JP3679528B2 - 汚水処理設備における微細物の除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水処理設備における微細物の除去装置に関し、特に、各家庭の風呂や厨房等からの排水中に含まれる毛髪や糸くず等の微細物(以下、単に、「微細物」という場合がある。)を含む汚水を、活性汚泥法や生物膜法などの生物処理を行って浄化を行う汚水処理設備(下水処理場、コミュニティプラント、合併浄化槽など)において、生物処理にて分解できない毛髪等の微細物を流入汚水から予め除去して処理するようにした汚水処理設備における微細物の除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生物処理を行う汚水処理設備においては、汚水中の夾雑物を前処理するための設備として、バースクリーンや自動除じん機などが設けられている。これにより排水汚水中の固形物である夾雑物と汚水とを分離し、汚水は生物処理にて、また、固形物は汚水とは個別的に処理するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般のスクリーンは、微細なものでも2mm度の目幅があり、汚水がスクリーン面に対し、90度に近い角度で流入する。このため、汚水中に含まれる毛髪や糸くず等の微細物、特に、直径1mm以下の毛髪は、その大半がスクリーンを通過してしまい、ほとんど除去することができない。
このため、除去されなかった微細物が、処理工程の後段のポンプや濾材の目詰まりの原因となっている。また、この微細物が余剰汚泥とともに引き抜かれ、コンポスト等への有効利用を目的とした乾燥ケーキに混入し、再利用の障害になるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記従来の生物処理を行う汚水処理設備の有する問題点を解決し、家庭排水中に含まれる毛髪や糸くず等の微細物を確実に除去することができる汚水処理設備における微細物の除去装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置は、汚水処理設備に配設したマス内を仕切板で仕切り、1つのマスを微細物除去マスとし、該微細物除去マスの上部に水平又は緩やかな傾斜を有する微細目スクリーンと、該微細目スクリーンの下方に、微細目スクリーンに対して緩やかな傾斜を有する水流ガイド板を配設し、前記仕切板を越流した汚水がスクリーンの基端側からスクリーン面上に流入する際、汚水が薄層流となり、スクリーン面に水膜が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0006】
この場合において、水流ガイド板を、その基端が微細目スクリーンの下面に接するように、かつ、微細目スクリーンに対して5〜15度の傾斜角を有するように配設することが望ましい。
【0007】
本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置は、微細物除去マスの上部に配設した水平又は緩やかな傾斜を有する微細目スクリーンの下方に、微細目スクリーンに対して緩やかな傾斜を有する水流ガイド板を設けたことにより、仕切板を越流した汚水がスクリーンの基端側からスクリーン面上に流入する際、汚水が薄層流となり、スクリーン面に水膜が形成されて、汚水中に混入している微細物がスクリーン面で捕捉しやすくなり、しかも、この微細物はスクリーン面で水流ガイド板の緩やかな傾斜により、薄層流に乗ってスクリーンの先端へと流下して確実に除去して排出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置の実施の形態を図示の実施例に基づいて説明する。
【0009】
図3は、一般に小規模汚水処理設備に採用されている活性汚泥による汚水処理設備の汚水処理フローを示したものである。
この活性汚泥による汚水処理設備においては、汚水は流入管30から汚水ポンプ槽20へ流入した後、ポンプPにより流量調整槽21へと送水31される。そして、この流量調整槽21からポンプPで揚水された汚水32は、順次曝気槽22、沈殿槽23、消毒槽24を経て放流35される。また、沈殿槽23に沈降した汚泥は、ポンプPにより引き抜かれて、その一部は返送汚泥36として曝気槽22に戻される。返送汚泥ライン37からは一部が余剰汚泥37として汚泥濃縮槽25へと投入され、汚泥貯留槽26に一時貯留された後、系外に排出される。なお、この活性汚泥による汚水処理フローは、小規模汚水処理設備の代表的なものであり、下水処理場の規模や処理方式により異なることがある。
【0010】
ところで、本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置は、例えば、上記活性汚泥による汚水処理設備において、流量調整槽21と曝気槽22の間に設ける計量マス1に適用されるもので、図1は、本発明の計量マス1の平面図を示す。
【0011】
この計量マス1は、図1に示すように、内部を仕切板5にて複数のマスa,b,c,d,e,fに分割するとともに、計量マス1には、流入配管2、戻り配管3及び送水配管4が接続される。
すなわち、流入マスaには流入配管2を、戻りマスeには戻り配管3を、送水マスfには送水配管4をそれぞれ接続する。
そして、流入マスaに隣接して微細物除去マスbを配置し、この微細物除去マスbの他端側に貯留マスcを隣接配置する。
流入マスaと貯留マスcに挟まれるようにして配設される微細物除去マスbの他側面には排水マスdを配設し、排水マスdの両側には戻りマスeと送水マスfとを配置する。
【0012】
この微細物除去マスbには、図2に示すように、その上部を全面に亘って覆うようにして、幅2mm程度の微細目スクリーン11を、水平又はゆるやかに傾斜して配設し、この微細目スクリーン11の下方に、その基端、すなわち、汚水の流入側が微細目スクリーンの下面に接するように、かつ、微細目スクリーンに対して5〜15度の傾斜角を有するように水流ガイド板12を配設する。
【0013】
水流ガイド板12の下端側は開放されており、水流ガイド板12の端部から微細物除去マスb内へ汚水が落下するように構成されている。
なお、微細目スクリーンの傾斜角や、微細目スクリーンと水流ガイド板とのなす角度は、流入する汚水の水量や微細物の混入量を考慮して、任意に設定することができる。
