JP3674251B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体上にトナー画像を形成し、このトナー画像を中間転写体に転写した後、中間転写体から記録媒体に転写する中間転写型画像記録装置に係り、具体的には電子写真記録、静電記録、イオノグラフィ、マグネトグラフィ等を利用する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光体ドラム等の像担持体上に形成されたトナー像を、中間転写体を介して用紙等の記録媒体に転写する画像記録装置は知られている。このような中間転写体を使用する画像記録装置は、特にカラー画像を形成するタイプで使われており、例えば、像担持体上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色のトナー画像を、順次中間転写体に転写して重ね合わせ、中間転写体上で重ね合わされたY,M,C,Bkのトナー画像を、中間転写体から記録媒体へ一括転写した後、定着することによりカラー画像を得る。このように、中間転写体を使用することにより、感光体ドラムから記録媒体に直接転写する場合と比較して、記録媒体の特性の違いによる転写不良など、記録媒体に関する種々の問題を改善できるなどの長所があり、このことが、カラー画像を形成する際に中間転写体を使用する大きな理由になっている。もちろん、カラー画像に限らず、白黒画像においても、記録媒体に関連する問題を改善する目的で中間転写体は使用されており、その他、カラー画像及び白黒画像共に、トナーの転写性やトナー画像の画質を改善する目的などで、中間転写体は広く利用されている。
【0003】
一方、最近、地球環境保全の観点から、エコロジー対応のために、クリーナが不要で廃トナーの生じないクリーナレスの画像記録装置が提案されている。例えば、特開昭59−133573号公報において、クリーニング装置を用いることなく、トナー像を転写した後、背景部に残留するトナーを現像ロールに転移させることにより、現像装置によって回収する旨が記載されている。その実用化例として、平成元年7月に開催された電子写真学会主催の「Japan Hardcopy’89」において、「現像同時クリーニング方式」という概念のクリーナレスレーザプリンタを開発したとの報告がなされている。
しかし、このような、現像同時クリーニング方式では、転写時等に混入した紙粉等も現像装置に回収されてしまい、画像欠陥の原因となることがある。
【0004】
このような現像同時クリーニング方式における紙粉混入の技術的課題を解決するために、中間転写体を使用した画像記録装置が、特開平5−210294号公報等に記載されている。特開平5−210294号公報では、中間転写体を設けることにより、感光体ドラムが直接記録用紙と接触することがないので、感光体ドラムに紙粉が付着することがなくなり、現像装置に紙粉が入らず、画像欠陥が防止できる旨の記載がある。しかし、本方式においては、中間転写体の転写効率(転写率)は改善されてはおらず、中間転写体上に未転写トナーが残るため、中間転写体のクリーナが必要となり、クリーナが不要で廃トナーの生じないクリーナレスの画像記録装置という本来の技術コンセプトを逸脱してしまっている。
【0005】
また、中間転写体を使用した画像記録装置において、中間転写体のクリーナを使用しない方式が、特開平8−314231号公報等に記載されている。例えば、特開平8−314231号公報では、中間転写体上の残留トナーを、逆極性の電圧を印加した転写ローラ等に転移させて除去するとしている。しかし、転写ローラに転移したトナーを除去するために、クリーナを設けなければならず、本質的にクリーナが不要で廃トナーの生じないクリーナレスの画像記録装置ではない。
このように、中間転写体を使用した画像記録装置は一般によく知られているが、中間転写体を使用した画像記録装置において、エコロジー対応のために、中間転写体のクリーナが本質的に不要で廃トナーの生じない画像記録装置は、未だ知られていないのが現状である。
【0006】
