JP3674805B2 - 加熱定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱定着装置に係り、特に、電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに使用される加熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等では、定着ローラと加圧ローラを備えた加熱定着装置が用いられている。この加熱定着装置は、加熱された中空円筒状の定着ローラに加圧ローラを圧接するとともに、定着ローラを回転駆動させて、回転する両ローラの間にトナーが転写された印刷用紙を挿通し、トナーを加熱溶融して印刷用紙上に融着するものである。また、加圧ローラの表面にはトナーが付着するので、その付着トナーを除去する目的で、クリーニングローラが加圧ローラ外周面に接触して設けられるのが一般的である。このような加熱定着装置において、印字品質を一定に保つには、定着ローラの表面温度を定着温度内で一定に維持する必要がある。
【0003】
また、近年の環境規制、環境保護意識の高まりから、各種電子写真装置では、不使用時には定着ローラを加熱するためのヒータへの通電を遮断し、必要な時のみ通電することにより、消費電力を低減することが行われている。そして、必要な時のみ通電するようにするために、センサにより使用者の接近などを感知してヒータへの通電を行い、定着ローラを昇温させる省エネ型の電子写真装置が提案させれている。
【0004】
このような省エネ型の電子写真装置では、印刷時には定着ローラの表面温度が即座に設定温度まで達している必要がある。そのために、従来の加熱定着装置では、定着ローラに対して次のような改良がなされている。
【0005】
すなわち、ヒータとしてハロゲンランプが設けられた加熱定着装置においては、定着ローラの基本構成をなす金属基体の肉厚を1mm以下と薄肉化して、金属基体の熱容量を小さくすることが図られている。ハロゲンランプは金属基体の内部に設けられており、金属基体の熱容量を小さくすれば、ハロゲンランプにより定着ローラは効率よく加熱され、定着ローラの表面温度を設定温度まで迅速に上げることができる。
【0006】
また、ヒータとして発熱層が設けられた加熱定着装置においては、定着ローラの表面温度は比較的速く設定温度まで昇温するが、この場合でも金属基体を薄肉化することで、定着ローラの表面温度をより一層迅速に昇温させることが可能となっている。
【0007】
ところで、上記のように定着ローラの表面温度を迅速に昇温させるようにした加熱定着装置では、いずれの場合も端部温度上昇という技術的課題を抱えている。端部温度上昇とは、最大用紙幅(例えば、A3縦)に対して、小さい幅の紙(例えば、B5縦)を連続して通紙した場合に、ローラ中央では紙による熱の消費分だけヒータから熱が供給され一定の範囲の温度が保持されるが、ローラ両端では紙による熱の消費が無いために、熱がローラに蓄積し、ローラの温度が上昇する現象のことである。このような現象が起こると、ローラの軸受部材の耐熱寿命が低下したり、さらには端部温度上昇の直後に大きな幅の紙を通紙した場合に、設定温度よりも高温となっているローラ端部での定着異常(ホットオフセット)及び搬送異常が発生する。
【0008】
これは、従来の電子写真装置でも起きていた現象であるが、上記のように定着ローラの金属基体を薄肉化すると、金属基体の中央と端部間の熱の移動が少なくなるために、端部温度上昇が顕著となる。特に発熱層による加熱方式の場合は、端部温度上昇が顕著となると金属基体と発熱層の熱膨張率の違いにより、その接着界面に応力がかかり発熱層が剥離する恐れがあり、定着ローラの信頼性低下が懸念される。
【0009】
そこで、加圧ローラに接触するクリーニングローラを熱伝導率の大きな材料で構成した加熱定着装置が、同一出願人より提案されている(特願平8−299627号)。通常、加熱定着装置においては、定着処理に伴って加圧ローラの表面にトナーが付着する。そのために、加熱定着装置には加圧ローラ外周面に接触するクリーニングローラが設けられており、このクリーニングローラによって加圧ローラ表面の付着トナーを除去するようになっている。そして、このクリーニングローラを上記のように熱伝導率の大きな材料で構成すると、従来のクリーニングの機能に加え、更に端部温度上昇を低減することが可能となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の加熱定着装置では、長期にわたって使用した場合に、端部温度上昇の低減効果が薄れてしまうという問題がある。クリーニングローラは加圧ローラに付着したトナーを除去するために設けられているので、その表面は一般にトナーが付着しやすい材料で形成されている。このために、長期にわたって使用していると多くのトナーが付着してクリーニングローラの表面が覆われてしまい、加圧ローラと接触するクリーニングローラの表面面積が減少して、端部温度上昇の低減効果が薄れてくる。また、クリーニングローラの表面に多くのトナーが付着すると、加圧ローラに対するクリーニングの機能が低下して、加圧ローラ側から印刷用紙の裏面が汚される現象、いわゆる裏汚れが生じるという問題もある。
