JP4522078B2 - 全固体電池用固体電解質およびそれを用いた全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池、特に全固体薄膜リチウム二次電池に用いられる固体電解質に関する。
近年、パーソナルコンピュータおよび携帯電話などのポータブル機器の開発にともない、その電源として電池の需要は非常に大きくなってきている。特に、リチウム二次電池は、リチウムが小さな原子量を持ちかつ大きいイオン化エネルギーを有することから、高エネルギー密度を得ることができる電池として各方面で盛んに研究が行われている。
これらの用途に用いられる電池においては、電解質に液体を使用しているため、電解質の漏液などの問題を完全に解決することは難しい。さらに、リチウム二次電池に関しては、そのエネルギー密度が高いことから、電池に異常が生じた際には電池が発熱する恐れもある。そのため、電解質が不燃性である必要が出てきている。
こうした問題を解決するものとして、液体の電解質に代えて固体電解質を用いる全固体電池が挙げられる。この電池の構成要素はすべて固体であるため、電池の信頼性が向上するだけでなく、電池をより小型化および薄型化することが可能となる。したがって、リチウム二次電池の場合でも、不燃性の固体材料で構成される固体電解質を用いた全固体電池である全固体リチウム二次電池の開発が望まれている。
全固体リチウム二次電池に用いられる固体電解質としては、例えばハロゲン化リチウム、窒化リチウム、リチウム酸素酸塩、およびこれらの誘導体などが知られている。特に、特許文献1で報告されているオルトリン酸リチウム(Li3PO4)に窒素Nを導入して得られる窒化リン酸リチウム(LixPOyz:x=2.8、3z+2y=7.8)は、酸化物系の材料にも拘わらず、1〜2×10-6S/cmと非常に高いLiイオン伝導性を有するため、全固体リチウム二次電池のなかでも、特にICカードや電子タグなどの超小型機器用電源である全固体薄膜リチウム二次電池に用いられている。
米国特許第5,597,660号明細書
ところが、上記特許文献1記載の固体電解質である窒化リン酸リチウム(LixPOyz)は、湿潤雰囲気下に放置しておくと、水分と反応して劣化し、イオン伝導性が著しく低下するという問題がある。この劣化は、リン原子(P)が+5価から還元され、窒化リン酸リチウムが分解することに由来していた。
このような劣化が起こると、全固体リチウム二次電池では、電気化学的な特性である充放電特性、保存特性および充放電サイクル特性などが低下してしまう。そこで、本発明は、窒化リン酸リチウムにおけるリン原子の還元をできるだけ抑制し、劣化しにくい固体電解質を提供することを目的とする。
上述の課題を解決すべく、本発明は、遷移金属元素を含むチッ化リン酸リチウムからなり、遷移金属元素がTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ta、W、PtおよびAuよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする全固体電池用固体電解質を提供する。
記遷移金属元素の含有率は、リン原子に対して1〜50原子%であるのが好ましい。
さらに本発明は、上記の全固体電池用固体電解質を用いた全固体電池にも関する。
以上のような本発明によれば、遷移金属を含有することを特徴とする窒化リン酸リチウムからなる固体電解質を用いることにより、湿潤雰囲気下で電気化学的な特性劣化を抑制することができる。
本発明に係る固体電解質は、窒化リン酸リチウム(LixPOyz)が遷移金属元素Tを含有することによって構成される。したがって、本発明に係る固体電解質は、式(1):
LiaPObc−Td (1)
(式中、a=2.6〜3.0、b=3.0〜4.0、c=0.1〜0.6、d=0.01〜0.50)で表される。
ここで、式(1)で表される固体電解質において、リチウム原子(Li)、リン原子(P)、酸素原子(O)および窒素原子(N)の価数は、それぞれ+1価、+5価、−2価および−3価となる。遷移金属元素Tは窒化リン酸リチウム中に金属の状態で取り込まれているため、0価とみなすことができる。
本発明に係る固体電解質においては、窒化リン酸リチウム(LixPOyz)中に、遷移金属元素が遷移金属酸化物または遷移金属窒化物などの化合物の状態で含まれていてもよい。
遷移金属元素が遷移金属酸化物として存在している場合、本発明に係る固体電解質は、式(2):
LiaPObc−Tde (2)
(式中、a=2.6〜3.0、b=3.0〜4.0、c=0.1〜0.6、d=0.01〜0.50、e=0.005〜0.175)で表すことができる。
また、遷移金属元素が遷移金属窒化物として存在している場合、本発明に係る固体電解質は、式(3):
LiaPObc−Tde (3)
(式中、a=2.6〜3.0、b=3.0〜4.0、c=0.1〜0.6、d=0.01〜0.50、e=0.003〜0.12)で表すことができる。
