JP3676876B2 - 弁付塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば修正液、水性又は油性のインキ、化粧料等の液状の流動体を紙面その他の塗布対象面に対して筆記するように線状に塗布するための塗布具、特に先端部を塗布対象面に押し付けることによって開弁させて流動体の流出流量を制御することができる弁を備えている型の弁付塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の弁付塗布具の例が実公平3−56293号公報、実公平5−17194号公報、及び実公平6−7818号公報等に記載されている。また、それらと同じものではないが、形状、構造の一部においてそれらと類似の特徴を有する弁付塗布具の従来例を図8〜図10に示す。これらの図に示した従来例は、先軸1’の先端部11’に開口する吐出口11aに続く内面に、弁体2’の弁部22と協働する弁座面11bと、弁体2’の軸部23と協働して塗布液の流出を制御する間隙G1 ’(第1の規制部)を形成する内面12b’を備えている。また、弁体2’には流路の途中を絞る鍔部25’が形成されており、先軸1’の円筒形部分13の内面13aとの間に間隙G3 ’(第2の規制部)を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図8〜図10に示す従来例では、間隙G3 ’及び間隙G1 ’からなる2つの規制部によって、それらの間に比較的容積の大きい空間Sが形成されるので、塗布液が流出するときにこの空間S内で流速が低下して停滞する。従って、図示しない軸本体内に収容されている大量の塗布液が、軸本体内に挿入されている球体等によって攪拌されても、その影響が空間S内の塗布液には及ばないので、空間S内に停滞した塗布液が凝固し易いという問題がある。
【0004】
また、従来例に設けられた鍔部25’による第2の規制部では、鍔部25’の厚さが小さいために十分な絞り効果が得られず、塗布液の流出を規制する作用が弱いが、絞り効果を高めるために鍔部25’の径を大きくして間隙G3 ’をより狭くすると、絞り効果は高くなっても、その反面において塗布液の凝固が一層起こり易くなるので、間隙G3 ’を小さくすることができない。
【0005】
更に、図8〜図10に示す従来例では、吐出される塗布液の全量が、中空のばね受け4’の貫通穴45aを通過した後にコイルスプリング3の線材の間隙を通って間隙G3 ’の上流側の空間14s’へ流れるようになっているので、コイルスプリング3もまた塗布液の流出を規制する作用をするが、コイルスプリング3は弁体2’の移動によって圧縮されて線材の間隔が変動するし、個々のコイルスプリング3の製作誤差や、組み付けに不具合があると、コイルスプリング3の絞り効果に大きなばらつきが生じるので、同じ種類の塗布具を同じ状態で使用しても、描かれる線の太さが異なるという結果を招くことになる。
【0006】
本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、先端部分を塗布対象面に過度に強く押しつけたり、軸本体を強く圧迫したり、或いは環境温度が高い時などでも、塗布液の急激な噴出を確実に抑えることができると共に、絞られた流路や流れの停滞する流路において塗布液が凝固するのを防止し、適量の塗布液が流出して一定の太さの線を正確に描くことができるような、改良された弁付塗布具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された弁付塗布具を提供する。
【0008】
請求項1に記載された弁付塗布具においては、弁体の弁部が弁座面から離れて開弁位置を取った時に、軸本体内に収容されている塗布液が吐出口から流出する際の塗布液の流量を規制するために、第1規制部を構成する第1の環状間隙が比較的狭く且つ軸線方向の長さが短くなるように設定されていると共に、第2規制部を構成する第2の環状間隙及び第3の環状間隙が、いずれも第1の環状間隙よりも広く、且つ第2規制部の合計の軸線方向の長さが、第1規制部の軸線方向の長さよりも長くなるように設定されていること、換言すれば、塗布液の流れを規制する絞りが、始めは弱いが、全体として下流側に向かって徐々に強くなっている点に第1の特徴がある。
