JP3674178B2 - 路車間通信システムにおけるセル移行方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の路上機を道路に沿って配置し、道路に一連のセルを形成することにより車両との移動通信を可能にする路車間通信システムにおけるセル移行方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路管理者と車両との間の通信需要は、今後ますます増加する方向にある。特に高速道路において、車両の運転者に負担をかけずに、かつ、互いに事故を起こさないような道路走行を実現しようとすれば、道路側の情報と車両側の情報とを頻繁にやりとりする必要がある。このようなシステムを発展させていくと、車両と道路との両方に各種センサやカメラを網羅し、道路側と車両側とで緊密に連絡しあって運転する自動運転システムにつながっていく(特願平7−43260号明細書)。
【0003】
自動運転システムへの将来的拡張を考慮し、車両に対する運転支援システム(以下「路車間通信システム」という)を構築するにあたっては、道路上に連続したセルを設ける必要がある。
そこで道路に沿って漏洩同軸ケーブルを布設する方法が考えられるが、布設工事が大掛かりとなる上、漏洩同軸ケーブルを地面から比較的低い位置に設置するので、車両や構造物に遮蔽されやすいという欠点がある。
【0004】
これに対して、所定間隔で路上アンテナを設置して通信を行えば、遮蔽の問題は解消する。この場合は、広いセルを1つのアンテナでカバーするよりも、複数のアンテナにより小さなセル(マイクロセル)を連続的に設けるマイクロセル方式が電波の有効利用のためには有力である。
マイクロセル方式では、セル間の電波干渉を避けるため、隣接セル間では互いに異なる搬送波周波数が用いられる。またスペクトル拡散方式を採用した場合は、隣接セル間では互いに異なる拡散符号が用いられる。
【0005】
そのため、車両がセルからセルへと通過するときは、車両、路上ともにセルが変更されたことを認識して、周波数の変更や通信の継続動作を行うことが必要である。
通常、セルを移行する場合、次の2つの方法がある。
(1) 隣接路上機間で、車載機からの信号レベルを比較して、最大レベルのセルに移行したと認識して車載機に通知する。
(2) 車載機が、路上機からの信号の受信レベルを比較し、最も受信レベルの大きなセルに移行したと認識して路上機に通知する。
【0006】
前記(1) の方法はセル移行が頻繁に生じる場合路上機の通信制御の負担が大きくなるので、路車間通信システムでは車両主導の後者の(2) の方法を採用することが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記(2) の方法では、車載機が路上機へ次のセルへの移行を通知する時機が遅れると、路上機でセル移行準備をしている間に、車載機が当該路上機のセルから出てしまい、当該路上機と通信できる機会がなくなってしまう。これでは、次のセルへの移行ができなくなってしまう。
【0008】
ここで、数値例をあげておく。実際マイクロ波やミリ波を使う路車間通信システムでは、セル長は30m程度と考えられる。車両の移動速度を30m/秒(100 km/h)とすると、車両は1秒でセルを通過する。ところがセル境界付近でいずれの路上機とも通信できる区間の長さ(図1の符号W参照)は、約1mであり、その通過時間は33ミリ秒と非常に短い。この時間で移行準備を行うには非常に高速な処理が必要である。
【0009】
また、前記(2) の方法では、車載機が路上機へ次のセルへの移行を通知する時機は、通常路上機から送られる電波の受信レベルと閾値との比較に基づいて判断されるが、受信レベルのみに基づいて判断すれば、セルの境界付近で電界強度の急激な変化があるので、通知する時機を誤るおそれがある。
そこで、本発明は、路車間通信システムにおいて、十分なセル移行期間を確保することのできるセル移行方法を実現することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、路車間通信システムにおいて、セルへの移行をする時機を確実に判断することのできるセル移行方法を実現することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のセル移行方法は、(a) 車載機において、セル内の車両が当該セルの境界に至る前の所定の第1の時点で後続のセル内の通信への移行を路上機1に要求し、(b) 当該路上機1は、この移行要求を後続のセルの路上機2,3,...に伝え、(c) 後続のセルの路上機2,3,...は、セル移行準備手続きを開始し、同手続きの終了後は待機し、(d) 車載機は、車両が当該セルのほぼ境界に近い第2の時点で、到達通知を当該路上機1に伝え、(e) 当該路上機1は、この到達通知を次のセルの路上機2に伝え、(f) 次のセルの路上機2は、到達通知を受けるとセル移行に必要なデータを当該路上機1に伝え、(g) 当該路上機1は、当該セル移行に必要なデータを車載機に伝え、(h) 車載機は当該セル移行に必要なデータに基づいてセル移行を行い、(i) 移行後のセルにおいても、前記(d) から(h) までの手順を繰り返すことにより、次々とセル移行を行う方法である(請求項1)。
