JP3676866B2 - 漏水防止装置及び漏水防止壁 - Google Patents

漏水防止装置及び漏水防止壁 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、地下室や地下駐車場等において、壁面からの漏水を防止するのに有効な漏水防止装置及び漏水防止壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の漏水を防止する技術は、特開平7ー197549号及び特開平7ー197550号公報に開示されている。これらの先行技術文献に記載された発明では、構造に特徴のある防水用壁板部材を用いる。この防水用壁部材は防水層を含んでいる。防水層は、面板と、透水層と、通水路とを有する。面板は、室内側に位置する部分であって、不透水性を有し内壁層の板状部分の一面側に取り付けられている。透水層は面板と一体化され多数の貫通孔を有し、面板の前面に間隔を隔てて配置され、通水路が間隔内に形成され縦方向に連続し縦方向の少なくとも一端側で開口している。
【0003】
この防水用壁部材が地下室または地下駐車場等の壁面に用いられた場合、壁面から生じる漏水は透水層の貫通孔から通水路内に導かれ、通水路を縦方向に流下する。防水層の面板は不透水性を有するから、通水路内に導かれた漏水が内壁側に漏水することがない。このため、防水能力の高い防水装置及び防水壁が得られる。通水路に導かれた漏水は、集水部材によって外部に排水される。
【0004】
かかる防水技術は、各階の内壁部分の漏水防止技術を開示したものであって、上下階の間を含んだ漏水防止技術を開示するものではない。従来は、各階の漏水は、各階の床または梁部分に設けられた側溝に一旦集められ、排水管を介して最下階の排水ピットに導かれる。この場合、排水管は下階の室内に露出したり、側溝によって壁側の床に段差を生ずる場合があり、各階の部屋の有効利用の障害となっている。また、側溝を設けると、床または梁の強度の低下を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、各階の部屋の有効利用を可能にし得る漏水防止装置及び漏水防止壁を提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの課題は、床または梁の強度を低下させることのない漏水防止装置及び漏水防止壁を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題解決のため、本発明に係る漏水防止装置は、壁部材と、樋部材とを含む。前記壁部材は、透水層と、不透水性層と、通水路とを有する。前記透水層及び不透水層は、相互間に間隔を隔てて配置される。前記通水路は、前記間隔内に形成され、長さ方向に貫通し、少なくとも長さ方向の一端側で開口する。前記樋部材は、前記通水路に流れる漏水を集水しまたは前記通水路に配水するように前記壁部材の長さ方向の少なくとも一端側に設けられ、前記漏水の流路を形成する面のうち前記壁部材と逆側の面に突出して設けられた少なくとも一つの接続口を有する。
【0008】
上述したように、壁部材を構成する透水層及び不透水層は、相互間に間隔を隔てて配置される。通水路は、間隔内に形成され、長さ方向に貫通し、少なくとも長さ方向の一端側で開口する。このため、壁部材を地下に設置した場合は、地中側から壁部材に滲み出した漏水が透水層を介して通水路に導かれ、通水路の開口端から排出される。また、通水路に導かれた漏水は、不透水性層により遮断され、室内側に漏れることはない。
【0009】
樋部材は、通水路に流れる漏水を集水しまたは通水路に配水するように壁部材の長さ方向の少なくとも一端側に設けられ、漏水の流路を形成する面のうち前記壁部材と逆側の面に突出して設けられた少なくとも一つの接続口を有するから、例えば、樋部材が通水路に流れる漏水を集水するように設けられた場合は、通水路から流出する漏水を集めて接続口部分から排出することができ、通水路に配水するように設けられた場合は、接続口部分から流入した漏水を通水路に分配して流すことができる。このため、漏水防止装置を各階に設け、接続口部分をホース等で接続すると、各階の壁部材部分に滲み出した漏水を下階に排水することができ、各階の床または梁部分に側溝を設ける必要性がなくなり、各階の部屋の有効利用を可能にし得る漏水防止装置が得られる。
【0010】
また、各階の床または梁部分に側溝を設ける必要性がなくなるから、床または梁の強度を低下させることのない漏水防止装置が得られる。
【0011】
