JP3677413B2 - 微細パターン形成の際の基板厚さの差異に基づく反射率の変動抑制方法 - Google Patents

微細パターン形成の際の基板厚さの差異に基づく反射率の変動抑制方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部分的に異なった厚さをもつ基板を用いて微細パターンを形成する際に、基板の厚さの差異に基づく反射率の変化を小さくする方法に関するものである。さらに詳しくいえば、部分的に異なる厚さをもつ基板を用いて、微細パターンを形成する際に、下地層として、特定の屈折率及び吸光係数を有する有機反射防止層を設けることにより、基板の厚さの差異に基づく反射率の変動を抑制する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、IC、LSI及び液晶表示素子の微細化、多層化に伴って、リソグラフィー技術による微細パターンの形成の際、露光活性線による定在波の影響が大きな障害となってきた。このため、基板とホトレジスト層との間に有機系反射防止膜を介在させ、定在波の影響を抑制することが行われているが、最近ではホトレジスト層の薄膜化に対応して、反射防止膜の薄膜化への要求が高まってきている。
これまで、反射防止膜の形成方法としては、基板表面に蒸着により非晶質炭素皮膜を主体とする反射防止膜を形成させる方法(特開平11−8248号公報)や、有機系反射防止膜を形成する際に紫外線を照射して反射防止膜の光学特性を調整する方法(特開平8−37140号公報)が知られているが、これらの方法では、現在要求されている反射防止膜の薄膜化を行い、しかも定在波の完全な抑制を行うことは困難である。
【0003】
他方、エキシマレーザリソグラフィを用いる半導体デバイスの製造に際し、光学定数の異なる複数の材料層が同一基板に共存する場合に、いずれの材料層上においても良好な解像度を得るために、SiOxy系無機反射防止膜の光学定数及び膜厚を調整して光学条件を最適化することも知られている(特開平8−17711号公報)。
しかしながら、この方法を有機系反射防止膜を介して積層したホトレジスト膜に対してそのまま適用することはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、部分的に異なった厚さをもつ基板上に有機反射防止層を介してホトレジスト層を設けた感光性基材を用いて微細パターンを形成する際に、基板の面内における基板厚さの差異に基づく反射率の変動を抑制し、品質の一定した製品が得られる方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ホトリソグラフィー法により微細パターンを形成させる方法について種々研究を重ねた結果ホトレジスト層の下地層として有機反射防止層を設ける際に、この有機反射防止層を高吸光性化合物としてアントラセン系化合物を用い、これと含窒素架橋性化合物を含む有機溶剤溶液を用いて形成するとともに、上記吸光性化合物の種類及び含有量を選択して、有機反射防止層の屈折率及び吸光係数を特定の範囲に調整することにより、基板の厚さの差異に基づく面上の屈折率変化を小さくすることができ、品質変化の小さい微細パターンが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、部分的に異なる厚さをもつ基板上に、高吸光性化合物及び含窒素架橋性化合物を含む有機溶剤溶液を塗布し、乾燥して有機反射防止層を設けたのち、その上にホトレジスト層を積層し、次いで画像形成露光及び現像処理を施すことにより微細パターンを形成させる際に、前記有機溶剤溶液中の高吸光性化合物としてアントラセン系化合物の中から選ばれた少なくとも1種を用いるとともに、その種類及び含有量を選択することにより有機反射防止層の屈折率を1.7以上2.1以下の範囲に、かつ吸光係数を0.6よりも大きく1.0以下の範囲に調整することを特徴とする基板厚さの差異に基づく反射率の変動抑制方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明方法における基板及びホトレジストとしては、これまで微細パターン形成用として一般に用いられているものの中から任意に選んで使用することができる。
すなわち、基板としてはケイ素を用いることができるし、ホトレジストとしては、ネガ型、ポジ型を問わず、アルカリ水溶液を用いて現像できるものであればどのようなレジストでも使用することができる。
このようなレジストの例としては、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、架橋剤、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジストなどがあるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0008】
本発明方法においては、基板とホトレジスト層との間に設ける有機反射防止層を、アントラセン系化合物の中から選ばれた少なくとも1種の高吸光性化合物及び含窒素架橋性化合物を含む有機溶剤溶液を用いて形成する必要がある。