【0016】
この方法によれば、車両は、当該セルの境界に達する前の第1の時点で次のセル内への移行を路上機1に要求するので、次のセルの路上機2は、予めセル移行準備手続きを開始することができる。したがって、セル移行の準備期間を確保できる。
しかも、移行要求を次の路上機2のみならず、後続の路上機3,4,...にも伝え、後続の路上機3,4,...にも移行準備をさせる。
車両が走行中のセルのほぼ境界に近い第2の時点で、到達通知を伝えると、次の路上機は次のセルへ移行に必要なデータの準備ができているから、そのデータを車載機に伝え、車載機は当該セル移行に必要なデータに基づいてセル移行をすることができる。
【0017】
前記「車両が当該セルの境界に至る前の所定の第1の時点」は、車載機において、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置を検出した時点であることが好ましい(請求項2)。
この請求項2記載の方法によれば、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置に基づいて第1の時点を判断するため、後続の路上機2等は、十分な移行準備期間を確保することができる。
車載機が路上機へ次のセルへの移行を通知する時機は、従来、路上機から送られる電波の受信レベルと閾値との比較に基づいて判断されるが、閾値付近のレベルだけで移行先セルを判断しても、セルの境界付近で電界強度の急激な変化があるので、通知する時機を誤って判断する可能性がある。この請求項2記載の方法によれば、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置に基づいて判断するため、閾値付近の受信レベルだけで判断するよりも、確実な判断ができる。なぜなら、受信信号レベルがほぼ最大となる位置は、受信レベルが安定しており、位置誤差がほとんどないからである。
【0018】
前記「車両が当該セルのほぼ境界に近い第2の時点」は、車載機において、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置を検出し、当該位置からの車両移動距離を計測し、その移動距離が所定距離に到達した時点であることが好ましい(請求項3)。
この請求項3記載の方法によれば、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置からの移動距離に基づいて第2の時点を判断するため、受信レベルだけで判断するよりも、確実な判断ができる。
前記「所定距離」は、実際には、道路の形状の差異等によりセルごとに異なる可能性があるので、車載機は、セルごとに「所定距離」を予め知っていることが望ましい。例えば、全国のセルの「所定距離」のデータを記憶した記憶媒体を持っていてもよく、路上機から「所定距離」のデータを車載機に与えるようにしてもよい。また、「所定距離」は、セルごとに異なることを無視して一定の値としてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、複数の路上機を道路に沿って配置し、道路に一連のセルを形成することにより車両との移動通信を可能にした路車間通信システムを示す。路上機1,2,‥‥は、それぞれ光ファイバ又は同軸ケーブルを通して道路管理者の制御局(図示せず)と結ばれている。
【0020】
路上機1,2,‥‥から送り出される情報の内容は、限定されないが、例えば道路交通情報、天気情報、後述する「所定距離L」のデータ、特定の車両の走行方向、速度の情報、他車両との車間距離等の情報(以下「道路交通情報等」という)がある。道路交通情報、天気情報、「所定距離L」のデータは放送型の情報なので車両を特定するコードは付加されないが、車両の走行方向や速度、他車両との車間距離等の自動運転に必要な情報は、車両を特定するコードを含んでいる。
【0021】
路上機1,2,‥‥の送信周波数は、限定されないが、例えば1−3GHzの準マイクロ波帯、5.8GHz等のマイクロ波帯、さらには準ミリ波、ミリ波等の中から選択することができる。
変調方式は、限定されないが、例えばGMSK(Gaussian Minimum Shift Keying) やπ/4シフトQPSK(Quadrature Phase Shift Keying) 等の位相変調方式、周波数変調方式を採用することができる。
