JP3677994B2 - 清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片および缶用鋼板 - Google Patents

清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片および缶用鋼板 Download PDF

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、製缶加工の際にピンホールや胴割れなどの酸化物系介在物に起因する製缶欠陥が生じにくい、清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片及び缶用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
缶用素材鋼板は、所定の化学成分の連続鋳造鋳片を熱間圧延した後、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を順次施し、次いでクロメート処理等の表面処理を施すことにより製造される。缶用素材鋼板のなかでも、特にAlキルド鋼より製造される鋼板は、上工程での脱酸時に生じる酸化物系介在物(脱酸生成物)や転炉、取鍋でのスラグ及び連続鋳造時に使用する種々のフラックスが鋼中に取り込まれるため、これらが原因となって製缶加工時にピンホールや胴割れなどの製缶欠陥が引き起こされる問題がある。
【0003】
従来、酸化物系介在物に起因する製缶欠陥を低減させるため、鋳片中での酸化物系介在物の粒径、個数密度、特性を限定し、圧延後の酸化物系介在物の存在形態または分布状態を制御する、以下のような方法が開示されている。
特開平6−172925号公報(以下、先行技術1という)では、鋳片において、粒径200μm以下の酸化物系介在物を1kg当たり103個以下に分散させ、且つ鋳片に含まれる酸化物系介在物の融点を1350℃以下または1650℃以上とすることにより、圧延時に破砕される酸化物系介在物の厚みを5μm以下に抑え、ピンホールとフランジクラックを低減させる方法が開示されている。
【0004】
また、特開平7−207403号公報(以下、先行技術2という)では、鋳片において、粒径200μm以下の酸化物系介在物を1kg当たり103個以下に分散させ、且つ、鋳片に含まれる酸化物系介在物中にMgOを4wt%以上含有させることにより、圧延時に破砕される酸化物系介在物の厚みを5μm以下に抑えるとともに、酸化物系介在物を難伸延性のものとし、圧延後に破砕された酸化物系介在物が長く伸延して連続的な分布状態になることを防止することで、ピンホールと胴割れを低減させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、飲料缶や食缶などの軽量化及び低コスト化のニーズから、製缶加工技術の進展に併せて、缶用素材には高強度化・薄肉化と高速製缶性が要求されるようになり、従来にも増してより厳しい加工が施されるようになってきた。
このような状況下においては、先行技術1や先行技術2で開示された鋳片を基に製造される鋼板では、ピンホールや胴割れなどの製缶欠陥を十分に低減させることができなくなってきた。
【0006】
また、先行技術1や先行技術2では、製鋼段階において粒径200μm以下の酸化物系介在物を1kg当たり103個以下に分散させた鋳片を製造するとしているが、仮に粒径200μmのAl23系介在物の個数を103個/kgとするためには、全酸素量が約8ppm程度の鋼を製造する必要がある。しかし現状の精練技術で達成できる鋼中の全酸素量の下限はせいぜい5ppm程度であるため、実操業ベースで全酸素量を8ppm程度まで低減させることは困難であり、したがって、大量生産を前提とした場合、製鋼段階で先行技術1や先行技術2が規定するレベルまで酸化物系介在物を低減させることは現実的に不可能に近い。
【0007】
さらに、Alキルド鋼中のアルミナを中心とする酸化物個数は1g当たり107〜109個程度であるため、仮に製鋼段階で先行技術1や先行技術2が規定するレベルまで酸化物系介在物を低減させると操業性や歩留りが著しく低下し、且つそのようなレベルまで低減させることは現実的にも不可能に近い。さらに、粒径の大きな介在物は粒内において偏析が生じやすく、平均組成では先行技術の条件を満足できるかもしれないが、局所的には伸延性の高い組成が残存し、その部分から欠陥が発生してしまう。
