JP3676173B2 - 静電容量式検出装置及び自己診断装置 - Google Patents

静電容量式検出装置及び自己診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電容量式のセンサーを備えた静電容量式検出装置及びこの静電容量式検出装置のための自己診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
センサーを用いた検出装置は各種知られている。例えば、生産機械等に人の手が近づいたか否かを検出する安全装置に光センサーが用いられている。光センサーは非接触での検出が可能であると言う利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光センサーでは検出エリアが狭いため、検出エリアを広げようとすると、数多くの光センサーを必要としコスト的に問題があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、検出エリアを十分確保することができる非接触のセンサーを用いた検出装置およびこの検出装置のための自己診断装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る静電容量式検出装置は、
第1の電極と、この第1の電極に対向配置される第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路とを備えたことを特徴とするものである。
【0005】
この検出装置に用いられるセンサーは、第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出するものである。第1の電極と第2の電極の間に、人や物体が侵入すると静電容量が変化するので、これを検出回路により検出することにより、人や物体の侵入等を検出することができる。つまり、非接触式のセンサーである。また、第1の電極と第2の電極の大きさを十分にとることにより、容易に検出エリアを拡大することができる。その結果、検出エリアを十分確保することができる非接触のセンサーを用いた検出装置を提供することができる。
【0006】
本発明の第1の好適な実施形態として、金属物体と非金属物体とが混在した状態で搬送経路に沿って搬送される搬送手段を備え、
前記搬送される物体群を挟むように前記第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、混在した物体群の中から金属物体を選別可能に構成されているものがあげられる。
【0007】
たとえば、搬送コンベア等の搬送手段に、アルミ缶(金属物体)や、ビン、ペットボトル(非金属物体)とを混在した状態で搬送させ、これらを、第1、第2の電極の間を通過させることにより、アルミ缶のみを選別することが可能である。これは、アルミ缶の比誘電率が他の非金属物体とは異なっているという性質に基づくものである。これにより、ごみの分別を確実に行うことができる。
【0008】
本発明の第2の実施形態として、比誘電率の異なる複数の物体が混在した状態で搬送経路に沿って搬送される搬送手段を備え、
前記搬送される物体群を挟むように前記第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、混在した物体群の中から特定の比誘電率を有する物体を選別可能に構成されているものがあげられる。
【0009】
第1の実施形態の変形例であるが、材質が異なると比誘電率も異なると言う性質に着目したものである。これにより、金属の分別のみならず、多種類の樹脂材料が混在したものから、特定の樹脂材料のみを分別することが可能となる。これにより、ごみの分別のみならず、例えば、その他多種の用途に応用できる静電容量式検出装置とすることができる。
【0010】
本発明の第3の実施形態として、建造物の出入口部の幅方向又は上下方向両側に前記第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、前記出入口部からの人又は物体の侵入を検出可能に構成されているものがあげられる。
【0011】
この構成によると、建造物のベランダ、扉、窓等の出入口部から侵入してくる泥棒や強盗の侵入を確実に検出することができる。人の比誘電率は、空気の比誘電率よりも大きいために、容易に検出することが可能である。
【0012】
本発明の第4の実施形態としてエレベータ等の扉の幅方向又は上下方向両側に前記第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、前記扉の前の人の存在を検出可能に構成されているものがあげられる。
【0013】
