JP3677509B2 - 固体電解質およびそれを用いた全固体電池 - Google Patents

固体電解質およびそれを用いた全固体電池 Download PDF

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Description

本発明は、全固体電池に関し、特に、全固体薄膜リチウム二次電池に用いられる固体電解質に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのポータブル機器の開発に伴い、その電源としての電池の需要が、非常に大きくなってきている。
上記のような用途に用いられる電池においては、従来から、イオンを移動させる媒体として、有機溶媒のような液体からなる電解質が使用されている。このため、電池からの電解質の漏液などの問題が生じる可能性がある。
このような問題を解決するために、液体の電解質の代わりに、固体電解質を用いる全固体電池の開発が進められている。なかでも、全固体リチウム二次電池は、高エネルギー密度を得ることができる電池として各方面で盛んに研究が行われている。これは、Liが小さな原子量を有し、そのイオン化傾向が最も大きく、また電気化学的に最も卑な金属であるため、例えば、Li金属を負極活物質に用いると高い起電力が得られるからである。
上記全固体リチウム二次電池に用いられる固体電解質としては、例えば、ハロゲン化リチウム、窒化リチウム、リチウム酸素酸塩、およびこれらの誘導体などが知られている。例えば、特許文献1では、オルトリン酸リチウム(Li3PO4)に窒素Nを導入して得られる窒化リン酸リチウム(LixPOyz:式中、x、yおよびzは、x=2.8、および3z+2y=7.8を満たす。)は、酸化物系の材料であるにも関わらず、1×10-6〜2×10-6S/cmの非常に高いリチウムイオン伝導性を有することが報告されている。
ところが、上記窒化リン酸リチウムが湿潤雰囲気に曝されると、窒化リン酸リチウムを構成するリン原子(P)は、湿潤雰囲気中の水分子と反応する。このとき、リン原子は、+5価の酸化状態からより低い酸化状態に還元される。これにより、窒化リン酸リチウムが分解してしまい、そのイオン伝導性が著しく低下する。
このようなイオン伝導性の低下が生じると、窒化リン酸リチウムからなる固体電解質を用いる全固体電池では、内部インピーダンスが増加する。このため、その充放電レート特性が著しく損なわれてしまう。
米国特許第5,597,660号明細書
そこで、本発明は、湿潤雰囲気下でも、イオン伝導性の低下を抑制することができる固体電解質、ならびにそのような固体電解質を用いる全固体電池を提供することを目的とする。
本発明の固体電解質は、一般式:
LixMOyz
(式中、MはSi、B、Ge、Al、C、GaおよびSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、かつx、yおよびzは、それぞれx=0.6〜5.0、y=1.050〜3.985、z=0.01〜0.50を満たす。)で表される。
前記式において、x=0.6〜1.0、y=1.050〜1.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
前記式において、x=1.6〜2.0、y=2.050〜2.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
前記式において、x=1.6〜2.0、y=3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
前記式において、x=2.6〜3.0、y=2.050〜2.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
前記式において、x=3.6〜4.0、y=3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
前記式において、x=4.6〜5.0、y=3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50であるのがさらに好ましい。
また、本発明は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された上記の固体電解質を備える全固体電池に関する。
本発明によれば、湿潤雰囲気下でも、イオン伝導性の低下を抑制することができる固体電解質を提供することができる。
本発明の固体電解質は、Li(リチウム)、O(酸素)、N(窒素)、ならびにSi(ケイ素)、B(ホウ素)、Ge(ゲルマニウム)、Al(アルミニウム)、C(炭素)、Ga(ガリウム)およびS(硫黄)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mからなる。
例えば、この固体電解質は元素Mを含むリチウム酸素酸塩の窒化物からなる。なお、リチウム酸素酸塩の窒化物はリチウム酸素酸塩の酸素の一部が窒素化されたものである。