この高吸光性化合物は、一般に紫外線吸収剤として用いられているアントラセン系化合物いずれでもよい。このような高吸光性化合物の例としては1‐ヒドロキシアントラセン、9‐ヒドロキシアントラセン、1,2‐ジヒドロキシアントラセン、1,5‐ジヒドロキシアントラセン、9,10‐ジヒドロキシアントラセン、1,2,3‐トリヒドロキシアントラセン、1,2,3,4‐テトラヒドロキシアントラセン、1,2,3,4,5,6‐ヘキサヒドロキシアントラセン、1,2,3,4,5,6,7,8‐オクタヒドロキシアントラセン、1‐ヒドロキシメチルアントラセン、9‐ヒドロキシメチルアントラセン、9‐ヒドロキシエチルアントラセン、9‐ヒドロキシヘキシルアントラセン、9‐ヒドロキシオクチルアントラセン、9,10‐ジヒドロキシメチルアントラセン、9‐アントラセンカルボン酸などのアントラセン系化合物を挙げることができる
これらの高吸光性化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
また、含窒素架橋性化合物としては、加熱により自己同士、あるいは併用する高吸光性化合物との間で架橋を形成しうる官能基をもつもの、例えばヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物を挙げることができる。このような化合物の例としては、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基あるいはその両方で置換されたメラミン、尿素、グアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素などを挙げることができる。これらの含窒素化合物は、例えばメラミン、尿素、グアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素などを沸騰水中においてホルマリンと反応させてメチロール化することにより、あるいはこれにさらにメタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノールのような低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に製造することができる。
【0010】
これらの含窒素化合物の中では、特に一般式
【化1】
Figure 0003677413
(式中のAは水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は−NR12基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はたがいに同じか異なったもので、それぞれ水素原子、メチロール基又はアルコキシメチル基を示すが、分子中に存在する4〜6個のR1、R2、R3、R4、R5及びR6の中の少なくとも2個はメチロール基又はアルコキシメチル基である)
で表わされる化合物が架橋反応性がよいので有利である。この一般式で表わされる化合物中のメラミン誘導体はメラミン環1個当り、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個未満有するものが好ましく、このようなメラミン誘導体としては、三和ケミカル社から市販されているMW−22、MW−24XなどのMWシリーズ、MS−11、MS−21などのMSシリーズ、MX−035、MX−750などのMXシリーズ及びSM−651、SM−652などのSMシリーズ、さらには三井サイアナミッド社から市販されているサイメルシリーズが好適に用いられる。また、グアナミン誘導体としては、三和ケミカル社から市販されているSB−201、SB−203などのSBシリーズ、BX−55H、BX−37などのBXシリーズ及びBL−60、さらには三井サイアナミッド社から市販されているサイメルシリーズ、マイコートシリーズが好適に用いられる。また、これらの化合物は二量体又は三量体として用いてもよい。
本発明においては、前記含窒素架橋性化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明方法における有機反射防止層には、所望に応じバインダー樹脂を含有させることもできる。このようなバインダー樹脂としては、例えばポリアミド酸、ポリスルホン、ハロゲン化重合体、ポリアセタール、アセタール共重合体、α‐置換ビニル重合体、ポリアミン酸、ポリブテンスルホン酸、アクリル系樹脂などがあるが、特にアクリレート単位を少なくとも1個有するアクリル系樹脂が好ましい。このアクリル系樹脂としては、例えばグリシジルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートなどのアルキルアクリレート、4‐(4‐ヒドロキシフェニル)スルホニルフェニルアクリレート及び対応するメタクリレートなどを重合して得られる重合体が好ましい。このような重合体としては、例えばポリグリシジルアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ[4‐(4‐ヒドロキシフェニル)スルホニルフェニルアクリレート]、グリシジルアクリレートとメチルアクリレートとの共重合体及び対応するメタクリレート重合体又は共重合体などを挙げることができる。なお、これらの中で、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートとの重量比2:8ないし8:2、特に3:7ないし7:3の共重合体や、ポリ[4‐(4‐ヒドロキシフェニル)スルホニルフェニルメタクリレート]が反射防止層上に形成するレジスト膜との間にインターミキシング層を発生しにくいという点で有利である。
【0012】
