JP3678964B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従動側の回転が駆動側に伝達されることを防止するクラッチを備えたモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばパワーウィンド装置が備えるモータは、回転軸を有するモータ本体と、同回転軸と一体形成、若しくは同心軸上に配置されたウォーム軸を介して同回転軸の回転速度を減速してレギュレータ(従動側)に伝達する出力部を備えている。そして、モータが駆動されると、その回転軸の回転はウォーム軸を介して出力部に伝達される。出力部において回転速度が減速された上記回転軸の回転は、レギュレータにて往復動に変換される。こうしてレギュレータがウィンドガラスを上下動させることにより開閉動作を行なうようになっている。
【0003】
このようなパワーウィンド装置においては、モータが駆動されていないときに、ウィンドガラスに印加された下方向の荷重が上記レギュレータにて逆に回転力に変換され、この回転力が本来とは逆にモータ本体の回転軸を回転させるように動作する。このような回転伝達は、ウィンドガラスが外力によって開けられて盗難の原因となったりする。
【0004】
従って、この種の回転伝達を防止するために、従動側の回転が駆動側へと伝達されることを防止するクラッチを備えたモータが知られている。このようなモータにおいては、クラッチにより駆動側の回転を従動側に伝達し、一方、従動側の回転を駆動側に伝達しないようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のクラッチは、例えば、駆動側回転体と従動側回転体とが相互に回転方向において係合・非係合となることにより、駆動側の回転を従動側に伝達したり、従動側の回転を駆動側に伝達しないようにしている。このような駆動側回転体には駆動側回転軸が連結され、従動側回転体には従動側回転軸が連結されるが、駆動側回転軸の中心軸線と、従動側回転軸のそれとが一致するように組み付けられるのが望ましい。
【0006】
しかしながら、各回転軸や、該回転軸を支持する軸受、更には該軸受を固定するハウジングの寸法誤差等により、相互の回転軸の中心軸線が一致しない状態で組み付けられる場合がある。このような場合、回転軸及び回転体が回転されているとき等、駆動側回転体と駆動側回転軸との連結部分や、従動側回転体と従動側回転軸との連結部分に径方向に大きな荷重がかかり、その連結部分で異音や振動が発生したり、連結部分での駆動力のロスが大きくなる等の不具合が生じていた。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動側回転軸と従動側回転軸とが中心軸線が一致しない状態で組み付けられたとき、各回転軸の連結部分から発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスを小さくすることができるクラッチを備えたモータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駆動側回転軸と一体回転可能に嵌合連結する駆動側回転体と、該回転軸に同軸上に配置される従動側回転軸と一体回転可能に嵌合連結する従動側回転体とが、相互に回転方向に係合又は非係合になることにより、駆動側回転軸から従動側回転軸に回転を伝達するとともに、従動側回転軸から駆動側回転軸への回転伝達を阻止するクラッチを備えたモータにおいて、前記モータは、前記駆動側回転軸を有するモータ本体と、前記従動側回転軸を有してモータ本体の回転を減速する減速機構とを備えた出力部とから構成されるものであり、前記クラッチは前記駆動側回転軸と前記従動側回転軸との間に設けられ、前記駆動側回転体及び前記駆動側回転軸、又は、前記従動側回転体及び前記従動側回転軸の少なくとも1組は、回転体又は回転軸のいずれか一方に嵌合孔を備えるとともに、いずれか他方に該嵌合孔に嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合孔は、前記駆動側回転軸の中心軸線と前記従動側回転軸の中心軸線とが一致しない状態を許容するように、前記嵌合部が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部を備えた。
【0009】
請求項2に記載の発明は、駆動側回転軸と一体回転可能に連結する駆動側回転体と、該回転軸に同軸上に配置される従動側回転軸と一体回転可能に連結する従動側回転体とが、相互に回転方向に係合又は非係合になることにより、駆動側回転軸から従動側回転軸に回転を伝達するとともに、従動側回転軸から駆動側回転軸への回転伝達を阻止するクラッチを備えたモータにおいて、前記モータは、前記駆動側回転軸を有するモータ本体と、前記従動側回転軸を有してモータ本体の回転を減速する減速機構とを備えた出力部とから構成されるものであり、前記クラッチは前記駆動側回転軸と前記従動側回転軸との間に設けられ、前記駆動側回転体に嵌合孔を備えるとともに、前記駆動側回転軸に該嵌合孔に嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合孔は、前記駆動側回転軸の中心軸線と前記従動側回転軸の中心軸線とが一致しない状態を許容するように、前記嵌合部が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部を備えた。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のモータにおいて、前記嵌合孔は、前記テーパ部に連設され、かつ前記嵌合部と嵌合すべく軸方向に沿って内径を等しく形成した嵌挿部を備えた。