高速に横断している場合には、CAPAバランスエラー信号CBEを用いずにPPTE信号のみに基づいてトラッキングサーボが行われるように切替スイッチ18を制御(OFF)する。またこの際、主制御部20は、PPTE信号がハイパスフィルタ12を介して出力されないように切替スイッチ19を制御(OFF)する。
【0032】
また、主制御部20は、図1及び図11に示すように、光ビームのビームスポット23によりランドトラック21又はグルーブトラック22が追従(捕捉)されていることがトラック捕捉検知器15によって検知された場合には、PPTE信号とCAPAバランスエラー信号CBEとを重畳した合成トラッキングエラー信号GTEに基づいてトラッキングサーボが行われるように、切替スイッチ18を制御(ON)する。またこの際、主制御部20は、このトラック追従時において比較的高い周波数で検出されるPPTE信号が確実に抽出されるように、切替スイッチ19をONにしてPPTE信号をハイパスフィルタ12を介して出力させる。
【0033】
ここで、トラッキングサーボを行う際の基準信号となるPPTE信号と合成トラッキングエラー信号GTEとの主制御部20による切り替え制御は次のような現象を回避するために行われる。
すなわち、ビームスポット23によりトラックが捕捉(追従)されている状態では、ディスクの接線方向の前段のヘッダ26a、26bと、後段のヘッダ26c、26dとが、ビームスポット23によって各々トレースされることから正しくCAPAバランスエラー信号が得られる。しかしながら、ビームスポット23によりトラックが捕捉されていない状態、すなわちビームスポット23がトラック列を高速に横断している状態等では、ビームスポット23が前段のヘッダ26a、26bと、後段のヘッダ26c、26dとのそれぞれをディスクの接線方向にトレースできず、正しいCAPAバランスエラー信号を得ることができない。
【0034】
したがって、本実施形態の光ディスク装置では、例えばトラックジャンプの終了段階等において、光学ヘッドから照射される光ビームのビームスポット23によりランドトラック21又はグルーブトラックが捕捉されていない場合、つまりトラック列をビームスポットが横断している場合には、トラッキング制御の基準信号として誤った情報を与えてしまう可能性のあるビームスポット23とCAPA29とから得られるCAPAバランスエラー信号を用いずに、PPTE信号のみをトラックサーボを行う際の基準信号とし、また、トラックが捕捉されている場合には、PPTE信号に加え、CAPAバランスエラー信号CBEを用いて、レンズシフト外乱等が補正された安定したトラッキング制御を実現することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る光ディスク装置によれば、トラック追従時、比較的高い周波数で検出されるPPTE信号と、ヘッダが個々のセクタの先頭にあることから比較的低い周波数で検出されるCAPAバランスエラー信号とを各々確実に抽出することができ、これにより安定したトラッキング制御を実現することができる。
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は前記実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態で説明した光ディスクに物理フォーマットが類似するDVD−RAMリ−ドを再生可能なディスク再生装置に本発明を適用してもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学ヘッドから照射される光ビームのビームスポットによりトラックが捕捉されている場合には、トラッキングエラー信号に加え、ビームスポットとヘッダとの相対的な位置誤差を示すヘッダバランスエラー信号を用いた高精度なトラッキング制御を行えるとともに、トラックが捕捉されていない場合、つまりトラック列をビームスポットが横断している場合等には、トラッキング制御の基準信号として誤った情報を与えてしまう可能性のあるヘッダバランスエラー信号を用いずに、ビームスポットのトラック列横断時等においても正しい位置誤差情報が得られるトラッキングエラー信号のみを利用し安定したトラッキング制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図2】図1の光ディスク装置で再生される光ディスク(DVD−RAM)の物理フォーマットを示す図である。
【図3】図2の光ディスクの物理フォーマットの一部を詳細に示す図である。
【図4】図2の光ディスクの物理フォーマットにおいて、ランドグルーブの切り替わり点におけるヘッダ部のレイアウトを示す図である。
【図5】図2の光ディスクの物理フォーマットにおいて、一方のトラックの途中にあるヘッダ部のレイアウトを示す図である。
【図6】図1の光ディスク装置が備えるPPTE信号生成器を示す機能ブロック図である。
【図7】図6のPPTE信号生成器によって生成されるPPTE信号を示す機能ブロック図である。
【図8】図1の光ディスク装置が備えるCAPAバランスエラー信号生成器を示す機能ブロック図である。
【図9】図8のCAPAバランスエラー信号生成器によって生成されるCAPAバランスエラー信号を示す図である。
【図10】図1の機能ブロック図においてトラック非捕捉時の切替制御を説明するための図である。