本発明で用いる反射防止層形成材料には、上記した高吸光性化合物及び含窒素架橋性化合物やバインダー樹脂のほかに必要に応じて、相容性のある公知の添加剤、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、o‐ヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジニトロ安息香酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、o‐ヒドロキシ安息香酸とp‐キシレンとの共重合体として市販されているSAX(商品名、三井東圧化学社製)などの有機酸を添加することができる。
【0013】
反射防止層は、例えば上記した高吸光性化合物、含窒素架橋性化合物及び所望に応じ用いられるバインダー樹脂や各種添加剤を有機溶剤に溶解して溶液を調製し、基板上に塗布、乾燥することによって形成させることができる。この際の溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノン、1,1,1‐トリメチルアセトンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール又はジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環状エーテル類や、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3‐メトキシプロピオン酸メチル、3‐エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などが用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
また、この反射防止層形成用溶液には、塗布性の向上やストリエーション防止のために、所望により界面活性剤を添加することもできる。このような界面活性剤としては、例えばサーフロンSC−103、SR−100(旭硝子社製)、EF−351(東北肥料社製)、フロラードFC−431、フロラードFC−135、フロラードFC−98、フロラードFC−430、フロラードFC−176(住友3M社製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。この場合の添加量としては反射防止層形成用溶液の固形分に対して、5000ppm未満、好ましくは2000ppm未満の範囲で選ぶのが好ましい。
【0015】
本発明方法で用いる反射防止層形成用溶液における高吸光性化合物と含窒素架橋性化合物との使用割合は、基板の面上の屈折率や他の添加物の種類、含有量によって変わるが、通常、高吸光性化合物100重量部当り、含窒素架橋性化合物10〜300重量部、特に20〜200重量部の範囲で選ばれる。
この反射防止層形成用溶液には、さらに硫黄含有酸残基をもつ無機酸又は有機酸を配合することができる。この中の硫黄含有酸残基をもつ無機酸としては、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸などが挙げられるが、特に硫酸が好ましい。一方、硫黄含有酸残基をもつ有機酸としては、有機スルホン酸、有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステルなどが挙げられるが、特に有機スルホン酸、例えば、一般式
7−X (II)
(式中のR7は、置換基を有しない若しくは有する炭化水素基、Xはスルホン酸基である)
で表わされる化合物が好ましい。
【0016】
上記一般式(II)において、R7の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、この炭化水素基は、飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。また、置換基としては、例えばフッ素原子などのハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基などが挙げられ、これらの置換基は1個導入されていてもよいし、複数個導入されていてもよい。
【0017】
7の炭化水素基は、芳香族炭化水素基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などでもよいが、これらの中で特にフェニル基が好ましい。また、これらの芳香族炭化水素基の芳香環には、炭素数1〜20のアルキル基を1個又は複数個結合していてもよい。上記炭素数1〜20の炭化水素基は飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、また、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。そのほか、この芳香環は、フッ素原子などのハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基などの置換基の1個又は複数個で置換されていてもよい。
このような有機スルホン酸としては、レジストパターン下部の形状改善効果の点から、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸又はそれらの混合物が好適である。
【0018】
上記の無機酸や有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、使用する酸の種類により異なるが、前記架橋剤100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部の範囲で選ばれる。
【0019】