窒化リン酸リチウム単独からなる固体電解質を湿潤雰囲気に放置しておくと、水分と容易に反応して劣化が生じてしまい、イオン伝導性が低下する。これは窒化リン酸リチウムに含まれる一部のリン原子(P)が、窒化リン酸リチウムの薄膜の作製中に+5価から還元されることに起因する。
これに対し、本発明に係る固体電解質においては、遷移金属元素を含有させることで、リン原子(P)よりも高い還元性を有しかつ容易に価数が変化し得る遷移金属元素が優先的に還元される。これにより、窒化リン酸リチウム中のリン原子を+5価の状態に保持させることができる。
遷移金属元素を含有する窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質は、従来の窒化リン酸リチウムと同じように、真空装置を用いた薄膜作製方法によって作製することができる。もちろん、真空装置を用いた作製方法以外の方法を用いても構わない。
真空装置を用いる代表的な薄膜作製方法としては、蒸着法と窒素イオンを導入するイオンビーム照射を組み合わせた方法が挙げられる。この蒸着法としては、例えばマグネトロンまたは高周波などの手段によりターゲットを窒素( 2 )でスパッタするスパッタリング法、抵抗により蒸着源を加熱して蒸着させる抵抗加熱蒸着法、電子ビームにより蒸着源を加熱して蒸着させる電子ビーム蒸着法、およびレーザーにより蒸着源を加熱して蒸着させるレーザーアブレーション法などが挙げられる。
ここで、本発明に係る固体電解質を作製するためには、ターゲットまたは蒸着源として、オルトリン酸リチウム(Li3PO4)以外に、遷移金属元素を導入するためのターゲットまたは蒸着源を用いる必要がある。
すなわち、例えばスパッタリング法の場合は、オルトリン酸リチウムターゲットと遷移金属元素ターゲットとを用いる。また、例えば抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法およびレーザーアブレーション法などの場合は、オルトリン酸リチウム蒸着源と遷移金属蒸着源とを用いる。しかし、オルトリン酸リチウムのターゲットまたは蒸着源に、所定の混合比で遷移金属元素を混ぜ合わせたターゲットまたは蒸着源を用いることも可能である。
さらに、蒸着源にリン酸リチウムを用いる抵抗加熱蒸着法、および蒸着源に遷移金属を用いる電子ビーム蒸着法の2種類の蒸着方法を組み合わせて蒸着を行うことも可能である。
また、遷移金属元素Tをそのまま蒸着源として用いても構わないが、遷移金属蒸着源として、例えば遷移金属酸化物または遷移金属窒化物を用いて蒸着を行い、薄膜中に遷移金属元素を酸化物または窒化物として導入しても構わない。特に、遷移金属酸化物においては遷移金属元素がすでに酸化された状態であるため、非常に還元され易くなっており都合がよい。
ここでいう遷移金属元素Tとして代表的なものは、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、および金(Au)などが挙げられる。もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外の遷移金属元素を用いることもできる。また、含有する遷移金属元素は1種類ではなく、2種類以上であっても構わない。
本発明に係る固体電解質における遷移金属元素Tの含有量としては、前記固体電解質を構成する窒化リン酸リチウム中のリン原子(P)に対して、1〜50原子%であることが望ましい。
これは、1原子%未満の微少な量の場合は、リン原子の還元を十分に抑制することができず、また、50原子%を超える場合は、逆に窒化リン酸リチウムの骨格構造が壊れ、固体電解質のイオン伝導性が低下して電子伝導性が増加してしまう恐れがあるためである。電子伝導性が増加した固体電解質を薄膜二次電池の固体電解質層に用いた場合、当該固体電解質層が充電状態において自己放電してしまう傾向にあるという問題がある。
また、本発明に係る固体電解質は薄膜状であるのが好ましく、膜厚は適宜制御することができるが、0.1〜10μmであるのが好ましい。
また、本発明に係る固体電解質を含む全固体電池として、代表的な全固体薄膜リチウム二次電池の構成を図2に示す。この電池は、基板21上に第1集電体22、第1電極23、固体電解質24、第2電極25、第2集電体26を備える。なお、ここでは第1電極が正極層、第2電極は負極層とするが、第1電極が負極層で、第2電極が正極層であっても構わない。
この電池は、真空装置を用いた薄膜作製方法により、基板21上から第1集電体22、第1電極23、固体電解質24、第2電極25、第2集電体26の順序で積層したものである。もちろん、真空装置を用いた薄膜作製方法以外の方法でも構わない。さらに、第2集電体26の上に電池の保護層として樹脂やアルミラミネートフィルムを用いることは有効である。この保護層の厚みは通常10μm以上であるが、水分による劣化が抑制された固体電解質24、第1電極23、第2電極25を用いた場合、前記保護層の厚みを数μmからほとんど保護層がない状態にまで薄くすることが可能になる。