本発明の固体電解質は、一般式LixMOyz(式中、MはSi、B、Ge、Al、C、GaおよびSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、かつx、yおよびzは、それぞれx=0.6〜5.0、y=1.050〜3.985、z=0.01〜0.50を満たす。)で表される。なお、x、yおよびzは、それぞれ元素Mに対するLi、O、およびNの原子比を示す。
ところで、従来より用いられている固体電解質である窒化リン酸リチウムは、湿潤雰囲気に放置すると、水分と容易に反応し、そのイオン伝導性が著しく低下する。これは、窒化リン酸リチウムに含まれる一部のP(リン)が、大気中の水分と反応し+5価から還元されることに起因する。
これに対して、本発明に係る固体電解質は、上記のように窒化リン酸リチウムにおけるリンと酸素との結合状態と比較して、熱力学的に酸素とより安定な結合を形成する元素Mを含み、これにより、固体電解質の構造が安定化し、湿潤雰囲気下における固体電解質のイオン伝導性の低下を抑制することができる。
上記一般式におけるzが0.01〜0.50のとき、高いイオン伝導性が得られ、かつ湿潤雰囲気下での保存によるイオン伝導性の低下が抑制される。zが0.01未満の場合、高いイオン伝導性を保持することが困難となる。また、zが0.50を超えると、固体電解質の骨格構造が壊れることにより、イオン伝導性が低下しやすい。このような、イオン伝導性が低下した固体電解質を全固体電池に用いると当該固体電解質の抵抗が大きくなるため、充放電特性が著しく低下する。さらに、zが0.1〜0.5であるのがより好ましい。固体電解質の構造的な歪みが生じることにより、リチウムイオンの電導チャネルが増加する。
また、用いる元素Mの種類により、固体電解質の組成は変化する。すなわち、上記一般式におけるxおよびyは、原材料として用いるリチウム酸素酸塩の組成や種類に依存する。このため、xは0.6〜5.0の範囲であり、yは1.050〜3.985の範囲である。
なお、上記の固体電解質は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した以外の元素を含んでいてもよい。
本発明の固体電解質は、例えば、リチウム酸素酸塩の酸素原子の一部を窒素原子に置換して得られる。
リチウム酸素酸塩がLiBiO2、LiAlO2またはLiGaO2である場合、すなわち上記の一般式において、MがBi、AlまたはGaである場合、xは0.6〜1.0、yは1.050〜1.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
リチウム酸素酸塩がLi2SiO3、Li2GeO3またはLi2CO3である場合、すなわち上記の一般式において、MがSi、GeまたはCである場合、xは1.6〜2.0、yは2.050〜2.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
リチウム酸素酸塩がLi2SO4である場合、すなわち上記の一般式において、MがSである場合、xは1.6〜2.0、yは3.050〜3.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
リチウム酸素酸塩がLi3BiO3である場合、すなわち上記の一般式において、MがBiである場合、xは2.6〜3.0、yは2.050〜2.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
リチウム酸素酸塩がLi4SiO4またはLi4GeO4である場合、すなわち上記の一般式において、MがSiまたはGeである場合、xは3.6〜4.0、yは3.050〜3.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
リチウム酸素酸塩がLi5AlO4である場合、すなわち上記の一般式において、MがAlである場合、xは4.6〜5.0、yは3.050〜3.985、およびzは0.01〜0.50であるのが好ましい。
本発明に係る固体電解質は、薄膜状であるのが好ましい。その膜厚は適宜制御することができるが、0.1〜10μmであるのが好ましい。
また、本発明に係る固体電解質は、結晶質または非晶質のどちらでもよい。
本発明の固体電解質の作製方法としては、従来の固体電解質である窒化リン酸リチウムを作製する場合と同様に、例えば、真空装置を用いた薄膜形成技術によって作製する方法が挙げられる。もちろん、これ以外の方法を用いてもよい。
薄膜の作製方法としては、例えば、マグネトロンまたは高周波などの手段により、ターゲットを窒素(N2)でスパッタするスパッタリング法や、蒸着法と窒素イオンを導入するイオンビーム照射とを組み合わせた方法が挙げられる。この蒸着法としては、抵抗により蒸着源を加熱して蒸着させる抵抗加熱蒸着法、電子ビームにより蒸着源を加熱して蒸着させる電子ビーム蒸着法、およびレーザーにより蒸着源を加熱して蒸着させるレーザーアブレーション法などが挙げられる。このとき、ターゲットまたは蒸着源としては、例えば、上記のリチウム酸素酸塩が用いられる。
さらに、2種類以上のリチウム酸素酸塩を用いて固体電解質を作製する場合は、上述の抵抗加熱蒸着法と電子ビーム蒸着法の組み合わせや、抵抗加熱蒸着法とレーザーアブレーション法の組み合わせなど、2種類の方法を組み合わせてもよい。
