JP3675229B2 - タップ用ホルダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被取付面に取着されるとともにコンセント口を有するタップ本体を保持するタップ用ホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にタップは電源コードの一端部にプラグを備え他端部にタップ本体を備えている。タップ本体はコンセント口を備え、電源コードはタップ本体の側面の一箇所から引き出される。ところで、近年、家電製品の高容量化に伴ってタップにも高容量型のものが提供されている。高容量型のタップではタップ本体の内部に収納された刃受ばねなどの導電部材と電源コードとの接続状態が不良であると過熱するから、タップを工場で組み立てることによって接続状態に不良が生じるのを防止している。また、タップ本体は分解できないように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来より提供されているこの種のタップは、タップ本体を床などに置いて使用することを前提とした構成であって、壁などに取着して使用するようには考慮されていない。したがって、家具などによって壁コンセントが隠れるような場合には、壁コンセントにタップを接続することでコンセント口を引き出すことはできるものの、壁コンセントと同様の使い勝手は得られないという問題を有している。
【0004】
この種のタップにおいて壁などの被取付面に取着するための構成をタップ本体に設けることは可能ではあるが、被取付面に取着する構成はつねに必要というわけではなく、被取付面に取着する構成をすべてのタップに設けるとすれば、コスト高になり製品コストが増加する。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、被取付面に対する取付手段がタップ本体に設けられていない場合でも、タップ本体を被取付面に取着できるようにしたタップ用ホルダを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、コンセント口を備えるとともに長手方向に直交する断面が長円状であって長手方向の一端部側面から電源コードが引き出されたタップ本体を前面に重複させ後面を被取付面に当接させた形で被取付面に取着される台座と、台座の前面周縁からタップ本体の周部後面に沿う形で延長されタップ本体の側面形状に沿って湾曲する断面形状を有しタップ本体を台座に対して位置決めする位置決め壁と、位置決め壁においてタップ本体の幅方向の両側に対応する部位から延長され先端部が互いに近づくように湾曲する断面形状を有しタップ本体の両側部を台座との間に狭持する一対の保持片とを有し、保持片は弾性材料から形成され、両保持片の先端縁間の距離はタップ本体の幅方向における最大幅よりも小さく設定されているものである。この構成によれば、タップ本体が被取付面に取着する手段を備えていない場合でも、台座を被取付面に取着するとともにタップ本体を台座と保持片との間に挟持することで、タップ本体を被取付面に取着することが可能になる。
【0007】
加えて、タップ本体の幅方向の両側部を台座と保持片との間で挟持するから、タップ本体を台座に対して強固に固定することができる。
【0013】
さらに、タップ本体を保持片に押し付けることによって、タップ本体の後面に保持片の先端縁が当接して保持片の先端縁間の距離を広げることができ、タップ本体を台座に押し付けるように力を加えるだけでタップ本体を台座に取り付けることができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記位置決め壁は合成樹脂成形品であって、位置決め壁において保持片に対応する部位には、前後方向に貫通する抜き孔が形成されているものである。この構成によれば、位置決め壁に抜き孔を形成していることによって、位置決め壁を成型する金型において湾曲した形状に形成する部位を低減することができ、結果的に金型の製造に要する時間を短縮することが可能になり、金型の製造コストの低減につながる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記両保持片の先端縁はタップ本体においてコンセント口を設けた前面よりも後方に位置するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本実施形態において説明するホルダ1は弾性材料である合成樹脂成形品であって、図1に示すように、タップに設けたタップ本体2を保持するものである。つまり、ホルダ1の形状はタップ本体2の形状に依存するから、まずタップ本体2について説明する。