【0008】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、厳しい製缶加工条件下においても酸化物系介在物に起因するピンホールや胴割れなどの製缶欠陥が生じにくく、しかも安価に製造が可能な清浄性の優れた缶用鋼板用の鋳片及び缶用鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明は、製缶加工時におけるピンホールや胴割れなどの製缶欠陥の発生と、鋳片を熱間圧延ならびに冷間圧延することで破砕、伸延される酸化物系介在物の組成及び割合、さらには特定の粒径以上の酸化物系介在物の個数との間に良好な相関関係があることを見い出し、かかる知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
【0010】
[1] 下記(A)または下記(B)のうちのいずれかの組成を満足する酸化物系介在物の合計量が全酸化物系介在物量の20wt%以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片。
(A):0.25≦CaO/Al23≦2.0、SiO2≦25wt%
(B):0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO2>25wt%、Al23≦40wt%
[2] 上記[1]の鋳片において、粒径が10μm以上の酸化物系介在物の個数が2.0×104個/g以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片。
【0011】
[3] 下記(A)または下記(B)のうちのいずれかの組成を満足する酸化物系介在物の合計量が全酸化物系介在物量の20wt%以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板。
(A):0.25≦CaO/Al23≦2.0、SiO2≦25wt%
(B):0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO2>25wt%、Al23≦40wt%
[4] 上記[3]の缶用鋼板において、粒径が10μm以上の酸化物系介在物の個数が1.0×104個/g以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説明する。
先ず、本発明者らが製缶欠陥部の生成形態に関する調査を行った結果、ピンホール欠陥は、製缶加工時において缶胴部分のうち圧延方向に対して直角方向の部位で小さな亀裂が発生したものであることが、また胴割れは、ピンホール欠陥の亀裂が起点となって破断に至ったものであることが判った。これらの欠陥部位では、圧延工程において酸化物系介在物が非常に微細に破砕されたことにより生じたと推定される微細な酸化物系介在物が、圧延方向に沿って一直線状に且つ互いに重なり合うことなく、ミシン目のような形態で存在していることが判明した。
【0013】
さらに、ピンホールや胴割れなどの製缶欠陥部位に内在する酸化物系介在物の成分を局所的にX線回折または電子線回折を用いて調査した結果、約6割はAl23単独の介在物であるが、残り約4割はAlを主成分として、残部がMg、Ca、Si、Fe、Mn等を含む多元系のAl23であり、部分的にはSi、Ca濃度が高いものであった。これらの介在物はスラグ系、タンディッシュフラックス系、またはモールドフラックス系の介在物であり、破砕、伸延しやすいために製缶欠陥部のサイトとなったものと推定された。
さらに、本来鋼中に含まれている窒化物系介在物、炭化物系介在物、硫化物系介在物は製缶欠陥にはほとんど関与しないことも判った。
【0014】
本発明者らは上記知見を基に、製缶欠陥と圧延によって破砕、伸延しやすい酸化物系介在物の組成、割合、個数に関連性があることに着目して、さらに以下に述べるような調査を行った。
先ず、種々の条件で製造した鋳片から缶用冷延鋼板コイルを作製し、これを表面処理して得られた缶用素材を用い、実験室での製缶試験を行った。この試験では、酸化物系介在物の含有量が30〜60ppm程度の通常の清浄度を有する鋳片を用いた。
なお、連続製缶ラインにおける加工条件を考慮し、この試験では一応の目標とする製缶欠陥発生率を1%以下(通常の加工条件で問題を生じないレベル)、好ましくは0.7%(特に厳しい加工条件で問題を生じないレベル)として、試験結果の評価を行った。
【0015】
製缶試験に使用した冷延鋼板及びこれを製造した鋳片からサンプリングした試料について酸溶解法及びスライム法による介在物抽出を行った。酸溶解法の場合は、抽出した酸化物系介在物を光回折法を用いて粒径及びその個数を測定した(“まてりあ”第35巻、第4号(1996)等の記載を参照)。一方、スライム法では、より粒径の小さな酸化物系介在物について粒径、個数を測定すべく使用するフィルター等に留意し、抽出した酸化物系介在物について粒径、個数を測定した。
【0016】