【0011】
さらに、定期的に保守点検を行って、トナーが多く付着したときは、クリーニングローラから付着トナーを除去するか、またはクリーニングローラを交換する必要があるが、このような保守点検を少しでも怠ると、クリーニングローラと加圧ローラは付着トナーから無理な力を受けるようになり、回転が不安定となって異音を生じたり通紙異常を頻発する。
【0012】
本発明の目的は、長期にわたって使用しても端部温度上昇および裏汚れの発生を抑制することができ、且つあまり頻繁に保守点検を行う必要のない加熱定着装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、加熱源を有する定着ローラと、前記定着ローラ側に押圧され定着ローラ外周面に圧接された加圧ローラと、前記加圧ローラ外周面に接触し加圧ローラ外周面をクリーニングするクリーニングローラとを備え、回転する前記定着ローラと加圧ローラ間に、トナーが転写された印刷用紙を挿通すると共に加熱して、印刷用紙にトナーを融着する加熱定着装置において、
前記クリーニングローラ外周面との間に所定幅の空隙を開けてもう一つのクリーニングローラが配置され、該もう一つのクリーニングローラは、前記クリーニングローラ外周面に形成されるトナー層の厚さが前記所定幅に達したとき、当該トナー層に接触してトナー層をはぎ取ることを特徴としている。
上記構成によれば、長期にわたって使用して一方のクリーニングローラ外周面のトナー層の厚さが所定値(所定幅)に達すると、そのトナー層は、別に設けられたもう一つのクリーニングローラに接触してはぎ取られ、所定値以下の厚さに抑制される。この場合、もう一つのクリーニングローラ外周面にもトナー層が形成されるが、このトナー層は一方のクリーニングローラによってはぎ取られる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記クリーニングローラは、熱伝導率の大きな材料で構成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、クリーニングローラの全体に熱が効率良く伝えられ、クリーニングローラ全体から発散されるので、端部温度上昇の発生を防ぐことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記クリーニングローラの外周面には、トナーもしくはトナーとの相溶性の高い樹脂が、前記所定幅以下の膜厚で均一または不均一に形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、加圧ローラに付着したトナーをクリーニングローラにより効率良く除去することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記2つのクリーニングローラは同方向に回転することを特徴としている。
上記構成によれば、2つのクリーニングローラのそれぞれに付着したトナーを効率よくはぎ取ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は本発明の実施の形態1による加熱定着装置の概略構成を示しており、図1は正面図、図2は図1のA−A線に沿った断面図である。図に示すように、本発明に係る加熱定着装置1は、定着ローラ2と、加圧ローラ3とを備えている。定着ローラ2は、両端が軸受4a,4bで回転自在に支持されており、図示を略した回転駆動機構によって所定速度で回転される。加圧ローラ3は、図示を略したスプリングなどの付勢手段によって定着ローラ2側に所定の押圧力で押圧され、その外周面が定着ローラ2の外周面に圧接されている。また加圧ローラ3は、両端が軸受5a,5bで回転自在に支持されており、定着ローラ2の回転に従動して回転する。そして、印刷用紙は定着ローラ2と加圧ローラ3との間に挿通され、印刷用紙上に転写されているトナーが定着ローラ2で加熱溶融されることによって、印刷用紙上にトナーが融着される。
【0019】
定着ローラ2は、図3に拡大断面図として示したように、例えば0.4mm程度の厚さの中空円筒状のアルミニウム基体2aと、このアルミニウム基体2aの外面に形成された厚さ5〜30μmのフッ素樹脂からなる離型層2bと、アルミニウム基体2aの内面に形成された電気絶縁層2cと、この電気絶縁層2cの内面に形成された発熱層2dとを備えている。
【0020】