【0017】
図1に示すタップ本体2は、コンセント口21を3個備えるものであって、各コンセント口21には、いわゆるUプラグ(平板状の平行な2枚の栓刃を備えるプラグ)が接続可能になっている。タップ本体2の前面は長方形の一端に半円を結合した形状に形成され、この前面の長手方向にコンセント口21が2個並設される。また、上記長方形の長手方向の他端となるタップ本体2の一面は平面状であって、この面にもコンセント口21が設けられる。コンセント口21を設けた一面を除いてタップ本体2の周面は断面が半円状に形成されている。言い換えると、タップ本体2の長手方向に直交する断面は長円状になっている。その結果、タップ本体2の幅方向の両側部における後面は、前方に向かって互いの距離を広げる形状に形成されていることになる。
【0018】
タップ本体2の長手方向の上記一端部(つまり、前面において半円状に形成されている部位)からは電源コード(図示せず)を引き出すためのコード保持部22がタップ本体2から連続一体に突設される。ここに、タップ本体2の後面には長手方向の2箇所において凹所(図示せず)が形成されている。これらの凹所はタップ本体2の組立時に形成されるものである。なお、コンセント口21は電源コードに接続される刃受ばねなどの導電部材を収納する熱硬化性樹脂の器体に形成され、器体の外周面はコンセント口21を除く部位が熱可塑性樹脂の外装材により覆われる。このように器体が外装材に覆われることによって、2部材を結合して形成される器体の口開きが防止される。また、外装材を形成する熱可塑性樹脂は軟質樹脂であって落下時などの衝撃を緩和する機能も有している。なお、タップ本体2の後面中央部には周部よりも後方に突出する突台(図示せず)が形成されており、タップ本体2の後面には突台と周部との間で段差が形成されている。
【0019】
上述のような形状のタップ本体2は、壁面や家具などの被取付面に取着するための取付手段を備えておらず、ホルダ1を用いることで被取付面に取着することが可能になる。ホルダ1は、図2および図3に示すように、被取付面に後面を当接させる形で取着される台座11を備える。台座11の前面はタップ本体2の後面に略一致する形状に形成される。つまり、長方形の長手方向の一端に半円を結合した形状に形成されている。台座11の周縁全周には後方に支持壁12が突設され、支持壁12の先端縁が被取付面に当接する。
【0020】
台座11の後面側であって支持壁12に囲まれた部位には、角筒状の環状壁13に囲まれた磁石保持凹所14が形成される。磁石保持凹所14には、永久磁石15が収納保持される。永久磁石15は、磁石本体15aと、磁石本体15aを囲むコ字状のヨーク15bとからなり、ヨーク15bは中央片が磁石本体15aの一方の磁極に当接するとともに両脚片の先端部が他方の磁極に並ぶ部位まで延長されている。したがって、磁石本体15aの上記他方の磁極とヨーク15bの両脚片の先端部とに対向するように磁性体を配置すれば、その磁性体が磁路の一部になり永久磁石15がその磁性体に磁着されるのである。ヨーク15bの長手方向の一端縁では中央片から係止舌片15cが突設され、また長手方向の他端縁では各脚片からそれぞれ係止突片15dが突設されている。係止突片15dは中央片から離れるほど脚片からの突出寸法を大きく形状に形成されている。
【0021】
一方、環状壁13には係止舌片15cが挿入される係止孔13aが形成されるとともに、係止突片15dを係止する係止リブ13bが形成されている。係止リブ13bは磁石保持凹所14内に突出し、磁石保持凹所14の奥に向かって突出寸法が大きくなる形状に形成されている。したがって、磁石保持凹所14に永久磁石15を取り付けるには、係止舌片15cを係止孔13aに挿入し、係止突片15dが係止リブ13bを乗り越えるように永久磁石15を磁石保持凹所14に押し込めばよい。ここに、係止リブ13bを形成している部位には可撓性を与えてあり、この可撓性を利用してマイナスドライバなどで係止リブ13bと係止突片15dとの係合状態を解除すれば、永久磁石15を磁石保持凹所14から取り外することができるようになっている。
【0022】
