JP3678495B2 - 分割繊維板の接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、分割繊維板の接着方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、特願平8−87611号において、ファイバーボード、特に半硬質繊維板(Medium-Density Fiberboard 以下、これを略してMDFとする)を厚さ方向へ分割切断して分割MDF板に形成した後、該分割MDF板を、例えば合板等の板材表面に積層接着し、更に積層接着された分割MDF板の表面に突板を積層接着してフローリング(床材)を製造する方法を提案した。
【0003】
上記MDFを厚さ方向へ分割切断する際、該MDFは分割切断刃による先割れを発生しながら分割切断されるが、この先割れはMDFにおける材質の部分的な違いによりその方向を変化させながら発生している。このため、分割MDF板は、その分割面が平坦ではなく、小さなうねりが分割された方向へ全体的に連続しながら発生して凹凸状になっている。
【0004】
このような分割MDF板を合板等の板材表面に対してその分割面を板材に相対させて接着した後に分割MDF板の非分割面に突板をそのまま積層接着すると、突板の表面に分割MDF板における分割面のうねりが肉眼で視認し得る程度に表われ、床材表面の美感を悪くして商品価値を低くする原因になっていた。特に、上記のように積層接着された突板の表面にラッカー、ワニス等の光沢を有した塗料を塗装した場合には、突板表面に表われるうねりが強調されることになり、該床材の商品価値を大きく損っていた。
【0005】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたものであり、その課題とする処は、分割MDFにおける分割面のうねりを修正して美感に優れた製品を製造することができる分割繊維板の接着方法を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
このため請求項1は、繊維板を刃物により所定の厚さに切削或いは切断して分割繊維板を形成する。該分割繊維板の分割面には微小な凹凸状のうねりが分割宝庫の全体に生じている。この分割繊維板を単体で約100℃以上に加熱された表面が平面状の熱盤により約4kg/cm2 以上の圧力にて約20秒以上圧締し、分割面における上記うねりを平坦状に修正した後、板材に積層接着する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に従って説明する。
【0009】
先ず、MDF1の分割切断方法を説明すると、図1及び2において、加熱圧締装置7の搬送方向下手側には上下一対の噴霧ノズル5が搬送直交方向の全体にわたるように配置され、夫々の噴霧ノズル5は近傍に設けられた板検出器(図示せず)が搬送される繊維板としてのMDF1の搬送方向前端を検知した後から、該MDF1を検知し続けている間、MDF1の表面及び裏面に対して搬送直交方向にわたって水を噴霧状に吹付けて付着させる。噴霧ノズル5によりMDF1の表裏面全体に吹付けられる水の量はMDF1が、例えば縦900mm、横1800mmの大きさにあっては、約200cc(片面に対して約100cc)となるように調整される。MDF1の表面及び裏面に吹付けられる水の量は、該MDF1の厚さ、比重(硬さ)、木質繊維の種類等により約200〜400cc(片面に対して約100cc〜200cc)の範囲で決定すればよい。尚、MDF1の材質によっては噴霧ノズル5により水を付着させることなく、そのまま後述する加熱圧締装置7により熱圧締してもよい。
【0010】
噴霧ノズル5の搬送方向下手側に配置される加熱圧締装置7はMDF1より若干大きい大きさで、相対する上下一対の熱盤9a・9b及び上方の熱盤9bを熱盤9aに向って移動する油圧シリンダーの上下動部材11からなり、下方の熱盤9aはその上面がMDF1の搬送面とほぼ一致した高さに設置されると共に上方の熱盤9bは上下動部材11により、後述する金属ベルト15上に載置されて下方の熱盤9a上面に位置するMDF1を約2kg/cm2 の圧力で圧締する。又、各熱盤9a・9b内には蒸気を流通させる加熱パイプ或いは電熱ヒータ等の加熱部材(図示せず)が設けられ、該加熱部材により各熱盤9a・9bが約120〜180℃に加熱される。
【0011】