この構成によると、エレベータ等の扉の前に人が来ると、その人の存在を検出し、エレベータをその階にまで移動させると共に、自動的に扉を開けるようにすることができる。したがって、この静電容量式検出装置を利用することにより、身障者等には非常に便利の良いエレベータシステムとすることができる。
【0014】
本発明の第5の実施形態として、前記検出回路は、前記第1の電極と前記第2の電極の間に進入してきた導体の進入量を検出可能に構成されているものがあげられる。
【0015】
この構成は、第1、第2の電極の間に侵入してきた導体等の物体の進入量を検出するものであり、物体の進入量により静電容量の変化量が異なるために、検出回路により進入量を求めることができる。この静電容量式検出装置は、位置センサーとして用いることが可能であり、さまざまな用途に使用可能である。
【0016】
本発明の第6の実施形態として、トイレの便座の両側の壁面に第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、前記便座に人が座っているか否かを検出するものがあげられる。
【0017】
この構成によると、トイレに人が入ってきて便座に座った状態になると、静電容量の変化により人を検出する。この場合の用途として、例えば、1人暮らしの老人がいる場合に、トイレに人が入ってきたことを監視センターにおいて検出すると共に、トイレに入っている時間も監視できる。そして、トイレに入っている時間が通常よりも長いと判断された場合には、何らかの異常が発生したものとして対応措置を迅速に取ることができる。
【0018】
本発明の第7の実施形態として、建造物内の通路の両側に前記第1の電極と第2の電極が配置されており、前記検出回路は、前記第1の電極と第2の電極の間に人が侵入してきたことを検出し、これにより照明の点灯又は消灯を行うようにしたものがあげられる。
【0019】
この構成によると、第1、第2の電極の間に人が侵入すると、照明を自動点灯させることができる。つまり、人の侵入のないときには照明を点灯させておく必要がなく、無駄な電力の消費を防止できると共に、照明を点灯操作する手間を省くことができる。また、照明の点灯ではなく、消灯を行うように構成しても良い。
【0020】
本発明に係る自己診断装置は、上記いずれかの静電容量式検出装置の自己診断を行うための自己診断装置であって、
第1の電極と、この第1の電極に対向配置される第2の電極とからなる静電容量センサーと、
自己診断を行うために、前記静電容量センサーを作動させるための模擬信号を供給する模擬信号供給部と、
あらかじめ設定された幅の比較信号を出力する比較信号出力部と、
前記模擬信号により前記静電容量センサーから出力されるセンサー出力信号の幅と、前記比較信号の幅とを比較する比較判定部と、
前記比較の結果、前記センサー出力信号の幅が前記比較信号の幅よりも短い場合に、エラー信号を出力するエラー信号出力部とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
上記構成による作用・効果は次の通りである。
(1)静電容量センサーを作動させるための模擬信号を供給する。これは、例えば、第1の電極と第2の電極の間に補助電極を設けておき、この補助電極を模擬信号により動作させることにより、物体や人体が電極間に挿入したのと同じような状態を創出することができる。あるいは、第1の電極と第2の電極の間に模擬物体を挿入するような構成にしても良い。
(2)静電容量センサーからは、上記模擬信号によりある幅を有するセンサー出力信号が出力される。
(3)一方、模擬信号の供給に関連して設定された幅の比較信号を出力させる。
(4)比較信号の幅とセンサー出力信号の幅とを比較する。
(5)センサー出力信号の幅が比較信号の幅よりも短い場合には、エラー信号を出力する。
【0022】
これは、静電容量センサー等が正常であれば、所定幅以上の幅を有するセンサー出力信号が出力されるはず、と言う技術思想に基づくものである。比較信号の幅よりも短い場合とは、もちろん、センサー出力信号がまったく出力されないような場合も含まれる。以上のような、センサー出力信号の幅でもってエラーか否かを判定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、静電容量センサーを用いた静電容量式検出装置の検出原理を説明する図である。図1(a)において、第1の電極10と、第2の電極11とが向かい合うように配置されている。通常の状態では、第1、第2の電極10,11の間の静電容量はCoであり、これら電極間に人や物体が侵入すると、静電容量はCo+ΔCとなる。また、第1の電極10の後側には第1ガード板12が設けられ、第2の電極11の後側には第2ガード板13が設けられている。第1の電極10からの配線は第1ガードケーブル14によりガードされており、第2の電極11からの配線は第2ガードケーブル15によりガードされている。
