JP3678562B2 - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に伴い、プリント配線板の小型化、高密度化、軽量化、高信頼性などが求められている。これらの要求のためにプリント配線板素材そのもの以外に導体幅、導体間隙、スルホール、ビアホールなどの微細化、小型化、信頼性などが求められている。なかでもビアホールは、インナービアホール、ブラインドビアホールとして微細化、小型化、電気接続の信頼性等が求められている。従来ビアホールの形成方法としてドリルによる孔加工、レーザによる孔加工が提案されている。例えば、レーザによる孔加工として特開昭58−64097、特開昭61−95792などの公報である。
【0003】
特開昭58−64097号公報には、概ね電気的接続すべき導体層のうちの最下層より上の導体層に予め孔(レーザのビーム径より少し小さな孔をエッチングにより形成しておく)を明けておき、上から前記孔を介してレーザを照射し(基板表面を走査し)、最上層から前記最下層までの導体層間の樹脂層を除去する多層印刷回路基板の製造方法が開示されている。
【0004】
特開昭61−95792号公報には、概ね金属箔除去部分を覆う光照射面積をもつレーザ光によって孔開けする(レーザ光の照射面積を金属箔除去部分より大きくする)印刷配線板の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報などに記載のように予め導体層に孔を明けておき、該孔よりも広い面積にレーザを照射する又は該孔より広範囲にレーザを走査して照射する方法においては、導体層の該孔がレーザ光の照射のマスクとなり樹脂層を除去する効果がある。しかしながら、予め導体層に穴を明ける工程では、孔径の精度が良くない問題がある。また、レーザによる孔あけ工程では、照射したレーザが下層の導体層で反射して樹脂層を更に除去して樹脂層における穴をより大きくする。更に、下層の導体層で反射したレーザが上層の導体層の裏面で反射して樹脂層を除去して上層の導体層の裏面の近傍の樹脂層における穴をより大きく、広くする。上層の導体層の裏面の近傍の樹脂層における穴が上層の導体層の孔よりも大きくなり、ビアホールの電気接続の工程において空気溜まり、異常析出などによる電気接続不良となる重大な問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属箔及び絶縁樹脂層を積層した基板に回路パターンを形成するプリント配線板及びその製造方法において、上層金属箔を部分的に選択除去して薄層部を形成する工程、該薄層部より広い面積にレーザを照射して下層導体層に達する孔を該薄層部及び絶縁樹脂層に形成する工程、該孔を介して該上層金属箔及び該下層導体層を電気接続する工程と、サブトラクティブ方法により該上層金属箔に回路パターンを形成する工程より成ることである。上層金属箔3に寸法W2で該上層金属箔の厚みより薄くされた薄層部8が形成される工程では、該上層金属箔の厚さの全部を孔開けするのに比較して途中で孔開けを中止して薄層部を形成するため該薄層部の寸法W2のサイズが精度良く均一に形成できる。また、レーザを照射して孔を形成する工程では、レーザのエネルギーで該薄層部8のほぼ中心部より溶融・気化が始まって穴があき、前記薄層部のほぼ中心部の該穴より絶縁樹脂層1が溶融・気化・分解して孔を形成する過程で薄層部がレーザのビームに対するマスクとなりレーザの照射の径より小さい径から穴あけが開始され下層導体層2に孔5が到達するときには薄層部がほぼ全域的に溶融・気化され、上層金属箔の近傍に、より大きい孔が形成されることがないので電気接続の工程での空気溜まり、異常析出などによる電気接続不良がない、などの問題を解決した精確であり、信頼性の高いプリント配線板及びその製造方法を提供することである。
【0007】
以下、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法について詳述する。図1(a)図1(b)は、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法を示す一実施態様切断面図である。図2は、従来の実施態様を示す切断面図である。
【0008】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法は、一般的に金属箔及び絶縁樹脂層を積層した基板において、ホール形成所望位置の上層金属箔を部分的に選択除去して薄層部を形成し、該薄層部より広い面積にレーザを照射することにより該薄層部及び絶縁樹脂層に孔あけして下層導体層に達する孔を形成し、該孔を介して該上層金属箔及び該下層導体層を電気接続し、サブトラクティブ方法により金属箔に回路パターンを形成したものである。尚、必要に応じて表面保護する塗膜を形成する。