【0009】
これによって第2規制部の間隙が比較的広くても流路の長さが十分長いので、絞り流路として十分な効果をもたらし、塗布液の急激な流出を確実に抑えることができる。また、第2規制部に鍔部のようなものを用いていないので、先端部の近くまで軸本体の大量の塗布液との交流があり、攪拌手段の影響も受けるので、第2規制部やその下流側の空間において塗布液が凝固する恐れが少なくなり、塗布具を長期間にわたって良い状態で使用することが可能となる。
【0010】
第2の特徴は、コイルスプリングの他端を支持するばね受けの貫通穴の下流側端部の開口において、コイルスプリングの他端の近傍に、塗布液が貫通穴内からコイルスプリングの各線材の間隙を経ることなく直接に第2規制部へ流れることができるバイパス通路を形成した点にあり、軸本体からばね受けの貫通穴を通過して下流側へ流れる塗布液は、コイルスプリングによる不確実な絞り効果を受けないで、バイパス通路から直接に下流側へ流れるから、コイルスプリングの状態に応じた作動上のばらつきが生じない。
第3の特徴は、ばね受けの貫通穴の下流側端部の開口と、第3の環状間隙との間であって、コイルスプリング側面と先軸の円錐形の第2の拡径部分の内面との間に、第3の環状間隙の上流側にある空間を備えていることにあります。
【0011】
請求項2に記載された弁付塗布具においては、前述のような特徴に加えて、コイルスプリングの他端を受け入れるばね受けの貫通穴の下流側端部の開口の内径が、コイルスプリングの外径よりも大きく設定されることによって、コイルスプリングの周囲にバイパス通路が形成されていると共に、ばね受けの貫通穴の下流側端部の開口に複数個の段部付き突条が形成されており、コイルスプリングの他端が突条に形成された段部によって支持されるように構成されているので、コイルスプリングがばね受けによって安定に支持されると共に、その支持部の周囲に塗布液のバイパス通路が合理的に形成されるという利点がある。
【0012】
請求項3に記載された弁付塗布具においては、前述のような特徴に加えて、先軸の先端部に近い最初の拡径部分の外面に、先端部の半球形外面に円滑に且つ直接に接続して先軸を先細形状とする実質的に円弧の回転面が形成されるので、塗布具の先端部を定規に沿って移動させながら線を描く場合には、軸本体を定規の方向に傾斜させることによって、定規との間隔を微調整することができるので、容易に定規に沿った正確な線を描くことができる利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
図7に本発明の実施形態である弁付塗布具の全体構造が一部断面として示されており、図1にはその要部である先端部分の断面構造が示されている。図2は図1に示した構造部分の作動状態を示すもので、幾つかの横断面の形状も併せて示されている。図3は図2におけるIII −III 断面を示しており、図4から図6の各図は、図1に示されている部分の構成部品をそれぞれ単独に取り出して示したものである。
【0014】
これらの図面から明らかなように、図示実施形態の弁付塗布具の先端部分において、その外殻を形成する先軸1の先端部11の外面には半球形の丸みが与えられており、先端部11に直ちに続く最初の拡径部分12の外面12aは、弁付塗布具本体の全長が例えば121mmで、先軸1の全長が31mmの場合に、図1或いは図2のような断面図において半径が30mmの円弧からなる輪郭線を有しており、円筒形や円錐形の外面と異なって、半球形の先端部11に滑らかに接続する箇所から円筒形の部分を設けないで直ちに、しかし最初は緩やかに外径が増加すると共に、先端部11から離れるに従って次第に勾配が増加する連続的な曲面、即ち円弧の回転面として形成されている。このような最初の拡径部分12の後端は、円筒形部分13を介して円錐形の第2の拡径部分14に接続しており、その拡径部分14は更に円筒形部分15と段部16を介して概ね円筒形の基部17に接続している。なお、基部17の外面には回転方向の滑り止めのために図6(a)に示すような軸線方向の多数の溝が形成されている。