酸溶解法及びスライム法で得られた酸化物系介在物について、X線または電子線回折による組成分析を行い、両者の比較を行うことで、組成別の介在物構成比率を求めた。
ここで、上記2種類の介在物抽出を実施した理由は、Al23系介在物の抽出、測定には酸溶解法と光回折法が簡便且つ正確であり、一方、スラグ系やフラックス系介在物の抽出にはスライム法が適しているためである。これらの手法を組み合わせることで、鋼中の介在物個数、粒径、組成などを正確に把握することができる。
【0017】
以上のようにして得られた鋳片及び鋼板中の酸化物系介在物の分析と製缶実験における製缶欠陥の結果に基づき、欠陥発生率を支配する鋼の清浄性に関する指標を得るために検討を行った結果、下記(1)、(2)のような指標を設定することができ、これらを所定の数値範囲内に規制することにより製缶欠陥発生率を効果的に低減できることが判った。
(1) 下記(A)または下記(B)のうちのいずれかの組成を満足する酸化物系介在物が全酸化物系介在物中に占める合計割合Xa(wt%)
(A):0.25≦CaO/Al23≦2.0、SiO2≦25wt%
(B):0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO>25wt%、Al23≦40wt%
(2) 粒径が10μm以上の酸化物系介在物の存在密度(鋼1g当たりの個数)
【0018】
ここで、上記(A)の組成を有する酸化物系介在物とは、CaOとAl23を0.25≦CaO/Al23≦2.0を満足する割合で含み、これに0〜25wt%のSiO2及び不可避的な残成分を含む介在物であり、この酸化物系介在物は主にスラグ系介在物(連続鋳造工程で鋼中に取り込まれたスラグによる介在物)、タンディッシュフラックス系介在物(鋼中に取り込まれたタンディッシュフラックスによる介在物)、スラグやタンディッシュフラックスにAl23系介在物が吸着した介在物である。
【0019】
また、上記(B)の組成を有する酸化物系介在物とは、CaOとSiO2を0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO2>25wt%を満足する割合で含み、これに0〜40wt%のAl23及び不可避的な残成分を含む介在物であり、この酸化物系介在物は主にモールドフラックス系介在物(鋼中に取り込まれたモールドフラックスによる介在物)、モールドフラックスにAl23系介在物が吸着した介在物である。
【0020】
これらの酸化物系介在物は熱間圧延や冷間圧延時に破砕、伸延しやすく、その割合を規制することで製缶時に発生するピンホールや胴割れなどの製缶欠陥を低減できる。
また、加工条件がより厳しい材料に関しては、上記のように特定組成の酸化物系介在物の割合Xaを規制することに加え、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を規制することで、製缶時に発生するピンホールや胴割れなどの製缶欠陥を低減できる。
【0021】
上記(1)、(2)の要素について、製缶欠陥発生率との関係を具体的に整理した。図1及び図2は、鋳片及び鋼板(酸化物系介在物の含有量が30〜60ppm程度の通常の清浄度を有する鋳片及び鋼板)における上記(1)に示した特定組成の酸化物系介在物が全酸化物系介在物中に占める合計割合Xa(wt%)と製缶欠陥発生率との関係を示すもので、図1は鋳片、図2は鋼板の結果を示している。これによれば、上記(1)で規定される特定組成の酸化物系介在物の割合Xaと製缶欠陥発生率は良好な相関を有し、Xaが20wt%以下において一応の目標である製缶欠陥発生率(1%以下)が達成されている。
このため本発明では、缶用鋼板用の鋳片及び缶用鋼板において上記(1)で規定される酸化物系介在物の割合Xaを20wt%以下と規定する。
【0022】
図3は、鋳片における鋼1g当りの粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率との関係を示している。なお、図3ではXaが1〜4wt%、8〜10wt%、17〜20wt%、24〜28wt%である各鋳片についての結果を示している。
図3によれば、上記(2)に示した酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率は良好な相関を有し、Xaが20wt%以下の鋳片の場合には、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数が2.0×104個/g以下において、特に厳しい加工条件に対応するための一応の目標である製缶欠陥発生率(0.7%以下)が達成されている。なお、Xaが20wt%を超えると、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を規制しても目標とする製缶欠陥発生率(1%以下)は得られていない。