また、図1に示すように、定着ローラ2の両端には銅製にリング電極6a,6bが設けられ、これらのリング電極6a,6bには、絶縁端子台7a,7bに取り付けられた摺動電極8a,8bが接触している。そして、加熱用電源9からの電気が、摺動電極8a,8bおよびリング電極6a,6bを介して定着ローラ2の発熱層2dに供給される。
【0021】
加圧ローラ3を挟んで定着ローラ2の反対側にはクリーニングローラ10が設けられている。クリーニングローラ10は、その両端が軸受11a,11bで回転自在に支持されており、加圧ローラ3の回転に従動して回転する。このクリーニングローラ10は加圧ローラ3の外周面に接触しながら回転することにより、加圧ローラ3の外周面に付着したトナーを除去(クリーニング)するためのものである。
【0022】
本実施の形態の特徴部分として、クリーニングローラ10を挟んで加圧ローラ3の反対側にはトナーはぎ取り部材12が設けられている。トナーはぎ取り部材12は、図2に示すようにその断面形状が二等辺三角形をなしており、その上部の鋭角部12aとクリーニングローラ10の外周面との間に空隙Sが存在するように配置されている。
【0023】
上記構成のようにトナーはぎ取り部材12が設けられていれば、長期にわたって使用して、クリーニングローラ10の外周面にトナー層が形成され、そのトナー層の厚さが上記空隙Sに達したときに、トナー層はトナーはぎ取り部材12の鋭角部12aに接触する。トナーはぎ取り部材12は加熱定着装置本体に固定されており、トナー層はクリーニングローラ10の回転に伴って回転している。このために、トナー層はトナーはぎ取り部材12の鋭角部12aに接触すると、トナーはぎ取り部材12から力を受けてはぎ取られる。はぎ取られる量は、トナー層の表面部分だけの場合もあれば、クリーニングローラ10の表面近くまでトナー層全体が塊となってはぎ取られる場合もある。はぎ取られた箇所にはトナーの付着が可能であるから、加圧ローラ3に対するクリーニングを継続的に行うことができる。
【0024】
このようにして、クリーニングローラ10の外周面に付着したトナー層は、厚さが空隙Sを越えるとその一部または全体がはぎ取られるので、長期にわたって使用しても、加圧ローラ3とクリーニングローラ10との接触面積が減少することはなく、端部温度上昇を抑制できる。さらにトナー層がはぎ取られることにより、裏汚れの発生も抑制できる。また、トナー層の厚さは空隙Sを越えることがないので、加圧ローラ3とクリーニングローラ10に無理な力が加わることがなく、あまり頻繁に保守点検を行わなくとも、加圧ローラ3とクリーニングローラ10を安定に回転させることができる。
【0025】
上記のトナーはぎ取り部材としては、図4〜図8に示したような形状をなすものでも良い。図4のトナーはぎ取り部材13は、その断面形状が半楕円形状である。図5のトナーはぎ取り部材14はその断面形状が三角形であるが、上部の鋭角部14aがクリーニングローラ10の回転方向Bに沿った方向に向いている。この場合は、クリーニングローラ10の回転がスムーズとなる。図6のトナーはぎ取り部材15はその断面形状が三角形であるが、上部鋭部15aが図5とは逆にクリーニングローラ10の回転方向Bに逆らうように向いている。この場合は、クリーニングローラ10の回転はスムーズではなくなるが、トナー層をはぎ取る効果が増大する。図7のトナーはぎ取り部材16は、その断面形状が長方形または正方形である。図8のトナーはぎ取り部材17は板状をなしており、その先端部分17aはクリーニングローラ10の回転方向Bに沿った方向に向いている。
【0026】
(実施の形態2)
図9および図10は本発明の実施の形態2による加熱定着装置の概略構成を示しており、図9は正面図、図10は図9のC−C線に沿った断面図である。図に示すように、本実施の形態の特徴部分は、加圧ローラ3をクリーニングするためのクリーニングローラとして、クリーニングローラ10の他にもう一本のクリーニングローラ20を設け、両ローラ10,20の外周面間の距離を空隙Sとしたことである。なお、クリーニングローラ10,20の両端には軸受が設けられているが、図9では省略されている。
【0027】
長期にわたって使用して、クリーニングローラ10の外周面のトナー層が形成され、その厚さが空隙Sに達すると、当該トナー層は、もう一つのクリーニングローラ20に接触してはぎ取られる。この場合、クリーニングローラ20の外周面にもトナー層が形成されるために、クリーニングローラ10の外周面に形成されたトナー層は、実際にはその厚さが空隙Sに達する以前にはぎ取られる。
【0028】
また本実施の形態によれば、図10に示したように、加圧ローラ3が回転方向Eに回転しているとき、加圧ローラ3の外周面に接触して回転するクリーニングローラ10,20はそれぞれ回転方向F,Gに回転する。このため、クリーニングローラ10と20は空隙Sの所では互いに逆方向に回転しており、クリーニングローラ10,20のそれぞれに付着したトナーを効率よくはぎ取ることができる。