【0015】
中空である先軸1の各部分の内面は、概ね前述のような、多段の表面形状を有する外面に沿ってやはり多段の形状に形成されているが、外面に沿っていない部分として、まず半球形の先端部11には、それを貫通して吐出口11aが実質的に円筒形内面として形成されている。また、それに続いて弁座面11bとなる円錐形の内面が段部として形成されており、更に、弁座面11bに続いて第1規制部Aを構成する内面12b(第1の内面)が最初の拡径部分12の内部において実質的に円筒形の内面としてそれぞれ形成されている。また、円筒形の基部17の内面の一部には図7に示すように軸本体5に螺合する雌螺子部17aが形成される。
【0016】
なお、先端部11の吐出口11aや、第1規制部Aのための拡径部分12の先端寄りの内面12bは必ずしも厳密に円筒形の内面でなくてもよく、きわめて円筒形に近い円錐形であってもよい。ちなみに、拡径部分12の内面の大半を占める円錐形の内面12c(第2の内面)と、それに接続している円筒形部分13の内面13a(第3の内面)は、共に後述の弁体2との間隙として第2規制部Bを構成する。
【0017】
中空の先軸1の先端部分の内部には図1及び図2に示すように弁体2が挿入されているが、弁体2は図6の(b)に示すような幾つかの円錐形部分と円柱形部分等からなる多段の外形状を有する。弁体2の先端部21は先軸1の先端部11の吐出口11aの中に所定の大きさの間隙が残るように比較的緩やかに挿通されており、その最先端には紙面のような塗布対象面上を滑らかに摺動することができるように半球形或いはそれに近い形の丸みが形成されている。先端部21に接続する小さな円錐形の弁部22は、図1に示すような不使用時においては、コイルスプリング3によって付勢されることにより先軸1の内面の弁座面11bに密着して、吐出口11aから塗布液が流出するのを遮断するが、図2に示すような使用時には、先端部21が塗布対象面に押しつけられることによって先軸1の弁座面11bから離れて、塗布液の吐出を許す弁間隙Gv を形成する。弁間隙Gv の大きさ、従って流出する塗布液の流量は、コイルスプリング3に抗して弁体2の先端部21を紙面のような塗布対象面に押し付ける強さによって決まる。
【0018】
円錐形の弁部22に続いて弁体2には、殆ど円柱形に近いが僅かに先細のテーパー状となった軸部23が形成されており、図2の(b)に示されているように先軸1の拡径部分12の先端寄りの内面12bとの間に微小な間隙G1 が残るように挿通されており、その間隙G1 が塗布液の流出を制御するための第1規制部Aとなる。即ち、コイルスプリング3に抗して弁体2の先端部21を紙面のような塗布対象面に押し付ける強さに応じて、先軸1に対する弁体2の没入移動の深さが変化することにより、第1規制部Aの実質的な長さが変化して、吐出される塗布液が第1規制部を通過する際の粘性抵抗が変化するのと、軸部23が僅かに先細のテーパー状となっているときには、弁体2の移動の深さによって間隙G1 の大きさが軸線方向及び半径方向に微妙に変化して、やはり塗布液が通過する際の粘性抵抗が変化する。従って、使用者がコイルスプリング3の付勢に抗して弁体2の先端部21を紙面のような塗布対象面に押しつける強さの程度を変えることによって、第1規制部Aの長さや間隙G1 の大きさが変化して、吐出される塗布液の流量を微細に制御することができる。
【0019】