本発明に係る漏水防止壁は、漏水防止装置と、連結ホースとを含む。前記漏水防止装置は、上述した本発明に係る漏水防止装置で構成され、各階の内壁部分に設けられる。前記連結ホースは、各階に設けられた前記漏水防止装置の前記接続口に接続される。このため、上述した漏水防止装置の特長及びそれによる作用効果の全てが得られ、各階の部屋の有効利用を可能にし、床または梁の強度を低下させることのない漏水防止壁が得られる。
【0012】
本発明の他の特長及びそれによる作用効果につては、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る漏水防止装置の分解斜視図である。本発明に係る漏水防止装置は、壁部材1と、樋部材2とを含む。
【0014】
壁部材1は、透水層11と、不透水性層12と、通水路13とを有する。透水層11及び不透水性層12は、相互間に間隔d1を隔てて配置される。通水路13は、間隔d1内に形成され、長さ方向Xに貫通し、少なくとも長さ方向Xの一端側131で開口する。設置状態では、透水層11は地中側となり、不透水性層12は室内側となり、長さ方向Xは上下方向となる。
【0015】
樋部材2は、通水路13に流れる漏水aを集水しまたは通水路13に配水するように壁部材1の長さ方向Xの少なくとも一端側に設けられ、漏水aの流路を形成する底面21に突出して設けられた少なくとも一つの接続口22を有する。図1に示す例では、接続口22は、長さ方向Xに貫通して突出するように形成されている。
【0016】
図2は本発明に係る漏水防止装置を複数階の地下室の壁に設置した状態を示す断面図である。図において、図1と同一参照符号は同一性ある構成部分を示している。参照符号3はホース、4は床、5は梁である。透水層11の側はコンクリート8が打設される。以下、図1及び図2を参照しながら、本発明に係る漏水防止装置の作用を説明する。
【0017】
上述したように、壁部材1を構成する透水層11及び不透水性層12は、相互間に間隔d1を隔てて配置される。通水路13は、間隔d1内に形成され、長さ方向Xに貫通し、少なくとも長さ方向Xの一端側131で開口する。このため、壁部材1を地下に設置した場合は、地中側から壁部材1に滲み出した漏水bが透水層11を介して通水路13に導かれ、通水路13の開口端131から排出される。通水路13に導かれた漏水aは、不透水性層12により遮断され、室内側に漏れることはない。
【0018】
樋部材2は、通水路13に流れる漏水aを集水しまたは通水路13に配水するように壁部材1の長さ方向Xの少なくとも一端側に設けられ、漏水aの流路を形成する底面21に突出して設けられた少なくとも一つの接続口22を有するから、例えば、樋部材2が通水路13に流れる漏水aを集水するように設けられた場合は、通水路13から流出する漏水aを集めて接続口22から排出することができ、通水路13に配水するように設けられた場合は、接続口22から流入した漏水aを通水路13に分配して流すことができる。このため、漏水防止装置を各階に設け、接続口22をホース等で接続すると、各階の壁部材1の部分に滲み出した漏水bを下階に排水することができる。これにより、各階の床4または梁5の部分に側溝を設ける必要性がなくなり、その結果、従来例に見られるような、排水管が下階の室内に露出したり、側溝によって壁側の床に段差を生ずる場合もなくなるので、各階の部屋の有効利用を可能にし得る漏水防止装置が得られる。
【0019】
また、各階の床4または梁5の部分に側溝を設ける必要性がなくなるから、床4または梁5の強度を低下させることのない漏水防止装置が得られる。
【0020】
図1に示す例では、通水路13は、複数備えられ、それぞれが厚み方向の両面板133、134の間に幅方向Yに設けられた隔壁135によって区画されて形成される。両面板133、134及び隔壁135は、耐久性、寸法精度等を満足するものであればよく、ポリプロピレン等のプラスチック材料、アルミニウム等の金属材料で構成できる。この構成によれば、この構成によれば、通水路13にスラッジ等が侵入し、通水路13の一部に目詰まりを生じた場合でも、その通水路13に溜った水を透水層11を通して、目詰まりを生じていない他の通水路13に導き、目詰まりを生じた通水路13の水頭圧を開放若しくは減圧することができる。また、通水路13は、隔壁135によって区画されて形成されているから、通水路13を形成する部分の軽量化が可能になり、漏水防止壁の形成が容易になる。更に、隔壁135による補強作用により、通水路部分の充分な機械的強度を確保できる。
【0021】
通水路13は、厚み方向Zの一面板133にスリット136を有する。スリット136は、幅方向Yに多数形成され、それぞれが一面板133の表面から通水路13に連通し、長さ方向Xに沿い間隔d2を隔てて配置される。この構成によれば、通水路13の一部に目詰まりを生じた場合に、その通水路13に溜った水をスリット136を通して、目詰まりを生じていない他の通水路13に導き、目詰まりを生じた通水路13の水頭圧を開放若しくは減圧することができる。しかも、スリット136は長さ方向Xに沿い間隔d2を隔てて配置されるから、スリット136の間隔及びその本数に応じて、上記作用効果を確保できる。このため、導水及び排水機能が一層高度化される。