【0024】
第1、第2ガード板12,13を設けているのは、次の理由による。つまり、第1、第2の電極10,11の間が本来の検出領域であるが、実際には、電気力線が各電極10、11の裏側(検出領域とは反対側)、一方の電極の裏側から他方の電極の裏側にも伸びているため、本来の検出領域の外にも電界が形成されている。そうすると、各電極10,11の裏側を人や物体が通過することによっても静電容量が変化するため、これが誤検出の原因となってしまう。そこで、上記のごとく第1、第2ガード板12,13を設けることにより、各電極10,11の裏側には電界が形成されなくなり、誤検出を防止することができる。
【0025】
図1(a)に戻り、e1,e2は測定電源、CBは平衡静電容量、Ziはアンプの入力インピーダンスである。アンプの出力部に検出器16(図1(b)参照)を接続する。第1ガードケーブル14の一端部は第1ガード板12と接続され、他端部は接地されている。第2ガードケーブル15の一端部は第2ガード板13と接続され、他端部は第1ガードケーブル14の前記他端部を介して接地されている。
また、自己診断を行うための補助電極40が設けられており、スイッチ41はこの補助電極40を機能させるためのものである。これについては後述する。
【0026】
図1(b)は検出回路の原理を示す図である。検出回路は、インピーダンスブリッジを用いたもので、基本形の4辺ブリッジのうちの2辺を測定電源e1,e2とし、他の2辺が検出静電容量Coと平衡静電容量CBとなる。
【0027】
<等価回路>
図2は、図1に示す静電容量式検出装置の等価回路の構成を示す図である。Coは、第1、第2の電極10,11の間に人や物体が入りこんでいない状態の静電容量である。ΔCは、第1、第2の電極10,11の間に人や物体が入りこんだ場合の静電容量の変化分である。C1は、第1ガードケーブル14と第1の電極10と、第1ガード板12との間の静電容量である。C2は、第2ガードケーブル15と第2の電極11と、第2ガード板13との間の静電容量である。CBは平衡静電容量であり、CB=Co×(e1/e2)である。Ze1は、測定電源e1の内部インピーダンスである。Ze2は、測定電源e2の内部インピーダンスである。
【0028】
第1、第2の電極10,11の間に空気のみが存在する状態で測定電源e1,e2を投入すると、測定電源e1から容量C2を通って流れる電流は、測定電源e1の電圧がZe1×i1よりも十分に大きい場合は、インピーダンスZiにはほとんど流れず無視できる。また、容量Coを通って流れる電流は容量C1とインピーダンスZiに分かれる。このとき、1/(ωC1)がZiよりも十分に大きい場合、電流i1のほとんどがインピーダンスZiに流れる。測定電源e2から、容量CBを通って流れる電流はi2は、電流i1に等しく位相差が180゜とした場合、インピーダンスZiに流れる電流はゼロとなる。
【0029】
今、第1、第2の電極10,11の間に、人又は物体が入りこむと、その比誘電率に応じた量だけ容量Coが変化する。この変化分をΔCとすると、電流i1は、e1ωΔCだけ変化し、インピーダンスZiに電流が流れ、信号として検出される。図2に示す検出回路では、第1、第2の電極10,11と第1、第2ガード板12,13との間で構成される静電容量や配線(同軸ケーブル)の静電容量、その他の外乱の影響を受けにくく、第1、第2の電極10,11の間の静電容量の変化を正確に検出することが可能である。
なお、図中ΔC’は、後述するように補助電極40を動作させた場合の、静電容量の変化分を示している。
【0030】
<応用例1>
本発明に係る静電容量式検出装置を種々の産業分野に応用した例を説明する。以下説明する各応用例においては、基本的に第1、第2の電極10,11の配置のみを示す。
【0031】
図3は、ベルトコンベア17により搬送されるアルミ缶(スチール缶でも可)Kをビン・ペットボトルから分別するための装置である。アルミの比誘電率がビンやペットボトルの比誘電率とは異なると言う原理に基づくものである。搬送されるアルミ缶等の物体を挟むように、第1、第2の電極10,11が配置されている。第1、第2の電極10,11の間にアルミ缶Kが来たことが検出されると、シリンダ18を作動させて、アルミ缶Kを回収用器19に回収する。図3の例では、搬送経路の左右両側に第1、第2の電極10,11が配置されているが、搬送経路の上側と下側にそれぞれ第1、第2の電極10,11を配置するようにしても良い。また、斜め方向からアルミ缶等の物体を挟むように第1、第2の電極10,11を配置しても良い。
【0032】