ところで、台座11の後面側であって支持壁12に囲まれた部位には、2個の挿入筒16a,16bが形成されている。一方の挿入筒16aは円筒状であって、他方の挿入筒16bはだるま状に開口する。両挿入筒16a,16bは台座11に開口する2個の取付孔17a,17bにそれぞれ連続して形成されたものであって、台座11の前面側から取付孔17a,17bに挿入されて被取付面に螺入されるねじを案内する機能を有している。取付孔17bは図3(a)に示すように、ねじの頭部より大径である大径部17cとねじの頭部よりも小径である小径部17dとを連続させた形状に形成されており、いわゆるだるま孔となっている。したがって、被取付面に対して頭部を突出させた形で螺入させたねじの頭部を大径部17cに通した後に、小径部17dに係止させることで、台座11をねじに引っ掛けることが可能になる。つまり、台座11はねじに対して着脱自在となる。
【0023】
台座11の周縁には前方に向かって位置決め壁31が形成される。位置決め壁31はタップ本体2の周部後面に沿うように形成されている。つまり、タップ本体2の側面形状に沿って湾曲した断面形状を有している。ただし、タップ本体2の長手方向の一端部であってコンセント口21が形成されている側では位置決め壁31は開放されている。位置決め壁31においてタップ本体2の長手方向の他端部であってタップ本体2に設けたコード保持部22に対応する部位には、コード保持部22を通すための切欠部32が形成される。ここに、位置決め壁31における台座11側の基部にはタップ本体2の後面に形成した突台の突出寸法程度の段差33を形成してあり、この段差33によって位置決め壁31をタップ本体2の周部に隙間なく接触させることができるようにしてある。
【0024】
位置決め壁31においてタップ本体2の幅方向の両側に対応する部位には台座11との間にタップ本体2を挟持する一対の保持片34が突設される。保持片34は先端部が互いに近づくように湾曲し、したがって、タップ本体2は保持片34によって抜け止めされることになる。ここに、保持片34の先端縁間の距離がタップ本体2の幅方向の最大幅よりも小さいのはもちろんのことであるが、タップ本体2に接続されたプラグを抜くのに必要な力に抗してタップ本体2が台座11から離れるのを阻止することができ(言い換えると、台座11と保持片34との間でタップ本体2を保持する力は、タップ本体2のコンセント口21からプラグを抜く力よりも大きく設定してあり)、かつ電源コードに外力が作用したときに電源コードが断線するよりも弱い力でタップ本体2が台座11から外れるように保持片34の先端縁間の距離を設定してある。さらに、保持片34の先端縁間の距離はタップ本体2を保持片34に前方から押し付けたときにタップ本体2が保持片34を乗り越えて台座11に当接する程度に設定されている。なお、ここでは保持片34の先端縁間の距離のみについて説明したが、上述のような条件を満たすには、ホルダ1を形成する材料の特性や厚み寸法にも考慮する必要があるのはいうまでもない。
【0025】
位置決め壁31には保持片34に対応する部位で抜き孔35が形成される。抜き孔35は保持片34の全長にわたって形成されており、したがって、位置決め壁31の比較的広い範囲にわたって形成されている。位置決め壁31は上述のように湾曲した断面形状を有しているから、ホルダ1を製造する際に用いる成型用の金型の製造に手間がかかるものであるが、位置決め壁31に抜き孔35を形成したことによって湾曲部分が少なくなり、結果的に金型において湾曲部分が少なくなって金型製造の手数が低減する。つまり、金型の製造に要する時間とコストとを低減することが可能になる。
【0026】
上述したホルダ1は、位置決め壁31の開放されている側が上側となるように被取付面に取着される。つまり、タップ本体2は位置決め壁31により落下が防止される。永久磁石15を設けている場合には冷蔵庫の外側面などを被取付面として用いることができ、またねじを用いることによって壁面などを被取付面とすることができる。タップ本体2は上述したように台座11の前方から押し付けることによってホルダ1に装着することができるほか、台座11の上方(つまり位置決め壁31の開放側)からスライドさせてホルダ1に装着することもできる。台座11の前面にはタップ本体2の後面に設けた凹所に対応する部位で位置決めダボ18が突設されており、台座11の上方からタップ本体2をスライドさせるときには、位置決めダボ18が凹所に係合する際にクリック感が生じるから、この感触によってホルダ1の定位置にタップ本体2が装着されたことを知ることができる。
【0027】