【0022】
透水層11は、透水性シートで構成され、透水性シートが一面板133の表面に、接着等の手段によって積層して設けられる。透水性シートは好ましくは不織布で構成される。
【0023】
不透水性層12は、水を遮断するものであればよく、例えば繊維補強セメント板(FRC)、金属板またはそれらの複合体で構成される。不透水性層12が内壁を構成する場合は、不燃性板部材で形成される。
【0024】
樋部材2は、支持部23を有する。支持部23は、流路を形成する側壁24、25の開口側に設けられ、壁部材1の厚み方向Zの両側を挟み込むように壁部材1に接続される。樋部材2は、耐久性、機械的強度等を満足するものであればよく、ポリプロピレン等のプラスチック材料、アルミニウム等の金属材料で構成できる。この構成によれば、樋部材2を壁部材1に容易に装着できる。
【0025】
また、樋部材2は、水切片26を有する。水切片26は、流路を形成する側壁24、25の開口側において流路の内側に突出する。この構成によれば、接続口から流入した水を通水路13に配水する際に、通水路13に水を確実に導くことができる。
【0026】
更に、水切片26は、開口側に突出する突起261を有する。このため、水切片26の下面を伝って流れる水が突起261を通って通水路13に落下し、水切片26を伝って室内側へ導かれる水を遮断することができる。
【0027】
不透水性層12は、長さ方向Xの少なくとも一端側において、突起261に対応する部分に凹部121を有する。水切片26は、突起261が凹部121に納まるように設けられる。この構成によれば、突起261と嵌り合う凹部121に水膨張シーリング材やスポンジゴム122等を配置することにより、通水路13から室内側への漏水をほぼ完全に防止できる。
【0028】
図3は本発明に係る漏水防止装置の別の例の分解斜視図である。図において、図1と同一参照符号は同一性ある構成部分を示している。
【0029】
通水路13は、長さ方向Xの少なくとも一端側において、貫通孔を形成する肉厚部分、即ち隔壁部分135に突起261に対応する切欠部137を有する。水切片26は、突起261が切欠部137に納まるように設けられる。この構成によれば、水切片26の下面を伝って流れる水が突起261を通って通水路13に落下し、水切片26を伝って室内側へ導かれる水を遮断することができる。仮に、水が突起261を伝って室内側に流れようとした場合でも、面板134により遮断され、通水路13に落下する。
【0030】
図2を参照して本発明に係る漏水防止壁を説明する。本発明に係る漏水防止壁は、漏水防止装置A1、A2と、連結ホース3とを含む。漏水防止装置A1、A2は、上述した本発明に係る漏水防止装置で構成され、各階の内壁部分に設けられる。連結ホース3は、各階に設けられた漏水防止装置A1、A2の接続口22に接続される。連結ホース3は、好ましくは可撓性を有するホースで構成される。
【0031】
このため、上述した漏水防止装置A1、A2の特長及びそれによる作用効果の全てが得られ、各階の部屋の有効利用を可能にし、床4または梁5の強度を低下させることのない漏水防止壁が得られる。
【0032】
図2に示す例では、H型の受部材6を有する。H型の受部材6は、最下階の漏水防止装置A2の下側に配置され、その形状によって得られる中間の仕切り面板61に通水孔62を有し、通水孔62を通過した漏水aを排水ピット(図示しない)に導水する。このため、最下階に導かれた漏水aを排水ピットに確実に排水できる。
【0033】
更に、受部材6は条状の突起63を有する。この構成によれば、不透水性層12の下側の端面を伝って室内側へ導かれる水を遮断することができる。このような受部材6は、例えばアルミニウムの引き抜き加工によって得ることができる。受部材6は、平行する2つの条片のうち、地中側の条片の長さL2が室内側の条片の長さL1よりも長い。
【0034】
次に本発明に係る漏水防止壁形成方法について説明する。漏水防止壁は、複数の漏水防止装置を有する場合に限定して説明する。
【0035】