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモータにおいて、前記テーパ部は、その軸方向の長さが前記嵌挿部のそれより長くなるように形成した。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記従動側回転体は、クラッチハウジングの内側に回転可能に配設され、前記従動側回転体の径方向外側には、回転方向の両側から中央部に向かって肉薄となる制御面が形成され、前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面との間には転動体が配設され、前記モータが停止している状態で前記従動側回転体が回転するときには、前記転動体を前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持することで前記従動側回転軸から前記駆動側回転軸への回転伝達を阻止し、前記駆動側回転体が回転するときには、前記転動体を前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持されない位置に配置することで前記駆動側回転軸から前記従動側回転軸に回転を伝達するようになっている。
【0012】
従って、各請求項に記載の発明によれば、駆動側回転体及び駆動側回転軸、又は、従動側回転体及び従動側回転軸の少なくとも1組は、回転体又は回転軸のいずれか一方に嵌合孔が備えられ、いずれか他方には該嵌合孔に嵌合する嵌合部が備えられる。このような嵌合孔には、嵌合部が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部が備えられる。このようにすれば、一方の回転軸に軸ずれが生じても、テーパ部により該回転軸が回転体の中心軸線に対して傾くことが許容される。従って、回転体に径方向の大きな荷重が作用しなくなるので、連結部分で発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスが抑制される。また、モータ本体が有する駆動側回転軸と、減速機構が有する従動側回転軸との間にクラッチが備えられる。つまり、クラッチはトルクが小さい箇所に設けられるので、該クラッチに必要とされる強度を低減でき、クラッチを小型化できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、嵌合孔には、テーパ部に連設され、かつ嵌合部と嵌合すべく軸方向に沿って内径を等しく形成した嵌挿部が備えられる。このようにすれば、嵌挿部により、嵌合孔と該嵌合孔に嵌合する嵌合部とが回転方向において線接触するので、回転方向における嵌合孔と嵌合部の係合が確実なものとなり、また相互の接触部分にかかる荷重が一部に集中しない。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、テーパ部は、その軸方向の長さが嵌挿部のそれより長くなるように形成される。このようにすれば、嵌挿部により回転方向における嵌合孔と嵌合部との係合を確実なものとしながら、テーパ部により回転体の中心軸線に対する回転軸の傾きを大きく設定できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパワーウィンド装置に具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図12に示すように、パワーウィンド装置のモータ1はドア2に固設されている。モータ1は駆動源たるモータ本体5と、該モータ本体5の回転を減速する減速機構を収容した出力部6を備えている。モータ本体5の正逆回転は、出力部6の出力軸7に固着した歯車7aに伝達され、その歯車7aは公知のXアーム式レギュレータ8に設けた歯車部8aと噛合している。従って、歯車7aの正逆回転に基づいて、レギュレータ8はウィンドガラス9を開閉させる。
【0019】
図2に示すように、上記モータ本体5は、モータヨークハウジング11、複数のマグネット12、回転軸13、アーマチャ(電機子)14、コンミテータ(整流子)15、ブラシホルダ16及び同ブラシホルダ16に配設されるブラシ17を備えている。
【0020】
モータヨークハウジング11は、略有底扁平円筒状に形成されている。そして、その内周面には、2つのマグネット12が対向配置に固着されている。また、モータヨークハウジング11の底部には、その中心軸に沿って上記回転軸13の基端部が回転可能に支持されている。尚、この回転軸13の先端部には断面略D字状の嵌合部13a(図1参照)が形成されている。
【0021】
上記マグネット12の位置に対応する上記回転軸13の中間部には、前記アーマチャ14が固定されている。また、上記回転軸13の上記アーマチャ14よりも先端側には、コンミテータ15が固定されている。
【0022】
上記モータヨークハウジング11の開口部には、前記ブラシホルダ16が嵌合されている。このブラシホルダ16は、樹脂材にて形成されており、上記モータヨークハウジング11の内周面に応じた外周面を有している。そして、上記ブラシホルダ16の一側(図2の下側)には、先端側に伸びる延出部16a、及び同延出部16aに連結された給電部16bが設けられている。この給電部16bは、上記延出部16a内の配線を介して前記ブラシ17に電流を供給するためのものである。尚、このブラシホルダ16に設けられた軸受18によって上記回転軸13の先端側が回転可能に支持されている。
【0023】
ここで、上記ブラシ17は、上記コンミテータ15に対応した位置に配置されて同コンミテータ15と接触している。従って、外部電源から給電部16bに電流が供給されると、上記ブラシ17及びコンミテータ15を介してアーマチャ14に巻装したコイル導線に電流が供給され、同アーマチャ14、すなわちモータ本体5の回転軸13は回転駆動される。
【0024】