弁体2には軸部23に続いて円錐形の胴部24が形成されており、胴部24は先軸1の円錐形の内面12cとの間に間隙G2 を形成する。また、弁体2の胴部24に接続して円柱形の胴部25が形成されており、胴部25は先軸1の円筒形部分の内面13aとの間に間隙G3 を形成する。間隙G2 と間隙G3 は接続して概ね前述の第2規制部Bを構成しており、先軸1に対する弁体2の没入の深さが変化する時に、間隙G2 の半径方向の幅や、間隙G3 の軸線方向の長さが変化することによって、塗布液が第2規制部Bを通過して流れる際の粘性抵抗が変化するので、第2規制部Bは前述の第1規制部Aと協働して、吐出口11aから流出する塗布液の流量を制御する作用をする。
【0020】
図6の(b)に明示するように、弁体2の基部には、円柱形の胴部25に続いて段部26と比較的大径の円柱形部分27が形成されており、更に、円錐形部分28を介して比較的小径の円柱形部分29が接続して形成されている。図1及び図2から明らかなように、弁体2の円柱形部分27にはコイルスプリング3の一端が段部26に当たるように嵌合されている。
【0021】
コイルスプリング3の他端を支持するために用いられるばね受け4は、単独に図4や図5に示されているような外形状を有しており、円錐形部分41とそれに続く概ね円筒形の部分42によって先軸1の円錐形の拡径部分14と円筒形部分15の内面に嵌合して支持される。また、その嵌合固定を助けるために鍔部43が円筒形の部分42に接続して形成されている。なお、ばね受け4の鍔部43よりも基端側の部分44は概ね円筒形のような適当な外形を有する。
【0022】
ばね受け4の外形は前述のようであるが、全体は中空の筒形であって内部に塗布液の通路となる軸線方向の貫通穴45を有する。貫通穴45の一端側の内壁面には軸線方向の突条46が数個形成されており、突条46には更に段部46aが形成されていて、段部46aが前述のコイルスプリング3の他端を受け止めている。このような構造によって貫通穴45の一端部の開口内面と、それによって受け入れられて支持されるコイルスプリング3の外面との間には図3に明示するような間隙G4 が形成される。この間隙G4 がばね受け4の貫通穴45を通過して流れる塗布液の出口の一部として、塗布液がコイルスプリング3の線材の間隙を通らないで貫通穴45の内部から第2規制部の間隙G3 の上流側の空間14sへ直接に流出し得るバイパス通路となる。貫通穴45はばね受け4の他端側の大部分において後述の攪拌用の球体の直径よりも大きくなるように拡径されており、拡径部45aには数個の軸線方向の突条45bが形成されると共に、端部に大きな切欠き45cが形成されている。
【0023】
図7に示すように、軸本体5は比較的軟質の合成樹脂からなる一端が閉じた中空で長めの円筒によって構成されているが、その他端の雄螺子部5aが先軸1の円筒形の基部17の内面に形成された雌螺子部17aに螺合されることによって先軸1と軸本体5が一体化される。そのときに同時に、ばね受け4の鍔部43がそれら両者の間に挟みこまれることによって、それらと一体化される。
【0024】
軸本体5の内部には塗布液が充填されているが、それを攪拌するために金属の球体6が一個以上収容されている。前述のばね受け4に設けられた突条45bと切欠き45cは、貫通穴の拡径部45aがこの球体6によって閉塞されないように、塗布液の流路を確保するためのものである。なお、組み立てが完了した状態で先軸1にはキャップ7が装着されるが、言うまでもなく塗布具の使用状態においては外される。7aはキャップ7に設けられたクリップである。
【0025】
図1から図7に示すと共に詳細に説明した本発明の実施形態の弁付塗布具はこのような構成を有するので、使用者は塗布具の使用に当たって予め軸本体5を十分に振って球体6により内部の塗布液をよく攪拌した後に、キャップ7を取り外して先軸1の先端部分を紙面のような塗布対象面に適当な強さで押し付ける。塗布対象面に接触する弁体2の先端部21が、反力によってコイルスプリング3の付勢に抗して吐出口11aの中へ押し込まれることにより、円錐形の弁部22が弁座面11bから離れて開弁位置へ移動する。この時の弁間隙Gv の大きさは、弁体2を塗布対象面に押し付ける強さによって決まる。