図4は本発明に係る漏水防止壁形成方法の実施のために準備された支持機構の1例を示す図である。山留め部材700の一面上に、上述した漏水防止装置を固定するための止め具710を間隔G1、G2を隔てて、上下及び左右に配置し、かつ、固定してある。山留め部材700は、図示のように、H鋼を間隔をおいて打ち込んで形成されている。このような山留め構造は、地下構造物の建設に当たって、よく採られるところである。止め具710はアングルまたは平板等でなる支持部材720の上に間隔G2を隔てて配置され、この支持部材720を、山留め部材700の上下方向に、ピッチ間隔G1を介して配置し、かつ、溶接、ボルト締めまたはその他の機械的結合手段によって、山留め部材700に固定してある。
【0036】
図5は止め具710の拡大断面図である。図示の止め具710は、ボルト部材711の両端部にオネジ部712、712を有し、他端側にネジ受体713を有する。ボルト部材711は、一端側のオネジ部712が、支持部材720に溶接、ボルト締めまたは他の機械的結合手段によって固定された長ネジ部材715にネジ結合され、更にロックナット714によって固定されている。ボルト部材711の他端側に備えられたオネジ部712は、ネジ受体713のメネジ部に結合されている。但し、図5に示す止め具710は、単なる1例であって、種々の変形が可能である。
【0037】
図4では、山留め部材700の基部に、集水部材となるH型の受部材6が配置されている。図6は受部材6の拡大断面図である。受部材6はそのH型形状によって得られる中間の仕切り面板61に通水孔62を有している。通水孔62は連続する長孔であってもよい。更に、受部材6は条状の突起63を有する。
【0038】
本発明に係る漏水防止壁形成方法の第1のステップは、図7に示されている。図示するように、第1のステップでは、漏水防止装置を固定するための手段として配置され、かつ、固定された複数の止め具710の各位置を、型板740に写し採る。型板740は、図8に示すように、止め具710に対応する位置に、切り抜き窓741と、それを塞ぐ透明シート742とを有する。止め具710の各位置を、型板740に写し採るには、図4に示すように、型板740の切り抜き窓741及び透明シート742の部分を、止め具710の先端に当て、ケガキ針等を用いて、透明シート742に止め具710の先端位置P1を印す(図8参照)。透明シート742は例えば透明な薄いプラスチックフィルムを、型板740の上に貼りつけることによって構成できる。
【0039】
次に、第2のステップでは、型板740に写し取られた止め具710の位置P1を、漏水防止装置の壁部材1に転写する。図9〜図11は第2のステップを示す図であり、型板740を壁部材1の上に重ね(図9及び図10参照)、ケガキ針等を用いて、型板740上に印された止め具710の位置P1を、壁部材1の表面に転写する(図11参照)。この方法によれば、止め具710の位置P1を、正確、かつ、迅速に壁部材1に転写することができる。
【0040】
第3のステップは、図12に示すように、壁部材1に、転写された位置P1で取り付け穴151を開ける。転写された位置P1は、止め具710の位置に正確に一致しているから、この転写の位置P1に取り付け穴151を開けることにより、壁部材1に、止め具710の位置P1に正確に一致した取り付け穴151を形成することができる。
【0041】
次に、第4のステップでは、図13に示すように、止め具710を構成するネジ受体713のメネジ部にボルト761を結合させておき、壁部材1に設けられた取り付け穴151をボルト761に合わせて、壁部材1を、止め具710に取り付ける。壁部材1に開けられた取り付け穴151は、止め具710の位置に正確に一致しているから、壁部材1は、止め具710に対する位置ずれを殆ど生じることなく、確実、かつ、迅速に取り付けることができる。
【0042】
第4のステップは、隣接する少なくとも2つの壁部材1を、互いに密着させる方向に引き寄せるステップを含むことができる。図14にその一例を示す。図14において、隣接する2枚の壁部材1のそれぞれにおいて、取り付け孔151から突出するボルト761のそれぞれに引き寄せ治具762を取り付け、引き寄せ治具762ー762間にボルト763をネジ結合させる。このボルト763を締め付けることにより、壁部材1ー1を密着させる。引き寄せ作業が終了した後は、止め具710ー710間を針金等の緊締具(図示しない)によって一体的に固定する。緊締作業終了後は引き寄せ治具762、ボルト763を除去する。ボルト761は残したままとする。
【0043】
上述の作業を繰り返して、必要数の壁部材1を敷設する。そして、壁部材1の敷設作業が終了した後、図15に示すように、樋部材2を壁部材1に装着する。
【0044】
次に、第5のステップでは、図16に示すように、漏水防止装置の接続口22に連結ホース3を接続する。そして、連結ホース3の接続作業が終了した後、図17に拡大して示すように、壁部材1の表面に縦バタB及び横バタC1、C2を取り付け、それによって壁部材1の組立体の全体を抑える。縦バタB及び横バタC1、C2は、壁部材1に残したボルト761にネジ結合させた緊締具Cによって締め付け固定されている。