上記モータ本体5(回転軸13)の先端側にはクラッチ21が設けられている。このクラッチ21は、図4〜図6に示されるように、クラッチハウジング22と、駆動側回転体23と、ボール24と、従動側回転体25と、複数(3つ)の転動体26と、リング27とを備えている。
【0025】
前記駆動側回転体23は、樹脂材にて形成され、軸部23a及び同軸部23aよりも拡径された円盤部23bを有している。そして、この駆動側回転体23の中心部には、略球状の軸心孔23cが形成されている。この軸心孔23cの基端側(図4の下側)には、駆動側回転体23の回転中心軸線をその中心とした断面略D字状の嵌合孔23dが形成されている。この嵌合孔23dは、図6に示されるように前記回転軸13の嵌合部13aに回転不能に連結固定される。
【0026】
より詳しくは、嵌合孔23dには、前記軸心孔23c側において回転軸13の嵌合部13aと嵌合すべく軸方向に沿って内径を等しく形成した嵌挿部23eと、該嵌挿部23eに連設され、回転軸13(嵌合部13a)が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部23fとが設けられる。このテーパ部23fは、その軸方向の長さL2が前記嵌挿部23eの同方向の長さL1より長くなるように形成されている(L1<L2)。
【0027】
このようにすることで、嵌合孔23dの中心軸線と回転軸13のそれとが一致しない状態で回転軸13が組み付けられた場合、テーパ部23fにより、該回転軸13が嵌合孔23dの中心軸線に対して傾くことが許容される。しかも、嵌挿部23eにより、嵌合孔23dと回転軸13の嵌合部13aとが回転方向において線接触するので、回転方向における嵌合孔23dと嵌合部13aの係合を確実なものとし、また相互の接触部分にかかる荷重が一部に集中しないようになっている。そして、モータ本体5の回転軸13が回転するとその回転力が駆動側回転体23に伝達される。
【0028】
又、上記円盤部23bは、半径R1(図5参照)にて形成されており、その先端側(図4の上側)には外周面に沿って軸方向と平行に突出する突設部31が形成されている。この突設部31は半径R2(図5参照)の内壁面を有している。この内壁面には、等角度ごとに中心側に向かって突出する複数(3つ)の突出片31aが形成されている。そして、各隣接する突出片31aの間には、等角度ごとに扇形状に形成され、中心側で互いに連通した複数(3つ)の係合孔32が形成されている。又、上記円盤部23b(突設部31)には、上記各係合孔32の外周側の周方向中央から径方向外側にかけて、軸方向と平行に切り欠かれた溝部33が形成されている。そして突設部31には、外側に開放された開口部34が形成されている。この開口部34の径方向の幅W1(図5参照)は上記半径R1と上記半径R2との差(=R1−R2)である。
【0029】
又、開口部34の周方向の幅(図5において、開口部34の反時計回り側の面(以下、第1面という)34aから同開口部34の時計回り側の面(以下、第2面という)34bまでの周方向の間隔)は、前記径方向の幅W1より長くなるように設定している。
【0030】
さらに、図5において前記係合孔32の反時計回り側の面を第1係合面32aとし、同係合孔32の時計回り側の面を第2係合面32bとすると、開口部34の第1面34aから係合孔32の第1係合面32aまでの周方向の距離は、開口部34の第2面34bから係合孔32の第2係合面32bまでの周方向の距離と一致させている。
【0031】
前記ボール24は、金属製とされ、前記軸心孔23cの内径に応じた外径にて球体に形成されており、同軸心孔23cに回転可能、かつ脱落不能に収容される。
【0032】
前記従動側回転体25は、円盤部25a、同円盤部25aの中心部においてその先端側(図4の上側)に断面略四角形状に突出する嵌合部25bにより形成されている。尚、嵌合部25bの断面形状は、略四角形状に限らず、断面略D字形状等、回転力を伝達できる形状であればよい。この従動側回転体25は、前記軸心孔23cに収容された前記ボール24により、回転が円滑なものとされる。
【0033】
上記円盤部25aには、前記半径R2(図5参照)にて等角度ごとに扇形状に形成された複数(3つ)の係合凸部35が径方向に沿って外側に突出形成されている。この係合凸部35は、上記係合孔32内に回動可能に収容される。
【0034】
本実施形態では、上記係合凸部35の周方向の幅は、上記係合孔32の周方向の幅(第1係合面32aから第2係合面32bまでの周方向の間隔)より小さく、且つ、開口部34の周方向の幅(第1面34aから第2面34b)までの周方向の間隔)より長く設定されている。
【0035】
そして、係合孔32に収容した状態において、係合凸部35の前記第1係合面32aに対向する側面(以下、第1当接面35aという)は、駆動側回転体23が図7(a)において矢印方向(時計回り方向)に回転すると、第1係合面32aと当接し押圧される。その結果、従動側回転体25は駆動側回転体23とともに同方向に回転する。
【0036】
又、係合孔32に収容した状態において、係合凸部35の前記第2係合面32bに対向する側面(以下、第2当接面35bという)は、駆動側回転体23が図7(b)において矢印方向(反時計回り方向)に回転すると、第2係合面32bと当接し押圧される。その結果、従動側回転体25は駆動側回転体23とともに同方向に回転する。
【0037】
尚、図7(a)に示すように、係合凸部35の第1当接面35aが第1係合面32aと当接した状態においては、係合凸部35の外周面の中央部は前記開口部34の第1面34a側に位置するようになっている。反対に、図7(b)に示すように、係合凸部35の第2当接面35bが第2係合面32bと当接した状態においては、係合凸部35の外周面の中央部は前記開口部34の第2面34b側に位置するようになっている。