さらに、前記カラー画像形成プロセスのような、Y,M,C,Bkのトナー画像を重ね合わせてカラー画像を形成する方式において、2種類以上のトナー画像を重ね合わせることにより、画像のエッジ部でトナーが飛散する、いわゆる「ブラー」が発生するという問題がある。ブラーは種々の原因で発生するが、主として転写ニップ部の出口側で発生しやすく、記録媒体が剥離する時に、ギャップの増大に伴う記録媒体の電位上昇で放電を起こし、トナーの再帯電が画像構造の再配列を誘起して発生する。ブラーは画像エッジ部のシャープ性を低減し、画質を著しく悪くする。なお、ブラーは、上記のように、多重転写時などトナー層厚が厚いときに発生しやすい他、トナーの種類によっても発生のしやすさが異なり、従来の粉砕トナーに比べて、重合法で生成された重合トナーは発生しやすい。一般に、重合トナーは、その形状が球形あるいは球形に近いため、静電的な鏡像力やファンデルワールス力等の付着力が小さい。これにより、転写効率が向上するという長所がある反面、ブラー等の画像乱れが発生しやすくなるという短所を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、中間転写体を使用する画像記録装置において、トナー像を中間転写体から記録媒体へ転写する際の転写効率を改善し、回収・廃棄するトナーを無くすこと、またはこれに加えてクリーニング装置を不要として装置を簡素化すること、さらに重合トナーを使用した場合でも、転写時に発生しやすいブラー等の画像乱れを防止して良好な画像を出力することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像記録装置は、像担持体上にトナーによる画像を形成し、該トナー画像を中間転写体に転写した後、該中間転写体に転写したトナー像を記録媒体に転写する画像記録装置において、前記トナーが球形あるいは球形に近い形状を有し、前記中間転写体として、最表面に微粒子あるいは微粒子からなる凝集体が付着しており、表面のJIS K7125に準拠して測定した動摩擦係数が前記トナーに対して0.2以上である中間転写体を用いることを特徴としている。
また、本発明においては、前記像担持体上に、微粒子あるいは微粒子からなる凝集体を付着させることも好ましい。
さらに、このとき用いるトナーとしては、重合法あるいは懸濁造粒法により生成したトナーであることが、転写効率の向上の意味で好ましい。
【0009】
このような手段を用いることにより、以下に示す作用で上記課題が解決される。
一般にトナーは中間転写体と静電的な力で付着しているが、その他にファンデルワールス力等の非静電的な付着力も作用している。そして、この非静電的な付着力が、100%に近い転写率を実現する妨げになっている。そこで、上記のような微粒子の上に重ねてトナー像を転写することにより、トナー粒子と中間転写体との間に空隙がある状態、またはトナーと中間転写体との接触面積が小さい状態とすることができ、上記非静電的な力が低減される。したがって、転写時に電界が作用するとトナー粒子は容易に転移し、100%に近い効率で転写を行うことが可能となる。
この際、微粒子を付着させた後の中間転写体表面のJIS K7125に準拠して測定した動摩擦係数が、前記トナーに対して0.2以上であるという条件を付加することにより、転写時に発生しやすいブラー等の画像乱れを防止できることを見出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態を挙げて説明する。
図1は、感光体ドラム1から中間転写体5へトナー像を転写する際の、転写ニップ部の断面を示す。図では、1色目のトナー像が転写された後、2色目のトナー像を転写するときの状態を表している。また、破線で囲った部分の拡大図(模式図)を図2に示す。図中、14bは中間転写体5に既に転写されているトナー、15bはその上に重ね合わせて転写するトナー、16は中間転写体に付着している微粒子である。このとき、微粒子16は、中間転写体と比較的強固に付着しているため、横方向(矢印18)の力が作用しても動きにくく、このことがトナーに対する摩擦力を増大する働きを担っている。
【0011】
転写時に、転写ニップでの圧力が矢印17方向に働くと、中間転写体表面の上記摩擦力により、中間転写体と直接接触する最下層のトナーは、横に拡がろうとする動き(図2の矢印19)が規制されることになる。また同時に、転写ニップ圧により、トナー層内の空隙は減少するが、このとき2色目のトナー層は、トナー層内部のトナー同士の摩擦力と、動きが規制された最下層のトナーの働きにより、横方向への動き(図2の矢印20)が抑えられたまま、上下方向にパッキングされた状態になる。このため、中間転写体の保持する電荷によって、トナー層の最上層まで、より強く静電的な拘束力が働くようになる。したがって、転写ニップの出口部を通過する際にも強い静電的な拘束力が働いているので、ブラーの発生が抑制され、図1に示すようなエッジ部の乱れの無いトナー像14c及び15cとなる。
【0012】
【実施例】
以下、図面を用いながら本発明の実施例について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図3は、本発明が適用された中間転写型画像記録装置の一実施例を示す概略構成図である。