基板21としては、アルミナ、ガラスおよびポリイミドフィルム等の電気絶縁性基板、シリコン等の半導体基板、アルミニウムや銅等の導電性基板などを用いることができる。ここで、基板の表面の表面粗さは小さい方が良いため、鏡面板などを用いることが有用である。シリコン等の半導体基板を用いる場合、表示素子、メモリー素子等の他の電気素子が同時に半導体基板内に形成、配線されていても構わない。
基板21上に、まず始めに作製する第1集電体22としては、白金、白金/パラジウム、金、銀、アルミニウム、銅、ITO(インジウム−錫酸化膜)など電子伝導性のある材料を用いる。集電体としては電子伝導性があり、なお且つ第1電極と反応しない材料なら前記の材料以外でも構わない。この第1集電体の作製方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、あるいは電子ビーム蒸着法などが挙げられる。ただし、基板21にアルミニウム、銅、ステンレスなどの導電性を有するものを用いた場合は、第1集電体22はあえて必要としない。
第1電極23である正極層は、リチウム二次電池の正極活物質材料として用いられる材料であれば限定されない。特に現在、リチウム二次電池の正極に用いられるコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、または遷移金属酸化物である酸化バナジウム(V25)、酸化モリブデン(MoO3)、そして硫化チタン(TiS2)などを用いることが好ましい。この正極の作製方法としては、スパッタリング法や、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法、あるいは化学気相法などを用いることができる。
固体電解質24には上述のように窒化リン酸リチウム(LixPOyz)と遷移金属元素Tから構成される固体電解質を用いる。
第2電極25である負極層は、リチウム二次電池の負極活物質材料として用いられる材料であれば限定されない。特に現在、リチウム二次電池の負極に用いられるグラファイト、ハードカーボンなどの炭素材料(C)を始め、スズ合金(Sn)、リチウムコバルト窒化物(LiCoN)、リチウム金属(Li)またはリチウム合金(例えば、LiAl)などを用いることが好ましい。この負極の作製方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法あるいはレーザーアブレーション法などを用いることができる。
第2集電体26としては、第1集電体22と同じように白金、白金/パラジウム、金、銀、アルミニウム、銅、ITO、炭素材料など電子伝導性のある材料を用いる。集電体としては電子伝導性があり、なお且つ固体電解質24、あるいは第2電極25と反応しない材料なら前記の材料以外でも構わない。また、この第2集電体26の作製方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、あるいは電子ビーム蒸着法などを用いることができる。
また、このような全固体電池を複数個積層することも可能である。
また、本発明に係る固体電解質を含む全固体電池として、代表的な全固体薄膜リチウム二次電池の構成を示したが、この全固体薄膜リチウム二次電池のみに限定されるものではない。
以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1〜15、参考例1および比較例1》
本発明に係る固体電解質における遷移金属元素の影響を評価するため、以下に説明するように、遷移金属元素を含有した窒化リン酸リチウムからなる固体電解質薄膜(Li2.8PO3.450.3−T0.2)を作製した。また、得られた固体電解質薄膜を固体電解質層として含む実験用セルを作製した。
図1に、本実施例において作製した実験用セルの概略断面図を示した。図1に示すように、実験セルは、シリコン基板11、白金集電体層12、固体電解質層13、および白金集電体層14で構成した。
まず、第1工程として、表面粗さが30nm以下の表面酸化された鏡面のシリコン基板11の所定の位置に、窓(20mm×10mm)を有するメタルマスクを被せ、RFマグネトロンスパッタ法で白金からなる膜を成膜し、膜厚0.5μmの白金集電体層12を形成した。
第2工程として、メタルマスクの寸法を15mm×15mmに変更し、白金集電体層12上に、2時間のRFマグネトロンスパッタ法で窒化リン酸リチウム薄膜を形成し、膜厚1.0μmの固体電解質層13を作製した。
このとき、ターゲットとしてはオルトリン酸リチウムと表1に示す遷移金属元素Tの2種類を用い、スパッタガスとしては窒素(N2)を使用した。RFマグネトロンスパッタ法の条件は、チャンバー内圧2.7Pa、ガス導入量10sccm、およびオルトリン酸リチウムのターゲットのパワー200wとした。リン原子に対する遷移金属元素の含有量が20原子%となるように、オルトリン酸リチウムのターゲットおよび遷移金属元素TのターゲットのRFパワーを制御した。
その後、第3工程として、固体電解質層13の上に、当該固体電解質層13からはみ出さないように10mm×10mmの窓を有するメタルマスクを配置し、RFマグネトロンスパッタ法で白金からなる膜を成膜し、膜厚0.5μmの白金集電体層14を形成した。