【0038】
各係合凸部35の外周面には、両側から中央部に向かって肉薄となるように直線的に切り欠いて制御面35cを形成している。従って、係合凸部35の外周面に形成された制御面35cの中央部が、谷部となり、両端部が頂部となる。その結果、従動側回転体25の中心から制御面35cの中央部(谷部)までの半径をR5(図5参照)とすると、従動側回転体25の中心から制御面35cの両端部(頂部)までの半径はR2と一致することから、R2>R5となる。
【0039】
従動側回転体25を収容した駆動側回転体23は、前記クラッチハウジング22の内周面との間に若干の隙間を有して同クラッチハウジング22に回転可能に内装される。このとき、従動側回転体25の回転中心軸線と、駆動側回転体23のそれとが一致するように相互が組み付けられる。
【0040】
クラッチハウジング22は、図4に示すように、略円筒状の外輪部22a及び底部22bにより形成され、その底部22b中央には軸心孔22cが形成されている。この軸心孔22cには、前記駆動側回転体23の軸部23aが回転可能に挿通される。又、外輪部22aの内周面開口側には、複数の略三角形状の歯溝からなるセレーション22dが形成されている。上記クラッチハウジング22は、このセレーション22dが後述する態様で前記出力部6に嵌合することにより同出力部6に固定される。
【0041】
外輪部22aの内周面、開口部34の第1及び第2面34a,34b、及び、係合凸部35の制御面35cとで形成される空間には、前記転動体26が配設される。
【0042】
転動体26は、円柱体であってその両側端部には外側に向かって縮径される先端部26aが形成されている。この転動体26は中心軸線が軸心孔23cと平行になるように配設されている。転動体26の直径D1(図5参照)は、開口部34の径方向の幅W1よりも大きく形成されている。
【0043】
そして、本実施形態では、図7(a)に示す第1当接面35aが第1係合面32aと当接した状態で開口部34の第1面34aに転動体26が当接しているとき、及び、図7(b)に示す第2当接面35bと第2係合面32bと当接した状態において、開口部34の第2面34bに転動体26が当接しているとき、同転動体26の中心軸が、駆動側回転体23の中心軸から径方向に制御面35cの中央部(谷部)とを結ぶ線上に位置するようになっている。つまり、転動体26の半径(=D1/2)が、図7(a)において、開口部34の第1面34aから制御面35cの中央部(谷部)までの周方向の距離、及び、図7(b)において、開口部34の第2面34bから制御面35cの中央部(谷部)までの周方向の距離と一致するように設定している。
【0044】
因みに、転動体26の直径D1が開口部34の径方向の幅W1よりも大きく設定されているが、図5及び図7(a)(b)に示すように転動体26が前記係合凸部35に形成した制御面35cの中央部(谷部)に位置しているとき(以下この状態を「中立状態」という)、同転動体26は余裕をもって収容されている。
【0045】
つまり、この中立状態では、転動体26は係合凸部35の制御面35cと外輪部22aの内周面にて挟持されないため、係合凸部35を備えた従動側回転体25はクラッチハウジング22に対して回転可能となる。そして、図7(a)(b)に示すように、駆動側回転体23の回転に伴って従動側回転体25が連れ回りするとき、転動体26も同方向に第1面34a又は第2面34bにて押され移動する。従って、駆動側回転体23の回転に伴って従動側回転体25が連れ回りするときは、転動体26は常に中立状態となる。
【0046】
反対に、従動側回転体25が回転し駆動側回転体23を連れ回りさせようと同従動側回転体25が回転するとき、図8(a)(b)に示すように、まず、係合凸部35は係合孔32内を矢印方向に回転する。このとき、駆動側回転体23は停止しているため、転動体26は第1面34a又は第2面34bから離間して係合凸部35の制御面35cの頂部側に相対移動する。やがて、転動体26が間に介在する制御面35cと外輪部22aの内周面との径方向の間隔が転動体26の直径D1未満になると、転動体26は、係合凸部35の制御面35cと外輪部22aの内周面で挟持される。この転動体26が挟持されることによって、従動側回転体25のそれ以上の回転は阻止され、駆動側回転体23を連れ回りさせることはない。
【0047】
尚、図8(a)のように転動体26が挟持されて従動側回転体25のそれ以上の回転が阻止されている状態において、モータ1(回転軸13)が駆動され、駆動側回転体23が図9(a)に示す矢印方向(時計回り方向)に回転すると、従動側回転体25の第1当接面35aは、第1係合面32aと当接(衝突)し押圧される。その結果、従動側回転体25は駆動側回転体23とともに同方向に回転する。そして、この従動側回転体25の回転に伴って転動体26はその挟持状態が解除される。挟持状態が解除された転動体26は、駆動側回転体23が更に回転することで、係合凸部35の制御面35cの谷部側に相対移動して第1面34aと当接(衝突)し、その中立状態が維持される(図7(a))。
【0048】
また、上記において、モータ1(回転軸13)が駆動され、駆動側回転体23が図10(a)に示す矢印方向(反時計回り方向)に回転すると、転動体26は第2面34bと衝突し押圧されて、その挟持状態が解除される。そして、上記駆動側回転体23の更なる回転に伴って、前記第2当接面35bは、前記第2係合面32bと当接(衝突)し押圧される。このとき、転動体26は第2面34bに押圧され係合凸部35の制御面35cの谷部に相対移動し、中立状態となっている(図7(b))。
【0049】