本発明方法においては、例えばシリコンウエーハのような基板上に、前記の反射防止層形成材料をスピンナーなどの慣用的な塗布手段を用いて塗布し、乾燥させ、次いで150〜300℃の範囲の温度で加熱することにより反射防止層を形成させる。
【0020】
次に、このようにして形成された反射防止層を介して積層されるホトレジスト層として化学増幅型ホトレジストを用いる場合は、(A)フェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂及びその水酸基の一部を酸に対して不活性な置換基で保護してアルカリ不溶性とした樹脂の中から選ばれた少なくとも1種と、(B)酸発生剤と、(C)架橋性化合物とを含有するものを用いるのが好ましい。
【0021】
前記(A)成分のフェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂としては、例えば各種ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレン系樹脂などを挙げることができる。該ノボラック樹脂としては、例えばフェノール、m‐クレゾール、p‐クレゾール、o‐クレゾール、2,3‐キシレノール、2,5‐キシレノール、3,5‐キシレノール、3,4‐キシレノール、2,3,5‐トリメチルフェノール、2,3,5‐トリエチルフェノールなどのフェノール系化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどのアルデヒド類とを酸性触媒の存在下に常法により縮合させて得られるものである。このノボラック樹脂は、重量平均分子量2000〜30000のものが好ましく、この重量平均分子量が2000未満では残膜率が低下するとともに、レジストパターン形状が悪くなるし、また、30000を超えると解像性が劣化する。
【0022】
一方、ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、例えばヒドロキシスチレンの単独重合体やヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸やメタクリル酸やそれらの誘導体との共重合体などである。ここで、他のスチレン系単量体としては、例えばスチレン、p‐メチルスチレン、α‐メチルスチレン、o‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、p‐クロロスチレン及びこれらの混合物などが挙げられる。またアクリル酸やメタクリル酸の誘導体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル、アクリル酸アミド、アクリロニトリル、これらに対応するメタクリル酸誘導体及びこれらの混合物などを挙げることができる。このポリヒドロキシスチレン系樹脂は、重量平均分子量1000〜30000のものが好ましく、重量平均分子量が1000未満では残膜率が低下するとともに、レジストパターン形状が悪くなるし、30000を超えると解像性が劣化する。
【0023】
また、水酸基の一部を酸に対して不活性な置換基で保護してアルカリ不溶性とした樹脂としては、例えば上記したノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレン系樹脂の水酸基の一部を酸に対して不活性な置換基で保護した樹脂を挙げることができる。
【0024】
この酸に対して不活性な置換基とは、酸により変化しない置換基のことであり、このような置換基としては、例えば置換又は未置換のベンゼンスルホニル基、置換又は未置換のナフタレンスルホニル基、置換又は未置換のベンゼンカルボニル基、置換又は未置換のナフタレンカルボニル基などが挙げられる。置換又は未置換のベンゼンスルホニル基の例としては、ベンゼンスルホニル基、クロロベンゼンスルホニル基、メチルベンゼンスルホニル基、エチルベンゼンスルホニル基、プロピルベンゼンスルホニル基、メトキシベンゼンスルホニル基、エトキシベンゼンスルホニル基、プロポキシベンゼンスルホニル基、アセトアミノベンゼンスルホニル基などがあり、置換又は未置換のナフタレンスルホニル基の例としては、ナフタレンスルホニル基、クロロナフタレンスルホニル基、メチルナフタレンスルホニル基、エチルナフタレンスルホニル基、プロピルナフタレンスルホニル基、メトキシナフタレンスルホニル基、エトキシナフタレンスルホニル基、プロポキシナフタレンスルホニル基、アセトアミノナフタレンスルホニル基などがある。また、置換又は未置換のベンゼンカルボニル基及び置換又は未置換のナフタレンカルボニル基の例としては、前記置換基中のスルホニル基をカルボニル基に置き換えたものなどがある。
【0025】
これらの酸に対して不活性な置換基による置換率は、アルカリ可溶性樹脂の水酸基に対し、0.01〜1モル%の範囲、特に0.08〜0.15モル%の範囲が好ましい。
【0026】
前記(A)成分のフェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂の中では、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、特にポリヒドロキシスチレン及びp‐ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。また、水酸基の一部を酸に対して不活性な置換基で保護してアルカリ不溶性とした樹脂としては、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部をアセトアミノベンゼンスルホニル基で置換したものが感度及び解像性に優れるので有利である。これらの樹脂成分は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(B)成分の酸発生剤としては、化学増幅型レジスト組成物に慣用されている活性線の照射により酸を発生する化合物の中から任意に選んで用いることができる。