【0022】
各路上機1,2,‥‥は、前記周波数帯のf1 ,f2 ,‥‥等の複数の周波数の中からいずれかの周波数が割り当てられる。隣接する周波数の差は、伝送速度で規定される1チャンネル当たりの占有帯域幅に応じて決められる。
図2は、路上機1,2,‥‥の構成を示すブロック図である。
路上機1は、車載機からの電波を受信する受信部11と、車載機に電波を送る送信部12と、空き周波数の検索命令、データの引き継ぎ等の処理を行う処理部13と、光ファイバ15を通して道路管理者の制御局(図示せず)や他の路上機2,3,‥‥とのデータ伝送を行うための有線通信端末14とを備えている。
【0023】
さらに詳しくいえば、受信部11は、車載機から電波を受信すると復調し、受信データを得る。この受信データの中には、走行方向や速度、他車両との車間距離等の情報の他に、当該車載機識別番号(ID)や、車載機が認識しているセル番号、セル移行要求信号等が含まれる。これらの受信データは処理部13に伝えられる。また、受信部11は、電波の受信レベルの測定機能も有しており、この受信レベルも処理部13に伝えられる。さらに、受信部11は、処理部13からの指令により空き周波数をサーチする機能を備えている。
【0024】
また、送信部12が車両に送るデータは、道路交通情報、天気情報、特定の車両の走行方向、速度の情報等の他、車載機IDや、車載機が次に進むセル番号、次に割り当てる周波数等を含んでいる。
処理部13は、車載機からセル移行要求を受けたときにセル移行準備処理を行う。具体的には、受信部11に空き周波数の検索命令を与え、空き周波数を検索させ、検索後はその周波数を確保させる。
【0025】
さらに、車両がセルを移行するときのデータの引き継ぎを行う。この「データの引き継ぎ」というのは、次の▲1▼又は▲2▼の手続きをいう。
▲1▼セル移行前に路上機から車載機に送信した道路交通情報等のデータが、すべて送信し終わらないうちに、セル移行が行われる場合に、次の路上機が未送信のデータを引き続き車載機に送るための手続き。具体的には、車両が路上機1のセルから次の路上機2のセルに移行するとすると、路上機1から路上機2にデータパケット内の未送信データの番号を通知し、路上機2が道路管理者の制御局との間で通信を確立し、制御局に当該データパケットを取り寄せ、車両が路上機2のセルに入ったときに未送信データを車載機に送信するという手順となる。
【0026】
▲2▼セル移行前に車載機から路上機に送信した道路交通情報等のデータが、すべて受信し終わらないうちに、セル移行が行われる場合に、次の路上機が未受信のデータを引き続き車載機から受けるための手続き。具体的には、車両が路上機1のセルから次の路上機2のセルに移行するとすると、路上機1から路上機2にデータパケット内の未受信データの番号を通知し、路上機2が道路管理者の制御局との間で通信を確立し、車両が路上機2のセルに入ったときに未受信データを受信すると、制御局に当該データパケットを転送するという手順となる。
【0027】
なお、この「次の路上機2」は、車両の走行方向が一方向であることから、一義的に特定されるものである(この点で携帯電話システム等と異なる)。
図3は、車載機20の構成を示すブロック図である。
車載機20は、路上機1からの電波を受信するとともに、路上機1に送るべき電波をアンテナに与える送受信部21、変復調部22、復調された信号に基づいて道路交通情報等を再現するとともに、所定の時点でセル移行要求信号等を出す処理部23、並びに道路交通情報等に基づき画像表示する表示装置27と、送受信部21の受信信号に基づいて路上機の直下位置を判定する直下位置検出部24と、走行距離検出部25と、パルスカウンタ26とを有する。
【0028】
直下位置検出部24による直下位置の判定方法については、(1) 図4や図5に示すように、路上機の電波の受信電界強度Eの最大点を直下位置とする方法、(2) 路上機のアンテナを上り下り方向を向いた2つのアンテナエレメントに二分し、両アンテナエレメントには、互いに逆相の振幅変調信号を供給し、車載機はこの振幅の位相を検出することにより、直下位置を判定する方法がある(特開平2−71400号公報参照)。
【0029】
なお、図4と図5は、ともに(1) の路上機の電波の受信電界強度Eの最大点を直下位置とする方法を解説する図であるが、図4の場合電界強度分布は対称であるが、図5の場合は、電界強度分布は路上機のアンテナに指向性を持たせて非対称となっている。これは、直下位置検出点をなるべく走行方向の手前に持ってくることによりセル移行の準備期間を長く確保しようとする意図に基づくものである。
【0030】