一方、図8(b)のように転動体26が挟持されて従動側回転体25のそれ以上の回転が阻止されている状態において、モータ1(回転軸13)が駆動され、駆動側回転体23が図9(b)に示す矢印方向(反時計回り方向)に回転すると、従動側回転体25の第2当接面35bは、第2係合面32bと当接(衝突)し押圧される。その結果、従動側回転体25は駆動側回転体23とともに同方向に回転する。そして、この従動側回転体25の回転に伴って転動体26はその挟持状態が解除される。挟持状態が解除された転動体26は、駆動側回転体23が更に回転することで、係合凸部35の制御面35cの谷部側に相対移動して第2面34bと当接(衝突)し、その中立状態が維持される(図7(b))。
【0050】
また、上記において、モータ1(回転軸13)が駆動され、駆動側回転体23が図10(b)に示す矢印方向(時計回り方向)に回転すると、転動体26は第1面34aと衝突し押圧されて、その挟持状態が解除される。そして、上記駆動側回転体23の更なる回転に伴って、前記第1当接面35aは、前記第1係合面32aと当接(衝突)し押圧される。このとき、転動体26は第1面34aに押圧され係合凸部35の制御面35cの谷部に相対移動し、中立状態となっている(図7(a))。
【0051】
因みに、上記のように転動体26の挟持状態から従動側回転体25への回転伝達に移行する際、同転動体26が第1面34a又は第2面34bと衝突するタイミングと、前記第1当接面35a又は第2当接面35bが、前記第1係合面32a又は第2係合面32bと衝突するタイミングとは、互いに異なるタイミングとなっている。従って、これらが同じタイミングで衝突する場合に比べ、同衝突に伴う騒音発生は低減される。
【0052】
図4に示すように、前記従動側回転体25の先端側(図4の上側)には前記リング27が配置される。このリング27は、樹脂材にて前記クラッチハウジング22の内径に応じた外径を有して略ドーナツ盤状に形成されている。そして、このリング27の外周は多角形状(正十八角形状)に形成されている。上記リング27は上記クラッチハウジング22内に圧入されて固定される。そして、前記転動体26は、前記クラッチハウジング22の底部22b及びリング27によって、軸方向への移動が規制される。尚、リング27は樹脂材であるため、モータ本体5の回転時の転動体26との摺動音は低減される。
【0053】
図1及び図2に示されるように、前記出力部6は、ハウジング41、ヘリカルギヤ42、サブヘリカルギヤ43、緩衝ゴム44、エンドプレート45、プレートカバー46及び出力軸7を備えている。そして、各ギヤ42,43及び後述するウォーム軸56により減速機構が構成されている。
【0054】
上記ハウジング41の基端側には、前記モータヨークハウジング11の内周面に応じた外周面を有して扁平円筒状に形成され、前記延出部16aに対応する位置が同延出部16aの形状に合わせて窪んだ嵌合突部51(図11参照)が形成されている。そして、上記ハウジング41は、上記モータヨークハウジング11及び上記延出部16aにより併せ形成されるモータ本体5の内周面に嵌合し、同モータ本体5に固定されている。尚、上記嵌合突部51の内周面の各幅は前記クラッチ21のクラッチハウジング22の外径よりも大きく設定されている。
【0055】
上記ハウジング41には、ウォームハウジング部52、ヘリカルギヤハウジング部53及びサブヘリカルギヤハウジング部54が形成されている。
上記ウォームハウジング部52は略有底円筒状に形成されており、その内部にはウォーム56aが形成されたウォーム軸56が収容されている。このウォーム軸56は、その基端側及び先端側の2箇所がそれぞれ円筒状の滑り軸受56b,56cを介して回転可能に支持されている。また、このウォーム軸56の基端部(図2の右側)には、断面略四角形状の嵌合孔56dが形成されている。この嵌合孔56dには、前記従動側回転体25の嵌合部25bが回転不能に連結固定される。このとき、従動側回転体25の回転中心軸線と、ウォーム軸56のそれとが一致するように相互が組み付けられる。このようにして、ウォーム軸56は、上記従動側回転体25と一体回転される。
【0056】
また、上記ウォームハウジング部52の上記滑り軸受56bが配設された基端側は、図11に示されるように、上記ウォーム軸56と同心軸上に形成された円筒状の突設部57となっている。換言すると、上記滑り軸受56bを支持する支持部がこの突設部57に相当している。上記突設部57は、前記クラッチ21のクラッチハウジング22の内径に応じた外径を有しており、その外周面には前記外輪部22aのセレーション22dと嵌合する複数の略三角形状の歯溝からなるセレーション57a(図11参照)が形成されている。そして、この突設部57には、上記クラッチハウジング22のセレーション22dが外嵌され、同クラッチハウジング22(クラッチ21)は固定されて、移動不能となっている。
【0057】
前記ハウジング41のヘリカルギヤハウジング部53は、上記ウォームハウジング部52の中心軸と直交する一側(図2の上側)に配設されている。このヘリカルギヤハウジング部53は略台形円錐状の底部を有する筒状に形成されており、そのウォーム軸56側は開口されている。また、上記ヘリカルギヤハウジング部53の底部中央には軸方向内部側に延びる円筒状の軸受壁53aが形成されている。そして、この軸受壁53aには前記出力軸7が回転可能に挿通される軸心孔53bが形成されている。
【0058】
また、上記ハウジング41のサブヘリカルギヤハウジング部54は、上記ウォームハウジング部52の中心軸と直交する他側(図2の下側)に配設されている。このサブヘリカルギヤハウジング部54は上記ヘリカルギヤハウジング部53よりも小さい外径にて略有底筒状に形成されており、そのウォーム軸56側は開口されて上記開口されたヘリカルギヤハウジング部53に接続されている。そして、上記サブヘリカルギヤハウジング部54の底部中央には軸方向内部側に延びる円筒状の軸受壁54aが形成されている。尚、この軸受壁54aには、前記プレートカバー46と係合する係合孔54b(図3参照)が形成されている。