この中間転写型画像記録装置は、カラー画像を形成するタイプで、表面に感光体層を有するドラム状の像担持体1と、この像担持体1を一様に帯電する帯電器2と、一様に帯電された像担持体1に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置3と、それぞれ、ブラック(4a)、イエロー(4b)、マゼンタ(4c)、シアン(4d)、の4色の現像剤を収容した4台の現像装置4と、上記像担持体1に接触し、周回可能に張架された無端ベルト状の中間転写体5と、上記像担持体1上に形成されたトナー像を上記中間転写体5へ転写する転写ローラ6と、無端ベルト状の中間転写体の張力を調整するテンションローラ7と、ペーパーガイド13に沿って搬送ローラ12により搬送されてくる記録用紙11に中間転写体5上のトナー像を転写する第2の転写ローラ9と、転写ローラ9に対向して設けられているバックアップローラ8と、記録用紙11上のトナー像を定着する定着装置10とを有している。
【0013】
上記帯電器2は、電極ワイヤに高電圧を印加し、像担持体1との間でコロナ放電を発生させて、該像担持体1の表面を一様に帯電するものである。
上記像書き込み装置3は、像担持体の回転方向と垂直に発光素子(LD)のレーザ光を繰り返し走査し、この発光素子が画像信号に基づいてON/OFFすることによって、回転駆動される像担持体1に像露光を行うようになっている。
上記4台の現像装置4a,4b,4c,4dは、回転駆動される1台の基部4eに支持されており、順次像担持体と近接・対向するようになっており、各色に対応する潜像にトナーを転移して可視像(トナー像)を形成する。
また、上記中間転写体5は、ポリイミド樹脂中にカーボンブラックを分散させ、厚さ80μmの無端ベルト状にしたものを基材として、その上に表面層としてフッ素ラテックス(ダイキン工業社製GLS−213)を20μmコーティングして焼成したものである。基材であるポリイミド樹脂の体積抵抗率は109 〜1010Ωcmで、フッ素ラテックスの表面層をコーティング後の中間転写体5の体積抵抗率は1012〜1013Ωcmであった。
【0014】
なお、本発明で用いられる中間転写体5は、上記以外の材料・構成のものでも構わなく、中間転写体5が上記のように2層構成の場合、例えば、上記以外の基材としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)等の樹脂の一種またはこれらの混合物からなるもの、もしくはニッケル、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属などが使用でき、その表面層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム、発砲体及びラテックスなどや、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアセタール等の樹脂などが使用できる。なお、中間転写体5の構成は、上記のような2層構成に限らず、強度が十分あれば単層でも構わなく、3層以上の構成でも構わない。また、上記のようにベルト状の中間転写体以外の、例えばローラ状やドラム状の中間転写体でも構わない。
【0015】
上記転写ローラ6は、金属製の芯金にウレタン発泡体の層を形成したもので、ウレタン発砲層の体積抵抗は、106 〜107 Ωcmに調整してある。
また、第2の転写ローラ9は、金属製の芯金にスキン層を有するシリコーン発砲体の層を形成し、さらにそのスキン層の上にコート層として、PTFEを成膜したものである。コート層の厚みは10μmで、コート層を含む層全体の体積抵抗率は106 〜107 Ωcmに調整してある。
【0016】
このような中間転写型画像記録装置の主要部材のデータ及び設定は次の通りである。
【0017】
また、本実施例で使用したトナーは、懸濁重合を利用した重合法によって生成したトナーで、球形あるいは球形に近い形状を有している。バインダ樹脂にはポリエステル樹脂を使用し、平均粒径は7μmとした。このように、重合法によって生成されたトナーは、その形状が球形あるいは球形に近いため、像担持体等への付着時に作用する静電的な鏡像力やファンデルワールス力等の付着力が小さい。これは次のような理由からである。従来の粉砕法で生成されたトナーは、その表面に凹凸があり、摩擦帯電によって凸部が集中的に帯電され、その部分の表面電荷密度が高くなる。図4に示すように、粉砕トナー21では、像担持体1等に付着する際に、この凸部が接触するため、粉砕トナー21の接触部に多くの電荷が存在し鏡像力が大きくなる。また、像担持体1等に接触している面積も比較的大きいため、ファンデルワールス力も大きくなる。一方、重合法によって生成されたトナーは、その形状が球形あるいは球形に近いため、表面が均一に帯電され、表面電荷密度は粉砕トナーの凸部と比較して低くなる。図5に示すように、重合トナー22では、像担持体1等に付着する際に、ほとんど点接触になり、電荷密度も低いため鏡像力が低くなり、ファンデルワールス力も低くなる。
