JP3676080B2 - ルーフレールのレッグ部取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両ルーフパネル上に取付レッグによって取り付けられるルーフレールのレッグ部取付部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両ルーフパネル上に取付レッグによって取り付けられるルーフレールのレッグ部取付部構造として、従来は、特開平7ー291043号公報に開示されたものが知られている。
図4は前記公報中に従来例として記載されたルーフレールのレッグ部取付部構造(第1従来例)であるが、このものは、図4(A)に示されるように、車両ルーフパネル101上に、前後の取付レッグ103、103およびセンター取付レッグ104によってルーフレール102が取り付けられる。
そして、センター取付レッグ104のルーフレール102への結合は、図4(B)に示すように、複数の結合用ボルト109、109のルーフレール102における取付け側106aに螺合により行っていた。
これによって、走行中に、ルーフレール上に載置された荷物からの力を受けてルーフレール102とセンター取付レッグ104との間に発生する回転を防止するとともに、センター取付レッグ104の下面から突出して設けられた固定用ボルト105によりルーフパネル101に固定されていた。
【0003】
ところが、このものでは、前記センター取付レッグ104のルーフレール102への結合は、複数の結合用ボルト109を用いてルーフレール102の取付け側106aに螺合して行うため、結合用ボルトが複数本必要である他、螺子部を形成するために取付け側106aの肉厚を厚くする必要があり、重量増を招いていた。
そこで、前記公報に開示された図5に示したような車両外装品の取付部としてルーフレールのレッグ部取付部構造(第2従来例)が提案された。
このものは、ボス230とリベット250により、ルーフレール202とセンター取付レッグ204とを結合するように構成したものである。
これによって、ボス230に回止め機能を持たせて、ルーフレール202とセンター取付レッグ204との結合はリベット250のみにて行えるようにするととともに、ルーフレール202の取付け側206aの肉厚を薄くして、コスト低減と軽量化を図ったものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された前記第2従来構造において、前記センター取付レッグ204を車体ルーフパネルに固定するための固定ボルト205は、通常は、前記ボス230とリベット250との間に位置して設けられているために、図6に示したように、走行中における風圧等に起因したルーフレール上に載置された荷物からの力を受けて、ルーフレール202とセンター取付レッグ204との間に矢印上方への力が発生した場合、ルーフレール202の上方への移動によって、リベット250を介してセンター取付レッグ204を上方へ移動させようとする。このとき、前記力の全てがリベット250に集中して作用するために、中空パイプ状に形成されたルーフレール202が変形し易いこともあって、前記リベット250の取付部に弛みが発生し易いものであった。
【0005】
このため、ルーフレール202が上方への力を受けた場合、前記センター取付レッグ204は、車体ルーフパネルに固定された固定ボルト205を支点として反時計方向のモーメントを受けて反時計方向に傾動するような挙動を示す虞れがあった。
したがって、センター取付レッグ204に回止めのために設けられたボス230は、矢印下方に移動してルーフレール202のボス孔220から離脱し、回止め効果を発揮できなくなる虞れが生じた。
その解決策として、ルーフレールとセンター取付レッグとの結合部の直下にルーフレールとの結合用ボルトを設置することも考えられるが、ルーフレールとの結合のためのリベットまたはボルトによる結合部と、ルーフレールと結合するための結合用ボルトの埋込み部をセンター取付レッグの同じ場所に設けることは、強度的にあるいは寸法的に実際的でなく、到底不可能であった。
【0006】
このため本発明は、従来のルーフレールのレッグ部取付構造における諸課題を解決して、簡素な構造で強度的にも無理がなく、回止め機能を損なうことのないルーフレールのレッグ部取付構造を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、車両ルーフパネル上に取付レッグによって取り付けられるルーフレールのレッグ部取付部構造において、ルーフレールと取付レッグとを回止めボスと結合用ボルトにより結合するとともに、取付レッグとルーフパネルとを前記結合用ボルトに関して前記回止めボスと反対側に位置して設けた固定用ボルトにより結合したことを特徴とするものである。
また本発明は、前記取付レッグがルーフレールの中間部を支持するセンター取付レッグであることを特徴とするものである。
また本発明は、前記ルーフレールと取付レッグとの結合面における取付レッグ上面の外周面および結合用ボルトの周囲を除いてえぐり部を設けたことを特徴とするものである。