その他の変形例として、逆にビンやペットボトルのみを分別して回収するようにしても良い。いろいろな種類の素材が混在した状態で、ベルトコンベアに搭載されて搬送される場合に、特定の素材のみを分別できるような検出装置にすることができる。図3の例では、金属と非金属とを分別するものであったが、非金属の中でも特定の非金属素材のみを分別できるように構成することもできる。例えば、テフロンの比誘電率は2.0、PETの比誘電率は3.1〜3.2、軟質塩化ビニルの比誘電率は5.0〜9.0であることから、これらの比誘電率の違いに着目して、特定の樹脂のみを分別できるような検出装置を構成することもできる。
【0033】
<応用例2>
図4は、マンション、アパート等の建造物のベランダ(出入口部に相当する。)の手すり20の幅方向両側に第1、第2の電極10,11を配置した例である。これにより、泥棒の侵入を検出することができる。部屋の中に居住者がいる場合には、検出回路を不作動状態にし、居住者が就寝したり、外出したりするときに検出回路を作動状態にしておく。また、検出回路を監視センターに接続しておき常時モニターしておくことも可能である。電極は、露出させておくのではなく、カバー部材等により保護しておくのが好ましい。
【0034】
ベランダのほかに玄関の入口、窓、門、煙突等の出入口部に設けても良い。家の中の、特定の部屋の出入口(ドア)に設けても良い。
【0035】
<応用例3>
図5は、エレベータ21の扉の上下方向両側に第1、第2の電極10,11を配置した例である。扉の前に人が来ると、静電容量が変化し、人が来たことを検出する。これにより、エレベータがその階に既に来ておれば、扉を自動的に開放する。人は、わざわざ押しボタンを押さなくてもよい。また、エレベータが他の階におれば、その階に自動的に移動させることができる。かかる検出装置は、身障者等にとっては、わざわざ身を乗り出して押しボタンを押さなくてもすむと言う長所がある。上下方向に第1、第2の電極10,11を配置することにより、エレベータ21の扉21の周辺に障害物を設置しなくてすみ、又、美観も損なわずにすむ。
【0036】
また、第1、第2の電極10,11の配置については、扉21の上下方向ではなく、扉21の幅方向の両側に配置しても良い。この場合において、各電極10,11の高さは、床面から所定の高さになるように設定されている。床面位置から設定することで、大人だけでなく子供でも検出することができる。
変形例として、エレベータではなく、デパートやビルディングの自動ドアの場合にも応用することができる。
【0037】
<応用例4>
図6は、第1の電極10と第2の電極11の間に導体22等の物体が侵入してきたことを検出する装置である。導体22の進入量により静電容量の変化量も異なる。よって、この変化を検出することにより導体22の位置を検出することができるので、図6の装置は位置センサーとして各種産業分野に応用することができる。
【0038】
<応用例5>
図7は、洋式トイレの室内の便座23の左右両側の壁面に第1、第2の電極10,11を配置した例である。トイレに人が入ってきて便座23の上に腰掛けると、人の存在を検出することができる。この場合の用途として、例えば、1人暮らしの老人がいる場合に、トイレに人が入ってきたことを監視センターにおいて検出すると共に、トイレに入っている時間も監視する。そして、トイレに入っている時間が通常よりも長いと判断された場合には、何らかの異常が発生したものとして対応策を取ることができる。病院や施設におけるトイレにおいては特に必要性が高いものである。第1、第2電極10,11は壁面の内部に埋め込んでおけば美観を損なわないので好ましい。
【0039】
第1、第2の電極10,11は、左右両側の壁面ではなく、上下両側の壁面(床面と天井面)に配置しても良い。
変形例として、トイレ以外に浴室にも応用できる。例えば、浴室内の対向する一対の壁面部に第1、第2の電極を配置することにより、浴室内における人の滞在時間を監視することができる。また、湯船内に第1、第2の電極を配置することにより、人が湯船内に浸かっている時間を監視することができる。これにより不慮の事故を未然に防止できることが期待される。
【0040】
<応用例6>
図8は、室内の廊下等の通路の左右両側に第1、第2の電極10,11が配置されている構成例であり、人が電極間に侵入するとこれを検出して照明24を自動点灯する。この検出装置によれば、人の侵入のないときには照明を点灯させておく必要がなく、無駄な電力の消費を防止できると共に、照明を点灯操作する手間を省くことができる。
【0041】
通路の左右両側ではなく、上下両側(床面と天井面)に第1、第2の電極10,11を配置するようにしても良い。
変形例として、家の玄関に人が入ってきたときに自動的に照明を点灯するような構成があげられる。また、トイレや浴室、あるいはその他の室内に人が入ってきたときに自動的に照明を点灯するような構成もあげられる。また、照明の点灯ではなく、照明の消灯を行う場合にも応用できる。