2種類以上のリチウム酸素酸塩をそれぞれ単独のターゲットや蒸着源としてもよい。2種類以上のリチウム酸素酸塩を所定の混合比で混合して得られた混合物をターゲットや蒸着源としてもよい。
また、ターゲットや蒸着源として、上記のリチウム酸素酸塩以外に、Li2Oと、リチウム酸素酸塩との混合物、またはLi2Oと、SiO2、Bi23、GeO2、Al23、もしくはGa23との混合物を用いてもよい。
本発明に係る全固体電池は、上記の固体電解質を用いることにより得られる。
本発明に係る固体電解質を用いた全固体電池の一例として、全固体薄膜リチウム二次電池の概略縦断面図を図2に示す。
全固体薄膜リチウム二次電池は、基板21、ならびに基板21上に設けられた第1集電体22、第1電極23、本発明に係る固体電解質24、第2電極25、および第2集電体26より構成される。なお、ここでは第1電極を正極層、第2電極を負極層とするが、第1電極が負極層で、第2電極が正極層でも構わない。
この電池は、真空装置を用いた薄膜作製方法により、基板21上から第1集電体22、第1電極23、固体電解質24、第2電極25、第2集電体26の順序で積層することにより得られる。もちろん、真空装置を用いた薄膜作製方法以外の方法でも構わない。さらに、第2集電体26の上に保護層として樹脂やアルミラミネートフィルムを配しても構わない。
基板21としては、例えば、アルミナ、ガラス、およびポリイミドフィルムなどの電気絶縁性基板、シリコンなどの半導体基板、アルミニウムおよび銅などの導電性基板を用いることができる。導電性基板を用いる場合、第1集電体22と第2集電体26とが導通することがないように、第1集電体22と基板21との境界面、あるいは第2集電体26と基板21との境界面の少なくともいずれかに電気絶縁性を有する材料を配置する。ここで、基板表面の表面粗さは小さい方が好ましいため、鏡面板などを用いることが有効である。
基板21上に配される第1集電体22としては、例えば、白金、白金/パラジウム、金、銀、アルミニウム、銅、ITO(インジウム−錫酸化膜)など電子伝導性のある材料が用いられる。これら以外にも、電子伝導性を有し、且つ第1電極23と反応しない材料であれば、集電体として用いることができる。
この第1集電体22の作製方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、または電子ビーム蒸着法などが用いられる。ただし、基板21にアルミニウム、銅、ステンレスなどの導電性を有する材料を用いた場合は、第1集電体22は配置されなくてもよい。
第1電極(正極層)23には、例えば、リチウム二次電池の正極材料として用いられるコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、およびマンガン酸リチウム(LiMn24)、ならびに酸化バナジウム(V25)、酸化モリブデン(MoO3)、硫化チタン(TiS2)などの遷移金属酸化物を用いることが好ましい。これら以外にも、リチウム二次電池の正極に用いられる材料であれば、第1電極23に用いることができる。
第1電極(正極層)23の作製方法としては、スパッタリング法や、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、あるいはレーザーアブレーション法などが用いられる。
固体電解質24としては、上述の本発明に係る固体電解質が用いられる。
第2電極(負極層)25には、例えば、リチウム二次電池の負極材料として用いられるグラファイトおよびハードカーボンなどの炭素材料(C)、ならびにスズ(Sn)を含む合金、リチウムコバルト窒化物(LiCoN)、リチウム金属(Li)、およびリチウム合金(例えば、LiAl)などを用いることが好ましい。これら以外にも、リチウム二次電池の負極に用いられる材料であれば、第2電極25に用いることができる。
第2電極(負極層)25の作製方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法あるいはレーザーアブレーション法などが用いられる。
第2集電体26としては、第1集電体22と同様の材料が用いられる。また、この第2集電体26の作製方法としては、第1集電体22と同様の方法が用いられる。
上記の全固体電池を複数個積層して積層電池を構成することも可能である。
また、本実施の形態では、本発明に係る全固体電池の一例として、全固体薄膜リチウム二次電池を示したが、本発明は、この電池のみに限定されない。
以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1〜10》
固体電解質を評価するための試験セルを以下に示す手順で作製した。試験セルの概略縦断面図を図1に示す。
第1工程として、表面粗さが30nm以下の表面が酸化された鏡面のシリコン基板11における所定の位置に、20mm×10mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法により白金からなる膜を形成し、膜厚0.5μmの白金集電体層12を得た。
次に、第2工程として、上記で得られた白金集電体層12上に、15mm×15mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法により表1に示すリチウム酸素酸塩の窒化物からなる固体電解質薄膜を形成し、膜厚1.0μmの固体電解質層13を得た。