【0023】
図4は、鋼板における鋼1g当りの粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率との関係を示している。なお、図4ではXaが1〜4wt%、8〜10wt%、17〜20wt%、23〜25wt%である各鋼板についての結果を示している。
図4によれば、上記(2)に示した酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率は良好な相関を有し、Xaが20wt%以下の鋼板の場合には、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数が1.0×104個/g以下において、特に厳しい加工条件にも対応するための一応の目標である製缶欠陥発生率(0.7%以下)が達成されている。なお、Xaが20wt%を超えると粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を規制しても目標とする製缶欠陥発生率(1%以下)は得られていない。
【0024】
以上の結果から本発明では、より厳しい加工条件を満足するために、缶用鋼板用の鋳片の場合には粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を2.0×104個/g以下とすることが、また、缶用鋼板の場合には粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を1.0×104個/g以下とすることが好ましい。
なお、本発明でいう酸化物系介在物の粒径とは、介在物の平面上への投影面積を円換算したときの、当該円の直径である。
【0025】
本発明が対象とする缶用鋼板用の鋳片および缶用鋼板の成分組成や製造条件等は特に限定されないが、一般にはC:0.01〜0.12wt%、Si:0.05wt%以下、Mn:0.10〜0.60wt%、P:0.03wt%以下、S:0.03wt%以下、sol.Al:0.02〜0.10wt%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、鋼中の全酸素量は最大でも40ppmレベルのものである。
【0026】
なお、本発明において達成できる製缶欠陥発生率のレベルは、鋳片及び鋼板の酸化物系介在物の含有レベルに応じて或る程度の差を生じるが、本発明条件に従うことにより、それぞれの酸化物系介在物の含有レベルに応じて製缶欠陥発生率を十分に低く抑えることができる。但し、製缶欠陥発生率の絶対的なレベルを十分に低くし、本発明の効果をより実効のあるものとするには、鋳片及び鋼板における酸化物系介在物の含有量を60ppm以下、特に好ましくは40ppm以下とすることが望ましい。
【0027】
一般に缶用鋼板用の鋳片は連続鋳造鋳片であり、また、缶用鋼板は鋳片を熱間圧延し、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を経た後、表面処理(例えば、電解クロメート処理等)を施すことにより製造される鋼板が主たる対象となる。
【0028】
本発明が規定する介在物条件を満足する缶用鋼板用の鋳片及び缶用鋼板を得るためには、例えば以下のような方法が有効である。
(1) 製鋼工程で使用するスラグ、タンディッシュフラックス、モールドフラックス等の溶鋼への取り込み防止
(2) 製鋼工程で発生する脱酸生成物の除去促進
(3) 製鋼工程での溶鋼中のsol.Al成分の再酸化に伴う介在物発生の抑制 これらのうち、(1)については、各々が関与するプロセスにおける溶鋼への取り込みを防止することが肝要であり、例えばスラグの流入については、取鍋スラグのタンディッシュ内溶鋼への懸濁を防止する、モールドフラックスの流入については、鋳型内の溶鋼流動制御による溶鋼への取り込みを防止する等の方法が有効である。また、(2)については、例えば、二次精錬時での介在物の凝集合体、浮上分離の促進、(3)については、取鍋内スラグ中の酸化度を小さくする、注入系における空気酸化を抑制する等の方法が有効である。
【0029】
【実施例】
[実施例1]
C:0.03〜0.05wt%、Si:0.01〜0.03wt%、Mn:0.15〜0.25wt%、P:0.01〜0.02wt%、S:0.01〜0.02wt%、sol.Al:0.03〜0.06wt%の溶鋼を精練するため、転炉において吹錬して所定の炭素濃度に調整した後、スラグ固化用CaOを投入し、スラグストッパーを使用して転炉スラグの流出防止を行いつつ、出鋼した。
【0030】