【0027】
一方、(C)成分の架橋性化合物としては、従来化学増幅型のネガ型レジストに架橋性化合物として慣用されているものの中から任意に選ぶことができる。このような架橋性化合物としては、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル‐ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド‐ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素‐ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。これらは、例えばメラミン、尿素、グアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素などから、これらを沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化あるいはこれにさらに低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られるが、市販品としてニカラックMx−750、ニカラックMx−290、ニカラックMx−30(いずれも三和ケミカル社製)などが入手することができる。
【0028】
また、1,3,5‐トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4‐トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4‐ビス(sec‐ブトキシメトキシ)ベンゼンなどのアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6‐ジヒドロキシメチル‐p‐クレゾール、2,6‐ジヒドロキシメチル‐p‐tert‐ブチルフェノールなどのヒドロキシル基又はアルコキシル基を含有するフェノール化合物なども用いることができる。
これらの架橋性化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
ネガ型レジスト層における各成分の配合割合については、(A)成分の樹脂と(C)成分の架橋性化合物は、重量比100:3ないし100:70の割合で配合するのが好ましい。架橋性化合物の量がこの範囲より少ないと感度が不十分になるおそれがあるし、またこの範囲より多くなると均一なレジスト層が形成されにくい上、現像性も低下して、良好なレジストパターンが得られにくくなる。感度、均一なレジスト層の形成及び現像性などの面から、(A)成分と(C)成分の特に好ましい配合割合は、重量比100:5ないし100:50の範囲で選ばれる。
【0030】
また、(B)成分の酸発生剤は、前記(A)成分と(C)成分との合計重量に対して、0.1〜30重量%の割合で配合するのが好ましい。(B)成分の量がこの範囲を逸脱すると像が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくくなる。像形成性及び現像性などの面から、この(B)成分の特に好ましい配合量は、(A)成分と(C)成分との合計重量に対して、1〜20重量%の範囲で選ばれる。
【0031】
本発明方法において、所定の反射防止層上にホトレジスト層を積層するには、例えば前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶剤に溶解して、ネガ型レジスト層形成用溶液を調製し、これを反射防止層上に、スピンナー、ドクターナイフなどの慣用的な塗布手段を用いて塗布し、乾燥することで形成させるのが好ましい。前記ネガ型レジスト層形成用溶液の調製に用いられる溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノン、1,1,1‐トリメチルアセトンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール又はジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環状エーテル類や、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3‐メトキシプロピオン酸メチル、3‐エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
また、このネガ型レジスト層形成用溶液には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト層の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加含有させることができる。
【0033】
本発明方法においては、このようにして得られる感光性基材の有機反射防止層の屈折率が1.7以上2.1以下の範囲内に、また吸光係数が0.6よりも大きく1.0以下の範囲内になるように高吸光性化合物の種類及び含有量を調整することが必要である。この場合、一般に屈折率の低い高吸光性化合物を用いる場合、含窒素架橋性化合物としては、重量平均重合度の低いものを用いる必要がある。また、屈折率の高い高吸光性化合物を用いる場合、含窒素架橋性化合物の重量平均重合度は特に限定されない。