【0026】
このようにして弁間隙Gv が形成されると、軸本体5の内部の塗布液が重力だけでも流下して、弁体2の先端部21を伝って吐出口11aから塗布対象面へ流出する。そこで先端部11を塗布対象面上で定規等に沿って移動させることにより、塗布液が塗布対象面上に線状に塗布される。この時に、軸本体5の円筒面を指先で圧迫すると、その圧迫の強さによっても塗布液の流出速度、即ち単位時間当たりの流量が自由に変化して、従来のものと同様に、塗布具の移動の速度に応じて描かれる線の太さが自由に変化する。
【0027】
描かれる塗布液の線と図示しない定規との間隔は、軸本体5によって塗布対象面に対する先軸1の定規の方向における傾斜角度を変化させることによって自由に微調整することができる。本発明の実施形態においては、先軸1の最初の拡径部分12において外面12aが円弧の回転面となっているので、軸本体5を徐々に定規の方向に傾斜させてゆくと、始めは先端部11及びそれによって描かれる線が非常に僅かづつ定規から離れてゆくが、外面12aが円弧の回転面であるために勾配が徐々に増加するので、仮に一定の角速度で傾斜の角度を増加させてゆくと、先端部11が定規から離れる速さが次第に大きくなる。従って、実際に塗布具を使用する際に常時行われるように、塗布する線の軌跡をこの方法によって調整すると、きわめて容易に微調整を行うことができる。
【0028】
これに対して図8に示す従来の塗布具における先軸1’においては、先端部11’に続いて小さな円筒形の部分12a’が形成されているので、軸本体を図示しない定規の方向に傾斜させても、先軸1’の先端部11’及びそれによって描かれる線と、定規との間隔は一定であるから、描かれる線を調整することができない。もっとも、軸本体を定規の方向に対して直角の方向に傾斜させると定規との間隔を変化させることはできるが、このような方法によっては間隔を微調整したり、一定の太さの線を安定に描くことが難しい。
【0029】
また、先軸1’の先端部分の外形を、先端部11’から円筒形の部分12a’を経ないで直ちに図8に示すような単なる円錐形の最初の拡径部分12’に接続する形状とした場合には、軸本体を一定の角速度で定規の方向に傾斜させると、描かれる線が定規から離れるので或る程度の調整は可能であるが、この場合は線が定規から離れる速度も一定になるので微調整が難しい。従って、最初の拡径部分12の外面12aに、単なる円錐ではない円弧の回転面を用いている本発明の形状が有利であることは明らかである。
【0030】
塗布対象面に描かれる線の太さは、塗布対象面に弁体2の先端部21を押し付ける強さによって決まる弁間隙Gv の大きさや、先端部11を塗布対象面上で移動させる速度の他に、軸本体5の円筒面を指先で圧迫する強さや、軸本体5の上部に形成される空気の部分が環境温度に応じて熱膨張することによって、軸本体5の内圧が高まること等、色々な要因によっても様々に変化する。従って、不用意に弁体2の先端部21を塗布対象面に押し付けると、環境条件等によっては急激に多量の塗布液が吐出口11aから噴出して、描かれる線の太さが過度に太くなることがある。
【0031】
このような塗布の失敗を避けるために、本発明の塗布具では弁間隙Gv と直列になって塗布液の流出を制御する絞り流路として、弁間隙Gv に直列に接続する第1規制部Aと、更に第1規制部Aと直列に接続して塗布液の流出を制御する絞り流路としての第2規制部Bとを併せて設けている。この場合、第1規制部Aの軸線方向の長さは第2規制部Bのそれに比べて短いが、第1規制部Aが形成する間隙G1 は、第2規制部Bが形成する間隙G2 及び間隙G3 のいずれよりも小さくて絞り効果が大きい。これは特に塗布液が凝固し易い性質のものであるときに有利であって、間隙G1 が比較的小さくても第1規制部Aの長さが短くなっているために、弁体2の運動によって、比較的狭い第1規制部A内でも塗布液が凝固し難いという利点がある。
【0032】