【0042】
<自己診断装置>
次に、本発明に係る静電容量センサーを用いた検出装置の自己診断装置について説明する。図9は、静電容量式検出装置の自己診断を行うための自己診断回路を示すシーケンス図であり、このシーケンスは、マイクロプロセッサ・プログラマブル・コントローラ、パーソナルコンピュータ等、電気制御できる部品、装置で構成できる。図10は図9のシーケンス図に対応したタイムチャート及び補助電極駆動部を示す図である。この自己診断装置は、第1の電極10と第2の電極11(静電容量センサー)のいずれか一方の電極に対向するように補助電極40を設置し、これを、後述する模擬信号発生用リレーR2(図1のスイッチ41に相当する。)により、定期的にスイッチングさせ、所望の検知ができるか否かをチェックするものである。
【0043】
図9において、自己診断を行う周期を設定するための周期タイマーT1とこの周期タイマーT1のB接点とが直列接続され、周期タイマーT1と並列接続された模擬信号を出力させるための模擬信号タイマーT2と、同じく周期タイマーT1と並列接続された自己診断を行う時間を設定するための自己診断タイマーT3とが設けられている。
【0044】
静電容量センサーの作動によりONされるSWと直列にセンサー出力リレーR1が接続される。つまり、SWのONによりセンサー出力リレーR1が励磁される(ONとなる。)。センサー出力リレーR1がONになる時間は、センサー出力信号の幅 (図10のr1,r2,r3参照) に相当する。
模擬信号タイマーT2のB接点と模擬信号発生用リレーR2とが直列接続される。つまり、模擬信号タイマーT2により設定される時間t2だけセンサーを作動させるための模擬信号を発生させる (図10参照) 。
自己診断タイマーT3のB接点と自己診断信号出力用リレーR3とが直列接続される。これにより、自己診断タイマーT3により設定される時間t3は、自己診断を行う時間として設定される。時間t3は、センサー出力信号の幅の大きさを考慮して、これをカバーできるように設定される。
【0045】
センサー出力リレーR1のA接点と幅判定タイマーT4とが直列接続される。幅判定タイマーT4は、あらかじめ設定された幅を有する比較信号を出力するために設けられ、この比較信号の幅とセンサー出力信号との幅を比較することにより、静電容量センサー等にエラーが発生しているか否かを判定する。
【0046】
幅判定タイマーT4のA接点と幅判定用リレーR4とが直列接続されている。そして、この幅判定用リレーR4により、幅判定タイマーT4により設定された時間t4だけ比較信号を出力する (図10参照) 。
幅判定用リレーR4のA接点と、センサー出力リレーR1のA接点と、模擬信号発生用リレーR2のB接点と、正常信号発生用リレーR5とが直列接続され、かつ、幅判定用リレーR4のA接点及びセンサー出力リレーR1のA接点と、正常信号発生用リレーR5のA接点とが並列接続される。つまり、リレーR1,R4のONとリレーR2のOFFによりリレーR5がONとなる。
【0047】
自己診断信号出力用リレーR3のA接点と、エラー信号発生用リレーR6とが直列接続される。また、リレーR3と正常信号発生用リレーR5のA接点とは並列接続されている。
正常検知信号発生用リレーR7と、自己診断信号出力用リレーR3のB接点と、センサー出力リレーR1のA接点とが直列接続されている。また、リレーR3のA接点もリレーR7と直列接続されている。
【0048】
<自己診断回路のタイムチャート>
図10(b)は、第1の電極10と第2の電極11とからなる静電容量センサを用いた自己診断装置の概略模式図である。模擬人体(又は、模擬物体)として機能する補助電極40が模擬信号発生用リレーR2の接点を介して検出回路に接続されている。自己診断回路5は、図9に示されるシーケンス図に基づいて構成される。静電容量センサーは、第1、第2の電極10,11の間の静電容量が物体あるいは人の進入により変化することを検出し、これにより警報信号を出力したり所定の動作をさせたりする。つまり、補助電極40を動作させて、物体や人が第1、第2の電極10,11の間に進入してきたのと同じ状態を強制的に作り出すことにより、静電容量センサーの自己診断を行うことができる。
【0049】
そのため、模擬信号発生用リレーR2により、図10(a)に示すような模擬信号(R2)を自己診断回路5から周期的に発生させる。周期はt1で示され、これは周期タイマーT1により設定される。模擬信号(R2)の幅はt2で示されており、これは模擬信号発生用リレーR2により設定される。図10(a)では、説明の便宜上3周期分を示し、第1周期目はセンサーからの出力が正常であった場合、第2周期目はセンサーからの出力が異常(出力信号幅が小さい)であった場合、第3周期目はセンサーからの出力が異常(出力信号がなし)であった場合をそれぞれ示している。