【0045】
次に、図18に示すように、透水性層(透水性シート)11の面するコンクリート打設空間に、生コンクリート8を打設する。打込み型枠の製作時、また、打込み型枠組立て時に、水膨張シーリング材、スポンジゴムなどを、打込み型枠の上下左右、前後に充填することにより、打込み型枠の上下左右、前後の防水を完璧にすることができる。特に、突起63と嵌り合う凹部121の部分に水膨張シーリング材やスポンジゴム122などを配置することにより、山側(室外)から室内側への漏水をほぼ完全に防止できる。
【0046】
実施例において、通水路13を構成する一面板133の表面に、透水性シート11が積層されて設けられているから、この透水性シート11側に生コンクリート8を打設した場合、透水性シート11と生コンクリート8とが強力に接着する。
【0047】
また、通水路13は厚み方向の両面板133、134を残して長さ方向に貫通して設けられており、更に、スリット136が厚み方向の一面板133に多数形成されて、一面板133の表面から通水路13に連通し、このスリット136の設けられた一面板133に、透水性シート11が積層して設けられている。このため、コンクリート打設時の生コンクリート8中に含まれる水分が、透水性シート11を通してスリット136に導かれ、更にスリット136から通水路13に、矢印bで示されるごとく導かれ、通水路13を通って外部に排水される。この導水及び排水機能により、緻密で、強度の大きいコンクリート壁を形成できる。地下室において、地下外壁を通して侵入する漏水も、同様の導水及び排水機能によって外部に排水される。このため、高度の導水及び排水機能を確保できる。
【0048】
透水性シート11を設けた面板133とは反対側の面板134に、不透水性層12を形成する不燃性板部材が積層して設けられているので、機械的強度が増大すると共に、打ち込み型枠として用いてコンクリートを打設した後、不燃性板部材を内壁部材としてそのまま使用できる。
【0049】
打設された生コンクリート8が乾燥した後は、縦バタB、横バタC1、C2、ボルト761及び緊締具Cを取り除く。そして、図18及び図19に示すように、壁部材1のそれぞれにおいて、取り付け穴151にネジ170を差し込み、ネジ170の先端を止め具710のネジ受体713にネジ結合させる。これにより、壁部材1が止め具710に固定される。
【0050】
以上、具体的な実施の形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の基本思想及び教示に基づき、種々の変形をおこうなうことができることは自明である。
【0051】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(a)各階の部屋の有効利用を可能にし得る漏水防止装置及び漏水防止壁を提供できる。
(b)床または梁の強度を低下させることのない漏水防止装置及び漏水防止壁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る漏水防止装置の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る漏水防止装置を設置し、漏水防止壁を形成した状態の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る漏水防止装置の別の例の分解斜視図である。
【図4】本発明に係る漏水防止壁形成方法の実施のために準備された支持機構の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る漏水防止壁形成方法の実施に用いられる止め具の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る漏水防止壁形成方法の実施に用いられる受部材の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第1のステップを示す図である。
【図8】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第1のステップに用いられる型板の断面図である。
【図9】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第2のステップを示す図である。
【図10】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第2のステップを示す図である。