走行距離検出部25は、例えば車輪速センサを利用する。この車輪速センサは、車輪の回転を検出する磁気センサを有し、磁気センサからの出力正弦波信号の波数を波形整形することにより、パルス信号として出力するものである。なお、それ以外に、図6に示すように道路に道路の方向に沿って等間隔で打ち込まれた磁気ネイルの磁界を、車体に設けた磁気センサによって検出することにより、車両の走行距離を検出するようにしてもよい(1994年9月13日米国特許第 5,347,456号、1992年5月14日PCT国際公開WO 92/08176 号参照)。また、磁気ネイルではなく、道路に発光素子を埋め込み、車両でその発光色を識別するようにしてもよく、道路に反射板を埋め込み、車両でその反射色を識別するようにしてもよい。
【0031】
パルスカウンタ26は、直下位置検出部24が直下位置を検出した時に出される計測開始信号に基づいて、パルスカウントを開始し、後述する所定距離Lに相当する一定数に達したときに、カウント終了信号を処理部23に伝える。
処理部23は、このカウント終了信号を受けた時点で、車載機ID、車載機が認識しているセル番号、セル移行要求信号を送受信部21に送り、路上機に伝える。また、処理部23は、路上機から受ける周波数割り当て信号に基づいて、送受信部21の送受信周波数を変更させる機能も有している。
【0032】
前記表示装置27は、道路交通情報等に基づき画像表示するものであるが、これに代えて音声発生装置を設けて音声でドライバに知らせてもよい。自動運転をするのであれば、車両のブレーキ操作、アクセル操作、ステアリング操作等の指令を発生する変換装置を設けて運転装置に伝える必要がある。
<通信手順1>
以上の構成の路上機、車載機によるセル移行時の通信手順を、図7を参照しながら説明する。
【0033】
図7は、道路上に路上機1、路上機2が隣接して設置されている場合の電界強度Eの分布(以下単に「電界強度分布」という)を示している。車両は、路上機1のセルを通過して路上機2のセルに移行しようとしている。
車載機20は、路上機1の直下位置を判定してから所定距離Lを走行すると、路上機1に移行要求を伝える。具体的には、図8の流れ図で符号Aで示すように、車載機ID、車載機20が認識しているセル番号、セル移行要求信号を、路上機1に伝える。
【0034】
なお、前記所定距離Lは、路上機1のセルの境界よりも手前に設定されている。
路上機1は、有線通信端末14を通して、同じ内容を、次の路上機2に伝える(図8符号B参照)。このとき、データの引き継ぎがある場合は、データパケット内の未送受信データの番号の通知も行う。
【0035】
路上機2は、セル移行要求信号を受けて移行準備手続きを行う(図8符号C参照)。具体的には、車両が路上機2との間で使用する空き周波数を検索し、検索後はその周波数を確保する。さらに、車両がセルを移行するときのデータの引き継ぎを行う。
移行準備手続きが終了すると、路上機2は路上機1に車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝える(図8符号D参照)。このようにして、路上機1は、路上機2からセル移行に必要な情報を取得する。
【0036】
路上機1は車載機20に、車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝える。またこのような移行準備が完了する頃には、車両は、さらに路上機1のセルの境界近くまで距離Dを進んでおり、路上機2とも通信可能なセルに入っている。
これによって、車載機20は、送受信周波数を変更し、セル移行を行うことができる。
【0037】
以上のように、車両が、路上機1の直下位置を判定してから所定距離Lを走行したとき、すなわち、車両がセルから出る前の余裕のある時点でセル移行要求を出すので、車両が距離Dを進むまでに、移行準備期間を確保することができる。したがって、路上機2は、この移行準備期間に空き周波数の検索、データの引き継ぎ等の移行手続きを行うことができる。
<通信手順2>
次に、セル移行時の他の通信手順を、図9を参照しながら説明する。
【0038】
この手順を実現するには、車載機20の処理部23の処理内容を次のように変更する必要がある。
処理部23は、パルスカウンタ26のカウント終了信号を受けた時点でなく、直下位置検出部24が直下位置を検出した時に、車載機ID、車載機が認識しているセル番号、セル移行準備要求信号を送受信部21に送り路上機1に伝える。そして、カウント終了信号を受けた時点では、処理部23は、単に、到達通知を送受信部21に送り、路上機に伝える。
【0039】
図9は、通信手順2における、路上機1、路上機2の設置状態と電界強度分布を示している。
車載機20は、路上機1の直下位置を判定した時点で、路上機1に移行準備要求を伝える。具体的には、図10の流れ図で符号Fで示すように、車載機ID、車載機20が認識しているセル番号、セル移行準備要求信号を、路上機1に伝える。
