JP2004001246A - ボールペン - Google Patents

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Hideyuki Yamaguchi
山口 英之
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Abstract

【課題】簡易な構成で、ボールペンのインキの吐出量を調節し、異なる筆跡幅を得ることを目的とする。
【解決手段】環状の先端小口と、小口内縁部が先端部に形成されたボールハウスと、中心孔と、後孔と、この後孔より前記ボールハウスに連通するよう形成された複数の矢溝を有するとともに前記ボールハウスにボールを抱持したボールペンチップに、前記中心孔を通して、ボールの受け座となる棒伸部材を軸長手方向に移動調節自在に配設した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールを筆記媒体とするボールペンや、ボールを塗布体とする修正液や化粧液用の塗布ペンに関し、特に、ペンにおいて異なる筆跡幅を得るための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボールペンにおける筆跡の太さは、使用するインキとボール径に応じて吐出量調整がなされたチップに固有のものであり、使用者が異なる幅の筆跡を得たい場合には、径の異なるボールの組み込まれたチップを有する別のボールペンを求めるのが一般的であった。
【0003】
実開昭54−58239号公報には、螺旋状のインキ流量調整溝を有するインキ流量調節体をインキ収容管或いはチップ嵌着し、均一なインキ流出を可能ならしめることが記載されている。しかしながら、このものは、同一のボールペンで異なる筆跡幅を得る目的には用いることのできないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
異なる筆跡幅を得るためには、ボールペンにおいては、ボールハウス内壁とボールハウスに抱持されたボールとのクリアランスを調節してインキの吐出量を異ならせることが最も期待できる方法であると思われるが、本発明は、特に、ボールハウスとボールの軸長手方向のクリアランスに着目して種々構成を研究した結果、簡易な構成で、インキの吐出量を調節し、異なる筆跡幅を得ることできるようになったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、環状の先端小口と、小口内縁部が先端部に形成されたボールハウスと、中心孔と、後孔と、この後孔より前記ボールハウスに連通するよう形成された複数の矢溝を有するとともに前記ボールハウスにボールを抱持したボールペンチップに、前記中心孔を通して、ボールの受け座となる棒伸部材が軸長手方向に移動調節自在に配設されてなることを要旨とする。
【0006】
【実施例】
図に基づき本発明を説明する。図1において、フェライト系ステンレスや洋白や硬質の樹脂などよりなるチップTの先端のボールハウス1には、ボール2が回動自在に抱持されている。参照符号3は先端小口であり、この先端小口3は、金属チップの場合は、チップのテーパー面4の先端部をかしめロールによりボール2の方へ倒し込んで小口外縁部4aを形成することによりなるものであり、また、樹脂チップの場合は金型による成型時に形成されるものである。尚、前記ボール2は、0.3〜2.0mmの範囲で適宜選択されてよいが、0.7〜1.6mmの範囲のものが好ましい。
【0007】
また、テーパ面4の先端部の倒し込みにより小口内縁部5が形成され、この小口内縁部5によって前記ボール2が抱持され、外方への抜け止めを施されている。尚、ボール2の図中下方には、インキの流通路となる中心孔6が形成され、その中心孔6の周壁には、ボール2にインクを供給する、放射状の矢溝7が形成されている。また、前記中心孔6は中心孔6の内径よりも大きい内径を有する後孔8に連通している。そして、前記後孔8は水性やゲル状のいわゆる中性のインキを収容した図示しないインキ収容部に連通している。
【0008】
前記ボール2は、その先端の一部を前記先端小口3より突出させた状態で、前記ボールハウス1に抱持されているが、前記中心孔6には、後孔8からボール2の方へ伸びる棒伸部材9が配設され、この棒伸部材9によって前記ボール2が支承されている。前記棒伸部材9の図中上端面は、ボール2の曲面Rよりもやや大きいRの面に形成されてボールの受け座部9aとなっている。前記棒心部材9の直径は、前記中心孔6の内径よりも小さい径になっているが、ボール2の直径の二分の一以上の直径とするのがボール2を支承する上で好ましい。
【0009】
図2に基づき説明する。前記チップTの図示下方後部側には雄ねじ部10が形成され、チップホルダーHの内孔11に形成された雌ねじ部12に螺合して取り付け固定されている。そして、前記棒伸部材9はその後端が前記チップホルダーHの内段部13に当接して支承されている。この状態で、前記ボールハウスの小口内縁部5とボール2との間には適量のクリアランスが形成され、適量のインキがボール2の表面にに供給されるようになっている。尚、前記内段部13の中央には中心孔14が形成され、その周壁には複数の通溝15が形成されている。
【0010】
図示の状態は、雄ねじ部10の後端が前記内孔11の内段部13に当接して奧づきした状態であるが、チップTをねじの緩み方向に微量回転させれば、チップホルダーHに対してチップTを相対的に移動調節させることができるようになっている。そして、移動調節の後は、図示しない固定部材によりチップTの移動をクリンプするようになっている。
【0011】
図3は、チップTをねじの緩み方向に微量回転させてチップホルダーHに対して移動調節させた状態を示したものである。筆跡幅を広くしたい場合にこの操作を行えばよいのである。前記ボールハウスの小口内縁部5とボール2との間には前出の図1の状態よりはやや大きい量の長手のクリアランスが形成され、所望の量のインキがボール2の表面にに供給されるようになっている。尚、筆跡幅を細くしたい場合には前述と逆の操作をすればよい。