【図11】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第2のステップを示す図である。
【図12】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第3のステップを示す図である。
【図13】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第4のステップを示す図である。
【図14】本発明に係る漏水防止壁形成方法に含み得るステップを示す図である。
【図15】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第4のステップを示す図である。
【図16】本発明に係る漏水防止壁形成方法の第5のステップを示す図である。
【図17】図16に示した後のステップを示す拡大部分断面図である。
【図18】図17に示したステップに続く他のステップを示す拡大断面図である。
【図19】図18に示したステップの後に実行されるステップを示す図である。
【符号の説明】
1 壁部材
11 透水層
12 不透水層
13 通水路
2 樋部材
21 底面
22 接続口
3 連結ホース
4 床
5 梁
6 受け部材
710 止め具
740 型板

Claims (9)

  1. 壁部材と、樋部材とを含む漏水防止装置であって、
    前記壁部材は、透水層と、不透水性層と、通水路とを有しており、
    前記透水層及び不透水層は、相互間に間隔を隔てて配置されており、
    前記通水路は、前記間隔内に形成され、長さ方向に貫通し、少なくとも長さ方向の一端側で開口しており、
    前記樋部材は、前記通水路に流れる漏水を集水しまたは前記通水路に配水するように前記壁部材の長さ方向の少なくとも一端側に設けられ、前記漏水の流路を形成する面のうち前記壁部材と逆側の面に突出して設けられた少なくとも一つの接続口を有し、
    前記樋部材は、支持部を有し、前記支持部は前記通水路と連通する側において前記壁部材に向けて突出して設けられ、前記壁部材の厚み方向の外面を挟み込むように前記壁部材に接続され、
    前記樋部材は、前記通水路と連通する側において水切片を有し、前記水切片は前記支持部から前記流路の中央に向けて突出する
    漏水防止装置。
  2. 請求項1に記載された漏水防止装置であって、
    前記通水路は、複数備えられ、それぞれが厚み方向に隔てられた両面板の間を接続する隔壁によって区画されて形成される
    漏水防止装置。
  3. 請求項2に記載された漏水防止装置であって、
    前記通水路は、一面板にスリットを有しており、
    前記スリットは、前記幅方向に多数形成され、それぞれが前記一面板の表面から前記通水路に連通し、長さ方向に間隔を隔てて配置される
    漏水防止装置。
  4. 請求項3に記載された漏水防止装置であって、
    前記透水層は、透水性シートで構成され、透水性シートが前記一面板の表面に積層して設けられる
    漏水防止装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載された漏水防止装置であって、
    前記水切片は、前記壁部材に向けて突出する突起を有する
    漏水防止装置。
  6. 請求項5に記載された漏水防止装置であって、
    前記不透水性層は、前記長さ方向の少なくとも一端側において、前記突起に対応する部分に凹部を有しており、
    前記水切片は、前記突起が前記凹部に納まるように設けられる
    漏水防止装置。
  7. 請求項5に記載された漏水防止装置であって、
    前記通水路は、複数備えられ、それぞれが厚み方向に隔てられた両面板の間を接続する隔壁によって区画されて形成されており、
    前記隔壁には、前記長さ方向の少なくとも一端側において、前記突起に対応する切欠部が形成されており、
    前記水切片は、前記突起が前記切欠部に納まるように設けられる
    漏水防止装置。
  8. 漏水防止装置と、連結ホースとを含む漏水防止壁であって、
    前記漏水防止装置は、請求項1乃至7の何れか一項に記載されたものでなり、各階の内壁部分に設けられており、
    前記連結ホースは、各階に設けられた前記漏水防止装置の前記接続口に接続される
    漏水防止壁。
  9. 請求項8に記載された漏水防止壁であって、
    H型の受部材を有し、H型の受部材は、最下階の前記漏水防止装置の下側に配置され、その形状によって得られる中間の仕切り面板に通水孔を有し、前記通水孔を通過した漏水を排水ピットに導水する
    漏水防止壁。
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