【0029】
なお、以上の実施の形態1・2においては、定着ローラ2として発熱層2dによって加熱されるタイプについて説明してきたが、これに限らず、ハロゲンランプによって加熱される定着ローラにも本発明は適用できる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
図1に示した加熱定着装置を試作した。定着ローラとしては、長さが約360mmで、最大通紙幅296mmに対応できるものとした。定着ローラのアルミニウム基体は肉厚が約0.5mmで、その内周にイミド樹脂からなる絶縁層を、さらにその内周に炭素繊維からなる発熱層を形成し、またアルミニウム基体の外周にPFA樹脂の層からなる離型層を形成した。なお、発熱層にはバインダとしてイミド樹脂を含ませた。また、銅製のリング電極の幅は5mmとした。
【0031】
加圧ローラとしては、金属芯金(図2の符号21)にシリコーンスポンジ(図2の符号22)を被覆して、シリコーンスポンジ上に表面層としてシリコーンチューブ(図示せず)を被覆した。加圧ローラの胴部の長さは、A3横送りの最大紙幅よりもやや長い程度とした。
【0032】
クリーニングローラとしては、熱導電率の大きなアルミや銅を用いた。そして、クリーニングローラの下側に、空隙Sとして0.2mmの微小なギャップを有してトナーはぎ取り部材を配置した。
【0033】
上記構成の加熱定着装置を用いて、幅狭の紙を通紙して試験を行った。クリーニングローラを熱導電率の大きなアルミや銅で構成したので、加圧ローラの温度分布を平坦化することができ、端部温度上昇を抑えることができた。その結果、ローラ端部での定着異常(ホットオフセット)及び搬送異常を防止することができた。
【0034】
初期的に加圧ローラに付着したトナーがクリーニングローラによってクリーニングされずに、紙の裏汚れとなってしまう場合があった。この状態を続けるとクリーニングローラにトナーが徐々に付着してきた。若干でもトナーが付着し始めると次々にトナーはクリーニングローラに付着するので、紙の裏汚れは発生しなかった。そして長期にわたって使用して、クリーニングローラのトナー層が空隙Sに達すると、そのトナー層はトナーはぎ取り部材によってはぎ取られ、トナー層の厚さは空隙S以上にはならなかった。したがって、長期にわたり端部温度上昇を抑制することができた。
【0035】
トナーはぎ取り部材を図4〜図8に示す種々の形状で試験しても、同様な結果を得ることができた。
【0036】
(比較例1)
図1に示した加熱定着装置において、トナーはぎ取り部材を省いて試験を行った。幅狭の紙を通紙したところ、初期的には実施例1と差異はなかった。しかし、長期にわたって使用したらクリーニングローラにトナーが蓄積され、端部温度上昇が、クリーニングローラがない場合と同等に大きくなった。さらに、トナー層が厚くなると、加圧ローラとクリーニングローラの回転時に異音が発生し、ついには回転がスムーズでなくなり通紙が困難となった。
【0037】
(実施例2)
次に、図9に示した加熱定着装置を試作した。定着ローラ、加圧ローラおよびクリーニングローラは実施例1の場合と同様である。この実施例2ではクリーニングローラの横に、空隙Sとして0.2mmの微小なギャップを有して、もう一つのクリーニングローラを配置した。
【0038】
上記構成の加熱定着装置を用いて、幅狭の紙を通紙して試験を行った。2本のクリーニングローラによって加圧ローラの温度分布が平坦化されるため、実施例1よりも端部温度上昇が低減された。
【0039】
初期的に加圧ローラに付着したトナーがクリーニングローラによってクリーニングされずに、紙の裏汚れとなってしまう場合があったが、実施例1に比べ軽度であった。これは、2本のクリーニングローラにより加圧ローラに対するクリーニング機能が向上したためである。
【0040】
この装置を連続して使用したら、クリーニングローラにトナーが徐々に付着してきた。若干でもトナーが付着し始めると次々にトナーはクリーニングローラに付着するので、紙の裏汚れは発生しなかった。そして長期にわたって使用して、一方のクリーニングローラのトナー層と他方のクリーニングローラのトナー層との合計が空隙Sに達すると、空隙Sの部分でトナー層が互いに接触してはぎ取られ、トナー層の合計値が空隙S以上にはならなかった。よって、長期にわたり端部温度上昇を抑制することができた。
【0041】
(実施例3)
外周面にトナーを融着させたクリーニングローラを試作して試験を行った。クリーニングローラに融着させたトナーの膜厚は空隙S以下とし、他の構成は実施例1の場合と同じとした。
【0042】