【0018】
このように、重合トナーは、付着力が低いため転写性が良好であり、本発明における100%近い転写率を達成するという目的に叶っている。したがって、本発明で使用するトナーは、上記懸濁重合の他、乳化重合、分散重合等を利用した重合法で生成したものが適している。また、バインダ樹脂、着色剤等を含むトナー成分を有機溶剤中に溶解あるいは分散した油相層を、水相層で懸濁造粒して得られるトナーを使用してもよい。このような懸濁造粒法で生成されたトナーも、重合トナーと同様に、球形あるいは球形に近い形状を有しているため転写性が良好であり、本発明に使用するトナーとして適している。さらに、従来の粉砕法や各種のカプセル化法等で生成したトナーを使用してもよい。
【0019】
本発明では、中間転写体最表面、または、中間転写体最表面及び像担持体上に、微粒子あるいは微粒子からなる凝集体を付着させるが、本実施例では中間転写体及び像担持体の双方に微粒子を付着させた。以下にこの微粒子について説明する。
図3に示す中間転写型画像記録装置で用いられる微粒子は、例えば次のようなものである。
平均粒径12nmのシリカに、疎水化処理剤としてHMDSを用いて表面処理したもので、ゆるい凝集をした状態で存在しており、比較的容易に分散しうるものである。なお、この微粒子は、前記トナーの外添剤としても使用しており、トナーの転写性や流動性を向上させる働きをしている。本実施例で像担持体に付着させる微粒子として特にシリカを用いた理由は、従来よりシリカはトナーの外添剤(転写助剤、流動性助剤)として使用されており信頼性が高いことと、外添剤として併用すれば、トナーから遊離したものが像担持体へ供給され、より微粒子の効果を安定に維持できることなどが挙げられる。本実施例でも、上記の目的で外添剤と併用している。
また、微粒子の状態は、一次粒子として、微粒子が単一で存在している状態でもよく、二次粒子として2〜数10個が凝集した凝集体で存在している状態でもよい。なお、凝集体で存在している場合、その大きさとして、後述する画質上の問題から、平均粒径が100μm以下であることが好ましい。
【0020】
微粒子の材料としては、上記シリカの他に、酸化チタン、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化クロム、ベンガラ等の無機微粉末や、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粉末を用いることができる。環境安定性を考慮するとこれら微粒子は吸湿性が少ないことが望ましく、酸化チタン、アルミナ、シリカ等の吸湿性を有する無機微粉末の場合は、疎水化処理を施すことが好ましい。これら無機微粉末の疎水化処理は、上記ヘキサメチルジシラザンの他に、例えば、ジメチルジクロロシラン、デシルシラン、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン等のシランカップリング剤やジメチルシリコンオイル等の疎水化処理剤と、上記微粉末とを高温度下で反応させて行うことができる。
【0021】
これら微粒子の中で、像担持体に使用するにあたって、画質上、特に遮光効果によるネガゴーストの発生の問題を考慮する必要があるならば、平均粒径が露光源(たとえばLEDで660nm程度、半導体レーザで780nm程度)の半波長以下の微粒子である必要があり、画質上まったく問題がないレベルとするためには、平均粒径が100nm以下の微粒子であることが好ましい。また、微粒子に透明性を付与すれば、より好ましい。その場合、有機微粉末では透明性に優れたポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレートの等のアクリル系の微粉末が望ましい。また、無機微粉末ではシリカが遮光効果の低い点で望ましい。また、微粒子の転写率向上効果をより確実に発揮させるために、微粒子の平均粒径は、トナーの平均粒径の1/1000程度より大きいことが好ましく、例えば、平均粒径が7μmのトナーを使用する場合、微粒子の平均粒径は7nm程度以上であることが好ましい。また、これら微粒子が、使用されるうちに像担持体上にフィルム状となって付着してしまうような材料、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等は、当然トナーに対してもフィルミングを起こしやすくトナーに対する付着力も強くなる。したがって、このようなフィルミングを起こしやすい材料の微粉末は望ましくない。