【0009】
また、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法は、図1に示す構造を必ずしも採る必要がなく、プリント配線板の必要に応じて層数を任意の複数層としてもよく、ホール[スルホール(2層間スルホール、多層間スルホールなど)、ビアホール(2層間ビアホール、多層間ビアホール、ブラインドビアホール、インナービアホールなど)]を所望位置に形成すればよく、回路パターンは所望設計回路によりパターン化してアディティブ方法で形成すればよい。
【0010】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の絶縁樹脂層は、特に限定されるものではない。一般的にプリント配線板に使用されている樹脂を主成分とするものでよく、樹脂を不織布・織布に含浸させたものでもよく、有機・無機の充填材を樹脂に充填したものでもよく、また、これらが複合されたものでもよい。
【0011】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の金属箔は、特に限定されるものではない。一般的にプリント配線板に使用される銅、ステンレス、ニクロム、タングステン、アルミニウムなどの箔でよい。好ましくは銅の箔である。また、金属箔の厚さは7〜50μmが好ましい。更に好ましくは、7〜40μmである。特に好ましくは、7〜25μmである。このような厚みの金属箔は、製造、ハンドリングなどが容易であり入手がし易い。
【0012】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の上層金属箔を部分的に選択除去して薄層部を形成する方法は、特に限定されるものではない。金属箔表面にエッチング・マスクとなる層を形成し、孔の形成所望位置の該エッチング・マスクを除去して該エッチングマスクの除去されている部分の金属箔をエッチング液によりエッチングして薄層部を形成する。エッチング・マスクとしてスクリーン印刷方法、写真方法などによるエッチングレジストまたは、半田、Ni−Auなどによる金属層エッチングレジストなどが例示できる。薄層部の金属箔の残り厚さは、元の金属箔の5〜50%であることが好ましい。更に好ましくは、5〜40%である。このような厚さであればレーザによる金属箔の孔がシャープである。また、元の金属箔の全厚さをエッチングするのに比較して途中で中止して薄層部を形成するためにエッチング径が精確である。
【0013】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の孔の形成方法は、レーザによる方法であり該レーザの種類を特に限定するものではない。高エネルギーな炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、Xeレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、Arレーザなどが例示できる。好ましくは、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザである。更に好ましくは、樹脂が炭化現象することなく分解して孔開けする紫外線レーザである。このようなレーザを用いることにより、より小さな径の孔を素早く精確にあけることができる。また、エッチングにより薄層部が形成され該薄層部の表面が凹凸状態となりレーザのエネルギーをよく吸収する効果がある。薄層部以外の金属箔表面ではレーザが反射されてほとんど溶融しなく、レーザは該薄層部の凹凸状態でエネルギーが吸収されて溶融・気化する。即ち、該薄層部以外の金属箔がマスクとなり孔が形成される。
【0014】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の孔を介して電気接続する方法は、特に限定されるものではない。好ましくは、金属メッキにより上層金属箔及び下層導体層を電気接続する方法または、導電性物質(金属フィラを混練した樹脂・接着剤、導電性樹脂など)を該孔に塗布・充填して電気接続する方法などである。更に好ましくは、金属メッキによる電気接続する方法である。
【0015】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の回路パターンの形成方法は、サブトラクティブ方法であり、工程などを特に限定するものではない。エッチング液としては、塩化第二銅、塩化第二鉄などが好ましい。更に好ましくは、エッチングファクター(アスペクト比)が大きい塩化第二鉄である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例を説明する。尚、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法は以下の実施例に限られるものではない。