以上の方法で作製した実験用セルに対して、20℃および2週間の条件で保存試験を行った。試験では、実験用セルを、相対湿度が50%である部屋に設置した20℃の恒温槽の中に保存した。
イオン伝導度の経時変化を調べるため、実験用セルについて、作製直後、1日保存後、2日保存後、1週間保存後、および2週間保存後に、交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定は、平衡電圧をゼロとし、±10mVの振幅、および105Hzから0.1Hzまでの周波数領域を用いて行った。結果を表1に示した。なお、イオン伝導度は、実験用セル作成直後のインピーダンスを100とし、これに対する指数として示した。
Figure 0004522078
表1に示す結果より、遷移金属元素を含有した窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質においては、保存によるイオン伝導度の大きな変化は見られない。しかし、遷移金属元素を含まない従来の固体電解質においては、保存により大きくイオン伝導性が低下している。
以上より、遷移金属元素を含有した窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質を用いると有効であることがわかる。
《実施例1〜2
本実施例においては、遷移金属元素としてタングステン(W)を用い、リン原子(P)に対するタングステンの含有量を表2に示す値に変化させた他は、実施例1と同様にして、実験用セルを作製し、その評価を行った。
インピーダンス測定は、実験用セルの作製直後と2週間保存後に行った他は、実施例1と同様に行った。また、電子伝導度を調べるため、作製直後の実験用セルに、平衡電圧から+1.0Vの電圧を印加し、1時間後に流れる電流を測定した。表2には、イオン伝導度に対する電子伝導度の割合である電子伝導度比率を示した。結果を表2に示した。
Figure 0004522078
表2に示す結果より、遷移金属元素の含有量が1原子%以上の場合は、保存によるイオン伝導度の大きな変化は見られない。しかし、遷移金属元素の含有量が0.5原子%の場合は、保存により大きくイオン伝導性が低下している。また、遷移金属元素の含有量が50原子%以下の場合、電子伝導度比率が非常に低いが、50原子%より大きくなると電子伝導度比率が大きくなっている。
以上より、遷移金属元素を含有する窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質において、遷移金属元素のリン原子に対する含有量が1〜50原子%であるとよいことがわかる。
《実施例2
本実施例においては、遷移金属元素としてジルコニウム(Zr)を用いた他は、実施例1と同様にして、実験用セルを作製し、その評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004522078
表3に示す結果より、遷移金属元素としてジルコニウムを含有した窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質においては、保存によるイオン伝導度の大きな変化は見られない。
以上より、ジルコニウムを含有した窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質を用いると有効であることがわかる。
《実施例2および比較例2》
本実施例においては、窒化リン酸リチウムと遷移金属元素とを含む固体電解質を用いた全固体電池を評価するため、以下に説明する試験電池を作製した。
本実施例では、図2に示す構成の全固体電池を作製した。ここで、基板21はシリコン基板、第1集電体22は集電体層、第1電極23は正極層、固体電解質24は窒化リン酸リチウムと遷移金属を含有した固体電解質層、第2電極25は負極層、第2集電体26は集電体層である。
第1工程として、表面粗さが30nm以下である表面酸化された鏡面シリコン基板21上に、必要部に窓(20mm×12mm)の開いたメタルマスクを被せた後、RFマグネトロンスパッタ法で白金薄膜を形成し膜厚0.5μmの第1集電体層22を形成した。
第2工程として、メタルマスクを10mm×10mmに変更し、第1集電体層22上に2時間のRFマグネトロンスパッタ法でコバルト酸リチウム(LiCoO2)薄膜を形成し、膜厚1μmの正極層23を作製した。このとき、スパッタガスとしてはアルゴンと酸素を使用し、チャンバー内圧2.7Pa、ガス導入量はそれぞれ7.5sccm、2.5sccm、コバルト酸リチウムのターゲットのパワーは200Wとした。
次に、第3工程として、メタルマスクを15mm×15mmに変更し、正極層23上に2時間のRFマグネトロンスパッタ法で窒化リン酸リチウム薄膜を形成し、膜厚1μmの固体電解質層24を作製した。
このとき、ターゲットのリン酸リチウムとしてオルトリン酸リチウムと遷移金属元素としてタングステン(W)の2種類を用い、スパッタガスとしては窒素(N2)を使用した。RFマグネトロンスパッタ法の条件は、チャンバー内圧2.7Pa、ガス導入量10sccm、およびオルトリン酸リチウムのターゲットのパワー200Wとした。リン原子に対するタングステンの含有率が20原子%となるように、タングステンのターゲットのRFパワーを制御した。ここで、タングステンを用いない場合を比較例2とした。