端部温度上昇に関しては、実施例1と同様に初期から長期にわたり、クリーニングローラによる低減効果が見られた。さらに、初期から加圧ローラに付着したトナーがクリーニングローラによってクリーニングされるため、裏汚れは発生しなかった。
【0043】
クリーニングローラ外周面にトナーを融着させる方法としては、クリーニングローラ外周面にトナーを付着させた後に加熱して融着させる方法や、トナーを溶剤に溶かしてクリーニングローラ外周面に塗布、その後に乾燥させる方法などがある。また、トナーはクリーニングローラの外周面全体に融着させても良いし、網掛け状に微細に点在させても良い。
【0044】
また、トナーそのものでなくとも、トナーとの相溶性の良い樹脂を融着させても良い。相溶性の目安としては、溶解度パラメータが広く知られており、トナーとの差が概ね1以内のものが特に好ましい。
【0045】
(実施例4)
実施例3でのクリーニングローラ、すなわち外周面にトナーを融着させたクリーニングローラを、図9に示した加熱定着装置に搭載して同様な試験を行った。
【0046】
端部温度上昇に関しては、実施例2と同様に初期から長期にわたり、クリーニングローラによる低減効果が見られた。さらに、初期から加圧ローラに付着したトナーがクリーニングローラによってクリーニングされるため、裏汚れは発生しなかった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長期にわたって使用して、クリーニングローラのトナー層は厚さが所定値に達すると、クリーニングローラから一部または全部が自動的に除去されるために、クリーニングローラの表面を加圧ローラに常に接触させることが可能となり、端部温度上昇を効果的に抑制できる。
【0048】
また、トナー層が所定値以上の厚さになることはないので、加圧ローラに対するクリーニングの機能が保持されて裏汚れの発生を抑制できるるとともに、あまり頻繁に保守点検を行わなくても、クリーニングローラと加圧ローラは安定な回転を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による加熱定着装置の概略構成図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】定着ローラの拡大断面図である。
【図4】断面形状が半楕円形状をなしたトナーはぎ取り部材を設置した場合の、図2に相当する図である。
【図5】断面形状が三角形状をなしたトナーはぎ取り部材を設置した場合の、図2に相当する図である。
【図6】断面形状が三角形状をなしたトナーはぎ取り部材を設置した場合の、図2に相当する図である。
【図7】断面形状が四角形状をなしたトナーはぎ取り部材を設置した場合の、図2に相当する図である。
【図8】板状のトナーはぎ取り部材を設置した場合の、図2に相当する図である。
【図9】本発明の実施の形態2による加熱定着装置の概略構成図である。
【図10】図9のD−D線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 加熱定着装置
2 定着ローラ
3 加圧ローラ
10,20 クリーニングローラ
12〜17 トナーはぎ取り部材
S 空隙
Claims (4)
- 加熱源を有する定着ローラと、前記定着ローラ側に押圧され定着ローラ外周面に圧接された加圧ローラと、前記加圧ローラ外周面に接触し加圧ローラ外周面をクリーニングするクリーニングローラとを備え、回転する前記定着ローラと加圧ローラ間に、トナーが転写された印刷用紙を挿通すると共に加熱して、印刷用紙にトナーを融着する加熱定着装置において、
前記クリーニングローラ外周面との間に所定幅の空隙を開けてもう一つのクリーニングローラが配置され、該もう一つのクリーニングローラは、前記クリーニングローラ外周面に形成されるトナー層の厚さが前記所定幅に達したとき、当該トナー層に接触してトナー層をはぎ取ることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項1に記載の加熱定着装置において、
前記クリーニングローラは、熱伝導率の大きな材料で構成されていることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項1又は2に記載の加熱定着装置において、
前記クリーニングローラの外周面には、トナーもしくはトナーとの相溶性の高い樹脂が、前記所定幅以下の膜厚で均一または不均一に形成されていることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項1に記載の加熱定着装置において、
前記2つのクリーニングローラは同方向に回転することを特徴とする加熱定着装置。
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