【0059】
前記サブヘリカルギヤ43は、樹脂材にて形成され、その外周部下側には前記ウォーム56aと噛合する第1ギヤ部58が形成されている。また、上記サブヘリカルギヤ43の外周部上側には上記第1ギヤ部58より縮径された第2ギヤ部59が形成されている。さらに、上記サブヘリカルギヤ43の中央部には前記サブヘリカルギヤハウジング部54に形成された軸受壁54aに回転可能に外嵌される軸心孔43aが形成されている。
【0060】
前記ヘリカルギヤ42は、樹脂材にて形成され、略有底円筒状のホイール部61及び同ホイール部61の下側において縮径された軸部62(図3参照)からなる。そして、上記ホイール部61の外周部には前記サブヘリカルギヤ43の第2ギヤ部59と噛合するギヤ部63が形成されている。また、上記ヘリカルギヤ42の中央部には、前記ヘリカルギヤハウジング部53に形成された軸受壁53aに回転可能に外嵌される軸心孔42aが形成されている。さらに、上記ホイール部61の筒部の内周面には、軸心孔42a側に延びる3つのギヤ側保持壁42b(図1参照)が等角度(120°)間隔毎に形成されている。
【0061】
前記緩衝ゴム44は、上記ヘリカルギヤ42のホイール部61の内径に応じた外径にて等角度(60°)間隔毎に略扇形状に形成された6つのゴムばね部66と、そのゴムばね部66を環状に連結する連結細部67とから構成されている。そして、各ゴムばね部66の外周側から中央側に伸びて各ゴムばね部66を区画する溝は係合溝44aとなっている。これら係合溝44aは前記ギヤ側保持壁42bと対応して形成されており、1つおきに配置された3つの係合溝44aは、同保持壁42bに嵌合し、上記緩衝ゴム44は上記ヘリカルギヤ42とともに回転する。尚、上記連結細部67の内周面は、上記軸心孔42aと同等の内径にて略波形円状に形成された貫通孔44bとなっている。
【0062】
前記エンドプレート45は、樹脂材にて前記ヘリカルギヤ42のホイール部61の内径に応じた外径にて略円盤状に形成されている。そして、上記エンドプレート45の下面には、前記ギヤ側保持壁42bと同様の形状にて中心側に延びる3つのプレート側保持壁45aが等角度(120°)間隔毎に形成されている。これらプレート側保持壁45aは、上記緩衝ゴム44のギヤ側保持壁42bが嵌合されていない残りの3つの係合溝44aに嵌合し、上記緩衝ゴム44とともに回転する。従って、ヘリカルギヤ42が回転するとその回転力が緩衝ゴム44を介してエンドプレート45に伝達される。その結果、ヘリカルギヤ42の回転に伴ってエンドプレート45は連れ回りをする。
【0063】
エンドプレート45の中心部には、上記ヘリカルギヤ42の軸心孔42a及び上記緩衝ゴム44の貫通孔44bの内径に応じた外径にて下側に突出する軸部45b(図3参照)が形成されており、同軸部45bには、等角度(90°)間隔で切り込みが形成された嵌合孔45cが形成されている。そして、この嵌合孔45cには、前記ヘリカルギヤハウジング部53の軸心孔53bを貫通する出力軸7の基端部が回転不能に連結固定される。従って、出力軸7は、エンドプレート45と一体回転される。尚、上記出力軸7の基端側端部には、前記プレートカバー46と係合する係合孔7bが形成されている。
【0064】
エンドプレート45にその基端部が連結固定された出力軸7は、図3に示すように、上記ヘリカルギヤ42の軸心孔42a及びヘリカルギヤハウジング部53の軸心孔53bを回転可能に貫通してその先端部を同ハウジング部から突出させている。その突出した出力軸7の先端部には歯車7aが固着され、その歯車7aには、Xアーム式レギュレータ8(図12)に設けられた歯車部8aが噛合されている。
【0065】
前記ヘリカルギヤハウジング部53及びサブヘリカルギヤハウジング部54の上端は、これらハウジング部53,54の上面形状に併せて形成された金属製のプレートカバー46にて覆われる。このプレートカバー46には、図3に示されるように前記出力軸7に形成された係合孔7b及び前記軸受壁54aに形成された係合孔54bの位置に合わせて突出するボス部46a,46bがそれぞれ形成されている。そして、これらボス部46a,46bがそれぞれ係合孔7b,54bに挿入されることで、上記プレートカバー46の位置決めがされるとともに、上記出力軸7及び前記サブヘリカルギヤ43の軸方向上方への移動が規制されている。
【0066】
次に上記のように構成されたパワーウィンド装置の動作について説明する。
モータ1が駆動すると、前記回転軸13は上記クラッチ21の駆動側回転体23を回転させる。この駆動側回転体23は、従動側回転体25を回転させる。この時、転動体26は中立状態に保持されるため、従動側回転体25は回転を阻止されることはない。
【0067】
上記従動側回転体25は、ウォーム軸56を回転させる。そして、ウォーム軸56(ウォーム56a)は、サブヘリカルギヤ43、ヘリカルギヤ42、緩衝ゴム44、エンドプレート45を介して上記出力軸7を回転させる。そして、出力軸7は、レギュレータ8を駆動させ、ウィンドガラス9を開閉させる。
【0068】
一方、モータ1が停止している状態で、ウィンドガラス9に負荷かかかり、出力軸7がその負荷によって回転されると、エンドプレート45、緩衝ゴム44、ヘリカルギヤ42、サブヘリカルギヤ43、ウォーム軸56を介して従動側回転体25は回転を開始する。この時、転動体26が係合凸部35の制御面35cと外輪部22aの内周面で挟持される。この転動体26が挟持されることによって、従動側回転体25のそれ以上の回転が阻止され、駆動側回転体23(回転軸13)も回転しない。また、このような回転伝達に係るウォーム軸56、サブヘリカルギヤ43、ヘリカルギヤ42、緩衝ゴム44、エンドプレート45及び出力軸7のそれ以上の回転も阻止される。