【図11】図1の機能ブロック図においてトラック捕捉時の切替制御を説明するための図である。
【図12】DVD−RAMを再生可能な従来の光ディスク装置を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
3…光学系、5…トラックアクチュエータ、11…PPTE信号生成器、12…ハイパスフィルタ、13…CAPAバランスエラー信号生成器、14…ローパスフィルタ、15…トラック捕捉検知器、16、17、18、19…切替スイッチ、20…主制御部、21…ランドトラック、22…グルーブトラック、23…レーザ光のビームスポット、24…セクタ、25…記録領域(Recording field)25、26…ヘッダ領域(Header field)、29…CAPA(Complementary Allocated Pit Address)、26a、26b、26c、26d…ヘッダ、31…4分割フォトディテクタ、40…ピークホールド回路、41…ボトムホールド回路。
Claims (2)
- ランド・グルーブ記録方式の光ディスクに対しデータの記録又は再生を行う光ディスク装置であって、
光学ヘッドから前記光ディスク上へ照射される光ビームのビームスポットと前記光ディスク上のランドトラック及びグルーブトラックとの相対変位に対応するトラッキングエラー信号を生成する第1の信号生成手段と、
前記光ディスク上のヘッダ領域における、前記ランドトラック又はグルーブトラックのセンタからの延長線上の位置と前記ビームスポットとの相対変位に対応するヘッダバランスエラー信号を生成するヘッダバランスエラー信号生成手段と、
前記ヘッダバランスエラー信号生成手段により生成された前記ヘッダバランスエラー信号から高域成分を除去して得た信号と、前記第1の信号生成手段によって生成された前記トラッキングエラー信号から低域成分を除去して得た信号とを、合成した合成トラッキングエラー信号を生成する第2の信号生成手段と、
前記第1又は第2の信号生成手段によって生成された前記トラッキングエラー信号又は前記合成トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行うトラックサーボ手段と、
前記トラックサーボ手段により行われる前記トラッキングサーボによって、前記ビームスポットが前記光ディスク上の前記ランドトラック又は前記グルーブトラックに対しオントラック状態であるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記オントラック状態であることが検知された場合、前記第2の信号生成手段により生成された前記合成トラッキングエラー信号を選択して前記トラックサーボ手段に供給し、前記検知手段によりオフトラック状態であることが検知された場合、前記第1の信号生成手段により生成された前記トラッキングエラー信号を選択して前記トラックサーボ手段に供給する手段と
を具備することを特徴とする光ディスク装置。 - ランド・グルーブ記録方式の光ディスクに対しデータの記録又は再生を行うための光ディスク装置の制御方法であって、
光学ヘッドから前記光ディスク上へ照射された光ビームのビームスポットと前記光ディスク上のランドトラック及びグルーブトラックとの相対変位に対応するトラッキングエラー信号を生成する第1の信号生成工程と、
前記光ディスク上のヘッダ領域における、前記ランドトラック又はグルーブトラックのセンタからの延長線上の位置と前記ビームスポットとの相対変位に対応するヘッダバランスエラー信号を生成するヘッダバランスエラー信号生成工程と、
前記ヘッダバランスエラー信号生成工程で生成された前記ヘッダバランスエラー信号から高域成分を除去して得た信号と、前記第1の信号生成工程で生成された前記トラッキングエラー信号から低域成分を除去して得た信号とを、合成した合成トラッキングエラー信号を生成する第2の信号生成工程と、
前記第1の信号生成工程で生成された前記トラッキングエラー信号、及び前記第2の信号生成工程で生成された前記合成トラッキングエラー信号のうちのいずれか一方の信号を選択しこの選択した信号に基づいて、トラッキングサーボを行うトラッキングサーボ工程とを有し、
前記トラッキングサーボ工程は、
前記ビームスポットが前記光ディスク上の前記ランドトラック又は前記グルーブトラックに対しオントラック状態であるか否かを検知する検知工程と、
前記検知工程で前記オントラック状態であることが検知された場合、前記第2の信号生成工程で、低域成分の除去により交流成分が抽出され且つヘッダバランスエラー信号が重畳されて得られた前記合成トラッキングエラー信号を選択し、一方、前記検知工程でオフトラック状態であることが検知された場合、前記第1の信号生成工程で、前記ヘッダバランスエラー信号を重畳することなく且つ低域成分を除去せずに生成された前記トラッキングエラー信号を選択する工程と
を含むことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001230435A JP3680010B2 (ja) | 2001-07-30 | 2001-07-30 | 光ディスク装置及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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