【0017】
(実施例1)
先ず、エポキシ樹脂の両面に厚さ18μmの銅箔をラミネートした銅張両面版にサブトラクティブ方法にて回路パターンを形成し、銅箔を黒化処理し、化学還元処理した。
【0018】
次に、銅箔付樹脂体(約50μmの絶縁樹脂層1(エポキシ樹脂)を付着させた厚み約18μmの銅箔3(上層金属箔))を前記の銅張両面版に配置・位置合わせを行い積層した。(圧力25Kg、温度180度、時間120分)
【0019】
次に、積層した銅箔付樹脂体の上層銅箔3(上層金属箔)にドライフィルムをラミネートし、ビアホール形成所望位置にパターンを紫外線照射により露光し、現像し、塩化第二鉄でハーフエッチングして薄層部8(直径約0.2mm、銅箔の厚み約5μm)を形成した。該薄層部8の表面は、凹凸があり、粗面であり、レーザエネルギーの吸収が高い状態であった。
【0020】
次に、炭酸ガスレーザ装置の加工テーブルに位置決めセットし、薄層部8のW2(直径約0.2mmの薄層)よりも大きい径のレーザ(寸法W1が約0.3mmのビーム径)を照射して該薄層部8及びエポキシ樹脂1を溶融・気化・分解して孔5を形成する孔加工し、前記ドライフィルムの剥離を行った。この剥離処理は該薄層部8を形成した後に行ってもよいが、孔を全て形成して後に剥離処理を行えばレーザ加工中における飛散物がドライフィルムの上に乗り該ドライフィルムの剥離と共に除去できる。(ほぼ同様に薄層部8にレーザを照射し、レーザを途中で停止して該薄層部を観察したところ該薄層部の中心部に穴が開きその周りは溶融状態であった。レーザのビームのエネルギーが中心部が高く、周りより薄い薄層部の熱伝導が小さい、などが考えられる。)
【0021】
次に、過マンガン酸カリウム法により該孔5の内部のスミア処理を行い、該孔を介して上層銅箔3および下層銅箔2(下層導体層2)を電気接続する銅メッキ(無電解銅メッキ+電解銅メッキ)を施してビアホール6を形成した。
【0022】
次に、ドライフィルムをラミネートし、パターンを焼き付け、現像し、銅箔を塩化第二鉄にてエッチングし、剥離して回路パターンを形成し、表面の銅箔を保護するレジストを半田付け領域を除いて形成し、ビアホール付きのプリント配線板を製作した。
【0023】
このように製作されたプリント配線板は孔が薄層部の寸法W2より大きくなることがなく上層銅箔および下層銅箔がビアホールによる信頼性の高い電気接続がなされていた。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法によれば、上層金属箔を部分的に選択除去して薄層部を形成する工程において、厚さ全体を除去する孔開けに比較して薄層部に形成された孔は精確である。また、該薄層部の表面が凹凸状態でレーザのエネルギー吸収が良好な状態である。また、寸法W2で形成した薄層部よりも広い面積の寸法W1のレーザを照射することにより該薄層部の中心部より溶融・気化が始まり絶縁樹脂層も中心部より溶融・気化・分解が始まり寸法W2になるときには下層導体層に達する孔が形成され、上層金属箔の近傍に異常な孔が形成されることなく電気接続が良好であり、精確であり、信頼性の高いプリント配線板及びその製造方法を提供できる。
【0025】
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法を示す一実施態様切断面図である。図1(a)は、レーザの照射の態様切断面図であり、図1(b)は、ビアホール形成の態様切断面図である。図2は、従来の実施態様を示す切断面図である。
【0026】
【符号の説明】
1 絶縁樹脂層
2 下層導体層
3 上層金属箔
4 レーザ
5 孔
6 ビアホール
7 窓
8 薄層部

Claims (1)

  1. 金属箔及び絶縁樹脂層を積層した基板に回路パターンを形成するプリント配線板の製造方法において、上層金属箔を部分的に選択除去して薄層部を形成する工程、該薄層部より広い面積にレーザを照射して下層導体層に達する孔を該薄層部及び絶縁樹脂層に形成する工程、該孔を介して該上層金属箔及び該下層導体層を電気接続する工程と、サブトラクティブ方法により該上層金属箔に回路パターンを形成する工程より成ることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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