次いで、RHにおいて真空脱ガス処理を実施し、Alを投入して脱酸し、さらにArガスバブリングを行いながら還流することにより、脱酸生成物であるAl23粒子を凝集合体、浮上除去した。その後、この溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機にて、220〜250mm厚の鋳片に鋳造した。この際モールドにおけるフラックスの溶鋼への巻き込みが極力排除されるような条件で鋳造を行った。
【0031】
得られた鋳片から試料約1000gをサンプリングして、酸溶解法、スライム法による介在物抽出を行い、介在物個数、組成を測定した。
鋳片を1200℃に再加熱して、1.8〜2.0mm厚に熱間圧延し、酸洗した後、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を順次実施することにより最終的に0.2mm厚の冷延鋼板コイルを作製した。さらに、前記冷延鋼板コイル表面に電解クロメート処理を行った後、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを熱融着して、実験室において製缶試験を実施した。
【0032】
なお、試験材として使用した鋳片は、RHでの真空脱ガス処理を通常条件で行ったのものと、脱酸生成物であるAl23粒子の凝集合体、浮上除去を促進すべく強化した処理条件で行ったものの2水準を使用し、且つスラグ系介在物の影響を調査するために、鍋交換部相当部と定常部(ミドル部)相当部の鋳片を使用した。
各試験例について、試験材中の特定の酸化物系介在物の割合Xa、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数および製缶欠陥発生率等を表1に示す。この試験の結果では、本発明条件を満足したものは定常部相当部の鋳片となった。一方、比較例は鍋交換部相当部の鋳片となった。
【0033】
表1によれば、比較例1〜8はXaが20%を超えるため、製缶欠陥発生率が高い。これに対して本発明例1〜9はXaが20%以下であるため、製缶欠陥発生率が非常に小さく、良好な製缶結果が得られている。また、本発明例6〜9のように鋳片中の粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を2.0×104個/g以下とすることにより、製缶欠陥発生率はより低くなり、このため特に厳しい加工条件が要求される場合にも良好な製缶結果が得られることが判る。
【0034】
【表1】
Figure 0003677994
【0035】
[実施例2]
C:0.03〜0.05wt%、Si:0.01〜0.03wt%、Mn:0.15〜0.25wt%、P:0.01〜0.02wt%、S:0.01〜0.02wt%、sol.Al:0.03〜0.06wt%の溶鋼を精練するため、転炉において吹錬して所定の炭素濃度に調整した後、スラグ固化用CaOを投入し、スラグストッパーを使用して転炉スラグの流出防止を行いつつ、出鋼した。
【0036】
次いで、RHにおいて真空脱ガス処理を実施し、Alを投入して脱酸し、さらにArガスバブリングを行いながら還流することにより、脱酸生成物であるAl23粒子を凝集合体、浮上除去した。その後、この溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機にて、220〜250mm厚の鋳片に鋳造した。この際、取鍋やタンデッシュにおけるスラグやフラックスの溶鋼への懸濁、巻き込みが極力排除されるような条件で鋳造を行った。
【0037】
得られた鋳片から試料約1000gをサンプリングして、酸溶解法、スライム法による介在物抽出を行い、介在物個数、組成を測定した。
鋳片を1200℃に再加熱して、1.8〜2.0mm厚に熱間圧延し、酸洗した後、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を順次実施することにより最終的に0.2mm厚の冷延鋼板コイルを作製した。さらに、前記冷延鋼板コイル表面に電解クロメート処理を行った後、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを熱融着して、実験室において製缶試験を実施した。
【0038】
なお、試験材として使用した鋳片は、RHでの真空脱ガス処理を通常条件で行ったのものと、脱酸生成物であるAl23粒子の凝集合体、浮上除去を促進すべく強化した処理条件で行ったものの2水準を使用し、且つモールドフラックス系介在物の影響を調査するために、モールドフラックス系介在物が混入し易いボトム部相当部と定常部(ミドル部)相当部の鋳片を使用した。
各試験例について、試験材中の特定の酸化物系介在物の割合Xa、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数および製缶欠陥発生率等を表2に示す。この試験の結果では、本発明条件を満足したものは定常部相当部の鋳片となった。一方、比較例はボトム部相当部の鋳片となった。