【0014】
そして、流入マスa内に流入した汚水は、この流入マスaの上端面から微細目スクリーン11面上にオーバーフローして微細物除去マスb内に供給され、微細物スクリーン11にて微細物が除去された後の汚水を、微細物除去マスbから隣接の排水マスdへ流出させるようにする。
この場合、微細物除去マスbと排水マスdとの間の仕切板に潜り堰を設けるか、バッフルプレートを設けることができる。
【0015】
また、排水マスdと戻りマスeとの間には、四角堰等の流量調整板13を、また、排水マスdと送水マスfとの間には三角堰14をそれぞれ配設し、これにより、排水マスdから戻りマスe及び送水マスfへ微細物を除去した汚水をオーバーフローによって分水、流出するようにし、送水マスfからは任意の水量の汚水Dが送水配管4から後段の反応槽へと送水され、戻りマスeからは任意の水量が戻り配管3を経て流入配管2又はそれより上流側の汚水ポンプ槽20等へ戻すようにして流入汚水量が少ない場合、設定処理水量を確保するようにする。
【0016】
ところで、上記実施例は、本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置を、図3に示す活性汚泥による汚水処理フローの内、流量調整槽21から曝気槽22の間に設けられる計量マスに適用したものであるが、流入マスa、微細物除去マスb及び貯留マスcの3室から構成される微細物の除去装置を、別の部分、例えば、汚水ポンプ槽20と流量調整槽21の間に除じん装置と組み合わせて設置したり、曝気槽22と沈殿槽23の間に設けることも可能である。
【0017】
なお、この微細物の除去装置を曝気槽22と沈殿槽23の間に設ける場合には、流入マスaを除いて微細物除去マスbと貯留マスcからなる微細物の除去装置を曝気槽22の越流部に直接配置することも可能である。
また、汚泥の返送ラインに設けて、返送汚泥中の微細物を除去するために利用することもできる。
【0018】
次に、本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置の作用について説明する。
図2に示すように、流入配管2から流入マスaに流入した汚水は、流入マスaの上部から微細目スクリーン11の基端側にオーバーフローし、水流ガイド板12に沿って流れる。
この時、微細目スクリーン11の幅は、流量に応じて設計されているため、汚水は、水流ガイド板12上を薄層流の状態で流れる。
このため、微細目スクリーン11面に対して、汚水が水流ガイド板12の設置した角度の15度以下の緩やかな角度で浸入するとともに、スクリーン11面には一種の水膜が形成されることから、汚水中に含まれる微細物がスクリーン11に捕捉され易い状態となる。
このようにして、捕捉された微細物は微細目スクリーン11のゆるやかな傾斜によって、薄層流に乗って少しずつ下端へと運ばれる。
【0019】
なお、微細目スクリーン11の傾斜が大きいほど、微細物の貯留マスcへの移送は容易であるが、これにより、通常、貯留マスcに流入する汚水の流速が大きくなり、汚水中に含まれる微細物がスクリーン11に捕捉されにくくなるので、微細目スクリーン11はできるだけ水平に近づけて配設することが望ましい。
このため、必要に応じて、微細目スクリーン11により捕捉された微細物を、手動又は機械的に掻き寄せ、貯留マスcに落下させるようにすることもできる。
また、微細目スクリーン11で除去した微細物に含まれる水量が多い場合は、貯留マスcの底部をスノコ状として微細物と共に流入した汚水の水切りを行うこともできる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置によれば、微細物除去マスの上部に配設した水平又は緩やかな傾斜を有する微細目スクリーンの下方に、微細目スクリーンに対して緩やかな傾斜を有する水流ガイド板を設けたことにより、仕切板を越流した汚水がスクリーンの基端側からスクリーン面上に流入する際、汚水が薄層流となり、スクリーン面に水膜が形成されて、汚水中に混入している微細物がスクリーン面で捕捉しやすくなり、しかも、この微細物はスクリーン面で水流ガイド板の緩やかな傾斜により、薄層流に乗ってスクリーンの先端へと流下して確実に除去して排出することができる。
これにより、汚水中の毛髪等の微細物をほぼ完全に除去することができ、微細物が処理工程の後段のポンプや濾材の目詰まりを起こすことを防止できるとともに、微細物が余剰汚泥とともに引き抜かれ、コンポスト等への有効利用を目的とした乾燥ケーキに混入することを防止でき、再利用に適した脱水ケーキを得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の汚水処理設備における微細物の除去装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】 同正面縦断面図である。
【図3】 本発明の適用例を示す活性汚泥による汚水処理設備の汚水処理フロー図である。
【符号の説明】
1 計量マス
2 流入配管
3 戻り配管
4 送水配管
5 仕切板
11 スクリーン
12 水流ガイド板
13 流量調整板
14 三角堰
20 汚水ポンプ槽
21 流量調整槽
22 曝気槽
23 沈殿槽
24 消毒槽
25 汚泥濃縮槽
26 汚泥貯留槽
a 流入マス
b 微細物除去マス
c 貯留マス
d 排水マス
e 戻りマス
f 送水マス
A 流入汚水
C 戻り水
D 汚水
H 微細物
Claims (2)
- 汚水処理設備に配設したマス内を仕切板で仕切り、1つのマスを微細物除去マスとし、該微細物除去マスの上部に水平又は緩やかな傾斜を有する微細目スクリーンと、該微細目スクリーンの下方に、微細目スクリーンに対して緩やかな傾斜を有する水流ガイド板を配設し、前記仕切板を越流した汚水がスクリーンの基端側からスクリーン面上に流入する際、汚水が薄層流となり、スクリーン面に水膜が形成されるようにしたことを特徴とする汚水処理設備における微細物の除去装置。
- 水流ガイド板を、その基端が微細目スクリーンの下面に接するように、かつ、微細目スクリーンに対して5〜15度の傾斜角を有するように配設したことを特徴とする請求項1記載の汚水処理設備における微細物の除去装置。
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