第2規制部Bは、第1規制部Aに比べて断面積が大きいけれども、間隙G2 と間隙G3 の軸線方向における合計の長さ、即ち塗布液の絞り部としての流路長さが大きいので、それによって比較的緩やかな絞り効果をもたらす。図8に示す従来の塗布具における弁体2’のように、流路の途中を急に絞る鍔部25’のようなものを設けると、間隙G1 ’と鍔部25’の間に比較的断面積が大きくて両端が絞られた容量の大きい空間Sが形成されるので、空間S内では流出する塗布液の流速が減少することから、凝固し易い塗布液の場合は空間S内に停滞して凝固する可能性が高く、空間S内で塗布液が凝固するとそれ以後は塗布具が使用不能になる場合があるが、本発明の塗布具においては図8に示す鍔部25’のようなものを全く設けないので、空間Sのような両端を絞られた空間が形成されることもない。代わりに本発明においては第2規制部Bが形成されているが、第2規制部Bの容量は大き過ぎない適度のものであり、第2規制部Bの内部にある塗布液は軸本体5を振って攪拌させる時に軸本体5の内部の塗布液と入れ替わるから、第2規制部Bの内部に塗布液が停滞して凝固する恐れはない。
【0033】
また、図8に示す従来の塗布具においては、軸本体内の塗布液がばね受け4’の貫通穴の拡径部45aを通過して鍔部25’までの空間14s’へ流れるときには必ずコイルスプリング3の線材の間隙を通ることになるので、この間隙の大きさによって異なる絞り効果をもたらすが、個々のコイルスプリング3の寸法のばらつきや、コイルスプリング3の組み付けに不具合があると、塗布液の流出量に変化が生じて製品毎の性能がばらつく恐れがある。
【0034】
これに対して本発明においては、スプリング3の後端を支持するばね受4の貫通穴45のうちで前端の部分には複数個の軸線方向の突条46が半径方向内方に向かって突出しており、突条46には段部46aが形成されていて、スプリング3の後端はこの段部46aによって軸方向に支持されている。スプリング3の外径は、ばね受4の貫通穴45の突条46以外の部分の内径よりも十分小さく製作されているために、ばね受4とスプリング3が係合している図1や図2のような状態において、スプリング3の輪郭と、ばね受4の貫通穴45の開口との間には十分に大きな間隙G4 が生じている。
【0035】
従って、ばね受け4の貫通穴の拡径部45aを通過して空間14sへ流出する塗布液はスプリング3の線材の隙間を通らなくても、ばね受4の貫通穴45の周辺部分と、コイルスプリング3の外周との間隙G4 を通って空間14sへ確実に抜けることができ、この流路は流出する塗布液のためのバイパス通路として、コイルスプリング3がどのような伸縮状態にあっても流路を確保するので、コイルスプリング3の状態によって塗布液の流出量に変化が生じて製品毎の性能がばらつくような恐れがない。
【0036】
【発明の効果】
本発明によって所期の目的が達成され、塗布液の流出量に過不足がなく、正確な線を描くことができ、製品毎のばらつきがなく、塗布液の凝固がなくて長期間の使用に耐える優れた弁付塗布具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図2】図(a)は実施形態の作動状態を示す縦断面図であり、図(b)ないし(e)は図(a)の各部分の横断面図である。
【図3】図2(a)のIII −III 断面における横断面図である。
【図4】ばね受けの部分的な縦断正面図である。
【図5】図4に示すばね受けの平面図である。
【図6】(a)は先軸の正面図で、(b)は弁体の正面図である。
【図7】弁付塗布具の全体構造を示す部分的な縦断面図である。
【図8】図(a)は従来例の作動状態を示す縦断面図であり、図(b)ないし(e)は図(a)の各部分の横断面図である。
【図9】図8(a)のIX−IX断面における横断面図である。
【図10】(a)は従来例の弁体を示す正面図であり、(b)は同じくばね受けを示す部分的な縦断面図である。
【符号の説明】
1,1’…先軸
2,2’…弁体
3…コイルスプリング