【0034】
通常、感光性基材の吸光係数は、基板の厚さによっても影響されるが、有機反射防止層の屈折率が1.7以上2.1以下の範囲内においては、基板の厚さが変っても、ほとんど同じ傾向を示す。
例えば、一般に半導体デバイスや液晶表示素子の製造に際し、リソグラフィー技術を利用して微細パターンを形成させる場合、反射防止層の下地としては、図1に示すように金属配線層を担持した支持体上にCVD法によりSiO2層を形成し、CMP法により表面を平坦化した基板が用いられている。ところで、この際、蒸着されるSiO2層の厚さにより、その表面の反射率は変動するが、この反射率の最大値(Rmax)と最小値(Rmin)の差をΔRとしたとき、このΔRが小さいほど変動が小さいので、パターン寸法のバラツキを制御するには、ΔRをできるだけ小さくするのが望ましい。
なお、上記の基体表面の反射率の変動は、形成される金属、酸化膜又は半導体膜などの種類の相違によっても生じる。
そして、本発明方法においては、前記した有機反射防止層中の高吸光性化合物としてアントラセン系化合物を用いることにより、例えば図1と同様の基体を使用した場合、有機反射防止層の屈折率が1.7以上2.1以下の範囲内にあるとき、吸光係数を0.6よりも大きく1.0以下にすることによりΔRを4%以下に制御することができる。
【0035】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0036】
参考例1
基板として種々の厚さのSiO2を用い、その上に厚さが80nmで屈折率(n)が1.8と一定で、かつ異なる吸光係数(k)、すなわち0.4、0.5、0.6、0.7及び0.8をもつ5種類の有機反射防止層を設けた基材について、基板の厚さ(nm)とその面上の反射率(%)との関係を調べた。その結果をグラフとして図2に示す。
この図から明らかなように、基板上に有機反射防止層を設けた基材において、有機反射防止層の厚さ及び屈折率(n)が一定であれば、吸光係数(k)が異なっても、基板厚さとその面上の反射率との相対的な関係は変わらない。
【0037】
参考例2
参考例1における有機反射防止層の代りに、屈折率(n)が2.0のものを用いる以外は、すべて参考例1と同様にして、基板の厚さ(nm)とその面上の反射率(%)との関係を調べ、その結果をグラフとして図3に示す。
この図から明らかなように、有機反射防止層の屈折率が2.0のものにおいても、異なる吸光係数(k)についての基板厚さとその面上の反射率との相対的な関係は変わらない。
【0038】
実施例1
含窒素架橋性化合物SB−201(三和ケミカル社製、重量平均重合度1.28)10gと、高吸光性化合物アントラセンカルボン酸10gと、フッ素系界面活性剤フロラードFC−430(住友3M社製)0.01gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解し、固形分濃度5重量%の溶液を調製した。このものを異なった厚さをもつSiO2基板上に、スピンナー(3000rpm)を用いて塗布し、180℃で90秒間加熱することにより、厚さ80nmの反射防止層を形成させた。この有機反射防止層の屈折率は1.8、吸光係数は0.7であった。このもののSiO2の厚さ(nm)と反射率(%)との関係を調べ、グラフとして図4Aに示した。
次に、この基材に対して、化学増幅型ポジ型ホトレジストDP−308[東京応化工業(株)製]を塗布し、90℃で90秒間加熱処理を行い、ホトレジスト層を形成し、マスクパターンを介して縮小投影露光装置ニコンNSR−2005EX8A(ニコン社製)を用いて露光した後、ホットプレート上で110℃において90秒間加熱処理を行った。次いで2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像処理し、純水で洗浄することで0.18μmラインアンドスペースのホトレジストパターンを得た。
得られたホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、そのパターン寸法は0.18μmの均一なパターンであった。また、パターン側面の形状も良好であった。
【0039】
実施例2
基板としてSiO2の代りに、Si34を用いた以外は、実施例1と同様にして、この基板上に有機反射防止層を形成させた。この有機反射防止層の屈折率は1.8、吸光係数は0.7であった。このもののSi34の厚さ(nm)と反射率(%)との関係を調べ、グラフとして図4Bに示した。
次に、実施例1と同様の操作で0.18μmラインアンドスペースのホトレジストパターンを得た。
得られたホトレジストパターンも実施例1と同様に、パターン寸法が均一であり、パターン側面の形状も良好であった。
【0040】
比較例1
含窒素架橋性化合物サイメル1125−80(三井サイアナミッド社製、重量平均重合度3.00)10gと、高吸光性化合物4,4′‐ジヒドロキシフェニルスルホン10gとフッ素系界面活性剤フロラードFC−430(住友3M社製)0.01gとを、プロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解し、固形分濃度4重量%の溶液を調製した。このものを異なった厚さをもつSiO2基板上に、スピンナー(3000rpm)を用いて塗布し、180℃で90秒間加熱することにより、厚さ80nmの有機反射防止層を形成させた。この有機反射防止層の屈折率は1.8、吸光係数は0.4であった。このもののSiO2の厚さ(nm)と反射率(%)との関係を調べ、グラフとして図4Cに示した。