このとき、ターゲットとして表1に示すリチウム酸素酸塩を用い、スパッタガスには窒素(N2)を使用した。rfマグネトロンスパッタ法の条件として、チャンバー内圧は2.7Pa、ガス導入量は10sccm、およびスパッタ時間は2時間とした。また、ターゲットに照射される高周波のパワーは200Wとした。
さらに、第3工程として、上記で得られた固体電解質層13上に、当該固体電解質層13からはみ出さないように10mm×10mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法で白金からなる膜を形成し、膜厚0.5μmの白金集電体層14を得た。
《比較例1》
第2工程において、ターゲットとしてオルトリン酸リチウムを用い、実施例1と同様の方法により窒化リン酸リチウム(Li2.8PO3.450.3)からなる薄膜を形成し、膜厚1.0μmの固体電解質を得た。この第2工程以外は、実施例1と同様の方法により試験セルを作製した。
[評価]
固体電解質膜の耐水性を評価するために、上記で作製した実施例1〜10および比較例1の各試験セルを、それぞれ湿度が50%、温度が20℃の恒温槽中で2週間保存した。そして、各試験セルについて、作製直後および2週間保存後に、それぞれ交流インピーダンス測定を行い、イオン伝導度の経時変化を調べた。このとき、交流インピーダンス測定の条件として、平衡電圧はゼロ、印加される電圧の振幅は±10mV、周波数領域は105〜0.1Hzとした。その測定結果よりイオン伝導度を決定した。
その評価結果を表1に示す。なお、イオン伝導度は、試験セル作製直後のインピーダンス測定結果から得られたイオン伝導度を100とし、これに対する指数として示した。
Figure 0003677509
表1より、実施例1〜10の固体電解質では、湿潤雰囲気で保存してもイオン伝導度の低下が抑制されていることがわかった。しかし、リチウム酸素酸塩の窒化物を含まない比較例1の固体電解質では、保存後に大きくイオン伝導性が低下した。
これより、実施例1〜10では、固体電解質の劣化が抑制されていることがわかった。
《実施例11〜23》
第2工程において、ターゲットとして表2に示すリチウム酸素酸塩の混合物(モル比1:1)を用いた以外は実施例1と同様の条件で、表2に示すリチウム酸素酸塩の窒化物からなる固体電解質層を得た。この第2工程以外は、実施例1と同様の方法により、試験セルを作製した。
そして、実施例1と同様の方法により試験セルを評価した。その評価結果を表2に示す。なお、イオン伝導度は、試験電池作製直後におけるイオン伝導度を100とし、これに対する指数として示した。
Figure 0003677509
表2より、実施例11〜23では、湿潤雰囲気での保存後においてイオン伝導度の低下が抑制されており、固体電解質の劣化が抑制されていることがわかった。
なお、本実施例では2種類のリチウム酸素酸塩の窒化物のモル比を1:1としたが、これ以外のモル比でもよい。
《実施例24〜27および比較例2〜4》
リチウム酸素酸塩の窒化物中の窒素の含有量について評価するため、以下に示す方法により固体電解質を得た。
第2工程において、ターゲットとしてオルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)を用い、チャンバー内圧を調整することにより、ケイ素に対する窒素の原子比を0.005〜1.0の範囲で種々に変化させた以外は、実施例1と同様の方法により、表3に示す固体電解質層を得た。この第2工程以外は、実施例1と同様の方法により試験セルを作製した。
そして、実施例1と同様の方法により試験セルを評価した。その評価結果を表3に示す。なお、イオン伝導度は、試験セル作製直後におけるイオン伝導度を100とし、これに対する指数として示した。また、試験セルの作製直後におけるイオン伝導度を、ケイ素に対する窒素の原子比が0.3の場合(実施例26)のイオン伝導度を100として、これに対する指数として示した。
Figure 0003677509
表3より、オルトケイ酸リチウムの窒化物中の窒素の含有量を種々に変えても、湿潤雰囲気での保存後においてイオン伝導度の低下が抑制されることがわかった。しかし、表3に示すように、窒素含有量の異なる各試験セルの作製直後におけるイオン伝導度を比較すると、オルトケイ酸リチウムの窒化物中のケイ素に対する窒素の原子比が0.6である比較例3では、イオン伝導性が若干低下した。また、窒素の原子比が0.005および1.0である比較例2および4では、イオン伝導度が大きく低下した。このことから、オルトケイ酸リチウムの窒化物中のケイ素に対する窒素の原子比が0.01〜0.5である実施例24〜27では、製造直後の初期に優れたイオン伝導性が得られ、かつ湿潤雰囲気下での保存によるイオン伝導性の低下が抑制されることがわかった。
《実施例28〜37》
本発明の固体電解質を用いた全固体電池を評価するため、図2に示す構成の全固体電池を以下に示す手順で作製した。