【0022】
なお、図3に示す像担持体1及び中間転写体5には、上記微粒子が予め付着させてある。その付着状態については、後で詳細に述べる。
また、像担持体上における微粒子の付着状態であるが、一種類の微粒子が存在していても、複数種類の微粒子が同時に存在していてもよい。トナーと像担持体の間に微粒子が介在することでトナーと像担持体との間の付着力を下げることができればよい。
【0023】
次に上記のような構成の中間転写型画像記録装置の動作について説明する。
ドラム状の像担持体1は回転駆動され、帯電器2によって一様に帯電される。
像書き込み装置3との対向位置では像光が照射されるが、使用している微粒子は平均粒径が20nmと像光の波長780nmに比べて十分小さいため照射を妨げることなく、像担持体の感光体層の電荷は露光によって低減され、静電電位の差による潜像が形成される。
この潜像は現像装置4(4a)との対向位置に移動し、現像ロールから転移されるブラックトナーが微粒子の上に重ねて付着され、潜像が可視化される。このようにして形成されたブラックトナー像は、転写ローラ6によって微粒子の付着している中間転写体5上に1次転写される。このとき、トナーは微粒子を介して像担持体1上に付着しており、ファンデルワールス力等の非静電的な付着力が小さくなっているので、転写ローラ6による電界で容易に離脱し、ほぼ100%の転写率で転写される。
【0024】
像担持体1においては、さらにイエロー、マゼンタ、シアンの各色について、帯電器2による帯電、像書き込み装置3による像光の照射、現像装置4(4b,4c,4d)によるトナー像の形成、転写ローラ6による中間転写体5への転写の各工程が繰り返され、その結果、中間転写体5上に4色のトナー像が重ね合わされたカラー画像が形成される。さらに、このカラー画像は、第2の転写ローラ9によって一括して記録用紙11に2次転写される。このとき、上記1次転写と同様に、トナーは微粒子を介して中間転写体5上に付着しており、ファンデルワールス力等の非静電的な付着力が小さくなっているので、第2の転写ローラ9による電界で容易に離脱し、ほぼ100%の転写率で転写される。そして最終的に、定着装置10によって定着されて、カラーの記録画像が得られる。
上記のようにして、像担持体から中間転写体へトナー像が1次転写された後、及び中間転写体から記録用紙にトナー像が2次転写された後、それぞれ、像担持体上及び中間転写体上には残留トナーが残らないので、この中間転写型画像記録装置ではクリーニング装置は設ける必要はなく、良好なカラー画像を形成することができる。
【0025】
さて、上記のような中間転写型画像記録装置の転写性と転写画質を評価するため実施した実験について以下に述べる。
この実験では、まず、中間転写体上の微粒子付着状態を変化させて転写率を測定した。具体的には5種類の異なる付着状態を作り、それぞれについて面積率(像担持体の単位面積当たりに占める微粒子の投影面積の割合)の測定と転写率の評価を実施した。この面積率の測定には、ニレコ社製のLUZEXIII を使用した。
【0026】
また、微粒子の付与は次のような装置を使用して行った。図6にその微粒子付与装置203の構成を示す。微粒子を収容するハウジング234の開口部に回転ブラシ231が設けられ、その後方には該回転ブラシ231に微粒子を供給するパドル232が設けられている。微粒子はパドル232によって回転ブラシ231の毛先にふりかけられて付着し、回転ブラシ231の軸方向と平行に支持された棒状部材233と接触して過剰な微粒子が払い落とされる。微粒子を付与する際には、中間転写体5を中間転写型画像記録装置から一旦取り出し、別途用意したオフライン微粒子付着機に上記微粒子付与装置203と中間転写体5をセットし、微粒子付与を行った。具体的な方法としては、まず、中間転写体5を一定速度で回転させておき、回転ブラシ231の毛先が中間転写体5の表面に接触しながら同方向に移動するように回転駆動させる。その速度は中間転写体の回転速度より毛先がやや早く移動するように設定した。微粒子の付着状態を変えるには、上記パドル232から回転ブラシ231への微粒子供給量を制御した。
また、転写率は下記の式より求めた。
【0027】
【数1】
【0028】