【0050】
<正常な場合>
模擬信号(R2)により、補助電極40が動作し、第1、第2の電極10,11の間に静電容量の変化が起こる(図2のΔC’に相当する。)。これを検出回路により検出し、センサー出力リレーR1により出力信号(R1)が出力される。図10にも示すように、模擬信号(R2)と出力信号(R1)とはΔtの時間ずれがあるが、これはA/D変換器による変換遅れ等が原因によるものであり、実際は数10msec程度のわずかの量である。(図10は誇張して描かれている。)センサー等が正常であれば、出力信号(R1)は、幅tr1のパルス状信号となる。
【0051】
出力信号(R2)と同時に幅判定用リレーR4による比較信号(R4)が出力される。比較信号(R4)の幅は、幅判定タイマーT4によりt4になるように設定されている。なお、比較信号(R4)は通常Hレベル(ON)であり、Lレベル(OFF)がアクティブとなる。そして、幅判定時間t4が経過した時点で、出力信号(R2)がLレベル、かつ、比較信号(R4)がHレベル、かつ、出力信号(R1)がHレベルであれば、正常信号発生用リレーR5をONにし、Hレベルの正常信号(R5)を発生させる。つまり、比較信号(R4)の幅t4よりも出力信号(R1)の幅tr1が大きければ、センサー等は正常であると判定される。出力信号(R1)は幅tr1に相当する時間が経過するとLレベルに変化するが、リレーR5のA接点によりリレーR5は自己保持されるので、正常信号(R5)はそのままHレベルの状態で保持される。次の周期において模擬信号(R2)が立ち上がることにより、自己保持が解除される(図9参照)。
【0052】
エラー信号発生用リレーR6は、自己診断の結果センサー等にエラーが発生するとLレベルのエラー信号(R6)を出力するためのものであるが、自己診断を行う期間を設定する自己診断信号(R3)が発生している間は、エラー信号を出力せず、自己診断期間が経過した後もHレベルの正常信号(R5)が出力されておればエラー信号(R6)を出力しないようになっている(図10参照)。
【0053】
正常検知信号発生用リレーR7は、自己診断を行わない通常の使用状態において、Lレベルの正常検知信号(R7)を出力する。リレーR7は、自己診断信号出力用リレーR3のA接点と直列接続されているので、自己診断期間中はLレベルの正常検知信号(R7)を出力しない。図10のように、r2で示されるような出力信号(R1)があった場合に、正常検知信号(R7)がLレベルとなる。
【0054】
図示はしていないが、エラー信号(R6)が出力された場合には、警報を出してオペレータに知らせるようにする。また、正常検知信号(R7)が出力された場合も警報を出すようにする。
【0055】
<異常な場合>
次に、静電容量センサー等に異常があり、出力信号(R1)の幅がtr3のように小さかったとする。この幅tr3は、設定された比較信号t4の幅よりも小さい。従って、自己診断期間t4が経過した時はすでにリレーR1がOFFになっており、その結果正常信号発生用リレーR5をONさせない。したがって、正常信号(R5)が出力されない。また、リレーR5がONされないから自己診断期間t3を経過すると、エラー信号発生用リレーR6はOFFになる。つまり、Lレベルのエラー信号(R6)を発生する。
静電容量センサーに異常があり、まったく出力信号R1が出てこない場合も、幅が小さい場合と同じような結果となる。
【0056】
以上のように、リレーR2とタイマーT2は模擬信号供給部として機能し、
リレーR4とタイマーT4は比較信号出力部として機能し、
リレーR1,R2,R4,R5は比較判定部として機能し、
リレーR3,R5,R6は、エラー信号出力部として機能し、
タイマーT3とリレーR3とは自己診断信号出力部として機能する。
【0057】
以上のように、本発明による静電容量式検出装置は、さまざまな産業分野において利用することができ、さらに自己診断機能を持たせることにより付加価値の高い装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電容量センサーを用いた静電容量式検出装置の検出原理を説明する図
【図2】図1の検出回路の詳細(等価回路)を示す図
【図3】本発明をアルミ缶の分別に用いた応用例
【図4】本発明を建造物のベランダに用いた応用例
【図5】本発明をエレベータに用いた応用例
【図6】本発明を位置センサーとして用いた応用例
【図7】本発明をトイレ室内に用いた応用例
【図8】本発明を通路における照明の自動点灯に用いた応用例
【図9】静電容量式検出装置の自己診断を行うための自己診断回路を示すシーケンス図
【図10】図9のシーケンス図に対応したタイムチャート及び補助電極駆動部を示す図
【符号の説明】
10 第1の電極