図1に示す熱盤9aの左右端側(搬送方向上手及び下手)に回転駆動可能に設けられたロール13a・13bには無端状で、例えばステンレス板等の金属ベルト15が張設され、ロール13a・13bの回転駆動に伴って走行する金属ベルト15はMDF1を、熱盤9aの上面側へ位置させると共に熱盤9a・9bによるMDF1の加熱圧締後にはMDF1を後述する分割切断装置17へ搬送するように間欠走行される。金属ベルト15により搬送されるMDF1を熱盤9aの上面側に位置させるロール13a・13bの回転及び停止制御方法としては、噴霧ノズル5に設けた板検知器がMDF1の搬送方向前端を検知した際にロール13a・13bを回転駆動させると共にカウンタ(図示せず)を起動させ、該カウンタが所定のパルス数を計測した際にロール13a・13bの回転駆動を停止させるように制御すればよい。
【0012】
又、各熱盤9a・9bによるMDF1の加熱圧締時間は約5〜15秒の間で適宜選択すればよい。即ち、熱盤9a・9bの温度が低い場合には加熱圧締時間を長くし、反対に熱盤9a・9bの温度が高い場合には加熱圧締時間を短くすればよく、例えば板厚が2.7mmのMDF1の場合、熱盤9a・9bの温度が約150℃で、少なくとも5秒程度の時間が要求される。
【0013】
上記した所定の加熱圧締時間が経過した際にロール13a・13bを再び回転駆動して加熱圧締されたMDF1を、加熱圧締装置7の搬送方向下手側に配置された分割切断装置17へ搬送させる。
【0014】
該分割切断装置17のフレーム(図示せず)には電動モータ(図示せず)が連結され、常に図示する矢印方向(図2に示す)へ回転駆動する上下一対の駆動軸19a・19bが、MDF1の搬送方向と直交する方向に軸線を有して回転駆動するように支持されている。各駆動軸19a・19bには外周に多数の突刺刃21a・23aを有した多数の突刺ロール21・23が軸線方向へ一定の間隔をおき、かつ突刺刃21a・23a相互の間隔がMDF1の厚さより若干狭い間隔となるように回り止めされて取付けられている。上記した突刺ロール21・23の相互間隔はMDF1の厚さが、例えば約2.7mmの場合には約1〜2mmとなるようにMDF1の表面及び裏面に対し、突刺刃21a・23aがMDF1を突き抜けるのを回避しながら確実に突刺してMDF1に突刺ロール21・23の回転駆動力を付与できる範囲で設定すればよい。
【0015】
突刺ロール21・23の搬送方向上手側に位置するフレームには上下一対で多数組の規制部材25・27が夫々の突刺ロール21・23間に位置し、かつその先端が駆動軸19a・19bの軸線を結ぶ上下仮想線L1 (図2に示す)より搬送方向下手側に位置すると共に駆動軸19a・19b間の中間点を通る水平仮想線L2 (図2に示す)に対して等距離をおいて相対するように固定されている。そして各規制部材25・27の先端の間隔は分割切断しようとするMDF1の厚さの約90%の距離に設定される。
【0016】
駆動軸19a・19bの搬出側に位置するフレームには分割刃29が、その刃先が上記した水平仮想線L2 上に位置した状態で搬入側を向くように固定されている。該分割刃29はその刃先角が、例えば24度で、水平仮想線L2 に対して上方及び下方へ等しい角度で傾斜して振り分けた刃先面29a・29bを有した形状からなる。
【0017】
駆動軸19a・19bの搬出側で、夫々の突刺ロール21・23間に位置するフレームには上下一対で多数組のはがし部材31・33が夫々相対して固定され、各はがし部材31・33の先端は分割刃29付近に位置し、かつ突刺ロール21・23における突刺刃21a・23a先端の回転軌跡と交差する当接面31a・33aを有している。
【0018】
そしてMDF1は以下のように分割切断される。
【0019】
搬送されるMDF1の先端が噴霧ノズル5に設けられた板検出器を通過すると、噴霧ノズル5からMDF1の表面及び裏面の全体にわたって水が噴霧状に吹付けられた後にロール13a・13bの回転駆動に伴って走行する金属ベルト15上に移載されて熱盤9aの上面側に位置される。そしてMDF1が熱盤9aの上面に位置されると、上下動部材11を作動して上方の熱盤9bを、下方の熱盤9a上に位置する金属ベルト15上のMDF1に向って移動し、MDF1を予め設定された時間の間、加熱及び圧締させる。該MDF1における木質繊維は熱盤9a・9bによる加熱圧締に伴う熱及び熱により水蒸気化して浸透する水分により柔軟化される。
【0020】