【0040】
路上機1は、有線通信端末14を通して、同じ内容を、次の路上機2に伝える(図10符号G参照)。このとき、データの引き継ぎがある場合は、データパケット内の未送受信データの番号の通知も行う。
路上機2は、セル移行準備要求信号を受けて移行準備手続きを行う(図10符号H参照)。具体的には、車両が路上機2との間で使用する空き周波数を検索し、検索後はその周波数を確保する。さらに、車両がセルを移行するときのデータの引き継ぎを行う。
【0041】
移行準備手続きが終了すると、路上機2はそのまま待機する。そして、路上機1を経由して車載機20から到達通知を受けた時点で(図10符号I,J参照)、路上機1に車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝え(図10符号K参照)、路上機1は、車載機20に、車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝える(図10符号L参照)。
【0042】
これによって、車載機20は、送受信周波数を変更し、セル移行を行うことができる。
以上のように、車両は、路上機1の直下位置を判定した時点で、セル移行準備要求を出すので、車両がセルから出るまでに、十分な移行準備期間を確保することができる。この移行準備期間は、通信手順1における準備期間よりも長くとることができる。
【0043】
したがって、路上機2は、この移行準備期間に空き周波数の検索、データの引き継ぎ等の移行手続きを十分余裕を持って行うことができる。また車載機の数が多い場合でも、十分長い準備期間があるので、対応することができる。
<通信手順3>
次に、セル移行時のさらに他の通信手順を、図11を参照しながら説明する。
【0044】
この手順を実現するには、路上機1の有線通信端末14は、処理部13から伝達される情報を、次の路上機2及び次の次の路上機3に伝えるにものでなければならない。
図11は、通信手順3における、路上機1、路上機2、路上機3の設置状態と電界強度分布を示している。
【0045】
車載機20は、通信手順2と同様、路上機1の直下位置を判定した時点で、路上機1に移行準備要求を伝える。
路上機1は、有線通信端末14を通して、同じ内容を、次の路上機2及び次の路上機2を経由して次の次の路上機3に伝える。
路上機2及び路上機3は、セル移行準備要求信号を受けて移行準備手続きを行う。
【0046】
移行準備手続きが終了すると、路上機2及び路上機3はそのまま待機する。そして、路上機2は、路上機1を経由して車載機20から到達通知を受けた時点で、路上機1に車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝え、路上機1は、車載機20に、車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝える。これによって、車載機20は、送受信周波数を変更し、路上機1から路上機2へのセル移行を行うことができる。
【0047】
また、路上機2へのセル移行後、路上機3が、路上機2を経由して車載機20から到達通知を受けた時点で、路上機2に車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝え、路上機2は、車載機20に、車載機ID、車載機20が次に入るセル番号、割り当て周波数、移行完了通知を伝える。これによって、車載機20は、送受信周波数を変更し、路上機2から路上機3へのセル移行を行うことができる。
【0048】
以上の通信手順3であれば、車両は、路上機1の直下位置を判定した時点で、路上機3へのセル移行準備要求を出すので、路上機3は、車両がセルから出るまでに、十分な移行準備期間を確保することができる。この移行準備期間は、通信手順2における路上機2の準備期間よりもさらに長いものとなる。
したがって、路上機3は、この移行準備期間に空き周波数の検索、データの引き継ぎ等の移行手続きを十分余裕を持って行うことができる。また車載機の数が多い場合でも、十分長い準備期間があるので、対応することができる。
<他の実施形態>
以上図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施形態は前記のものに限られるものではない。例えば、通信手順3をさらに拡張して、車載機20が上機1に移行準備要求を伝えると、路上機1は、同じ内容を、路上機2、路上機3、路上機4、路上機5などに次々伝えて、各路上機において移行準備を行わせるようにしてもよい。ただし、あまり多くの路上機に伝えても、車両が高速道路の出口を出たり、交差点で曲がったりすれば、移行準備が無駄になるので、移行準備要求を伝える路上機の範囲は自ずと制限される。