第4工程として、メタルマスクを10mm×10mmに変更し、固体電解質層24上に抵抗加熱蒸着法でリチウム金属薄膜を形成し、膜厚0.5μmの負極層25を作製した。
その後、第5工程として、メタルマスクを20mm×12mmに変更し、第1集電体層22と接触せず、負極層25を完全に覆うように負極層上にRFマグネトロンスパッタ法で銅薄膜を形成し、膜厚1.0μmの第2集電体層26を作製した。
以上の方法で作製した試験電池に対して、2週間の保存試験を行った。試験では、試験電池を、相対湿度が50%である部屋に設置した20℃の恒温槽の中に保存した。
耐水性向上を評価するために、試験電池について、作製直後および2週間保存後に、交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定は、平衡電圧をゼロとし、±10mVの振幅、および105Hzから0.1Hzまでの周波数領域を用いて行い、その結果から試験電池の内部インピーダンスを決定した。結果を表4に示した。なお、内部インピーダンスは、試験電池作製直後のインピーダンスを100とし、これに対する指数として示した。
Figure 0004522078
表4に示す結果より、窒化リン酸リチウムと遷移金属酸化物とを含む本発明に係る固体電解質を用いた試験電池においては、保存による内部インピーダンスの大きな変化は見られない。しかし、遷移金属元素を含まない従来の固体電解質を用いた試験電池においては、保存により固体電解質が劣化したため、内部インピーダンスが大きくなっている。
以上より、窒化リン酸リチウムと遷移金属元素とを含む本発明に係る固体電解質を用いた全固体電池が湿潤雰囲気下において有効であることがわかる。そのため、本発明の固体電解質を用いることで、通常用いられる保護膜を必要としない全固体電池を得ることが可能となる。さらに、シリコン基板内に他の電機素子を形成、配線することも可能となる。
《実施例2〜4
本実施例においては、遷移金属元素としてモリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)をそれぞれ用い、リン原子(P)に対するモリブデン、チタン、ジルコニウムそれぞれの含有量を表5から7に示す値に変化させた他は、実施例1と同様にして、実験用セルを作製し、その評価を行った。
インピーダンス測定は、実験用セルの作製直後と2週間保存後に行った他は、実施例1と同様に行った。また、電子伝導度を調べるため、作製直後の実験用セルに、平衡電圧から+1.0Vの電圧を印加し、1時間後に流れる電流を測定した。表5から表7には、イオン伝導度に対する電子伝導度の割合である電子伝導度比率を示した。結果を表5から表7にそれぞれ示した。
Figure 0004522078
Figure 0004522078
Figure 0004522078
表5〜表7に示す結果より、遷移金属元素の含有量が1原子%以上の場合は、保存によるイオン伝導度の大きな変化は見られない。しかし、遷移金属元素の含有量が0.5原子%の場合は、保存により大きくイオン伝導性が低下している。また、遷移金属元素の含有量が50原子%以下の場合、電子伝導度比率が非常に低いが、50原子%より大きくなると電子伝導度比率が大きくなっている。
以上より、遷移金属元素を含有する窒化リン酸リチウムからなる本発明に係る固体電解質において、遷移金属元素のリン原子に対する含有量が1〜50原子%であるとよいことがわかる。
本発明に係る固体電解質を用いれば、パーソナルコンピュータおよび携帯電話などのポータブル機器、ICカードや電子タグなどの超小型機器の電源に相応しい高エネルギー密度を有する全固体電池、特に全固体薄膜リチウム二次電池を得ることができる。
本発明の実施例において作製した実験用セルの概略断面図である。 本発明における試験電池の概略断面図である。
符号の説明
11 シリコン基板
12 白金集電体層
13 固体電解質層
14 白金集電体層
21 基板
22 第1集電体
23 第1電極
24 固体電解質
25 第2電極
26 第2集電体

Claims (3)

  1. 遷移金属元素を含むチッ化リン酸リチウムからなり、
    前記遷移金属元素がTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ta、W、PtおよびAuよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする全固体電池用固体電解質。
  2. 前記遷移金属元素の含有率が、リン原子に対して1〜50原子%であることを特徴とする請求項1記載の全固体電池用固体電解質。
  3. 請求項1または2記載の全固体電池用固体電解質を含むことを特徴とする全固体電池。
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