11 第2の電極
Co 静電容量
ΔC 静電容量の変化分
e1 測定電源
e2 測定電源

Claims (8)

  1. 第1の電極と、この第1の電極に対向配置される第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路とを備えた静電容量式検出装置の自己診断を行うための自己診断装置であって、
    前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた補助電極と、
    この補助電極を前記検出回路に接続させると共に、前記補助電極を模擬侵入体として動作させるための模擬信号を供給する模擬信号供給部と、
    あらかじめ設定された幅の比較信号を出力する比較信号出力部と、
    前記模擬信号により前記検出回路から出力される出力信号の幅と、前記比較信号の幅とを比較する比較判定部と、
    前記比較の結果、前記出力信号の幅が前記比較信号の幅よりも短い場合に、または前記模擬信号により前記検出回路から出力される出力信号が出てこない場合に、エラー信号を出力するエラー信号出力部とを備えていることを特徴とする自己診断装置。
  2. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    金属物体と非金属物体とが混在した状態で搬送経路に沿って搬送される搬送手段を備え、
    前記搬送される物体群を挟むように第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、混在した物体群の中から金属物体を選別可能に構成されていることを特徴とする静電容量式検出装置。
  3. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    比誘電率の異なる複数の物体が混在した状態で搬送経路に沿って搬送される搬送手段を備え、
    前記搬送される物体群を挟むように第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、混在した物体群の中から特定の比誘電率を有する物体を選別可能に構成されていることを特徴とする静電容量式検出装置。
  4. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    建造物の出入口部の幅方向又は上下方向両側に第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、前記出入口部からの人又は物体の侵入を検出可能に構成されていることを特徴とする静電容量式検出装置。
  5. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    エレベータ等の扉の幅方向又は上下方向両側に第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、前記扉の前の人の存在を検出可能に構成されていることを特徴とする静電容量式検出装置。
  6. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    第1の電極と、この第1の電極に対向配置される第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路とを備え、
    前記検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、前記第1の電極と前記第2の電極の間に進入してきた物体の進入量を検出可能に構成されていることを特徴とする静電容量式検出装置。
  7. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であっ て、
    トイレの便座の両側の壁面に第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、前記便座に人が座っているか否かを検出することを特徴とする静電容量式検出装置。
  8. 請求項1の自己診断装置により自己診断される静電容量式検出装置であって、
    建造物内の通路の両側に第1の電極と第2の電極が配置されており、前記第1の電極と第2の電極の間の静電容量の変化を検出する検出回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に配置される自己診断のための補助電極に接続されると共に、前記第1の電極と第2の電極の間に人が侵入してきたことを検出し、これにより照明の点灯又は消灯を行うようにしたことを特徴とする静電容量式検出装置。
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