図7に微粒子の面積率と転写率の関係を示す。なお、面積率=0とは微粒子を付着させなかった場合を示す。この図に示されるように、面積率が増大するに連れて転写率が高くなり、面積率が約10%で100%に近い転写率を達成することができる。一方、面積率の比較的小さい場合、すなわち中間転写体の表面に付着している微粒子の量が少なくなると、目標とする100%に近い転写率が達成できなくなることがわかる。
なお、この傾向は、中間転写体の材料を変えたときも同様であることを、別途実施した実験により確認した。ただし、この際、記録用紙に与える転写電荷量は一定になるように制御した。したがって、ほぼ100%の転写率を実現するためには、微粒子の面積率としては、約10%以上が必要ということになる。
【0029】
次に、中間転写体に微粒子が付着しているときの動摩擦係数と、ブラーの発生率との関係について説明する。
中間転写体に微粒子が付着しているときの動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して、次のようにして求めた。図8に示すように、幅80mm、長さ200mmにカットした中間転写体表面に、微粒子を面積率で10%付着させたものを作製して試験片23とした。また、相手材料24としては、ポリイミドフィルム上に、図3に示した中間転写型画像記録装置を利用してトナーを均一に1層分だけベタ現像した後、フィルムの裏側からホットプレートにより加熱して、フィルムがトナーのガラス転移点より10〜20℃高い温度になるようにして、トナーをフィルムに融着させたものを使用した。このようにして相手材料24を作製した場合、図9に示すように、トナー24aはフィルム24bとの接触部だけで溶けて融着しているため、相手材料24は、上面がトナー形状をそのまま止めている状態のものになる。したがって、動摩擦係数を測定しているときの接触面では、図10に示すように、トナー24aと試験片23b上に付着している微粒子23aとが摺動していることになる。
【0030】
また、図8において、25は63mm×63mmのサイズで荷重200gの滑り片、26はロードセルであり、試験片25とロードセル26とはバネ定数2N/cmのスプリング27を介してつながっている。
このような条件で測定することにより、中間転写体に微粒子が付着している状態でのトナーに対する動摩擦係数を測ることができる。この場合、微粒子の物性(表面エネルギー等)や付着状態(面積率等)、及びトナーの物性(表面エネルギー等)や形状等を含めた系で動摩擦係数を求めることになり、即ちこれは、本発明の画像形成装置の転写部での形態にできるだけ近い系で動摩擦係数を測定することを意図している。
本測定法により、本実施例の中間転写体表面材料であるフッ素ラテックス(GLS−213)の動摩擦係数を測定した結果、0.36という値を得た。
【0031】
次にこの中間転写体を使用して印字試験を行い、ブラーの程度を評価した。ブラーの程度は、ブラーグレードとして、予め5段階に定量化されている限度見本と比較し、最も近いものをその画質サンプルのグレードとする方法により評価した。なお、ブラーグレードは小さい値程、ブラーが少ないことを示しており、グレード3以下であれば画像として許容できる範囲である。また、画質サンプルは、最もブラーの発生しやすい4色重ね合わせの5ドットライン画像を使用した。本実施例においては、評価の結果、ブラーグレード2という良好な値を得た。
【0032】
次に中間転写体の動摩擦係数の違いによるブラーの程度を比較するため、各種材料を使用して中間転写体を作製し、同様な評価を行った。なお、中間転写体は単一材料を使用し、体積抵抗率は上記の中間転写体と同一になるように1012〜1013Ωcmのものを使用した。また、中間転写体表面には、上記の実験と同様に、微粒子を面積率で10%付着させてある。
動摩擦係数およびブラーグレードの測定結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
図11は、上記中間転写体を使用した場合の、ブラーの程度を評価した結果を示すグラフである。グラフ中、横軸は中間転写体表面の動摩擦係数、縦軸はブラーの程度を示すブラーグレードである。なお、このグラフには前記フッ素ラテックス表面の中間転写体の結果も併せて記してある。図より、中間転写体表面の動摩擦係数とブラーグレードとは相関をもっており、動摩擦係数が0.2以上でブラーグレード3以下を達成できることがわかる。
【0035】
実施例2
図12は、本発明が適用された中間転写型記録装置の他の実施例を示す概略構成図である。実施例1と同様な構成要素については同じ符号を付して、ここではその詳細な説明を省略する。