【0049】
その他、本発明の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明のセル移行方法によれば、車両は、当該セルの境界に達する前の第1の時点で次のセル内への移行を路上機1に要求するので、次のセルの路上機2は、予めセル移行準備手続きを開始することができる。したがって、セル移行の準備期間を確保できる。
さらに、後続の路上機2,3,4, ... に移行準備をさせるので、車両が走行中のセルのほぼ境界に近い第2の時点で、到達通知を伝えると、次の路上機は次のセルへ移行に必要なデータの準備ができているから、そのデータを車載機に伝え、車載機は当該セル移行に必要なデータに基づいてセル移行をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の路上機を道路に沿って配置し、道路に一連のセルを形成することにより車両との移動通信を可能にした路車間通信システムを示す図である。
【図2】路上機1,2,‥‥の構成を示すブロック図である。
【図3】車載機の構成を示すブロック図である。
【図4】路上機の位置と電波の受信電界強度Eの最大点との関係を示す図である。
【図5】路上機の位置と電波の受信電界強度Eの最大点との関係を示す図である。
【図6】道路の方向に沿って等間隔で打ち込まれた磁気ネイルを低空から見た図である。
【図7】通信手順1における、路上機の設置状態と電界強度分布を示す図である。
【図8】通信手順1を実行する場合の車載機、路上機1、路上機2間の通信の流れを示す図である。
【図9】通信手順2における、路上機の設置状態と電界強度分布を示す図である。
【図10】通信手順2を実行する場合の車載機、路上機1、路上機2間の通信の流れを示す図である。
【図11】通信手順3における、路上機の設置状態と電界強度分布を示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,‥‥ 路上機
11 受信部
12 送信部
13 処理部
14 有線通信端末
15 光ファイバ
20 車載機
21 送受信部
22 変復調部
23 処理部
24 直下位置検出部
25 走行距離検出部
26 パルスカウンタ
27 表示装置
Claims (3)
- 複数の路上機を道路に沿って配置し、道路に一連のセルを形成することにより車両との移動通信を可能にする路車間通信システムにおいて、
(a) 車載機において、セル内の車両が当該セルの境界に至る前の所定の第1の時点で後続のセル内の通信への移行を路上機1に要求し、
(b) 当該路上機1は、この移行要求を後続のセルの路上機2,3,...に伝え、
(c) 後続のセルの路上機2,3,...は、セル移行準備手続きを開始し、同手続きの終了後は待機し、
(d) 車載機は、車両が当該セルのほぼ境界に近い第2の時点で、到達通知を当該路上機1に伝え、
(e) 当該路上機1は、この到達通知を次のセルの路上機2に伝え、
(f) 次のセルの路上機2は、到達通知を受けるとセル移行に必要なデータを当該路上機1に伝え、
(g) 当該路上機1は、当該セル移行に必要なデータを車載機に伝え、
(h) 車載機は当該セル移行に必要なデータに基づいてセル移行を行い、
(i) 移行後のセルにおいても、前記(d) から(h) までの手順を繰り返すことにより(路上機の数字は順次繰り下がるものとする)、次々とセル移行を行うことを特徴とするセル移行方法。 - 前記「車両が当該セルの境界に至る前の所定の第1の時点」は、車載機において、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置を検出した時点である請求項1記載のセル移行方法。
- 前記「車両が当該セルのほぼ境界に近い第2の時点」は、車載機において、セル内の受信信号レベルがほぼ最大となる位置を検出し、当該位置からの車両移動距離を計測し、その移動距離が所定距離に到達した時点である請求項1記載のセル移行方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25665196A JP3674178B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 路車間通信システムにおけるセル移行方法 |
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JP25665196A JP3674178B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 路車間通信システムにおけるセル移行方法 |
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