このようにして得た基材に対して、化学増幅型ポジ型ホトレジストDP−308[東京応化工業(株)製]を塗布し、90℃で90秒間加熱処理を行い、ホトレジスト層を形成した。次に、このホトレジスト層にマスクパターンを介し、縮小投影露光装置ニコンNSR−2005EX8A(ニコン社製)を用いて露光した後、ホットプレート上で110℃で90秒間加熱処理を行った。次いで2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像処理し、純水で洗浄することにより0.18μmラインアンドスペースのホトレジストパターンを得た。
得られたホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、パターン寸法にバラツキがみられた。また、パターン側面の形状も定在波の影響で歪みが認められた。
【0041】
比較例2
高吸光性化合物として4,4′‐ジヒドロキシフェニルスルホンの代りに、同量のアントラセンカルボン酸を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてSiO2基板上に、厚さ80nmの有機反射防止層を形成させた。このものの屈折率は1.45、吸光係数は0.7であった。このもののSiO2基板の厚さ(nm)と反射率(%)との関係を調べ、グラフとして図4Dに示した。
このようにして得た基材に対し、化学増幅型ポジ型ホトレジストDP−308[東京応化工業(株)製]を塗布し、90℃で90秒間加熱処理を行い、ホトレジスト層を形成した。次に、このホトレジスト層にマスクパターンを介し、縮小投影露光装置ニコンNSR−2005EX8A(ニコン社製)を用いて露光した後、ホットプレート上で110℃で90秒間加熱処理を行った。次いで2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像処理し、純水で洗浄することにより、0.18μmラインアンドスペースのホトレジストパターンを得た。
得られたホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、パターン寸法にバラツキがみられた。また、パターン側面の形状も定在波の影響で歪みが認められた。
【0042】
比較例3
含窒素架橋性化合物SB201(三和ケミカル社製、重量平均重合度1.28)8gと、高吸光性化合物アントラセンカルボン酸2gと、フッ素系界面活性剤フロラードFC−430(住友3M社製)0.01gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解し、固形分濃度5重量%の溶液を調製した。このものを異なった厚さをもつSiO2基板上に、スピンナー(3000rpm)を用いて塗布し、180℃で90秒間加熱することにより、厚さ80nmの反射防止層を形成させた。この有機反射防止層の屈折率は1.9、吸光係数は0.5であった。このもののSiO2の厚さ(nm)と反射率(%)との関係を調べ、グラフとして図4Eに示した。
次に、このようにして得た基材を用い、実施例1と同様の操作を施して、0.18μmラインアンドスペースのホトレジストパターンを得た。
得られたホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、パターン寸法にバラツキが認められた。また、パターン側面の形状についても定在波の影響で歪みが認められた。
【0043】
図4より、有機反射防止層の屈折率nが1.7以上2.1以下の範囲にあり、かつ吸光係数kが0.6よりも大きく1.0以下の範囲にある場合には、基板表面における反射率の最大値(Rmax)と最小値(Rmin)の差ΔRが4%以下であり、変動が少ないことが分かる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、有機反射防止層を介して、ホトレジスト層を設けた感光性基材において、高吸光性化合物としてアントラセン系化合物を用いた特定の屈折率及び吸光係数をもつ有機反射防止層下地層とすることにより、基板の厚さが異なっても、その面上の反射率の変動が少なく、最終的に品質が一定し、優れた性質の微細パターンを与えるものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反射防止層の下地の構造の1例を示す断面図。
【図2】 参考例1において、得られた試料についての基板の厚さと、その面上の反射率との関係を示すグラフ。
【図3】 参考例2において、得られた試料についての基板の厚さと、その面上の反射率との関係を示すグラフ。
【図4】 実施例1,2及び比較例1〜3において、得られた試料についての基板の厚さと反射率との関係を示すグラフ。

Claims (1)

  1. 部分的に異なる厚さをもつ基板上に、高吸光性化合物及び含窒素架橋性化合物を含む有機溶剤溶液を塗布し、乾燥して有機反射防止層を設けたのち、その上にホトレジスト層を積層し、次いで画像形成露光及び現像処理を施すことにより微細パターンを形成させる際に、前記有機溶剤溶液中の高吸光性化合物としてアントラセン系化合物の中から選ばれた少なくとも1種を用いるとともに、その種類及び含有量を選択することにより有機反射防止層の屈折率を1.7以上2.1以下の範囲に、かつ吸光係数を0.6よりも大きく1.0以下の範囲に調整することを特徴とする基板厚さの差異に基づく反射率の変動抑制方法。
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