【0039】
表2によれば、比較例1〜8はXaが20%を超えるため、製缶欠陥発生率が高い。これに対して本発明例1〜9はXaが20%以下であるため、製缶欠陥発生率が非常に小さく、良好な製缶結果が得られている。また、本発明例6〜9のように鋳片中の粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を2.0×104個/g以下とすることにより、製缶欠陥発生率はより低くなり、このため特に厳しい加工条件が要求される場合にも良好な製缶結果が得られることが判る。
【0040】
【表2】
Figure 0003677994
【0041】
[実施例3]
C:0.03〜0.05wt%、Si:0.01〜0.03wt%、Mn:0.15〜0.25wt%、P:0.01〜0.02wt%、S:0.01〜0.02wt%、sol.Al:0.03〜0.06wt%の溶鋼を精練するため、転炉において吹錬して所定の炭素濃度に調整した後、スラグ固化用CaOを投入し、スラグストッパーを使用して転炉スラグの流出防止を行いつつ、出鋼した。
【0042】
次いで、RHにおいて真空脱ガス処理を実施し、Alを投入して脱酸し、さらにArガスバブリングを行いながら還流することにより、脱酸生成物であるAl23粒子を凝集合体、浮上除去した。その後、この溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機にて、220〜250mm厚の鋳片に鋳造した。この際、モールドにおけるフラックスの溶鋼への巻き込みが極力排除されるような条件で鋳造を行った。
【0043】
鋳片を1200℃に再加熱して、1.8〜2.0mm厚に熱間圧延し、酸洗した後、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を順次実施することにより最終的に0.2mm厚の冷延鋼板コイルを作製した。
このようにして得られた冷延鋼板コイルから、試料約1000gをサンプリングして、酸溶解法、スライム法による介在物抽出を行い、介在物個数、組成を測定した。さらに、前記冷延鋼板コイル表面に電解クロメート処理を行った後、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを熱融着して、実験室において製缶試験を実施した。
【0044】
なお、試験材として使用した缶用鋼板は、RHでの真空脱ガス処理を通常条件で行ったのものと、脱酸生成物であるAl23粒子の凝集合体、浮上除去を促進すべく強化した処理条件で行ったものの2水準を使用し、且つスラグ系介在物の影響を調査するために、鍋交換部相当部と定常部(ミドル部)相当部の鋼板を使用した。
各試験例について、試験材中の特定の酸化物系介在物の割合Xa、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数および製缶欠陥発生率等を表3に示す。この試験の結果では、本発明条件を満足したものは定常部相当部の鋼板となった。一方、比較例は鍋交換部相当部の鋼板となった。
【0045】
表3によれば、比較例1〜8はXaが20%を超えるため、製缶欠陥発生率が高い。これに対して本発明例1〜9はXaが20%以下であるため、製缶欠陥発生率が非常に小さく、良好な製缶結果が得られている。また、本発明例6〜9のように粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を1.0×104個/g以下とすることにより、製缶欠陥発生率はより低くなり、このため特に厳しい加工条件が要求される場合にも良好な製缶結果が得られることが判る。
【0046】
【表3】
Figure 0003677994
【0047】
[実施例4]
C:0.03〜0.05wt%、Si:0.01〜0.03wt%、Mn:0.15〜0.25wt%、P:0.01〜0.02wt%、S:0.01〜0.02wt%、sol.Al:0.03〜0.06wt%の溶鋼を精練するため、転炉において吹錬して所定の炭素濃度に調整した後、スラグ固化用CaOを投入し、スラグストッパーを使用して転炉スラグの流出防止を行いつつ、出鋼した。
【0048】
次いで、RHにおいて真空脱ガス処理を実施し、Alを投入して脱酸し、さらにArガスバブリングを行いながら還流することにより、脱酸生成物であるAl23粒子を凝集合体、浮上除去した。その後、この溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機にて、220〜250mm厚の鋳片に鋳造した。この際、取鍋やタンデッシュにおけるスラグやフラックスの溶鋼への懸濁、巻き込みが極力排除されるような条件で鋳造を行った。