次に、熱盤9a・9bによる所定の加熱圧締時間が経過すると、復動する上下動部材11により熱盤9bを上方へ移動してMDF1から離間させると共にロール13a・13bを再び回転駆動してMDF1を回転する突刺ロール21・23間に突入し、その表面及び裏面に突刺する突刺刃21a・23aにより大きな搬送力で分割刃29側へ搬送させる。そしてMDF1は突刺ロール21・23の回転による搬送に伴って厚さ方向のほぼ中間位置にて厚さと直交する方向の全体にわたって作用する分割刃29により厚さ方向に二分された分割繊維板としての分割MDF1a・1bに分割切断される。このとき、MDF1は分割刃29の刃先直前箇所の表面及び裏面に当接する規制部材25・27により厚さ方向へ圧縮されるように加圧されているが、分割刃29の分割切断に伴うMDF1の先割れを充分に防止することができない。又、分割切断された各分割MDF1a・1bは分割刃29の刃先面29a・29bにより上方及び下方へ夫々湾曲するように変形させられるが、上記したようにMDF1の木質繊維が熱及び水により柔軟化されてその弾性変形範囲が大きくなっているため、分割MDF1a・1bがカーリングしたり、破断したりするのを少なくしている。
【0021】
上記のように分割切断された分割MDF1a・1bは突刺ロール21・23の突刺刃21a・23aに突刺した状態でその搬出側へ搬送された後、該突刺ロール21・23における先端の回転軌跡と交差するはがし部材31・33における当接面31a・33aに対する当接に伴って突刺ロール21・23からはがし取られた後、夫々のはがし位置に設けられた夫々の搬送装置(図示せず)により搬出される。
【0022】
MDF1を分割切断する際、分割刃29による先割れの発生を抑制できず、分割MDF1a・1bの分割面には先割れに起因するうねりが分割方向の全体に連続して発生し、微小な凹凸状になっている。
【0023】
このため、上記の方法により得られた一方の分割MDF1a(1b)を、図3に示すように単体の状態で加熱圧締装置35の熱盤35a・35b間にセットしてその表裏面全体を加熱圧締させる。該加熱圧締装置35による分割MDF1a(1b)の加熱温度、圧締力及び時間は少なくとも100℃、4kg/cm2 、20秒であればよい。尚、上記加熱圧締装置35としては合板製造工程で、複数枚の単板が積層された単板群を加熱圧締して接着するホットプレス装置と同様の装置であればよい。
【0024】
分割MDF1a(1b)の分割面に発生しているうねりは、分割MDF1a(1b)の加熱に伴ってその繊維及びこれらを結合する接着剤が若干柔軟化され、この柔軟化した状態で圧締されることによりうねりの高い箇所が塑性変形して低くなり、分割面が平坦状に修正される。
【0025】
図4に示すように分割面におけるうねりが平坦状に修正された分割MDF1a(1b)の分割面に対し、合板、平行合板(LVL)等の板材37を、酢酸ビニル樹脂接着剤を介して積層した状態で、圧締装置43により約8kg/cm2 の圧力で常温により約20分間、圧締して接着した後、図5に示すように板材37上に積層接着された分割MDF1a(1b)の非分割面に対し、突板39を圧締装置43により、上記と同様に酢酸ビニル樹脂接着剤を介して約8kg/cm2 の圧力で常温により約20分間、圧締して接着することにより床材41を形成している。
【0026】
上記のように得られた床材41は図6に示すように板材37と突板39との間に積層接着された分割MDF1a(1b)の分割面が平坦状に修正されているため、突板39の表面にうねりが認められなかった。又、床材41の表面にラッカー、ワニス等の光沢を有した塗料を塗布した場合であっても、床材41の表面にうねりが殆ど認められなかった。
【0027】
尚、分割MDF1a(1b)における分割面のうねりは加熱圧締装置35による加熱圧締条件を120℃、8kg/cm2 、約20秒とすることにより平坦状に修正することができるが、上記条件で加熱圧締時間を約2分間とすることにより分割MDF1a(1b)のうねりを平坦状に修正しながらその含水率が零に近い絶乾状態にすることができる。そしてこのように絶乾状態でうねりが修正された分割MDF1a(1b)を板材37に積層接着した後に、大気中に放置しておくと、分割MDF1a(1b)は空気中の水分を吸湿のみを行うことになり、しかもほぼ絶乾の状態から吸湿するため、板材37における分割MDF1aが接着された側が単板が接着された反対側より吸湿による延びが大きくなり、板材37を、分割MDF1a(1b)が接着された側を外側として湾曲させる。この傾向は板材37に積層接着された分割MDF1a(1b)に突板39を積層接着した状態でも保たれるため、その突板39側が外側へ向った湾曲した床材41に形成することができる。このため、上記のように湾曲した床材41にあっては、端部に形成された凹部及び凸部相互を係合させながらさねはぎする際に、その作業性をよくすることができる。
【0028】