第1工程として、表面粗さが30nm以下の表面が酸化された鏡面のシリコン基板21における所定の位置に、20mm×12mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法により白金からなる膜を形成し、膜厚0.5μmの第1集電体22を得た。
次に、第2工程として、上記で得られた第1集電体22上に、10mm×10mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法によりコバルト酸リチウム(LiCoO2)からなる薄膜を形成し、膜厚1.0μmの第1電極(正極層)23を得た。
次に、第3工程として、上記で得られた第1電極23上に、15mm×15mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、rfマグネトロンスパッタ法により表4に示すリチウム酸素酸塩の窒化物からなる薄膜を形成し、膜厚1.0μmの固体電解質24を得た。
このとき、ターゲットとして表4に示すリチウム酸素酸塩を用い、スパッタガスには窒素(N2)を使用した。rfマグネトロンスパッタ法の条件として、チャンバー内圧は2.7Pa、ガス導入量は10sccm、およびスパッタ時間は2時間とした。また、ターゲットに照射される高周波のパワーは200Wとした。
第4工程として、上記で得られた固体電解質24上に、10mm×10mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、抵抗加熱蒸着法でリチウム金属からなる薄膜を形成し、膜厚0.5μmの第2電極(負極層)25を得た。
さらに、第5工程として、上記で得られた第2電極25上に、20mm×12mmの大きさの窓を有するメタルマスクを配置し、第1集電体22と接触せず、第2電極25を完全に覆うように、rfマグネトロンスパッタ法で銅からなる薄膜を形成し、膜厚1.0μmの第2集電体26を得た。
《比較例5》
第3工程において、ターゲットとしてオルトリン酸リチウムを用い、実施例28と同様の方法により窒化リン酸リチウム(Li2.8PO3.450.3)からなる薄膜を形成し、膜厚1.0μmの固体電解質を得た。この第3工程以外は、実施例28と同様の方法により電池を作製した。
[評価]
固体電解質膜の耐水性を評価するために、上記で作製した実施例28〜37および比較例5の各全固体電池を、相対湿度が50%、温度が20℃の恒温槽中で2週間保存した。そして、各電池について、作製直後および2週間保存後に、それぞれ交流インピーダンス測定を行った。このとき、交流インピーダンス測定の条件として、平衡電圧はゼロ、印加される電圧の振幅は±10mV、周波数領域は105〜0.1Hzとした。その測定結果より内部インピーダンスを決定した。
内部インピーダンスの測定結果を表4に示す。なお、内部インピーダンスは、電池作製直後の内部インピーダンスを100とし、これに対する指数として示した。
Figure 0003677509
表4より、実施例28〜37の電池では、湿潤雰囲気で保存しても内部インピーダンスおよびイオン伝導度に大きな変化は見られなかった。しかし、比較例5の電池では、保存後に固体電解質が劣化したため、著しく内部インピーダンスが増大し、イオン伝導性が低下した。
これより、実施例28〜37では、固体電解質の劣化が抑制されていることがわかった。
本発明の湿潤雰囲気下において劣化しにくい固体電解質は全固体電池に用いることができる。
本発明の実施例における固体電解質評価用試験セルの概略縦断面図である。 本発明の実施例における全固体電池の概略縦断面図である。
符号の説明
11 シリコン基板
12、14 白金集電体層
13 固体電解質層
21 基板
22 第1集電体
23 第1電極
24 固体電解質
25 第2電極
26 第2集電体

Claims (6)

  1. 一般式:
    LixMOyz
    (式中、MはSi、B、Ge、Al、C、GaおよびSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、x=0.6〜1.0、1.6〜2.0、または4.6〜5.0、y=1.050〜1.985、2.050〜2.985、または3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50を満たす。)で表される固体電解質。
  2. 前記式において、x=0.6〜1.0、y=1.050〜1.985、およびz=0.01〜0.50である請求項1記載の固体電解質。
  3. 前記式において、x=1.6〜2.0、y=2.050〜2.985、およびz=0.01〜0.50である請求項1記載の固体電解質。
  4. 前記式において、x=1.6〜2.0、y=3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50である請求項1記載の固体電解質。
  5. 前記式において、x=4.6〜5.0、y=3.050〜3.985、およびz=0.01〜0.50である請求項1記載の固体電解質。
  6. 正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された請求項1記載の固体電解質を備える全固体電池。
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