4,4’…ばね受け
5…軸本体
11…先端部
11a…吐出口
12…最初の拡径部分(円弧の回転面)
12a’…小さな円筒形の部分(従来例)
25’…鍔部
45…貫通穴
45c…切欠き
46…突条
46a…切欠き
G1 ,G1 ’…間隙(第1規制部A)
G2 ,G3 …間隙(第2規制部B)
G3 ’…間隙(従来の規制部)
G4 …間隙(バイパス通路)
Claims (3)
- 塗布液を収容する一端が閉じた中空筒状の軸本体と、
前記軸本体の他端に取り付けられ、先細とされた先端部に開口する塗布液の吐出口と、少なくとも、前記吐出口の上流側に隣接して形成された弁座面と、前記弁座面の上流側に形成された最初の拡径部分の前記先端部寄りの実質的に円筒形の第1の内面と、前記第1の内面の上流側に形成された前記最初の拡径部分の内面の大半を占める円錐形の第2の内面と、前記第2の内面の上流側に形成された円筒形部分の第3の内面と、前記第3の内面の上流側に形成された円錐形の第2の拡径部分の内面とを有する中空の先軸と、
前記先軸の内部空間に挿入され、前記吐出口から外部へ突出し得る先端部と、前記先端部の上流側に形成されて前記弁座面に対して接触し得る弁部と、少なくとも、前記先軸の第1の内面と対向してその間に第1の環状間隙を形成し得る実質的に円柱形の軸部と、前記軸部の上流側に形成されて前記先軸の第2の内面と対向してその間に第2の環状間隙を形成し得る円錐形の胴部と、前記円錐形の胴部の上流側に形成されて前記先軸の第3の内面と対向してその間に第3の環状間隙を形成し得る円柱形の胴部とを有する弁体と、
一端において前記弁体をその弁部が前記先軸の弁座面に接触する方向に付勢するコイルスプリングと、
塗布液が通過し得る貫通穴を有すると共に、前記コイルスプリングの他端を前記貫通穴の下流側端部の開口内に受け入れて支持するために、前記先軸の内部に取り付けられるばね受けとを備えていると共に、
前記弁体の弁部が前記弁座面から離れて開弁位置を取った時に、前記軸本体内に収容されている塗布液が前記吐出口から流出する際の塗布液の流量を規制するために、第1規制部を構成する前記第1の環状間隙が比較的狭く且つ軸線方向の長さが短くなるように、第2規制部を構成する前記第2の環状間隙及び前記第3の環状間隙が、いずれも前記第1の環状間隙よりも広く、且つ前記第2規制部の合計の軸線方向の長さが、前記第1規制部の軸線方向の長さよりも長くなるように設定されており、
更に、前記コイルスプリングの他端を支持する前記ばね受け4の前記貫通穴の下流側端部の開口において、前記コイルスプリングの前記他端の近傍に、塗布液が前記貫通穴内から前記コイルスプリングの各線材の間隙を経ることなく直接に前記第2規制部へ流れることができるバイパス通路を形成し、
前記ばね受けの貫通穴の下流側端部の開口と、前記第3の環状間隙との間であって、前記コイルスプリング側面と前記先軸の円錐形の第2の拡径部分の内面との間に、前記第3の環状間隙の上流側にある空間を備えていることを特徴とする弁付塗布具。 - 前記コイルスプリングの他端を受け入れる前記ばね受け4の前記貫通穴の下流側端部の開口の内径が、前記コイルスプリングの外径よりも大きく設定されることによって前記コイルスプリングの周囲に前記バイパス通路が形成されていると共に、前記ばね受けの貫通穴の下流側端部の開口に複数個の段部付き突条が形成されており、前記コイルスプリングの前記他端が前記突条に形成された段部によって支持されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載された弁付塗布具。
- 前記先軸の先端部に近い最初の拡径部分の外面に、前記先端部の半球形外面に円滑に且つ直接に接続して前記先軸を先細形状とする実質的に円弧の回転面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された弁付塗布具。
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