また本発明は、前記ルーフレールと取付レッグとを結合する結合用ボルトがナットサートにより結合されたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0008】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3は本発明の1実施の形態を示すもので、図1(A)はルーフレールと取付レッグとの斜視図、図1(B)は図1(A)のC−C断面図、図2(A)は図1(A)のA−A断面図、図2(B)は図1(A)のB−B断面図、図3は取付レッグ取付部の挙動を説明する図1(A)のC−C断面図である。
図1(A)に示すように、荷物を積載するためのルーフレール1は、車両ルーフパネル4上に該ルーフパネル4と所定の間隔を置いて前部取付レッグ2、後部取付レッグ3によって取り付けられ、これら前後取付レッグ2、3間の中間に位置するセンター取付レッグ5によって中間部における積載荷重を負担すべく支持されて構成される。
【0009】
本発明は、図1(B)に示した1実施の形態のもののように、主として金属製の中空パイプ状のルーフレール1の下板1Bの中間下部に取り付けられるセンター取付レッグ5の取付部構造に適用されるものである。無論、構造的な考慮がなされれば、前後の取付レッグの取付部構造にも適用できるし、外装品を引き剥がすような力が作用するその他の車両用外装品にも適用が可能である。
本実施の形態では、図1(A)のC−C断面を拡大した図1(B)に示すように、ルーフレール1の下板1Bとセンター取付レッグ5とを回止めボス6と結合用ボルト7により結合するとともに、前記センター取付レッグ5とルーフパネル4とを前記結合用ボルト7に関して前記回止めボス6と反対側に位置して設けた固定用ボルト8により結合したことを特徴とするものである。
【0010】
前記ルーフレール1の下板1Bのほぼ中間位置には、センター取付レッグ5における前記結合用ボルト7を受け入れるボルト孔11が穿設されており、その前方(図面左方)には、センター取付レッグ5における前記回止めボス6を受け入れるボス孔14が穿設されている。
また、センター取付レッグ5の中間部には、下方に開放するボルト挿入穴10が設けられて前記結合用ボルト7を下方から挿入できるように構成される。
さらに、センター取付レッグ5における結合用ボルト7に関して前記回止めボス6と反対側に位置する後方には、下方に向いた固定用ボルト8が埋設される。
【0011】
本発明では、さらに、前記ルーフレール1の下板1Bの下面と取付レッグ5の上面とで形成され結合面において、センター取付レッグ5の上面における外周面および結合用ボルト7の周囲を除いてえぐり部12を設けたものである。
さらにまた、前記ルーフレール1とセンター取付レッグ5とを結合する結合用ボルト7がナットサート9により結合されたものである。
図2(A)(B)は、それぞれ図1(A)のA−A断面、B−B断面図でありセンター取付レッグ5の上面における外周面および結合用ボルト7の周囲が、前記えぐり部12に比較して高く形成されている状態が明確に示されている。
【0012】
以上のように構成したことによって、図3に示したように、走行中における風圧等に起因してルーフレール1上に載置された荷物からの力を受けて、ルーフレール1が太矢印のように上方へ移動し、結合用ボルト7を介してセンター取付レッグ5を上方へ移動させようとするとき、前記力の全てが結合用ボルト7に集中して作用する。
しかしながら、本発明における結合用ボルト7におけるルーフレール1の下板1Bとの結合部では、ナットサート9により強固に結合されるので、従来のもののように螺子部を設ける必要がなく、前記下板1Bの肉厚を比較的薄くすることが可能となったのみならず、該下板1Bの肉厚が薄いものであるにも拘らず、従来のリベットを用いた結合構造のもののようにルーフレール1とセンター取付レッグ5との間の結合部に弛みが発生することは殆どなくなった。
しかも、センター取付レッグ5の上面における外周面および結合用ボルト7の周囲を除いてえぐり部12が設けてあり、特に、結合用ボルト7の周囲が、前記えぐり部12に比較して高く形成されているので、この部分と前記ナットサート9のフランジとでルーフレール1の下板1Bを強固に挟持して結合強度を高めることができる。前記えぐり部12の存在によって、ルーフレール1の下板1Bとセンター取付レッグ5との結合面における取付レッグ上面の外周面においても面圧を高めて結合強度を高めることができる。
【0013】
万一、前記ナットサート9と結合用ボルト7とによる結合部に弛みを生じて、ルーフレール1が太矢印のような上方への力を受け、結合用ボルト7を介してセンター取付レッグ5を矢印F1のように移動させようとした場合、該センター取付レッグ5は、車体ルーフパネル4に固定された固定ボルト8の点Pを支点として傾動しようとするが、前記センター取付レッグ5は、前記点Pを支点とする時計方向への傾動となるために、結合用ボルト7の前方に位置する回止めボス6の部分についても、矢印F2のような上方への方向での力が作用することになる。したがって、万一、前記ナットサート9と結合用ボルト7とによる結合部に弛みを生じても、前記回止めボス6がルーフレール1の下板1Bから離脱することがないので、回止めボス6の回止め機能を損なうことがなく、確実な結合を永続させることができる。
なお、符号13は固定ボルト8をルーフパネル4に固定するための固定ナットを示す。また、回止めボス6はセンター取付レッグ5と一体成形により成形されてもよいし、別の素材にて一体形成してもよい。