同図において、この中間転写型画像形成装置は、実施例1とほぼ同様であるが、2次転写した後の中間転写体5に、微粒子を均一に付与する微粒子付与装置203を装置内に有している。この微粒子付与装置203は、前記実施例1で、微粒子を付着させるのに用いたものと同一であり、その動作は前述した通りである。
実施例2では、微粒子付与装置203により、中間転写体の表面に微粒子を均一にかつ安定して付着させることができるので、100%近い高転写率で、ブラー等の転写乱れのない画像を、より長期にわたって安定して出力することができた。
【0036】
以上説明した実施の形態は、いずれもカラー画像記録方式で説明したが、白黒画像記録方式でも同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態は、いずれもカールソンプロセスに基づく電子写真記録方式で説明したが、チャージレス方式、背面露光方式等、記録紙に転写を行う間接記録方式であれば適用可能である。さらに、中間転写体から他の中間転写体に転写する場合にも適用できる。その他、いわゆる静電記録方式やイオノグラフィ方式等、感光体の代わりに誘電体を使用して静電潜像を書き込み、これを現像して転写する場合にも有効である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る中間転写型画像形成装置では、中間転写体の表面に微粒子を付着させ、該微粒子を付着させた後の中間転写体表面の動摩擦係数が、トナーに対して0.2以上であるため、微粒子の効果で100%近い転写率を達成することができると共に、ブラー等の転写乱れのない良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメカニズムを説明する図であり、感光体ドラムから中間転写体へトナー像を転写する際の、転写ニップ部の断面図である。
【図2】図1の転写ニップ部の拡大模式図である。
【図3】本発明が適用された中間転写型画像記録装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】粉砕トナーの電荷分布、および像担持体との接触状態を説明する図である。
【図5】重合トナーの電荷分布、および像担持体との接触状態を説明する図である。
【図6】微粒子付与装置の概略構成図である。
【図7】微粒子付着状態と転写率との関係を説明するグラフである。
【図8】 動摩擦係数の測定法を説明する図である。
【図9】 動摩擦係数測定における相手材料の表面状態を示す断面図である。
【図10】 動摩擦係数測定時の試験片と相手材料との接触状態を示す拡大断面図である。
【図11】 動摩擦係数とブラーとの関係を説明するグラフである。
【図12】本発明が適用された中間転写型画像記録装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:像担持体
2:帯電器
3:像書き込み装置
4:現像装置
5:中間転写体
6:転写ローラ
7:テンションローラ
8:バックアップローラ
9:第2の転写ローラ
10:定着装置
11:記録用紙
12:搬送ローラ
13:ペーパーガイド
14、15:トナー
16:微粒子
17、18、19、20:矢印
21:粉砕トナー
22:重合トナー
23:試験片
24:相手材料
25:滑り片
26:ロードセル
27:スプリング
203:微粒子付与装置
Claims (4)
- 像担持体上にトナーによる画像を形成し、該トナー画像を中間転写体に転写した後、該中間転写体に転写したトナー像を記録媒体に転写する画像記録装置において、
前記トナーが球形あるいは球形に近い形状を有し、前記中間転写体として、最表面に微粒子あるいは微粒子からなる凝集体が付着しており、表面のJIS K7125に準拠して測定した動摩擦係数が前記トナーに対して0.2以上である中間転写体を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 前記像担持体上に、微粒子あるいは微粒子からなる凝集体を付着させたことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記トナーは、重合法により生成したトナーであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
- 前記トナーは、懸濁造粒法により生成したトナーであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
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