【0069】
従って、ウィンドガラス9を開く方向に大きな負荷をかけても、従動側回転体25(出力軸7)の回転は阻止されるため、該負荷によってウィンドガラス9は開くことはない。
【0070】
このように構成されたモータ1では、図2に示すように、先ず、各ギヤ42,43やウォーム軸56等の構成部品を組み付けたハウジング41にクラッチ21が組み付けられる。このとき、図6に示すように、ウォーム軸56の回転中心軸線と、クラッチ21の従動側回転体25及び駆動側回転体23のそれとが一致した状態で組み付けられる。
【0071】
その後、アーマチャ14やブラシホルダ16等の構成部品を組み付けたモータヨークハウジング11が前記ハウジング41に組み付けられて完成される。このとき、前記駆動側回転体23(嵌合孔23d)の回転中心軸線と、モータ本体5の回転軸13のそれとが一致するように相互を組み付けることが望ましい。しかしながら、これら各構成部品や、該部品に係わる周囲の部品の寸法誤差により、駆動側回転体23の回転中心軸線と、回転軸13のそれとが一致しない場合がある。
【0072】
このような場合、駆動側回転体23の嵌合孔23dにはテーパ部23fが設けられているので、回転軸13とテーパ部23fとで形成される空間が回転軸13の逃げ空間として働き、該回転軸13が駆動側回転体23の中心軸線に対して傾くことが許容される。従って、回転軸13が軸ずれしても、駆動側回転体23に径方向の大きな荷重が作用しないので、その連結部分で発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスが抑制される。
【0073】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)嵌合孔23dには、回転軸13(嵌合部13a)が嵌挿される開口部に向かって漸次拡開するテーパ部23fを設けたので、回転軸13が駆動側回転体23の中心軸線に対して傾くことが許容される。従って、回転軸13が軸ずれしても、駆動側回転体23に径方向の大きな荷重が作用しなくなる。その結果、連結部分で発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスを抑制することができる。
【0074】
(2)嵌合孔23dには、前記テーパ部23fに連設され、回転軸13の嵌合部13aと嵌合すべく軸方向に沿って内径を等しく形成した嵌挿部23eを設けた。そのため、嵌挿部23eにより、嵌合孔23dと回転軸13の嵌合部13aとが回転方向において線接触する。従って、回転方向における嵌合孔23dと嵌合部13aの係合を確実なものとでき、また相互の接触部分にかかる荷重の集中を防止することができる。その結果、クラッチ21の耐久性を損なわないようにすることができる。
【0075】
(3)テーパ部23fは、その軸方向の長さL2が前記嵌挿部23eの同方向の長さL1より長くなるように形成した(L1<L2)。従って、嵌挿部23eにより回転方向における嵌合孔23dと回転軸13の嵌合部13aとの係合を確実なものとしながら、テーパ部23fにより駆動側回転体23の中心軸線に対する回転軸13の傾きを大きく設定することができる。
【0076】
(4)クラッチ21は、モータ本体5の回転軸13とウォーム軸56との間、即ちトルクが小さい箇所に設けた。従って、クラッチ21に必要とされる強度を低減することができる。その結果、クラッチ21を小型化できるので、モータ1を小型化することができ、しかもコストの低減を図ることができる。
【0077】
尚、発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
○上記実施形態では、回転軸13の嵌合部13aを断面D字状に形成したが、嵌合部の断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、2面幅形状、星型形状、多角形形状等、回転軸13と駆動側回転体23とが一体回転可能に嵌合する形状であればよい。尚、この場合、嵌合部の形状変更に伴い、駆動側回転体23の嵌合孔23dの形状を変更する必要がある。
【0078】
○上記実施形態では、嵌合孔23dは嵌挿部23eとテーパ部23fを備えているが、少なくともテーパ部23fを備えていればよい。
○上記実施形態では、駆動側回転体23の嵌合孔23dにテーパ部23fを設けたが、回転軸13の端面に嵌合孔、駆動側回転体23にその嵌合孔に嵌合すべく突出する嵌合部を備える構成とし、この嵌合孔にテーパ部を設けるようにしてもよい。
【0079】
また、ウォーム軸56の嵌合孔56dにテーパ部を設けてもよい。さらに、従動側回転体25に嵌合孔、ウォーム軸56にその嵌合孔に嵌合する嵌合部を備える構成とし、この嵌合孔にテーパ部を設けるようにしてもよい。
【0080】
○上記実施形態では、クラッチ21を回転軸13とウォーム軸56との間に設けたが、これ以外の位置にクラッチ21を設けてもよい。例えば、出力軸7を2つに分割し、その軸間にクラッチを設けてもよい。
【0081】
○上記実施形態において採用されたクラッチの回転伝達・逆回転防止構造は一例であり、その他の同構造を有するクラッチを採用してもよい。
○上記実施形態では、モータ1に備えられる減速機構を、ヘリカルギヤ42、サブヘリカルギヤ43及びウォーム軸56で構成したが、この構成に限定されるものではない。また、減速機構を備えていないモータに実施してもよい。
【0082】
○上記実施形態では、モータ1に備えられるクラッチ21に実施したが、その他の装置に用いるクラッチに実施してもよい。
次に、以上の実施の形態から把握することができる技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
【0083】