【0014】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、ルーフレールの形状、材質、取付レッグの形状、材質、ルーフレールと取付レッグとの結合形態、取付レッグとルーフパネルとの固定形態、回止めボスの形状およびそのルーフレールへの係止形態、ナットサートの形状、えぐり部の形状、固定ボルトの取付レッグへの埋設形態等は適宜採用できる。
【0015】
【発明の効果】
以上詳細に述べてきたように、本発明によれば、車両ルーフパネル上に取付レッグによって取り付けられるルーフレールのレッグ部取付部構造において、ルーフレールと取付レッグとを回止めボスと結合用ボルトにより結合するとともに、取付レッグとルーフパネルとを前記結合用ボルトに関して前記回止めボスと反対側に位置して設けた固定用ボルトにより結合したことにより、万一、ルーフパネルと取付レッグの結合用ボルトによる結合部に弛みを生じて、ルーフレールが上方への力を受けて、結合用ボルトを介して取付レッグを上方に移動させようとしても、該取付レッグは、車体ルーフパネルに固定された固定ボルトを支点として回止めボスの部分についても、上方への方向での力が作用することになり、回止めボスがルーフレールから離脱することがないので、1本の結合用ボルトによってもその取付強度が充分に確保できる上、回止めボスの回止め機能を損なうことがなく、確実な結合を永続させることができることとなった。
しかも、ルーフレールへの取付レッグへの取付けは1本の結合ボルトのみによればよいので、その取付作業が短時間にかつ容易にできる。
【0016】
また、前記結合用ボルトにおけるルーフレールとの結合部を、ナットサートにより強固に結合させたので、従来のもののように螺子部を設ける必要がなく、前記ルーフレールを構成する板の肉厚を一定断面にて比較的薄くすることが可能となったのみならず、該板の肉厚が薄いものであるにも拘らず、従来のリベットを用いた結合構造のもののようにルーフレールとセンター取付レッグとの間の結合部に弛みが発生することは殆どなくなった。
しかも、取付レッグの上面における外周面および結合用ボルトの周囲を除いてえぐり部を設けたので、特に、結合用ボルトの周囲が、前記えぐり部に比較して高く形成されているので、この部分と前記ナットサートのフランジとでルーフレールを強固に挟持して結合強度を高めることができ、また、前記えぐり部の存在によって、ルーフレールとセンター取付レッグとの結合面における取付レッグ上面の外周面においても面圧を高めて結合強度を高めることができる。
このように、本発明によれば、簡素な構造で強度的にも無理がなく、回止め機能を損なうことのない、ルーフレールのレッグ部取付構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルーフレールのレッグ部取付構造の1実施の形態を示すもので、図1(A)はルーフレールと取付レッグとの斜視図、図1(B)は図1(A)のC−C断面図である。
【図2】本発明のルーフレールのレッグ部取付構造の1実施の形態を示すもので、図2(A)は図1(A)のA−A断面図、図2(B)は図1(A)のB−B断面図である。
【図3】本発明のルーフレールのレッグ部取付構造の1実施の形態を示すもので、取付レッグ取付部の挙動を説明する図1(A)のC−C断面図である。
【図4】ルーフレールのレッグ部取付構造の第1従来例を示す斜視図およびその要部断面図である。
【図5】ルーフレールのレッグ部取付構造の第2従来例を示す要部断面図である。
【図6】前記第2従来例のものにおける取付レッグ取付部の挙動を説明する図である。
【符号の説明】
1 ルーフレール
1B 下板
2 前部取付レッグ
3 後部取付レッグ
4 ルーフパネル
5 センター取付レッグ
6 回止めボス
7 結合用ボルト
8 固定用ボルト
9 ナットサート
10 ボルト挿入穴
11 ボルト孔
12 えぐり部
13 固定ナット
14 ボス孔

Claims (4)

  1. 車両ルーフパネル上に取付レッグによって取り付けられるルーフレールのレッグ部取付部構造において、ルーフレールと取付レッグとを回止めボスと結合用ボルトにより結合するとともに、取付レッグとルーフパネルとを前記結合用ボルトに関して前記回止めボスと反対側に位置して設けた固定用ボルトにより結合したことを特徴とするルーフレールのレッグ部取付構造。
  2. 前記取付レッグがルーフレールの中間部を支持するセンター取付レッグであることを特徴とする請求項1に記載のルーフレールのレッグ部取付構造。
  3. 前記ルーフレールと取付レッグとの結合面における取付レッグ上面の外周面および結合用ボルトの周囲を除いてえぐり部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のルーフレールのレッグ部取付構造。
  4. 前記ルーフレールと取付レッグとを結合する結合用ボルトがナットサートにより結合されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のルーフレールのレッグ部取付構造。
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