上述の例では、タップ本体2としてコンセント口21が3個のものを例示してあり、この場合にタップ本体2の外周形状と台座11の外周形状が略一致しているものであったが、コンセント口21が4個のタップ本体2であっても幅寸法が等しく長さ寸法のみが異なるように形成されたものであれば、本実施形態のホルダ1を適用することができる。つまり、タップ本体2の長手方向の一端部で位置決め壁31を開放しているから、タップ本体2の長さ寸法にかかわらず共通のホルダ1を用いることが可能になる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、コンセント口を備えるとともに長手方向に直交する断面が長円状であって長手方向の一端部側面から電源コードが引き出されたタップ本体を前面に重複させ後面を被取付面に当接させた形で被取付面に取着される台座と、台座の前面周縁からタップ本体の周部後面に沿う形で延長されタップ本体の側面形状に沿って湾曲する断面形状を有しタップ本体を台座に対して位置決めする位置決め壁と、位置決め壁においてタップ本体の幅方向の両側に対応する部位から延長され先端部が互いに近づくように湾曲する断面形状を有しタップ本体の両側部を台座との間に狭持する一対の保持片とを有し、保持片は弾性材料から形成され、両保持片の先端縁間の距離はタップ本体の幅方向における最大幅よりも小さく設定されているものであり、タップ本体が被取付面に取着する手段を備えていない場合でも、台座を被取付面に取着するとともにタップ本体を台座と保持片との間に挟持することで、タップ本体を被取付面に取着することが可能になるという利点がある。
【0029】
加えて、タップ本体の幅方向の両側部を台座と保持片との間で挟持するから、タップ本体を台座に対して強固に固定することができるという利点がある。
【0035】
さらに、タップ本体を保持片に押し付けることによって、タップ本体の後面に保持片の先端縁が当接して保持片の先端縁間の距離を広げることができ、タップ本体を台座に押し付けるように力を加えるだけでタップ本体を台座に取り付けることができるという利点がある。
【0036】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記位置決め壁は合成樹脂成形品であって、位置決め壁において保持片に対応する部位には、前後方向に貫通する抜き孔が形成されているものであり、位置決め壁に抜き孔を形成していることによって、位置決め壁を成型する金型において湾曲した形状に形成する部位を低減することができ、結果的に金型の製造に要する時間を短縮することが可能になり、金型の製造コストの低減につながるという利点がある。
【0037】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記両保持片の先端縁はタップ本体においてコンセント口を設けた前面よりも後方に位置するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の使用例を示す斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面側の分解斜視図、(b)は後面側の斜視図である。
【図3】同上を示し、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は背面図、(d)は下面図である。
【符号の説明】
1 ホルダ
2 タップ本体
11 台座
14 磁石保持用凹所
15 永久磁石
17a,17b 取付孔
17c 大径部
17d 小径部
18 位置決めダボ
21 コンセント口
31 位置決め壁
34 保持片
35 抜き孔
Claims (3)
- コンセント口を備えるとともに長手方向に直交する断面が長円状であって長手方向の一端部側面から電源コードが引き出されたタップ本体を前面に重複させ後面を被取付面に当接させた形で被取付面に取着される台座と、台座の前面周縁からタップ本体の周部後面に沿う形で延長されタップ本体の側面形状に沿って湾曲する断面形状を有しタップ本体を台座に対して位置決めする位置決め壁と、位置決め壁においてタップ本体の幅方向の両側に対応する部位から延長され先端部が互いに近づくように湾曲する断面形状を有しタップ本体の両側部を台座との間に狭持する一対の保持片とを有し、保持片は弾性材料から形成され、両保持片の先端縁間の距離はタップ本体の幅方向における最大幅よりも小さく設定されていることを特徴とするタップ用ホルダ。
- 前記位置決め壁は合成樹脂成形品であって、位置決め壁において保持片に対応する部位には、前後方向に貫通する抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載のタップ用ホルダ。
- 前記両保持片の先端縁はタップ本体においてコンセント口を設けた前面よりも後方に位置することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタップ用ホルダ。
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