【0012】
図4に変形例を示し説明する。前記例と同じ部分については説明を省略する。前記チップTの後部がインキ収容体Rに移動調節自在に取り付けされるとともに、前記棒伸部材9の後端(図示下方)がインキ収容体内(後壁16)に支承されている例である。尚、棒心部材9はインキ収容体Rの内部のどの部分に支承されてもよい。また、棒心部材9は必ずしも個別の部材である必要はなく、前記インキ収容体Rに一体に形成されてもよい。
【0013】
図5に別の変形例を示し説明する。前記例と同じ部分については説明を省略する。前記チップTの後部がインキ収容体Rに取り付けされるとともに、前記棒心部材9の後部(図示下方)がインキ収容体Rの後壁17に螺合取り付けされて移動調節自在になっている例である。
本例によれば、チップTに接触操作することなく、インキ収容体Rを把持した状態で棒心部材9の移動調節行うことが可能である。
【0014】
図6に第2例を示し説明する。本例は、棒伸部材18が、ボール2を小口内縁部5に密接せしめるよう、弾撥部材19を介して軸長手方向(図示上方)に付勢されている例である。その他の部分については、前記各例と同様であるので説明を省略する。
本例によれば、ボール2が小口内縁部5に常時密接した状態になっているので、チップTの先端部分よりのインキの蒸発を極力抑制することができる。
【0015】
図7乃至図9に棒伸部材を移動調節せしめる変形例を示し説明する。何れもチップT、チップホルダーH、または、インキ収容体Rの側壁Wに移動制御部材20、21を配した例である。移動調節量が微量な場合に対応し易い例である。図7における移動制御部材20は、円柱状の部材であり、棒伸部材9の後端と当接する部分20aが偏芯した状態に形成されている。移動制御部材20を回転させる偏芯の度合いに応じて棒心部材9が移動調節される(図8参照)。
【0016】
図9における移動制御部材21にはねじ部が形成され、側壁Wに螺合取り付けされている。一方、棒伸部材22の側面には前記移動制御部材21の先端部が当接する傾斜部部22aが形成されている。移動制御部材21を回転させると棒心部材22が図示上下方向に移動調節されるのである。
以上説明した以外にも種々の変形例が可能である。各例において棒伸部材の材質や形状、また、相手部材との取り付けなどについては説明を省略したが、本発明の趣意を逸脱しない範囲で、種々なせるものである。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、環状の先端小口と、小口内縁部が先端部に形成されたボールハウスと、中心孔と、後孔と、この後孔より前記ボールハウスに連通するよう形成された複数の矢溝を有するとともに前記ボールハウスにボールを抱持したボールペンチップに、前記中心孔を通して、ボールの受け座となる棒伸部材が軸長手方向に移動調節自在に配設されてなるボールペンとしたので、簡易な構成で、インキの吐出量を調節して異なる筆跡幅を得ることできるようになったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す図。
【図2】本発明を示す図。
【図3】移動調節したチップを示す図。
【図4】変形例を示す図。
【図5】別の変形例を示す図。
【図6】第2例を示す図。
【図7】棒伸部材を移動調節せしめる変形例を示す図。
【図8】図7の移動制御部材を示す部分見取り図。
【図9】棒伸部材を移動調節せしめる変形例を示す図。
【符号の説明】
1  ボールハウス
2  ボール
3  先端小口
4  テーパー面
4a 小口外縁部
5  小口内縁部
6  中心孔
7   矢溝
8   後孔
9  棒伸部材
9a 受け座部
10  雄ねじ部
11  内孔
12  雌ねじ部
13  内段部
14  中心孔
15  通溝
16  後壁
17  後壁
18  棒伸部材
19  弾撥部材
20  移動制御部材
20a 当接部分
21  移動制御部材
22  棒伸部材
22a 傾斜部
T  チップ
H  チップホルダー
R  インキ収容体
W  側壁

Claims (5)

  1. 環状の先端小口と、小口内縁部が先端部に形成されたボールハウスと、中心孔と、後孔と、この後孔より前記ボールハウスに連通するよう形成された複数の矢溝を有するとともに前記ボールハウスにボールを抱持したボールペンチップに、前記中心孔を通して、ボールの受け座となる棒伸部材が軸長手方向に移動調節自在に配設されてなることを特徴とするボールペン。
  2. 前記ボールペンチップの後部がチップホルダーに移動調節自在に取り付けされるとともに、前記棒伸部材がチップホルダー内孔の内段部により支承されてなることを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
  3. 前記ボールペンチップの後部がインキ収容体に移動調節自在に取り付けされるとともに、前記棒伸部材がインキ収容体内に支承されてなることを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
  4. 前記ボールペンチップの後部がインキ収容体に取り付けされるとともに、前記棒心部材がインキ収容体に移動調節自在に取り付けされてなることを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
  5. 前記棒伸部材が、ボールを前記小口内縁部に密接せしめるよう、弾撥部材を介して軸長手方向に付勢されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のボールペン。
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