又、MDF1を分割切断して分割MDF1a・1bを形成する際、突刺ロール21・23の突刺刃21a・23aをMDF1の表面に突刺させながら分割刃29により分割切断しているため、分割MDF1a・1bの非分割面には突刺刃21a・23aの突刺跡が残っているが、板材37及び突板39を積層接着するに先立って分割MDF1a(1b)を単体で加熱圧締することにより分割面におけるうねりを平坦状に修正しながら突刺跡も修正することができる。この結果、加熱圧締処理された分割MDF1a(1b)に対して板材37及び突板39を上記と同様に積層接着した場合であっても、突板39の表面に分割MDF1a(1b)の突刺跡が表われにくくすることができる。
【0029】
上記説明は、板材37と分割MDF1a(1b)を酢酸ビニル樹脂接着剤により積層接着したが、熱硬化性樹脂接着剤により両者を積層接着してもよい。この場合にあっては、両者を積層接着するに先立って分割MDF1a(1b)を上記した加熱圧締条件の下で、ほぼ絶乾状態となるように加熱圧締処理した後、板材37に分割MDF1a(1b)に積層接着することにより板材37における分割MDF1a(1b)側を外側として湾曲させることができる。
【0030】
上記説明は、分割切断された分割MDF1a(1b)をそのまま熱盤35a・35bにより加熱圧締処理したが、この加熱圧締処理に際して分割MDF1a(1b)に対して水を全体的に吹付けて加熱圧締処理することにより分割面におけるうねり及び非分割面における突刺跡を効率的に平坦状に修正することができる。
【0031】
以下、加熱温度、圧締力及び時間を変えた分割MDF1a(1b)に板材37及び突板39を夫々積層接着して形成され、突板39表面にラッカーを塗布した床板41の表面状態を図7〜図9に示す。尚、図7〜図9において×印は床板41の表面にうねりが視認できる場合、△印は上記うねりが若干視認できる場合、○印は上記うねりがほとんど視認できない場合を示す。
【0035】
変更実施形態
(1).MDF1を分割MDF1a・1bを分割切断する分割切断装置17における分割刃29としては、図10に示すように刃先を構成する一方の刃先面45aを、MDF1の搬送方向に対して上方へ所定の角度で傾斜させると共に他方の刃先面45bを水平仮想線L2と平行となるように形成した分割刃45であってもよい。この分割刃45を使用してMDF1を厚さ方向へ分割切断する場合、予めMDF1の上面のみを加熱又は水を付着させた後に加熱してから分割切断すると、上方に位置する分割MDF1aは刃先面45aの傾斜により上方へ変形させられるが、上記加熱処理によりカール現象が少なくなり、又、下方の分割MDF1bは刃先面45bが水平仮想線線L2と平行となっているため、大きく変形することがなく、カール現象を少なくしている。尚、分割刃45における各刃先面45a・45bは上記と反対に配置してもよいことは勿論である。
【0036】
(2).上記説明はMDF1を回転する突刺ロール21・23により搬送しながら分割刃29により厚さ方向に対して分割して分割MDF1a・1bを形成したが、刃物を往復移動して突板を切削する際に使用する従来公知のスライサー装置によりMDFを分割切断してもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、分割MDFにおけるうねりを修正して美感に優れた製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分割繊維板の接着方法の概略を示す説明図である。
【図2】分割切断装置例を示す略体縦断面図である。
【図3】分割繊維板の加熱圧締状態を示す説明図である。
【図4】板材及び分割繊維板の圧締状態を示す説明図である。
【図5】突板の接着状態を示す説明図である。
【図6】床板の一部を拡大して示す斜視図である。
【図7】加熱圧締条件の比較を示す説明図である。
【図8】加熱圧締条件の比較を示す説明図である。
【図9】加熱圧締条件の比較を示す説明図である。
【図10】分割切断装置例の変更例を示す略体縦断面図である。
【符号の説明】
1 MDF、1a・1b 分割MDF、29 分割刃、35 加熱圧締装置、35a・35b 熱盤、37 板材、39 突板、41 床材
Claims (3)
- 刃物により所定の厚さに切削或いは分割された分割繊維板を、約100℃以上に加熱された正面が平面状の熱盤により約4kg/cm2以上の圧力にて約20秒以上圧締した後に板材に積層接着する分割繊維板の接着方法。
- 請求項1において、分割繊維板はセミハードボードとした分割繊維板の接着方法。
- 請求項1において、接着剤は熱硬化性樹脂接着剤とした分割繊維板の接着方法。
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