(イ) 前記嵌合孔を前記駆動側回転体に設け、前記嵌合部を前記駆動側回転軸に設けた。このように構成すれば、駆動側回転軸に軸ずれが生じても、テーパ部により該回転軸が駆動側回転体の中心軸線に対して傾くことが許容される。従って、駆動側回転体に径方向の大きな荷重が作用しなくなるので、連結部分で発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスを抑制できる。
【0084】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、駆動側回転軸と従動側回転軸とが中心軸線が一致しない状態で組み付けられたとき、各回転軸の連結部分から発生する異音や振動、連結部分での駆動力のロスを小さくすることができるクラッチを備えたモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータの一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】同実施形態を示す部分断面図。
【図3】同実施形態を示す断面図。
【図4】同実施形態を示す分解斜視図。
【図5】同実施形態を示す断面図。
【図6】同実施形態を示す断面図。
【図7】同実施形態の動作を示す断面図。
【図8】同実施形態の動作を示す断面図。
【図9】同実施形態の動作を示す断面図。
【図10】同実施形態の動作を示す断面図。
【図11】同実施形態を示す分解斜視図。
【図12】同実施形態が適用されるパワーウィンド装置の概要を示す略図。
【符号の説明】
5…モータ本体、13…駆動側回転軸、13a…嵌合部、14…電機子(アーマチャ)、21…クラッチ、23…駆動側回転体、23d…嵌合孔、23e…嵌挿部、23f…テーパ部、25…従動側回転体、42…減速機構を構成するヘリカルギヤ、43…減速機構を構成するサブヘリカルギヤ、56…従動側回転軸、減速機構を構成する入力側回転軸としてのウォーム軸、L1,L2…長さ。
Claims (5)
- 駆動側回転軸と一体回転可能に嵌合連結する駆動側回転体と、該回転軸に同軸上に配置される従動側回転軸と一体回転可能に嵌合連結する従動側回転体とが、相互に回転方向に係合又は非係合になることにより、駆動側回転軸から従動側回転軸に回転を伝達するとともに、従動側回転軸から駆動側回転軸への回転伝達を阻止するクラッチを備えたモータにおいて、
前記モータは、前記駆動側回転軸を有するモータ本体と、前記従動側回転軸を有してモータ本体の回転を減速する減速機構とを備えた出力部とから構成されるものであり、
前記クラッチは前記駆動側回転軸と前記従動側回転軸との間に設けられ、
前記駆動側回転体及び前記駆動側回転軸、又は、前記従動側回転体及び前記従動側回転軸の少なくとも1組は、回転体又は回転軸のいずれか一方に嵌合孔を備えるとともに、いずれか他方に該嵌合孔に嵌合する嵌合部を備え、
前記嵌合孔は、前記駆動側回転軸の中心軸線と前記従動側回転軸の中心軸線とが一致しない状態を許容するように、前記嵌合部が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部を備えたことを特徴とするモータ。 - 駆動側回転軸と一体回転可能に連結する駆動側回転体と、該回転軸に同軸上に配置される従動側回転軸と一体回転可能に連結する従動側回転体とが、相互に回転方向に係合又は非係合になることにより、駆動側回転軸から従動側回転軸に回転を伝達するとともに、従動側回転軸から駆動側回転軸への回転伝達を阻止するクラッチを備えたモータにおいて、
前記モータは、前記駆動側回転軸を有するモータ本体と、前記従動側回転軸を有してモータ本体の回転を減速する減速機構とを備えた出力部とから構成されるものであり、
前記クラッチは前記駆動側回転軸と前記従動側回転軸との間に設けられ、
前記駆動側回転体に嵌合孔を備えるとともに、前記駆動側回転軸に該嵌合孔に嵌合する嵌合部を備え、
前記嵌合孔は、前記駆動側回転軸の中心軸線と前記従動側回転軸の中心軸線とが一致しない状態を許容するように、前記嵌合部が嵌挿される開口部側に向かって漸次拡開するテーパ部を備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項1又は2に記載のモータにおいて、
前記嵌合孔は、前記テーパ部に連設され、かつ前記嵌合部と嵌合すべく軸方向に沿って内径を等しく形成した嵌挿部を備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項3に記載のモータにおいて、
前記テーパ部は、その軸方向の長さが前記嵌挿部のそれより長くなるように形成したことを特徴とするモータ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記従動側回転体は、クラッチハウジングの内側に回転可能に配設され、前記従動側回転体の径方向外側には、回転方向の両側から中央部に向かって肉薄となる制御面が形成され、前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面との間には転動体が配設され、
前記モータが停止している状態で前記従動側回転体が回転するときには、前記転動体を前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持することで前記従動側回転軸から前記駆動側回転軸への回転伝達を阻止し、
前記駆動側回転体が回転するときには、前記転動体を前記制御面と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持されない位置に配置することで前記駆動側回転軸から前記従動側回転軸に回転を伝達するようになっていることを特徴とするモータ。
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