【0049】
鋳片を1200℃に再加熱して、1.8〜2.0mm厚に熱間圧延し、酸洗した後、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延または二次圧延(DR圧延)を順次実施することにより最終的に0.2mm厚の冷延鋼板コイルを作製した。
このようにして得られた冷延鋼板コイルから、試料約1000gをサンプリングして、酸溶解法、スライム法による介在物抽出を行い、介在物個数、組成を測定した。さらに、前記冷延鋼板コイル表面に電解クロメート処理を行った後、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを熱融着して、実験室において製缶試験を実施した。
【0050】
なお、試験材として使用した缶用鋼板は、RHでの真空脱ガス処理を通常条件で行ったのものと、脱酸生成物であるAl23粒子の凝集合体、浮上除去を促進すべく強化した処理条件で行ったものの2水準を使用し、且つモールドフラックス系介在物の影響を調査するために、ボトム部相当部と定常部(ミドル部)相当部の鋼板を使用した。
各試験例について、試験材中の特定の酸化物系介在物の割合Xa、粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数および製缶欠陥発生率等を表4に示す。この試験の結果では、本発明条件を満足したものは定常部相当部の鋼板となった。一方、比較例はボトム部相当部の鋼板となった。
【0051】
表4によれば、比較例1〜8はXaが20%を超えるため、製缶欠陥発生率が高い。これに対して本発明例1〜9はXaが20%以下であるため、製缶欠陥発生率が非常に小さく、良好な製缶結果が得られている。また、本発明例6〜9のように粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数を1.0×104個/g以下とすることにより、製缶欠陥発生率はより低くなり、このため特に厳しい加工条件が要求される場合にも良好な製缶結果が得られることが判る。
【0052】
【表4】
Figure 0003677994
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、製缶加工の際のピンホールや胴割れなどの酸化物系介在物に起因する製缶欠陥を大幅に低減させることができ、製缶性の大幅な向上を達成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】缶用鋼板用の鋳片において、本発明が規定する特定組成の酸化物系介在物が全酸化物系介在物中に占める割合Xaと製缶欠陥発生率との関係を示すグラフ
【図2】缶用鋼板において、本発明が規定する特定組成の酸化物系介在物が全酸化物系介在物中に占める割合Xaと製缶欠陥発生率との関係を示すグラフ
【図3】缶用鋼板用の鋳片に含まれる粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率との関係を示すグラフ
【図4】缶用鋼板に含まれる粒径10μm以上の酸化物系介在物の個数と製缶欠陥発生率との関係を示すグラフ

Claims (4)

  1. 下記(A)または下記(B)のうちのいずれかの組成を満足する酸化物系介在物の合計量が全酸化物系介在物量の20wt%以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片。
    (A):0.25≦CaO/Al23≦2.0、SiO2≦25wt%
    (B):0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO2>25wt%、Al23≦40wt%
  2. 粒径が10μm以上の酸化物系介在物の個数が2.0×104個/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の清浄性に優れた缶用鋼板用の鋳片。
  3. 下記(A)または下記(B)のうちのいずれかの組成を満足する酸化物系介在物の合計量が全酸化物系介在物量の20wt%以下であることを特徴とする清浄性に優れた缶用鋼板。
    (A):0.25≦CaO/Al23≦2.0、SiO2≦25wt%
    (B):0.5≦CaO/SiO2≦1.5、SiO2>25wt%、Al23≦40wt%
  4. 粒径が10μm以上の酸化物系介在物の個数が1.0×104個/g以下であることを特徴とする請求項3に記載の清浄性に優れた缶用鋼板。
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